ギャラクシーエンジェル#13

「最後まで投げ一筋の巻」

(A)烏丸ちとせは今日もエンジェル隊への復讐に勤しむ.毒饅頭を準備したがさすがのエンジェル隊もちとせの復讐心だけは学習したようで受け取りを拒否される.ロストテクノロジー整理の仕事中も復讐から頭が離れないちとせが発見したのは,書いたことが現実になる夢ノート.副作用として使用者はやせ衰えていくのだが,憎きエンジェル隊を倒すためにとそれを手に取った.まずはエンジェル隊を血まみれにしようとしたら皿まみれ,天井を落とそうとすると天丼が落ちてくる.エンジェル隊以前に己の字の汚さに敗北するちとせだが,ノートに己の立身出世の様子を書いて現実化し,あっという間に軍の大元帥の地位に着く.権力を手にいれたちとせはエンジェル隊に全滅必至の過酷な命令を下し復讐に成功.しかしやせ衰える体を維持するには,ちとせはひたすら食べ続けるしかない.

(B)究極のロストテクノロジーを探すエンジェル隊だが宝箱の中には隠れんぼ中のノーマッド.そんな不条理ドラマ「ギャラクシーエンジェル」の今日の撮影はこれで終了.3年続いた長期シリーズも残すはあと1話だ.実在のエンジェル隊をモチーフとして制作されているドラマだが,演じる役者たちは誰も本物の彼女たちに会ったことはない.ごく普通の暮らしを送る役者たち.番組が終わることは少し寂しく,しかしその先の芸能活動にも思いを馳せる.
次の日.撮影の最中に本物のエイリアンが襲来して攻撃を開始.ドラマどころではない非常事態に避難する役者たち.ドラマの中とは違いなんの力も持たないはずの彼女たちを,軍が迎えにやってきた.

水曜深夜を駆け抜けた「ギャラクシーエンジェル」も今回で終了…とはいってもこれだけ終了慣れしている作品もそうはないんじゃないか(笑).今期は深夜という時間帯を背後で生かした作品が多く.特にギャグで定評のある脚本家をここまで揃えられたのは番組そのものがここまで追求してきた「投げ」の魅力あってのことでしょう.前期シリーズに比べると放送コード的なタガが外れたのと想定視聴者がマニアになったことでよりマニアックで難しい笑いが投入されたことは事実ですが,回を重ねこなれたがゆえの熟練の面白さは長期シリーズゆえのものです.シリーズ終盤を飾るのは復讐の終幕と実はドラマだった!というメタネタ.最終回ネタで思いついたことは全部やるという制作側の姿勢がいっそ清々しい.

前半は烏丸・復讐・ちとせ最終章.今期参入した美少女のはずが,これまでは視聴者の意図に反してちゃんとからめないどころか出番がレアというマニアックな方向性で攻めてきました.ファンにとっては出番の少なさが不満でしょうが,印象の薄い新人アイドルの売り込み方としては正しいのではないかと.復讐=ちとせくらいにはキャラが立ちましたからね(苦笑).今回は毒饅頭で挑戦しますが露骨にやりすぎちゃって失敗.余程のことにも懲りないエンジェル隊に危険人物として認識されるようになったのは,彼女のこれまでの熱く激しく迷惑な活動あってのこと.最終回なので神がちとせさんに与えたロストテクノロジーはドリ…書いたことが現実になる不思議なノート.その代償としては書いた本人がやせ衰えるわけですが,そこを過食でカバーしようとするあたりがちゃんとギャグアニメです.
ちとせさん,まずはエンジェル隊をひどい目に遭わせようと比較的わかりやすいことを書いてみますが誤字で大失敗.書いている内容の血なまぐささはありますがやっぱりちゃんとギャグアニメ.しかしここから始まるちとせの立身出世物語.本に書けば字が綺麗になれるのはもちろん,受験だって昇進だってもはや思いのままで大元帥に.あのコスチュームにものすごい既視感が(苦笑)….そして復讐最高潮.エンジェル隊を呼び出した上で人事異動を命令します.主役が小宇宙を燃やしてもノートを持つちとせには勝てず,有事には突っ込んで爆死,あるいは訓練中に死亡という特殊攻撃部隊に行かされるエンジェル隊.
人は何かを手に入れるためには相当の代価が必要で,ちとせさんの場合は体重.その代価を本の力で手に入れようとしたちとせさん,当然のように巨大化しすぎで大失敗.特訓中?のエンジェル隊が目にしたのは,巨大化の上にシュバルツシルト面より小さくなろうとする大元帥! 今回はちとせさんがはじけているのでエンジェル隊がツッコミ役を担当.「何がしたいのよあんたは!」って心の叫びはまさに視聴者のものです.意地を張ってエンジェル隊に助けを求めないちとせに対し,エンジェル隊で唯一ツッコミができない天性のボケことミルフィーさんが友情を伝えます! 「嘘ですよね!」「…嘘でーす!」うわ頭悪いなぁ(苦笑).しかし気持ちが通じ合ったのもつかの間,己の中に友こと主役を吸い込んでしまう「ギャラクシーエンジェル」最終回.主役不在ゆえに崩壊し拡散し破綻していく物語.まさか劇場版エヴァになるなんて(笑).ちとせが書き残したノートへの最後の願いを叶えるかのように,遥か宇宙のどこかで始まる再びの出会い.人は一人きりでは人ではいられないので他者が必要なわけですが,ちとせさんが差し伸べた手はいつかは誰かにきちんと握ってもらえるんでしょうか(苦笑).ちなみに1話後半ラストでのカウントダウンがちゃんと達成されてます.

そして最終話.後半はいきなり軽いコメディから始まったのかと思ったらドラマの撮影.3年続いた長期シリーズということでこれまでの作品は全てトランスバール中央テレビ制作のドラマであった可能性まで出てくるバリバリのメタネタです.長期シリーズの終盤ということで名残惜しさを感じる出演陣の姿に,今期シリーズの終局を一緒に寂しがったりしときましょう.役者の皆さんの普段着の姿が実に生活観溢れていていい感じ.リアルさでは1話前半もかなりいい感じだったのですが,そういやあれも前半はまともな?不条理展開に見せかけてラストは滅茶苦茶だったよなーと思ったら今回もか(苦笑).役者たちが日常生活で見せる普通の顔は役柄とは全然違って,快活なヴァニラ役としっかりしたミルフィー役は普段のイメージに反して麗しい.田舎から荷物が送られてくるミント役,そして屋台に集うフォルテ役,ランファ役,ちとせ役.次の仕事についてまだ先を決められないでいる彼女たちの姿は寂しいですがきっと頑張って実力を出し切った終末だと思うので,さわやか.
しかしこのままいい話で終わるような「GA」ではありません.最終回の撮影だったはずがいきなりドラマが現実に.未知のエイリアンによる攻撃で軍に呼ばれて代役の依頼! ここまで不条理ギャグドラマをやってきてますから多少の超展開にはついていけるはずの役者たちも,いきなり実在しないエンジェル隊のかわりにプロパガンダのために最前線に出ろというのは想定外だったようで狼狽.しかし選択の余地なく連れてこられた最前線は…いつもだ! いつものダメなノリが戻ってきた(笑)! とりあえず作り手の側はきっとフォルテさんが大好きだったに違いないので,今期はよかったなフォルテさん! 不条理な状況ゆえに目覚めていく役者たちの中のオリジナルの魂.なんかエンジェル隊としては目からビームとか間違ってるけどもう最終回だから思う存分やってくれ! 大ボスに対するミントさんのタバスコ喫煙は,番組もろとも敵を葬る作品生命をかけた大技です.そして変な大団円…をテレビで見ているミルフィーさん.これもまたドラマの1話だったんでしょうか.
この作品が背負ってしまった「投げ」という売りを十二分に見せたいい最終回だったのではないかと思います.終盤まで作り手のエゴよりも笑いを優先させたあたりはプロの仕事でしょう.わざと若々しい滅茶苦茶ができるのはベテランの技術あってのことですので,話だけでなくそれをほぼ支えきった作画の手堅さも誉めておこうと思います.で,次回作はいつですか(笑)?

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ギャラクシーエンジェル#12

「あの連中に関わろうなんて命知らずもいいところだなの巻」

(A)任務中,ちとせは復讐に使えそうな「命と引き換えにぬいぐるみにするロストテクノロジーの杖」を拾う.復讐に対する執着心の強さはエンジェル隊にこそ似合いだと,ツインスター隊から配置換えされるちとせ.しかしエンジェル隊の面々はちとせを完全無視.そんなに自分が嫌いかと感極まるちとせに対し声をかけたのはノーマッドだった.ちとせはどれも中途半端なので存在感がないのだが,最も大きな問題は無償のはずの愛に見返りを求めていることだった.キャラを強め無償の愛を体現するため,ちとせは思い切った行動をとる.

