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2008年9月終了アニメ雑感・3

いやぁ多かった…今回で9月終了雑感も終わり.全体を通して見ると,付き合いが長くなってしまった「恐竜キング」を別格とすれば(笑)「夏目友人帳」「コードギアス」は文句なしに面白かった! ちょっと癖はあるもののかなり気に入っていたのは「恋姫無双」「モノクロームファクター」「スレイヤーズ」ってところかな.…これら作品だけでなく全体を通して見ても原作つき作品が圧倒的に多かったので,「コードギアス」の大健闘はその点からも褒められるべきだと思います.

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今回短評を出した作品は以下の通り.

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[終了短評] ※私見:一般:電波で各5点ずつ

4+:3+:1+ 夏目友人帳
原作ファンの高い期待にきっちり答えた秀作! 過剰なところはなくあくまでゆったりと,物語の嵐の中で視聴者を振り回すのではなく箱庭的ユートピアを雰囲気たっぷりに.とはいえアニメなので見せるべきところはがっちり動かして,泣かせるところは容赦なく泣かせて…という方向性はあの「ARIA」と基本的に同一.もちろん本作には「ARIA」ほど強いキャラはいないけれど,次期を今期以上に盛り上げていければもしかするとあの領域にまで到達できるのではないかと思わせる,そんな第1期になったことをファンとしては素直に喜びたい.
本作の場合,原作の物語は非常に上質なのでアニメ化で多少劣化しても大丈夫だったため,課題はあの絵柄の再現のみ.線が細く繊細で白い原作の絵柄はアニメとして動かすにはかなり難しかったはず.それをイメージを崩さぬ程度に立体化してきちんと動かせたんだから,全体として良い出来でないわけがない! 地味に見えながらも作画のレベルは相当高くて,メインキャラの中では破格に動かしやすい(笑)ニャンコ先生なんか,他を動かせない鬱憤を晴らすかのように回を重ねるごとに動きのキレが上がってましたからね,
形式的には1話完結であるものの,シリーズを貫く柱となっているのは人に対して非常に内気な主人公・夏目が友人帳を通じて妖だけでなく人にも近づいていく様.初回と最終回を見比べれば明らかに主人公が成長し,世慣れてきているのも微笑ましい.そんな夏目の成長の先に何があるのかは未だ原作でも語られていませんが,ぜひ今期とあわせ次期も作品的・商業的に成功してもらってその先の更なる続編に繋げてほしい! ずっと見ていたいと思わせる久しぶりの作品.面白かったです!

3:2:4- ネオ アンジェリーク Abyss
超絶気立ての良い少女であるアンジェリークさんが,設定的に凄くどっかで見たことがあるような青年たちに囲まれて世界を救う一大抒情詩.「ブラスレイター」「コードギアス」と同じく今期流行の自己犠牲エンドを迎えてしまうのはぶっちゃけフラグが立ちきらなかったから…と書いてしまうと他の2作が気の毒過ぎるな(笑).ともかくラストを除いて適度に好奇心旺盛で慎み深いアンジェは,青年たちの滅茶苦茶っぷりに比較すると女性視聴者が自分を重ねるにはちょうどいい程度に異常なキャラではないかと思います.
そして本作の花である美青年たちなんですが…気さくな博士やら闇に乗っ取られる貴族やら脱ぐ騎士やらロボットやらとバラエティ豊か.さらにそれぞれのキャラの世界を深めるための美青年キャラがくっついてくるという豪華な仕様です.キャラとしてはマルチを男にしてでかくしたらこんな感じかと思わせたジェイドが,ドラマではどこまでもやることが裏目に出まくって気の毒なエレンフリートが面白い.大きな物語はうれしくない大団円に向かうので,各キャラごとのエピソードを楽しみたい.面白かったです,

3+:2:4- モノクローム・ファクター
女性向き雑誌原作,耽美なキャラクターデザインで紅監督…と来れば本来期待されるのは「LOVELESS」だったはずなのに,結果的には「ロビケロ」に近くなっていて大丈夫なんだろうか(笑)? へんなオカマとかないがしろにされる無二の親友とかあまりに濃すぎるビッチな姉とか,本当にこれでいいのかと画面に向かって問いかけたことは一度ではありませんでした(苦笑).一応冒頭はそこそこ真面目にやっていたはずなのに,別の意味で激しく楽しくバケた素敵な珍品.ただし原作ファンはどう思ったかわかりませんが….
現世とは異なる光と影の世界の事情に巻き込まれた主人公は,事情がわからないまでもその身に宿った力で現状を切り開いていく…というシリアスなノリにかろうじて乗っていたのは1クール目まで.2クール目からは外れかかっていたタガが完璧に外れ,ラスト1話を除いてただの面白コメディへと変質していきます.そのきっかけはやっぱしあの大嘘アバンか? とはいえ作品的な変質によりお約束ファンタジー作品のパロディとして立派に成立してしまったので,これはこれで見事な采配だったと思います.ありがとう監督.面白かったです!

2:2:2- 魔法遣いに大切なこと2
小林監督の個性全開,独特のテイストのキャラが動く,下北沢を中心としたお洒落舞台アニメ…ネイティブな北海道人としてはまずあのイントネーションをなんとかしてほしかった.北海道弁のイントネーションはあんなではないわ(苦笑).小林監督なんだからその個性が爆発して主役よりアーティストが目立ってしまうのもまあ仕方なし.今時珍しいくらいの超お約束展開を恥ずかしげもなく辿る原作をここまで小林色に染めたのはむしろ立派だったかもしれません.というわけで小林監督のファンならばいつものように楽しめるんじゃないかと思います.

