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デジモンセイバーズ#48

「拳は世界の壁の向こうへの巻」

2つの世界を守りたいという人間とデジモンの意思を受け入れず暴走するイグドラシル.計算通りに動かぬものを全て消そうとする神から世界を救うため,マサルたちはまたも立ち上がりイグドラシルに戦いを挑む.この世界を救いたいという想いを抱く仲間たちの援護を受けたマサルたちだが,殴る直前,イグドラシルの蔓にその身を縛られてしまった.
今まさに滅ぼうとしている人間界で,世界を救いたい,一緒にいたいと願い続ける人間たちとデジモンたち.計算上はほぼ0に等しいことを今なお求め続ける理由がわからないイグドラシルに,マサルとアグモンは人間とデジモンの進化の可能性を見せつけるために飛翔して,ついに貫き打ち砕く.自分を倒した人間とデジモンの力を認めたイグドラシルは,未来を2つの種族に任せて自らは再び眠りにつくことを決めたのだった.

長いようで短かった1年もこれで完結.実に本作らしい豪快な大団円を迎える「セイバーズ」.この作品が本当に凄かったのは,とうとう最終回まで使役者であるはずの主役が拳を下ろさず殴り続けたこと.他人任せにせず命を張って挑み続けた大門マサルこそ,本作の最大の魅力だったのではないかと思います.頭の使い方についてはついに覚えられなかったバカですが(苦笑)身体能力と心の持ち様は超一流で,そんな彼だからこそ偉大な父が果たせなかった夢すらも叶えることができた.…そんな主役の魅力に比べると脇がくすんでしまったのは惜しかった.特にヨシノたちにはもっと可能性があったと思うんだよなぁ.
最終回である今回で,ついに喧嘩番長は救世主としての称号を手にするわけですが,最終的にその救世主が選んだのは美しい結末を逸脱する道.1話開始の段階で既に10年前から始まる大門マサル物語の途中であった彼らしく,作品の枠を超えていく滅茶苦茶な選択は爽快で…そして少しだけ寂しい.デジモン事件が起きなくなればただの無駄飯食らいになってしまうというアグモンの嘆きは,そのままマサルにも当てはまる.折角救った故郷だけれど,そこは既に彼の居るべき場所ではなくなっていたのです.

暴走するコンピュータ・イグドラシルをなんとかするため,人間とデジモンの力をわからずやの石頭に見せつけてやるため,マサルとアグモンはクリスタルの攻撃を恐れることなく突進! 仲間たちの援護を受けながら蔓の上を軽やかに走っていきます.…こういうぐんぐん動く派手な映像は凄く面白かったので,もっと沢山見たかったなぁ….ベビーフレイムを放つも吹っ飛ばされたアグモンを,マサルがしっかり掴んで戻してまた走る…上へ,上へ!
爆走していく希望を援護する仲間たち.奇跡を支える彼らの上にもまた奇跡がやってきます.イグドラシルに爆撃されるも,デジソウルチャージなしで唐突に進化し復帰するガオモンたち.これまでは守りたいと願う心をパートナーから分け与えられて進化してきた3体だけど,ついに彼らの心だけで己を進化させる領域に達した! …逆に言えば,ついにデジモンにパートナーが不要になったということなのだけれど.
人間とデジモンがともに心を高め無駄な戦いを挑んでくることが理解できないイグドラシル.勝てる確率は限りなく0に近いはずなのに,クリスタルや蔓で消しても消してもなお進化して向かってくるのは…きっとマサルたちがまだ元気に走っているから.援護するに相応しい相手がいるからこそ仲間は強くなり,援護される方も白い鎧の上を傍若無人に走っていける.強くなりたい気持ちは止まらずデジモンたちは究極体へと駆け上がり,3体の必殺技の援護によってマサルたちは最上部へと達し…しかし!蔓に巻きつかれて赤い電撃を食らわされ,動けなくなる!
