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モノノ怪#4

本当に怖い水底の秘密

そらりす丸の羅針盤に磁石で細工をし,アヤカシの海,龍の三角へと迷い込ませた者が誰なのかはわからぬまま.けれどアヤカシに人の激しい情念が結び付いたモノノケは,薬売りの持つ退魔の剣でなければ切れず,その剣が薬売りをここに誘ったということは,この海には斬るべきモノノケもいるということなのだ.
間を置かず出て来たのは鬼火を引き連れた海座頭.人に怖いものを尋ね,その人間の本当に怖いものを見せるアヤカシだ.答えなければ生きた亡者とされてこの海を彷徨うことになるから,船に乗るものは皆答えねばならない.金儲けに夢中の船主は積み荷の金魚が死ぬ幻覚を見せられて狼狽.怖いものなしのはずの侍は自分が斬った者たちに飲み込まれ殺される夢に苦しめられる.

アヤカシの海,テクスチャで目眩しそうな船の中で犯人捜しをはじめようとするあたりが無謀な「モノノ怪」.今回も修験者の語る蘊蓄とか趣味悪いにも程がある加世さんの悪夢とか実に小中脚本らしいエグ味全開なんですが…若本声が凄く面白いせいで陰々滅滅とならないのがなんだか凄くずるい(笑).ツッコミの冴え渡る加世さんとか,とぼけまくる薬売りとかあちこちがとてもユーモラス.
相当洒落にならない状況でも「少々厄介」と飄々としていて,本当に怖いものを見せられてもそれほど動揺もしない薬売り.語り部役も他に任せて最後の最後まで務めないという怠惰でミステリアスな彼は,一体どういった成り行きでこんな風になったんだろう…案外数多いるというアヤカシや神の類とか? 退魔の剣は神っぽいのでその依代となる巫と考えるのが自然だけれど,薬売りの真と理はどこかで明かされるのかなぁ.

