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美少女戦麗舞パンシャーヌ#13

神は飲み屋のツケを払うために変身能力を与える

パンシャーヌ活動と主婦活動に日々翻弄されてきた由美子と健介の間にできた溝は,もはや容易に埋められないほど深いものとなっていた.冷たい雰囲気で睨み合う両親の間で理沙は悲鳴を上げて飛び出し,由美子は理沙を必死で追いかけるけれど,健介はその場に残って動かず,その代わりに何かを心に決めた.
飛び出した娘を探して公園にやってきた由美子だが,ようやく発見した理沙はパンシャーヌミニとなった上ですっかりグレていた.菓子をバカ食いしているミニを止めようとする由美子だが,小さいとはいえスーパーヒロインをただの主婦が止めることはできない.ゆえに由美子もパンシャーヌへと変身し,幼稚園児の娘の非行を止めるために彼女の頬を叩く.しかしミニは謝りもせずにパンシャーヌを睨み,母娘ヒロイン同士の激しい戦いがはじまった.

1クールを見事走り切ってついに最終話.予算も時間もないところを珍妙な発想で補ってきた「パンシャーヌ」とは今回でお別れで名残惜しいなぁ.完結してみれば実に浦沢御大参加作品らしいまとまりかたをしていたので,次回がないのが凄く勿体無い.ぜひ同じメンバーで続編を作って欲しかったのに…なんで最後の最後で続編を極度に作りにくいことを平気でやらかすんだろう御大は(笑)! 確かに家族全員で変身したら面白いなぁとか,神様が酷い目に遭えばいいなぁとか思っていたけど,そんな希望以上のことを軽くやってのけた上にそのまま遠くにぶん投げるのが御大クオリティ!
まるで1話吹っ飛ばしたかのような冒頭からカオスの中で生きることを決意する終盤まで物語は七転八倒を繰り返しますが(笑),この作品が新庄家を巡るホームドラマであるという軸だけは崩れず,むしろクライマックスではその点に収斂していきます.…結局ラストまでちっともセレブじゃなかったけれど,絵空事の世界で生きる点では,ラストの選択はセレブ化みたいなもの…のような気がするのは明らかに考え過ぎだな(苦笑).

前半.「穏やかな最終回」という挑戦的なサブタイトルらしく,冒頭から新庄家のリビングは冷たい戦争状態.和やかで楽しい家族の団欒の光景はここにはなく,まるで1話見忘れたんじゃないかと思うような刺々しい雰囲気! こんな雰囲気の中にやってきたのは相変わらず空気読めない清志だけど…冷たい目で睨まれるだけ(苦笑).しかも正体は「この家のとなりの…隣の…ラブちゃん」って犬かよ(笑).もちろん誰もツッコまず,おふざけの許容されるような空間ではないから清志は即座に撤退です.
残った由美子と健介は怖い顔で睨み合い,そんな両親の側にいるしかない理沙さんはついに耐え切れず…「こんな生活嫌! パパもママも,嫌い!」と叫んで家を飛び出していく.これを即座に追おうとする由美子に対し,健介は動かず由美子さん切れる! 「そういう人なのよ!」と言い残して追いかけていく妻と残った夫の間の亀裂はもはや決定的とも思われたけれど…一人残された健介は,何かを心に決めるのです.
娘の行方を探し,今やすっかり見慣れた街を走る由美子さん.必死で公園を探すんだけれど,理沙さんは隠れていて見つからない….既にパンシャーヌミニへと変身した理沙さんはコスパでショッピングの上,ふ菓子を食う.「食べて食べて,初代女横綱になってやる!」幼児らしからぬグレっぷりで暴食するパンシャーヌミニを由美子さん発見.母として止めようとするけれど,既にスーパーヒロイン化している娘は母を吹っ飛ばす!
幼稚園児の積み木崩しぶりに母は本気に! 周囲を見回した上でパンシャーヌに変身.「あなたに言うのもなんですが!」とひとしきり口上を述べるものの,ミニはろくに聞かずに食っている….本日の句はこぬ人をまつほの浦の夕なぎに焼くやもしほの身もこがれつつ.…好きな人を待つ恋の歌だけど,今のパンシャーヌが身も焦がしつつ待っているのは理沙さんでも健介でもないんだよなぁ.
夫婦の不和で怪人化ではなく不良化しちゃったパンシャーヌミニ.「うるせえな!」「うるせえんだよ!」とさっきと同じように母を吹っ飛ばそうとするものの,同じスーパーヒロイン同士ではさすがに通じない.「あっちいけ!」と蹴りを入れようとしても母に叩かれて,けれど「やりやがったな…!」と娘の反逆は止まらないのだ.