もう一息なのに動けなくなった希望.いくら世界を救おうと願ってもあがいても神には届かず,未だ世界は危機の淵….けれどその淵を遠くから見守る湯島は思う.デジモンたちは人の願いを受けて世界を守ろうとしてくれている.…2つの世界を救うために彼らを動かしたのは人の心なのだから,デジモンたちを巻き込んでしまった人間が先に逃げ出してはならない.強い想いにその身を任せてくれたデジモンたちの信頼に報いるためにも….
世界の崩壊を止めるために懸命に戦う4つの魂.強い想いは見えないけれど人間界を覆いデジモンたちを呼び,さらに人間たちの魂までも揺り動かします! デジソウルを持つ世界中の適合者たちが連鎖反応し,2つの世界を支える奇跡の柱が次々に輝きはじめる.チカやリリーナ,イクトの妹,黒崎と白川のコンビ,そしてサユリ…さらにデジモンと接触のあった懐かしい人々や,デジモン人間となった者たちまでも.
人類ではないもう1つの存在とともに生きたいと願う想いから生まれたデジソウルの柱は,次第にその数を増していく.生存確率が0にほぼ等しいこの状況でなぜこうなるのかわからないイグドラシルに,「それ,違う!」と叫ぶイクト.「ひとりひとりの力は小さいかもしれないけれど!」「友を,仲間を思う力は,無限大だ!」「私たちはずっと,ずっと一緒にいたいから!」…同じ願いを共有するイクトとトーマとヨシノからも,再びデジソウルが立ち昇る!
この願いは今世界を支えるデジモンたちも同じ.この世界を守り抜いて一緒にいたいという気持ちを共有するからこそ,デジモンたちの世界を支える力は強まっていく.落下する世界を押し返すロイヤルナイツたちの体中にも力が溢れる! …力は借りたり貸したりするものではなく,同じ気持ちで合わせるもの.あの時はマサルとアグモンの2人で起こした奇跡が,今度は世界中のデジモンたちと人間たちの間で起きようとしている!
…けれど,ここまで圧倒的な光景を目にしても,イグドラシルはリカイフノウと繰り返す.そんなわからずやに捕まったままのマサルとアグモンは言うのだ.「確かに俺たちは,喧嘩もするし憎しみあったりもする.お前から見れば,間違った進化をしているのかもしれねえ! だがなぁ!」「人の思いは,俺たちデジモンを強くする!」「デジモンは,俺たちに夢と勇気を与えてくれる!」…その接触がどんな災厄を招くとしても,2つの存在は触れ合いたいと手を伸ばし,繋ぎあい,そして最上のデジソウルが生まれる…『俺たちは,もっともっと進化できるんだ!』
マサルとアグモン,人間とデジモンが繋いだ手から生まれた奇跡の光は,イグドラシルの蔓を引き剥がす! オレンジを通り越して赤く燃える輝きは通常の進化ではありえない姿をアグモンに与えます.溢れて輝く強い想いは,それをどこまでも運ぶための翼に変わる.マサルはデジソウルの翼で羽ばたくアグモンを御して,神すら貫く存在に.「思い知るがいい,イグドラシル.これが人間と」「デジモンの!」『力だー!』
真正面からイグドラシルの防壁に特攻かけるマサルとアグモン! 正面衝突でも一歩も引かず真っ直ぐ心を貫いて…絶対の盾をまたも砕いただけでなく,イグドラシルそのものすらぶち抜いていく! …負けるはずのない神は落ちて炎に包まれ,白い巨体は崩壊.中から出てきたのは両手にクリスタルを持つ白い女神の像で,それを本体と野生の勘で察したマサルは「逃がさねえー!」と跳んで白い頬を拳でぶん殴って砕く! …そして,砕けた神の発する目も眩む輝きは,神の試しが終わったことを世界へと知らせるのです.

…ぶん殴った後,真っ白な光に包まれて浮遊するマサルとアグモン.ここは天国…のわけがなく,目前には赤い光を中心に宿すクリスタルの姿をした,イグドラシルの核あるいは種子も浮遊しています.予想を遥かに越える力を示した人間とデジモンをついに認めたイグドラシルの最後の質問は,二つの世界が交わればまた争いが起きるかもしれないのに,なぜ共に暮らせる世界を望むのか.それは神からすれば無用な戦いを招く愚かな行為にしか見えないけれど….
