R'sM 2006年アニメ大賞

いよいよ2007年スタート.昨年は忙しくて時々くじけそうになりつつも,好きな作品に励まされてようやく年末にたどり着いた感じの1年でありました.さて,これまでの1年,自分を気分良く笑わせてくれた方の素敵な作品どもを讃えておこうと思います.主にここで長文あるいは短評で触れたアニメから,私的なベスト3を部門ごとに選出.見ていないあるいは触れていないあるいはシリアスなアニメは評価対象から外れます.
 2005年度の結果…R'sM: R'sM 2005年アニメ大賞
 2004年度の結果…R'sM: R'sM 2004年アニメ大賞

ちなみに昨年度最強のギャグアニメは「ボーボボ」.次が「マイメロ」.相変わらずテクニックよりはノリ重視.組み立てた高度なネタよりは一瞬で爆笑できる直球を高く評価します.あと,本人にはたぶん笑わせる気がないけれどその無様さが面白いものに関しては,自分の中にその作品・キャラに対する愛がなければギャグとしては扱いません.本当に好きだからここで取り上げたのであって,他意は…ほとんどありません(笑).

<ツッコミ部門>
己のペースを見失わず,放っておけばぐだぐだになっていく世界を叱ることでまともな世界を思い起こさせてくれた優れたツッコミベスト3.彼ら,彼女らの献身のおかげで作品は無事に進行していくはずなんですが,今年はこの部門,例年以上に人材不足です.

 1.志村新八(銀魂)
 2.河内恭介(焼きたて!!ジャぱん)
 3.藤岡ハルヒ(桜蘭高校ホスト部)

女王ビュティさん去りし後,首位にぜひ押したいのが洒落にならない状況を懸命に捌きつづけるツッコミの新八.ツッコミ面では彼を中心にして萬屋全員でボケつつツッコむことが多い「銀魂」は,頻繁に作品レベルで社会に対し凶悪なボケをカマしているので,そんな過酷な状況に的確にツッコんでいくセンスを買いたい.…わざわざツッコむことでさらに傷口を広げているのも計算の上に違いない(笑).ともかく今年も頑張って仲間とともに原作者や監督や制作会社にもちゃんとツッコんでいっていただきたい.…4月以降もツッコんでいけたらいいな!
2位の河内3位のハルヒと,今回は3人ともツッコミらしいツッコミを選んでいます.双方とも超人揃いの周囲の中で運悪く常識を持ち合わせてしまったがゆえの苦闘ぶりが素晴らしかった! もはやリアクション役こそが天職と状況に流されてみたり,しまいにはホスト部が大好きになってしまったりと,最後の最後ではボケに共感し流されてやる優しさも,多くの人から愛されるツッコミが持つべき重要な資質の1つです.
4位以降,昨年から引き続いてバク(おねがいマイメロディ),アミ(アニマル横丁)が健闘.また格闘ヒロインの脇にいて時に体を張らされる気の毒なツッコミとして,太田明彦(無敵看板娘)や白浜兼一(史上最強の弟子ケンイチ),そしてツッコミとしてはやや地味なものの,陰守マモル(陰からマモル)の堅実な仕事も記しておきたい.

<ボケ作品部門>
キャラレベルではなく作品そのものがおかしくなってしまい,ひたすらにボケ続けた作品について特に表彰します.…2006年はこの部門にエントリーされる作品が無闇に多いのが特徴.全員でボケ倒すのって面白いだろ?と言わんばかりの超展開が目白押しという異様な年となりましたが,全面ボケ倒しの楽しさを理解できるかどうかは多分に視聴者の資質によるので,正直,あんまり数を作ってただでも狭いパイを食い合うのもどうかと思うんだ(苦笑).

 1.それゆけ!徹之進
 2.おねがいマイメロディ(含くるくるシャッフル)
 3.MUSASHI-GUN道-

大乱戦となったこの部門でも,あまりにも特異に過ぎる3作品を選んでみました.中でも凄かったのが「徹之進」.犬とセレブとマネーゲーム,流行モノをそのままぶっこんで適当に混ぜました!てへ!みたいな初期段階から異常だった本作は,回を重ねるごとにさらに暴走.ホリエモン逮捕やライブドアショックによる路線の変更も手伝って,視聴者を全力で置き去りにして行った彼らが得た評価は…「「広告代理店機能」「版権管理機能」が充分機能しておりません。」…確かに売りにくいだろう(笑).
しかし彼らがその真価を我々に見せつけたのは,この枠の打ち切りが決まってからでした.どうせ先はないんだからとこの異様な設定のままで王道熱血ヒーロー物語へと強引に回帰! 何の因果かここまで見続けてしまった視聴者を大いに驚かせることとなります.犬もセレブもマネーゲームも,しまいには笑いさえかなぐり捨てて爆走するその哀れで勇気溢れる姿は,この作品そのものに対するとても複雑な笑いを誘うのです.
2位は昨年度末に驚くほど素晴らしく馬鹿馬鹿しいクライマックスを迎えた「マイメロディ」と,続編ゆえにやはりテンションが落ちるものの悪意は一層増したと評判の「くるくるシャッフル」の両方に.そして3位は低品質を追求するというコンセプト自体が前代未聞の「MUSASHI」に差し上げたい.天然だった序盤の「MUSASHI」は,あらゆる意味で最高にダメだったなぁ….
4位以降,歌いだす度に爆笑させられる迷作「マージナルプリンス」,ギャグの場合は画が下手であることも武器なのだと強く感じた「THE FROGMAN SHOW」,短期シリーズゆえに上り詰められなかったけれど,御大の芸とホモ好きは楽しめた「練馬大根ブラザーズ」,下品コメディを手を抜かずまっとうした「女子高生 GIRL'S*HIGH」,超展開を独特のノリで軽快にこなした「吉宗」と「錬金3級まじかる?ぽか~ん」,そして独特の美意識と性欲があまりに面白すぎる「ストロベリー・パニック」など,記憶に残る作品だけでも結構数がありました.

<ボケキャラ部門>
ギャグ作品では全ての要となるボケ.笑いのためなら人間の尊厳なんか全て捧げる殉教者たちの中でも輝きまくった面子をピックアップ.作品ごとボケてしまった候補の多かった今回は,少数精鋭での激しい戦いとなりました..

 1.マイメロディ(おねがいマイメロディ)
 2.マージナルプリンスども(マージナルプリンス)
 3.黒柳亮(焼きたて!!ジャぱん)

2006年もやっぱり強かったマイメロさん! 「くるくるシャッフル」になってからもマイメロ姐さんの豪腕は勢いを増すばかり.以前は性質の悪い天然に見えていましたが,今年に入ってからは明らかに計算づくの故意にしか見えなくなってますよ姐さん! ウィーヴの稼ぎ頭として本当にそれでいいんですか姐さん?
2位には今年終盤に素晴らしい歌を毎週のようにぶつけてきやがったマージナルプリンスどもに差し上げる.こちとら珍奇なシーンは散々見慣れておりますが,海の中で歌いだした時にはさすがに呆然としましたよ! 3位はリアクション芸を極めた黒やんに.凄いリアクションはそのまま他の権利に対する果敢なる挑戦でもありましたが,彼がそうすることを許しバックアップした作り手たちの間違った根性も最高です!
4位以降,カラクリ刑事ユキカ(練馬大根ブラザーズ)はパンダで徹底的に堕落するという獣愛ボケぶりが特異.須王環(桜蘭高校ホスト部)はその天真爛漫で迷惑でいとおしいボケっぷりが良い.どんな深刻な事態の中でも一定のペースで必ずボケて,それが主役としての魅力や強さでもある大門大(デジモンセイバーズ),わかってボケているパピヨンに本気で答える天然ボケの武藤カズキ(武装錬金),報われない戦いにひたすら挑み続ける姿が涙を誘う西山勘九郎(無敵看板娘),そして作品を代表するほっこりして迷惑な天然ボケの紺若ゆうな(陰からマモル)なども目だっていました.

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2006年のギャグアニメ界では,昨年の「マイネ」と同系統の,作品そのものがボケ倒す作品が数多く出現しました.特に「マージナルプリンス」や「ストロベリーパニック」,さらに選外では「ときめきメモリアル Only Love」「パピヨンローゼ2」「レモンエンジェルプロジェクト」等,本来は視聴者を萌えさせてなんぼのハーレム系作品が異様に愉快なボケ作品と化していて,お前らそれでいいのかと真面目な視聴者を悩ませることが多かったんじゃないかと思います(苦笑).「桜蘭」みたいに2枚目が適度にボケると親近感が沸くもんですが,必要以上に面白くしすぎると2枚目に見えなくなるんだけどなぁ….
もちろん,笑わせるためにしっかり作りこんだギャグ作品も健闘しました.「徹之進」「マイメロ」を筆頭に「練馬大根ブラザーズ」「吉宗」,さらに選外ですが「アニマル横町」など,笑いのために造形された等身の低いキャラたちもしっかり活躍してました.そんな笑われるための造形の最たるものが「THE FROGMAN SHOW」.適当&手抜きのキャラたちが織り成すくだらないギャグは,個人が作ったものらしい強い個性に恵まれていましたね.その他,あまり視聴していないので触れていませんが,「ラブゲッCHU」「きらりん☆レボリューション」「韋駄天翔」等もギャグとしては大健闘したと聞いています.
2006年にやや低調だったのがシリアス作品に挟み込まれるギャグ.2005年ではシリアスな物語を壊すほどの笑いを見せてくれた息抜き作品がいくつか見られたものの,今年は「セイバーズ」や「武装錬金」のような良いボケを抱えた作品であっても作品の雰囲気をぶっ壊すほどの脱線には至らず.むしろギャグ作品のシリアス化というギャグの方が激しかった.特に「徹之進」の全力シリアスっぷりは伝説に残りそうな気がします.