後半.サイレン響く中で母に叩かれる娘.しかし泣きもせずにやりやがったなと反発するミニとパンシャーヌの激しい戦いがここからスタート! こんなミニに誰がしたアタック,そんなミニに育てた覚えはないアタック,両親の離婚が原因で不良になった子どもは多いキック,両親が離婚しても不良にならない子どももいるキック…と技名で口論を続ける母と娘.新庄家,本当にヤバくなってたんだなぁ(苦笑).
大人は間違ってると主張する娘と大人になればわかーると反論する母.激しいバトルの中で家の現状が開かされていくところで響く声! 「醜い戦いはやめなさーい!」とボイスチェンジャー声で参上したのは例の超悪デビル.新庄家の家庭不和の最大の原因の登場に,うれしくなって思わず早回しで駆け寄り抱きつくパンシャーヌに「いいのかそんなことして!」と厳しい娘.「確かにいけないわ!」と今更に気づく母….
夫とは喧嘩,我を忘れて娘の前で他所の男に抱きつきに行く…そんな母の情けなさに泣き出したミニ.うずくまって泣くミニに母は駆け寄るけれど「パンシャーヌの心は,超悪デビルのことで一杯じゃないか!」と理沙さんは母の手を拒否!「そんな奴に,パンシャーヌミニは愛されたくない!」とまで幼稚園児の娘に言わせるなんて…いくら心の底から愛しています!と言ってみたって母失格.「嘘だ!」と娘は泣いて言うのです.
娘と母の間に入った亀裂は母のフォローでは埋まらないほど深いものなんだけど,「嘘じゃない」となぜか助け舟を出すのが元凶のはずの超悪デビル.「パンシャーヌのことを信じてあげなさい」なんて,こいつの存在こそが新庄家の崩壊の直接の原因だから口出しする資格はそもそもないはずで! パンシャーヌミニは怒りのシロガネーゼアタックミニを顔面に食らわせ,その弱いダメージでマスクが取れたら…やっぱり中身は健介なんだよね(苦笑).
素顔が出ても特に変身が解けるようなことはなく,けれど態度が思い切り素に戻ってしまう超悪デビルこと新庄健介…「ええええー!」と驚くわ怒るわで由美子さんも理沙さんも照れ笑いを浮かべる余裕すらない! その上パンシャーヌの正体だって「うん,最初っから知ってた!」なんて白状しちゃうもんだから由美子さんも思わず素に! 仮面を外してどういうことだと問い詰めたいのも当然…だよなぁ(苦笑).
家族3人が愉快なコスチュームで顔を合わせる光景は想像以上に間抜けであり,正直この格好で夫婦喧嘩とか家庭崩壊なんか真面目にやれるわけもない(苦笑).健介の現状についての説明も「…ここじゃあねぇ」「…そうねぇ」「ママー,私お腹ぺこぺこ」とすっかり元の鞘に戻りはじめている新庄家.この格好じゃファミレスはないから,家で御寿司を食いつつ説明することに.…それも特上寿司を健介のおごりで! ここで健介が必死で実家ではお寿司はちらし寿司を指すのだと粘るほのぼのっぷりがどうしようもなくおかしい.
結局お寿司を取った新庄家の様子に,配達人も首捻りまくり.なんせ3人してコスパで揃えた素敵な衣装なので一般マイホームでは浮きまくり…なのにラストはあんなことになるからな(苦笑).腹も落ち着いてきたところで本題,「僕が神様と逢ったのは…」とさらりとカミングアウトを開始する健介が言うところ,彼と神様が出会ったのは南行徳の居酒屋・源さん.そして彼の出会った神様は,美少女仮面フローレンスの写真を持ち歩く変質者以外の何者でもありませんでした(笑).
フローレンスの写真を見ず知らずの健介に見せた上,正体見たいんでしょう!と無理やり写真を削らせる酒癖悪すぎる神様.しかも「…削れませんけど…」「うっそー! 本物は,にゃん! これー!」と何も出てこない写真の替わりに出してきたのが,健介の妻である由美子さんの若かりし写真! 飲み屋の酔っ払いからバラされてしまった可愛い妻の過去の過ち?に健介はびっくり.そして神様こと猫ひろしは本当に最低です!
ところがこのダメ神様に「現在の由美子を,再びスーパーヒロインにすることを」健介はお願い.その頃の由美子さんは主婦業に流されて元気がなく,夫としては写真の中の往時の輝きが欲しかった.大事な妻を再び輝かせるためにあのダメ猫に頼んだ上に「いいよ! 十万円!」と金まで取られてた! …なんで由美子さんが今更美少女ヒロインをやらされることになったのか,真実がこんなところで明らかになってしまったのです.
十万円で美少女セレブとなった由美子さんは,健介が願っていたとおりの大活躍! しかしその輝きもつかの間で,8話で理沙さんに正体バレして以来状況が変わってしまいました.なんせ大事な娘のミニは,精神的には支えになるんだけれど戦闘能力がろくになく,そんなミニを守りつつご近所と宇宙の平和を守る由美子さんの負担はあまりに大きくて…結果的に新庄家に皺寄せが押し寄せ,11話のように食卓や室内が荒れ果てたのです.