「傷つくことを恐れていたら,わかりあうことなんでできやしねえだろ?」とアグモン.「俺は,こいつと出会ってわかったんだ.拳と拳で語り合えば,どんな奴とも,わかりあうことができるって!」とマサル.…種族はまったく違うのに,その存在も心根も驚くほど似ているふたりの乱暴で素朴な結論を負けたイグドラシルは素直に受け入れて…「私は今一度眠りについて,見守ることにしよう.デジモンと人間がともに暮らせる世界を,実現するかどうかは,お前たちの力次第…」って丸投げかよ(笑)! ここまで事態を悪化させた上に全部自分たちに押し付けて眠ろうとする神の態度に「おい,ちょっと待てよ!」とマサルは叫び…

ヨシノの声でマサルが夢から目覚めたときには既に夕方.地面に突っ伏していた彼のことを,ヨシノにトーマにチカとクダモン,ファルコモンやララモンやガオモンたちが見守っております.「まったく,君って奴は」とトーマはいつものように呆れ,「もう,心配させないでよね!」とヨシノもいつものように困って…けれど表情はとても明るい.一緒に光の中にいたアグモンも無事横にいて,全員揃ってあの逆境から生還できたようだけど…「イグドラシルはどうした! デジタルワールドは!」
焦るマサルに「それ,もう大丈夫!」とこれも明るい表情のイクト.マサルたちが寝ていた間に壊れた時空の壁がなぜか復活し,デジタルワールドも人間界と分離していく…倉田がやらかしたあの日以来空を覆っていた大陸は既に遠くなり,時空の裂け目も小さくなっていく! 人間とデジモンが心を共にしただけで,これほど劇的な改善はありえなかったはずだから…イグドラシルが丸投げせずに最後の最後で手を貸してくれたんじゃないかな.
誰の手が直接この世界を救ったのかはよくわからないまま.けれど,この未来を導き引き寄せたのが誰だったのかははっきりとしている.今まさに人間界を去ろうとするロイヤルナイツが「お前たちのおかげだ」と言うように.共に生きたいと願う心は,ロイヤルナイツやデジモンや人間の心,最後にはイグドラシルの心すら変え世界を変えた.…そして人間界滅亡の回避へと繋がっていったのだ.
時空の壁の大崩壊からここまでの間,とんでもない事態の中でも常に殴り続けたマサルのことを,クレニアムモンは「お前こそ真の救世主だ!」と賞賛し帰っていく.デジタルワールドと人間界を繋ぐ道は見る間に細くなり…親分同様わからずやが多くて大変だったけど,最後には世界の狭間で同じ目的のために身を張ってくれた同志,ロイヤルナイツに「ありがとう」と礼を言うマサル.
入れ替わりにやってきたのは,関係者が満載に乗り込んだヘリ! 黒さんと白さん,イクトやトーマの家族一同…でも,こんな時でもヨシノの家族は来ないんだなぁ.それから,これまでずっと気にしないように心掛けてきたけれど,ここが富士山頂で寒い上に空気が薄くて高山病の危険があったりすることはやっぱり考えちゃダメだ.きっとリリーナとかイクトの妹とかは,さっき自ら発したデジソウルの残滓とかに守られているに違いないんだ(笑).
一番感動的なのはイクトたち家族.デジタルゲート事故で家族と分かたれてしまった彼ですが,2つの世界を何度も行き来し様々なことを為した末,ついに帰宅を果たします.1度目は父に拒否され,2度目はイクトが断った帰還.しかし3度目は涙をこぼして抱きついて教えられた通り「ただいま」と言える,「お帰り」と言える…2つの世界に翻弄された悲惨な被害者は,ようやく1つに戻ることができたのです.
同じように危機を越えて1つに戻るのがトーマたち家族.あの世界崩壊の危機の中でもちゃんと生き抜いたリリーナさんは,体はともかく運は凄く強いと思うなぁ(笑).兄の無事に「よかった…」と涙を浮かべるリリーナを優しく抱きとめるトーマ.世界を救う大活躍をした,自分よりもずっと出来のいい息子に向かって父も素直に「ありがとう」と言うから,トーマも釣られたように素直に答える.ノルシュタイン家当主の父上ではなく…「はい,お父さん」と.
