古代王者恐竜キング 翼竜伝説#16
錯覚の父は敵ですか?
リュウタたちは八岐大蛇の勾玉が眠るという滝の裏側の洞窟に入るが,宝玉をリュウタたちに取られたくない家康は隙あらば出し抜こうとする.洞窟内では謎の悲鳴が時折響き,マルムはつい父に似ている家康にすがってしまう.我に返ったマルムは恥ずかしさから家康に紛らわしいと暴言を吐き,またも険悪になりそうなマルムと家康の関係をリュウタの唐突な行動が救った.
宝玉を探して進むリュウタたちは,先程の謎の悲鳴の主と洞窟の中で合流する.それは熊に追われて洞窟を逃げ回っていたウサラパたちだった.ウサラパたちはティラノを使って熊をボルケーノバーストで攻撃し,その衝撃で洞窟が崩れてマルムと家康と子熊が埋まってしまう.リュウタたちは協力してマルムたちを救い出そうとするのだが,エースは勝手に洞窟の奥に向かっていった.
3度繰り返してパターンを視聴者に叩き込んだところで,今度はそのパターン崩しを喜々として始める「恐竜キング」.面倒なお約束をおおよそ片付け終わった後の緩やかなパターン崩しの時期こそが,低年齢向けの作品が最も脂の乗る時期です.クライマックス間際になるとサンライズ作品は物語を真面目に語ることで手一杯になるので(笑)作品を代表するような「娯楽」回はこのくらいの時期から生まれることが多いんだけど…今回はマルムさんの父恋しさゆえのシリアスでちょっと勿体ないかも.
脚本前川淳,作画監督高橋晃・和田喜彰,絵コンテ演出工藤寛顕のおなじみダブ回.作画はまあまあ安定してますが,抜群に優れているとは言いにくいのが珍しい.…折角の工藤氏なんだから超激しいギャグ回を当ててあげればいいのに! 正直勿体ないぞ(苦笑)! 恐竜図鑑は次回登場のトゥオジャンゴサウルスの紹介です.
前半.前回ラスト,崖登り中にムカデに驚いたリュウタは滝壺へと落下! ついでに家康もムカデにビビって滝壺に落下…ヒキの危機が冒頭でパワーアップしてる(笑).でも所詮はヒキの危機なので,リュウタは溺れる家康を救い,ついでに水中に滝の裏側へと繋がる穴を発見しました.…先の見えない水中の穴に入るのと崖登りを比べると,崖登りの方が安全なのでは(苦笑).でも折角見つけたものを使わないのは勿体ないので,リュウタたちはこれを使って滝の裏側にある空間に入ります.
家康を連れてやってきた滝の裏側.ここにコスモストーンがあるはずなので,早速泳げないと言っていた家康がすいすいと古式泳法で出し抜きはじめました(笑).素潜りが苦手なだけで泳ぎは得意…デブだから潜りにくいとかそういうの? 隙あらばコスモストーンを独り占めしたいと考える家康は,二股の道で「こっちなも」と指し示す方と違う方に行ってみたりと実に厄介な狸オヤジぶり.しかも実は…というのは後で明かされます.
さて,リュウタたちと同じ洞窟をそれと知らずに彷徨っているウサラパたち.クマが怖くて逃げている最中に転がり落ちて入ってしまったわけですが,ペンライトの光の中には凄く見覚えのある可愛い子熊が.…もちろんクマの丹下ちゃんの子.背後に凄まじいプレッシャーとともにで丹下ちゃんにがーっと襲いかかられて悲鳴を上げるウサラパたち! 遠くでその声に脅えたマルムさんは,「何,パパ!」と家康に抱きついてしまいます.
うっかり自分の父と間違えて,照れ隠しに「紛らわしいんだから,あっち行ってよ」と典型的なデレツン態度のマルムさん.その無礼っぷりに家康が怒り,またも険悪になる2人の間で突如意味もなく山猿の真似をはじめるリュウタが…よくわからない(苦笑).当然ながらマルムさんの怒りはリュウタに向けられて家康との激突は避けられるものの,リュウタにわざと道化になって怒りを逸らすような頭なんか絶対にないはずで(苦笑).恐らく天然でおどけたのがうまく転がっただけ,なんだろうなぁ.