(B)いい男だがダメ男のジェイにやたらご執心のヴァニラにノーマッドは気が気ではない.ジェイの行くところならどこにでもストーキングを敢行するヴァニラだが,そのきっかけとなったのは雨の中のたった一度の邂逅だった.そりゃひとめぼれだと周囲に言われても絶対に信じたくないノーマッド.他のエンジェル隊メンバーにヴァニラを救ってほしいのだが全員が静観の構えをとり,そしてヴァニラはもう止まらない.

今期投げて投げまくった「GA」もいよいよ終了間近.シリアスは前回こなしたので残る4話は一心不乱にギャグるつもりに違いない.ただし今回は投げよりも中盤の転がし具合が両方とも楽しく,全体としてのベストではありませんが脚本の両氏の持っている強みが今までで一番よく生きた愉快話ではないかと.短時間にエピソード満載でもきっちり転がせる力量,女性ならではの男性に対する視点の鋭さ,両氏とも今までで一番輝いてますのでしっかりと面白い.そして両話とも視聴者とエンジェル隊について暗喩している部分が多く,その底意地悪さが楽しいですよ特に後半.

前半はこれまで随分と割り食っていた烏丸"復讐"ちとせさんをクローズアップ.エンジェル隊が濃すぎるがゆえにまったく仲間入りできなかったちとせさん.今回はぬいぐるみの杖という復讐道具ゲットの上に辞令でエンジェル隊に潜り込むという好機を得るわけですが…キャラとしての中途半端さゆえに相手にしてもらえないのはいつもの通り.気の毒に見えるのは彼女が復讐心以外は普通だからでしょう.ちとせさんは「エンジェル隊と一緒に過ごせたらきっと楽しいだろうな」という視聴者の無邪気な希望をそのまま体現していますが,現実ってのは厳しいもんで,ちとせさんほど現実的には濃いキャラであっても「あの」エンジェル隊に新規加入するにはキャラが立ってないという恐ろしさをノーマッドは指摘.もしこの作品が昼間のものだったら次第に受け入れられていくはずなので,「ダメなものはダメ」と拒否されるこの芸風は実は深夜ならではです.
ノーマッドからキャラの薄さと「無償の愛」についてアドバイスを受けたちとせさん.復讐を取りやめた上,報酬を受け取れないぬいぐるみに己の姿を変えてエンジェル隊に再挑戦.ぬいぐるみ要員で癒し路線にキャラを変更.確かにこれくらいダイナミックなキャラの変更だとエンジェル隊も気にはしてくれたんですが…飽きるまでにかかる時間が一瞬ってのが無情(苦笑).
表面上の変化くらいでは誰も関心を示さないという脅威のタレント軍団エンジェル隊ですが,ちとせさんは内部紛争の間に入ることによってキャラ立ての道筋を掴みます.確かに全員十分すぎるほどにキャラの立っているエンジェル隊ですが,逆に黙って悩みを聞くという逆ベクトルのキャラは彼女たちの対極にあって空席,そこに見事におさまったちとせさんはキャラ確立に成功! 「黙って聞く」あたりがミソでノーマッドでは突っ込んでしまうのでできない役柄なわけですね.
ようやく3人には気に入られ,立ち位置を得たちとせさん.必要とされる喜びを味わったのもつかの間で,引っ張られて壊れてごみ回収ですぽん.さすがはエンジェル隊.通常構成に1人を加えるということはそれだけ元からいるメンバーの出番が減るということなので無意識のうちに粉砕です.さすがベテラン芸人(笑)! 投げは弱いですけども特に中盤(ぬいぐるみ化)がよく破綻しているので,きっちり面白いのが素晴らしい.

後半はヴァニラさんというよりはノーマッド全開.エンジェル隊への手出しはできないものの口だけは出せるという彼はまさに視聴者並びに作り手の意識が最も色濃く投射される対象…すなわち最高のツッコミ要員なわけですが,そんなノーマッドが大ファンのヴァニラさんが他の男に興味を持っちゃって燃えさかる彼の嫉妬心.そりゃ視聴者だってお気に入りのヒロインがあんなのとくっつく筋書きになったら平静ではいられないんでしょうが,でも周囲のコメントは妥当な場合が多いので耳を貸すべきだと思いますよやはり(笑).現実逃避を続けるノーマッドに追い討ちをかけるエンジェル隊の皆様.一目出会ったその日から恋の花咲くこともある.これが真実でないのなら,世の恋愛関連作品のかなりの割合のものが姿を消してしまうのです.でもミルフィーさんのケーキは飛躍しすぎ.「男の嫉妬はみっともない」と至極もっともなご意見に対するノーマッドの「ハナクソ食べて死んじゃえ」ってこの時間帯にガキネタぶつけてくるあたりのバランス感覚がものすごいなぁ(笑).
ジェイに対して猫まっしぐらのヴァニラさんは新たなるステージへと歩みだします.夜の街でジェイにかつおぶしをあげるヴァニラさん.ジェイの背中にまぐろの刺身をぶら下げるヴァニラさん.ジェイに拾った魚の骨をあげようとするヴァニラさん.ノーマッドの嫉妬のおかげでごまかされてるんですけども,冷静に考えればどれも気味が悪いのは間違いなし.しかし「不思議少女」というヴァニラさんの設定ゆえに彼女の行為の意味を直球で受け取ることができなくなっているノーマッド&視聴者(の一部).ヴァニラさんの誠意?をないがしろにするジェイに本気で怒るノーマッドに対しいたって普通人のジェイは「二度とそのツラ見せんな」とご返答.しかしこの回答すら実はヴァニラさんには心地よく.
そしてヴァニラさんの壮絶なる仕上げ.謎の粉末を使ってジェイをお魚に! これは病気ではなく当然呪い.まさか恋ではないよなと思いつつ見ていた大半の視聴者にとって謎だったのはその動機.でも…そんな理由かよ(苦笑).ちとせさんのいけてるミドルネームが動機だとすれば納得もいく行動でついでにエンジェル隊全員が巻き込まれて終了.一番愉快だったのは己の手の届かない対象の恋愛事情に右往左往する男の哀しさと滑稽さだったりするので,笑うときには己の胸に手を当てろ(笑).こちらも次で最終回.深夜風に見えないけれどしっかり深夜的なネタや構造ををちりばめてきた「ギャラクシーエンジェル」もこれで一旦見納めということで,ぜひ最後を飾るにふさわしいものすごい投げを期待しつつ,次回に続きます.

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ギャラクシーエンジェル#11

「日の光があれば大丈夫だけど前半は強すぎだの巻」

(A)ご機嫌でリゾートに向かうエンジェル隊.しかしこれはウォルコットの差し金で実は機中にハイジャック犯が乗っているという.同じく差し金で同乗していたメアリーと一緒に,エンジェル隊はハイジャック犯を捕えることにする.とりあえずフライトアテンダントをふん縛り制服を奪った上で活動を開始するエンジェル隊の面々.犯人の特徴である身長がわからないため,乗客に銃を突きつけて無理やり立たせると条件の該当者が2名出現.そこでミントがどちらが犯人かを自慢のマシンで調べてみると両方とも犯人だと判明したのでそのままふん縛る.ハイジャック犯の逮捕というよりはリゾートのためならば,もはやエンジェル隊を止めるものは何もない.

(B)エンジェル隊の紋章機が向かったのは雨の降り止まぬ惑星.降らせているのはロストテクノロジーに間違いないが,それのある場所が問題だった.戦いに疲弊したこの惑星で,戦災孤児となった少女の胸に輝くロストテクノロジーの石.その石を通じ,彼女の精神状態がこの惑星全体に影響しているがゆえの降り止まない雨.雨のために内戦は中断されたが,星から人は消え,今は偽善者と貧乏人だけが残る星となってしまった.この星を雨に封じ込めている少女のところで,ミルフィーユは紅茶を入れる.

素晴らしい投げが身上の「GA」,今回,前半は暴力的なまでに激しい投げが堪能できます! これほど高いテンションになると,技術力以上に作る側の精神力の維持が難しいはず.気合の入れっぷりも角が立ちまくる尖った展開も実に若々しい! でもって後半はシリーズ中1回くらいやっておきたいシリアス話.もちろんこれは視聴者の見たいものではないんですけども,それでもこういう話をやろうとする理由は自分にはなんとなくわかるのです(苦笑).

