陰陽大戦記#52

「君に届くまでの巻」

ウツホによってこの世に存在する全ての式神は消された.しかし3人の闘神士は,見えなくなった式神をこの星を巡る全てから感じ取ることができる.人に傷つけられたこの星.けれど自然の一部である式神は,まだ人を見捨ててはいない.
人は式神とともにあり式神は力を揮う.人には…力はない.それに気がついたウツホは,千二百年抱き続けた本当の願いを思い出す.その色鮮やかな思いは全ての無を塗りつぶし,節季は蘇り時は流れ出す.不自然に断ち切られた絆も再び結びなおされ,ウツホは,この世界に別れを告げる.
極神操機の力で崩壊する伏魔殿から脱出する闘神士たち.現世には大切に思う人たちと,叶えたい願いが待っている.些細で愚かで強い願い.それが彼らをこの終わりへと導いたのだ.

1年間本当にハイペースで,時々突っ走り時には息切れしながらもついにここへたどり着いた「陰陽」.激しく楽しい絆と心の物語は,これまでの軌跡に相応しい見事な終幕を迎えます.物語としての完璧な終わりではないけれど,心を添わせてきた者が注ぎ込んだ時間に誠実に報いてくれる,出来る限り精一杯の最終回! …現実は厳しくて,もうとっくの前に見捨てられているのかもしれないけれど,それでもなお彼らは共にあるのだと恥ずかしげもなく語ることこそ,未来への願いを込めた大人らしい結末ってもの.何はともあれここまでいいものを作り上げてくれた人たちに,精一杯の気持ちを伝えたい.本当にありがとう.お疲れ様でした!

前半は最終章・ウツホ編クライマックス.前回ラストで式神をウツホに消されたリク・ユーマ・マサオミ.しかし式神を消されれば記憶を失うという原則をあっさりと乗り越える.ウツホにすら介入できないほど深い絆を持つ極神操機持ちだからこそ可能な奇跡.…式神はこの星がある限り消えない.たとえ語り合い誓い合う人を失ったとしても,常に存在し太極を守り続ける.その姿が見えなくても,風や日差し,雨,寒さとして,全てのそして己の式神を感じることができる.
「そして,節季は巡っていくんだ」
式神を失った闘神士が未だにその縁を結んだままでいる反則を,ウツホは許すことができない.自らの手で再生させた世界に己の意に逆らうことがあるだなんて,想像もしていなかったに違いない,今,世界は取り返しのつかない道を歩み,人の排除でしか自然の再生はありえないと信じていたのだけれど…ウツホの背後には,彼が消したはずの式神たちが待っている.人を救い人を苦しめる自然の一部である式神.彼らは時に信頼できる人にその力を貸して,願いを叶える役割を果す.彼らの存在の根本に人は必要なく,この星…太極は式神を見捨ててはいない.
「そして式神は,人間を見捨ててはいない」
千二百年前に式神たちがウツホに従ったのも,式神たちとウツホが同じ誓いを共有していたから.ウツホは式神たちの力を束ねて意味をつけただけであって,人である彼自身に力はない.人には力などなく,人が回復させたいと願うことに自然が応えてくれただけ.…周りの皆に喜んでもらえればいい.式神が傍にいてくれればいい.そんな些細な願いでつくられたウツホの過去は,この世界の中でわずかな居場所が欲しかったリクととても近しく,だからこそ,リクは木像の小屋の持ち主が誰なのかに気づきます.
そして式神たちにも,一度は付き従ったウツホの願いは良くわかる.時には力に惑わされて忘れそうなこともあるけれど,誰もが結んだ絆は失いたくない.それがたとえ絆を勝手に切るようなウツホであっても,結ばれた絆は失い難い.…終盤,常に歌われてきた本作のテーマがついにウツホの中でも響きだします.
絶望するしかない幽閉の日々の中,恨みの中でウツホが忘れてしまった願い.もう一度だけみんなに囲まれたい…その願いは彼に千二百年を越えさせる力を与えたけれど,本当は既に叶っていたのかもしれない.式神は誰の傍にもいる.ウツホにそれを感じる心があれば,千二百年の封印の底だって….気づいたウツホの目からは涙がこぼれ,気づきによって願いはウツホの体から解放される.それは光の奔流となって,無に飲み込まれる寸前の世界を一気に塗り替えていく!
式神は「節季」という概念に戻り,無を塗りつぶして凍った世界を蘇らせる.節季は1年の時と自然の巡りを人が区切って名づけたもの.そして節季に先立って区切られたのが四季,四大天.…式神は単なる自然ではなく,人間と自然との係わり合いそのものでもあったから,それを奪われていた現世は時が止まって石化したってことだったのかな.闘神士やボート部が最後まで石化を免れたのは,止まる自然の中からわずかな時の動きを感知できていたからなのかもしれません.
ウツホが一人きりで考えた暴挙は止められて,式神は契約を果すため闘神士の傍らへと戻されていく.3人の闘神士によって全て台無しにされたウツホは,その首魁であるリクになぜ最後の罠にかからなかったのかを静かに尋ねます.
「コゲンタが好きだって言ってくれたんだ.僕の中の,もう一人の僕のことを」
この世界に独り流されてからの日々に育てられた,もう一人のリク.制御できない野蛮な誰かを心に抱えていることにすら気づかなかった頃に比べたら,リクの自己認識は劇的に改善されてきたわけですが,その幼い荒ぶる心を包んでくれたのはコゲンタの底なしの許容.本来は幼い頃に両親から与えられるべき絶対的な受容をコゲンタから与えられたリクは,自身の全てをようやく肯定することに成功していたわけです.
リクほど深くて暗いのは珍しいけれど,誰だって自分の中に嫌いな部分を持っている.けれど嫌いなところも含めた全てが自分であり,嫌いなところだっていいところに変わるかもしれない.…嫌な自分を認めて,許して,折り合いをつけることは,人が自分らしく生きるために必要な最初の一歩.リクが自分で前に進むために必要だった一歩を後押ししてくれたのが,コゲンタの小さな言葉.
リクがたった一人の式神に救われたことを聞くウツホの姿は,既に老いている.マサオミはウツホとともに戻ることを望むものの,ウツホはもう疲れきっている.もう一人のリクであったウツホには,自分の中の嫌な部分を教えてくれる者も,そんな自分を受け入れることを教えてくれる者もいなかった.だから,最後の最後で自分を理解して止めてくれた闘神士たちへの感謝の言葉だけを残し,幼く老いた心は体とともに,朽ちて消えていく.

封印するべきものを失い,中が空になった伏魔殿の底は崩壊を開始.式神が戻されたことで意識と記憶を取り戻した仲間たちとともに,天地の宗家は極神操機の力で脱出.唯一残ったマサオミは,これまでの罪滅ぼしということでヤクモや神流討伐隊の回収に向かいます.組織としては解消できていない問題は多々残っているけれど,宿敵同士だった極神操機持ちたちもいろいろあったおかげですっかり和解.互いに迷惑をかけあってきましたからね.
回収に行ったマサオミはヤクモたちの前に道を開いて誘導.しかしウツホの衣を抱えたマサオミは,責任を取りたいのかここに残る気で一杯.ウツホの封印からはじまって,千二百年の長きに渡って迷走を続けた神流の歴史をここで閉じるのは滅びの美学でかっこいいわけですが…ここまで皆に散々迷惑をかけてくれた今のマサオミには,かっこいい道を歩む権利はまったく与えられません.
キバチヨとの契約が満了できないくらい,マサオミにはやるべきことが残っている.それを鋭く指摘したヤクモの言葉は迷惑だけどありがたいもの.3人の主役たちに先行して頑張って時に空回ってきたヤクモの仕事のうちでも,一番タイミングが良かったのはこの一言かもしれないな.
崩壊を免れて時が戻ってきた現世.ついに石化せずに終わったボート部一同は,精一杯頑張って戻ってきたリクを出迎えます.天流の社から出てきたボート部部長の顔は晴れやか.信じて待っていてくれた仲間に向けた笑顔からは,すっかり気負いが抜けてます.大好きな人の帰還にモモちゃんも抱きついて大泣き.…そんなうれしい光景の中で先生が生まれ変わってるんですけども,まずはスルーしときましょう.
地流関係者たちも地流ビルへと帰還.3人の主役の中では一番恵まれた環境のユーマも父と再会.他の2人に比べればさすがに低いけれど,それでも当人にとっては非常に高い障害を乗り越えて戻ってきたユーマの笑顔からも気負いが抜けているのがうれしい.…このようにしてそれぞれが成すべき事を成し,最終章・ウツホ編は幕を閉じます.

後半は「陰陽大戦記」の終わり.時はしばし経って初春.リクは大会間近のボート部の練習を休んで,天地源流の合同チームで林を歩む.恐らくは当代トップクラスの闘神士5人の前にひょっこり顔を出したのは,あのとき伏魔殿に消えたはずのマサオミ.いつもの軽い調子で…生きていたのはうれしいけど,かっこ悪いなぁ(笑).マサオミが導いたのは伏魔殿の底の花畑.あの崩壊の中でも未だに姿を保っているのは,恐らくマサオミが庇いきったんでしょうね.
昼の満月の下で天地宗家は式神を下ろし,鏡合わせの印を正しく使い,紫に輝く天と地の封印を解消する.2人の宗家は祖先の過ちを雪ぎ,マサオミにはこれまで願ってやまなかった,大切な望みが戻ってくる! …神操機と闘神機で降ろされたキバチヨは,ウスベニにこの舞台を必死で整えた功労者を教えます.本当にいろいろあった末にウスベニより年上になってしまったガシン.千二百年の悲しみの夜はついに明け,嬉し涙を流すその顔は無垢な子どものよう.「苦労したのですね」とねぎらってくれる姉の優しい声や明るい笑い声に悲しみも恨みも吹き飛んで,ついに天地神の間にあったわだかまりは消え,原初の流れへと1つに戻り,新しい日々の扉が開きます.
地流の施設に身を寄せた神流一派…というよりはマサオミの家族.ウスベニはウツホの最後を聞いて,タイザンについてはガシンから笛を渡されます.最終決戦直前にマサオミと激突したタイザンは,四大天の力をその身に埋め込んで戦い敗北して事切れたはずなのに,「いやぁ,それが…」とマサオミがばらす衝撃の事実! 実は生きてたタイザン! かっこ悪(笑)! 傷の割にお元気そうで何よりですが,問題はマサオミが牛丼喰いに連れ出したせいで壊しちゃった精神のほうか.式神を失ったおかげで千二百年の記憶を吹っ飛ばしたタイザンだけど,あの恨みの深さを考えると気持ちよく吹っ飛ばしたほうが幸せかもしれない.ちなみに頭の柔らかな子どもたちには,21世紀の文化は大ウケのようで何よりです.
さて,このある意味今までのシリアスを台無しにするハッピーエンドを導いた大きな要因こそ,ヤクモとナズナが準備した刻渡りの鏡ではないかと思います.漫画版にも登場する時空移動装置は物語の何もかもをひっくり返しかねない反則装置なわけですが,これを使って死にかけのタイザンを回収したんじゃないだろか.
そして今日,鏡を使って出発する神流一門…というか愉快なマサオミと仲間たち.現代に思い切り毒されたマサオミは大量の牛丼とバイクでとともにご出立で,もはや彼はガシンではない(苦笑).こんなことして大丈夫なのかというリクの懸念は,あとでちゃんと大事になりますんでお楽しみに!
戻る直前,マサオミはリクを両親に逢わせるために過去へと誘います.けれど今のリクにはそのつもりはなく,微笑んで首を横に振ります.神操機を借りたまま,何もかもリクに負けながらも仲間とともに旅立つマサオミ.穏やかな日々へと戻る…マサオミが長い時間抱え続けた夢のかけらは,輝く鏡の向こうに待っています.
リクが父母と再会できていないことを案じていたのはヤクモも同じ.しかし今のリクには過去に戻るつもりはない.父母のことを吹っ切った風ではなく,逢うことを怖がっているように見えます.きっとまだ心の整理がついていないリクに「過去に戻りたくなったら,来いよ」とヤクモ.そして最強なのにどうしようもなく情報伝達が出来ていなかったこの先輩は,ナズナと2人で「バイス!」と見送り.リクとコゲンタは天神町へと戻っていきます.
神流についてはこれで問題はほぼ片付いたはずなんですが,リクの中の問題は未だに解決できてないことを感じているのか,コゲンタはまだリクを放っておけない.そしてこの問題を解決する鍵が,信州磐梯郡天神町めぞん太刀花101に届いていました.…行方不明の祖父からの手紙!

翌日,リクはボート部ご一行とともに手紙に誘われ小旅行.「なんでこいつらがついてきてるんだ」「流れで」というコゲンタとリクの会話が実に豪快でよろしい(笑).たどり着いたのは京都のような黒く古びた町並みに,すぐ傍には雪を戴く美しい山並みが連なる街.店に並ぶ手毬に眼を奪われたりしているリクの前に姿を現したのは,逆境の中にリクを放り出した祖父! その懐かしい声と姿に,再会の喜びを爆発させて抱きつくリク.泣きながら,どこ行ってたの,ずっと待ってたんだよと正直な言葉をぶつけるリクに,すまんと謝る祖父.きっと以前のリクならば,ここまで子どもっぽい仕草を見せることはなかったんだろうな.
祖父が案内するのは福寿草の咲く山道を登った先.高台から街を見下ろす美しい光景は,京都の天流遺跡を思い起こさせる.そしてそこに立つ石碑の文字をユミ先生が読み出します.「瓜食めば子ども思ほゆ,栗食めばまして偲はゆ,いづくより来りしものぞ,眼交にもとなかかりて,安寐し寝さぬ」「銀も金も玉も何せむにまされる宝子にしかめやも」
2つとも山上憶良の詠んだ子を想う歌で,平安の知識人ならそらんじていそうなメジャーなもの.ちなみにユミ先生が先生らしいことをしたので作品も終わり間近です(笑).子どもに対する強い思慕をテーマとした2つの歌を説明されて呆然とするリクに,ユミ先生は教員免許の威力をさらにぶつけます.石碑の最後には…
「この歌を,時空を越えた我が子,ヨウメイに捧ぐ」
…誰が何を思ってこれを刻んだのかを知って,泣き出すリク.父母を苦しめた自分のことを,それでも父母は愛しく想っていてくれた.届くかどうかわからない溢れる思いを歌に乗せ,石に刻んで待ち続けていてくれた….自分が愛されていたことを思い知って「ごめんね」と心の中で謝るリク.心に降っていた雨は流れる涙とともに消え去って,ずっと傍で心配してくれた仲間たちと祖父に,涙に輝く笑顔で感謝の言葉を捧げます.本当にたどり着きたかった両親の心が届く場所に,リクはついにたどり着いたのです.
夜,天流の社の前.まだ少しだけ不安定だったリクの心もついに安定.コゲンタにはリクとの別れの時がやってきます.中盤以降で次々に襲った悲しみや衝撃の事実を,互いを思いやることによって乗り越えてきた2人.どんなに辛い道だって,一人ではなかったからこそ越えてこられたのは間違いない.深い暗闇の先に待っていた夢を一緒に探してくれた大事な式神に「ありがとう,コゲンタ!」とリク.…人の情にうとい式神にとってこれほど大変な闘神士は珍しいはずで,だからこそコゲンタの喜びもきっと格別.リクがバカ素直に感謝するところは1話と何も変わっていないけれど,コゲンタはその言葉をそのままに受け入れる.
「白虎のコゲンタ! ここに契約を,満了する!」
自分がここにいることを許してもらえるように,仲間や式神や皆の役に立って,笑顔になる手伝いができて…できれば両親に謝りたい.そんな目的が果たされたからこその笑顔の別れ.最初は引っ張り,それから横を歩き,最後には後ろから支えてくれたコゲンタはその姿を失って,四季の中へと戻っていく.…人と太極の間,常に人を見守ることのできる場所へ.

同日.地流の社では,ユーマが父と揃いの布衣を身につけて役目に挑もうとしていました.ワイルドだった髪も姿も整えて,ミカヅチに父を封印される以前のユーマに近い姿へ.皆を笑顔という壮大な望みの第一歩を着実に踏み出し,その結果として父に認められたユーマは,少年を卒業し青年の表情に変わっています.そしてその傍らにはやっぱりミヅキさんが.闘神士としての記憶は飛ばしたままでしょうが,人を愛する心はその程度で消えるものではなく,何よりです.ミヅキの愛らしい巫女姿に,ユーマだけでなく堅物のランゲツまで魅了されてるのがおかしい.今のミヅキの魅力は式神や闘神士よりも絶対強いぞ.
どうやらユーマは地流宗家としての役目に専念することになったらしく,ミカヅチグループではソーマが社長の役目を勤めております.確かに神事を司る長が俗世で権力を振るうのはあんまりよろしくないので,その力量のあるソーマに役目を回すのは適切かも.それに,ユーマには人望は物凄くあるかもしれないけれど,平時の経営のセンスはなさそうな気もするし.でも…ちょっとの間にソーマは随分権力にまみれたなぁ(苦笑).
ミカヅチグループではムツキは相変わらず子会社の社長として手腕を振るっている様子.けれど,そんなムツキの最高のパートナーであるテルはまたも修行の旅へと出発.堅実を画に描いたようなムツキと適当すぎるテルが同じ場所にいるのはやっぱし無理だったか(笑).とはいえこの国から全ての問題が消えたわけでもないだろうから,彼が市井を放浪して問題を解決して回るのは,行き倒れにさえならなければ,いいことなのに違いない.
…地流の社では,ユーマとランゲツの契約満了の別れ.あの時ウツホに答えたとおり,世界の全てを笑顔にすることはすぐには無理で,そんな意味ではユーマの夢は今も消えない.けれど皆を笑顔にする可能性を無の来襲から守りきったことが,心からの満足とランゲツとの別れに繋がりました.ランゲツの言うとおり,ユーマの目には涙よりも炎が似合う.仲違いして裸足で飛び出したあの日にだって自分の傍にいたランゲツからついに別れて,青年は自分の足で,自分が目指す栄光の未来へと歩き出します.

