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R'sM 2008年アニメ大賞

あけましておめでとうございます! 2009年が今日からスタート.昨年は…ついにアニメどころではない忙しさに直面することになりました.精神的には07年の方がずっと辛かったんですが,なんせ家に帰っても仕事の続きをせねば気が収まらないような状況が現在も継続している始末.なんとかこれからの4半期で忙しいのを終わらせるつもりではおりますので,しばらくはネットではなくリアルに全力を尽くしたい所存です.きっと今頑張らないと,今後一生後悔する気がするんだ….
さて,忙しくてもかろうじてアニメだけは見ていますので,これまでの1年,自分を気分良く笑わせてくれた方の素敵な作品どもをいつものように讃えておこうと思います.主にここで長文あるいは短評で触れたアニメから,私的なベスト3を部門ごとに選出.見ていないあるいは触れていないあるいはシリアスなアニメは評価対象から外れます.

 2007年度の結果…R'sM: R'sM 2007年アニメ大賞
 2006年度の結果…R'sM: R'sM 2006年アニメ大賞
 2005年度の結果…R'sM: R'sM 2005年アニメ大賞
 2004年度の結果…R'sM: R'sM 2004年アニメ大賞

昨年度はギャグアニメ界的にはまさに「カブトボーグ」が限界突破を達成し新たな境地へと駆け抜けていった一年でありました.大和屋氏率いる超一級のギャグの嵐は投げっぱなしの境地.毎回予想を遥かに遠く超えていく超絶脚本は,もしこれが地上波で放送されていたならばと視聴者に思わせて余りある凄まじさでありました.この大賞では無様ぶりが面白い作品については,作り手側が無様で笑わせにきていることが明らかで,自分の中にその作品・キャラに対する愛がなければギャグとしては扱いません.以下に挙げるものについては本当に好きだからここで取り上げたのであって,他意は…ほとんどないのです(笑).

<ツッコミ部門>
クレイジーな展開の中でも己のペースを見失わず,放っておけばぐだぐだになっていく世界を叱ることで引き締めるスパイスとなる,優れたツッコミベスト3.彼ら,彼女らの献身のおかげで作品は無事に進行していきますが…作品的にはそれに誰も報いてくれないのが切ない(苦笑).

 1.志村新八(銀魂)
 2.フブキ(仮面のメイドガイ)
 3.結城リト(To LOVEる)

3年連続で首位を維持したのは当代きってのツッコミである新八(銀魂).はちゃめちゃが押し寄せて泣いている場合じゃないあんな銀魂世界の中で,よくあれだけ真面目に突っ込めるよなぁと感心しきりです(笑).本年も昨年で完成した中の人が素で笑いながらのツッコミは健在.シリーズ構成の捨て鉢な姿勢がさらに強まった今期は壮絶な脚本が頻発しましたが,その事態をさらに盛り上げるためにも新八の高速ツッコミは不可欠でした.一応今期で終了予定のはずの本作ですが,果たして今後活躍の場が残っているかが課題です.
2位3位はほぼ同着なんですが,3位に比べてツッコミが厳しいフブキさんに2位を差し上げたい.視聴者サービスも頑張ってたしね! 3位は天賦のエロ運を持つ朴念仁リト.原作通りなら2位でも文句はないんだけれど,脚本のアレンジが激しくて彼の良さが発揮しきれなかったのでこの位置に.テンポの良いエロコメディにツッコミは不可欠なのです.
4位以降は,あの家族の中でツッコミをこなしたのが偉い凰火(狂乱家族日記),上司の横暴なボケに内心ツッコミまくりだった泉田(薬師寺涼子の怪奇事件簿),ナギの横暴なボケにツッコミきれていないのが切ない御厨仁(かんなぎ),主役ゆえに基本ボケでありながらも周囲のボケが激しすぎてツッコむしかなくなっている富士原なえか(仮面のメイドガイ),坂田銀時(銀魂),四月一日君尋(xxxHOLiC◆継)…ただボケていたいはずなのに,ご苦労様です.

<ボケ作品部門>
キャラレベルではなく作品そのものがおかしくなってしまい,ひたすらにボケ続けた作品全体について特に表彰します.前期は「カブトボーグ」が凄すぎましたが,今期もしっかりボケ作品は存在しています.明確なツッコミ不在で世界そのものが大ボケを続けるギャグ作品も「バカボン」などから繋がるギャグの1つの本流.想像を越えて大暴走するこの手の作品を楽しむには,視聴者側が積極的に作品を楽しむ姿勢が不可欠.ぜひとも前のめりにお楽しみください!

