怪奇大家族#13

「怪奇を招く大家族の巻」

死後から過去へと移動し,今は開かずの間の石の中に居るキヨシ.そんな状況を家族が知るわけもなく,MIBは十中九十郎と不毛な論争を繰り広げている.だが,母はようやく夢の中でキヨシが助けを求めていたことを思い出した.
一方開かずの間の中では,石の中のキヨシについて何かに取り憑かれたアサミがその理由を語る.キヨシは霊にとって希望であり,その目覚めを祝うために霊と妖怪はこの家へと詰め掛けていたのだ.邪悪(実はキヨシ)の復活を食い止めようとする十中弟とMIBがついに開かずの間に踏み込んだとき,母はキヨシの助けを求める声を聞いた.

ホラーを見る誰もが見たかった面白展開を惜しみなく見せてくれた「怪奇大家族」石版魔物編(笑).ついに現代に帰還を果すキヨシなんですが,いろいろあってややこしい存在となってしまった彼は…やっぱり邪悪? 描写が軽快でアホなので誤魔化されるけれど,ことごとくシリアスに描けば典型的なホラーのバッドエンディングになります.特撮やセットにはあまり頼らず,常に人間力で作り上げられた傑作もこれでついに完結.

序盤は主役が開かずの間で動けない状態で開始.前回見た悪夢について母がその内容をようやく思い出したのが2時半.随分と長くかかったわけですが,これは現実が夢に追いつくまで心理的なブロックがかかったんじゃないかな.一方MIBは十中弟とまたも喧嘩で父のいい被写体に.十中弟に言わせれば3本の霊ラインと1本の妖ライン,MIBに言わせれば2本のエネルギーラインがこの忌野家に走っているとのこと.かび臭い言い回しかどうかは別として(笑)妹のツッコミの通り同じ現象を別の観点から言っているだけなのか,それとも実際に6本の別のラインがこの家に集中しているのかは不明.さらにMIBは銃を持ち出しますがコンセントが外国仕様.確かに充電式では安定した大出力は得られないけれど,日本で活動するんならそこは事前になんとかしておこうよ(苦笑).一方母は思い出した夢を父に語るものの父は勝手に中座.このシーンは常に無視されてきた父と立場が逆になってますね.
その頃,開かずの間に戻ったアサミさんと十中兄はキヨシを発見.そこでいきなり震えだし,ここまでの謎についてがんがん語り始めるアサミさんがおかしい.キヨシは妖異にとっての希望であり,皆忌野家に復活を祝福に来たのであり,キヨシがここにいるのはどうやら三百年であり…ってのは少々強引な説明だけどまあいいとして,霊のはずのアサミさんが何者かに憑依されているのが根本的におかしいんですが,どこにツッコめばいいですか(笑).
邪悪の復活を封じるために,開かずの間の前に集結するMIBと十中弟.石の中にキヨシがいるという事情を知った兄は弟の侵入を防ぐために霊力で妨害する,その霊力バトルぶりも最高です.相当安い三途の川でもかなり笑ったんですが,今回の超絶バトル映像は,もう,ものすごくお安い(笑)! 扉越しに見えない気を打ち合う十中兄弟.いつの間にかスポーツ風になりながらも打ち合いは互角.しかし弟が開かずの扉を開いてしまい,忌野家に訪れる最終局面.
開かずの間がここまで開かなかったのは,扉の外からは霊ラインなどの霊圧,内側からは石のキヨシの霊圧で押され動かなかったんだろうか.ただしキヨシは内側と等質だったから出入り出来たのかな.さらに十中弟が扉を開くことができたのは,復活直前のために内側の霊圧が外より上がっていたのかも.部屋に踏み込んだMIBが狙うのはもちろん石のキヨシ.情けない,聞きなれた助けを求める叫びを,家族たちはようやく聞きつけます.

中盤.ようやくキヨシの危機に気がついた忌野家の女性たちは,2週間くらいまるっきり忘れていた大切な家族(笑)を助けるために立ち上がります.特に母は衣装棚をあさった上に見覚えのある衣装を発見の上装着.…この家に伝わる衣装がロリータじゃなくてよかったような,ちょっぴり残念なような(苦笑).
開かずの間から蘇るのは人間と異形のものの共存の鍵を握る人物=キヨシ.霊にとってはぜひとも復活してほしい人材であり,忌野家女性にとってもかけがえのない家族です.彼を護るために走る母.しかし岩にはMIBが迫り,銃を向け…いきなりブレーカーが落ちました(笑)! この緊迫した状況にこの下らないネタを投入する作り手のセンスは最高です! やっぱり充電式か発電機を持ち込まないとだめだよなぁ(苦笑).
いきなり暗転した舞台に光が戻ったとき,石の前に立ち塞がっていたのは母.家族を護るため,これまで秘められてきた霊能力全開! 妹と祖母もそこに加わって,MIBと十中弟を退けるために能力を振り絞ります.唯一敵側に回ってしまった能力のない父に対し,母は「目を覚ましてお父さん!」と叫び石を見せ,「これが何に見える?」と聞くわけですが…確かに能力がない人間が見れば,ただの物体に違いない(苦笑).

