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R'sM 2007年アニメ大賞

2008年がスタート.昨年は本当に色々なことがありながらも,アニメを見ることと好き放題に感想を書くことでやっと心の安定を保てたような,そんな1年でありました(苦笑).今回も恒例企画として,これまでの1年,自分を気分良く笑わせてくれた方の素敵な作品どもを讃えておこうと思います.主にここで長文あるいは短評で触れたアニメから,私的なベスト3を部門ごとに選出.見ていないあるいは触れていないあるいはシリアスなアニメは評価対象から外れます.
 2006年度の結果…R'sM: R'sM 2006年アニメ大賞
 2005年度の結果…R'sM: R'sM 2005年アニメ大賞
 2004年度の結果…R'sM: R'sM 2004年アニメ大賞

ちなみに昨年度最強のギャグアニメは「それゆけ!徹之進」で次が「マイメロ」…我ながらどんな選択基準だ(苦笑).テクニックよりはノリ重視.組み立てた高度なネタよりは一瞬で爆笑できる直球を高評価.無様ぶりが面白い作品については,作り手側が笑わせにきていることが明らかで,自分の中にその作品・キャラに対する愛がなければギャグとしては扱いません.以下に挙げるものについては本当に好きだからここで取り上げたのであって,他意は…ほとんどありません(笑).

<特別賞>
まずは新設部門として,アニメではないものの凄まじい活躍ぶりを見せた作品を称えておきたいと思います…さすがにこの作品を外すわけにはいかなかった.それぐらいこの作品は凄まじかったんだ.

 (特別賞)Kawaii! JeNny

…浦沢御大…(苦笑).人形による特撮・ドールラマという形式で作り上げられた世紀の奇作.映像と内容のかっ飛びぶりで1話の段階で視聴者を全力でふるい落とした暴れ馬ではありますが,この作品の爆発力はたった1クール作品とは思えないほどに凄まじかった.今期は実写「ネギま」や「風魔の小次郎」など愉快な作品は散見されましたが,この作品ほど笑いの濃い作品は滅多に出会えるものではありません.特撮やFlashアニメなど,今後はアニメに近いが異なる媒体で展開される笑いにも注目していく必要がありそうです.

<ツッコミ部門>
己のペースを見失わず,放っておけばぐだぐだになっていく世界を叱ることで引き締めるスパイスとなる,優れたツッコミベスト3.彼ら,彼女らの献身のおかげで作品は無事に進行していきますが…そこに不運や悲劇的雰囲気が同時に漂うのはなぜだろう(苦笑).

 1.志村新八(銀魂)
 2.キクチ(鉄子の旅)
 3.千秋真一(のだめカンタービレ)

引き続き首位となるのはやはり新八(銀魂).前回の時点でも十分完成されたツッコミぶりではありましたが,前年は更なる進化を遂げました…たぶん中の人が素で笑いながらツッコんでる(笑)! あまりの愉快ぶりに笑わずにアフレコすることすら難しいこの作品に無理に逆らわず…というか逆らえないままで,それでもツッコむというプロ根性が素晴らしい.状況も内容も回を重ねるごとに深化するじゃじゃ馬作品ではありますが,この先もどこまでも切れ味鋭いツッコミぶりを披露していってもらいたい…可能ならば4月以降も!
2位はあまりにも凶悪な鉄オタ・横見さんに必死に抵抗する真面目なマンガ家キクチさんを.CSのため露出度の小さい「鉄子の旅」でしたが,今時珍しいボケとツッコミがちゃんと揃ったスタンダードなコント作品で,保守的な緩い笑いに飢えている視聴者にはお勧めです(笑).3位は昨年のアニメ界を代表するツッコミとして千秋様を.彼も凶悪なボケに必死で抵抗するスタンダードなツッコミですね.…性別の違うボケとツッコミ,夫婦漫才と言われるスタイルですが,その2人の間に愛情が生まれるかどうかは別の話なんだろうなぁ.
4位以降は…1名除き暴力の中でツッコむ少年たちが並びます(苦笑).普段は大変に優秀なツッコミとして機能しているツナ(家庭教師ヒットマンREBORN),師匠という暴力ボケに対してはツッコミに回るものの同格の相手にはいいボケとしても機能していた白浜兼一(史上最強の弟子ケンイチ),暴力ボケに巻き込まれて終始気の毒だった犬塚孝士(すもももももも)と桂木弥子(魔人探偵脳噛ネウロ)…ツッコミの道は厳しいなぁ.