前半.前回ラストよりアヤカシの海を舞台としたミステリーが展開中.ここに船を迷い込ませたのは一体誰なのか…同乗する面子がどいつも怪しいため,加世さんには見当がつきません.恩人の薬売りすらも事態を面白がり,化猫騒動でも結局救ったのはモノノケと化した彼女だったし….そんなことを考える真剣な顔を見ながら「あんまり怖い顔をしていると,嫁の貰い手がなくなる」と茶化す薬売りに「大きなお世話ですっ!」と怒る加世さん.
台に横たわり半身を起こしてだらりとした薬売りに,どうせ本当のことは言わないとは思うけどと前置きした後で聞く加世さん.羅針盤に仕掛けしたわけじゃないのかと確認されるのに「どうだかね」と目を上に逸らしてとぼける薬売りに加世さんはふくれます(笑).…いいコンビだよなぁこの2人.わざと翻弄しているあたり,薬売りも加世さんが嫌いではないよな.
そもそも羅針盤に仕掛けをしなくても,自分はこの龍の三角に退魔の剣に連れてこられたのだと薬売り.…この世の因果を越えたものでここに薬売りが導かれているとしたら,犯人以前に彼がこれに乗ったことによって迷ったと考えることもできるかな.剣が命を持ってるかについては「さあ,どうだか」とまたとぼけ,加世さんはそんなんじゃ女の子にもてませんからね!とぶち切れ.でも薬売りは「はい,はい」と特にモテたくもなさそうで.
さて,この海に満ちるアヤカシと剣が斬れるモノノケは何が違うのか.常人の加世さんには両方ともこの世ならざる人に怪異を為すものとしか思えず,アヤカシと崇めねばならない神様が同類扱いされるのだって不思議.これに薬売りが答えるところ,現世に人や獣や鳥がいるのと等しく,アヤカシも遍く存在する…その存在の源は死人?人が死んだらアヤカシになる?「というものもいる」と呼ばれてない修験者が二人の間に乱入.
人が死んでもアヤカシとなる.先の船幽霊などはその手合い.けれど物や道具からなるやつもいるので元は千差万別.ただしアヤカシの道理は人にはわからないというのは共通したところ.なぜアヤカシがこの海に集いこの船を襲ってくるのかだって,人間にその理由は究極的にはわからない.…台風とか豪雨とか,ある特定の自然現象みたいな扱いなんですね.
それに比べてモノノケは,ケは「病」モノは「荒ぶる神」.荒ぶる神・アヤカシのもたらす病,あるいはアヤカシの患った病.モノノケはアヤカシが情念の病に侵され,人を病のように祟る.人間の恨み悲しみ憎しみといった激しい情念がアヤカシと結びついたなら.「もはや封印の呪札など効かぬ魔羅の鬼」…このあたり難しいですが恐らくこういうことでしょう.
ただしその剣なら切れると混ざってくるのが退魔の剣に執心している侍.けれど剣が切れるのはモノノケのみの上,モノノケの形と真と理がなければ抜くことすらできない.真とは事の有様.理とは心の有様.この状態を導いた真実を明らかにした上,この先どうするべきかを取り付いた情念に納得させねばならないわけです.…退魔の剣がこの海に薬売りを誘ったなら,ここにモノノケがいるのは間違いない.ただしどこにいるかはわからない….
距離を測る天秤が浮き上がったところで坊主の悲鳴! アヤカシの海に鬼火が出現したのです.斬る気満々の侍とアヤカシと薬売りに勝ち名を上げたい修験者は早速現場に駆けつけますが,薬売りは「今行きますよ」と言いつつも立ちあがらずのんびりとしたもの.「だが,少々厄介ですよ」などと呟く彼はやっぱりどこか楽しそうであり,こんだけ巻き込まれていながらも他人事に感じているようでもあり.
鬼火を引きつれてやってくるのは着物を着た魚…海座頭.アヤカシなので普通の剣で切れる手合いではありません.そして海座頭であるからには,なぜ聞いてくるのか理由はわからないけれど,船に乗る者に聞いてくるのです…自分の姿が怖いかと.これにはまず「怖くない」と答え,「この旅の行く先に何があるかはわからない,それが一番怖い」と答えればよいと微妙にうろ覚え気味の修験者.でもこの海座頭,ちょっと違うことを聞いてくる上にあまりに立派過ぎる声なので嘘がつけない(笑)!
問うてくる海座頭…こと若本(笑).答えねば生きた亡者となって永久にこの海をさ迷うであろうと前置きの上,「お前が恐ろしいことは…なんだぁ!」とまず気の弱そうな船主を狙う.そりゃあんな立派な声で聞かれたら狼狽するに決まっており,「本当は,か,か,金を全て失い! 一文無しになってしまうことでございます!」とあっさり吐いちゃう船主がかわいそうでかわいい(苦笑).
この返答を受けた海座頭,どっかの青銅聖闘士さながらに船主に本当に怖いものの幻覚を見せます.いきなり苦しくなった船主が口から吐くのは,ここま運んできた大事な大事な金魚.甲板に吐いて死んでしまった沢山の南蛮渡来の金魚に狼狽しまくる! …もちろん幻覚なので周囲から見ていると一人で勝手に苦しんでるアホのようですが,本人は本当に怖いものを見せられちゃってるので気の毒なのです.
次に狙われたの「怖いものなど,俺にはない」と言い切る侍.腰の兼定で百人を斬ってきた殺人鬼は,あんだけ切れないと言われながらもアヤカシだって斬るつもり.けれど幻覚は嘘を許さない.海座頭が見せる幻覚の中,侍を足元から飲み込む巨大な魚に浮かぶ沢山の顔…辻斬りされた被害者たち.恐れ怯えて地獄に帰れと刀で突いても,もう死んでいるから黙らない.妖刀兼定に責任を押し付けようとしても,得物はともかく彼が殺したことには違いなく…現実で,侍の手から離れた刀にはアヤカシの目が浮かび,消えると同時にばきりと折れました.