長く苦しんでようやく手に入れた笑顔.過去に戻った神流一行は穏やかな日々を過ごしているようですが,この中で唯一千二百年の記憶を継承するマサオミはキバチヨと一緒にウスベニに怒られております(笑).実際マサオミの現在に対する適応ぶりは半端ではなく,服装も言葉遣いも古と現代の折衷状態.あの調子だと,どれだけ怒られてもマサオミがガシンに戻ることはもうないんだろうなぁ(苦笑).過去に持ち込んだバイクや牛丼は現代でオーパーツ扱い.マサオミがバイクの燃料や牛丼の不足に耐えられるとは思えないので,今も現代に頻繁に通っていそうな気がするな.
リクたちが出場した全国中学生ボート大会には,なぜか元地流闘神士たちが出場していてしかもライバル! こんなところでそんな相手と闘わなければならなくなったリクの複雑な胸中が思いやられます.わざわざ揃ってこんなところに出てくるなんて,どう考えても地流の差し金としか思えない(苦笑).式神を失い記憶を無くした彼らの新しい人生のために,大恩ある天流宗家と同じスポーツをやらせてみたんだろうか.で,そんな強敵と闘ったカワウソコンビが手にした審査員特別賞.…仮装も採点のうち? 鳥人間コンテストと似たようなもの(笑)?
戦いの中でどんどん倒れていった地流・神流の面々ですが,意外と元気に今も暮らしているようです.前半をその力で引っ張ったミカヅチだって穏やかな顔で健在.ミカヅチセキュリティの新人研修では,ムツキが地流・神流の面々に妖怪について講義中.そこにどう考えても絶対死んでるような面子まで見事に揃ってるのは,例の刻渡りの鏡を使い,ヤクモやマサオミが中心になって流派関係なしの人命救助を進めているんじゃないだろうか.
大変なことが片付いて,自分たちの周囲に目が行くようになった彼らの間では恋も花開いてます.過去ではタイザンとウスベニの恋物語も順調にやり直し中.今のマサオミなら,タイザンが権力を求めて変なことを考え始めても,取り返しのつかないことになる前に止められるでしょう.
同じく大変順調そうなミヅキとユーマの恋に比べ,前途多難なのはソーマとナズナの恋.清廉潔白なナズナさんに社長のパゥワーなんて見せつけたらそりゃ逆効果(苦笑).彼の望みが叶う日はまだ遠そうですが,まだ幼いのにこの先大権力を扱わなければならないソーマにとって,逆らえない人が本気で諌めてくれるのはすごくいいことのような気がするな.
怪異を愛するリナはあのとき従わせた妖怪たちに囲まれてご満悦.ナズナにふられたテルも,そのうち巫女服の似合う可愛い彼女を見つけられるといいけれど…コスプレ会場で見初めるのは何か間違ってる(苦笑).太白神社を再建したヤクモの傍にはイヅナが.今は休息している宗家たちがひたすらに歩き続けて作りだした道の先で,彼らが活躍するのはまさにこれから.3人の極神操機持ちが目指したものはそのまま仲間たちの光となって,宗家たちが彼らの先頭に戻るまで,明日への道を照らし続けてくれるのでしょう.

そして春.1年前と同じように見えて何もかも違う中学2年の春.背が少し伸びたけれど,朝の習慣は同じままなリク.しかし決定的に違うのが,ただの幼馴染だったはずのモモに対する大変面白い態度(笑)! この異様な照れっぷりはまさに去年の春のモモの様子そのもの.1年余分にかかってリクはモモと同じ場所に立てたわけです.照れて駆け出すリクと追いかけるモモの,恥ずかしくてのんきなやりとり.元々は素晴らしいボケだった彼ですが,後半以降はツッコミ役でどうにも痛々しかったけれど,こうやって気持ちよくボケているのを見ると,平和って,いいもんだよね.

節季は巡り,今は何もかもはじまったばかりの春.長い1年に起きた全てのことが血肉となって,新しく生まれた季節.そこには人間たちだけでなく見守る沢山の式神たちの笑顔もあるはず.…人間は今も地上を滅ぼす火を抱えたままだし,自然に対する敬意も薄れる一方だけれど,あのときウツホが訴えた言葉が人間たちの心から薄れることはないはず.壊れかかっている太極を救う義務は,今もなお人の肩にかかっています.
そして闘神士たちが今も抱えるもう1つの大きな義務は,自然と式神を本当に愛していたあの人に,それを救ったことを伝えること.ここまでの全ての穢れを引き受けて消えたあの人に謝罪と感謝の言葉を伝えなければ,物語は終わることができません.
刻渡りの鏡という万能の道具こそあるけれど,うまくやらなければタイムパラドックスで現代の仲間たちが消えかねない.ましてや闘神士の存在の根幹に関わる彼を救うとなれば,今の闘神士たちが総力を結集したってたぶん無理.戦闘で疲弊しきった組織を作り直し,未熟な人々に更なる経験を積ませて不可能を可能に変えるための時間が必要.けれど…その時が来たなら,全員が闇に沈んだままの彼に光を見せるために歩き出すのでしょう.そしてその途中で,別れたままの親子が再会するようなこともあるのかもしれない.
今も天流の社には,宗家の極神操機が置かれ,次の役目を待っているのです.

| | コメント (0) | トラックバック (0)

陰陽大戦記#51

「もうひとりのウツホの巻」

ウツホによる天地宗家の封印の危機を救ったのは,神流のマサオミだった.マサオミはウツホに敵対することを宣言し,再びリクとともに戦うことになる.超降神した式神3体の力は凄まじく,ウツホの操る大降神すら極の力で退ける.式神たちのなかの闇すらも闘神士との固い信頼によって打ち破り,ついにはその力を響き合わせてウツホの封印に至る極神操機の式神たち.逃れようのない封印に沈んでいく,3人の闘神士を苦しめてきた元凶….けれどウツホの哀れな叫びに,リクはこのままでは何も解決しないと気がついた.

長いようで短かった1年もついにあと2話.収まるべき大団円へとひた走る「陰陽」.あまりに面白くて分量が凄いことになってしまったこのレビューも残るは2回.今回は前半が式神戦で後半が心理戦.変形込みで大技を連発する前半はもちろん無茶苦茶贅沢なんですが,もっと贅沢なのは後半の心理戦に注ぎ込まれた時間.滅び行く世界の中,さらに次回最終回だってのにキレたウツホとひたすら口喧嘩する闘神士たち…ってここに来てこれをやるか(笑)! けれど本作の真の醍醐味は派手で小気味いい式神戦などではなく,因縁と契約で絡まりあった式神と人間たちの繊細でダイナミックな心の機微なんだからこれでよし! 終盤は,技ではなく心でウツホを圧倒します.

前半.前回多大な犠牲を払いつつウツホを封印しようとした天地宗家.しかしそれを利用され逆にウツホに封印されそうになった2人を手荒く助けたのは神流のマサオミ! サブキャラがほぼ片付いたところで颯爽と再登場し,おいしいところを持っていきます! 姉や仲間たちを蘇らせるために現代の天流を内部から操ろうとしていたマサオミは,ウツホやタイザンの真実を知ってついに真っ向から造反.ヤクモが残してくれた言葉の通り,自分の姉が守ろうとしたものを守るためにも,マサオミはウツホを止めることを決意.ここに極神操機持ちの最強トリオが結成されます! 今は思い切り迷惑をかけた2人の宗家に心底詫びる時間もないマサオミ.全てが終わったあと,彼をぶん殴る時間は残っているだろうか.
前回の展開でそれなりにダメージを受けている白虎たちに変わり,先頭で仕切るのは青龍のキバチヨ.千二百年をたった一人の闘神士とともに歩んできた古参の式神の割には,ペラペラと英語で一番現代に順応しているあたりが楽しい.天地神の三極神操機で超降神した式神たちは,ウツホがけしかける大降神を打ち倒していきます.ウツホに言わせれば,闘神士の欲で式神を縛るのが超降神.しかし縛られているはずのコゲンタたちの表情は,己の理性をなくして空しく暴れる大降神よりもずっと豊かだ.
ウツホ謹製の大降神式神どもは強いけれど,それぞれにヤクモの言葉を胸に抱えた3人の闘神士が戦意を失うことはない.極神操機の力によってパワーアップするのは1つの技だけではなく,ここに来て他の技まで新たなビジュアルとともにパワーアップ! おそらくはこの2話あるいは1話のためだけにわざわざ着せ替えさせるだなんて,なんて贅沢してくれる! 震坎兌離,コゲンタの孤月拳舞は風雲反魂手へとパワーアップ.ランゲツの洞刻もキバチヨの対大降神小銃逆鱗爪一九四一斉射も見たことない姿とともに炸裂.名前長い.このあたり,あまりに贅沢すぎてむしろありがたみがなくなっている気がするのは気のせいか(笑)?
大降神を新技で倒されたウツホは木の型に力を込めて更なる強敵を作成.それは超降神したコゲンタたちの中にある闇を取り出してつくった大降神.…強敵として用意されたのが自分自身のコピーってのは,今のウツホにコゲンタどもに対抗する手段が他にないことを示す良い証拠.高速に流れていきますが,恐らくはこれが式神の頂上戦! …確かに闇は深いけれど「恐れるな!」と叫ぶコゲンタ.あまりにも緊密な闘神士と式神の絆は,自分自身の闇ですらもあっさり撃破! 閃輝照陽光,赤月華,八手舞拿….またも姿を変えて発揮される新技は,ウツホの望みを壊していきます.
戦闘の中で高まっていく神操機の力.ついには神操機が光りはじめ,式神たちは時が来たことを告げます.闘神士たちが切った印によって三度姿を変えた式神たちは,トランスのままでウツホの周囲を取り囲む….力と絆を極めた3式神による強力な封印がスタート.囲まれたウツホにはもはや行動の自由はなく,封印の陣の中,ウツホは沈む.
「…嫌だ…嫌だ,嫌だぁぁ! もうあんなところに戻るのは嫌だぁぁ!」
幼すぎる悲鳴にはっとするリク.人を滅ぼそうとする悪であるのと同時に,その力ゆえに騙されて封印された哀れな子ども.ひとりぼっちを恐れる涙の叫びに,リクはこの道では大団円が来ないことにはっきりと気づきます.ウツホも「みんな」の一人.助けを求める哀れな子どもには,その力のある誰かが手を差し伸べなければならないのです.

後半は総決算の心理戦! ウツホの封印を強制的に中断したリク.いきなり努力を台無しにされたユーマやマサオミには大変迷惑だろうけど,リクが必死で主張するとおり,このコースは一時的な勝利への道ではあるけれど全ての解決への道ではない.それは千二百年前の罪の繰り返し.前と同じことをやってしまっては,ただウツホの苦しみや悲しみや怒りを大きくして未来に先送りするだけ…そんな投げっぱなしの道が王道のわけがない! 極めし者がやるべきなのは,ウツホを救うこと.方法はわからなくても,リクたちはここでそれを実現しなければなりません.
もちろん救われ役のウツホもそんなリクの言葉に反発.ウツホが千二百年に渡って天流と地流から受けた仕打ちは,地中に一人きりで眠れず泣けず,見たくもないものを見せられるという拷問.常人なら心が壊れて当然なほどの過酷な経験を叫ぶウツホの顔は,少年の顔のはずなのにひどく老いている.人の歴史は,数え切れないほどの戦いや血や罪や愚かさや悲しさで紡がれてきた.そしてそれは,闘神士という同族同士で争いを繰り返してきた闘神士と式神たちの歴史も同じ.…ただし彼らの同族争いの原因となったのは,彼らの欲とウツホの存在なのだけれど.
人間は太極にはびこるゴミだと,自分の命令に従わない式神たちを抱き込もうと頑張るウツホ.今や生き物全てを焼き尽くすほどの火を手に入れている,愚かな人間.彼らの欲によって太極は乱れ,この世に残された時間はわずかしかない.人さえいなくなれば,太極の節季を司る本来の形に戻ることができる.…かつての救世主の血を吐くような正論に,人である宗家たちは沈黙するしかない.
正しいけれどひとりぼっちのウツホは必死.過ちを繰り返す人間から離れて「契約」という形だけの絆を捨てろと言うけれど…コゲンタたちは動かない.式神たちにとって,契約は闘神士との大切な約束.同じ目的に向かい歩むための誓い.契約は式神と闘神士の不断の努力によってのみ保たれるから,形などない.形のないものは壊すことはできない…「もうこの絆は,何人たりとも壊せやしない!」

手に負えないほど超降神は強いし,闘神士は自らの分もわきまえず自分を救うとか言い出すし,式神たちは絆を切ってくれない.何もかも思い通りにいかないウツホは,今度は闘神士たちから絆を切らせようと揺さぶりをかけます.皆の笑顔のために闘うというユーマには,今すぐ全ての人間を笑顔にしてみせろと無理難題を.笑顔は,その場を取り繕う仮面に過ぎないとも.穏やかな日々を取り戻したいマサオミには,現代のどこが穏やかなのかと指摘する.もはや過去の自然は戻らないからマサオミの穏やかな日々だって戻るわけがない.
そして最も性質が悪いリクには,お前には何もないと真実を叩きつける.宗家として,笑顔のため,式神のため…これまでころころとリクが目的を変えてきたのは,リク自身には本当の目的がないから.たった一人で千年後の世界にやってきた異邦人にとって,この世界は所詮他人のもの.この世界にリクのためのものはないのだから,絶対に譲れない欲などない.他人のための世界で,無駄に生きているだけ….
「僕には,あなたの言うとおり,何もないのかもしれません」ぼんやりと静かで生の喜びも感じられなかったリクの日々.しかしコゲンタが来たことによって,日々は波打ち変わっていった! 面倒以外の何者でもないはずのコゲンタを最初からあれほど大切にしていたのはここに繋がるのでしょう.コゲンタが連れてきた沢山のトラブルと沢山の仲間,それから,信頼.そして…人の役に立って,周りの皆が喜んでくれそうなこの瞬間.
何も持たない空っぽの少年が欲しかったのは,誰かの役に立って記憶の片隅に少しでも置いておいてもらうこと.異邦人がここにいたという小さな証拠.…それは確かに欲だけれど,同じように空っぽのウツホすら抱いたほどのわずかな望み.こんな欲すら人の罪と言い切れる存在は,きっといない.
リクに続いてウツホの糾弾をひっくり返すユーマ.確かに全ての笑顔は無理かもしれないけれど,今は笑顔にさせる力を周りに与える存在になりたいユーマ.それはランゲツに出会ってはじめて知った,大切なこと…それはたとえば父のように,母のように.道は間違っていたけれどミカヅチのように.そしているだけで自分を支えてくれたミヅキや,ソーマのように.一人では無理でも,沢山の人が笑顔を守れば,全ての笑顔に限りなく近づいていくだろう.
そしてマサオミ.ウツホが自分たちを救ってくれた恩を,マサオミはキバチヨとともに千二百年忘れませんでした.救世主としてのウツホを覚えているマサオミにとって,自然を愛する心に溢れた彼もまた「みんな」.確かに今の世は穏やかな日々には程遠いかもしれないけれど,マサオミやキバチヨはウツホとともに戻りたい.何も持たない空っぽのウツホのことを,今,心から受け入れてくれるのは彼しかいない.
どうしようもない自分なのに,支えてくれる,教えてくれる,ともに歩いてきてくれる…「たったひとりの式神との絆が,僕/俺たちを救ってくれたんだ!」

式神の存在を小さな灯として,闇を歩んでついに極にまで至った3人の闘神士.その高みは,常人ならざる力を持つウツホにならばわかるはず.3人の言葉の中に自分との共通点を見出したものの,コゲンタ・ランゲツ・キバチヨの3体の名を砕いてしまうウツホ.闘神士たちにとって替えがたい存在を奪ったウツホは笑うけれど…全ての式神が消えて節季も失われたこの世界に絶望することもなく,ただ真っ直ぐにウツホを射る3対の瞳.闘神士たちはウツホに何を言おうとするのか?
いよいよ最終回! 式神を失ったはずの闘神士たちは何をどうやって大団円を導くのか.現世の連中,特に自分よりもリクを心配しているモモも気がかりです.敵を倒して終了という道はもはや選べない本作で,極神操機の連中はどのようにしてウツホを救うのか.力はいらないとかあの頃に戻りたいとか展開はいくつか考えられるけど,それをあと1話にきっちり入れ込んで別れまで描ききる時間はあるのか.そしてボート部は,世界を制覇できるのか! 次回,最終回に続きます!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

陰陽大戦記#50

「共に戦う仲間たちにさよならの巻」

伏魔殿の中,天地宗家は極神操機と白虎たちとともにウツホのもとにたどり着く.燃える都の奥で待ち受けていたウツホは,2人の宗家に己が滅びを望む理由を見せる.騙されて幽閉された千二百年,ウツホが見てきたのは自然を壊す人間の邪悪な姿.人間を絶望と考えたウツホは,この世もろとも,全ての人を消し去ろうとしていた.
けれど人も式神も,滅びることを望んではいない.宗家たちは全ての命を守るために戦いを挑もうとするが,ウツホは式神との契約に介入する.白虎たちから名が剥がされようとしたときに打ち込まれた助けは,ようやく追いついた頼もしき仲間たちのものだった.