<ボケ作品部門>
キャラレベルではなく作品そのものがおかしくなってしまい,ひたすらにボケ続けた作品について特に表彰します…今期は凄いのが来てますよ(笑)! 常識的な世界の中で固定キャラがボケるのがコメディ寄りのギャグ作品ですが,世界そのものが大ボケするギャグ作品も「バカボン」などから繋がる1つの本流.ツッコミなしに大暴走するこの手の作品を楽しむには,視聴者側が積極的に作品を楽しむ姿勢が不可欠.決して後ろに引かず,前のめりに乗ってお楽しみください!

 1.カブトボーグV×V
 2.Shining Tears X Wind
 3.もえたん

首位には大和屋氏渾身のギャグ作品「カブトボーグ」を! 自分はCSの一挙放送でフォローしたんですが…いやぁ,この作品は凄かった! 大和屋氏の人脈をフル活用して集めたと思われる超絶脚本家の皆様方の縦横無尽の大暴れに,そんなこと知ったこっちゃねえとばかりに勝手に暴走する御大師匠…そんな暴走機関車の前にレールを敷き続けた大和屋氏のシリーズ構成としての手腕はもっと高く評価されるべき…というか,これ大和屋氏じゃなきゃ無理(笑).毎回超展開,毎回ぶん投げ,地上波では確実に不可能なギャグの極北を突っ走った力量をともかく褒めたい.お前ら偉い!
次点はたった1クールで視聴者を笑いのめしてくれた「Shining Tears X Wind」を.かの「マイネリーベ」「マージナルプリンス」の正統後継作とも言える凶悪なギャグっぷりで視聴者をビビらせてくれました.原作の最高の強みが強引展開と登場人物のうかつさにあると看破した作り手の判断力は正しかった.さすがまさきひろ! 3位はエロギャグで気持ちよく突き抜けた「もえたん」を.さすが息するように服を脱がせる長谷見沙貴(笑).作品そのものの面白さ以上に,あの原作をよくアニメ化したなぁという驚きの分も加点してあります.「ToLOVEる」も期待してますよ!
4位以降,原作から外れて迷走するわパロディに爆走するわと大活躍だった「ハヤテのごとく!」,ギャグ回の完成度が必要以上に高すぎる「銀魂」.高品質の映像と熱い悪乗りっぷりが眩しかった秀作「瀬戸の花嫁」,バラエティ形式で原作未プレイ者でもなかなか楽しめた「Master of Epic」,15分に短縮されたものの笑いのエッセンスはなおも健在の「マイメロすっきり」,中盤から復調し見事大団円に落ち着いた「パワパフガールズZ」,そして再現の難しい原作由来の面白さを見事映像化できている「BAMBOO BLADE」!

<ボケキャラ部門>
ギャグ作品では全ての要となるボケ.笑いのためなら人間の尊厳なんか全て捧げる殉教者たちの中でも輝きまくった面子をピックアップ.やや物足りなかった前回に比べ,今回のこの部門は豊作です! …本賞の趣旨からすると首位だけはおかしなことになってしまいましたがどうぞご勘弁ください(苦笑).

