古代王者恐竜キング 翼竜伝説#30
勢い任せに時を越え!
7つのコスモストーンはザンジャークのものとなり,ジャークベースはコスモストーンの融合によって生まれた黒い翼竜に飲み込まれた.このままではこの世界と歴史がビックバンによって消え去ってしまう.リュウタは事態にひどく打ちのめされ絶望するが,これまで見てきた歴史の中の人物たちや過去に滅びた恐竜たちも必死に生きて歴史を作ってきたことを思い出し,その積み重ねを無駄にはできないと決意する.
リュウタはディノライザーが黒いコスモストーンを跳ね返したことを思い出し,石板の力を使えばコスモストーンを封印できるのではないかと考える.黒い翼竜に恐竜たちが大技を放って穴を開け,そこにバックランド号を飛び込ませて核となっているコスモストーンを封印すればいいのだ.ノーピスの提案で石板のレプリカも作られて準備は整った.石板のレプリカでは恐竜をチビ恐竜に変えることはできなくなるため,リュウタたちは小さいガブたちと遊び,二度と会えない姿との別れを惜しむのだった.
1年の旅が終わったあとでさらに続いた旅もここで終幕.色々詰め込みながら物語を閉じていく「恐竜キング」.1年以上の長きに渡って放映を続けられた時点で作品全体の評価は決まったようなもんですが,このシリーズ単体の評価はどうしても前シリーズには劣るかな.あの美しい定型ループを捨てて続きものにしたこと自体は悪くはなかったけれど,レギュラーキャラがどうしても多い上にゲストも短期で入れ替わるというのはあまりに目まぐるしすぎたと思います.そのキャラの多さに煽りを食ってしまったのがザンジャーク側の3人組で,前シリーズのアクト団と同じくもっと可能性があったはずなのに非常に勿体なかったなあ.
最終回は脚本平野靖士,演出池野昭二,絵コンテ谷田部勝義,作画監督鈴木幸江・平岡正幸の中村プロ回.このシリーズを代表するスタッフが揃ってシリーズの終わり…というかノーピスの大暴れを描きます(笑).EDはサイカ尻尾立ち,スピノ逆立ち,作画的にはベストとは言えないものの,急ぎ足で説明が勢いまかせでも(苦笑)それなりにちゃんと完結していくのが気持ちいい.個人的には途中から目当ての菱田監督が抜けてしまったのが痛かったけれど,それでも最後まで感想を完走できるくらいには面白かった!
前半.コスモストーン7つが融合し,そこから闇の翼竜が生まれてしまいました.リュウタたちの方は瓦礫に飲み込まれたソーノイダもタルボーンヌに救われたので無事.さらにノーピスまで部下のゲルジャークに救われてますね.黒い翼竜のエネルギーを受けたザンジャーク配下の強化恐竜たちは暴走して街を破壊…最終回なので今回でなんとかしなきゃならないのに,もうダメだと主役のリュウタが弱音を吐きはじめます.ここまでの2クールと半分の努力は前回ラストで水の泡となり,コスモストーンは取られるし両親は助けられないしで「俺たち,もう,何をしても無駄だ」…これまでにない打ちのめされぶりです.
翼竜がコスモストーンが1つになると宇宙が元に戻ると言っていたのは,コスモストーンが宇宙を収縮させてビックバンを起こす物質だからなのかもしれないという予測.ビックバンは宇宙のはじまりではありますが,その後生まれる宇宙はこの宇宙とは別物.つまりこの宇宙が全リセットされることを示します.その危機を止めねばならない事態にタルボーンヌがオーバーヒートで意識を失ったのは痛い.基本的に戦力にならないソーノイダよりもタルボーンヌの方が大切だと思うんですが(笑)そんなソーノイダでもウサラパたちにとっては育ての親で,無事に生きていてよかったね.…このシリアスな状況でもウサラパの鼻水を食わされて汚い!汚い!とか,ギャグは健在なのが本作らしいなぁ.