ヤクモの五行柱とウツホの無の均衡がついに崩れていく「陰陽」.キッズアニメの常として始まったときから終わりは常に見えているものなんですが,今はその終幕に上手に着地させるための最後の詰めの真っ最中.王道に見えて無茶苦茶やってきた気がする本作でも,今回の流れはまさに王道そのもの.驚きには欠けるんだけどお約束だからこそのテンションの高まりはなかなか.特に式神と闘神士の関係については,今回が総決算.これまで宗家たちに支えられ,支えてきた仲間たちにとっては最後の見せ場…になるんだろうか?

前半.現世に訪れている力の均衡による最後の静けさ.これまでギャグパートを担当してきたボート部も,ここまで事態が深刻化すると1名を除いてボケる余裕もないようで.リクのことが心配で笑顔になれないモモと,そんなモモを支えてやろうとするリュージ.なんかすっかり居ついてしまっている妖怪のトラジとともに,嵐の前の静けさと感じているリナ.過去を捨てたリクが帰る場所は,ここしかないんだけれど….
伏魔殿ではリクとユーマの宗家コンビが意外にさくっとウツホの近くに到着.極神操機が示すウツホを示す色は赤と青の混合である紫.天と地の封印にも使われた力と同源ってことか? 神流は天地に反する緑だけど,実際はウツホに反する色でもあるのか.宗家たちは神操機で扉を開き,待っていた妖怪を白虎で切り刻んで進撃.硬めの結界すらも2体の白虎でぶち破り,ついにウツホのもとに到着します.
神流が整えていた美しい都の姿は既になく,かろうじて燃え残った屋敷の前には小さな人影が.彼こそがこの崩壊を招いた張本人のウツホ.いきなり式神をふっとばすわ宙を自在に飛んで宗家に迫るわと,人かどうか怪しい能力を発揮しまくり.人間の姿ではあるけれど,出生不明の彼は「人」なんだろうか?
これまで戦った誰よりも強い相手を前に,いきなり理由を聞き始めるのが天流宗家.「なぜ,世界を滅ぼそうとしているんですか」…この状況でも崩れないマイペースぶりに,さすがのユーマも驚いてます.自分たちの非はあっさり認めて謝罪して,しかし関係ない人に危害を及ぼすのは許せない,という趣旨はミカヅチの前でリクが初めて宗家の役目を果たしたときと同様.リクの場合,責任を負って自分が滅ぼされるあたりまでは許容範囲な気がするなぁ….
そんな生真面目な責任者にウツホが見せるのは,過去の戦乱.千二百年,人が自然を壊していく歴史を眺めてきて,人間こそ太極に巣食う邪悪,絶望であると断ずるウツホ.だから神流を含めて全ての人間を消さねばならない,という展開は東方先生っぽいですがわからないでもない.けれど本当に人間だけを憎むなら,自然や式神たちを無に巻き込む必要はないはず.一見理屈立っているように見えて,実際はリクが33話でキレたときの心とそう変わらないんじゃなかろうか.
もちろんウツホにそれをさせるわけにはいかない宗家たち.特に「地上にいる全ての命は守る」とユーマが言い切ったことに,今度はリクが驚く.通ってきた道はかなり違ったけれど,今の2人は間違いなく同じ方向を目指している.みんなの笑顔や式神を守るため,宗家たちは世界を守る道を選びます.
宗家たちは受け入れられない要求を突っぱね,ウツホは報復に滅びを加速.これまでの均衡が破れて無に飲み込まれていく五行柱と,その下の現世のものたち.ミカヅチビルや天神町も例外ではありません.さらに伏魔殿ではミカヅチ戦での介入のようにコゲンタとランゲツの身からその名,「契約」を引き剥がそうとするウツホ.己の存在理由を奪われる力に必死で耐える白虎たちを救ったのは…神流討伐隊の4組だ!

後半.ユーマがウツホのもとへ先行したあと,ソーマやナズナたちは奮戦の末に場の妖怪をほぼ撃退し,宗家たちの後を追ってついに追いつく! ろくな道標もなしにここに辿りついたのは,テルの鼻で辿ってきたのか,遠目から見て一番燃えていたのか.もちろんウツホは初顔合わせ.大降神できる闘神士にも怖い相手だけれど,己の命を投げ打った姿に感銘を受けたソーマは,ヤクモのためにも頑張ると決意しています.助けてもらった礼を言うリクに「何を言っているのですか」と応えるテル.仲間がこんなところに来てくれただけで宗家たちはうれしく,仲間たちも宗家たちの役に立てることはうれしい.
ウツホ対神流討伐隊の前座は,ウツホが呼び出した式神たち.赤い目でウツホの意のままに操られる中には見覚えのある連中が多数.これまで贅沢に使い捨てられてきた式神たちの最後の見せ場…の割には,十把一絡げにやられちゃってるのが切ないな(苦笑).必殺技を駆使して,闘神士のいない式神たちを蹴散らす天地の4人.ソーマとナズナの天地コンビも良いコンビネーションを見せているけれど,テルとムツキの究極コラボがおいしいところを持っていく! イソロクがエビヒコを振り回して式神を吹っ飛ばす超打法発動! こんな状態ですら笑いが取れるテルたちって,やっぱりいいなぁ…(笑).
しかしウツホが操る式神は尽きることなく,4組はさすがに辛い…と思ったら,無理やり宗家の白虎たちも復帰.今は回復を待つ余裕は存在しない.今ある力のありったけを発揮する以外にリクたちの選べる道はない.それをわかっている式神たちは意地を見せ,宗家たちも応えて極神操機の本領を発揮.五行奉神剣と爆砕爪拳壁で,雑魚をまとめて吹っ飛ばす!
無を降ろすウツホを止めるために総力を集中する伏魔殿の闘神士たち.未だウツホには誰一人触れることもできないけれど,無は速度を上げて地上を飲み込んでいく….天流の社を守る青い結界もどこまで耐えられるのか.まずは先生が耐えられず,いきなり糸を噴き出してます.これは闘神士・巫女としての素質の差が出ているのか,それとも先生は妖怪に近いためなのかは不明(笑).リクのことを思って恐慌状態のモモと,それでもリクを信じるリュージ.今,ボート部の存在は重要です.たとえ天流の闘神士たちが記憶を落としたとしても,ボート部の記憶で埋められる部分はかなりありますからね.

迫る無の下で伏魔殿での戦いは続く.宗家の式神たちが加わっても敵式神は尽きない.次々に式神を使い捨てにした上に「望まぬ契約が式神を苦しめている」と自分のことを思い切り棚に上げるウツホ.闘神士と交わした契約を忌まわしきものとして,その苦しみから解放してやろうとするだなんて自分勝手も甚だしい.どう見ても式神にひどいことをしているのはウツホだよなぁ….
もちろんそんな誘いに式神たちが従うわけもない.式神の気持ちを代表するのがコゲンタの叫び.「苦しい目にも辛い目にも遭ったさ! だがなぁ,乗り越えてきたんだ!」 リクだけではなく「こいつら」と越えてきた1年近くの紆余曲折.人の心の機微まではよく理解できない式神のコゲンタでも,今リクたちが守ろうとしている「みんな」の意味は理解できる!
思わずウツホに直接斬りかかるコゲンタを止めて守るリク.ウツホが人かどうかは怪しいものの,コゲンタを名落宮に落とさぬためにその身で式神を守ります.力ではなく信頼で結ばれた闘神士と式神の間には,望まぬ契約など存在しない.共に戦うことは式神の望み! …同じ願いを絆として結ばれたこの6組の姿は,ウツホには憎くてたまらない.
わがままなウツホは目の前の神聖な契約をおもちゃにする.まずはホリンの名を掴んで操り,ナズナを襲わせ…けれど苦しむナズナの前で,ホリンは正気を取り戻してともに泣く.自分の呪縛に屈せず,己の感情を示す式神が気に入らないウツホは,ホリンの名をそのまま握りつぶす! ろくな抵抗もできずにあっけなく消えてしまうホリンと,闘神士としてのナズナの記憶….
ウツホの介入は止まらない.次に狙われたのはフサノシン.名を奪われ無理やり大降神させられて,それでも必死で支配に抗うフサノシン.ソーマたちの応援を受けてウツホに向かったところを,これもまた気に食わないウツホはその名を潰し,フサノシンを消す….ナズナが最後に言い残した言葉すらも失って倒れるソーマ.強い絆の強さがなければ,ウツホの支配に抵抗することも出来ない.ウツホを止められるのが極の力を持つものだけというのは,この抵抗力の問題なのか.
二人の仲間を次々に失った現状で,ユーマは鏡合わせの印をリクに提案.ムツキとテルは印を成立させるまでの間,サポート役を務めます.頼もしい仲間たちを交えたウツホ封印作戦決行! …でも,その封印によってここまで事態がややこしくなったんだから,本当の解決方法はこれではないのだろうけど.
宗家たちの封印の儀式をその身で守るイソロクとエビヒコ.これ,本来はナズナとソーマが担当するべき役目のはずで,なんでこの二人が務めているのかは不明だけども(笑)最後まで見せ場を奪っていくテルたちが悲壮ながらも楽しいのでまあよし! 鏡合わせの印がはじまるなかで,白虎たちを狙う攻撃を食い止めるイソロクとエビヒコ.しかしそれは,式神の存在と引換の鉄壁の守り.使命を果し再会を誓って消えていく式神たちと,記憶を失う前に熱い友情を再確認する闘神士たち.でもこれ,本来はナズナとソーマが…(苦笑).

守りたかったものを守りきれない天地の宗家たち.渾身の鏡合わせの印はついに成立.しかしウツホによって封印の陣が動かされ,逆にリクたちが封印されかかるところを手荒い爆撃で助けてくれたのは第三の男,神流のマサオミ! 前回の悲劇をさらに乗り越えてきた彼らの登場で,ついに3極神操機揃い踏み.今回で闘神士の式神たちのドラマはかなり描ききったので,次はまた闘神士たちのドラマに戻るんでしょう.最後の最後で張られた伏線,謎の小屋の住人あたりもそろそろ明らかになるのかな? 天流の隠し神操機の行く末もなんとなく気になるぞ.残るは2回.そこにはどんな大団円が待っているのか.次回に続きます!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

陰陽大戦記#49

「大切な夢にもさよならの巻」

仲間の眠る花畑で,敵として再会するガシンとタイザン.千二百年を仲間として過ごしてきた2人の目指すものは同じ.穏やかな日々を取り戻したいという気持ちに偽りはない.けれどタイザンが目指していたのは,神流の仲間だけが権力を握り幸せになる都.権力を奪いあうことでもたらされる不幸をよく知っているガシンは,タイザンの理想を認めることはできない.
リクはウツホの作り出した幸せな幻に囚われていた.自分を受け入れてくれる両親の姿は,幼いヨウメイが求めていたもの.しかしその幻の外では,コゲンタが四大天の攻撃を食らいながらもリクを呼んでいた.

たった1年の割に実にいろいろありすぎた「陰陽」.視聴者の理解のことはあんまり考えず(苦笑)猛スピードで設定や伏線をぶち撒いてさらにそれを猛スピードで回収していくという脅威のマッチポンプぶりを楽しめるのもあとわずか.今回は実質的には前回の後編.前回に引き続いて,今回はガシンとリクが今自分が求めるものをはっきりと認識します.特に過去を振り切るリクの雄姿は素晴らしい.ここ最近決めるべきところではどんどん等身が上がってるんだけど,内心の成長を外見に反映したその姿は確かに主人公.よくぞここまで成長してくれたなぁ.

前半.まずはガシン対タイザン.千二百年前から一緒に行動してきた仲間のはずが,ここに至りやはり敵となってしまった2人.自分たち以外の全てを犠牲にしても仲間に力と平穏な日々を与えたいと考えるタイザン.ウスベニたちのこともウツホを利用して全ての態勢を整えてから助けるのだという極端な思想.…神流にとってはタイザンの考え方が当然で,ガシンのほうが異端なのか.もちろんタイザンの道は式神や世界を壊してしまう道.
ガシンとタイザンの考えがすれ違うのは,タイザンがウツホの里に逃げるまでの過去が原因.当時から服装が一人違うなと思ったら,タイザンは都落ちしてたんですね.さらにウツホのことを都に密告した元凶もタイザン.その力で都に戻ろうとしたようですが,結局は都の者たちに利用されて終わっただけでなく,ウツホ封印への引き金ともなったのでありました.
ガシンの姉であるウスベニと恋仲だったはずのタイザン.彼はウツホの真意を知った上で,ウツホに頼んで偽のウスベニを作り出し,ガシンを操ろうとしていました.その判断は非情だが正しい! 千二百年の付き合いだからこそ,ガシンを退場させないための手段もよく理解していたってことですね.
ウツホが復活したおかげで現世はほぼ壊滅状況で,残るのは石化していない敵闘神士と巨大な力を持つウツホのみ.天地宗家とウツホさえ倒せば仲間たちを復活させられるとタイザンは誘うけれど,天流宗家に許されたばかりのガシンが受け入れられるわけがない.加えるなら,天地宗家やウツホを倒してしまうとウスベニたちの封印を解けるものもいなくなってしまうし.もし天地宗家を倒すことで封印が解けるとしても,それによって宗家が封じてきた妖怪なんかも一気に開放されそうなので現状の貧弱な神流陣営ではあまりにも危険な気がする.
…それに,千二百年の付き合いなら,タイザンはガシンが絶対に自分の提案に乗らないことも理解していたはず.本来タイザンが取るべき道は,天地宗家とウツホの激突を影から見守り,どちらかが倒れた時点で生き残りを倒すこと.ここでガシンに会っても何の利もないんですが…それでもここに来たのは,内心では自分を止めて欲しかったのだろうか.
そしてはじまるオニシバ対キバチヨの闘神! 神流のためにひたすらなタイザンと,式神を私欲のために使う暴挙を許せないガシン.互いを知り尽くした2人の花園での戦いは,ハイレベルで熱い! 直線的な動きが特徴で,中・遠距離での戦闘を得意とするキバチヨとオニシバ.移動速度ではキバチヨが勝るものの,オニシバには弾丸と神速の足がある.飛行できない不利をまったく感じさせないオニシバの奮闘ぶりが素晴らしい.
さて,そのころの主役なんですが,前回ラストのヒキでおなじみの通り,ウツホの作り出した素敵な幻覚にまんまと引っかかってトリップ中.うつろな目,微妙な笑顔のままで固まっているリクを包む桜交じりの風は,式神のコゲンタには突破できない.その上ライホウも四大天も傷つきはしたもののまだ健在! 邪悪なライホウは,リクがウツホの夢に取り込まれるまでの時間に,闘神士の助けがないコゲンタを四大天の力を使って倒すために攻撃再開.リクの印がなければ技も出せないコゲンタ,大ピンチ!
ウツホ謹製の夢の中,桜の下で狩衣と烏帽子のリクは,夢見ていた両親に再会して赤ん坊のように抱きついて甘えます.以前地流が似たようなことをやってリクをキレさせたけれど,今回はそんなごまかしとはレベルが違う.…これが夢だとはっきりわかっているから,リクが幸せそうな分だけ見ているほうはどうしようもなく切ない.術をかけているウツホは,そんな悲しみを理解しているのだろうか.