さてその頃の竜野医師の動向なんですが,城で「三方原で戦いはしません!」と必死で拒否中.武田の軍が徳川領を通り過ぎるのを黙って見ていたら当然家名に傷がつく.しかし竜野医師はこの戦いに家康側が惨敗するのを知っている…当然ながら負け戦なんて危ないところに行きたくない彼は必死で拒否するんだけれど,無理にでも家康を戦場に連れ出したい周囲にさっさと鎧を着せられてしまい「ええええー!」…拒否権なんて最初からなかったのです.
舞台は戻ってちょっとずれ,先に洞窟内に入ったウサラパたちはクマの丹下ちゃん一家と未だ追いかけっこ中.習慣でつい謝ってしまうけど,今回はウサラパたちはまだ何もしてない…けれどクマが許してくれるわけもなく(笑).このあたりのドタバタはいかにも工藤氏の仕事って感じ.このままでは捕食されかねないので,ティラノを呼び出し追い払おうとするけれど…なぜかティラノがクマの後ろに出てしまい,追いかけられるのは変わらないというか余計に悪化.このまま次回も出し方を間違うんでしょうか(苦笑)?
洞窟の中を堂々巡りしていたリュウタたちは,頼りの家康に宝玉の場所を知らないと言い切られて愕然(笑)…としているところにやってくるのがウサラパたち.さっきの悲鳴がおばさんのものとわかってマルムさんはほっとしてますが,「誰がおばさんだってー!」とおばさんたちがマルムの方に逃げてきたからたまらない.「こっち来んな!」というリュウタの叫びが悲壮だなぁ(苦笑)!
アクト団とクマとティラノに追われて逃げるリュウタたち.ウサラパたちはバカなのでティラノがボルケーノバーストを発動.一応技はクマを狙っていたもののクマは見事にこれを避け,灼熱の砲弾はその先にいたマルムさんと家康の方に! マルムは「パパ!」と叫んで家康を押し倒してなんとか回避….恐竜相手やギャグ世界の重任ならばともかく,普通の相手に向かって技を放つのはダメだろウサラパ.ざまあみろとか喜んでる場合じゃないぞ.下手すると死んじゃうぞ!
ボルケーノバーストの衝撃で洞窟の天井が崩れて落下.マルムさんと家康,そして子熊が落石の中に閉じ込められてしまいます.リュウタたちはガブたちをでかくして瓦礫の撤去を開始.親熊の丹下ちゃんも当然救出に参加.ウサラパたちも反省して救出に勤しんでいたところで,いきなりエースが持ち場を放り出して洞窟のさらに奥へ.エースが呼ばれたレックスが見つけたのは…やっぱりコスモストーンだ!
後半.絶対負ける三方原にやってきた宿敵の武田菱! 騎馬隊相手の負け戦の将に据えられた竜野医師は激しくテンパり中.家康は負けるけれど死なないから「私はあんぜーん!…って,私は本物の家康じゃないじゃん!」 先の見えなさに本陣で狼狽し真っ青になって跳ね回る.「全然安全じゃないじゃーん!」とかやってるうちに戦の準備完了で,いざいざと迫られトイレにも行けず「しゅ,出陣じゃー!」と命令出しちゃった…タイムスリップものの王道とも言えるこのような展開は,歴史をよく知ってる大人が過去に来ないと実現できない展開だから凄く面白い!
一方の武田の陣では信玄が目にもの見せてやると泰然としているところに女忍者たちがやってくる.そこには妖術使いの「はさみ」も親方様の役に立つと連れてこられており,信玄は「はさみ」が気に入っております.ここで信玄に八岐大蛇の宝玉の話がはじめて伝えられ,しゃらくさいと言い切る信玄は宝玉を奪うように女忍者たちに命令.彼女たちはすぐさま例の山中に戻っていき…信玄は気づいてしまいます.本物の家康がまだ山中にいるならば,今徳川の陣にいる「家康」は一体誰だ?
本物の家康は未だ洞窟の中の瓦礫の中.レックスとエース以外は全員揃って家康とマルムと子熊の救出活動に勤しんでおります.親恋しさに鳴く小熊の姿を見て,「お前もパパに逢いたいのね…」と涙ぐむマルムさん.そんな弱弱しいマルムさんをはじめて見た家康は,マルムたちを鬼山の鬼か天狗の子だと思っていたと告白.…まあ,当時の人々から見れば,ザンジャークだけでなくリュウタたちだって妖怪に見えて当たり前なわけだしなぁ.