前半は高テンションで転がるようにベタネタ展開.「何か大切なものを失いつつあると解っていながら全力の笑顔で最後まで振り切ってくれる素晴らしい芸風」って前も書きましたが今回もその通り.石橋氏の吹っ切れっぷりが一皮剥けて凄いやこりゃ(苦笑).序盤で周囲の迷惑顧みず歌っているあたりから今回のエンジェル隊は迷惑だと誇示しまくりなんですが,それに合わせるかのようにウォルコットもいつもに比べると随分とわがまま.今回のツッコミの主力はメアリーさんで,エンジェル隊の暴力ボケに対して激しく突っ込んでいきます.ぼそっと呟くしかできないノーマッドに比べるとずっとわかりやすいツッコミで,このツッコミが全体のリズムとテンションを底支えしているのです.
ハイジャック犯を捜すというミッション,というかお題の中で,エンジェル隊がご披露する激しい暴力ボケ.スッチーの制服を奪うあたりは序の口で,乗客に銃口を向けてみたり犯人を拷問にかけてみたりとやりたい放題.ハイテンポなのであっさりげらげら笑って見られるんですが,よく考えるとネタの黒さは相当のもので,深夜帯とはいえ同様の事件が起きたら放映できなくなるくらいにはきつい.しかしこれを地上波で不特定多数に放映できる日本って,本当に平和で素晴らしい.ミントさんのマシンによる地獄責めなど,萌えアニメ(もどき)の主役格がこれほどまでに鬼畜以下でいいんでしょうか(苦笑).
メアリーさんの必死のツッコミなどどこ吹く風でシャトルの中をなおも暴れ続けるエンジェル台風.今度はヴァニラさんを捜す過程でコックピット内が壊滅するんですけど,フォルテさんの「わかれよ!」が無理がありすぎて素晴らしい(苦笑).仲間は確かに大切だけども.そのためにハイジャック同様の行動を取るのはやっぱり間違ってるなんてことは視聴者は十分理解しておりますよ.んでもってスッチーが機がハイジャックされたと機内に伝え,晴れてエンジェル隊はハイジャック犯として正式認定されました! おめでとう!
ミルフィーさんの運と周囲の証言によって犯人エクセル・シオーレが座っていたと思しき席を発見し,いろいろあってコックピット壊滅.でも犯人はどこにも見つからず.エクセルさんはどこにいるかを捜す皆さんが最後にたどり着いたのは身内を疑うこと.まずはエクセルはメアリーさんだと迷推理した上で,エクセルは男だという情報からフォルテさんが犯人だと疑われるという間違いだらけの密室推理劇! フォルテさんがお持ちのわがままなもの,そりゃもうぶりんぶりんのばりんばりんにわがままに違いありません(笑).で,結局犯人は見つからず代わりに逮捕されるエンジェル隊.今回のフォルテさんのハジケっぷりは特に凄かったからなぁ.エクセルはしっかりいてオチ自体はちゃんとついてるんですけども,シリーズものならば最終回になっちまうというこの終末の状況こそが番組名物の「投げっぱなし」です.

後半は前半のアレが夢だったのかと思わせるくらいにシリアス.人を笑わせるにはかなり高度な技術が必要なので,ギャグが十分にやれるチームの技術力は基本的にかなり高いと考えて間違いないんですけども,いかんせんシリアスとは別軸になってしまうのでそのままでは比較ができません.そこで現在のチームの強さについて他番組と比較できる形にして見せつけるのがこの話.例えるならば芸人のドラマ出演や鶴太郎の絵のようなもんですね(笑).愉快で面白いのばっかりやっているからこそ,たまにはシリアスだってできるんだと見せつけたくもなるんだよ! だから,だから…気にくわなくてもそっとしておいてやってくれ(苦笑)!
少女に貼りついたロストテクノロジーの石によって雨が降り止まない惑星.戦災孤児である彼女の心が惑星全体の気象に影響してるなんて設定は15分前とは同番組とは思えないくらいにシリアス.そんな彼女に何かを感じ,一生懸命交流を図るミルフィーさん.少女が降らせた雨によって,彼女をこんな立場にしてしまった内戦は終了したものの,その代償にここに残ったのは偽善者と貧乏人だけで他の人々は外に出ていってしまう.己を襲う苦しみに対して泣き続けた彼女,止まない涙ゆえに苦しみは止みましたが,その後まで泣かれては周囲の人も離れたくなるってもんです.そんな彼女の側にやってきた天使・ミルフィーさんは彼女の涙を止めようとします.紅茶を使い,無生物であっても周囲からの気持ちには答えるものなのだと示したいようですがうまくいかず.紋章機で舞い上がり強制的に彼女の涙を止めてみることに.ロストテクノロジーである少女を奪ったミルフィーさんを追う軍に攻撃されながらも,ミルフィーさんは少女を連れて圏外を目指します.
辛くて苦しい雨の彼女は,そのまま現実の暗くて悲しい世相とそこに生きる視聴者を例えたもの.こんな暗い世の中に対し,制作者は様々な妨害を受けながらも,光…つまり笑い溢れる世界を目指すのです.この生真面目な展開の中だと「ボケなんだけどなぁ」って呟きが随分と愉快ですが(笑),ミルフィーさんが暗喩する制作側としては特別な計算ではなく,ただ笑わせたいからやっているんだと言いたいんだろうなきっと.暗い世の中のことなんか考えるのは辛くて悲しい.だから無視してひたすら自分たちの利潤やら芸術性やらを高めていくだけの物語の作り方もあるはず.けれど,それは雨の少女を殺すのと一緒で,先に何も残りはしません.
暗いこの世界にも光=笑いさえあればもう一度輝ける良い物があるんだと少女を空の上に導くミルフィーさん.地表は辛く悲しい事件に覆われてはいるけれど,それよりもっと高いところは優しい笑いに満ちていてきっと眩しい.その眩しさを少女である視聴者に教えようとする道化のミルフィーさんには,きっと少女である視聴者からの笑いの光が差し込むのです.
暗くて辛いからこそ自分たちは笑わせようとするんだと短い時間で一生懸命語っている,作り手の誇りに満ちたいい話なんじゃないかと思います.いや,考えすぎの可能性もものすごく高いんですけども(笑).そして笑いの光,今回の場合は前半が強すぎると思います.あんまり強い光を当てると花だって焼けてしまうんだから気をつけろ(苦笑).残り話数もわずか.シリアスもこなしたことだし終局に近づいてもいつも通りにきっと投げて終わっていくんだろうなと思いつつ,次回に続きます.

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ギャラクシーエンジェル#10

「終盤にもっと破綻を!の巻」

(A)エンジェル隊の基地で火事が発生.ミントの部屋も全焼してしまう.部屋には大切にしていたぬいぐるみが多数収納されていたため,いきなりコレクションを失ったミントは大ショック.3日間食事もとらず部屋にこもって泣き続けてこのままでは衰弱死してもおかしくない.なんとかしたいエンジェル隊残りメンバーだが,実は火事の原因がこの4人のうっかりミスなので真相を話すこともできず.だが,放っておけば自ら命を絶ちそうなミントを放ってはおけないので,まずは蘭花がイケメンを投入.いい男で火事の記憶を消そうとするのだが,ちょっとしたきっかけで愛しいぬいぐるみを思い出して壊れるミント.次にミルフィーユがおいしいお菓子で忘れさせようとするもまたも思い出させてしまい壊れるミント.放っておけば天上に精神が上ってゆきそうなミントには,ヴァニラであっても打つ手なしだ.

(B)ある夜.路上に捨てられていた1枚の畳を拾った蘭花.柔道場に敷いたところでその道場の上に降ってきたのは巨大隕石.ところが拾われた畳の力によって,蘭花は命を救われた.実は拾ってきた畳はロストテクノロジーで,自由に飛ぶことが出来,ありとあらゆる攻撃から乗っている人間を守る素晴らしい畳だった.畳が気に入った蘭花は乗って戦場やバーゲン会場に出かけてみたりとご満悦.しかし畳ゆえにスピードが遅かったり融通が効かなかったりと使い勝手の悪さが目につきはじめて,必死な畳とは逆に蘭花は不満を感じるようになってしまう.雨の日に買出しに出かけた蘭花はナンパされ,雨の中に畳を置いてその男の車に乗ってしまう.

毎度の投げが楽しみな「ギャラクシーエンジェル」なのですが,今回はラストが両方とも弱い.1話完結のギャグの場合は日本古典由来の序破急のリズムでテンションを上げていかないとうまく上りきらないみたいなんですが(笑),今回は両方とも終盤の「急」が全然躍動も破綻もしていない.終盤のアレンジ次第ではもっと上り詰めることができるはずなので,勿体無い印象が強く残りました.