夕焼けの中では次々に再会! カメモンと湯島元所長や,黒さん白さんとポーンチェスモンたちが幸せな再会を果たし…なぜかゴツモンが泣いている(笑).こいつだけは完全に部外者で蚊帳の外のため,なんであんたがここにいるのよとヨシノにツッコまれても仕方がない(苦笑).命を賭けた勝負に勝ったクダモンと薩摩も無事再会し,本当に守りたかったものを失わずに済んだ幸せな仲間たちの中で…救世主は幸せになれない.
最後にヘリからやってきたサユリ.チカは手放しに母に抱きつけるけれどマサルにはできない.だってデジタルワールドで,自分で手を下してしまったから….「マサルやアグちゃんたちが,きっとチカのことを守ってくれるって!」と自分たちを信頼してくれている母に,マサルは言わねばならないことがある.「…ごめん.約束を守れなかった.父さんを連れて帰ることが,できなかった」
アグモンがやってきてからずっと明るかった息子の顔の暗さを見れば,母にはどれほど辛いかすぐわかる.だから無理に問い詰めることもなく,「あの人は,スグルさんはデジタルワールドの風になったのよ.この目で見ることはできないけど,向こうの世界からずっと,私たちを見守ってくれてるわ…」と,自分より背の高い息子を抱き寄せる.…母にこんな顔はさせたくなかったマサルだけれど,これからは父の遺志を受け継ぎ家族を守ってこの世界で暮らしていく…はずが,夕日の向こうから「おーい!」とこっちにやってくるのは(笑)!
2つの世界を巡る物語の起点であり,マサルが追うべき偉大なる先達,その身で人間界を何度も救った救世主…そして一向に家に戻ってこない上に,見つかったときにはイグドラシルに体を乗っ取られるわバンチョーの中にいるわ最後には息子に自分ごと敵を撃てなんて命令するわと本当に滅茶苦茶なあの人が,母の言葉で今さっきデジタルワールドの風になったばかりのあの人が戻ってきちゃった(笑)! これには相当滅茶苦茶なマサルですらも「父…さん…?」と半信半疑だ!
中にイグドラシルがいたときとは違い,今目の前に立って「マサル」と呼びかける彼の言葉には間違いなく父の情がある.「本当に父さんなのか!」と驚く息子に,「ああ,正真正銘間違いなし!」と屈託なく笑うその表情の明るさは,間違いなく血の繋がった父のもの! 「でも,どうして!」と問う息子には「イグドラシルが,私に命を与えてくれたのだ」とあっさり回答.…イグドラシルは,デジタルワールドにこんな滅茶苦茶は置いておけないと思ったんじゃないかなぁ(苦笑)….
チカにはほとんど覚えのない父.けれど自分を頭を撫でる手や優しい目は,自分や兄によく似ている….そして,悲しみが裏返ったサユリさんの喜びはどれほど大きいことだろう! 10年待たされた気の毒すぎる彼女に「心配をかけたな」と詫びる彼.「もう,どこにも行かないでくださいね!」「ああ,約束する.これからはずっと一緒だ!」…世界の存亡に最も深く関わったこの家族までもが大団円を迎えてしまい…物語はエピローグに突入します.

世界を救う大決戦が終わってからしばし後.災厄の中心地であった横浜の大桟橋のDATS基地では,デジタルゲートを閉じることになったと薩摩が皆に告げておりました.時空の壁は復活し,行方不明者も皆帰還.けれど壁は未だ不安定なのでデジタルゲートも閉じることが決定したのです.…閉じる期間は壁が安定するまでなので,1年かかるか10年かかるか,あるいはこの先ずっとかも….
この決断はマサルにとっては大変に不本意! 人間とデジモンが一緒に暮らせる未来を作るというイグドラシルとの約束がいきなり反故になりそうで,ともかく反対したいところなんだけど…さらにDATS所属のデジモンたちがマサルの心を揺らします.アグモンを含めパートナーデジモンたちが勢ぞろいで,この機会に未だ混乱の続くデジタルワールドへ皆で帰ると言い出した!