2006年は,視聴者を笑わせるための馬鹿馬鹿しいことの追求が多種多様であった年ではないかと思います.面白くするためにキャラを壊すくらいは序の口で,歌ったり踊ったり,低品質を追求したり高品質を追求したり,あげくの果てにはスポンサーや社会や局に噛み付いたり.…もしそこまでやらなきゃ視聴者の予想を裏切ることができないのだとしたら,どこまで先鋭化してんだって話になりますが(笑)尖れば尖るほど面白いのがギャグなので,そういう冒険は辛くても怒られてもぜひ続けていただきたい! ただしあんまりにもそっちに突っ走ると普通の人が笑えなくなってくるので,より広い範囲に受け入れられる面白い奴も追及していただきたい.今はそっちが手薄で,ねらい目だ!

てなわけで皆様,あけましておめでとう!

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「時をかける少女」ブロガー試写

「風切って走れ少女の巻」

真琴は高校2年生.ショートカットで快活で,考えるのが割と苦手な女の子だ.本人としては何事にもソツがなく運だって悪くないつもり…なのだが,実際には本人の無計画さと運の悪さが相まって,ひどいトラブルになってしまうこともある.
そんな彼女が巻き込まれたちょっとした不運.しかしその時から彼女と時間の関係が変わってしまった.なぜできるのかはわからないけど,やり直せれば失敗はしない.やり直せれば逃げることもできる.楽しい時間はどこまでも延長! …けれど,変えてしまった結果が自分の望まない方向に向かうこともあるのだと,真琴はまだ知らなかった.

さて今日は,先日試写会を見てきた今週末公開映画「時をかける少女」についてレビューしたいと思います.公式サイトでブロガー試写会を募集してたのを見て,「試写室って面白そう!」という野次馬根性で応募したら当たってびっくり.テレビ局去りし後は随分と静かになったという麹町のビルの一室で見せていただきました.
他サイトさんの感想とかはここ.
 時をかける少女: ブロガー試写のレビューはこちら
角川ヘラルド映画の試写室は,当然劇場ではないので画面が小さく,ゆえに実際に劇場視聴した際に受けるほどの視覚的効果は得られなかったに違いなく…その分音響面がともかく素晴らしくて,ついでに作中にもその音響を十二分に生かしたシーンがあったことが印象に残ってます.あとは椅子って言うかソファーがふかふか!

自分自身は,オリジナル既読,コミック版未読,細田監督の代表作全て未見.マッドハウスの最近の作品でぶっちぎりに面白かったのは「アカギ」! 普段は多少画がヘタレても話さえ面白ければついていきますし,アニメにはアニメならではの冒険を積極的にやってほしいと常に願っている…すごい悪食です.いわゆる作画・演出マニアって奴ではないので猫に小判の可能性もあったりしますが(笑)監督の印象が真っ白な人間がどう見たかという一例として,ご覧いただければ幸いです.

この映画版はオリジナル作品にきちんと繋がる,正統派の続編.とはいえ主役の性格が相当違うので,こっちは走って飛んで転んで走って飛んで転んで…という転がりアクション作品となっているわけですが(笑).作画は当然のように素晴らしく丁寧.割と地味な「野球」に興じる様子でも,いちいち動きが面白くて凄くきちんと描かれているのがわかります.初夏の学校の様子もロケハンの成果でとてもリアル.見ているとああ,あんな感じだったかなと懐かしくなる感じ.ただし空気感みたいなものは長まわしのシーンでもそれほど伝わってきませんでした.これは出来る限り爽やかにしたいという作り手の意図があってのことかな.
てなわけでさっぱりと乾燥した世界をひたすら走り回ることになる主人公ですが,襲い来るトラブルをクリアさせられる様がアクションゲームの主役みたいだ(笑).ちょっと頭が悪くてあんまり少女らしくない中性っぷりは,最初は友達にいたらいいかなって思う感じ.けれど話が進んで,特に後半に入ってくると必死な彼女が段々好きになっていきますね.恐らく本人からすれば一番苦手なことを一生懸命やってみるわけだから,そりゃ辛いさ(苦笑).
主役以外のメインキャラたちも皆魅力的.特に真琴の友人の野郎2人のバカっぽさや,しかし主役のほんの少し先をちゃんと歩いている距離感の感じさせ方がいい.登場人物は結構多いけど,物語の初期段階では自宅と教室の片隅とグラウンドを繋ぐ線からはじめて,話が進むに従ってその線を太くして脇の連中を順次混ぜる展開なので,変な混乱はしないはず.
肝心の物語もとても爽やか.もちろんオリジナルを十二分にリスペクトした上で,主人公の周囲の線を繰り返し太くしたり塗りつぶしたりしていく様子が絶妙です.声を出して笑いたいコント的な面白さもあるし,観客の心を揺さぶりたいときにはかなり集中してえげつないまでに狙ってくるし.特に終盤では,展開のスピード感に引きずられて,観客の感情も上に飛んだり下に落ちたり,起伏を散々味わった末に泣かされるかも.
個人的に心残りだったのは,アニメでこれだけ凄いなら,ぜひ実写でも見たいんですが!というアニメ好きとは到底思えないコメントで申し訳ない(苦笑).映像の完成度も物語の完成度も映画に相応しいレベル,特に終盤の物語の畳み掛けはやや説明不足となりながらも絶品なので,なおさらそこに現実の風景や人間の持つリアルな熱が欲しかった.…でも,あんな凄い演技のできる子なんてそもそもいない気もするしなぁ.
一度見始めれば最後まで楽しめることは間違いありません.原作つきの実写青春映画と戦っても決して見劣りのするものではないっていうか勝てそうな気が! この季節の蒸した空気を吹っ飛ばすための映画だと思いますんで,ぜひ爽やかな疾走感を味わいに,映画館へと足を運んでいただきたいと思います.

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6月終了アニメ雑感・おまけつき

じめじめと暑さが体に来て大変出かけたくない季節,皆様いかがお過ごしですか? 自分はついに布団乾燥機って奴を買いましたよ! 思ったほど場所を取らないし,湿気を含んでへたれた布団や座布団を夜間にふかふかにできるためお気に入りです.DVD2枚分位の価格でそこそこいいのが買えるのでぜひどうぞ!

久しぶりに写真.全部揃った!


ユージンの原色日本立体地図(たぶん再販分).1カプセルに北海道とか関東とか地方ごとにランダムに入ってて,全部集めるとでかい立体日本地図になります.

 
本当に立体になってるところが凄いんだ.これ!
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さて,先月中に終了した作品についての感想を.タイトル前の数値はいつもの私見:一般:電波(各5点満点).今期は全般的に割と小粒の作品が多かったんですが,その中でも「ハルヒ」は別格かな.「お前らハルヒ見たことあるか,あの時は凄かったんだぞ!」と将来長く語り草になれるかどうかまでは保証できませんが(笑)少なくとも続編への期待は凄まじいことになりそうなので傑作評価です.個人的には「ハルヒ」とは逆向きに突っ走って面白かった「THE FROGMAN SHOW」をお勧め.DVD欲しいかも….

4:2:3 THE FROGMAN SHOW
極小人数で作られたからこその独特の味付けが愉快なギャグ! 確かに普通のアニメに比べれば圧倒的にいろいろ足りないわけですが,その分制作費も制作期間も段違いに安いし短いわけだし,何よりもギャグとしては十分な面白さがあったのでよし! あの作画品質はもちろんテレビよりもネットに向いてるけれど,それを十分理解しながらも1クールやり遂げた根性と胆力を誉めたい(笑).iPod画質でも十分鑑賞可能なので,いっそiTuneで各話売りしてもいいと思います.
作品的には通常のアニメよりもネタ勝負な「ギャグマンガ日和」や「オー!マイキー」に近しくて,しかし5分ではなく30分も粘ったことが偉業! 「鷹の爪」終盤のベタながらも熱い展開も,いかにも作り手がこういう作品を見たり作ったりすることにスレてない感じでなんか良かった(笑).客は激しく選びますが,選ばれた客にとってはいつまでも心に残りそうな素敵な作品です.たーかーのーつーめー.

3:3:3 プリンセス・プリンセス
男子校に潤いをもたらすために見目麗しい下級生に女装をさせて愛でる.舞台設定は真性の電波バカ話と言い切っていいんじゃないかと思うんですが(笑)描かれていたのは思っていたのよりずっとまともな青春模様.短期間でメインキャラを立てることに成功していたし,終盤に重い物語を盛り上げた上に,シリアス混じりに,しかしコメディとして決着をきっちりつけたところも良かった.特に後者は簡単に成功するものではないから,きちんとやってのけたのはまさに作り手の力量でしょう.福山氏の使い方は総じて適切でしたが,歌わせたことだけはどうかと思いました(笑).直前の番組(蛙男)とはあらゆる意味で違いすぎて,その落差を含めて面白かったです.