前半の脚本は玉井氏.ファンが喜ぶくすぐりをうまく混ぜながらメインの物語をがっちりと進めていく堅実な作風で,特にコメディやシリアスものでのコメディ展開が抜群に上手いので好きな脚本家の一人です.もちろんギャグも一定水準までのおかしさは保障つきなんですが,今回は逆にしっかり出来すぎていて終盤の破綻の妙味が薄い.
エンジェルルームが火事で焼けるという惨事より物語はスタート.ミントさんのコレクションルーム,折角入り口を金庫状にしてあるなら,そして焼けたら死ぬんならやはり耐火機能はあらかじめつけておくべきです(苦笑).実は内輪のミスによって出た火事によって3日間泣き続けるかわいそうなミントさん.命より大切な着ぐるみコレクションの後を追って自殺を図るあたりは実にブラックな映像でさすが深夜アニメ.ノーマッドの止まった泣き声に対する読みの深さが賢くて良く,今回もノーマッドはあたかも作り手の言葉を代弁するかのような使われ方をしてますね.
火事に消えたコレクション(着ぐるみ)の後を追って死にかねないミントを救うため,まずはランファさんがイケメンを投入しますがミントさんが料理のチョウチンアンコウの姿に着ぐるみの姿を思い出して失敗.料理に顔を突っ込もうとする間抜けさがいい味です(笑).ミルフィーさんのクッキーも同パターンなのですが,食われるクッキーにマイラバー着ぐるみを思い出し今までとは違う意味でおかしくなるミントさん.この「精神の自殺」ぶりはさすがのヴァニラさんにすら止められず,仕方なく提案されるのが存在しない攻撃相手の捏造です.
火事の原因が不審者による放火だったと妙な人影の話をするフォルテさん.頭にツノ.背中に羽根.頬に十字,猫耳にドリル,プリン大好きで麿で頭がスイカ…といい加減もいいところなんですが,その特徴を書き集めてすごい似顔絵を完成させるミントさんは…絵が上手い.この存在しないはずの相手に対して「くそ虫」呼ばわりの上に悪の女王モードで検索を開始する復讐者ミントさん.もちろん放火犯なんて存在しないはずだったのがディティールまで再現した大量の容疑者が発生してしまって本当にベタネタ全開です(苦笑).さらにウォルコットがネタばらしして大変なことに…とぶん投げが特徴のギャグの癖に終盤でわかりやすいことをやってしまったのが辛い.怒るミントさんの演技が常軌を逸していて素晴らしいのはいいんですが,この終わり方じゃオチがついてしまうのでいつもの「投げっぱなし」にはなってませんよね.

後半の脚本は与口氏.炊飯ジャー以来で今回の筋立ては実に女性らしい展開が気持ちいいんですがやはり今回も終盤が弱かった.街に捨てられていたロストテクノロジー畳をそのまま外見があまりぱっとしない男性型アンドロイドだと思って見ればちょっとしたドラマシリーズになりますよ.隕石すら打ち負かす強い男(畳).ありとあらゆる攻撃から持ち主の身を守る素晴らしい男(畳)で心優しい奴なわけですが,出来ないこともあり融通の効かないところもありでランファさんの不興を買い,彼女のわがままゆえに男(畳)との蜜月は瞬く間に消え去ってしまいます.でもあの畳,ランファさんが必要ないのなら自分が頂きたいです(笑).能力も心遣いも素晴らしいのでぜひ1枚! 雨の日もアッシーを務める男(畳)ですがランファさんは不満たらたらの上に別の男にナンパされて畳(男)を置いてランナウェイ.誠実な男(畳)を雨の中に置き去りにする浮気なランファさん.しかし男(畳)は乗り手がいないとその能力が使えない,人によって作り出された道具だったのです.ドライブ中のナンパ男とランファを襲う巨大な車からランファだけを救う男(畳).しかも相手の男を己の能力で落としてしまってランファに絶交され,彼女の前から姿を消してしまいます.
そしてランファの結婚式当日,結婚相手の乗った飛行機が墜落の危機に.ここでのパイロットのアナウンス内容はナンセンスでおかしい(笑). そのとき飛び出したのはあの男(畳).全力で飛行機を軟着陸させ,その献身ぶりに心を動かされ泣きだすランファさん.しかし…と,素直に男性型アンドロイドでつくったらベタですが切なくていい話です.ただしギャグとしては物語が枠から外れることがないゆえに面白さの限界もあります.ランファにとって都合のいい畳(男)で終わるのではなくどこかでランファさんにペナルティを与えるか畳に過剰な報酬を与えるべきでしょう.折角「GA」なんだからランファさんと畳の結婚式というすごい画が見たかった! 今回は両話とも投げてくれなかったので今度こそきっちり破綻させ,遠くにぶん投げてくれることを祈りつつ,次回に続きます.

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ギャラクシーエンジェル#9

「ノーマッドが絶妙に大活躍の巻」

(A)どんなところにでも侵入し確実に標的をしとめる凄腕の暗殺者カイザ.次の標的はラッキーガールのミルフィーユ.首尾よくエンジェル隊の近くに潜入することに成功するカイザは早速ミルフィーユの身辺調査を開始.しかしそのストーカーに限りなく近い調査ぶりをノーマッドが見てしまう.交渉により情報屋ノーマッドとの取引でエンジェル隊の情報を仕入れることにしたカイザは,ノーマッドを頭に載せてなおも調査続行.その中で互いに健康食品マニアであることが判明したりしながらも,いよいよカイザはミルフィーユの命を狙う.

(B)ノーマッドとフォルテはそりが合わない.特に反撃の術のないノーマッドのストレスは相当で,フォルテに対する復讐をついに決意する.その復讐になぜか共鳴したのはちとせ.ノーマッドはちとせに頼んで,自分の意思どおりに動く手と足を手に入れる.しかし動くだけの手足で復讐に行ってもフォルテにかなうわけがない.そこでフォルテを倒すべくちとせをトレーナーとしてボクシングの特訓を開始するノーマッド.十分な実力をつけたところで,いよいよチャンピオンのフォルテに宣戦布告する.

ぶん投げでおなじみの「ギャラクシーエンジェル」ですが,今回はぶん投げそのものよりもぶん投げに至るまでの部分が愉快.前半は台詞回しとタイミングの妙,後半は正しく無闇に熱い演出が実に冴えてます.自分の笑いのツボが大和屋氏に合っているのは間違いないところですが(苦笑)それに加えて凄かったのはミルフィーさんでもフォルテさんでもなくノーマッド.彼の台詞のタイミングと内容の絶妙なハーモニーっぷりをお楽しみください.

前半はミルフィーさん暗殺者に狙われるの巻ですが,おいしいのはやはりノーマッド.カイザ役は演技的には今ひとつなんですが,横からいいタイミングで突っ込むノーマッドのおかげで安心して見ていられます.ラッキーガールゆえに狙われたミルフィーさん.暗殺者のカイザは就任時期からすると不審者以外の何者でもないわけですが,暗殺者の話題とカイザをまったく結びつけて考えようとしないエンジェル隊,器がでかいです(笑).うかつなターゲットたちのおかげで首尾よく調査という名のストーカー行為を開始したカイザですが,でかい独り言をばっちり聞いてしまったのが主役のノーマッド.自分は情報屋だと言い張って,エンジェル隊の情報を流すという条件で殺し屋とタッグを結成.「恥ずかしいこと」にしっかり釣られてる殺し屋.やはり相手を愛するほど観察しつくした上で愛する者を殺すという楽しみに浸るややこしい変態なんでしょう.
さて.ノーマッドを頭に乗せた不審な殺し屋.絶妙の掛け合いを展開しながら調査を進め,ミルフィーさんに健康マニアとしての共感を抱いたりしながらいよいよスナイプより暗殺スタート.しかしミルフィーさん,改造コードで無敵化されたゲームキャラのごとく命中判定をことごとく無視! そりゃ現実にこんな奴がいてそれが暗殺のターゲットだったらうろたえるに違いないんですけども,試し撃ちのターゲットになる(上にぎりぎりで死なない)ウォルコットにはいい迷惑です(苦笑).繰り返される中佐についてのノーマッドのフォローが素晴らしい! カウンセリングのメアリー先生のあたりは無理やりすぎて今ひとつでしたが,山へハイキングに出かけてからは暗殺も失敗も最高潮に! そしてウォルコット中佐の命は風前の灯火です.毎度比較的ひどい目に遭ってますが今回は特にひどい.でもって山荘での最後のオチ.…いいのかよ本当にそれで(苦笑).相手が殺せないとわかったら殺せる状態に持って行こうと早速奮闘するカイザさんは責任感強いなぁ.この話大好きです(笑).