後半! まずは神流の頂上決戦が決着.キバチヨとオニシバ,光速の直線攻撃が激突! 普通なら極神操機持ちのガシンが明らかに有利なはずが,闘神機のタイザンはそれと互角に戦ってみせます.オニシバの一切合財貫通撃の威力はキバチヨを吹き飛ばし,逆にキバチヨの大技・金輪際撲滅戟はカウンターされてしまう.最強技の霊騒乱燦燦ですらオニシバには効かない! …四大天に飲み込まれるのではなく,その力のみを利用してコントロールしているとは,さすがはタイザン,ウツホを倒そうとするだけのことはある.明らかにこれまでの四大天の力の発露とは姿が異なるわけですが…タイザンの手元にも絡みつく光る何かが見えています.
四大天の力によって式神の範疇を超えた力と速さを手に入れたオニシバは強い.神速の蹴りも超越鬼神速へと変わり,スピード自慢のキバチヨすらも上回る.因縁の花畑で高レベルの闘神を見せる両者.四大天の力は,かくも素晴らしい.
しかし強すぎる力にはそれなりのリスクが伴うもの.程なくタイザンに訪れる力の限界.タイザンが吐血してオニシバの動きが止まり,その隙を見逃さずガシンは最後の渾身の攻撃を放つ! …千二百年を共にした仲間ではなく,正道を外れた敵として,ガシンは容赦はしない.再度の霊騒乱燦燦によって四大天の力はついに砕け,キバチヨの逆鱗牙がオニシバの体を貫いた!
そして,花園に降る雪.倒れるオニシバとタイザン.四大天の力をその体に埋め込んで,オニシバに伝えていた無茶がタイザンの体を壊しました.命を削って式神に力を与える邪悪な技の痛々しさを知って,再び千二百年を共にした友へと心が戻っていきます.…強いガシンに対抗するためには,タイザンにはこれしかなかった.
原因はいつも過去に.タイザンには,ウツホの里にたどり着く前に都で悪事を重ねてきた過去がありました.人を騙し殺めてきた経験から,奇麗事だけではダメなのだと知ってしまったタイザンは,里の者を守るために,あえて悪を引き受けていたのです.愛のために少年を悪に駆り立てるほど,当時の都はひどい場所だったということか.
そして最後の最後で,ガシンに大切なウスベニの笛を渡すタイザン.「あの頃の,安らぎに,偽りは…ない」.そのまま痛む体で忠犬オニシバの傍へ.オニシバは消え,タイザンは倒れ,ガシンにとってあまりにも重い勝負が終わっていく.…タイザンはいい人ではなかったけど,心からの悪人でもなかったはずなのに,

悲しい別れは天流宗家の元にも訪れています.ウツホの幻覚に囚われたリクが見るのは,両親にこれまでの思いの全てを話した夢.父に戦いの道具にされ,母には千年後の世界に捨てられたという幼いヨウメイの抱えた黒いトラウマを吐露すると,「わが子のことを大切に思わぬ親がどこにいる」と,一番の恐怖を否定してくれる父と母.ヨウメイにどこかで生き続けてほしかっただけなのだと聞かされて,欲しかった言葉に涙ぐむリク.卓越した闘神士としての力ゆえに運命に翻弄されてきたヨウメイが求めていたのは,両親に一緒にいる許しをもらい,傍にいること.夢の中の父と母は,リクに惜しみなくそれを与えてくれようとします.
しかしこれはウツホの作り出した巧妙な幻.現実ではコゲンタが一人ライホウの四大天へと立ち向かい,帰ってくるんだとリクの名を叫ぶ.ウツホを盲信するライホウにとっては,聞こえるはずのない声を張り上げるのはきっと愚かな行い.けれど,リクとコゲンタの間の絆の深さは伊達ではありません.ミカヅチ最終戦ではウツホからの介入すら振り切った絆は,既に印ではないもので繋がっているのです.
闘神士を呼ぶコゲンタの声は,ついに幻覚を越えて夢の中のリクのもとへ.それまでは両親の優しさに涙ぐんでいたはずが驚いて,きょろきょろして…立ち上がるリク.迷いも逃避もなく,引き止める両親に心を動かされることもなく,リクは穏やかに,とても心地のいい夢の中から醒めることを選びます.
夢から出れば心に黒いものを抱え続けなければならないことを理解しているはず.それでもリクは,夢を捨てます.「僕は,ヨウメイではありません.…僕は,太刀花リクです」.この優しい光景は,ヨウメイであったリクが望んでいたもの.しかし太刀花リクが望んでいるのは,のんきで間抜けで穏やかなあの日々.「太刀花リクとして生きてきた日々を,取り戻すことです」.天流宗家としてのリクが背負うことを選んだのは,仲間たちの笑顔.その決意に迷いはありません.
夢だからこそ最高に残酷なものをウツホに見せつけられたリク.しかしもはや心の揺るがないリクは必要以上のお人よしぶりを示してしまいます.ウツホに向かって本当に気持ちのいい笑顔で「素晴らしい夢を見せてくれて,ありがとうって!」…タイザンは里のものたちは善人すぎるから弱いと考えていたけれど,本当の善は暴力的.程度を越えたリクの善人ぶりは,ウツホの術と計算だけでなくその心すらぶっ壊し,夢は桜の花と消え…厳しい現実へ.
目が覚めて,早速待ってくれていたコゲンタのために印を切るリク! 式神と闘神士の絆は印のはずですが,闘神士に届いた式神の叫びのほうがより強力な絆のような気がします.ついには四大天を崩すも,妖怪と化してなおも向かってくるライホウ! 襲われるリクの危機を救ってくれたのは,駆けつけてくれた地流宗家!

天流と地流,千年の因縁を乗り越える力となったのは,ユーマの自覚とリクが常に差し伸べていた手.ユーマの提案は「太刀花リク,まだオレのことを仲間にしてくれるか!」…そりゃもう根っからの仲間マニアであるリクは「もちろん!」と大喜び.ランゲツとコゲンタもここから先は共闘することになるんだから,もうちょっと仲良くしとけ(苦笑).コゲンタがリクの名にこだわっているのは,式神だから名を特に重要に感じているのかな.
こうしてみんなの笑顔を最優先に走り出す天地宗家.特にリクの場合,敵対したライホウだけでなくウツホすら彼にとっての「みんな」に含まれそうな予感がするぞ(笑).…やや不安なのは,みんなの笑顔を守るためには太刀花リクの日々を捨てねばならない状況が来ることなんですが….もちろんリクの底抜けなお人よしぶりはウツホにとっては凶器.その怒りに伴って,美しかった都は燃え上がる!
ついにウツホとの最終決戦に突入.式神の契約を書き換えるという特技を持つウツホだから,過去登場した様々な式神たちも登場しそうですが問題はそこじゃない.現在契約中の式神たちと闘神士たちの絆は一体どうなる? 未だに理解できない部分が残るウツホの心も,戦いの中で過去が披露されていけば明らかになっていくのだろうか.次回に続きます!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

陰陽大戦記#48

「みんなの笑顔を守る意志の巻」

ヤクモとその式神の命をかけた五行柱のもとに到着した天流・地流の混成隊.そこに襲いかかるのがウツホの指示を受けた神流のショウカク.五行柱を倒すために四大天の力を揮うショウカクから,ソーマやナズナたちは必死で柱を守ろうとするもののこのままでは力が足りない.遅れて地流宗家のユーマも到着するのだが,敵を倒すことしか考えられないユーマはランゲツを降神することができない.自分が何のために戦うのかを見失ったユーマだが,名も知らぬ地流闘神士の言葉をきっかけに己の初心を思い出す.日常を守る,それこそが今極神操機を持つ者が宗家としてやるべきことだ.

最終章も中盤から終盤へ.これまで3人の闘神士を中心として広げられてきた物語が急速に畳まれはじめた「陰陽」.今回いきなり畳まれていくのはユーマの迷い.極神操機を持つ3人の中では最も恵まれた境遇の地流宗家は,他の2人に比べると大変に贅沢な迷走の末にようやく己の原点に戻ることになります.ラスト近くの憑き物が落ちたような清々しい顔は必見.で,残る2人の極神操機の所持者はまだまだ迷走中.山を1つ越えたはずがもっとでかい山が待っていたリクと,誰が仲間で誰が敵なのかわからなくなりかけるガシンがユーマと同様の境地に達するのはいつの日か…って,さすがにそろそろか.

前半.伏魔殿の中に侵入した天流・地流の闘神士たちは,ヤクモという大きな目印を目指して集結中.まずは今回で迷いが消えるユーマは,薄い戦力で必死に五行柱をショウカクから守ろうとするナズナ&ソーマ+神流討伐隊に合流.四大天の力で柱を壊そうとするショウカクに対して天地の混成チームは健闘するものの,さすが四大天の力はごく普通の闘神士には荷が重すぎる.さらにショウカクは五本の柱のどれを狙っても構わないため,極少数の式神では全ての攻撃に対応することが大変難しいわけです.そんな仲間の大ピンチに颯爽と登場するのがユーマのはずなんですが…迷いのために失態を見せることになります.
ウツホの暴挙を止めるため,ヤクモが犠牲になったことを弟から知らされたユーマ.しかし彼はヤクモの行為の意味をよく吟味することもなく,ともかくショウカクやウツホを倒せばすむんだろうとどうしようもない短絡思考.もちろん現在ストライキ中のランゲツが使い手のそんな思考に納得できるはずもなくやっぱり降神拒否.今のユーマの目に燃える炎は,敵どころか自分や仲間までも燃やしてしまう無軌道なもの.明確な方向性を持たないただの力は,敵どころか周囲を燃やす危険なだけの代物であることに間違いなし.
一方己の中に黒い火薬庫を抱えながらも式神とともに歩むのがリク.彼の場合,過去が重い分だけその力も普通ではないわけですが,それを極力まともに使ってきたあたりがさすがは主役.そんな主役たちの前に出現したのが彼の叔父に当たる先代の天流宗家・ライホウ.ここまでの経験で忘れていたはずの過去に限りなく近づいている今のリクには,知らないはずの叔父の顔にも確かに見覚えがありました.さらにたった一瞬とはいえ本当に取り返しのつかない目に遭わされたコゲンタにとってはライホウは仇敵に等しく,親戚に再会したリクとは違って最初から噛みつくつもり満々です.
ウツホが作り出した仮初の存在であるはずのライホウ.しかしリクに近づいて彼の中の闇を揺さぶろうとするその様は,どの程度オリジナルを模しているんだろうか? 自分には宗家の資格などなかったかもしれないという彼は,その責任を周囲の邪さのせいだと主張.宗家という立場が負うべき義務を無責任に放棄しようとする彼の姿は哀れで惨めで,それゆえに今同様の立場に立たされているリクの心を揺るがします.欲にまみれた周囲に高い志は届かず,全てが嫌になったというライホウの心の闇を取り除いてくれると言って現れたのがウツホ…ライホウがウツホに飲み込まれてしまったのは,ウツホもまた,ライホウと同じ気持ちを抱えていたからなのだろうか.
ライホウの裏切りに気づいた天流は伏魔殿の利益を護るために彼を捕えて幽閉.しかし神流にそそのかされた地流が攻め込んだところに元天流宗家は合流し,ろくに契約すらかわざずにコゲンタを振り回し…そして今.「心に闇を抱えて生きる必要はないのです」とリクを混沌へと誘うライホウ.全てを他人に委ね自分は責任から逃げ出す,組織の長が決して選んではならない道へと誘うのです.
同じ天流宗家であるライホウとリクですが,その周囲の人の質はかなり異なっています.ライホウはその力を利用しようとする者に囲まれていたようですが,リクの力を積極的に利用しようとしていたのは,それこそガシンくらいしかいませんでしたからね.そんな気のいい仲間の筆頭であるボート部たちは現世の夜で妖怪と追いかけっこ.演出が演出なんで間違いなくギャグにしか見えないけれど(笑)これは大怪我してもおかしくないような危険な遊戯.先生は大人なんだから心配してもらえないことをすねたりすんなよみっともない.
そして,こけたモモをかばいにいったリナと,リュージの投げた大根のコンビネーションによってなぜか手なづけられる妖怪.元々巫女の素質があったり,力を込めたネギで妖怪退治をした経験があったりとそれなりの素質がある2人の連携によって,なぜか一匹のモッコリーナが誕生! 理屈は不明! 名をつけたら大人しくなるあたりは妖怪も式神とよく似ているようで.式神が人に従う穏やかな自然だとすれば,妖怪は人に逆らう荒ぶる自然の比喩だったりするのかな.そしてこれはウツホと同じ妖怪と仲良くなれる才能じゃないかと思うんですが,本家であるウツホの深刻さに対し,この途方もない軽さはどうしたらいいんだ(苦笑).
現世がいつものように面白かったのに対し,迷いの中,シリアスに正念場を迎えることになる今は無力なユーマ.目の前の弟たちは柱を守るための防戦に必死.なぜまず敵を倒そうとしないのかとユーマは叱責するものの,名もなき地流闘神士は彼らのささやかすぎる目的を語ります.ただこの世界を守りたい.「仲間や大切な人との暮らしが…ただ,それだけです」.その力で組織の未来すら変えてやると息巻いていたユーマにとっては驚くほどに小さな夢のため,ユーマ以外の全員がとんでもない敵に挑んでいたことが明らかに.
笑ったり泣いたりして仲間と過ごす日常は,リクの傍での愉快な日々がソーマに返してくれたもの.雲を掴もうと燃えていたユーマにとっては足元に咲く小さな花のような願いは,かつてのユーマが目指していたもの.もしその役割が天流の陰謀だったとしても,人々を守るために戦うことは地流の本懐.大切な人たちの笑顔を護りたいものは皆同じ.炎は,決して花を燃やすためのものではない! 己の願いの根幹にようやくたどり着いたユーマはランゲツを降神.「こいつらは,オレが護る!」

後半.まずは主役たちのいない現世でなぜか確立されるリナとリュージの妖怪懐柔コンビネーション.リュージの野菜を食わせてリナが命名するとなぜか大人しくなる妖怪たち.キャサリン,ナタリー,ジョセフィーヌ.どうやら稀代の命名名人であったらしいリナの大活躍によって次々にその眷属と化していく妖怪たち…リナとトラジやユーマと小妖怪との交流を見ても妖怪が全て悪というわけではなさそうなんですが,やっぱり人心の欲に強く影響されて荒れたりするんだろうか? 一応の必勝パターンは見つかったものの妖怪は周囲に一杯.最初に野菜が足りなくなりそうな気がするんだが,大丈夫かリュージ?
そんなボート部が帰還を心待ちにしているはずのリクは,ライホウに言葉で心の傷をえぐられている真っ最中.「親に愛されなかった恨みを戦いにぶつけて憂さ晴らしをしているだけ」…リクはもちろん否定したいでしょうが,これこそが彼の中にある黒い動機そのもの.リク自身が持て余し,しかしコゲンタがそれも強さだと言ってくれた強い怒りと悲しみは,幼いヨウメイが抱いてしまった深い願いでもあります.
そして,千年の時が過ぎ,もはや叶うはずもないと思われたヨウメイの願いすらもウツホなら解決してくれるとセールストークを展開するライホウ.月の勾玉を自ら手放すという宗家にあるまじき行いを取り上げて,お前も自分と同じように天流宗家という立場から逃げだしたかったのだと,嫌な笑顔でリクをウツホの側に引きずり込もうとしています.気を抜けばリク自身もそうなってしまうかもしれない無責任で醜い姿で勧誘を続けるライホウだけど…その姿はあまりにうさんくさく(苦笑)かつ自身の悪い面を直視させられるようなものなので,むしろセールス的には逆効果ではあるまいか.
未来のダメな自分のようなものを見せつけられたリクは,結局ウツホになびくことはなく反撃開始.月の勾玉を渡したのはコゲンタの存在を守るためで,何よりもまず式神を最優先するのが正しい宗家の考え方ではないのかと,ライホウの一番弱いところに言葉で切り込んでいきます.確かに人に使われてはいるものの式神たちは自然を司るものですからね.彼らは戦いや利益を生むための道具なんかではなく,もっと大事な存在.…「式神」をそのまま「自然」に置き換えれば,本作の大きなテーマの1つを主役が堂々と語っています.
周囲からの圧力と悲しみに負けて式神を道具としてしか使えなかったライホウに比べ,この世界にひとりぼっちだったリクが式神に寄せる情と信頼は何よりも深い.「式神のおかげで立ち上がれたんです.生きようと思えたんです」.過去と現在に流されるままのリクにしっかり生きろと教えてくれたのは,戦うことしかできないはずのコゲンタ.24話の決意をしっかりと抱えてここまで来たリクは,それを学べなかったライホウに対し宗家の資格はないと言い切ってみせます.
かくして交渉は決裂し,ライホウとの闘神開始.ウツホの息のかかったライホウはもちろん四大天を使うわけですが,それで臆するような天流宗家ではない.たとえ相手のほうが力は上だとわかっていても,敵からも,過去からも未来からも,宗家としての立場からも,リクはもう決して逃げない.「みんなの笑顔を守るために!」大組織の長であるユーマに比べれば,リクが背負っているのはごく小さな「みんな」.祖父や学校の仲間とか同じ闘神士の仲間とか,マサオミとか.足元に咲く小さな花のような「みんな」を守るため,天流宗家はここまでけなげに頑張り,この先も頑張っていくのです.
さて,五行柱のリクの「みんな」の中から実にナチュラルに外されているテルさん(笑)とその頼もしい仲間達ですが,ショウカクの四大天の力にやっぱり苦戦中.ショウカクは5本の柱のどれでも狙い放題なわけですが,ユーマたちは1本でも柱を壊されるわけにはいかず,ようやく原点に戻った地流宗家の力があっても,戦力を集中させる余裕すらありません.そんな劣勢の中でも,ランゲツが気分良さそうに戦っているところがいい.
四大天の攻撃を防ぐために必死で頑張る式神たちですが,ついに名もなき地流闘神士たちの式神2体が犠牲となってしまいます.先のことをユーマに任せ,闘神士なら何より大切にしなければならない式神の存在と引き換えにして,五行柱を守った2人.…みんなの笑顔を守るために本当に大切なものを投げ出した2人は,それなりに満足しながら式神の記憶を飛ばしたに違いない.守るべき笑顔,大義のためには本当に大切なものを手放さなければならない時も来る.そんな現実をちょっと強引ながらも先触れとして示してみせたのがこの2人なのでしょう.今後物語を大団円に導くため,この先残った闘神士や宗家たちは何を手放していくことになるのだろうか.
で,四大天のために2体を犠牲にしてしまった神流討伐隊は,ショウカクに対する怒りに満ちて大降神! これまで大降神してなかった式神までいきなりでかくなってびっくりしましたが(笑)気力の消耗の激しい伏魔殿でも,膨大な気力を持つ極神操機持ちの宗家がいれば気力の補充がきいたりするのかな.五体の式神による五行の究極の守り.もちろん土の力を担当するのはユーマのランゲツ.その極の力で四大天の1つをついに打ち崩す!