3:3:1 Fate/stay night
話題性は十分で品質もいい.2クールという昨今では余裕のある話数で普通ならきちんと描ききれたはずなのに…うーん.なんかいろんなものが物凄く勿体無いぞ.原作未プレイなんですが,話がふらふら&ややご都合主義に見えたのは,かなりのボリュームの原作を結局取り込みきれなかったってことなのかな? 周囲の女性陣は皆それなりに魅力的なんだけど,そんな連中が慕う主人公とかライバルとなる男連中が…(苦笑).女性たちとアーチャーに向けた愛情の半分でいいからアーチャー以外の男性陣にも向けて欲しかった.成長させる都合上仕方ない部分はあるけれど,自分の代理になるキャラクターがあまりにもダメって,見る側には結構辛いもんですよ.

3:2:3 女子高生 GIRL'S-HIGH
やってることはともかくバカでしかも下品.けれどその徹底振りがむしろ相当気持ちいい.この手の作品を作らせたら並ぶものなしの監督の個性が,最良の原作を得て奇跡の化学反応を起こしました! …いや,もちろん金も手間も圧倒的に上な作品と比べちゃダメな気がするけれど(苦笑)きっと似たような条件で作っている作品の中では相当良いパフォーマンスを見せていたはずです.序盤の頃に感じたとおり,中盤以降はエロ抜きでちょっといい話だけでも十分に戦えてました.他作のあのダンスさえなければ話題になったに違いない,エンディングのダンスも素敵だった!

3:3:2 錬金3級 まじかる?ぽか~ん
圧倒的な話題作の影に隠れて埋もれてしまったのが気の毒な良作.「女子高生」と同じく中盤以降はエロ抜きでもちゃんと戦えていましたよ.ただしこっちの作品は,最初は天然の新人アイドルを好き勝手にいじってエロいことばっかりさせていたのに,途中から完全に情が移ってしまってこんな可愛い子たちに恥ずかしいことはさせられん!ってな作り手のおっちゃんたちの心変わりを感じるんだけど気のせいでしょうか(苦笑).特にラスト2話は作り手に4人がとても愛されてましたね.作画も安定していてエロな時は本当にエロかった(笑).画面から奇妙に愛情が伝わってくる,掘り出し物の1作です.

3:2:1 獣王星
少年期のスタートダッシュは大変に良かった.青年期での圧倒的不安材料だった堂本氏も予想を超えた見事な演技を見せてくれた.作画も結構安定してた.けれど終盤がどうしようもなく勿体無い.原作のあのスペクタクルを語りきるにはあまりにも話数が足りない! 物語全体のバランスとしては終盤がかなり重要なんだけど.そこを処理しきるには3話くらい足りてない.恐らくは序盤の少年期を回想処理して短縮する必要があったんだろうな…原作の魅力を完全に引き出すためのアレンジが不十分だったことが,原作既読者としては惜しかったし悔しかった.

4:4:1 涼宮ハルヒの憂鬱
採算度外視気味の高品質によってアニメ好きの注目を集めまくった末,あんまりアニメに関係ない業界にまでその名を轟かせてしまった話題作.地方局アニメとしては一般社会に与えた影響が大きすぎたので一般に4をつけてます(笑).品質に定評のある製作会社が全力を注ぎ込んだだけのことはあり,映像がともかく美麗で動きも抜群.その品質に物語そのものの魅力が釣りあっていたかどうかは…個人の判断に任せますけど(苦笑)大変に観念的で難解で,間違いなくアニメ向きではない素材をここまで映像化した根性は素晴らしい.原作どおりだとすぐに訪れてしまうクライマックスの到来を引き伸ばすための話数の混乱も楽しかった.
原作やキャラの魅力,制作会社の力量,声優の熱演,謎めいた放映順(特に1話!),素晴らしいエンディングやこまめすぎる公式サイトなどの数々の間口によって多くの濃いファンを集め,その濃いファンたちに従う普通のファンたちやファンたちの行動を観察するアンチやウォッチャーを含む観察者たちまでも取り込んだ巨大な視聴者グループを作り出した意義は大きい.…これでキー局で最終回2話がぐだぐだになって視聴者全員が混乱の渦に叩き込まれると「エヴァ」の再来と呼ばれたかもしれないんだけど,特に後者はそうならなくてよかった(笑).周辺のいろいろ全部をひっくるめて,なかなか面白かったです.
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(おまけ)
.hack//G.U. Vol.1 再誕
前シリーズ途中までプレイ,関連作品視聴済み&視聴中&既読.現在快調に作品不適格者を置き去り中の「.hack//Roots」に続く物語っていうかたぶんこっちが本編.前作は途中まではプレイしてみたものの細かい操作性の悪さで投げ出してしまったわけですが,本作は圧倒的に使いやすく,遊びやすくなっていたのでちゃんとクリアできました! レベルもすぐに上がるので操作に自信がない人にも優しい.不可避で難易度そこそこのシューティングがあったりしますが,それすらも何度も失敗するとゲーム側が助けてくれるので必ずエンディングを見られるところもありがたかった(笑).やりこみ要素も揃っていて,3部作の第1作としてはなかなかの充実度です.
てなわけでゲームとしても結構楽しいんですが,この作品で最も大切なのはやはりストーリー面.現在アニメで遺憾なくヘタレっぷりを晒している新人のハセヲが,その数ヵ月後にどのように身を持ち崩しグレているのか(苦笑)がたっぷりと語られます.フルボイスのムービーで描かれる物語は躍動的.ひとりきりで全てを背負い復讐の鬼と化した少年が,とある事情により「世界」の中で周囲との関係性の再構築を余儀なくされ,その再構築分と以前構築した分がコンフリクト起こしてテンパっていく様が面白い.
現在のところアニメではぶっきらぼうにぽつぽつ喋るばかりのハセヲですが,ゲームではメールを読む内心まで喋り,ムービーでは痛いことを叫びまくってます.実際ハセヲに櫻井氏を当てた理由というのは「G.U.」でこそ明確.シリアスな物語に時々はさまるコミカルなシーンでは,彼の特質である巻き込まれツッコミの至芸が堪能できますよ! こういう役柄やらせたらこの人本当に上手いよなぁ….
ダークな世界観と暗く深いギミックを抱えた物語は大人の視聴に耐えると思いますんで,さすがにゲームをやるのは億劫な大人の皆様方にもぜひお試しいただきたい.上手い人なら20時間程度,余程下手でも40時間あればほとんどクリアできると思います.ついでに現状ではわけわからんアニメもさらにわからなくなったりしますんで(笑)シリーズファンならプレイ必須,そうでなくてもお勧めです!

LaLa全員サービス ホスト部アニメDVD
現在放映中の「ホスト部」の冒頭4話分くらいを再構成して30分のダイジェストに仕立てた映像が目玉の全員サービスDVD.これを購入するための辛苦(主に雑誌を購入する途方もない恥ずかしさ)には見合う程度の内容です(笑).放映中のアニメ視聴者からするとかなりダイナミックな筋書きの組み換えが行われていて,豪快なことをするなぁと笑ってしまった部分がちょっぴり.ちなみにクライマックスは身体検査の回の見得切りとなっております.
とまあ目玉についてはこの程度にして,それ以外についてきたコンテンツの破壊力について.1つはダイジェスト映像にあわせ…てない(苦笑)声優たちのオーディオコメンタリー.凄く楽しそうに無駄話しているのがポッドキャストの再来って感じ.そして本当に凄いことになっていたのが声優座談会.ホスト部一同を演じる声優さんたちを集めてトークしているわけですが,ご本人たちの姿がVTRでどーんと収録されておりますんで…えーっと,あー…凄いです(笑).常陸院の双子が凄いことやってるのはよくわかった!

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最終回感想はもうちょっとだけ追加するかも.

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帰省終わりましたとか12月終了アニメ雑感2とか

お正月が終了し明日からは営業日でちょっと寂しい今晩を皆様いかがお過ごしですか? 自分は実家から戻って参りました! 行ったと思ったら真っ直ぐ帰ってきた感じでどうにも複雑な気分ですが,とりあえず吹雪による欠航とかに巻き込まれなくてよかったです.

帰省ツアー用写真からまた1枚先行.今日の道東の路.寒い!

先日から設置している

「あけましておめでとう」

に沢山のあけましておめでとうをありがとうございます.いぬとミオルさんとC.Mayaさんはコメントもありがとうございます(笑).今年もどうぞよろしくお願いいたします.

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12月終了アニメ雑感の続きです.数字は私見:一般:電波.スペシャル番組つき.