後半は前半で素晴らしいアシストを見せていたノーマッドがいよいよ主役に.話の都合上やたら険悪なフォルテさんとノーマッドですが,実際は他のメンバーとの仲も険悪だろうから復讐する余裕なんかありませんねきっと(苦笑).ノーマッドの「復讐」という言葉に見事に食いつくちとせさん.まだまだエンジェル隊への憎悪と愛情は振り切っていないようです.
ちとせさんの協力で生えるノーマッドの手足.メカ沢チックで愛らしい.こんなかわいい相手に「うざい」ってのはひどいですよフォルテさん.このままでは勝てないので,ノーマッドが改造するのではなくボクシングの特訓をするあたりから話は大きくずれていきます.特訓シーンの演出の熱さとわざとらしさは素晴らしい.こういうパロディーをベースとした作品の場合は,通常よりも濃い目の演出がぴたりとはまりますね.実力をつけたノーマッドはフォルテさんに宣戦布告.横で見てきたちとせさんも「これでやっと復讐が成就できる」と上機嫌なんですが…ノーマッドのマネージャーにマリブとココモ,フォルテのマネージャーにミントとランファが新しく就任.計算高い面子がついたおかげで八百長ものへと話は展開し,そのままフォルテ陣営に視点も移ります.
フォルテの体調を崩させるために薬を盛りまくる2人ですが悪運が強くてうまくいかず.それをファンクラブの会でミントが愚痴ったことから始まるフォルテ殲滅作戦! この展開でミントファンクラブをひょいと話に突っ込んでくるなんて,脚本はどうかしています(笑).物語は激しくインフレーション.狙われたフォルテを救い,戦うために立ち上がるノーマッド! 「あなたを倒すのはこの私だと」ってのも素晴らしくお約束.たった12分程度なのに,なんでこんなでかい話になってるんだろう….そしてあたかも広げすぎた風呂敷がたためないままで人気が出なかった週刊連載漫画のように,「本当の戦いはこれからだ!」ってな感じでぶつりと打ち切り.ラストの投げがどうしても弱いのは間違いないですが,にしてもこの演出の濃さはやはり素晴らしいです.
シリーズもそろそろ終盤.次も今回のような脚本と演出の良い相乗効果が見られることを期待しつつ,次回に続きます.

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ギャラクシーエンジェル#8

「トータルの完成度が結構高いですよの巻」

(A)曇天の下を走るトラック.内戦の続く惑星にやってきたエンジェル隊は,中佐を護衛して裁判所へと向かっていた.フォルテの思い出の地を走るトラックを待ち受けるのは,反政府ゲリラの一団.彼らの攻撃により横転するトラック.いち早く逃げ出さなければいけないこの状況で,並ぶ無数の銃口の前に立ち尽くしたのが蘭花.彼女が思い出してしまったのは過去のトラウマ,幼い頃の誕生日の光景.…年なんか…取りたくない….取り乱し逃げ出す蘭花を追って逃げ出すエンジェル隊.
敵を振り切り,なんとか草地に逃げ込んだエンジェル隊.しかし周囲には彼女たちを捜すゲリラたちが取り巻いていた.彼らに気づかれたら終わりという状況で,いきなり立ち上がり敵の下へと歩いていくヴァニラ.彼女が思い出してしまったのも過去のトラウマ.舞飛ぶ蝶.…胃薬….おかげで発見されてまたも逃げ出すしかないエンジェル隊.

(B)いろいろあって首になったウォルコット中佐.普段の言動からかけ離れた野心を抱えているので始末が悪い.貯金もアイドルの追っかけで底をつき,こうなったら自分で会社を興すしかないのではと提案したエンジェル隊もなぜか一緒に軍をやめて会社をやることに.
株式会社ウォルコットを設立した元中佐.従業員はミルフィーユとフォルテと蘭花.今にも潰れそうなプレハブ会社ゆえにミントとヴァニラは既に逃げ出していた.何をやるかすら決まっていないこのベンチャー企業.このままではオフィスラブもできないと一念発起した蘭花が開発したのは「初恋の人の縦笛の味キャンディー」.お菓子業界に殴りこむには随分と斬新な商品だが,現場からの評価は高く資金もなんとか集めることができていよいよ発売.絵に描いたような大当たりでいきなり優良新興企業となる(株)ウォルコット.

ナンセンスと独自の「投げ」で己のギャグ道を歩むエンジェル隊.今回は特に前半,ギャグのやりにくい沈鬱な雰囲気で最後までやりきったのが偉い.愉快な雰囲気で愉快なことをやるのに比べると,テンションの維持やネタを突っ込むタイミングがものすごく難しい状況にあえて挑戦したその根性を讃えたい.後半は転がるように状況が変化する面白さでぶっちゃけ「プロジェクトなんとか」のパロディなんですけども(笑),前半の厳しいテンションがふっと緩んで余計笑えた感があります.気楽な方を後半に持ってくるこの構成は正解で,前半後半通して1本の作品としての完成度はこれまででも一番高いのではないかと.

前半は戦場で炸裂するトラウマ.この荒んだご時世にこの舞台で笑わせようという根性がもう凄い.冒頭の暗い雰囲気,惑星のしみったれ具合に走る軍用トラック,しかも「中佐の護衛」と任務内容もまとも…と見ている方からすれば「大丈夫か」と不安すら感じるスタート.しかしそのまま奴らは疾走していくのです.
フォルテがこの地に何らかの因縁があることを匂わせつつ物語は展開.もちろんギャグ番組である以上仕込まれる全てのものはネタなんだから真に受けちゃだめですよ.ゲリラに襲われて銃口に囲まれて発動するランファさんのトラウマ.シリアスなら待っていた家族が目の前で強盗に撃ち殺されてという血なまぐさいトラウマとなるべき状況なのですが,そこはギャグなのでそうはならず…そうか.そんなに老けるのは嫌か(苦笑).今回の笑いの方向がここで示されるので,あとは淡々と「しょうがねえなぁ」と呟きつつ見てあげましょう.
蝶を食うヴァニラさんのトラウマはよくわからないんですがミントさんの火事のトラウマは比較的ちゃんとしてますね.あのぬいぐるみは一体何なのか.いろいろあったもののなんとか助かったエンジェル隊の皆さんと分かれ,珍しく隊長役をやっていたフォルテさんは劇場へ.そこで待つ宿命の再会! 再びの両者の愛憎!とまあゲストのレンブラント相手に珍しく頑張るフォルテさん.「記憶とは消そうと思ってもなかなか消えないものだ」って下りはこの話のテーマを堂々と言い切っていて洒落てますし,5年前の反政府運動の記憶も組織?に狙われるリスクも「お気に入りの銃」には勝てないってあたりも洒落てます(笑).どうせそんなこったろうと思って見ていても,思った以上に台無しな雰囲気をきっちりまとめきるトンボことミルフィーさん.ノーマッドのツッコミが輝いてます.

後半は前半の抑圧的でゆっくりとした雰囲気を吹っ飛ばすハイテンションの急展開.いきなりウォルコットは首.しかもアイドルに入れあげて財産をなくすってのは人としてダメだ(笑).あのしょぼくれた風貌に似合わない随分ぎとついた野望も含め,中佐の意外性の発揮ぶりは前回後半よりもしっかりキャラを立たせてますよ.で,中佐の退職に巻き込まれるエンジェル隊.頼る相手があいつらしかいないという人脈の貧弱さは社長には不適です(苦笑).金持ちのミントと霊感のヴァニラはいち早く会社から逃げ出し,このまま潰れるのかなーと思ったらランファさんがなぜか放射性物質を使って(笑)開発したのが「初恋の人の縦笛の味キャンディー」.女性の提案とは思えない斬新な商品! 回想のフォルテさんが可愛いや(苦笑).甘い初恋の思い出と笛なめという背徳の味がなぜか現場にも大ウケ.金持ちミントさんにプレゼンして資金調達するあたりがリアルですが, 本当の商売なら特許と商標は取っておくべきです.笛を売り出した直後の大当たりの映像化が実に素晴らしい.
縦笛の味は大ウケしたもののやはり特許や商標を取っていなかったのがすぐに響いて類似商品大量発生.おかげで株価も急降下.ここで社長が宗教に入れあげているあたりが無駄にリアルで嫌ですね(苦笑)アイドルに入れあげていたのはこれの伏線だったのかも.しかし会社の苦境を持ち直させたのはランファさんの煩悩ゆえの新商品は「上履きの臭い」! 世の中病んでます!
持ち直した会社.しかしミントがここで会社を乗っ取り! ベンチャーの場合は優良な会社に吸収してもらえれば一応成功なのですが,恐らく合併に関して十分な対価を得られなかったらしい創業当時の社員は造反.組合活動を開始しますがやはり取締役の力は強く.しかし売上が鈍ったことで投資家が撤退してしまう上に宗教に入れあげてしまうミントさん(笑).今回一番徳をしているのはヴァニラさんのはずですが,結局なぜか全員子会社へ.小さな喜びを見つけてサラリーマンものに回帰していくあたりがさわやかではありますがなんだかなぁ(苦笑).とりあえず会社ものはどうしても感想が書きにくいやと思いつつ,次回に続きます.