後半.怖いものなしのはずの侍は幻覚にあっさり敗北.いくら口でたばかろうとしたって海座頭は心の内の恐怖を的確に引っ張り出して見せてくるのです.本当に怖いものを言っても嘘をついても真実を見せられるのは同じ.で,それぞれの心の内の問題ならば他人がどうこうできるわけもない….嫌なことを言う修験者と期待はしてなかったけどやっぱし薄情な薬売りの物言いに困る加世さん.これはどうやっても悪夢を見ることは確定.「厄介ってこういうこと」とこぼすしかない.
その困った加世さんの番.彼女の本当に怖いこと…ここで素敵な恋とかしてないし!といきなり妄想に走る加世さんの間違った度胸が素晴らしい(笑).幸せな結婚に可愛い子ども,そんないいものを経験せずに死ぬのが一番怖いと答えた彼女を襲う幻覚.痛む腹は膨れて膨れて,鼓動が響き破水して,股から落ちたのは…魚の化物.普通の女性にはあまりに苛酷なものを見せられ,加世さんの気は遠くなる!
倒れる彼女を支える薬売り,抱き止められながらも悲鳴を上げる加世さん.結婚なんかしない,子どもなんか生みたくないと錯乱する彼女の目を手で封じて,これは悪い夢,加世さんの真は何も変わらないと正気を戻してくれる薬売り.…放っておかないで助けてくれるあたり,彼は女性には優しいよなぁ.男がどんなに苦しんでも見てるだけだもんなぁ(笑).
でも女性は男が思うほど弱くない.今度は修験者の番.彼は苦し紛れに「饅頭だ…饅頭が怖い」と答え「落語かよ」と間髪入れずツッコム加世さん…結構元気じゃね(笑)? もれなく幻覚を見せられた修験者.最初はおいしそうにエア酒蒸し饅頭を食ってるんだけど,中身に大汗をかいて吐きにいく.中身は間違いなく放送に適さない部類のものだろうなぁ…えぐいなぁ.
残りは3人.薬売りと僧侶が2人…五浪丸は(笑)? ここで先に出たのが薬売り.彼の本当に恐ろしいこと.「この世の果てには,形も真も理もない世界がただ存在しているということを知るのが怖い」…哲学的な恐怖を持ち出した彼が見るのは,自分すら消える無の世界.それは現世が生まれる前や滅びた後の世界なのかもしれませんが,これを見せつけられても薬売りは正気を失わない.
残るは2人.二人の坊主の恐れるものがこのアヤカシの海に退魔の剣が船ごと引き寄せられた理由がある.海座頭の前で語り出す若い方の僧侶,菖源は言う.本当に恐ろしいのは…「源慧様です」.彼が暴露する自分の師匠の奇行,この海ではお題目を唱え続け,昨晩も夜風に当たってこいと無理に部屋を出された.ゆえに羅針盤に細工ができたのは「お師匠様だけです!」
…菖源の怖い源慧は,「皆を巻き込むつもりはなかった」と犯人として自白をはじめる.誰もが恐れ彼自身も震えるほど恐れる龍の三角にどうしても来たかった理由.この海の,この旅の行く末より源慧が恐れているものとは何か! 薬売りは己の眷属の如く「海座頭,問うがいい!」と命じ,老いた僧侶は語られるべき真実を吐き出します.
源慧が一番怖いもの.50年忘れずに恐れ続けてきたもの,それはこの海を魔境へと変化させたるほどの妄執の塊.このアヤカシの海をつくりだした源は…無表情な魚がひたすらに鳴り響かせる三味の音は坊主の記憶の水底から恐怖を引きずり出す.浮かび上がるは「50年前に私の妹が乗って流されたうつろ舟!」…その回答に満足したか,それともあまりの怨念を恐れたか,海座頭はここで船を去り.

そらりす丸に残るはうつろ舟の謎.うつろ舟とは大木をくり抜いて作った船…というか入れ物で,一度入ると中からは開けられない.…ここで大きな目が天上に開き,赤く染まった池からそのうつろ船を引き上げます.目から伸びた鎖の巻きつく,大きなピンクの棺桶.己が最も恐れるものの登場にひたすらにお題目を唱える源慧.この広い海から見れば一滴のような小さな船が,まさかここをアヤカシの海に変えたというのか.
そして中から響くひっかき音.人が50年前からこの中でひとり生きていられるわけがない.源慧が恐れる程なのだから単なるアヤカシでもない.ゆえに薬売りは退魔の剣を握り前に突き出し,「あのモノノケの,真と理,お聞かせ願いたく候」…許しておくれと自分の身代わりになった妹,おようの名を呼ぶ源慧.途切れず響くひっかき音,天上からは稲光…筆書きになった中で「モノノケの形,来たれり」と宣言する薬売り.アヤカシの真と理は,この海の一体どこから生まれてくるのか.次回に続きます.

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