…全世界的に破壊されまくった人間界も当然混乱しているわけだけど,神であるイグドラシルを失ったデジタルワールドの混乱はそれ以上かも.世界を繋ぐ通信インフラ兼世界を支える中枢機関を一気に失った広い世界は無政府状態.そんな混迷の故郷の再建を手伝いたいと一同は願い出る.…もちろん今生の別れのつもりはなく,近い将来に本当の意味で人間と共に暮らせる時が来ると信じるからこその旅立ち,だから…「だからなんだよ!」と兄貴は本気で怒るのだ!
この物語が始まった,横浜の街と港と海を見下ろす公園.記憶を失ったマサルがアグモンを思い出したこともあった思い出深い場所.見える街は再建中ですっかり様子が変わってしまったけれど,前と同じようにマサルとアグモンは殴りあう.短気な上に一本気な兄貴は「何が帰るだ,この裏切り者!」とぶん殴り!しかし弟分もいくら殴られたってこの件だけは譲らない!
本当の弟のように思っていたからこそ,一方的な弟の決断が許せない兄貴を!「俺だって!」とアグモンは殴り返した! 世界の運命を変えるほど強く等しい心を持った2人が,今更別れたいなんて思うわけがない.アグモンだって本当は,ずっと兄貴と一緒にいたい! けど…「いられねえよ!」と叫ぶアグモンに,殴られた頬を押さえたマサルは驚くばかり.
「ゲートは閉じちまうんだ.デジモン事件はもう起きない.そうしたら俺はなんだ.サユリの卵焼き食べて寝るだけの厄介者じゃねえか!」「忘れられないんだ.兄貴と一緒に戦った日々.俺は!いつまでも兄貴と一緒に冒険していたいんだよ!」…兄貴と一緒に世界を救った弟分は,この先の環境の変化を兄貴よりも鋭敏に感じ取っていました.この先の人間界には,自分たちが全力で殴って進化できるような相手は来ないのだ….
この先,アグモンに殴る相手がいないように,マサルも殴る相手がいなくなる.それは心躍る冒険の終わり,最強を目指す道の消滅,度を越した乱暴者の問題児を救世主に変えた魔法が解ける時…「だったら…俺だって,俺だってお前と居てえ! 死ぬまで一緒に暴れ回りてえんだよぉ!」と叫ぶマサル! この社会ではただの厄介者になってしまうのは彼も同じ.…空は暗く,ついには雨が振り出した.
アグモンがここにいたってどうしようもないことは,マサルにだってわかる.向こうの世界なら,自分がいなくても強敵はいる.思う存分拳を振るえる相手がまだいるはずで…両手両膝を地に突き顔を伏せたまま,「行けよ」と許すしかないマサル.「お前にゃ,こっちの世界は狭すぎる.お前はお前が住むべき世界に帰れ」.…聞き届けたアグモンは兄貴に背を向け,ひとりマサルが残される.アグモンとまったく同じ立場に立つ彼が,この世界に一人きりで一体何ができるというのか….

時空の壁は安定させなきゃならない,デジタルゲートは閉じなきゃいけない,デジタルワールドを復興させなきゃならない…人間たちにはデジモンたちを止める理由がない.降り出した雨を見て物思いにふけるトーマに,紅茶を入れるガオモン.別れに際してオリジナルブレンド「再会の誓い」を作るほどのガオモンのテンションが大変に面白くてたまりません(笑).余計なスキルつけてんなぁ君も….「私のマスターは! …あなたしか,いません…」なんて恥ずかしい告白だって飛び出すぞ.
本当に長く一緒にいたヨシノとララモンももうすぐお別れ.そんな時でもゲーセンで遊んでるふたりは大人だよなぁ.…あの状況でも生き残ったゲーセンがあって客がいて電気が来てるんだから,人間って凄い(笑).デジモンの存在はもはや隠されることはなく,ララモンだって普通にパンチングマシンで遊べる.これまでのいきさつについてもかなり大々的に報道された後なんだろうなぁ….