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ギャラクシーエンジェル#7

「ロックにデストロイでゴートゥーヘルの巻」

(A)いきなり開催されることになったバンドコンテストに蘭花はエンジェル隊で出場するのだと燃えていた.その勢いに引きずられたのかエンジェル隊はオーディションを受けることに.しかしオーディション会場には蘭花以外の4人しかいない.残る蘭花はどこかと思ったら審査員の背後から窓を突き破って突入する見事なROCKぶり.確かに審査員の価値観を蹂躙できているのかは定かではなく,傍から見ているとただ暴れているだけだ.ところがこの行為が審査委員長の琴線を直撃.グランプリとなりCDデビューまで決まってしまう.もちろん楽器は一切できないエンジェル隊なのだが,蘭花が「ギターが弱い」とまたもROCKな主張を開始.たまたま担当していたフォルテに対し,脱退・除隊まで強いる蘭花.しかも藤子先生を髣髴とさせる風貌の天才ギタリストを外部より招聘.歌とギターはその見た目の反して実にうまく,聞きほれたフォルテは己の力不足を痛感し脱退.天才ギタリストがその名を継いで「新フォルテ」と名乗ることになる.

(B)ウォルコット中佐の朝はエンジェル隊の連中に朝食をつくることから始まる.半分眠っていたり文句が多かったりと問題児揃いだが,彼女たちを無事に朝食を取らせた上で宇宙に送り出すのが彼の大切な仕事だ.それから,同僚や上司からの小言を聞いたり,エンジェル隊からの「ごめん」というとんでもない報告を受けて叱られることも.今日はさらにミルフィーユに夕食の材料の買出しを頼まれたのでスーパーに出かける中佐.落としそうになった豆腐を死守できたのはよかったものの,いきなり猫マスク強盗団がやってきて笑顔の素敵なレジのお嬢さんを人質に取るという緊急事態が発生する.

いつもだと本当に気持ちのいい投げっぷりを見せてくれる「ギャラクシーエンジェル」のはずが,今回は妙にお行儀がよくてかなりの違和感.ナンセンスはある程度以上のテンションがないと普通の「変な話」に終わりかねないわけですが,今回は前半後半ともこの脚本に必要とされているところまでテンションが上がっていきません.話自体は素直でバカで面白いし演出も素直で大きな難はないのですが,2つを組み合わせるとどうにも淡々としすぎてしまって演出と脚本の両方が勿体無い.これは相性が悪かったんだろうなぁ.作画は相変わらず抜群なんですけどね(苦笑).前半の方が面白いですよ.

前半は何はともあれロック.なぜかランファさんが劇症のロック菌に感染したようで奇行を連発.男さえ絡まなければ比較的普通の感性の持ち主だったはずが,ものの見事なROCKっぷりで他のメンバーまでその世界観に飲み込む始末.窓から飛び込んでくるあたりは実に思ったとおりの展開で,審査員の言動が変にリアルだった分だけ実に爽快.「価値観の奴隷の固定観念をぶち壊す」という名目の暴力だったはずが,当たり所が悪かったようで(笑)審査委員長が泣いてグランプリになるというROCKぶり.そして演奏したことがないのに「弱い」と言われ納得してしまい脱退するフォルテさん.ビジュアル面は十分と考え音楽面での強化を選んだランファプロデューサーの英断ですが,切られるは名前はとられるわとフォルテさんにはたまったもんじゃありません.ここで首になった姐さんがギターを買っているあたりはバレバレの伏線です.
ビジュアルも音楽もそれなりにパーフェクトで快進撃を開始し,一躍マスコミの寵児となるエンジェル隊.フォルテさんの服を着る新フォルテ,妙に似合っているのはどうしたらいいのか(苦笑).武道館,全国ツアーとどうやらここは現代日本らしく,そしてまるでギャグマンガのように瞬く間に頂点に達するエンジェル隊.ビルの屋上で夜風と頂点を味わう5人のはずが…芋けんぴがなくて仲間割れ.確かにちょっと硬いですがうまいですよね.仲間割れをパパラッチされたおかげで頂点から滑り地の底に落ちるランファさん.しかし! 本当のROCKは常に踏みつける奴を下から睨みつけることなのでむしろここからが真のスタート.前進,上昇,成り上がりこそロックです(笑)! そして復活ライブ開催.ギターの新フォルテ不在の穴も伏線の元フォルテがギター抱えて戻ってきて助力! 上を目指すランファの志に再度惹かれ集まったエンジェル隊のはずが,幕が開くと新フォルテが真のROCKに! 成り上がりに! ランファサーンボクモドッテキタヨ!(笑)多くの者が上を目指し,互いに踏みつけあいながら世代を重ね,やがて誰も到達できなかった高みへと到達することこそROCKの心意気.しかしもし,その高みには何もないのだとしたら…諸行無常はROCKというのも正解?

後半はウォルコットの主夫っぷり.5時半に起床して朝食をつくって文句を言われるところまで,その主夫っぷりが実に見事.そういやエンジェル隊の面々の両親は今どこでどうしているんでしょうか.とりあえず出来の悪い子ほど可愛いらしく,娘たちがうるさいのもロストテクノロジーを使った極悪ないたずらで叱られるのもとんでもない報告を受けるのも全部仕事.体は辛くなさそうですが,精神的には余程タフでないとやっていけない職場です.「住めば都」とか言ってますが,それはむしろこの過酷な状況の中でストックホルム症候群となってしまった可能性が高い(苦笑).
お使いに出かけたスーパーで一転するウォルコットの運命.お豆腐に手間はかかるが可愛い娘たちの姿を重ねつつも,もちろん笑顔の美しい女性に危機が迫るとなれば身を張って彼女を助ける男意気を見せます.猫強盗団の覆面と語尾がOPにもご登場の例のアレですね(笑).助けた女性に「好きでした!連れて逃げて!」と衝撃の告白を受け,そのまま2人逃げ出すウォルコット.夕日を浴びる海岸で,ウォルコットの(笑)歌声が流れる中,エンジェル隊もツインスター隊もいないがゆえにものすごく地味でちっとも萌えない映像が深夜に延々と流すという嫌がらせに近い行為をやってのけたメタ的なナンセンスさとその根性は素晴らしい.ただし,これはなけなしの視聴率と等価交換なので他の特に長期シリーズは真似してはいけません(苦笑).彼女との小さな安らぎを愛しながら,ストックホルム症候群ゆえに極悪の娘の下にのこのこと戻っていくウォルコット.もちろんお使いで買った食材が晩御飯に反映されている様子もなく,やたら媚を売ってくるなと思ったら当然のように下心ありありのエンジェル隊で実に気の毒.たぶんその状態は「幸せ」よりは「地獄」に近いと思われます.次回はもうちょっとテンションがきっちり上がりきってくれるといいなと思いつつ,次回に続きます.

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ギャラクシーエンジェル#6

「実験企画はとりあえず褒めとくの巻」

(A)材料を持ち寄ってスキヤキを楽しもうとするエンジェル隊.蘭花は牛肉,フォルテはとうふ,ミントはしらたきでそしてヴァニラはねぎを担当.残るミルフィーユは鍋と卵の担当なのだが鍋が一通り出来上がってもまだ来ない.食い意地の張った4人は先に食べようとするが鍋から暴れ牛登場.「お前何やった」と周囲から責められる蘭花が白状するところによると,無念の死を遂げた闘牛の肉なので極上だけどタダだったという.もしそれが本当なら自分たちではなく闘牛士を恨むべき牛なのだが,そういえば…と飛び入りでその闘牛をバズーカで倒した心当たりがあったフォルテ.牛が出ただけでも困った状況なのに,今度は豆腐としらたき,続けてねぎまで増殖.増えた理由は牛と同じく無念と無料.牛とともに巨大化し暴れるしらたきと豆腐とねぎに巻き込まれ,どうしようもなくなったエンジェル隊.そこにミルフィーユがようやく登場する.

