2008年2~3月終了アニメ雑感・1
ついに年度末ということで業務よりも事務作業に追われがちな昨今,皆様いかがお過ごしですか? 自分はつい先日,下田に研修と言う名の社員旅行に行って参りました! なぜかこんな時期に(笑)! 昼は熱海の街を駆け回り,夜は旅館貸切で大騒ぎ.翌日にはヘリまで飛んだという…自分は乗れなかったけど(苦笑)凄く珍しい体験をさせて頂きました.
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今回短評を出した作品は以下の通り.
- [終了短評]
- 結界師
- 破天荒遊戯
- 墓場鬼太郎
- オーバン・スターレーサーズ
- 狼と香辛料
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[終了短評] ※私見:一般:電波で各5点ずつ
3:3:2 結界師
マニア人気はともかく一般的な知名度がまったくない状態でゴールデンタイムに連れて行かれて,やっぱり合わなくて深夜に追われて,しかも終盤は2話放映というハイペースで…それでも最後まで見届けることができた関東は恵まれていたんだろうなぁ.時間帯変更後も品質は良い意味でも悪い意味でもブレがなく安定.限亡き後の良守の戦いが黒芒楼の崩壊まで描かれました.終盤のアクションシーン,特に火黒戦での作画のノリっぷりは素晴らしかった! 原作はまだまだ続いてるのに,アニメだけは凄く打ち切りマンガっぽい終了だ….
全体としては作り手が大変に手堅く誠実でまともで…同時期のサンライズの他の作品に比べても,どうしようもなく地味だったんだよなぁ(苦笑).終盤はシリアスなバトルが中心となったためコメディ味は薄れたけれど,ひとつの結末に到達し物語を一応畳めたことは褒めたい.原作ファンにはそれなりに満足が行き,骨太な作品を求める視聴者の期待にも応える佳作.放映中に色々あったことも含めてなかなか面白かったです.
3+:2+:4 破天荒遊戯
全体的にユルい高木監督とひたすら饒舌に語る今川氏の個性の融合の賜物.大風呂敷を広げると畳むのに失敗するという悪癖を持つ今川氏の個性が,萌えアニメで変な風に磨かれた監督のユルさでうまく薄められた印象です.もちろん「バーテンダー」のような基本一話完結型だから氏は上手にこなしただろうけど,強烈で調子っぱずれなギャグを捨てずにむしろ持ち上げたのは,監督の目のつけどころの間違いぶりの方の賜物ではないかと思います.
融合が進むにつれて話が面白くなっていくので,特に中盤以降は尻上がりに面白い! 主役格の出自が伏せられていることすらも無理を承知のヒキであり,無理さを楽しむギャグであったことがわかる最終回は圧巻でした(笑).終わりは名残惜しいほどの出来だったので,その分唐突な余計立ち上げでもたついたのが勿体なかった.主役3人ともいい感じにキャラが立ったし気に入ったし,まだまだ旅を続けられそうな終わり方でもあったのでぜひとも続編を! 面白かったです.
4:4-:4 墓場鬼太郎
今期の作品でも完成度の高さと人を食う超展開なら随一の秀作! 見る目のある大人の目に触れる時間帯で,全国ネットで,知名度のある原作であの品質…ならば当たらないわけもないわけで(笑).そういう意味では大成功が前提であった作品を,プレッシャーに負けず見事にそのようにした作り手の胆力をまず褒めたい.貸本由来の壮絶な(笑)展開を,視聴者に変に迎合することなく貫き通した尖りっぷりが素晴らしかった!
原作は現代から見れば古いけれど,水木先生の作暦からすれば新人の描いたエッジな作品.若さ漲る奔放な原作を時代を超えて老練な老舗である東映ががっつりと包み込み,余裕たっぷりにアニメにしてみせたという印象を強く受けました.確かに原作不足の昨今ではありますが,巨匠の過去作品にはまだまだ金鉱が眠っているはず.ただし今回その金鉱に手をつけることが許されたのは,巨匠とともに歩んだ会社であったから…ということは決して忘れてはならないでしょう.
人間の隣人となったゲゲゲの鬼太郎に比べ,墓場鬼太郎の目線は強烈に辛辣でクール.人間なんかどうでもよく,ただし可愛ければ話は別,しかも正義もわきまえず,心正しきものでもない…理性やら常識やらを剥がした厭世人の真骨頂はシリーズ中盤.「じゃあ」一言で恩人を見捨てる悪さには心が震えました(笑)! 立ち上がりはやや不安定だったものの中盤以降は完全に安定したので,大人にはぜひお薦めしたい.面白かったです!
3:2+:2+ オーバン・スターレーサーズ
宇宙を賭けたレースを巡る,一つの家族と…一人の気の毒な男の物語(笑).海外原作ではあるもののメインスタッフは日本人.キャラ造形にはちょっと癖があったけれど十分日本人が見ても面白い作品にはなっていたので,現状の注目度の低さがちょっと気の毒.この作品の主戦場はヨーロッパなのだろうから,そっちで当たればいいのだろうけれど…このどうしても地味な作品,当たるだろうか(苦笑)?
父と反目する少女が,レースの中やら外やらで味わう様々なことで成長していくというオーソドックスな筋立て.しかしレースの内容は本質的に物語に影響がなく,一番成長してたのは主役のモリーよりもその親であるドン・ウェイだったし,最終的に世界を救ったのも例の気の毒な男であったりするというお約束の外しっぷりは…作品全体としてはやっぱり一般受けしにくいんじゃないかなぁと思うので2+.それでも映像的には健全な方向で頑張っているので,ハルフィルムファンには特にお勧め.面白かったです.
4:3:2 狼と香辛料
今期中の秀作その2.しかし知名度も注ぎ込まれたリソースも「墓場鬼太郎」に比べれば段違いに小さかったはずなので,そんな厳しい状況でも見事な作品を作り上げた作り手のマネジメントの力量を褒めたい.普通なら確実に破綻する海外原画でここまで高いレベルの作品を作り上げることができた最大の要因は,商売という地味なテーマゆえに見せ場が少ないという原作の特色を積極的に逆手に取り,見せるべき部分以外はは極力演出で補い,息切れしつつも映像の質を守りきったことにあります.メリハリを考えた作り方で成功としては「アカギ」に次ぐかもしれない.
商売という至極真面目なテーマゆえに,普通なら萌えの燃料として消費されて終わるホロの裸がなんだか神々しく見えてみたり,肉体的にも精神的にも本当に脆弱なロレンスが自然にヒロイン化していったりと見所たっぷり(苦笑).普通の,あるいはちょっと古い作品ならばアクティブな女性の強さを示すために職業が使われたもんですが,本作の場合はごく限られた分野にしか強味を持たない,逆に言えば弱い男性を引き立たせるために職業が使われている節があり…そりゃ声も福山氏でぴったりなはずで(苦笑).
短期シリーズな分一般を割り引いて3ですが,裸さえなんとかすれば(笑)一般向けの時間帯でも十分に通用する秀作.人物作画,特に女性は常に平均以上の頑張りを見せていましたが,ホロの本性である巨大狼描写はやや物足りない部分も残ったので次シリーズがあればそこにも気合を入れてくれるとさらに評価が上がる気がします…ロレンス君やおっさんたちはこのままでいいや(苦笑).ぜひDVDを販売するという商売にも成功し,次期に繋げていただきたい.面白かったです!
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3月期なので大物も.当然ながら続きます.
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