ようやく宗家の正道に返り,落ち着いた笑顔でリクに合流することを決めたユーマは弟たちのところから再び離脱.ソーマがヤクモの伝言の断片を伝えてくれたおかげで,3人の極神操機持ちはウツホを「止める」ための手段を模索することになるのでしょう.ムツキがユーマの今の姿を讃えるシーンはちょっと無理やりですが(苦笑)少なくとも一角の霧が完全に晴れたことは喜ばしい.
まだまだ霧の中なのは,仲間の眠る花畑で再会したタイザンとガシン.自分がウツホに騙されていて,しかもウツホはこの世を滅ぼそうとしていると思い知ったガシンは,ここまでの千二百年をともに歩んできた仲間のはずのタイザンの真意を聞くため,一人出向いたのです.天流に潜入するため現代の文化になじみ,今も現代の服装をしているガシンと,同じように地流に潜入しながらも今は古装束のタイザンの心は,たぶんもうすれ違っている.ガシンとタイザンが取り戻したいものは同じはず.けれど意に沿わぬ行動を取るウツホに対しては,「なら,ウツホを殺せばいい」と無慈悲な解決策を持ち出すタイザン.タイザンの「みんな」には,ウツホはいない….
そして霧が晴れたはずなのに,もっと濃い霧に覆われていくリク.怒りと悲しみにまかせて式神を使う過ちはもう繰り返さないと決意した彼は,神操機が示す宗家の道をひた走る.たった1体の式神で四大天1体を切り裂く力は,恐らくは闘神士としては最高峰のものでしょう.けれど,切り裂いた四大天は巨大な桜の木に変わり,その前には見覚えのある2人の人影が.…それはウツホの作り出した,ヨウメイの両親の姿.
悲しい過去はすでに終わっていて,夢だけが未だに千年後のリクの中に残っている.夢がどれだけ楽しくても恋しくても,それは現実ではない.けれどそれでもリクは,しっかり生きていかねばならない…次回に続きます.

| | コメント (0) | トラックバック (0)

陰陽大戦記#47

「そして因果は巡るの巻」

ヤクモはその命と式神の力を空めがけて揮い,この世界をウツホの無から守るための五行の柱を立てた.巨大なヤクモの幻影を目指して伏魔殿の闘神士たちは進む.走るリクが見つけたのはあの懐かしい四季の伏魔殿.その中でリクとコゲンタはガシン…マサオミと再会する.ガシンはヤクモに託されたリクへの伝言を確かに伝え,さらに借りていたものを返すと,己の青い極神操機をリクに渡した.なぜウツホは人を石に変え,天を無で覆うのか.なぜガシンはリクを裏切りウツホにつき,そしてなぜ今神操機を返そうとするのか.リクは未だその理由を知らない.請われたガシンは,千二百年前に始まったこの物語の源流から現在までのあらましをリクに伝えるのだった.

今は遠い2つの過去が現在を侵食する「陰陽」.時の流れの中で善悪はひとりと3つの組織を巡り,それが現在の,絶対的な善のいない構図を生み出す源となったわけです.というわけで今回はこれまでの過去設定の整理&暴露.あるいはアバンの総集編.中盤がまるごと設定祭りとなっているあたりは本作の場合珍しい省エネ.情報の羅列は「陰陽」らしくはないけれど,ここまで本当に無茶をしまくりかつこれから先も無茶するんだろうから今息抜きするのはアリだと思います.それに本気で見ていた視聴者にとってはここまでのかなりの部分の答え合わせにもなっているのでそれなりに楽しい.…でも,相変わらず子どもは放置なんだなぁ(苦笑).

前半.この世界をウツホの生み出した無の沈降から守るため,五柱の式神による五行の柱を立てたヤクモ.源流零神操機がヤクモを導いたのは,全てが終わる時間を少しでも先送りするための自己犠牲の道.力と能力に加えて迷いがなく折れない心を持っていたからこそ,この役割なのでしょうね.空を支える巨大な雄姿はなぜか伏魔殿だけでなく現世にも投射.今,人間界で石化せず耐えているのは闘神士・巫女としての素質のある連中だけなんでしょうが,日本国外はどうなってるんだろう….巨大なヤクモと5体の式神の姿は,伏魔殿にいる闘神士たち,特にろくなナビも持っていない神流討伐隊にとっては格好の目印に.けれど早速到着した彼らが見たのは,もの言わぬヤクモの姿.
天流と地流が頼りになる闘神士を失ってしまったのを知ったその頃,神流陣営も大混乱.ここまでうろたえるってことはタイザンもショウカクもウツホに操られているわけではなく,彼らなりの自由意志でここにいるのだろうけど,2人とも力だけはあるけれど仲間もいない寂しい国を,心から望んでいるのだろうか? …上空の無に驚いた2人はウツホに対し,このままでは作りかけの理想郷が消滅すると懇願.2人が自分の望む国を作るというからガシンを騙すことにも協力していたようですが,結局造反され心は乾く,そんな現状をウツホはまったく気に入らない.
国づくりは途上だから時間が欲しいと必死な2人に対し,ウツホは地流宗家の討伐とヤクモの五行柱の破壊,さらに裏切ったガシンの討伐を命じます.残る天流宗家に対しては,ウツホ直々に木型に呪を込めてリクとコゲンタの運命を曲げた一人である,ヨウメイの叔父であり先代の天流宗家のライホウを準備.部下程度では到底リクにはかなわないと考えているんでしょうが,なぜウツホはそこまで天流宗家の力を買っているのか?
さて,敵であるウツホにまで見込まれているリクは移動の最中,22話に訪問した四季の伏魔殿を再訪することに.乱れる伏魔殿の中でも美しいまま,青錫のナナヤによるダメージすらも見当たらないこの不思議なフィールド.壊れたところが勝手に直っているのは隠された天流の社と一緒なんですが,これはフィールドや建物に自己修復能力があるのか,あるいは時の流れでも狂っているのか.そして,さらにこの場に縁のあるもう一人の男が姿を現します.…前回の展開でウツホに騙されたことを知り,もはや神流に属することすらできなくなってしまったガシン.真実に打ちのめされ目的を見失った彼ですが,少なくとも無が地上を飲み込む世界を望んではいません.
リクは気づいていませんが,リクの両親との縁があるこの伏魔殿で再会したリクとマサオミ…ヨウメイとガシン.もはやガシンにリクと戦う理由はなく,ヤクモからの伝言「極めしものだけがウツホを止められる」を伝達.おまけでウツホが天流宗家を恐れていることまで教えてくれる彼は,情報不足にあえぐ現在の天流と地流にはぜひとも欲しい人材なんですが,なぜかリクに神操機を渡してしまうガシン.…このあたりシリアスなんですが,神操機を放棄するガシンにつっかかるコゲンタに「ちょっと黙ってて」とまったく遠慮なしのリクが面白い.あの38話以来,完全に立場が逆転してるんだよなぁ.
ガシンの神操機はヨウメイの母から託された天流宗家のもう1つの神操機.渡される様は既に42話で描かれているわけですが,リクにすればまさかマサオミと自分の母が知り合いだなんて知らなかったわけだからびっくり.リクはこの物語の流れを最も深く知るひとりに必死で教えを請います.「わからないんです.なんで今,こんなことになっているのかが!」

「全ての始まりは,今からおよそ,千二百年前だった」…小国が互いに争う戦乱の世.式神までもが巻き込まれ卑劣な策略の末に名落宮に落とされていったという残酷な時代.もちろん節季を司る神をおろそかにするような人間が許されるわけもなく,けれど飢饉や病で苦しむのは,たぶん戦う力も式神を使う力もない弱い人々だということが切ない.ガシンとウスベニもそのような弱いものたちであったわけですが,山の奥深く,ウツホの里に逃れたことで運命が変わります.
世の弱者が集まって出来上がったウツホの里.ウツホ自身の出自は不明ですが,身寄りのない空っぽの自分を「ウツホ」と名づける程度の学と洒落っ気はあったようです.妖怪と一緒に暮らしていた彼の心は,その力と同じく並の人の心とは何かが違っているのかもしれない.弱い人たちは力を持つウツホを頼り,ひとりぼっちだったウツホとともに暮らすことになります.ここで手に入れたささやかな幸せこそ,ガシンが求めてやまないもの.あの頃の幼い彼は,無邪気に笑っていたのです.
その卓越した力ゆえに頼られたウツホは,式神と自然の力を結集して四大天の力を入手.四季を操るなんてのはまさに不遜な行いなんですが,ウツホ自身が悪ではなかったからこそ最初はうまく回っていた.乱れたものを治め,相容れないものを分ける.人にも妖怪にも「みんな」に幸せなこの平安の時代こそ,ウツホにとっての理想郷だと思うんですが…今のウツホが求めている世界も,この頃の理想のままなのだろうか?
力は幸せな暮らしのためには不可欠.けれどその力を求めるものは弱いものばかりではない.強いものほどより大きな力を求め,そんな行動が悲しみを招くのが世界の常.四大天の力を欲しがった有力者達…将来の天流・地流の罠に落ちたウツホは時空の間に封じられ,四大天の力のみが奪われ,罪のない弱者たちはウツホの封印が解けぬように陣に埋められ,逃れたものすらも次第に封じられ,ついには己までもが伏魔殿の中に封じられてしまった…それが封じられるまでの,ガシンの知っている物語.

後半.そして二百年後…ヨウメイのいる物語.神流はウツホや仲間を救うため,地流に天流が四大天の力を我が物としていると煽動し,両派をぶつけ合わせる中でウツホの封印を解こうとするも,役についたばかりの幼い天流宗家・ヨウメイの母であるショウシの君が宗家を千年の先に飛ばしたために失敗.この段階ではガシンは未だ目覚めず,大乱を伏魔殿に逃れ生き残ったヨウメイの両親によって,ガシンは封印を解かれ神操機を与えられることになります…って両親がガシンに会ったのはヨウメイを跳ばしたあとなのか.これであの戦乱のあとも2人が生き残っていたことは確定したようなんですが,ガシンと別れた後の消息が大変気になります.
ショウシからガシンに渡された,天流に影で伝わっていたもう1つの神操機.いきなり影の神操機とか言われて唐突すぎる感はありますが,万が一にも記憶を落とされては困る宗家に2機持たせるという判断は非常に合理的.地流が影の宗家を立てたように,天流も宗家を守るための策を弄してもおかしくはないはず.そのもう1台の神操機を正しく使うことを約束し,ガシンはキバチヨと契約.しかし天流宗家がいなければウツホを復活させる術はなく,タイザンとマサオミは千年後に賭けて…現在.天地宗家によってウツホは復活した.
千二百年の悲願が叶い,本当に欲しいものが戻ってきたはずの神流.けれど…神流が最初に願っていた姿にこの世は戻らないばかりか,ウツホによって無に飲み込まれようとする危機到来.人々の平和な暮らしをを守るものを善,壊すものを悪とするならば,封印された千二百年の間にウツホは悪となり,天地はぶつかり合い,衰退しつつ善へ向かったことになります.そしてウツホを善だと信じて疑わなかった神流やガシンは….

長い物語のあと,「これはいただけません」と青い神操機を持ち主に戻そうとするリク.「神操機ではありません.キバチヨさんです」いくら宗家であったとしても式神との思い出や絆は引き継げないし,リクにはコゲンタもいてくれる.一緒にここまで来てくれた,今はちょっとした軽口だって叩ける大切な友達がいるからもういいのだと,笑って神操機を差し出すのです.
目的のため,これまでリクの心をわざと切り裂いてきたガシン.とても神操機を受け取れるような状況ではないけれど,リクには「マサオミ」に大きな借りがありました.33話,地流に嘘をつかれてリクがぶっ壊れたとき,式神を怒りや恨みに任せて使ってはならないと止めてくれたのは「マサオミ」.たとえそれが自分の両親の教えだとしても…あの場を作ったのがガシンだとしても,頬を叩いて自分を止めてくれた事実を大切に胸に抱えてきたんですね.天流の罪を償うため,自然を守るために使って欲しいというのがリクの両親の願い.そして今リクも同じように,美しい四季をを守るために力を使いませんかと,とことん柔らかくガシンを説得.そしてついに,ガシンは再び神操機をその手にすることになります.
不自由で不便で厳しくて,それでも仲間達の笑顔に溢れていた,あの日々.ガシンとキバチヨは未だそれを取り戻すための旅の途中.その手に力があるのなら,求めなければならないのです.ただしリクの仲間に戻ることだけは断るガシン.その資格がないだけでなく,確かめなければならないこともあるからと再び道を違えることに.…けれどリクの見立ての通り,もうガシンが本心からリクと敵対することはないでしょう.3つの極神操機は,全てウツホの敵となったのです.

リクがその底なしのお人よしぶりでガシンを改心させていたその頃,現世ではなぜかリクが話題の中心に.自分たちのために伏魔殿に出向いてくれているボート部部長は,闘神士でしかも宗家という一般人にはわけわからん立場に加え,重く悲しく思い出したくもない過去まで抱えていたため,自分自身の境遇についてあまり語ることはなかったようで.それを幼馴染でありリク研究の第一人者であるモモから拝聴するわけです.
モモが知っている幼いリクは,モモの家族と一緒の旅行のときは寂しそうで,運動神経は割と良くサッカーが得意で,相当重症の甘党で,意外と無鉄砲で着物の女の人に見とれる,そんな少年.大半の記憶は失ってしまったけれど,それでも消えずに残った過去の断片が今のリクの心の礎となり,のんきで臆病で育ちが良くて,仲間や家族が本当に大切で,失ったはずの過去の夢を見る1話のリクへと繋がっていったわけです.
リクのことをよく観察してきたモモに対し,「太刀花クンのことが好きなんでしょ」と今更(笑)その気持ちに名をつけてくるリナ.…今更照れたって,余程鈍い奴以外はとっくの昔から君の気持ちには気がついていると思うぞモモちゃん.下手するとリクにまで気づかれていてもおかしくはないぞ(苦笑).そしてモモちゃん久々に愛の妄想大暴走.リクが怒るような秘密って,一体何だろう? …やっぱりモモちゃんは,妄想して百面相したり笑ったり,明るい顔をしているのが一番似合う.リクは伏魔殿に「モモの笑顔」を取り戻しに行っているわけだし.リクにとって「みんな」の象徴となるのが,モモの姿なのかもしれないな.
さて! ちょっとした休息の末に物語は再び混迷の中へ.ウツホの命を受けて神流討伐隊の前に姿を現すショウカク.姉たちが眠る封印の花園でタイザンと再会するガシン.そしてリクの前には自分に似た男の姿が.…ウツホが過ぎた力さえ持たなければ,こんな現在にはならなかったのだろうか? 次回に続きます.

| | コメント (0) | トラックバック (0)

陰陽大戦記#46

「解っていた結末の巻」

広い伏魔殿の中で,出会い,戦い,すれ違う闘神士たち.自分の姉・ウスベニとヤクモが抱き合う姿を見て狼狽するガシン.ヤクモが姉を騙そうとしたと一度は怒るガシンだが,ウスベニがヤクモに対して直接攻撃を仕掛け,己の式神を名落宮に落とすことを厭わない姿に次第に強い違和感を感じていく.そして同じ伏魔殿にいる天流と地流の闘神士たちは,傷ついたヤクモが神流に襲われ危機に陥っていることをまだ知らない.

主要メンバーが伏魔殿に入り,いよいよ最後の大仕掛けが動き始めた「陰陽」.とはいえ終わり間近のこの期に及んで主役が目立たなくなったり謎がさらに増量したり,爽快感とわかりやすさが最重視されるキッズ向けとしてはあまりにも前衛的な構成に眩暈がしそうなわけですが(苦笑).因縁と策略と伏線渦巻く本作では,他人の言うことをろくに吟味もせず真に受けるのは大変に危ういこと.そんなわけでここしばらく大変危うい状況にあったガシンは,今回に至りついにコケることになります.本当に誰でも気がつくようなくだらないことも情がからむと見えなくなるのは間違いないので,ヤバそうなときほど落ち着いて,人の弱みにつけこむようなくだらない詐欺にはひっかからないようにしましょう…ってのが読み取れる教訓でいいのかな?