(B)それは長く儚き歴史の物語.ウォルコット帝国の誕生と同時に属国となった5つの国からウォルコットの元へ送り込まれた5人の姫.姫たちは王妃として城で暮らすことになったものの,王並びに城内の重官たちを相次いで暗殺.その結果結託した5人の王妃が帝国の実権を握ることとなる.しかし王妃たちの悪政によって国は破綻し,民は圧制に苦しむこととなった.そんな暗黒時代に市民として立ち上がったのが烏丸ちとせ.彼女を旗印としての市民革命が起き,その結果2人の妃が断頭台の露と消えることとなる.しかし歴史はここで留まることなく,赤く残酷なる流転を続けるのであった.

投げることこそ己の道とばかりにナンセンスを突き詰める「ギャラクシーエンジェル」.今回は因果が巡って絡まって放置の物語2つで攻めてきましたよ.前半は他愛なくお約束をやりこなしているわけですが恐ろしいのはやはり後半.淡々と進む歴史を淡々と突っ込む解説ということでギャグとしての難易度の高さが際立ちます.ある意味冒頭からラストまで投げっぱなしとなりますんでこの時間帯じゃないと無理でしょうね.しょうもない話を視聴者が見ることによって初めてギャグとして完成するライブ感の強い1作で,特に激しい実験作は褒めることにしている自分としては褒めざるを得ません(笑).
前半はエンジェル隊スキヤキを食そうとするの巻.序盤から妙に平穏な鍋風景と「買い寄って」のような不審ワードで見ている側はどんどん不安に.肉を取り合う娘どもはこの作品としては特に問題もありませんが,牛が出てくるあたりからやっぱりいつものダメなノリに.フォルテがバズーカで殺した闘牛の肉でタダで持ってきたランファ.…どちらかというと悪いのはフォルテさんか? たとえ理由ありだろうと無料商品を選択するエンジェル隊の面々.もちろん預かった金は使い込んでいるに違いありません.ヴァニラさんもつき合い良く理由ありを購入してしまったおかげで大変なことに.しらたきに巻き込まれたり豆腐から生えたりする光景は素敵にナンセンスなんですが,この作品では日常風景っぽくて嫌だ(苦笑).
そして登場する真打ミルフィーさん.宇宙の全てに愛される強運娘さんは当然のように牛だけでなく他の具材もを事前になつかせておきました! 見所としては巻き戻りシーンの素材が懐かしいです.そしてお盆なので具材たちの無念の魂を慰めるため,ミルフィーさんお手製の絶品の割り下で食べることを宣言! 渾身・涙の割り下で食すことで具材たちは生命の連鎖に戻されて永遠の命を得るのです.そしてそんな騒動の原因となった鍋こと怨念増幅ロストテクノロジーを持ち込んだのもやはりミルフィーさんで素敵なマッチポンプ.

でもって問題の後半.いきなり舞台からはじまってもうやる気満々です! ベル薔薇銀英伝ガンダム三国志北斗の拳そのとき歴史は動いた小説吉田学校等々,英雄的な個人が時代の渦をつくり,その無情な時代の渦に無力な個人が流されたり流されなかったり英雄まで流されたりという様をあくまで傍観者として眺めるのが歴史物の楽しみ方.その構造でナンセンスをやるなんてのは「バブリング創世記」や「虚構船団」で実に筒井でSFです(笑).観客は物語の構造から傍観者の位置に押し込まれるんですが,その傍観者の位置のまま生暖かく歴史の流れを見守るもよし傍観者の位置を離脱し激しく突っ込むもよし.淡々と流れる物語は全てネタという構造になっていますのでコメントが書きにくいったらないんですが主線がエンジェル隊でアレンジに入ってくるのがツインスター隊で,物語は同じところをループしながら変な方向に発展展開.先駆的な小説と同じく,物語の淡々としながら猛スピードのリズムを感じとる方向で頑張ってみると楽しいはずです.
王を独占したい5人の王妃だったはずが王を暗殺したあたりからおかしなことに.ランファさん,見た目重視だから殺すってのはどうよ.そしてミルフィーさんの無邪気な暴れっぷりがなんだかな(笑).そんな5人の場の支配もつかの間,そしてちとせさんが5人の居場所を奪ったのもつかの間で,甘えんぼさんなので権力に身をまかせたとき勇者は忘れ物していました! 王妃ランファさん参上で1対18万で勝利するマッチョぶりでランファ政権樹立.ここでなんと筋肉優先世界で超兄貴みたいだ(笑)そんな地獄を傍観する旅の大魔道士.しかしランファさんビジュアル的に耐えられず世界は麻のように乱れ,更に立つのがヴァニラさん.地下に工場でノーマッドモビルスーツで戦いを挑んでもランファさんビームには勝てず.しかしランファさんの自爆に乗じてヴァニラさんが政権の座へ.陰にまわってミルフィーさんを傀儡に仕立てても結局廃墟に.あらゆるものは進まないかループしていて歯噛みしたいような展開の中,この時代は伝承となるも文明崩壊でまた幕をあける巨大なループループ.
きっと一度やってみたかったんだろうけど本当にやる奴はバカ以外の何者でもないなとかナレーションの台詞がもう少しリズムに乗ってくれるとさらにすごいところまで行けたのに惜しいなと思ったりしながらも,ここまで実験企画なだけでも褒める!と言い切りつつ,にこにこしながら次回に続きます.

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ギャラクシーエンジェル#5

「話をそのまま遠くへぶん投げろの巻」

(A)ロストテクノロジーのティッシュを配るという任務を遂行中のツインスター隊.一人でティッシュ配りをやらされそうになったちとせは面倒くさいので仮病で倒れることにする.首尾よくペイロー兄弟に仕事を肩代わりしてもらったちとせ.倉庫で見つけたロストテクノロジーの炊飯ジャーを開くと何かを吸い込んでほかほかご飯に変えてしまった.しかもおいしい.ところが吸い込んだ糸つむがちとせの頭に生えてしまう.
これ幸いとエンジェル隊の皆さんに復讐しに行く烏丸ちとせ.ウォルコットを炊飯ジャーに吸い込んでご飯に変え,それをエンジェル隊にふるまうちとせ.「友達」という禁断のワードで足止めされているうちに,エンジェル隊の面々は自分たちの顔にヒゲが生えているのに気がついてしまう.

(B)遅刻しかけて学校へと走る蘭花フランボワーズ17歳,途中でかっこいい少年に衝突にドジっ子呼ばわりされる.この二昔以上前の少女漫画展開は実は潜入捜査.この学園に潜む反政府軍のリーダーを捕えるという任務なのだがそんなことはどうでもよく蘭花のクラスではさっきのかっこいい少年こと風見が転校生として紹介されていた.潜入捜査なのでリーダー探しを開始するエンジェル隊だが学園物のお約束に翻弄されて,ミントやヴァニラに至っては恋人を見つけて付き合いはじめる始末.ある日の放課後,掃除中に気を失った蘭花を背負ってくれていたのはあの風見だった.「俺,どじっ子好きだぜ」と蘭花に言う風見.

毎度の豪快なぶん投げでおなじみのGA.もちろん今日も投げてますよ! 今回は前半は友情,後半は愛情をそれぞれに愛のかたちなどを示しているつもりらしいですよたぶん! 特に後半の投げ方はパロディ投げとしてはかなりの大技っぷり.例えるならば基本設定を生かしながら異世界に突っ込んだら打ち所が悪かったようでそのまま動かなくなったような感じ.そんな後半に比べると前半はもっと破綻する余地があったのにそこまでたどり着かないのがもどかしい.
前半は#2の後半の続編ですね.どう見てもバレバレっぽいちとせさんの仮病を受け入れてくれるペイロー兄弟は大人で.気づかれないと思い込んでらんらんらんとさぼるちとせさんは実に子ども.配り終わればコミュニケーション能力がつくはずのロストテクノロジー,もし偽物でも能力はついたに違いないのでちゃんと配ればよかったのに.しかしここで見つけてしまった炊飯ジャーが結果としてちとせさんを不幸に導くことになります.
吸い込んだものをご飯として炊き上げ,食べると吸い込んだものが体に出てくるという炊飯ジャー.以前の,そして今回のエンジェル隊の冷遇に復讐するためにご飯を炊くわけですが,最大の効果が示せるはずの不意打ちの場面でウォルコット程度を食わせるなんてとりまるさんは甘すぎます! どこかで「友達になってくれるかも」とか考えてたのかもしれませんが,そんな甘い攻撃じゃ反撃されるに決まってるじゃないですか.そんなわけでちとせさんは炊飯ジャーの変身能力を生かしてエンジェル隊の備品として大活躍.ジャムとったり雑用三昧.そんなアホだが仲間のちとせさんを救いにきてくれたのはペイロー兄弟.勇気百倍とばかりに吸い込んだ大いなる力ことゴキブリ.それを食べて巨大化するゴキブリちとせさん.汚いぞ! 地下鉄を心配したり嘘を教えたりしながら逃げるエンジェル隊ですが炊飯ジャーに吸い込まれてしまったはずが…あれ? うーん,ちゃんとエンジェル隊を吸い込んだ上で,合体状態とか頭からエンジェル隊全員が生えたりとかしてくれるもんだとばかり思っていたらノーマッド程度でちょっと残念.