負荷の大きさで主婦業がおろそかとなった妻を見かねた健介は更なる決意.11話前半で由美子さんと喧嘩してから出かけた健介が,自分が一番の理解者なのにと呟いていたのはこういう事情があったからか.その直後に健介はまたも居酒屋源さんに赴いて,家庭が壊れるから由美子のスーパーヒロインをやめさせてくれと神様にお願い! けれど神様は少なくとも1クールは頑張ってもらわないとダメだと断りやがった(笑)…それはいくらなんでもぶっちゃけすぎだろ.
何かの間違いで視聴していた子どもたちには大変にわかりにくい理由でスーパーヒロイン引退はできにゃいと言われ,神様の首根っこ掴んで「人の家の平和を壊しやがって!」と嘆き怒り叫ぶ健介…でも由美子さんを追い込むきっかけを作ったのは健介だし,理沙さんをミニにしなければ由美子さんはナマコにされていた.それでも妻を,家庭を救いたい健介は哀れ苦悩に泣き出して…泣かれても困る神様はろくでもないことを思いついたのです.
「お前がやめさせなさい!」という神様の言葉に「ええ?」な健介.超悪デビルとなってパンシャーヌを引退に追い込むように説得しろと唆されて,妻や娘を救い出すはずの健介までもが10万円25日払いでコスプレワールドに引きこまれることに(笑).…しかもなったまではいいんだけれど,根の優しい健介は妻を引退させるつもりがつい励ましてしまって現在の泥沼にダイブ.…そんな優しさに由美子さんは惚れたんだろうけど.
思いつきで自分の妻を変身ヒロインに復帰させ,状況が悪くなったらやめさせようとするも自身の心の弱さでやっぱり失敗…相当のダメっぷりを示してきた上に,超悪デビルになったときに勝手に会社やめてるって本当にダメ亭主だな(苦笑)! 本人曰く由美子や理沙が会社より大切だったから,らしいけど,妻としては「なんかうれしいような気もするけど,そうじゃないような気もするけど…」と戸惑ってしまうのも無理はないよね.
てなわけで健介は相当のダメですが,それ以上にダメで酷い元凶は神様です! 新庄家がこれからどうすればいいかはまったく見えてきませんが,少なくとも新庄家から20万円をむしった神様だけは許せないから早速征伐することに.どうせ神様の居場所は南行徳の居酒屋源さんに違いなく,あの猫を電話でうまいこと呼び寄せた上,家族ぐるみでぼこぼこにする所存! …1話から神様に石投げてた本作らしい結論だなぁ(笑).
まさか新庄家でネタバレしまくっているとは知らぬ神様は,金蔓から電話が来たと気軽な気持ちで新庄家にお呼ばれ.例の服装のままの健介や由美子が御寿司を囲んでいるわけですが,寿司に完璧に意識を持っていかれた下卑た神様は勝手に食いだし…その背後で仮面を装着するパンシャーヌたちと超悪デビルは,神様本人から計二十万円で与えられたスーパーな力で神様自身をボコにする!
健介が蹴りでリビングに転がして,理沙さんに思い切り踏みつけられる神様,そこに由美子さんがシロガネーゼアタック! 家族ぐるみの攻撃でラスボスとは思えぬ神は倒れて…新庄家はすっかり気分がよくなりました(笑).法の制約を受けずに自分の能力で悪を正せるのはスーパーヒロインなどの特権.それを家族3人で味わった新庄家はとんでもないことに気づきます.「もしかすると,このまま普通の人間として暮らすより…」
今変身能力を失えば,己の正義感で神を足蹴にする快感を味わう機会もなくなって,家庭危機も結局継続しそう.だったら一般人に戻り暮らしていくよりも,このままスーパーヒロインと謎めいた敵役として暮らす方が合っているのではあるまいか.お母さんお母さんと呼ぶ神様を踏みつけて倒せる今の新庄家は史上最強だし,普通の暮らしはとっくの昔に行き詰っているから! …真の最終話,「仮面一家の旅立ち」がはじまります.

真最終話でもやっぱりパンシャーヌの正体について推理してきた清志だけれど,新庄家の食卓を眺めて「そういうことだったのかぁ」とさすがに納得.なんせ仮面で生きると決めた新庄家では日常が変身状態.コスパで作った素敵なコスチュームで朝食を食う珍奇な光景が毎日のこととなった上,打倒した神も猫として飼うことに(笑).…世にもおかしな変身家族.けれど朝食の光景はごく和やかで…「こんな家庭があっても,いいと思う.にゃー!」
変身したままの日常を選択した新庄家の覚悟は半端ではありません.健介ことデビルも理沙ことミニも変身したまま職場や幼稚園に行くんだから大したもの.でもミニは一般人をその能力で黙らせちゃダメだ(苦笑).…最終的に非日常を選んだこの家族.ごく普通の日々は失われたけれど,それを補って余りある能力を手にしたならば差し引きプラス? 普通でないことと幸せでないことは同じじゃないという作り手の最終メッセージらしきものも確認しつつ,レビューを終わりたいと思います.面白かった!

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