3+:2:2+ RD 潜脳調査室
あの押井監督を擁し業界一インテリな作風を確立しているプロダクションI.Gの送る,「攻殻機動隊」の先にある世界を描いているらしい未来科学アニメ.主人公がいきなり老人になってしまうという設定は斬新だったものの,それ以上に斬新だったのは少女たち,特にユキノさんのむちむちっぷりであり,Cパートでの沖さんの実写大活躍であったことに疑いありません(苦笑)! 記号化しスリムなキャラが主流のこのアニメ業界で,上山徹郎氏の肉感的なキャラクターをむっちむちに描ききることで女性キャラのスタイルにこれまでにはない新たなバリエーションを加えた功績は非常に大きいと思うのです本気で(笑).
メタリアルネットワークという疑似現実世界と現実の世界を行き来しながら,小さなエピソードで丹念にキャラクターを掘り下げていった中盤までが本作の真骨頂.舞台を支えるナノマシンがらみの設定が難解なものだったので,そこが物語の中心になる終盤よりは,未来世界の日常を垣間見せるような小品に佳作が多かった.特にむとう氏の脚本回は毎度冴え渡っていたなぁ….もちろん主役はハルさんとニャモなわけですが,奇妙な純愛を貫くことになるソウタとホロンも裏の主役格なので押さえておきたい.安易に楽しませてくれる作品ではないしクライマックスのカタルシスにも欠けるんだけど,貴重なオリジナルハードSFなのでぜひ一度試してみてもらいたい.面白かったです.

2-:1:3+ 秘密
恐らくは原作ファンも新規の視聴者も呆然,結果的には今期終了作品の中でもぶっちぎりで大失敗した作品だったんじゃないかなぁ…(苦笑).原作は端正で耽美なキャラを雰囲気重視の物語でかっこよく動かすところに強味があったはずなんだけど,アニメになったらキャラはアレだし物語は勢い重視が悪化しているし音楽は無駄に面白いし(笑)! 本来の原作の強味を生かせればそれこそノイタミナ枠でも耐えたはずなんですが,こんな別の意味で面白い作品に仕上げられてしまったら折角の清水氏が本当に台無しだ.良い原作が枯渇してきている昨今だからこそ,まだまだ金や銀やプラチナの鉱脈が眠っている少女マンガ系原作の作品を面白失敗させないで欲しかったなぁ.

3:3+:3+ 狂乱家族日記
作画の平均的なレベルの高さは今期でも随一.EDも家族分準備しておいてランダムに放送とか様々な方面で非常に意欲的.駆け足まくりで濃い物語を惜しげもなく食い散らかしていくという非常に贅沢な作品で,こいつは作り手も確実に当てにきているなぁと思ったんですが…佳作ではあるかもしれないけれど傑作とは言えないだろうなぁ.最も足を引っ張っているのは恐らく原作で,いくら絶妙の作画でもこんな癖の強い話がある程度以上のマスに受け入れられると思ったら大間違いだ(笑).作品的には本当に質が高いんだけれど,DVDを買いそうなやや年代高目の大人からすると,原作の癖が映像の質では埋めきれないくらいに激しいので商売は厳しそうな予感がします(苦笑).
特殊な一同を疑似家族として暮させることで滅亡を回避するために作られたのが乱崎家,あたかもオタが殴り書きでもしたかのようなぞんざいな超設定のキャラたちが演じるのは狂乱の宴.とはいえその狂乱は陰ではなくハートフルな陽なので,本来はそこからより掘り下げられていくべき心情がどうしても薄く感じられてしまうのはもったいなかったかもしれない.とはいえこの作品の一番の強みであるぞんざい過ぎるテンポの良さは掘り下げてしまうと失われるだろうから,原作の良さを十二分に生かすにはこれしかなかったかもしれません,根本的な悪趣味さも含めていかにも今の深夜アニメらしい作品.面白かったです.

3:4-:2 D.Gray-man
ジャンプ原作という強すぎるブランドで見事2年を走り切ったゴシックでスタイリッシュな物語.まだまだ話が続いている原作に比較的忠実な未完エンドとなったために大きなカタルシスには欠けるものの,オリジナルな大団円で変な破綻を迎えるのに比べたらどれだけましなことか.端正で線の多いキャラを生き生きと動かし,背景も含めて端正で美しい映像を志向し,常に美麗さを磨き続けたことを褒めたい.もちろんジャンプというブランドがなければこれだけの目の贅沢は許されないわけなので,あのジャンプでこの耽美な作品をヒットさせた原作者の功績が一番凄いんだろうなぁ,たぶん(笑).
アクマと呼ばれるクリーチャーとそのアクマを操るノアの一族に対抗するエクソシストという巨大組織の戦いが本作の基本構造となりますが,大きな怒涛の物語に突入した2年目以降は途中からの視聴者にはかなり不親切な作りになってしまったのはちょっと勿体なかった.この手の作品としては相当マシな穴埋めオリジナルストーリーを作っていたので,その力を2年目でも見せてほしかった…なんて思う視聴者は少数派だろうなぁ(苦笑).そしてギャグのキレでは予告後こそが本編だったような気も…(笑).面白かったです!

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これで9月終了分は終わり.次は10月開始分を書かなくては.

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