次にマシンを殴るのはヨシノ.ここでヨシノさん,まるで誰かさんのような気合の入れ方でデジソウルを拳に宿して殴ったら…壊れた(苦笑).この使い方にもっと早めに気づいていれば,マサルみたいに最前線で戦えたのにな(笑).壊したふたりは店から逃げ出し,コンビニの軒で雨宿り.精神的にも肉体的にも強くなったヨシノにララモンは安心し,心残りなく戻ることができる.「あなたにもらった歌,私,デジタルワールドに戻っても,ずっと歌い続けるわ」…まるで姉のようだったララモンを抱きしめるヨシノ.雨は止み,月が顔を出す.
今宵は満月.DATS基地では黒さんと白さんもポーンチェスモンたちとの最後の時間を楽しんでおります.エース3組の大活躍あるいは大暴走を影で支えた彼女たちは,下手にレギュラーじゃなかったからこそいいところを多々持っていけた非常においしいキャラたちでありました(笑).でもたった二人きりで基地に詰めっぱなし,激務の中で自由時間が持てなかったのはマサルたち以上なんだろうなぁ….
だからこそ,最後の最後は思いっきりハメを外すことを勝手に決定! 温泉行ったりカラオケ行ったり,やり残したことをこれから全部やるために,「これから行かない?」と白川さんが言い出して,隊長を置き去りに全員で勝手に遊びに出ていく! …確かに夜はこれからだろうけど,温泉はともかくカラオケは完全に人間二人だけが楽しいんじゃないかなぁ(笑).
職場放棄の2組と入れ違いになった薩摩とクダモンは,すっかり静かな隊長席でまったり.ここが一番落ち着くと言うクダモンに「私もだ」と笑う薩摩.強面だった彼が笑うのは大変にレアで,ささやかな奇跡にクダモンも笑う.…イグドラシルの手先であったため,十二分にクダモンの力は発揮されたことはわずか.で,そのしわ寄せは全てマサルたちにふりかかったけれど…それでも終わり良ければ全て良し?
外で月見酒と洒落込んでいるのは,薩摩たち以上に活躍どころが限られた湯島とカメモンとおまけのゴツモン.いつもはシャイなカメモンも,こんな夜くらいは饒舌に.見納めとなる人間界の月に寂しさを感じ,しかし欠けてもまた満ちる月に再会を想い…「いつでも戻ってこい,わしゃずっと待っておる」と湯島.デジモンと違い人間には「死」が存在して,それに湯島はパートナーの中では一番近い人間だけれど…まあ,根性で待ってやるんだろうなぁ.
明日の別れは当然のことで,あのマサルでも今更覆す余地がない.けれど別れる者たちの心が諦めきれるかどうかは別の話.…高圧線の鉄塔の上で,未だに揺れる心を夜風に晒しているのがイクトとファルコモン.前半から中盤にかけて物語を引っ張った2人には「いろんなこと,ありすぎた…」.夜闇には復興していく東京都心の姿が浮かぶ.デジタルワールドで育った2人にとって,不可思議に満ちたこの世界は異界のまま….
だから「俺もデジタルワールドに帰る!」と言い出したイクト.未だデジモン寄りである彼は,同類のデジモンたちと新しいデジタルワールドを作りたい.けれどイクトを通じて人間の「家族」をよく理解したファルコモンはそれを止める.「お父さんとお母さんはどうするの!」 …今,家族たちから強く必要とされているイクト.「でも俺,ファルコモンとも家族! さよならなんてしたくない!」…逃れられないさよならに,兄弟のようなふたりは肩を寄せ合って泣く.

旅立ちの日.DATS基地にはいつもの面子が顔を揃えてお見送り.ピヨモンなどはチカさんとの別れを惜しんでおりますが,そのチカさんの兄貴の姿がない…ここでの「きっと別れるのが辛いんだ」というトーマの言葉は的外れであり,「兄貴のバカ」というアグモンの言葉は大当たり(笑).転送装置に詰まるデジモンたち.しばしのお別れどころか下手すればこれっきりかもしれないデジタルゲートが白さん黒さんの手で開かれて…「ちょおっと待ったぁああ!」とあいつが来た! 予想を超える期待通りに,リュック背負ったバカがやってきた!