アリア 3:3:1
穏やかまったり.アクアという健全極まりないヒーリング空間を手堅く描いていて,深夜に癒されるには最高の作品です.空気を楽しむアニメなので物語が大きくうねったりすることは一切なく,しかしその変化のなさが視聴者の郷愁を否応なしに揺るがします.色彩の素晴らしさと音楽の美しさは素晴らしく,都会の喧騒に疲れた現代人ならいきなりツボを突かれてついつい泣かされても仕方がないかもしれません(笑).ただし,原作にあったより濃密で広い空気はアニメ化に当たって綺麗に拭われてしまっていて,そこがどうにも物足りない.深夜のマニア向け作品としてはあまりにも普通で,バランスは抜群なんだけど小さくまとまりすぎている印象が強く残ります.折角の深夜なんだからもっと客は選んでもいいと思うんだけど….

パラダイスキス 4:3:1
スタイリッシュに青春のある局面を見事描いた短編.監督のわかりやすい作家性はさすがに回を重ねるごとに薄れていきましたが,構図や背景は徹頭徹尾小林節.原作由来の美しく個性的でなおかつ現実感のあるキャラを飾った素敵なデザインも魅力的でした.これはアートディレクションの勝利でしょうね.最初は分離気味だった様々な要素はステージという非日常に向かって加速度的に一体感を増し,けれどそれが終わって日常に戻れば,非日常に逃げていた者たちは現実に向かって歩かざるを得ない.あまりに美しすぎて非現実的な描写に溢れても,その本質は誰にでも訪れる青春の高揚と儚さで,そこが手がかりになって大人なら誰でも物語の中に入り込むことができたわけです.内容からすれば12話という話数も適切で,見ごたえのある良い深夜アニメでした!

スペシャル番組
蒼穹のファフナー RIGHT OF LEFT
前半と後半の様変わりの激しさが語り草となった「ファフナー」の前日譚.シリーズを見た者だけでなく初見の者をも引き込む絶妙の語り口に圧倒されました! 映像,特にメカアクション関連も凄まじくパワーアップしていましたが本当の見所はそこじゃない.短く挟み込まれる本編主役たちの描写に本編ではもういない前史の主役たちの生き様が見事に映えて,1つの作品として完結しなからも彼らの守ったささやかな未来の行方を視聴者に見たいと願わせる.ここまで物語の力を見せつけられたのは久々です.フォーマットは特攻モノなんですがギミックによって最後まで希望を持たせるところも実に小憎らしくて切ない.
「ファフナー」初心者はぜひ本作から入っていただいて,前半は総集編DVDでこなしたあとで(笑)後半を1話ずつご覧いただきたいと思います.あの前半さえなければ傑作と言われたこのシリーズをぜひ再評価してあげてください.お願いします!

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R'sM 2005年アニメ大賞

いよいよ今日で2005年終了.自分にとって今年は闘神士や式神とともに爆走した短く珍しい1年であったわけですが,このサイトの本領は絶対にシリアスではないので(笑),昨年同様,今日は自分を気分良く笑わせてくれた方の素敵な作品どもを讃えておこうと思います.この1年,主にここで長文あるいは短評で触れたアニメから,私的なベスト3を部門ごとに選出.見ていないあるいは触れていないあるいはシリアスなアニメは評価対象から外れます.昨年度の結果については,R'sM 2004年アニメ大賞にありますよ.
ちなみに昨年度最強のギャグアニメは「ボーボボ」.次が「クロ高」.テクニックよりはノリ重視.しっかり組み立てた高度なネタよりは一瞬で爆笑できる直球を高く評価します.あと,本人にはたぶん笑わせる気がないけれどその無様さが面白いものに関しては,自分の中にその作品・キャラに対する愛がなければギャグとしては扱いません.本当に好きだからここで取り上げたのであって,決して他意はないのです(笑).

<ツッコミ部門>
愉快なだけではともすればダレていく作品に絶妙のタイミングで冷や水をぶっかけ,同時に視聴者の代弁をしてくれた優れたツッコミベスト3.彼ら,彼女らの献身のおかげで作品は無事に進行していきます.

 1.ビュティ(ボボボーボ・ボーボボ)
 2.アルテッサ(ふしぎ星のふたご姫)
 3.河内恭介(焼きたて!!ジャぱん)

2年連続不動の首位として選ばねばならなかったビュティさん.彼女の存在を外してしまうと即座に作品全体が崩壊するほどの重要な役を軽やかに勤め上げたその力量を讃えたい.程度の差はあるものの自分以外は全てボケていて,その全員がツッコミを待っているという過酷な状況をよくぞ乗り切ってくれました! これほどのツッコミには,これから先も滅多にお目にかかることはできないだろうなぁ.
2位3位はいかにもツッコミらしい仕事をしていた2人を選んでみました.隙あらばボケる周囲を正して真面目に話を回そうとしていた正統派のアルテッサと,視聴者にとって説明不足の内容をより明らかにするという己の役割を十二分に自覚しながらツッコんでいた技巧派の河内はともに素晴らしかった.河内は最近あまりにも自分の役割を自覚しすぎているので,もうちょっと真面目にツッコンでいたら2位だったんだけどね(苦笑).
4位以降,今年やたら豊漁だった新作ギャグアニメよりバク(おねがいマイメロディ),藤崎真菜(おねがいマイメロディ)とアミ(アニマル横丁)を.「ボーボボ」ほどひどい状況ではありませんが,それでも周囲に無駄にボケ倒されることによる心労が思いやられます.コントとしての型がしっかりできている「アニ横」よりも,あまりになんでもありすぎの「マイメロ」のほうが難易度は高そうだ.話が大きくシリアス方向にずれて行ったので印象は薄くなりますが,キャプテンブルーJr(ビューティフルジョー)や高嶺清麿(金色のガッシュベル!)も忘れてはならないツッコミです.

<ボケ作品部門>
キャラレベルではなく作品そのものがおかしくなってしまい,ひたすらにボケ続けた作品について特に表彰します.どんなに無茶でもきっとこの楽しさを理解してくれるはず,という視聴者に対する作り手の無謀な信頼がなければ制作不可能な作品はこちら.

 1.ボボボーボ・ボーボボ
 2.おねがいマイメロディ
 3.らいむいろ流奇譚 X CROSS

首位は本年有終の打ち切り(笑)を喰らった「ボーボボ」に差し上げたい.こんなものをアニメ化してそれを喜んで見る人間が結構いたという状況自体がかなりスケールが大きく病の重いボケでした.深い読み込みのできない子どもを除けば,見る側もわざとボケて楽しんでいたわけで,その共犯者意識の高さは他の作品が追従できるレベルではありません.というかあんまり追従しないほうがいいです.
2位は凄まじい大暴れを見せつけたルーキー「マイメロディ」に差し上げたい.他のギャグアニメで凄い方向に鍛えられた脚本家たちが織りなした物語はもう無茶苦茶で,そんな危険物をあえて放置したスポンサーの力量も讃えられるべきです.3位は,心底書いておけばよかったと後悔した怪作「らいむ」に.もちろん普通のアニメとしては豪快に落第しているわけですが,あまりの愉快展開に毎回笑っていました(苦笑).ちょうど初代「シスプリ」もこんな感じだったなぁ.
4位以降,高い完成度なのににやにや笑える「吟遊黙示録マイネリーベ」と「ぱにぽにだっしゅ!」,そして「スクールランブル」.女性向けだろうと男性向けだろうと面白いものは面白いんだけど,萌えと笑いのブレンド具合が異常だった「マイネ」は特に愉快でした.「いちご」の愉快さについては当サイトでも割と必死に語ってきたつもりですが,音楽は使いようによっては凶器に変わることは皆様に覚えておいていただきたい.あまりに堂々とした超理論で見ている人間を呆然とさせた「アクエリオン」,ゴールデンタイムに持ってくること自体が相当の大冒険だった「ガッチンポー」,へたれっぷりが突き抜けてむしろ芸になった「スピードグラファー」も忘れられない.

<ボケキャラ部門>
笑いの花であるボケ.それぞれの強みを生かしながら高度な技術力で画面を縦横無尽に駆け回った脅威の花たちをピックアップ.今回も激戦となったこの部門,いつの世もどんな世界にも,空気をちっとも読んでくれない困った奴はいるものです.

 1.マイメロディ(おねがいマイメロディ)
 2.首領パッチ(ボボボーボ・ボーボボ)
 3.オルフェ&ルーイ(吟遊黙示録マイネリーベ)

今年を代表する大ボケはやはりマイメロさん! あまりにも激しいマイペースぶりはまさに暴力.その重症ぶりは周囲のボケがあえてツッコんでやらねばならないほど.「マイメロ」という作品そのものがマイメロさんを中心としたボケ曼荼羅になっていると考えれば,その中心に位置する神を首位に置きたかった気持ちもご理解いただけるのではないかと思います.それほどまでに,このクリーチャーの抱えたボケは高くて深い.
2位は首領パッチ.今年も相変わらず自分勝手にボケてハジケまくってくれました! 昨年の首位で作品中最強のボケが今回2位に甘んじてしまったのは,実際にマイメロさんと並べたら首領パッチがツッコミに回るんじゃないかと思ったから(笑).3位は「マイネ」の誇るWボケ.人外が有利なこの部門に美青年が2人並んでいるだけでも愉快でたまりませんが,シリアスな中で互いに高めあう凄いボケは視聴者の思考を麻痺させて余りあるほどのものです.
4位以降.グリニデ様(冒険王ビィト)の暴力ボケは短期間ではありましたが「ビィト」という作品の格を引き上げるほどのものでした.一条さん(ぱにぽにだっしゅ!)のやりたい放題はテンションは違うけど首領パッチと同タイプ.作品中の笑いを一手に担ったボケプロデューサの不動GEN(創世のアクエリオン)の働きも素晴らしかった.塚本天満(スクールランブル)蘭堂りの(極上生徒会)は物語の中心として十分な愛らしい天然ボケぶりが素敵.イヨ(アニマル横丁)は全てわかっていてボケる確信犯だから手に負えない.暗黒シリアスな状況でも常にボケ続けて視聴者の心を救ってくれたテル(陰陽大戦記),高貴ゆえに軽くボケると悪目立ちすることがよくわかった真紅(ローゼンメイデン・トロイメント),そしてこれから先の活躍が楽しみなソルティ(ソルティレイ)と,特に目立った面子を選んだだけでかなりの数となりました.