 1.天野河リュウセイ以下登場人物全員(カブトボーグ)
 2.西園寺春人(Shining Tears X Wind)
 3.糸色望(さよなら絶望先生)

ギャグアニメ業界としてはカブトボーグイヤーとなった2007年を代表するボケはもちろん「カブトボーグ」から選びたいわけですが…あの凄まじいボケの嵐からたった一人を選ぶなんてこと,自分にはできない(苦笑)! 筆頭はもちろん天野河リュウセイ選手なんだけど,それ以外の連中も全員どうかしてました.あれだけのタレントを集めたギャグは正直「ボーボボ」くらいしか思いつかない.ここまで凄い作品はそう滅多に出会えないと思います.
次点はこれも作中の登場人物がボケまくっていた「Shining Tears X Wind」より西園寺春人こと生徒会長を.この作品もツッコミ不在で登場人物全員がとことん視聴者を悩ませてくれましたが,特に最後の最後までわけわからんかったなぁこの人は….3位は2007年を代表するボケキャラとして絶望先生を.作中では生徒たちのボケにツッコミ入れている場面の方が多いんですが,陶酔しながら絶望しているところは明らかにボケだもんなぁあの人.
4位以下は迷惑な鉄オタの横見さん(鉄子の旅),自転車でトリップし妙なことになっていた篠崎ミコト(OverDrive),基本はボケなんだけど案外と状況がわかっているのが逆にいじらしかった九頭竜もも子(すもももももも),そのボケっぷりが全てを救った武藤カズキ(武装錬金),ここまでは好き放題にボケてこれたものの,今年の役回りを考えると先が不安な古代剣竜(古代王者恐竜キング),ちゃんと最後まで殴りきった!大門大(デジモンセイバーズ)…このあたりまでが主役系の力強いボケですね.
そして今年目立っていたもう1つのボケ系列が,L.A(エル・カザド)を代表とする無知,精神的未熟な陰性のボケ.守東由美子(桃華月憚)やクルツ(Saint October)もそうですね.同じ作家で似たようなキャラクターでも,ソラ(大江戸ロケット)が陽性,ニア(天元突破グレンラガン)が陰性に見えるのはラストのせいだろうなぁ.

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2007年のギャグアニメ界は,作品そのものがボケ倒すという2006年からのトレンドがついに「カブトボーグ」あるいは「Kawaii! JeNny」という形で極地へと到達しました(笑).特に「カブトボーグ」の極めっぷりは凄まじく,通常のアニメの歴史には残れないでしょうがギャグアニメとしては決して素通りできない怪作となったことは間違いありません.惜しいのはこれが地上波のキッズ枠ではなかったこと.やっちゃいけないところでこのレベルで頑張れたなら「ボーボボ」並みの評価もできたんだけど…その点では夕方地上波でやりたい放題の「銀魂」の方が凄かったかも(苦笑).
笑いのために作りこまれたギャグ作品は今年も健闘.前回健闘した低頭身キャラによるギャグが低調となったかわりに,萌え+オタ+ギャグの3本柱で立つ高品質ギャグは大変に好調.「もえたん」「ハヤテのごとく!」「瀬戸の花嫁」「絶望先生」の4作はどれも楽しかった.オタネタの多用は視聴者を選ぶのでそこそこ自重するべきですが,特に後ろ3作は濃いオタでない視聴者が見てもそれなりに面白い作品に仕上がっている普遍性がとても偉かった.
今年の特筆すべき傾向として,無知な陰性ボケの台頭を取り上げておきたい.愚かで強く明るく楽しいのが正しいボケ像なんだけれど,無知で未成熟というキャラクターの特徴を強く押し出すために一見ボケとしか見えない行動を取らせるという手法がシリアスベースの作品で散見されました.こういうボケは幼児性ゆえの残虐さを伴うことも多く,単純に笑わせてくれるだけのキャラではないのが特徴.笑いと恐怖は紙一重というセオリーを生かしているキャラたちです.

2007年は,一時的に手薄になっていたより多くの視聴者層にアピールできる一般性の高いギャグ作品が画面に戻ってきた年でした.「銀魂」「ハヤテのごとく!」「瀬戸の花嫁」などの作品はギャグだけでない魅力もふんだんに盛り込み,しかも単純にギャグとして見てもレベルの高い作品であったところが素晴らしかった.確かに作品としてボケを極める方向性もあることはあるんだけれど,「カブトボーグ」を越えるほどに尖るのはもう相当難しい気がするからなぁ….御大や大和屋氏以外の脚本家の台頭も見えてきているので,今年はより一層凄いギャグが増えることを期待したい.

てなわけで皆様,今年もよろしく!

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