当然のように自分も転送装置に収まってしまうバカ野郎.「さよならなんてありえねえ! 俺も一緒にデジタルワールドへ行くぜ!」といつものあの能天気な笑顔で! …この滅茶苦茶をもちろん仲間は止めるんだけど,それで止まったことなど一度としてないんだ.悲しいことに(笑).「構うもんか! 1年かそこいらでデジタルワールドが回れるかってんだ!」…よく道を見失うマサルじゃ,たぶん10年あっても周りきれやしないだろうな…(苦笑).
そしてそんなバカ息子の背中を「行ってこい!」と力強く後押しするのが大門スグル! デジタルワールド放浪&行方不明のエキスパートである父は,「男を磨いてこい!」と拳を握り,「ああ!」と息子も請け負って! 「行くぞ,アグモン,俺とお前は,いつまでも一緒だ!」「兄貴ぃ!」…10年前とは逆に家族を父に任せて,マサルはもう1つの世界へと渡る.未知への好奇心でデジソウルを燃やし,自分の物語の新章をデジタルワールドで開くのだ!

…結局マサルが選んだのは,人間界ではなくデジタルワールドで,家族ではなく更なる冒険.腕っ節は強いけれど賢くも有能でもなく,父の帰宅によって家族を守る役目からも開放されてしまった救世主には,もはや人間界での活躍の余地が残っていなかった.今の狭量な人間界では,マサルは笑顔でいられない.折角救ったけれどまだあまりにも狭すぎて,強大な功労者を受け入れるだけの器がないから,外に出るしか道がなかった….

それから5年後.主題歌流れる中で描かれていく後日譚! あの頃よりもずっと大人びたチカとイクトは一緒にご登校.制服はマサルが着てたのと一緒なので,後輩になったんだろうなぁ…兄貴は中退だけどな(笑).元々真面目で順応性も高かったイクトだから,今はもうすっかり人間界に馴染んだ御様子.大門家では約束の通り,今もちゃんと父がいて家族を守ってる.どんな仕事をしているかはわからないけど,男として,もう家族を泣かせるようなことだけはしないだろうな.
テレビで報道されているのは,トーマがノーベル医学賞を史上最年少で受賞した快挙! 5年かかってついに謎の病を克服し,凄く美人になった妹を守りきったトーマは偉い! これだけの力と名声を手に入れた今の彼なら,もはやノルシュタインの家に飲み込まれるようなことはないはず.…今度はその賢い頭は,時空の壁を安定化させる研究の方に向けられることになるのかな.
ヨシノは警察官として活躍中.白さん黒さんの同僚に! …元々DATSも神奈川県警所属の二人が主導して生まれた組織だし,古巣に戻った薩摩の下に皆が移籍するのも当然の成り行きかな.誰かになんとなく似た奴が乗る,ノーヘルのバイクを追いかけていく彼女.ひとりきりでも生き生きと犯罪者を追いかける彼女の様を「騒がしいのう!」と優しく見守る,すっかり悠々自適っぽい元所長.彼もまだまだ待ってます!
…そして時空の壁の向こう,デジタルワールドのどこか.小競り合いするデジモンたちの間に「待て待てー!」と乱入してくる大馬鹿者は! 父のようにでかくなり,けれどその表情は5年前と何も変わらない大門マサルと子分のアグモン! 「デジタルワールドの平和を乱す奴は,この喧嘩番長,大門マサル様が許さねえ!」…狭い人間界から飛び出さざるを得なかったふたりは,今日も強い笑顔で,自分で選んだ冒険の日々を真っ直ぐに…「行くぞ,アグモン!」「おう!」
遠くない未来,2つの世界は真の意味で繋がり,人間界もマサルたちを受け入れるくらいでかくなる.そのときこそマサルとアグモンの旅も終わり,デジモンと人間が真の意味で理解し合い共存する理想の世界がやってくるはず….そんな理想世界のささやかなミニチュアであるふたりが発する男気は,今もなお異世界中に響き渡り,より良い方向へと世界を導き続けているのです.

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