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今年のギャグアニメ界では,「ボーボボ」の終了と「マイメロ」の台頭が大きかったですね.超高スピード,高密度,バラエティ味に富んだ「ボーボボ」は度重なる特番と不思議な延長の末に終了.とんでもない原作と浦沢御大というカリスマの元でやりたい放題を貫いた本作らしく,全ての面で他のギャグアニメとは段違いの世界を見せてくれました.ただしあまりに先鋭すぎる芸風は万人受けするとは到底言い難く,特にキャラクターのアクの問題はいくら作画を可愛らしくしても解消しきれるものではないし,そもそもこの濃すぎるアクがなければ「ボーボボ」ではないし(苦笑)…ともかくギャグアニメとしては大傑作です.
濃いキャラの方がギャグには有利なんですが,あまりに濃いと万人受けしない.だからといって薄いキャラには濃いギャグはできない.この背反する問題を独自の手法で突破したのが「マイメロ」です.デザインはサンリオ由来で愛らしく薄いわけですが,その性格設定を極度に濃くすることで薄くて濃いキャラクターを作り出した功績は大きい.見た目では一般受けしながらも内容は現代の笑いの最も濃い部分を爆走するという「ボーボボ」にはできなかったことをやってみせた野心作なので,今年だけでなく,来年の爆走ぶりも楽しく見守りたいですね.
昨年の「ギャラクシーエンジェル」や「シノブ伝」と同傾向の,萌えるギャグも今年は好調でした.台頭した「マイメロ」やハイレベルに作りこんだ笑いを提供してくれた「スクールランブル」,そしてオタク以外は全員置き去りの豪快な「ぱにぽにダッシュ」.これらの作品はハイレベルな画が笑いを支えていることも共通してますね.これらの作品から萌え・オタク要素をなるべく外して一般受けを強めていくのが「アニ横」や「ケロロ」.彼らの目指す遥か先には「ドラ」や「サザエ」の領域があります.
また昨年と同様,作品そのものが何かをやりすぎて天然ボケと化した怪作もいくつか出現しました.特にもはや美青年Wボケにしか見えない「マイネリーベ」や,テンションが上がりすぎてわけわからん状態に陥った「アクエリオン」は凄かった.あらゆる面で申し分ないのに,なんだってこんなことになっちゃったんだろう…(苦笑).逆に「らいむ」や「いちご」は,他はともかく笑いだけは妥協なく素晴らしすぎました.この2作は初代「シスプリ」の正統後継と言えそうだけど,あんまり言われたくないですか(笑)?
そして,シリアス作品に時折挟み込まれるギャグ回のレベルの高さに驚いた年でもありました.「ビィト」「ローゼンメイデン」「陰陽」「NARUTO」などはベースがシリアスとは思えないほどに壊れたところを見せてくれてびっくり.こんなことが時折起きるからギャグ以外のチェックも怠ることができないんだよなぁ.楽しいけれど大変です.

1強が全てを染め上げた昨年に比べると,今年は実力伯仲の鍔迫り合いが何度も見られた面白い年でした.年間を通し途切れることなく花咲いた笑いの色が,それぞれに違っていたのもうれしかった.予期せぬ状況に対する驚きこそが笑いの根本.先行者を乗り越えて未知の領域に切り込んでいこうとする魂こそが笑いには何より大切だと思うので,来年もそんな冒険心に溢れた素晴らしい作品が沢山見られることを期待したいと思います.とりあえず新年からは「練馬大根」と「おゆい」をマークだ!
それでは皆様,よいお年を.

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ガッシュ映画感想リンクとかハガレン感想とか

お盆…というか同人マンガ祭り明け,皆様いかがお過ごしですか? 自分は客先打ち合わせとか休日出勤をかいくぐりつつ!映画を見に行っております.今年既に見た映画の感想は以下の通り.

 R'sM>機動戦士Zガンダム 星を継ぐ者
 R'sM>逆境ナイン
 R'sM>魁!!クロマティ高校 THE MOVIE
 R'sM>劇場版金色のガッシュベル「メカバルカンの来襲」

ここ,映画レビューサイトじゃないから探しにくいんだよね(苦笑).
中でもぶっちぎりでハマった「メカバルカン」は既に2回見に行ってます.前回は噛みあわなかったAfter Dark, My Sweetさんとも今回は同じ気持ちだ! 五十嵐監督は神
でも映画興行成績ランキングでは~2005年8月7日で初登場8位と揮わないのが勿体無い.昨年と違ってプロモーションがあまりされてないのが響いている気がするなぁ.内容的に子どもでも青少年でも大人でもそれぞれの視点で楽しめる内容が変わってくるよい映画なので,ぜひ劇場に足を運んでいただきたいものです.

さて,「メカバルカン」レビューで目立ったところをいくつか.

After Dark, My Sweet. - 金色のガッシュベル!!~メカバルカンの来襲~.
 わにさん渾身のレビュー.ネタバレあり.
ふざけおにの庭 劇場版「金色のガッシュベル~メカバルカンの来襲~」観賞日記
 ネタバレあり.苦めの部分もあるけど全体は納得.ラスト太字こそメインテーマです.
Cinema Never Dies
 ネタバレは特にないはず.かなり豪快に炸裂するご都合主義はほら,時間ないし.
コケメモGS - 君とともに向かおう僕達はきっと光になれるさ
 ネタバレは特にないはず.2人に光が行って脇が暗くなってしまったのは納得.
アクエリアス:劇場版 金色のガッシュベル!!&初日舞台挨拶
 舞台挨拶の様子なども.櫻井ファンってのはそんなに多くて熱狂的なのかー.

他に読みがいがあって萌えてないやつ(笑)があったら,教えてください.
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鋼の錬金術師 シャンバラを往く者

原作既読,アニメ視聴済.アニメ(特に終盤2話)の凄まじい収束ぶりは想像を遥かに超える見事なものでしたが,映画は期待通りに良い出来だったのではないかと.もちろん並のアニメ映画よりも遥かに高いラインを期待されていたのだから,それに十分応えただけでも凄いんだけどね.青少年向けとして血や死を真正面から描く姿勢に揺ぎ無し.筋書きは比較的シンプルなんだけどそこにまぶされている専門知識の高度ぶりが相変わらずで,これは脚本家の趣味が全開なんだろうな(笑).
2年経過した割にはエドは思ったほど大人にはなっていない.その変化のなさはむしろ不自然な留まりで,この世界から未だに離れていない視聴者達をも示すんだろうか.いくら居心地が悪くてももうあの頃には戻れないし,居心地良くしていくには,自分で動くか,あるいは自分で変えるかをしなければならない…なんて葛藤とか苦しみは,進路選択「後」にほとんどの連中に待つ苦しみそのものだったりするんで楽しみに待ってろ青少年.根本的に娯楽のためではなく,メッセージを強く訴えるための映画なので苦味満載.娯楽を求めて見た人は,趣旨が意に沿うものでないと相当の居心地の悪さを感じるんじゃないかと思うんですが,映画館まで説教されにやってきたピュアな本来の観客が見れば,まさに心を直撃する内容のはず.
作画は総じて良好.特に2つの世界での色彩の使い分けが実に美しい.オープニングの静止画はDVD購入者はにやっとできるんじゃないかな.相当のエピソードを短時間に頑張って押し込めているのでどうしても説明が足りない部分が出てくるのは仕方ないんですが,特に初見の奴に厳しいのはラースのあたり.あれはアニメをちゃんと復習しておかないと感情移入しにくい.あと,焔の人は物凄くおいしいところを持っていくんですが,あまりに見事な「持って行きぶり」に,登場直後のシーンはもしかして趣味だったんじゃねえかとか思えてしまっていいですか(笑).
テレビシリーズでの終わり方は1つの美しい形だったけれど,この映画が加わることで,全体の姿がまた少し変わって見えるんじゃないかと思います.スクリーンや画面の中で描かれていることは,フィクションでありながら真実でもあるのだと,当然なんだけど大切なことを訴える声がきちんと聞こえてくるからアニメ視聴済の方はぜひ.