 1.恋姫無双
 2.ロザリオとバンパイアcapu2
 3.銀魂

2008年を代表するボケ作品としては「恋姫無双」が最強! 三国志の武将をあんなデザイン,あんな性格にした上でお色気武侠ほのぼのコメディを繰り広げるという作品を作り出した奴は絶対にどうかしている.明らかに頭がおかしい(笑).しかも全編コメディ作品としてのレベルも高く,見れば見るほど引き込まれ,引き込まれる分,こんな作品に夢中になっていく自分に違和感を感じるという,良いギャグ作品を見る際に必ず襲われる感情の循環を起こしたところも素晴らしかった.
2位にはパンツコメディという与えられた役目を完全に全うした「ロザリオとバンパイアcapu2」を.前シリーズはまだ多少シリアスをやる気力もあったようですが,今期は全てを吹っ切って最終回までギャグコメディ三昧.本来シリアスなものを贅沢にギャグで使い切る,原作軽視の根性が素晴らしかった.3位は「銀魂」.3年目に突入し完璧に自暴自棄な状態に陥った本作のタブー破りっぷりには鬼気迫るものがありました.
4位以降,シリーズの途中からどこかでボタンを掛け違えた「モノクローム・ファクター」.濃密でサービス満点な画面づくりで原作の強さをフルに発揮した「仮面のメイドガイ」「まかでみ・WAっしょい!」,あまりに勝手にやりすぎて原作の強さを生かしきれなかった「To LOVEる」.作品の存在そのものがどうかしていた「美肌一族」,主軸はシリアスながらもギャグも良くキレていた「君が主で執事が俺で」「ケメコデラックス!」,そして他にはない陰惨で異様なギャグを提供してくれる「地獄少女 三鼎」.

<ボケキャラ部門>
ギャグ作品では全ての要となるボケ.他の何のためでもなく,ただ純粋に笑わせるために存在する崇高なる存在のうちでも目立つ面子をピックアップ.08年を代表する笑いの華をぜひご鑑賞ください!

 1.エクスカリバー(ソウルイーター)
 2.コガラシ(仮面のメイドガイ)
 3.浅村麻結・浅村賢吾(モノクローム・ファクター)

1位は決してギャグ作品ではない「ソウルイーター」より,心底ウザいでおなじみのエクスカリバーを! まるでシリアスをやらされているシリーズ構成の鬱憤がこのキャラクターに結集しているようでもあり,やることとウザさが毎度レベルアップしていくところが恐ろしい.原作を追うならば終盤に彼の出番はないはずですが…万が一出てきたら展開そのものがひっくりかえる可能性すらあるってところが恐ろしい.凶悪はボケは暴力と同じ!
次点は出オチで十分なキャラが主役を張って1クール持たせたという個性の強さでメイドガイ・コガラシを.ボケとツッコミの両方が存在するスタンダードなエロコメディの中でも,純粋にギャグとして終盤まで切れ味が落ちなかった本作の力量は素晴らしい.3位には「モノクローム・ファクター」のボケ姉弟こと浅村姉弟を.気の毒としか言いようのない弟とトラブルしか持ってこない姉! 特にこの手の作品では非常に珍しいビッチな姉の存在感は高く評価したい.
4位以下は悪質なボケは未だ健在の閻魔あい(地獄少女 三鼎),ボケ揃いの世界の中から代表としてララ(To LOVEる),世界の中心で唯我独尊として好き放題にボケまくった乱崎凶華(狂乱家族日記),中の人は内気ながらも暴力ボケとしてマーベラスであったケメコ(ケメコデラックス!),ツッコミとしての活躍が多かったものの,ボケとしても十分働いていた坂田銀時(銀魂).

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2008年のギャグアニメ界は,07年に「カブトボーグ」によって極地へと到達したボケ作品というジャンルの限界が同脚本家陣によって制作された「To LOVEる」によって示されました.確かにギャグは標準以上,しかし視聴者の期待するエロコメディと超絶ギャグはやはり別物.オリジナルに近い素材ならばまだしも,ある程度しっかりとした型を既に持つコメディに超絶ギャグは合わないという当たり前の結論が実証されて…原作にとっても脚本家陣にとっても非常に気の毒な結果に終わりました.このような悲劇は誰にとっても喜ばしいことではないので,今回の件を教訓とし,今後はこのようなことが起きないように業界は努めていただきたい(苦笑).
08年に目立っていたのはギャグ・コメディ+エロの軽い作品.ラストだけ変にシリアスとかいい話をやってぐだぐだっと終わってしまうより,原作を無視してラストまでコメディに徹した「ロザリオとバンパイアcapu2」の判断は大正解だと思います.また,原作そのもののクレイジーさとお色気をそのままに作り上げた「恋姫無双」「仮面のメイドガイ」の根本的な間違いぶりも素晴らしい.今後もエロコメディ・エロギャグは尽きないはずですが,素材の強味弱味を完全に理解した上で作品を調理することをぜひ重視していただきたい.
他の特筆すべき傾向としては,昨年から引き続いての大和屋暁氏の捨て鉢な大活躍が挙げられます.「To LOVEる」こそ失敗してますが(笑)「ソウルイーター」でのエクスカリバーの大暴れ,そして「銀魂」での放送コードぶっちぎりな大暴走は間違いなく氏の素晴らしい仕事です.恐らく氏の勢いは今年度も継続しそうなので見守っていきたいですが,氏以外にも激しいギャグの生み出せる脚本家の台頭も見たいところ.それぞれの個性を生かした超絶脚本を本年もぜひ見せていただきたい.

てなわけで皆様,今年もよろしく!

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