未だに恐竜王国で恐竜キングになるという野望を抱き続けるソーノイダ.作品タイトルの扱いがひどすぎるのも本作の愉快な特徴ですが,主役こそがタイトルを体現するものであるならば主役って実はソーノイダ…のわけないか(笑).歴史をつくるんじゃぞい!と大暴れするソーノイダの言葉から唐突にリュウタが「歴史を,作る?」と悟りモードに突入.古代博士は歴史を作るのはお前だと言っていた.これまでの努力は全て未来を守るためのものであり…それと同時にこれまで訪れてきた過去と現在を守ることでもありました.出会いの過去も絶滅の過去も良し悪し全部ひっくるめてリュウタたちは守ってきたのです.
結果としてコスモストーンは全て取られてしまったけれど,ここまで戦ってきたのもまた1つの歴史.リュウタはガブと戯れつつ,「歴史を止めちゃいけないんだ」と語ります.時間の旅の中で出会った人々は皆懸命に生きていた.その積み重ねの結果が歴史となって,今リュウタたちがここにいる…「みんな歴史を繋げてきたんだ!」 恐竜絶滅すらも自分たちへの歴史のバトンタッチと考えて,努力と偶然の積み重ねで生まれた長い1つの歴史の大切さを改めて噛み締め,「ここで俺たちが諦めたら,その歴史が終わってしまう!」と思いなおします.諦めず歴史を未来に繋げることは,現在を生きる者の義務なのです…普段のリュウタならこの短時間でここまで一気に悟らないだろうけれど,クライマックス補正は凄いなぁ(苦笑).
そしてクライマックス補正の猛威はまだ続きます.リュウタが唐突に思い出したのはディノライザーとコスモストーンの反発.中に入ってる石板のかけらが黒いコスモストーンを跳ね返していたことから,石板を使えばコスモストーンを封じることができるかもしれない…という予測に達するわけですが,その反発シーンがあまりに地味で…よくリュウタはこんな描写に気がついたなぁ(苦笑).とはいえこれは危機から脱するためのたった1つの方法.ぜひとも実現したいけれどコスモストーンは黒い翼竜の核になっている.そこにどうやって近づけばいいのやら….
ソーノイダは恐竜を総動員して技を放って黒い翼竜に穴を開けようと力押しを提案.とはいえソーノイダの恐竜の技に関する実績だけは信頼できるものなので,メイン恐竜の合体技ならば穴くらいは実際に開けられるのでしょう…けれどレックスはこの計画は無理と言う.石板を使ってコスモストーンを封印するのに,どうやって船の外で恐竜たちに技を出させる? …この部分説明不足で誤解しやすいところなんですが,そもそもバックランド号の動力が石板なのでこういう話になっているのです.石板使って穴開けたらさっさと船に戻って黒い翼竜の中に突入して封印ってのは初速の問題でできないってことか.…いや,自分も一瞬わけがわからなくなったけど…(笑).
ここでノーピスが唐突に「石盤のコピーを使って,技を使えばいい」とリュウタたちに混ざってきやがりました.前シリーズで石板のコピーを作った彼はそのデータもあるからと…まさか最終回のAパートで正義に寝返るとは思わなかったぞノーピス.お前どんだけ節操がないんだ(苦笑)! そりゃ今更信用しろと言われたって無理に決まっているわけですが,ノーピス自身はこのまま背景となることだけは絶対に避けたいらしい.そしてクライマックス補正のために直感が冴えまくるリュウタは,前シリーズのラスボスを「うん」と受け入れてしまう…補正が激しすぎて笑えてくるぞ(笑)!