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劇場版金色のガッシュベル「メカバルカンの来襲」

「少し未来のメッセージの巻」

ものすごく楽しみにしていた臨海学校の朝,高嶺清麿は寝坊した.一刻も早く学校に行きたいのだがガッシュがいつものようにカバンに入ってついてくる.清麿はかなり無茶なコースを爆走した上にようやくガッシュを置き去りにすることに成功.バスは既に発車してしまったもののもう少しで追いつく…かと思われたそのとき,空から飛来した大きな影にさらわれてしまう.
ものすごく楽しみにしていた臨海学校の朝,ガッシュは結局置き去りにされた.しかも清麿との追走劇のおかげで,ガッシュの大切な友達,バルカンも傷ついてしまう.その事態の深刻さを理解せずに置き去りにした清麿の薄情ぶりに怒るガッシュを見つけてしまったのはあのナオミちゃん.ガッシュはあっさり捕まった上に,人質のバルカンにはナオミちゃんの操るロボの攻撃が迫る.この危機に上空から登場したのは巨大なバルカン型のロボット.彼はガッシュをナオミちゃんから救ってくれただけでなく,傷ついたバルカンを修理してくれるいい奴だ.
ものすごく二人が臨海学校を楽しみにしていたその朝,未来の魔界から魔科学者がやってきた.彼の名はDr.M2.孤高の天才科学者である彼は,自分のロボットの原型となったおもちゃを作った天才,高嶺清麿を自分のパートナーにするためにここまで来たのだ.バルカン型のロボットで清麿をさらい,さらに本来のパートナーであるガッシュを足止めしようとするDr.M2.しかしメカバルカンの中には,彼にすら解析のできないものが眠っていた.

劇場版2作目の「メカバルカンの来襲」,早速見てきたのでざっくりと感想を.今回も上映中の映画なので具体的にはできるだけネタばれないように頑張ってみますけども,なんせ完全には無理なので(笑),ネタバレが嫌な奴はぜひ見てから読んでくれ.今回は「ガッシュ」好きなら見て損なし! 笑えて笑えて切ないけれどやっぱり笑えて感動できる,「ガッシュ」のエッセンスがたっぷり詰まった楽しい映画です! …でも見てない奴にはちょっと勧めにくいぞ(苦笑).

今回は前回のに比べると思い切りターゲットを絞ってきていて,マンガやアニメで「ガッシュ」についてある程度理解していないと,本当にいいところの意味がわからない構造になってます.知ってる人にとっては余計な設定説明がない分だけたっぷりオリジナルストーリーが楽しめるわけで実に素晴らしい判断だと誉めてしまいたいわけですが,基本情報を全然知らない人が見るとどんな風に感じるんだろうか? とりあえず笑いのキレは終盤に至っても素晴らしいので,清麿の不幸ぶりをつまんで見ていてもそれなりには楽しいかな.しかし原作やアニメを知っていればより深く読める描写が多いため,涙腺を刺激される機会が増えることは請け合いです.ちなみに自分の場合は涙にはなりませんでしたが,終盤では暖かく切ない気分になりました.

主要テーマはストレートに「友達」.主役はガッシュと清麿.それ以外の連中,特に魔物のパートナーたちの扱いは緩くて適当でご都合主義なので覚悟してくれ(苦笑).ガッシュはいつもよりやや幼いくらいなんですが,前の映画に比べると清麿が実に若くてガッシュの保護者どころか同格で喧嘩しちゃっているのが楽しい.設定年齢からすればいつもがむしろ老けすぎで,本来はこのくらいの思慮のなさを見せて当然なんだよな.
四代目が板ばさみになりながらも急速にガッシュに近づいていく様子は間違いなくお約束なんですが,そのお約束ぶりが見ていてうれしくてたまらない.無条件の深い信頼に対し精一杯応える彼もまた原型製作者の分身.Dr.M2は出会いのなかった清麿で,それゆえに今や先の清麿とは明らかに違う…って感じか.全てのバリエーションがガッシュの存在によって生み出されていることに気がつくと,感慨深かったりします.
で,そんな深さを微塵も感じさせない笑いも凄い! 抜群のテンポで展開されるガッシュと清麿,そしてDr.M2と清麿の歯に衣着せぬ掛け合いというか小競り合い(笑)は動きもノリも実に見事.当人達は物凄く本気なのに,その真意を知らない観客その他にとってはギャグにしか聞こえないという小粋な技も満載です.さらに清麿ばかりを執拗に襲う不条理と不運の嵐も大変に愉快.ガッシュは体が強くてずるいなぁ(苦笑)….たとえド迫力のアクションシーンに入っても,バルカンの形のユーモラスさがあって深刻になりきらないってところまで,いかにも「ガッシュ」らしくて楽しい.

マンガやアニメをよく知っていることが前提の映画の割に,いつものキメ台詞が全然出て来ないという実にひねくれた映画なのですが(笑)本作を楽しむのに最低限押さえておくべき前知識としては,

  • ガッシュは魔界の王を決める戦いのために,魔界から人間界にやってきた魔物の子の一人
  • 人間界で魔物が術を放つには,その魔物のパートナーが本を持って呪文を唱えなければならない.術はパートナーの心の力を使って放たれる
  • 清麿は天才ゆえに元々孤立していたのだが,ガッシュのおかげで学校に居場所ができた
  • 王を決める戦いでは,本を燃やされた魔物の子は魔界に戻り,最後に残った一人が魔界の王となる
  • 王を決める戦いには戦いたくない者までも参加させられている.ガッシュたちは王を決めるための戦いをやめさせるため,一緒に頑張ってきた

もちろん知ってる奴にとってはごく当たり前の話ばかりなんですが,このあたりの基礎知識があるかどうかで読み取れる内容が大幅に変わります.もし一緒に行く奴が知らない奴の場合には,映画の前に説明しておくといいんじゃないかな?
で,「この程度は常識でしょ?」と言い切れる奴にお勧めしたいのがメカバルカンの出自について拾うこと.メカバルカンがなぜ今ここにあるのかについては作中で控えめに描写されているわけですが,点々と置かれたそれを最後まで拾っていくと,ラストでの切なさがより一層増すことは間違いなし.今,既に知っていることの優越感をたっぷり楽しめる映画になってますんで,既に「ガッシュ」大好きな皆様はぜひとも劇場に足を運んでいただきたいと思います! 面白いよ!

(追記)写真追加.メカバルカンはあわてて作った(笑).

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夏映画いろいろとか脚本:浦沢先生とかZ感想とか

花粉が終わったと思ったら今度は梅雨どころか台風がやってくるのかと思ったら猛暑がやってくるという節季乱れまくりの今日この頃,皆様いかがお過ごしですか? たとえ大きな目的のためであっても大鬼門の建造はやはり困ります.
光希桃 Anime Stationさんから2005春 感想率調査開始のメールを戴いてしまいました.お手数おかけしてすいません.
実際,現行感想作品は絞りに絞り込んで毎回5本以下だし(笑),終了作品については以下にある程度まとめているし,
 3月終了アニメ雑感・1 3月終了アニメ雑感・2
締め切りまでには点数を変換して提出したいと思います.
結果が発表された暁には,「アニメ感想界全体印象順位」もまたまとめてみましょうか.本当は2次元でプロットしてグループをつくりたいんだけど,そこまで手が回るかどうかは忙しさによるかな(苦笑).
ちなみに前回分はここ.「2005年新春終了番組評価調査」感想
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最近の外出の記録.

仕事で出かけました.横浜中華街なんて,一体いつ以来だろって感じ.今週も行くことになってます.…昼食を抜いて遅い昼休みを取れば,打ち合わせのあとで食事してから戻っても大丈夫だよな?
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珍しく映画づいております.

7月2日公開は逆境ナイン.公式サイトの最初のフラッシュ読むだけで笑えるもの(笑).楽しみだ!
7月23日公開は劇場版鋼の錬金術師.夏アニメとしては皆様すでにおなじみのビックタイトルなんですが,「ガンガン」本誌等を先頭とした内容についての段階的な露出がなかなか面白い.飢餓感をいい感じに煽るよね.
7月公開魁!!クロマティ高校THE★MOVIEローソンの特典が魅力的! キャストが飛び道具とか反則だらけのところがたまらない.
8月6日公開は2005 劇場版金色のガッシュベル「メカバルカンの来襲」,これはもうあらすじだけで楽しみで仕方がありません(笑).公開する映画館では,既にカレンダーや組み立てバルカンを無料配布しているところもありますよ.

…とまあこのあたりはちょっと先の話.
現在公開中の「オペレッタ狸御殿」.相当癖の強い映画のようで,オペレッタ狸御殿@映画生活トラックバックへと集まってくるレビューもなかなか微妙.要旨としては「脈絡なくいろんなものがはじまるけどそういうもんだから一切気にするな!気にしたらむしろ負けだ!」にどうやら落ち着くようなのですが…って,あれ?