前半.姉弟で美人局を演じたばかりのガシンの前に現れたのは驚愕の光景! なぜか姉と敵の強い奴が抱き合っている上に,その直後にヤクモを振り切ってガシンのところに戻っていくウスベニ.…目前の光景がよくわからないガシン以上に,ウツホの考えがよくわからない.そこは必死で哀れっぽく逃れようとしていたほうが,いかにもヤクモがウスベニを襲ったって感じになるからより効果的だと思うんだけどなぁ.…ともかくガシンに泣きついて,自分の体に呪いがかけられていて,仲間になれば解いてやるぞとヤクモが懐柔してきたのだと言いつけるウスベニ.肉親への情に完璧に目が曇っているガシンはあっさり激怒.その上,天地宗家の呪は天地宗家を倒すことで解けると思い込んでるんですが…天地宗家の力で呪を解くことは因縁があるからあえてやらないのかと思ってたんですが,こいつ,本気で可能性に気がついてないのか…?
大切なことに気がつかないほど怒り狂うガシンの力は恐ろしい.極神操機の力と相まって,同じ青龍のブリュネでも力及ばず.しかしどうもガシンがウスベニのカモになっているらしいことに気がついたヤクモは,「騙されているのは貴様のほうだろ!」と精神攻撃.いち早くヤクモの狙いに気がついたウスベニは,口封じのために朱雀のバラワカでヤクモ本人の攻撃をはじめます.式神で闘神士を攻撃するのは式神を名落宮に落とす非道そのもの.ガシンは姉をさすがに止めようとするわけですが,弱っているヤクモを前にウスベニの猛攻はもはや止まりません.
ガシンの攻撃はあくまでもブリュネを狙い続けるわけですが,生まれた隙を見逃さずにヤクモを攻撃するウスベニ.闘神士としてあるまじき行いに迷いはなく,あまりに夢中で己の笛すら踏み折る狂乱のウスベニ.ヤクモはブリュネが盾となってくれたためになんとか命を繋ぎ,姉の狂乱を前に大きく心が揺らいでいくガシン.「我々には何も恐れるものなどない」と笑みを浮かべる彼女の顔は,敬愛する優しい姉上なんかではない….
ヤクモが主にウスベニに襲われていたその頃,伏魔殿中の他の闘神士たちは小休止.まず,ナズナとソーマは神流討伐隊と合流.八卦盤も効かない広い伏魔殿で再会できたのは実に喜ばしいことのはずですが,一人物凄くおめでたくない奴が.前回で見事恋に破れたテルさん,緊迫した状況の中でも悲しみは止まらない.…やっぱりテルはおいしいなぁ(笑).イソロクのとりなしとムツキの情けで失恋したことは知られずに済んだものの,いくら世界の窮地を救うために立とうとも,利用価値のない今のテルをナズナさんはナチュラルにパーフェクトに無視.やっぱり,これまで主に大食らいで迷惑かけまくったのがダメだったのだろうか(苦笑).どれほどムツキとイソロクに認められても,全然うれしくないかわいそうなテル.
そして宗家たち.まず地流宗家なんですが,ちっちゃい仲間ができました,妖怪と戦った末に倒れたはずのユーマ.しかし妖怪はユーマを殺すことがなかっただけでなく,なぜか小さな妖怪どもに捧げ物などされている始末.弱そうな妖怪たちにとっては,目の前に巨大な力持つ神様が転がっていた!ってな感じなんだろうか? ともかく彼らの捧げものを見て,妖怪にまで同情されたと思い落ち込むユーマ.…弟には,兄は父を見返すつもりなんだと断言されているわけですが,実際彼は一体何のためにここにいるのやら.
天流宗家は式神のコゲンタがようやく回復したので移動を再開.実に便利な極神操機には周囲の状況がわかる機能までついていて,その機能でユーマや3つの印が集まっている場所(実際にはガシン・ウスベニ・ヤクモが闘神中)を確認.しかしガシンの存在に気づいても急いで向かっていかないのは,顔を合わせて戦いになるのが嫌なんだろうなぁ,たぶん.
移動の途中,建物を見つけたリクはその中を調査.清浄な木々の中の小屋,棚には符のようなものが貼られた木像がずらり.…割と不気味な光景に見えてもおかしくないんですが,その像がなんとなく式神に似てるってことでなごんでしまうあたりはさすが闘神士.「たぶんここにいた人は,式神のことがすごく好きなんだろうね」とか言ってみるリク.これは何の裏づけもないただのカン,でも天流宗家のカンなので,それなりの信頼度はありそうです.

後半の役者はヤクモ・ガシン・ウスベニ,そしてウツホ.ヤクモを狙うバラワカの攻撃を退けるのが限界で,ブリュネは傷つき雷火のタカマルに交代.そしてタカマルも程なくタンカムイに交代…ウスベニは式神の使い捨てと証するものの,あくまで式神が自主的にかばってくれたんだからそう証するのは不適切でしょう.2対1の差は簡単には覆しようもないものの,戦局の鍵は自分の姉が段々信じられなくなってきたガシン.時が経ち,冒頭の衝撃が頭から消え醒めていくうちに,己の姉の狂乱から目を逸らすことができなくなってしまいます.信じたくない現実に心は乱れ,ついにはキバチヨの金輪際撲滅戟までもが,山の彼方へ.
姉に攻撃を求められても,もはや己の式神を動かすことすらできないガシン.なぜ意の通りに動かぬとウスベニはキバチヨを叱るものの,「黙れ!」と叫ぶキバチヨ.彼は今はガシンの式神で,式神は闘神士の気持ちに従う.当たらないのも攻撃しないもの,ガシンの迷いが生んだ結果.どれだけ姉に叱責されても,ガシンははっきりと答えることができない.だって,今感じていることを言葉にしてしまえば,きっともう戻れない.
…言えないガシンと怒るウスベニが揉めている横では,ヤクモが必死でバラワカを攻略中.ついにサネマロで相手の動きを封じることに成功し,いつもの必殺技の仕込みを開始! 五行の力で塔を為し,いよいよお約束の一撃必殺パターンへ.敵のいざこざに見とれることもなく全てを自分のペースで進めるヤクモ,さすがは単独行動のプロ(笑).
言えずにいるガシンに本当を叫ぶキバチヨ.「こいつはウスベニなんかじゃない!」 …煮え切らなかった闘神士の尻を蹴飛ばす一言に,絶妙のタイミングでかぶせてくるのがヤクモ.今ガシンの目の前にいるウスベニの姿をしたものは,ウツホに魂を操られた物の怪.そしてウスベニを封じたのが天地宗家の呪いなら,それは天地宗家でないと解けない…神流自身天地の封印を解くために天地宗家が揃うまで長い間待ったんだから至極当然の話なんですが,ガシン,まさか本気で気づいてなかったのか(苦笑)? そしてヤクモは精神攻撃の最後のトドメ.ウスベニの姿をしたそれの体は芯から冷え切り,心の臓は鼓動を響かせていない.ウツホには封印された人を救う気などない.彼の望みは人間全てを消滅させることだ!
ヤクモの言葉によって,ガシンの心はずたずたに.もはや己の中の姉への不信を止めることはできない.そんなガシンの様子に怒ったウスベニの姿をしたものは,五重塔に封じられたバラワカを四大天の力で大降神! ヤクモの刹管相輪串刺は間に合わず,巨大な力の衝突で大きな光柱が天へと立ちます.…伏魔殿の中の闘神士たち,そして妖怪たちは巨大な光と振動に驚き.現世でも妖怪が反応.
大きすぎる力の衝突が時空の歪みを招くと気づいたヤクモは,太極を滅ぼさないために即座に技を中断.ヤクモとウツホの力が強すぎるために起きた現象のようですが…でも太極って何? ガシンはヤクモの正しさとウスベニの間違いぶりを痛感し,今のウスベニは別者だと結論を出すしかありません.キバチヨを名落宮に落とすことすら構わない彼女の手は…確かに冷たかった.
もはや言い出せば壊れてしまう言葉を,口にするしかないガシン.「俺達がまだ,何も取り戻しちゃいないってことを」 …それは残酷な現実で,知るべき真実.ガシンはキバチヨの力をウスベニの四大天に向け,狙いを過たず,見事に砕いて見せたのでした.その様にウツホは乱れ,ウスベニの姿をしていたものは正体を明かしつつ消滅.今ここで,ガシンが神流に与する理由が消滅したのです.
一体今まで何をやってきたのかと泣くガシン.なくしたものを取り戻したのだと,いつまでも騙されていたかった.けれど,「キバチヨを名落宮に落とすことなど,俺にはできない!」 …軽くて卑怯でケレン味溢れ,けれどその芯は実にまともな闘神士であったガシン.それはきっと本当の姉や,リクの両親たちの薫陶によって培われたものに違いない.弟としての情よりも闘神士としての義を守ってしまったガシンはついにウツホを裏切り,私欲のために裏切られたと怒るウツホは全ての頭上に無を広げ,世界を飲み込もうとします.全てが消滅した世界には確かに争いはない.穢れもない…けれどそれは人どころか何物も存在することがない,孤独な世界.
ここでヤクモは,己の神操機の示す進むべき先へ! その身とその命をかけて,零神操機の力で五行の巨大な支えをつくり,降りてくる無を食い止める.立ち上る巨大なヤクモたちの幻像は伏魔殿のどこからも見えるほどに巨大.それは姉を救うためでも,父に認められるためでも,仲間を傷つけたものを苦しめるためのものでもなく,恐らくはただひたすらに,人の笑顔のために.…ヤクモの徹底した滅私の姿は,極めし者たちの心に何をもたらすのだろうか.

さて,ガシンの造反をきっかけに本格的に暴走しはじめたウツホ.暴走する彼を止めることができるのは,式神との強い絆を持った極めし者だけ,というのがヤクモが伏魔殿でリクにどうしても伝えたかったこと.ヤクモはこれをガシンに伝え,さらにガシンにリクへの協力までも頼んでいきました.もちろんさんざんもてあそんで騙して傷つけたリクのところに今更戻るのは今のガシンにはあまりにも酷.しかしその罪深さゆえに,今のガシンに拒否権なんていいものはありません.
てなわけで,ウツホを止めるため,そして姉を助けるためにも詫びを入れなければならなくなったガシン.彼は果たして無事にガシンからマサオミに戻ることはできるのか? …でも,なんせ相手は筋金入りのお人よしなので,たぶんなんとかなりそうだからここは一発どんと行け(笑)! 終結に向かってようやく最終的な対立構造が確定しそうな,次回に続きます!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

陰陽大戦記#45

「大切だから一緒にいたいの巻」

天流宗家が神流より逃れ,地流宗家が力の理由を見失っていた頃,神流にさらわれたナズナとホリンは,ヤクモが天流宗家に何を伝えようとしているのかをウスベニに執拗に問われていた.しかしナズナたちはその答えを知らず,また,ヤクモが自分たちに構わずリクを目指してくれることを信じている.一方傷ついたヤクモの説得によって単独でナズナの行方を探すことになったソーマは,彼女が残した勾玉の欠片を頼りに,妖怪を退けながらフサノシンとともに伏魔殿を走る.

構造の変化を語る前回の減速のあと,再び加速する「陰陽」.相変わらず子どもは置き去りなんですけども(笑)激しく熱い展開の合間に「陰陽」らしい緩い笑いがちりばめられた上に,今回の主役を務めるソーマの明るさや幼さや真っ直ぐさが,油断すればややこしく暗くなる物語に理解しやすい縦糸を通してくれるのがうれしい.目的の違う集団が伏魔殿内に分散していて,しかもそれぞれが勝手に動いている,とっちらかった状況を縦糸に沿ってわかりやすく描いた作り手の力を讃えたい.

前半.前回触手に縛られて連れ去られたナズナとホリンは,廃屋で相変わらず責められております.キッズ向けなのに冒頭からなんだろうこのすごい絵は(苦笑).彼女達をマニアックに責めてまでウスベニが聞き出したいのはヤクモが現在抱えている情報.天地とも組織がほぼ機能しないこの状況,客観的には神流一人勝ちのはずなのにわざわざ手をかけてくるってことは,ウスベニ…を操る者には余程致命的な弱点があるのだろうか.しかも,弱点について自分で知っているなら尋問する必要はないわけだから,敵にとっても具体的なところは未知の弱点ってことか.
天流側の情報共有が涙が出るほど出来ていなかった(苦笑)ことが幸いしてヤクモの情報がウスベニに渡ることはついになし.ナズナが,彼女の理想の闘神士ならきっとここには来ないと信じているのはやせ我慢なんかではなく本心からでしょう.それでも彼女が手がかりを残したのは,理想とは違う奴が来てくれると思ったからなんでしょうね.
ナズナからは情報を引き出せないことを悟ったのか,ウスベニは人質を置いて廃屋を離れます.相変わらず傍には姉上大好きなガシンがくっついているものの,軽口に対する厳しい言い方や,差し伸べられた手の感触から違和感を感じはじめます…相変わらず物語の進みが速いよなぁ(苦笑).その疑念をさらに後押しするのが元はウスベニの式神でもあったキバチヨの言葉.妖怪と契約しているようだという彼の感想に加え,ガシンの契約も満了できないという現状が,これまでの多大な犠牲と苦労が報われたと信じていたガシンの心を急激に曇らせていきます.彼女は,一体誰?
さて,今回の主役たるソーマは未だ回復しないヤクモに言われ,ついに単独行動を取ることに.傷ついた仲間を置き去りにできるほどソーマは薄情ではありませんが,本人が精一杯虚勢を張ってみせるから仕方がない.最善手はまずナズナを見捨て,ヤクモがオトリとなってソーマがリクに伝言しに行くというパターンのはず.けれど手がかりを残したナズナの心を理解できてしまったヤクモは,彼女のためにもソーマを行かせることを選択.…戦況からすれば大変に甘い判断なんですが,そこが人柄の良さだしなぁ(苦笑).一生懸命カラ元気を演じて見せるヤクモ.真剣に敵と戦っている顔ばかりが目立ってますが,中身は相変わらずくだけた,いいお兄さんなんだろうな.
ちなみにヤクモがリクに伝えたいことは「極めし者だけが今のウツホを止められる」…「倒す」でも「封じる」でもなく「止める」ってのが深い.「おかしいほど単純で簡単」ならばこの段階でソーマにも教えておいてほしかったんですが,語ることは難しいのか(苦笑).
ヤクモの精一杯のやせ我慢と中途半端な情報を背に,ソーマは一人旅立ちます.地流宗家こと兄の運命に巻き込まれてここまで翻弄されてきたソーマ.すぐに泣くのは相変わらずでも,地流を敵に回してきたことで,天流のゆるい展開に対する傍観者としての抵抗力(笑)だけでなく,闘神士としての実力もきちんとついていたようです.さらにアットホームな天流でソーマが見つけたのが,フサノシンや家族よりもきっと大切なあの人.誰でもなくソーマのために手がかりを残したナズナのために,涙に負けず走り出します!
…さて,ソーマの目指すところはナズナとなったわけですが,残ったヤクモが目指す天流宗家・リクは今回清流のほとりで休憩中.前回怒りにまかせてコゲンタを振り回したことを思い出し,「またやっちゃった」と落ち込んでいるリク.かなり深刻なのになぜか愉快.家族や仲間を傷つけることで自分を苦しめようとする者に対する怒りは普通ではなく,自分の中に別の自分がいるような怖さを感じているリク.しかし,それは強さでもあると言ってみるのがコゲンタ.確かにぶち切れたおかげで危機を脱したことは一度ではないし,普段の煮え切らないのもぶちぎれたのも(相当両極端だけど)リクはリクだから,「俺は,どっちのお前も好きだぜ」.…リク自身は自分の中の黒いものに怖さとやりきれなさを感じているはずですが,たとえ自分がどうなろうとも,コゲンタだけは一緒にいてくれるってことは,この先自分の暗い部分を見つめるときにも,心強いことなんだろうな.
そんなわけで天流宗家が式神との絆をほのぼのと深めていた頃,地流宗家は未だにランゲツと精神的に闘争中.式神が勝手に神操機に戻ってしまったために己の符と気力で妖怪を倒すしかなくなってしまった孤立無援のユーマ.符で消しても蹴っても殴っても妖怪の姿が尽きることはなく,同じようにユーマの心に出来た力に対する迷いも消えない.ランゲツがユーマの八つ当たりに手を貸さないのは「地流宗家がこの世を救う」なんてお題目はユーマの本心ではないと理解しているからでしょう.…ユーマが見失った本当の願いは,ランゲツと契約したときのあの条件のままなのだろうか.
さて,未だ悩みの中の宗家たちや先行した仲間たちとの合流を目指しているのが,地流・天流混成の神流討伐隊.しかし隊長であり先導者である天流のテルが明らかにナズナさんを探しているため(笑)ムツキたちはそれについていくので精一杯.つうか八卦盤すらまともに働かない伏魔殿内で,ナズナさんご愛用のシャンプー「ジャスミンのしずく」の香りだけを頼りに邁進するってのはどうなのか(苦笑)! 恥ずかしいほど明確な目的のため周囲も省みず真っ直ぐ進むテルにさすがのムツキも呆然.さすがは天流,面白いほど組織行動に向いていません(苦笑).