てなわけでバックランド号とジュラサンを再起動させ,ソーノイダが石盤のコピーを作製して準備は完了.タルボーンヌの修理は後回しにされてるみたいですね.ここでノーピスはリュウタたちに1つ警告.石板の力でコスモストーンを破壊すると,石板も消えてなくなるので恐竜たちをチビ恐竜には戻せなくなる.可愛い友達の姿とはここでお別れなので…皆で最後に一遊び.作品の顔であった素晴らしく可愛らしい相棒に別れを告げます.小さい恐竜と離れがたいのはリュウタたちだけでなくアクト団も一緒.それでも別れの時はすぐにやってくる.「ガブ…お前のその姿,忘れない」と決意してチビ恐竜たち全てをカードに戻して本物の石板とお別れ.後はコピー石板を使って「作戦開始だ!」
後半.作戦の通りバックランド号は黒い翼竜に向けて発進.リュウタたちは甲板で恐竜を成体化させてディノテクト・オン,6体揃っての必殺技同時合体攻撃で翼竜の体に穴を開け,そこにバックランド号を突入させる.闇の翼竜の内部では例の気持ちの悪いボレロとともにザンジャークたちが登場…するんだけれどサイズも動き方もおかしなことに.どうやら暴走する力の影響で実体を失ったような状態で,リュウタがコスモストーンは宇宙を滅ぼすと説得したって聞く耳なし.力に飲み込まれた愚か者たちは黒い力は宇宙を征服する力と考え,もう最終回のBパートだってのに強化恐竜をバックランド号に差し向けてきやがるのです.
黒い力を受けている強化恐竜の技によってスピノとサイカがあっさり消され,更なる攻撃がバックランド号を襲う.それを防いでくれたのはバックランド号を飲み込むように出現した光の翼竜! 光の翼竜だけで闇の力を突破するのは難しそうだから,前に激突したときにバックランド号に吸収され,突入に便乗してここまでついてきたのかな? この土壇場で体を張った光の翼竜は未来をあなたたちに託しますと宣言.ここまで不親切で口しか出さない上に文句垂れだった翼竜が,ついにやる気になりました! その本気がもっと早くからあればこんなことには(苦笑)!
光の翼竜の加護を受けたパラパラとエースは敵を消し,ティラノは貫禄を見せてギガスと相打ちに.アパトサウルスも同時攻撃によって一気に潰し…恐竜が消えた先にはザンジャークの母艦,ジャークベースが見えてきた! 中には当然両親たちがいるのでリュウタはドッキングを指示.徹頭徹尾どこまでも,世界の危機に瀕しても子どもたちはコスモストーンよりも両親を最優先.さすがにソーノイダはコスモストーンを優先しようとしてますが,「捕われたままの恐竜もたくさんいますよ」というノーピスの一言でいきなり陥落(笑).お前どんだけ操られやすいんだ….
ジャークベース内に持っていかれた古代家には人影はなし.両親たちはザンジャーク達が放置したジャークベースのブリッジに上がっていたので,親子はそこでようやく再会! 2クールと半分,視聴者的には短いようで,しかし当人たちには無限のように長い時間だったに違いない.特にレックスは生みの親との再会直後にこの始末だったから…逆にリュウタたちよりは楽だったのかもしれないな(笑).後は黒い翼竜をなんとかすれば全てが終わるわけですが,なぜかジュラさんがジャークベースのブリッジで発進準備を開始.石板の積まれたバックランド号にはノーピス一人が残って勝手に発進してしまったという最後の裏切り!
「コスモストーンの処理は,私に任せろ」と唐突にリュウタたちを裏切って,自分のやったことの責任を取る…という名目でおいしいところを全部持って行こうとするノーピス.そんな裏切り者の前にジャークたちが立ちはだかるけれど勝手なノーピスは完全無視.リュウタが言ったとおり,世界は歴史のつながりでできていて,ノーピスはそれを無視して進化を進めようとした.「その結果が,これだ」なので「だから,このオレが落とし前をつける!」…唐突に裏切って悟ってチンピラ化.一体彼に何が起きたのか,視聴者にもリュウタたちにも恐らくはノーピス自身にもさっぱりわからない(笑)!
とはいえ主役としてはこんなわけのわからない状況で人死になんて出すわけにはいかない.「死んじゃだめだー!とリュウタが絶叫し,それに答えるように光の翼竜がノーピスの乗ったバックランド号を包んで…核に突入し石板ははじけ,翼竜の姿の闇は消し飛ぶ! …なんか最後の最後で不思議な展開となったものの(笑)これで世界と宇宙の脅威は去り,両親たちも戻った.さらに洋上には特攻をかけたバックランド号が墜落し,無残な姿を晒しているものの中のノーピスは生きていました! …キッズ向けとしてはここで死者を出すわけにはいかないし,それ以上にここで死なれてしまうと主役の面目が(苦笑).