其ウェブログさんより,
「遂に本日より封切りの映画「オペレッタ狸御殿」(監督:鈴木清順、脚本:浦沢義雄)を観に行きました。」

…そりゃ評価がばっきり割れて当たり前だ(苦笑)! 脈絡なくはじまるいろんなものって,要するに実写版聖鼻毛世界ってことだよなきっと! 特殊なアンテナ装備の人間でないと面白みが理解できない種類の映画のようなので,間違いなくそのアンテナを持つ人間としては,ぜひとも打ち切られないうちに見に行きたいと思います!
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機動戦士Zガンダム 星を継ぐ者
G以外の「ガンダム」についての知識がろくにない状態で観賞するという時点で大変な無謀であり冒涜であったわけですが,それでも精一杯頑張って視聴.感想は…展開がとんでもなく速い(笑).物語面は1クールの深夜アニメを3倍速にしたくらいにテンポが速いので,「TV版視聴者向け」という評判に間違いはありません.初見の人は冒頭でまず振り落とされるだろうし,それで耐えても中盤まででさらにふるいにかけられるという恐ろしい作品です.
とはいえ,前知識なしで見るとつまらない,わからないというほどにサービスのないアニメでもありません.巨大なテレビ画面(笑)で繰り広げられる派手で目まぐるしい戦い(TV映像でもかっこいい)や,中盤からのなんかよくわからんうちに名のある人たちが急激に寄せ集まっていく様は確かに楽しい.前半で多少話に置いていかれても,後半の高テンションに引き摺られて最後まで見てしまう….もうちょっと前半がわかりやすかったら悩まずに後半に身をゆだねることができたかも知れないけど,あれ以上わかりやすくするとなると,今度はTV視聴者を切り捨てる(=カミーユさんが完璧な脇に回る)ことになったかもしれないな.
自分と同じように知識なしで見に行く場合には,クワトロの人を軸として見るとわかりやすくなります.映画単体だと,カミーユさんの性格が本当になんだかよくわからない(苦笑).そして,よくわからなかろうと眠かろうとじっと耳を凝らすこと.重要なタームについては繰り返し出てきますんで,ぎりぎり理解できるんじゃないかと思います.
TV版の視聴者はぜひ次の映画のために行ってみてください.そしてそんな人に連れていかれてしまう場合は,頑張ってこの溢れる情報の濁流に揉まれていただきたいと思います.不明点については,映画が終わったあとで同行者がたっぷり説明してくれるはずです(笑).
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面白そうなので入社してみました

システムから人事制度まで,あらゆる面でツッコミどころ満載の会社です.…凄い天然だよどう見ても(苦笑).広い心で「これが本当の会社じゃなくてよかったなぁ」と笑って許せる方だけに特にお勧めしたいと思います(笑).

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らいむいろ流奇譚X#7

「犬養は本当に丈夫だなの巻」

ついにファーデン騎士団の本拠地,エルミタージュに攻め込むことになった礼武隊と戦艦天乃原.恐ろしい敵の気配に怯える少女たちは,向かってくる大量の敵礼武にも苦戦中.しかし,彼女たちの心を後で指示する犬養が支えている.礼武隊の金色を輝かせるのは,彼女たちの先生の存在だ.だが,敵もそれを見逃しはしない.敵の攻撃に襲われて天乃原から地上に落とされる犬養.気を失った彼は敵・リネンによって攻め込むはずの本拠地の中へと運ばれてしまう.

提供バックが一番良い絵という微妙な事実でおなじみの「らいむいろ」.でも今回は本編がOPより良い絵でした.今期書いていないものの中ではバカさとエロさでかなりのお気に入りです.今週はレギュラーが1本休みなのと,なんせアレは書くのに気合がいるためできるだけ休日に回したいので(苦笑)悪い病気をちょっと発動させてみたいと思います.
前回までで礼武隊から文字通り体当たりで信頼を得ることに成功した主役であり先生でありご主人様である犬養.しかし少女たちの必死の戦いぶりに,次第に一緒に戦える力が欲しいと強く願うようになります.今回はそんな犬養の晴れ舞台!なんだけど…滅茶苦茶な展開はいつもの通り(苦笑).主役は魔物並みに丈夫です.敵側ではリネンの黒さが素晴らしい.
前半.冒頭からついに宿敵ファーデン騎士団の本拠地にどうやら攻め込むことになったらしい一同.で,暗雲の向こうの本拠地は山の頂上にそびえる城.よくまああんな面倒なところにでかい城を建てたもんだなと冒頭から感心(笑).この危機状況に天乃原クルーの皆がてきぱきと準備し警戒しているなか,お約束なのであんまり緊迫感はなくもさもさと着替えている礼武隊の皆さん.まあ,お約束ですからね.戦艦の守備位置についたお嬢さん方に遅れて出てくるのが主役の犬養で,登場直後からなぜか絶叫.どうやらほとばしる漢の気合を表現したらしいですが,礼武隊が怯えている原因はその声じゃないのか(苦笑).邪悪な気配に怯えるお嬢さん方を見て,自分にも礼武があればとまたも考えている犬養.いくら仲良くなったとはいえ,結局犬養は後ろで応援してるだけですからね.
そしてはじまる大決戦.敵の大量礼武に対し戦いを挑む5人の礼武隊ですが,本拠地の近さからかパワーアップしている敵におびえもあって最初は苦闘.しかし,天乃原には主役こと熱血バカ先生がいるのでその声に心を暖め心の金色を輝かせる礼武隊.2話から前回まで礼武隊の皆と先生の交流の様子が割と楽しく描かれてきたので,彼女たちが先生を頼りにする気持ちはわからんでもありません.犬養の存在は礼武隊を支え,さらにその出力を上げ…しかしこの能力底上げ装置を敵が見逃すはずがありません.微妙に逆恨みで狙われた犬養は敵の攻撃を受けて地上に落下.ちなみにこの天乃原,空の結構高いところを飛んでるんですが,犬養はそこから落下…って普通は間違いなく死ねるはずなのになぜか五体満足で地上に落ちている犬養.先生が生きていてよかったという安堵感よりもむしろ「なんで生きてんだよ」という気持ちで一杯に(苦笑).あ,ちなみに戦いの中で敵の本拠地の城の名が「エルミタージュ」という名であることが判明するんですが,あの城ってそんな形だったっけ?

後半は超展開.犬養を失い,心の拠所を失った礼武隊は壊滅寸前.なんせ礼武は彼女たちの気持ち次第で出力が変わるというアバウトな仕様.先生がいないために落ち込むと礼武の維持すらできないわけですね.戦う意思を失いかけた礼武隊に気合を入れるのがこの船の主である九鬼様on番台.その超常能力で犬養の生存と居場所まで確認してくれる九鬼様.本作最強のキャラのはずなので,彼女が前線に立てば戦いもさっくりと終局するに違いないんですけどねぇ.そんな九鬼様の力によって,「エルミタージュ」という名の城に送られる礼武隊.
一方,あの高さから落下してもふつーに生きていた犬養は,「エルミタージュ」という名の城の中で目を覚まします.いくら犬養が普通の人間だとしても,いきなり玉座の前に連れてきているリネンの考えがよくわかりません.もうちょっと痛めつけたり縛ったりして,抵抗できないようにしておくべきではなかったのか.玉座に座るのは騎士団の主,ファーデン公爵夫人.しかし礼武がない犬養はやはりどうしたって無力であり…という状況でいきなり訪れる闖入者ども.5人のお嬢さん方が壁をぶち破ってご登場! これはもちろん策略,犬養を餌にして釣れた5人の礼武隊は抵抗できずあっさり捕われの身に.この大雑把な展開こそ「らいむ」らしさと言えましょう(笑).
そしてはじまるサービスタイム.今回,宙づりの5人のお嬢さんはリネンからネズミやら溶ける液体やら目隠しやら鞭やらで責められるというMぶりを披露.特に目隠しされて逃げられなくなるかすりは気弱にも程があると思います.ちょっと好き(笑).そんな仲間たちの窮状に己の身を投げ出すのがつむぎ.ものすごい顔で錦を責めていたリネンはこれに感動するんですがもちろんブラフ.おかげで今度は礼武攻撃の直撃を食らう犬養…はもう絶対死んでておかしくないんですが,やっぱり生きている事実が不思議.
さらに発動するファーデン公爵夫人の手のエッグ.人の礼武を吸い取るこの装置に苦しめられる生徒たちを見た犬養は,強く,皆を助ける力が欲しいと願います.その心と生徒たちの先生を思う気持ちは…なぜか集中して愛の力に! ハート型の礼武の塊が先生にぶつかると…なぜか白いヒーローに変身する犬養!って1話で見たときにはうろたえたなぁこのシーン(苦笑).主役がただ精神的な支柱をこなした前作よりも,熱血主役が直接攻撃に向かう本作のほうが,今後のクライマックス戦闘が面白くなるんじゃないかと.デザインはアレですが,いいギミックを組み込んだと思いますよ.怯えるリネンさんは可愛いなぁ.
溢れる愛の礼武で敵礼武2体を押したまま公爵夫人の鼻先に迫る変身犬養の気合が素晴らしい.しかし玉座も城も偽者.そりゃあんなところに「エルミタージュ」があるわけないし(苦笑).敵はエッグとともに消え,崩れる建物の中で潰されそうになる礼武隊を救う金色の光は,もちろん犬養.
5人一山を天乃原に連れ戻し,犬飼は半裸のまま気絶.それを抱きとめる胸は…男かよ(苦笑).たしかに娘さんたちは横で山積みなんですが,一乗寺さんが抱きとめてくれてもいいじゃないですか(笑).ありきたりではあるものの,犬養が自分の生徒たちを守る力を手にいれることができたのはよかった.今後は変身犬養が主力になるんでしょうが,それによってかなり大雑把な礼武戦にも見所ができるといいなぁなどと思いつつ,見守ってみたいと思います.