後半.現在本編中で一番のんきな現世の天流の社では,ボート部が焚き火を焚いて夜更かし中.転がっている先生の抱えたいかにも安そうな「男好き」って酒が妙に気になるぞ.相変わらず例の化け猫はりナに懐いてリュージを威嚇.「トラジ」という名前までついたこの猫又妖怪,この先事態が解決するまでボート部と一緒にいるんだろうな.事態が解決して妖怪が姿を消すときも,こいつだけはちゃっかり残っていそうだ.
そんな天流の社とは対称的に一番深刻な雰囲気に満ちているのがウツホの宮殿.折角戻ってきたのはいいけれど,大事な姉がなんだか違うとガシンはウツホに早速直訴.「本当に私の姉上なのでしょうか?」 彼の必死ぶりを明らかにウザがっているタイザンは,復活したのは肉体のみで,魂は天地宗家を倒せば戻る…と思わせるようにガシンを誘導.さらにはウツホから姉がヤクモに襲われそうだと促されたのでガシンはあわててとんぼ返り.…なんでガシンは仲間から,ここまでひどい目に遭わされているのかも気になりますが,それよりも衝撃的だったのがウツホの呟き.タイザンに向かって「これでよいのだな」って,…文句なしのボスなのかと思ったら,こいつまで傀儡なのか?
さて! 前半でようやくナズナたちの傍まで接近した今回の主役・ソーマ.ホリンには覚えのあるフサノシンの気配とか爆発音とか振動とともに,未だに触手に巻かれているお嬢さん方を救うために参上! スイッチが入ると破壊神と化す主役とか未だに力の使い方がなってない兄貴とか味方にたばかられているあいつに比べると,目的が明確で精神的にも安定しているソーマの進撃ぶりは見ていて実に気持ちがいい.フサノシンとともに印を切りまくり,華麗な技で妖怪を蹴散らしながらやって来たソーマ.ぐにゃぐにゃで不気味な屋敷の中へも勇気を持って踏み込んでいきます.快進撃の末迫る触手を神翼合切剣で切り刻み,ナズナたちを戒めから解き放つことについに成功! ラストは震坎離坎・神速貫通気功砲で敵を貫き一段落.4人は再会を果します.
敵には見捨てられてもかまわないと言い張っていたものの,もしかすると不完全な彼なら助けにきてくれるんじゃないかと期待していたナズナにとっては本当にうれしい助けの手.闘神士としては不完全でも,千年の敵同士でも,好きになった心を止める事はできない…というのをその表情と涙で示したはずのナズナさん.麗しい表情は好感度MAX,なのに!ソーマときたらそんな高まりを台無しに(苦笑).きっと半分くらいは照れ隠しなんでしょうが,あまりにデリカシーのなさにナズナの平手がソーマの頬に舞ってます.
お互いの,そして視聴者の期待を見事にスカしてみせる二人.けれど一度意識した心はもう止まらない.巨大な廃屋妖怪にフサノシンとホリンは戦いを挑み,闘神士たちの軽くギクシャクした感じとは裏腹に,見事なコンビネーションを見せていきます.ホリンが弱いところはフサノシンが助け,フサノシンの傷はホリンが癒す.バランスの取れた良い組み合わせでこのまま押し切るのか…と思われたそのとき,闘神巫女のナズナを襲う妖怪の攻撃!
ホリンが滑り込んだおかげで地面には叩きつけられずにすんだナズナ.そして大切なものを傷つけられたソーマは激怒! 兄のようにその両目を燃やして炎をたぎらせついに大降神! 巨怪の攻撃も電光で阻み,力強く一撃で粉砕.闘神士としての力量はここで大降神という形で結実.決め手は「怒り」.強い闘神士の感情が,これまでにない力を式神にもたらすのです.…宗家たちに比べれば遅れてこの領域に達したことになりますが,感情だけで何の助けも借りずに大降神出来るだけでも凄いよソーマ.
そして,無事意識を取り戻したナズナとの再度の再会.お互い減らず口は変わってないものの,もうすれ違いはない.何も解決していないこの伏魔殿の中で,二人は気持ちよく笑います!
…そんな光景を目の当たりにすることになったのが恋を追ってここまで来たテル.精一杯頑張ってようやく追いついたのに,待っていたのは別の人のものになってしまったナズナさんの美しい笑顔.でも,もしソーマがいなかったとしてもこの失恋は回避不能だったと思うので,むしろここできちんと負けを実感できたことは,テルにとっても良いことだったんじゃないかな.で,そんなテルを見守るムツキの共感ぶりが,ここまでの彼の不遇ぶりを知っているとどうにも笑えます(笑).

一時の別れによってより深い結びつきを得ることができたソーマとナズナ.ごく短時間でも,大切な人と別れることは本当に辛いもの.で,似たような辛さを抱えたままで現代まで過ごしてきたガシンの姉に対する情は本当に深まっているわけですが,そんな彼の心を激しく揺るがす事態が発生します.
傷ついたヤクモを訪れたウスベニは,彼の抱える情報を引き出すために懸命.優位に立っているはずなのにヤクモの秘密を恐れているウスベニの様から,ヤクモはウスベニの中にいる別の存在に気がつきます.式神戦もそこそこに,ウスベニの体にタックルをかましたヤクモは何かに気がつきます.恐らくはガシンが姉の手の感触から感じたのと同じ種類の凶兆なんでしょうが,その確認にタックルかましたのがまずかった.姉を救うためにやってきたガシンが見たのは…抱きあうヤクモとウスベニの姿! 大事な姉さんが神流の仇敵と抱き合っているという脅威の光景に,さすがの彼も激しく狼狽! 仲間のはずのガシンにこんな光景を見せつけて,ウツホは一体何を狙っているのか?
さて,次はガシンVSヤクモの最終章? サブタイトルの通りなら,天流の情報共有の不足をまたも悔やむことになるはずなんですがどうなることやら.姉に対し疑念を抱いたガシンは,激しい戦いの中で一体何を知ることになるのか.次回に続きます!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

陰陽大戦記#44

「心乱れれば目も曇るの巻」

極神操機に導かれ伏魔殿に入った天地宗家は,神流の襲撃の結果それぞれ別の場所に逃がされていた.現世の古都や遺跡を彷彿とさせながらも荒れ果てた伏魔殿の中をリクとコゲンタが進んでいたその頃,ヤクモはソーマ・ナズナとともにリクを追って伏魔殿に潜入する.その中で妖怪に襲われる女性を助けたヤクモたちを襲う,神流のガシン.極神操機で戦うガシンのキバチヨを,傷ついたヤクモとソーマの力では止める事ができない.その上ナズナが庇っていたあの女性もまた神流.ガシンの姉であるウスベニの式神によって,ナズナとホリンが囚われてしまう.

ウツホの登場によって新章の構造が次第に明らかとなってきた「陰陽」.暴走してきた物語はここに至ってスピードダウン.天地宗家の追い詰めだけには余念がないものの(笑)今後の展開のための下拵えが主となってます.あくまで将来のための回なんで面白味が薄くなってしまうのは仕方がないところですが,ここまで本来の視聴者である子どもを置き去りにしていいのだろうか(苦笑).今のうちに最後の大花火のための積み上げをしたいという作り手の欲はわかるけれど,内容的も難易も高年齢向けすぎで,本来の客へのサービスを怠るってのはやっぱりよろしくないよね.この先は更に難しい展開になりかねないので,作り手は必死についてきた子どもたちに合わせてやってください.大人は,大人らしく勝手にやるからさ.

前半.闘神士たちはウツホの領域である伏魔殿の中へと次々潜入.先陣を切った天地宗家を,ヤクモたち3人パーティが追うという形になってます.彼らの前に広がるのは荒れ果てた光景.以前も建物のある伏魔殿は見られたわけですが,現世の光景にかなり近く,しかも壊れているのが興味深い.伏魔殿はウツホを封じるための空間のはずなんですが,いつからここにあるんだろう? 大変便利な極神操機に導かれたリクとユーマはそれぞれ別の場所をさ迷い,ヤクモは痛む体に無理させながらもちびっ子二人を連れてリク探索.ヤクモがどうしてもリクに伝えたいことって一体なんだろう.ヤクモはそれを,いつ知ったんだろうか?
闘神士たちが旅立った現世の崩壊はなおも続行中.そんな崩壊の最中でも猫又妖怪と一緒になごんでしまっているリナはやっぱり凄いや(笑)やっぱりこいつの家だけは全員健在な気がしてなりません….モモを含め,力を持たない彼らができるのは旅立った連中を信用して待つことのみというのがもどかしい.普通人にも参加できる何かがあればいいんですが,今は壊れていく世界でサバイバルするだけで手一杯なんだから,作りかけの料理に手を出す卑しさを披露している場合じゃないんだぞユミ先生(笑)! ちなみにナズナさんへの愛に狂い置き去りを食らったテルは,ボート部の心配を背に受けつつも弁当を持って東京へと急行! 確かに腹が減ると倒れて誰かに借りをつくるという悪癖の持ち主ではありますが,そこらの闘神士に比べて強いんだけどな,この人(苦笑).
伏魔殿の中を進むヤクモたちのパーティは,天地源とそれぞれ違うところが面白い.鋭く気配に気付いたヤクモが発見したのは,妖怪に襲われる女性の姿,雷火のタカマルを呼び出して彼女を救ったヤクモたちに仕掛けてきたのが…極神操機持ちの神流のガシン! 彼のことについてリクは仲間に伝えそびれていたようで.天流は折角小組織なんだから,もっと情報を共有してもバチは当たらないよな.ヤクモの知るウツホの秘密とかリクへの伝言についても,今のうちにソーマたちにもこっそり教えておかないとダメだと思う(苦笑).
ヤクモがタカマルを呼び出したことによって今回の闘神参加者は全員飛行型に.特にヤクモとソーマの雷火同族の共闘が目新しい!…って実は既に白虎族の共闘は何度か見てはいるんですが(笑)あいつらの場合はまともな会話すら成立してないからなぁ.しかしやはり2体相手でもキバチヨが1枚上.雷火族は傷つきその上ナズナたちの悲鳴が背後から上がる!
今回のサブタイトルを体現したかのようなウスベニの罠.彼女もまた神流であり,その式神にナズナとホリンは絡め取られる! …触手に締め付けられる巫女姿の幼女と獣美少女って一体誰向けのサービスだかわからないマニアックな光景が今ここに(笑).確かにこれもファンサービスではあるけども,本作の通常のノリから考えると下品すぎると思うんだがどうか(苦笑)!
…ヤクモたちを襲う前,ガシンはショウカクの案内で姉との再会を果たしています.ウスベニの封印は天地宗家を倒さねば解けないと信じていたガシンにとっては予想外で,ウツホが蘇らせたと聞いて喜びの涙を流します.全てが報われた,と姉に神操機ごとキバチヨを返そうとするガシンから,古い闘神機だけを受け取るウスベニ.彼女はウツホの恩に報いるために仇為す者を討ちましょうと,彼を新たな目的へと導きます.
なぜ天地宗家を倒していないのにここにいるのか? なぜ神操機を取り戻さずに過去の記憶を持っているのか? 普通なら怪しんでもおかしくないはずなんですが,ガシンは再会の喜びに目がくらんでいるようです.ウツホにもショウカクにもタイザンにも恐らく騙されているガシン.本当の「紅い罠」はこちらを指しているのでしょうが,神流の中でなぜ彼だけがこんな目に遭わされているのだろう?

後半.まずは今回最大の笑いどころを.ミカヅチビルは相変わらず妖怪が跋扈し,そのなかでミカヅチセキュリティサービスは奮闘中.ぜひボーナスをはずんであげてくださいよ社長! さらに闘神士の中にはユーマの父の姿も.これ以上地流の勢力を増すことには反対でも,同じ地流の仲間だし,息子のことも心配だったんでしょうね.そんな奮戦のど真ん中にテル到着! 天流なんだけどすっかりムツキと意気投合しているテルは,彼の推薦で地流の神流討伐隊の隊長を務めることに! …本作中では珍しく裏がなく真っ直ぐな二人は似たもの同士でどうにも仲良し.そんな二人を見ている父は,明後日の方向を見ながら「頼むぞ,ユーマ」と一人独白…それはテルさんやムツキは頼りにならないという静かな告白だよね(笑)!
現世では天地合同チームが誕生しようとしていたその頃,式神とともに伏魔殿を進む天流宗家の前には神流のショウカクが姿を現していました.リクを「ヨウメイ」と呼ぶショウカクもまた,千年前の動乱の関係者.彼は幼かったヨウメイが知らない出来事についてたっぷり語ります.
天地宗家に四鬼門と大鬼門を閉じさせ,封印を壊すことによってウツホを解放する.それが神流のかねてからの狙いで,既に成就しているわけですが,実はこの作戦は千年前から企画されていたもの.それを千年前に直接妨害した者こそ,リクの母であるショウシの君…彼女の行動によって,神流はウツホ復活のために千年の時間を余計に過ごしたわけです.
ウツホが封印されてから二百年,生き延びたその子孫達は神流と名乗りウツホ復活のため,当時の天流宗家・ライホウを操り封印を解放しようとするものの失敗.宗家の重圧に負けたライホウを騙した「全ての苦しみから解放される」という神流の言葉.そこには「争いのない世界」と同じような胡散臭さが漂うわけですが,ライホウにはそれを吟味するだけの思慮深さはなかったようで.天流にとって「宗家」は伏魔殿の力を使うための道具で,ライホウの後釜として新たにヨウメイが選ばれた…というのがショウカクの語る天流の過去.天流にとって宗家が組織を統べる者というよりは道具に等しいというのなら,ヨウメイの両親が彼のために逃げ出したり苦しんだりしていたことにも納得がいきます.
神流は新たに宗家となったヨウメイを捕えるために地流を天流にけしかけ,さらにその争いに幽閉されていたライホウを騙して投入.既にウツホの力に犯されていた彼は現代でのミカヅチの役目を担い,コゲンタを降ろして契約なしに大降神! …もしミカヅチと同じ状態だったなら,単なる大降神ではなく逆式を起こしていた可能性もあるな.ライホウによって暴走した白虎を天地宗家が倒せばウツホの封印が解けるはずが,それを妨害したのがショウシの君.彼女は我が子を捨てたわけではなく,まさに神流の道具とされそうになったヨウメイを神操機とともに逃がしたわけです.しかし神流は諦めず,ヨウメイを追って千年後まで追ってきた上に,首尾よく役目を果したのでありました.
ショウカクの語る言葉にコゲンタは怒り,それ以上にリクが震える! 「お前達が…ふざけるなーっ!」 9話以来,リクが自分の身内が傷つくことに対して異様な反応を見せることとその主な理由についてはここまでで既にすっかりおなじみなわけですが,式神の使い方としては実は最悪.怒りや恨みで式神を使ってはならないと,あのときマサオミが教えてくれたはずなのに….コゲンタも必死で落ち着けと進言するものの,今のリクには届かない.神流に対し強い恨みの念を抱き,怒気をはらんだ極の力による五行奉神剣も今の大火のヤタロウにはかなわない.例の四大天の力がヤタロウをも加護していたのです.
やがてリクの強すぎる怒りは,コゲンタを大降神させてしまいます.意図せぬ大降神にうろたえるリク.以前地流のムラサメに騙された時に比べれば正気を保っているほうじゃないかと思うんですが,ショウカクは「式神を道具としか扱えない貴様は,かのライホウと同じ目をしているぞ!」とリクを愚弄.大降神コゲンタをコントロールできなくなったリクは傷ついたをコゲンタを連れてその場から逃げ出すことしかできない.…ウツホは,リクを煽って何をたくらんでいるんだろう.…心を乱し闘神士と式神の間の絆を揺るがすことで,ミカヅチやライホウのように操る隙をつくろうとでもしているのだろうか?
ちなみに,その頃の地流宗家.水辺に近い洞穴の入り口から飛び出す妖怪をひたすらランゲツに切り刻ませていたところ,ついにランゲツがユーマに反抗.ともかく戦って勝てば全部が解決すると思っていそうなユーマ.高い志を持って力を奮うわけではなく,父に対する意地だけで力まかせに印を切って憂さ晴らしに使われるだなんて,いくらいつでも傍にいると誓ったランゲツでもさすがに我慢ができない.
「お前が目指すものとはなんなのだ?」とユーマに問うランゲツ.ユーマは自分の力でウツホや妖怪を倒せば誰も怯えずにすむと答えるものの,ランゲツはその回答に問題ありと自分から神操機に戻ってしまいます.ユーマにとっての力とは何か.強い力を揮う場合は,それを行うに相応しい場所を厳選するべきなんですが,現在尊敬する人も明確な目的も見失いかけている今の彼にはそれができていない.以前は花を気にかける余裕もあったんですが,今のユーマは気にせず散らしてしまいそう.極神操機の持ち主の中ではユーマが最も恵まれた境遇にいるはずなので,一刻も早く,彼にとっての正道を見出していただきたいところです.