洋上のバックランド号の上.でかいガブたちにジャークベースから救い出した恐竜たち,そしてリュウタたち両親たち関係者たちが混じってようやく得た休息と自由を満喫します.これぞ恐竜王国だとソーノイダは大喜び.こんな牧歌的なユートピアには恐竜の強化とか技とかまったく無関係.そんな無関係なところに優れた才能を持ってしまった上に無関係と気づけなかったことが,本作の裏の主役であったソーノイダの悲劇なのかもしれないけれど…たぶん気のせいです(笑).相変わらずオーエン博士はこの状況でもウサラパに執着しており,育ての息子であるレックスはやっぱり非常に恥ずかしい.
ちなみにあの激突で死ねなかったノーピスはこん睡状態でゲルジャークが傍についてます.本当は死ぬ気であったに違いないノーピスとしてはのこのこ起きても合わせる顔がないはずなので,当人にとってもこれでいいのかもしれないな….前シリーズも含めて様々なキャラ勢ぞろいのユートピアの中,白い翼竜も飛んでいるけれど光の翼竜とは別だよな(笑)? これまでリュウタたちも散々世話になってきた石板は,コスモストーンの落下に反発する地球の生命力と絶滅への道を辿る恐竜たちの力が具象化したものではないかという推測の上,「リュウタたちが聞いた声は,地球の声でもあったんだ」と事態を適当にまとめる古代博士.…その石板の意志が形を持ったのが光の翼竜だった…のだろうか? よくわからないや.
洋上のバックランド号の上に作られたつかの間のユートピア.そこには恐竜たちがいてリュウタたちもいて,家族のためのおいしい料理もあって…カレーとか絶品チャーハンはともかくストロベリー味は大丈夫か(笑)? …ともかくそんな理想郷はやっぱり不自然.時代の違う者たちはやはり元に戻らねばなりません.今回はジャークベースから修復光線を発射して,まだまだ遊び足りないソーノイダもタルボーンヌが叱って大人しくさせます…帰ったら引退しなさいとという言葉にはもう逆らえないだろうなぁ.オーエン博士の熱烈ぶりにはウサラパも心動かされるけれど結局は「無理!」と断られて失恋確定.それに比べてノラッティ~のミーのこと忘れないでね!くらいは可愛いお願いなのでリアスさんも受け入れてくれるのでした.
こうして訪れた本当のお別れ! ジャークベースのエンジンはあと1回の航海でダメになる.バックランド号はすでにすっかり壊れているから,レックスたちがこの時代に戻ってくることはできないのです.この時代のDキッズは一人減ってしまうことになりますが,「いや,僕はどこにいても,Dキッズの一員さ,未来で,Dキッズの支部を造るよ!」とさわやかにバトンを未来に繋ぎます…レックス役の声優・水口さんにとっては,この仕事は非常に思い出深い仕事となったに違いないので,ぜひこっちのバトンも未来へと繋げていって欲しいものです.
最後の最後でDキッズに入りたくなるウサラパたち.けれどDキッズは子ども限定グループなので,ウサラパやらソーノイダやらはそれぞれの世代でDなんとかを作って頑張ってください(笑).竜野医師はソーノイダに例の注射器を名残惜しそうに手渡して,そしてお別れ! 過去でも未来でもいつまでも皆仲間だから…バイバイ,恐竜たち,「バイバイ,レックス!」 そしてジャークベースは夕焼けの向こうへと消えていき,もう戻ってはこないのでした…だがしかし! 宇宙の果てをさ迷うザンジャークは覚えてらっしゃい!とか言ってるし,石板の力で動いているわけでないジャークベースのエンジンは未来に戻れば再生や複製が可能な気もするので,恐らくそんなにしないうちにまた何かが起こり,レックスが助けを求めて恐竜たちとともにこの世界に戻ってきそうな気がします(苦笑).折角守った世界の未来には,終わりなんかないのです!
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