家康そっくりの父を含めた父母たちを悪い奴らにさらわれて,それを追いかけてここまで来たことを話すマルムさん…どこから来たかについては遠いところとしか答えようがないけれど.子どもが両親と引き離される辛さ寂しさは,幼い頃から母と生き別れるわ人質にされるわと散々な幼少期を過ごしてきた家康だからきっとよくわかるに違いない.父恋しさに「ちょっとの間だけ,こうしていていい?」と家康にすがるマルムさん.彼女の名を聞いた家康は,「けったいな名前だなも」と呟きます.
そんな家康を探している半蔵は,彼が目指すであろう場所へと一直線…どうやら家康に八岐大蛇の勾玉の話を吹き込んだのは彼のようです.ところがそんな半蔵をつけていたグーネンコに,洞窟の入り口に到着したところで不意打ちで殴り倒されてしまう! 一撃で気絶って,これは忍者の頭領としてはかなり恥ずかしいなぁ(苦笑).家康を探すのに夢中で気が回らなかったか,空を飛んで音もなく近づくというザンジャークの行動パターンが異常過ぎるのか…でもやっぱり恥ずかしいと思う.
洞窟ではついにマルムたちが無事に救出されまして…子熊が脱出したらすぐに例の追いかけっこが再開されるという悲劇が実にウサラパたちらしい(苦笑).全員無事が確認されたところでようやく戻ってきたレックスたち.仲間の救出を放り出して何していたのかと思ったら,宝玉を見つけて確保してきたのです! この発見に家康も喜ぶけれど,スケベオヤジのグーネンコが奪いにやってきてさあ大変.このままではまた取られてしまいます!
グーネンコがバリオニクスを出してきたのでレックスはエースで対抗.エースが頭突き,跳ね上げと攻撃を繋げるけれど,相手の身のこなしが軽すぎてダメージを与えることができません.逆にバリオニクスの技・フラッドストラップで水の流れに縛られ持ち上げられて地面に叩きつけられる! …これもアンカー系の技なんですね.リュウタたちもガブたちをでかくしてフォローに入るんだけど…宝玉は(笑)?
バリオニクスが吹っ飛ばされたのでグーネンコはジャークアーマーを装備,ならばとリュウタたちも揃ってディノテクト・オン! 結果として恐竜バトルは数でも力でもリュウタ側が圧倒的に有利.ただし大切なのは宝玉の確保で,レックスの隙を狙ったグーネンコが宝玉を奪いにきたのを,家康の叫びで気づいて間一髪で取り合いに…「嫌だ,絶対渡さない!」…と頑張って,リュウタにパスした!と思ったら「確かに受け取った!」と持っていったのは気絶から回復し洞窟に入っていた半蔵!「騙された!」
声真似でレックスを騙した半蔵は家康に宝玉を差し出します.その上でここにもう長居は無用と背を向けて屈み主君を背負おうとする半蔵.しかしマルムはそれでは困る! 「宝玉を返して! パパを助けるには,それが必要なの!」…さっき瓦礫の中で通じ合った相手からのお願いは果たして家康に通じるのか.さらにここで影武者は長く持たないと半蔵が報告したことでマルムさん驚愕.家康そっくりの大男と言えば!「パパだ…」
武田軍との合戦は既にスタート.影武者は長く持たないと半蔵に言われた家康は「あいわかったなも!」と即決.半蔵の背に乗ってこの場から離脱.マルムさんは状況と情報に大混乱して棒立ちに.そんな脅威の展開を完璧無視のマイペースすぎる主役のリュウタが,ガブにサンダードライバーを放たせる(笑)! 突進し突き上げ,さらに飛んで回転して落ち角で突き刺す! なんて天井高い洞窟なんだ(苦笑)!
恐竜カードは回収できたものの,家康たちもグーネンコも既にこの場にはいない.洞窟からは出られたものの完全に置いていかれたリュウタたちの状況は深刻.宝玉は家康が持っていってしまったし,竜野医師が影武者で大ピンチらしいし…そんな状況をまったくわかってないウサラパたちは相変わらずクマと追いかけっこしてますが,さらに眉間に十字傷のクマが登場してリュウタたちびっくり! でもどうせヒキだから大丈夫(笑)! 新しいパターンの登場にも思える,戦国時代編完結の次回に続きます.
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