そしてヤクモたちには神流の罠によるパーティ分断の危機が到来! やたらに色香漂う(苦笑)人質を取られてしまったヤクモたち.その上ウスベニはガシンのフォローを受けつつ,ナズナたちをお持ち帰りしてしまいます.わざわざ仲間をさらってヤクモたちをおびき寄せるような真似をするのも,リクに真実を教えて心を乱させるのもウツホの指示によるもの.神流はウツホにうれしそうに従っていますが,果たしてウツホは信頼に足る者なんだろうか? 自分たちが天流や地流を騙したように,自分たちもウツホに騙されている可能性は誰も考えないんだろうか….そんなわけで,今後のジャンプに備えて深く屈みこむかのような回でした.
さて予告ですが,ここに来てサブの当番回があるとは! 運命の悪戯で5話以来地流でありながらも天流に身を寄せていたソーマ.その日々は彼に一体どんな変化をもたらしたのだろうか.現在のところすれ違いですがナズナさんとは同じ気持ちを抱いているようなので頑張れ! 未来の彼女のために全力を尽くせ(笑)! 次回に続きます.

| | コメント (0) | トラックバック (0)

陰陽大戦記#43

「それで結局今一番悪いのは誰?の巻」

極神操機に導かれた天地宗家相手に戦うガシン.コゲンタとランゲツの間にコンビネーションは皆無.リクも未だに攻撃することに迷いがあり,キバチヨのスピードはこの場の誰よりも速い.2対1でもガシンがやや有利なこの状況で,リクは必死で「マサオミ」に問う.なぜ自分たちと戦わなければならないのか,なぜ現世の人々を苦しめる手伝いをするのか.しかし回答の前にウツホが戦いに介入し,ガシンは姿を消した.
仲間ではないけれど,ウツホの再封印のために同じ方向に走るリクとユーマ.2人の前に伏魔殿の底の花畑が広がった頃,現世ではヤクモがようやく目覚め,ぼろぼろの体で伏魔殿に向かおうとしていた.

ウツホの覚醒とともにここまで隠されていた神流陣営の姿が明らかになってはいくものの,謎に関しては明らかになるどころかむしろ増えてきていて果たして収拾できるのかがちょっぴり不安になってきた「陰陽」.前回のように凄いスピードで処理していかないと間に合わないのかな…と思ったらなんだこの間に挟まる面白エピソードの数々は(苦笑).一応前半のあらすじとしては上記のことが起きているはずなんですが,実際に視聴した印象とは大幅に違うのは間違いなし.恐らくは演出の中村氏の強烈な個性による,伏魔殿で真面目にやってる連中を完璧に霞ませるリュージやテルやナズナさんの大活躍をお楽しみください(笑).

前半の主役はガシン…ではなくたぶんリュージとか.ボート部はテルと並んで本編中では常にボケを担当してきたわけですが,今回はモモの精神的ダメージが大きすぎてボケる余裕がないのが悲しい.両親を石にされた苦しさだけでなく,「こんなことになって,はじめてリッくんの気持ちがわかった気がする」と,旅立ったリクの境遇まで気遣う優しい涙.こんな風にボケがボケ以外のことをやっている姿ほど痛々しいものはありません.たぶんこのシーンで伝えるべきはこのモモの言葉だけで後の部分は蛇足なんですが,…蛇足が凄いんだ(苦笑).
避難していた社から食料調達に出ていたリュージは緑色の猫又に追われつつもなんとか帰還.激しく動揺しながら戻ってきたリュージ.確か母親を守るために真面目に戦ってたはずなのに,そのときの根性は一体どこに消えたのか.この短時間でどうにかなったのはたぶん世界だけじゃないと思うぞ(笑).そんなリュージについてきちゃった緑色の猫又風の妖怪.リナが見ているときだけはかわいこちゃんだけど目を離すと怖い!という繰り返しのギャグが下らなくて素晴らしい(笑).どうやら笑いのツボまでもしっかり理解しているらしい猫又の知能の高さが一番怖いかも(笑).可愛い猫又を抱えて「元気を出すにゃん」とモモを勇気づけてくれるリナ.途方もない変人ではあるけれど,モモには良い友達です.
…現世では一部を除いて大変に面白くなっていたその頃,伏魔殿の中では2対1の激戦が展開.3人が極神操機を持ったハイレベルな戦いは,目的に対して迷いがないガシンが主導権を握っています.ユーマとランゲツはリク達をどうでもいいと思っているようで,状況も考えずに相剋式破断なんか放つもんだからコゲンタのほうが大ピンチ.今回は作り手が隙あらば面白くする気満々のようで,クレームつけてる様子だって面白いもんなぁ…(苦笑).2対1という数の差がありながらも状況はキバチヨ優位.もちろんコンビネーションのなさもその原因の1つでありますが,それ以上に大きな問題は印を切ることができないリク.彼にはなぜマサオミが自分と戦わなければならないのか,その理由がわからない.どうしてもマサオミが悪人だとは思えないリクは,その懸念を放棄してマサオミを攻撃する,一見勇猛に見えるけれど短慮で安易な道へはどうしても向かえないようです.
神流が望むウツホの作る世界は,今地上に住む人々には明らかに地獄.その惨状を説明して必死に翻意を促すリクですがガシンは聞く耳を持ちません.天流と地流は過去の悪行の罰を受けているのであり,ウツホは神流の皆が一緒に暮らせる平和な世界を作ってくれる,…本気でガシンはそう信じているゆえに,心の力は3人のうちで最も強い.キバチヨの炎尾逍遥玄舞の凄まじい威力は,2体の白虎を苦しめます.
しかしリクは諦めない.ここまで自分たちを何度となく救ってくれたマサオミの行動が善だったと信じればこそ,「ただ苦しめたいだけでやっているわけじゃないんでしょう?」ととことん問いかけます.「マサオミさんの本当の望みって何!」 …視聴者は知っているものの,リク達には未だ語られていないガシンの戦う理由.それを彼がついに口にしようとした時,思わぬ横槍が上空から入ります…ガシンを止めるのは空を覆う,巨大なウツホの幻影!
このタイミングでわざわざウツホが介入してきたということは,ガシンが戦う理由を天地宗家に知られるのを避けたんだろうか? ウツホに忠誠を誓いながらも,実際はウスベニたちを救いたい一心で行動するガシン.万が一天地宗家がその封印を解いてしまうと,ガシンは契約を満了して折角の力を失う可能性が高い.もしウツホがガシンの力を失いたくないのなら,ウスベニたちを救うわけにはいかないはず.…もし,闘神士の願いが決して叶わぬ状態となったら,式神は闘神士が命尽きるまで傍にいることになるのだろうか? ウツホはユーマの切った印で妖怪が噴出したどさくさにまぎれて,ガシンを連れ去ってしまったようです.
伏魔殿で闘神士たちの願いと執念が激突していたちょうどその頃現世では! リュージがでかいお鍋で味噌汁をつくっていました! …ああ,もういろんなものが台無しだ…(苦笑).さっき連れてきた猫又は異様にリナになついてしまい,結界を越えて戻ってきた上に野菜の切れ端を食べてます.しかも妖怪の癖に片足立ちでくるくる回って踊ってます.実はリナの飼っていたトラさんは妖怪となって戻ってきたのだ!とかそんな伏線だったら嫌だなぁ(笑).そしてさらに天流の社にやってくるのがユミ先生! 大量の買い物と妖怪を連れて東京から歩いて戻ってくるなんて…さすがは天流宗家が妖怪と勘違いするほどの恐ろしい執念の持ち主だけのことはあります(苦笑).もう背中重いとかそんなレベルじゃないぞ.「恐るべし,恐るべしユミ先生!」「何者ですの?」と息の合ったリアクションを見せるリュージとナズナも面白い.…落ち込むモモも,この面白い雰囲気に引っ張られて浮上するといいなぁ.
現世では一同が大変面白くなっていたその頃,リクとユーマの即席タッグは伏魔殿の中を進撃中.現世と伏魔殿でギャグとシリアスのコントラストを際立たせるのかと思ったら,こっちにも本来は素晴らしいボケの才能を持つ少年がいたのでありました.「僕達ってもう…仲間?」いきなり気の抜けるリクの発言に軽くこけるユーマ.仲間は自信がない奴の逃げ道だと必死で拒否するわけですが,ミカヅチと戦った時からユーマを仲間にしたかったリクがこの程度で諦めるとは思えない(苦笑).ウツホの封印には鏡合わせの印が必要なので今は倒さないけれど敵だと頑張るユーマですが,放っておいてもたぶんリクは勝手になついてくるに決まっているので,いっそ仲間だと言ってしまって,全部片付いたあとで裏切るほうが楽だと思いますよユーマ(笑).そんなデコボココンビはついに伏魔殿の底の花畑へと到着.ちょうどその頃,満身創痍のヤクモはついに覚醒し,痛む体を引き摺って伏魔殿へと向かいはじめています.

後半の主役はタイザンとショウカク…ではなくてユミ先生とテルとナズナ(苦笑).欲の塊であるユミ先生はリュージの大鍋味噌汁を爆食.キャンプどころじゃないよ先生,この人,なんだってここまでマイペースにできてるんだろう(苦笑).そんな面白い天流の社に再びやってきたのはソーマとフサノシン.飛鳥神社のほうは父に任せたのか,どうしても外せない用事のために舞い戻ってきたみたいですね.もちろん状況は悪くなる一方なんですが,ここに来て一度は解体されたリクの愉快な仲間達が寄せ集まってくるのがうれしいシーンです.でも先生だけは味噌汁に夢中でたぶんソーマに気づいてない.この人このまま教師失格でラストまで驀進するんだろうなぁ…(笑).モモとリュージの家は家族が石化したようですが,リナが報告するのはペットのテンしゃん.確かにリナの家ならば,家族が全員健在でもおかしくない気がするのが嫌だ.
見事なハジケぶりを見せる天流の社に登場するのは,立って歩くのがやっとのヤクモ.彼の伏魔殿行きを止める事にナズナは夢中で上の空で,折角の「べっ,別にお前のことが心配で来たとか,そういうことで来たわけじゃない!」というソーマの良い反応ぶりを見逃してしまってます.あのソーマは完璧に脈ありですよナズナさん(笑)! 天地の千年の壁なんかぶっ飛ばせ!…という展開は今回はお預け.なんせシリアスなヤクモがよろよろと暴走を続けているのです.
どうしてもリクに伝えねばならないことがあるヤクモ.しかしウツホの復活に巻き込まれてぼろぼろの体では伏魔殿行は無理.しかし闘神石を使って伏魔殿に戻るから,誰かが出てくる妖怪を退治するために残らねばならない…という天流の人不足が招いた窮地に颯爽とやってきたのがテルとイソロク! その素晴らしいタイミングに全員大喜び(笑).実力を考えると恐らくナズナやソーマより強いはずなのに,年齢だって上のはずなのに,誰もが彼を戦力あるいは交通機関として利用することをためらわないという素晴らしいキャラの持ち主です.
早速ナズナがテルにアタックを開始.彼女はふつーに頼んでいるはずなんですが,「あなたが必要なのです!」とまるで深夜の美少女アニメのようなプニプニの素敵なロリっぷりに見えてしまうテルさんの腐った目がダメだ(苦笑).伏魔殿に入るときに妖怪が溢れるので始末のためにテル様が必要ですという依頼に対し,「私にはテル様が必要なんですぅ」なんて言わせてしまう脳内補正がキュート過ぎ.もはやテルさんの愛のエキサイトは止まらない! テルナとかナズルとか,子どもの名前まで考えちゃってたんだこのバカは…でもこの人実力だけは凄いので侮れない(笑).もし自分がこの世界で好きな役を選べるなら,一番楽しそうなテルを選びたいですね.
暴走するテルはナズナの願いをろくに聞かずに引き受けて,飛び出した妖怪を愛の力で次々粉砕.欲の強さや目的に対する執着心の強さは闘神士としての強さに直接影響してるんだろうから強い強い.けれどこの「お父さん」の雄姿を,ナズナさんはもちろん見ていないっていうか積極的にテルさんを置き去りなのでありました.彼の心からの願いは恐らく叶いそうにないわけですが,もし,闘神士の願いが決して叶わぬ状態となったら,式神は闘神士が命尽きるまで傍にいることになるのだろうか(笑)? …テルなら新しい恋を見つけそうだから大丈夫か.どんなに大切な1つが叶わなくても,時が経てば同等の願いは見つかるものです.ちなみに先生は延々と味噌汁を飲んでいたため,ここまでの出来事に気がついてません.

ユミ先生がでかい鍋を持ち上げて味噌汁一気飲みしていたその頃,伏魔殿ではリクたちが花畑観察中.一度ここに落とされたユーマには見覚えのある光景なんですが,気を抜くとなついてくるリクにご立腹でそれどころではなくなるのがおかしい.…しかし,天地宗家を迎え撃つべく,ウツホの命により登場したのがショウカクとタイザン.特に地流の幹部の一人であり,ユーマの手によって倒されたはずのタイザン再登場はユーマを驚かせます.地流と神流の2つの契約を行っていた彼は,あの頃から持っていた古い闘神機を持参しています.
リクたちから見れば神流は世界を滅ぼすウツホに手を貸す悪.しかし神流にも彼らなりの言い分がある.先にこの世を滅ぼそうとしたのは天流と地流で,今の地上はその罰を受けているというのが神流の見解.罪はまさにこの地で始まった.神流の語る天地の忌まわしき歴史とは….
闘神士が流派に分かれるよりも昔,闘神士はその力で国同士の争いを繰り返し,式神を卑しい欲のためだけに使っていた.地は疲弊し人々も飢えに苦しむその状況で,式神たちは自然を愛するウツホに救いを求めた.ウツホはやがて四大天の力に恵まれて,地上を四大天の力で本来の自然,実りある地に変えたのだという.しかし闘神士は四大天の力欲しさにウツホを陥れ,恐らくは鏡合わせの印で封印した.そのとき巻き込まれたのがウスベニたち.彼女たちは月の呪いをかけられて,ウツホの封印の鍵にされた.
…神流が語る物語は現在のアバンで語られる内容と同様.地流は四大天の力で地上の節季を乱してましたが,ウツホは整えるために使ってたんですね.とはいえその行為に問題がなかったかどうかは微妙なところ.式神を集めるのも四大天の力を使うのも,それを行うことで別の問題が起きていた可能性は残ります.それにもしウツホが騙されやすい普通の子どもなら,無理に封印せずに騙して四大天の力を使わせるだろうしなぁ….あと,「墓地」なんですかここ?
ウツホは悪魔であり,それを封じるために生まれたのが天流と地流,というのが現代の天地の宗家の認識.しかしショウカクは本当の過去を知らぬものにわめく資格などないと言う.ウツホが言っていた通り,無知は罪? 何も知らぬ罪,知らぬで済ませることの罪…確かに悪いことではあるけれど,でもその「本当」を知る機会がなかった奴らにとって無知であることは罪? それに,本当を捻じ曲げて教えることは罪ではないのか? 何よりも過去の罪を盾にして新たな罪を重ねるのは,それは罪だろう?
もし神流の言葉が事実なら,謝らなきゃいけないのかもしれないといきなり言い出すリクに驚くユーマ.なんせリクときたら地流に謝罪に出向いた過去がありますんで,頭を下げること自体には抵抗感がない.「でも! 今作ろうとしている世界はひどすぎるよ! 僕には,それが正しいとは思えないんだ!」…たとえ過去がどうであろうとも,明らかに人々を苦しめている今の神流の行動を天地宗家は許すわけにはいかない.相容れない両者はやはり闘神でぶつかりあうしかないのです.
タイザンは霜花のオニシバを降ろし,ショウカクは大火のヤタロウを降ろす.天地宗家も白虎を降ろして戦闘開始…ですが神流にとっては今回はロケーションが悪いようで.やっぱりここに長居されると,天地宗家に封印を解かれる危険があったりするからか? 神流二体は四大天の力を使って恐ろしい力を見せつけた上に,巨大な四大天の影からビームを放射! …しかしその直前,極神操機が反応して宗家とその式神たちをそれぞれ別の場所に飛ばして救います.今回横槍が入りまくりでまともな戦闘が続かなかったため,通りすがりの妖怪を極めの力を使ってぶっとばすリク達がちょっと面白い(笑).それにしても極神操機は便利です.…中に誰かいますか?

結構深刻な状況で重要な情報が頻出するはずが,ボート部とかテルさんが面白すぎて印象が薄れる,という,真面目に戦っている奴らにとっては実に切ない回でした(苦笑).もはや誰が一番悪いのかもよくわからなくなってきたこの状況を,ふらふらのヤクモはなんとかしてくれるのだろうか? 本編ラストシーンで花園の者を招く神流の姿も不気味です.そこにはあのウスベニの姿も混ざってるんですが,どう見ても正気じゃないぞあれ….
主戦場は闘神士の集う伏魔殿の底へ.そして事態は核心へ.燃える都を見下ろすショウカクたちは何をやらかしたのか.泣くガシンと再会したウスベニのあの笑みの意味は.そして,炎の中で叫ぶライホウは一体何を知ったのか? 次回に続きます!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