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R'sM 2004年アニメ大賞

いよいよ今日で2004年も終了.他サイトさんでも様々な今年のアニメ総決算企画が並んでいて楽しいので,自分もやってみることにしますよ.もちろんここが評価しなければならない点はたった1つ,「笑えるかどうか」です!
この1年,ここで長文あるいは短評で触れたアニメから,私的なベスト3を部門ごとに選択してみたいと思います.見ていないあるいは触れていないあるいはシリアスなアニメは評価対象から外れてますんで,どうかご了承を.ちなみに好きな大先生は手塚でも藤子でもなくひたすらに赤塚.中でも「おそ松くん」が最高です.テクニックよりはノリ重視.考えてじんわり来る高度なネタよりは一瞬で爆笑できる直球ネタを高く評価します.

<ツッコミ部門>
まずは愉快なだけではともすればダレていく作品に絶妙のタイミングで冷や水をぶっかけ,同時に視聴者の代弁をしてくれた優れたツッコミから,ベスト3を選出!

 1.ビュティ(ボボボーボ・ボーボボ)
 2.神山高志(魁!!クロマティ高校)
 3.高嶺清麿(金色のガッシュベル!)

2004年を代表するツッコミと言えばビュティさんで間違いないでしょう.大暴走する仲間と敵にコンパクトにツッコミを入れ続けるその体力はまさに可憐なる鉄人! 比較的そのまま叫ぶので話芸としてはそう高度ではありませんが,間の絶妙加減と回数が他のツッコミを圧倒しています.ボケまくる他の番組を見ているときには,つい「ここにビュティさんがいてくれたら!」と願ってしまうものです(苦笑).
2位以降となる神山と清麿は共に櫻井氏ですね.ただしタイプは大幅に異なり,どうしようもない周囲に対し冷静にツッコミつつも.油断するとまったく別の方向に話を誘導してしまうという脅威の話芸を誇る神山と,同じくどうしようもない周囲に対し熱い感情のままにツッコむものの大抵は最終的に状況に流されてしまう(笑)ヘタレツッコミぶりを誇る清麿は好対照.トリッキーな話芸の凄さから神山をより高く評価していますが,ギャグとシリアスの両方をこなせる清麿も実はかなり器用で素晴らしい.

4位以降.独特の暴力ツッコミを見せてくれたメグ(レジェンズ)とボケまくる親友とお邪魔虫に対し果敢に耐え続けた楓(ニニンがシノブ伝)はそれぞれ直球ですが魅力的なツッコミを見せてくれました.暴力ボケを受けつつも流血しつつツッコミ続けたリキッド(PAPUWA)の健闘も讃えたい.キャプテンブルーJr(ビューティフルジョー)はツッコミによってボケばかりでバランスを崩しかけた作品全体を見事に安定させることに成功.河内恭介(焼きたて!!ジャぱん)は今年よりは来年が正念場.良いツッコミを見せてくれるのを期待しています.最後,ボーボボ(ボボボーボ・ボーボボ)は主役らしいボケの入った暴力ツッコミを評価.彼が凄いのはボケとツッコミ,両方完璧にこなせる点ですね.

<ボケ作品部門>
何かの間違いで(笑)作品そのものがおかしくなってしまい,ひたすらにボケ続けた作品について特に表彰します.視聴者に対する無謀な信頼がなければ制作不可能な脅威の作品はこちら.

 1.ギャラクシーエンジェル
 2.アークエとガッチンポー
 3.クラッシュギアNitro

この部門は「ギャラクシーエンジェル」のためにあると言い切っても過言ではありません(笑).たった1クールですが登場人物全員で投げまくったその雄姿は首位に相応しい.特に優れたボケ・ツッコミがいるわけではありませんが,それぞれが忠実に己の役をこなし,笑いをとっていくという劇団的な芸風を評価したい.
2位は一応ツッコミ役のタケシがいるもののほとんど役に立たないくらい作品のボケがひどい「アークエ」に差し上げます.いや,本当に作品全体が無茶苦茶なので,来年の時間変更が楽しみです(笑)! 3位は抜群の電波を放って自分を魅了した「Nitro」.笑いの面では元々主役の勝の不条理なボケが凄かったんですが,そのボケが中盤以降全体を包み込み,終盤に至っては作品そのものの1つの味になってしまったあたりが素晴らしかった.

4位以降.あまりにも真剣すぎるのが面白すぎた「リングにかけろ」と,きちんと笑わせることを狙って中盤を作りこんできて見事にハマった「光と水のダフネ」が良かった.「マイネリーベ」はリンかけ型なんですが,終盤の展開で我々をどこまで笑いのめしていただけるんでしょうか.非常に楽しみです(笑).

<ボケキャラ部門>
お笑いの花であるボケ.時には知的に,時には不条理に,そして時にはどうしようもなく下品に(笑)高度な技術力で画面を縦横無尽に駆け回った脅威の花たちを表彰!

 1.首領パッチ(ボボボーボ・ボーボボ)
 2.メカ沢新一(魁!!クロマティ高校)
 3.ケロロ軍曹(ケロロ軍曹)

バラエティ豊かな芸人を揃えすぎた(笑)「ボーボボ」ですが,首位となれば首領パッチ以外は考えられません,ボーボボとの絶妙なコンビ芸も恐ろしいですが,ピンでも十分に見応えのある舞台を作り出せるその才能は首位にふさわしい,十年に1人の逸材.
次点はこれも多彩な芸人を揃えた「クロ高」を代表してメカ沢を.笑いが取れる絶妙な見た目とそれに嫌なくらいはまっている声,さらに漢気溢れる態度と天然ボケとしては今年最強でしょう,3位はベテランらしい見事な演技力を見せてくれた軍曹に差し上げたい.爆発力には劣りますが,笑いを取るために計算された正統派の気持ちのいい演技が素晴らしかった! この3人は本当に素晴らしいんですけども…人外ばかりになってしまったなぁ(笑).

4位以下.音速丸(ニニンがシノブ伝)は状況を理解してなおかつボケている老獪な芸風.ボケでは今年の若本氏の活躍は目覚しく,ゲストですがビクトリーム(金色のガッシュベル!)の突き抜け具合も凄まじいものがありました.忍(ニニンがシノブ伝)はシンプルかつ愛らしいボケというかお色気ボケというか…ともかく目の保養ではトップです(笑).ボケは少数の番組に逸材が揃い,OVERとのコンビネーションが素晴らしかったところ天の助(ボボボーボ・ボーボボ),その考察方向がお笑いマニアには他人に思えない山口ノボル(魁!!クロマティ高校)にも触れておきたいところ.さらに最近デビューした作品を台無しにしかねない深刻なボケの太刀花リク(陰陽大戦記)と,今すぐビュティさんを派遣したい精神年齢小学生コンビオルフェ&ルーイ(マイネリーベ)もまた非常に有望です.
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今年はやはり「ボーボボ」の完成度が圧倒的でしたね.超高スピード・高密度で展開されるとんでもないネタの数々はこれまでのどのジャンルのギャグとも質が違う,まったく新しい何かなんですが,バラエティ番組風味溢れる原作の勢いをそのまま映像化した技術力を高く評価したいです.適当にやっているように見えて実際は非常に高度な計算の上に作られているこの作品は,普通のアニメの歴史には残してもらえないと思うんですけども(笑)完結していない現状であっても,間違いなくギャグアニメの歴史に残る大傑作だと思います.
より一般受けを考えて絶妙のコントロールがされていたのが「クロ高」と「ケロロ」そして「シノブ伝」でしょう.誰もが安心して見られるように丁寧に作られたこの3作は実に良質なギャグとなりました.中でも丁寧でありながらかつ笑いの爆発力も兼ね備えた「クロ高」は傑作と評価するに相応しい.
「ボーボボ」と同じく独自の笑いを強く押し出し,一般受けを犠牲にしても芸を突き詰めたのはボケ番組部門の「ギャラクシーエンジェル」「ガッチンポー」ですね.どちらもやる気でやっているので怒っても反省しそうにないところが大好きです(笑).作品の雰囲気ぶち壊しすら厭わない「ガッシュ」や「陰陽」のギャグパートもこちらに入るかな.
一方意図があるかどうかは不明ですが,作品そのものが何かをやりすぎて(笑)天然ボケと化した「Nitro」「リンかけ」「マイネリーベ」は見る側に通常よりも高度なお笑い解読能力を要求するものの,そこから染み出す天然の味わいが素晴らしかった! 特に「リンかけ」「Nitro」の感動してるんだか呆れて笑ってるんだかわからないという異様な精神状態は,未体験の方にぜひ一度味わっていただきたいですね.

そんなわけでこのサイトとしては,今年は見るべきものの多い,非常に楽しい一年でありました.来年も徹底的に笑いのめしてくれる素晴らしい作品が次々に出てくることを期待しつつ,年末のご挨拶とさせていただきます.
では皆様,よいお年を.

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