今回愉快だったのはやはり後半! 手垢のついた古典少女漫画からはじまる別番組こと「もっと×2!エンジェル」.オープニング映像も歌も気合入りすぎ! これこそ正しいお金の使い方で,面白い冗談をやるのなら,真顔で本気でやらなきゃいけませんからね.走るランファさんの手の角度とかデッサンがわざと狂っていていいなぁ.で,一応潜入捜査なんですがあっという間に世界観に飲み込まれたというか適応していくエンジェル隊の皆様.図書館で小さな女の子が高いところの本を取りたがっていたら取ってあげてください.フラグが立ちますよ! フォルテさんは腕っ節を生かして新番長に就任.そしてランファは風見くんにもう夢中.目を覚ますと彼の背中で「好きだ」なんて言われたら女の子ならくらりと来て当然.けれど任務があるから…ではなく己の心を認めたくないゆえに「好きじゃない」と言ってしまうランファさん.
もうこのあたりから任務とかどうでもよくなっていて,流れる季節で3年生に.少女漫画のフォーマットを外れることなく,ミルフィーと風見くんが急接近したことでランファさんははじめて胸の痛みに気がついて …この胸の痛みは恋! 一応リーダーは見つかったんですけど少女漫画世界ではゲリラの壊滅より乙女の恋路のほうが大切です.そしてミルフィーさんのことは誤解で急な別れで空港にウォルコット先生に運んでもらって間に合わなくて! このあたり,声優さんの演技が惚れ惚れしそうなくらいです! で,遅刻かと思ったら留学やめているというお約束もつかの間,帰ってきた幼馴染のタツヒコさん.実は子どもの頃に結婚の約束を!…って潜入捜査じゃなかったのかよおい.でもこの番組はラストはぶん投げて終るのでOKなのでした.後半の素晴らしき徹底振りにしみじみと満足しつつ,次回に続きます.

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ギャラクシーエンジェル#4

「どんな事件も迷宮入りの巻」

(A)珍しくロストテクノロジーの回収をしているエンジェル隊.地図を頼りに捜すものの見つからなくて文句ばかり.そこに登場した高額な仔犬.これを捕まえようとフォルテが手近の棒を拾って仔犬にぶつける.これこそ「犬も歩けば棒に当たる」か?
ロストテクノロジーは見つからず寂れた町中までやってきたエンジェル隊.文句ばかりの様子はまさしく「烏合の衆」とか言った途端に変なかぶり物がエンジェル隊の頭に装着.そこにやって来た3人の悪漢をうさばらしに倒すことにするランファとフォルテ.彼女たちの警告も悪漢には「馬の耳に念仏」とか言った途端に馬が木馬化してその耳元に念仏を唱え続けてしまうヴァニラ.こんな荒っぽい戦いは「高みの見物」とか言った途端にミントの立つ地面が急にせり上がってとんでもなく高いところへ運ばれてしまう.悪漢はすごい武器を出てくるものの使いこなせず「猫に小判」とか言った途端に猫が大量に登場して小判を与えるはめに.これぞ「骨折り損のくたびれもうけ」とか言った途端に….

(B)今宵どこかのバーで語られる憎しみの連鎖の物語.殺人現場のミルフィーユ,ミント,ランファ.鈍器で殴られ殺されたのはフォルテ.状況から身近な人物の犯行であることが示唆されるが,ダイイングメッセージが指し示すのはヴァニラ.しかしヴァニラとノーマッドも殺され,そこに残っていたダイイングメッセージはマリブとココモを指していた.マリブとココモが語るのは,彼らとヴァニラが姉弟であるという事実.しかし彼らも飲み物に毒を入れられることで殺され,犯人として疑われたのはミルフィーユ.しかしミントは残された証拠のなかに事件の真相へと近づくための重要な手がかりを見つけていた.

投げっぱなしこそ持ち味と今日も元気に視聴者の前で話をぶん投げる「GA」.今回のテーマは「推理」.投げかけられる謎を解くどころかむしろ謎と戯れる天使どものだめな活躍をご覧ください.前半は比較的スタンダードで楽しく笑えたんですけども後半はラストに異議が(笑)!
前半は仕事をするエンジェル隊という珍しい風景よりスタート.もちろんフォルテさん以外はやる気皆無なのがこいつららしいですね.それに対し比較的真面目に捜すフォルテ姐さんですが査定前とかそういう原因? そんな連中の前に現れたのはウズベキスタンハスキーの仔犬.高いと聞いて目の色変えるフォルテさんですが,ペットの値段は変動が激しいので情報が最新のものであるかチェックすべきでしょう.そんなこんなでロストテクノロジーが発動してエンジェル隊は理不尽な状況に巻き込まれていくことに.
町では悪党をやっつけながら己の発することわざにやられていくエンジェル隊.普段はもっと頭の悪い会話やってるんだからそのノリで行けばいいものを,どこか頭のねじが締まってしまったのか次々出てくるやさしいことわざとか慣用句.「ことわざを言うと現実になる」という非常にアバウトなロストテクノロジーの効果によってさあ大変.「灯台元暗し」「釘を差す」など,幼稚園児並みの解釈で実現していくロストテクノロジーを捜すエンジェル隊.なんかミルフィーさんはいつもの通りにボケてますけどね.そして連発される火と水関連のことわざ.「飛んで火にいる夏の虫」と「対岸の火事」で森は炎上.それを「ことわざでなんとかしましょう」とミルフィーさんご提案.ゆえに流されるカッパ,燃え上がるノーマッド! 心境滅却すれば火もまた涼しとは言っても火が消えるわけもなく.足りない水量を補うには天候レベルで対応する必要があり,そこで提案されたのが「女心と秋の空」.女心のように秋の天気は変わりやすいというたとえなので,ここで台風がきたり干ばつが来たりして天候大荒れで終了するのかと思ったら,実際に秋の空状態で解散するエンジェル隊はまあいいとしてラストのキャッチフレーズは何だ(笑).でも子供向けの時間帯でないからこそあのネタをラストに持ってくることもできるわけで,実に時間帯を有効利用しているのではないかと(苦笑).

前半がナゾナゾなら後半はサスペンス.凝った導入ではじまる三文芝居は,連続殺人事件よりも血縁のほうがややこしいことに.そんな地獄の憎しみに彩られた人生.
事件のたびに疑われる可憐なヒロインミルフィーさん.ドロ団子を食わせていたヴァニラさんの過去シーンが妙に愛らしい.ミルフィーさんの周囲の人物は次々に殺されていくわけですが,その犯人として浮き上がってくるのは1回休みを食らった彼女の姿.そう.病院で眠るちとせさんご登場です!
証拠だったの日記を落としたのはちとせ.日記に名前入ってますし.で,ちとせさんが凶行に走ったのはなんとフォルテが姉だから! もう一人の犯人になってしまったミルフィーさん,ビーブストロガノフはハヤシライスではないという一点だけは譲れませんでした! 人の命なんかより料理の名前のほうが余程重要なので漬物石で殴り殺してみた自分勝手なミルフィーさん.ちとせさんが復讐としてヴァニラさん以下を殺したのはあの連中がミルフィーさんの兄弟だったから.だんだん血縁に無理が出てきましたよ! 銃でミルフィーを狙うちとせの前に体を投げ出した中佐はミルフィーさんの父&死亡.そして一人残されたミルフィーさんが崖へ飛び降りようとしたら思わぬ人が両親と名乗りを上げるぐだぐだぶり.血縁追うのが面倒くさくなってしまいましたがとりあえずひとりじゃない,愛されている!ってことでどうでしょう? そんなダメシナリオを作っていたのは登場人物そのもので,適当に血縁とかつければ殺人の理由になるというサスペンスってだめだよねとか暗に批判しつつも終了.ただし,最後で無理に賢いメタにオチを持っていかず2人が名乗りを上げた段階で話をぶんなげた方がこのシリーズらしかったような気が.変に構造を難しくして照れ隠しをしてももう遅いので,諦めて思い切りやってくれ(笑)! 己を捨てたバカな投げっぷりを期待しつつ次回に続きます.

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