終盤は大団円? 「スキトキメキトキステクマクマハリタ」という微妙極まる呪文を駆使し,石のキヨシを護ろうとする母.さらに家族の中,MIBにかぶれて唯一心も願いもともにできなかった父は,倒れた母を触ったおかげで一時的に覚醒し,しかし力を発揮したと思ったら…一瞬で倒れました! うわ意味ねえ(笑)! しかしキヨシの存在を知ることによって父は家族側に転び,ついに「ちょっとまったー!」と主役が復活します.
恐らくは三百年の時を越えて復活する長男に呆然とする家族の間で,さっきの母の呪文よりもさらに長い,実にしょうもない呪文がスタート.「ノウマクサンマンダ」まではまともなんですが,その後がいけません(苦笑).この呪文を唱えしものに恐怖あれ(笑)! 途中で突っかかりつつも「…アマントス」と全部言えたら,霊が一気に実体化! 人の世界と霊の世界を繋ぐ希望の呪文,あるいはこの世界を壊す邪悪の言葉はついに放たれ,再会に大喜びの家族,ぴかっとなって忘れているMIB,再会する十中兄弟…と忌野家の騒ぎは留まるところを知りません.

そして一週間.開かずの間に封印されていた邪悪が開放された忌野家は,いつもの姿を保っていました.見えなかった霊が見えるようになっただけの忌野家の日常は,ごく普通に展開されます.幽霊と同居しても近所には妖怪や宇宙人が住んでも,そもそも物の怪と人間の境に住んでいた忌野家には,劇的な変化は訪れませんでした.
しかし,外出したキヨシが目にするのは忌野家を中心に明らかに変質してしまった現代社会.故人が蘇生しまくり超常現象が日常に変わるこの状況は,法や経済,文化,その他あらゆる現代社会を支える常識をぶち壊していく強烈なものです.遠くに分かたれていたはずの2つの世界は交じり合い,例えばアサミさんとデートできるようになったキヨシのように,まったく新しい社会秩序を作り出すのでしょう.けれど…それで本当によかったのか?
忌野家に封印されていた存在は,新秩序に駆逐され消されていく旧秩序にとっては確かに邪悪.その混迷の未来をさらりと予想させて終了するあたり,なんて絶妙! なんて素晴らしい作り手のセンス! もしこの未来が実際に到来した瞬間,ホラージャンルで活躍するクリエイターは全員失業という恐怖を味わうことになるという点でも恐怖です(笑).実に小気味のいい笑いに満ちた物語を制作してくれた作り手に強く感謝しつつ,全13話のレビューを締めさせていただきます.面白かった!

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怪奇大家族#12

「先祖の因果が子孫に報い?の巻」

三途の川に流されてしまったキヨシは,どこかの川の袂に流れ着く.それを発見したのは父と同じ顔の着物姿の男.伝統的な日本家屋の中で目を覚ましたキヨシを「キヨベエ様」と呼ぶこの男は下男のマサキチ.そして「兄者は見つかったのか」とこれも着物でやってきた妹そっくりの彼女の名はオキョウ.キヨシは,タイムスリップの上ご先祖様の家に転がり込んでしまったのだ.名前と服装は違うものの過去の忌野家は現在とそっくり.しかし過去の忌野家は霊能力を悪用しいんちき霊感商法を生業としていた.忌野家に協力しない妖怪や幽霊を封じる部屋を発見したキヨシは,可哀想な彼らを解放する.先祖の非道な行いをやめさせようとするキヨシだが,本物のキヨベエが出てきたおかげでキヨシは捕まってしまった.

主役のキヨシ死亡中の「怪奇大家族 DEATH」.前回終盤で三途の川に流されたキヨシがたどり着いたのは思ってもいなかった光景となります.アバンが変わっているのは前回からですが,今回はさらに軽いなぁ.さらに劇中の音楽も今回用に変わっているあたりは芸が細かい.キヨシが流された直後に開かずの間の中の彼の体が消え,今回の物語「and REBIRTH」」がスタート.

序盤.流されたキヨシを拾ったのは着物姿の父.助けられたキヨシが運ばれたのは,現代の忌野家の一戸建てではなく純日本家屋.目覚めたキヨシは父からキヨベエ様と呼ばれて大混乱.前回予告で約束されたとおりにここは過去の世界.しかし予告を見ていない(笑)キヨシは家族の変貌にうろたえるしかありません.ここは過去の忌野家,キヨシのご先祖様の家.妹そっくりで気が強そうなオキョウと父そっくりのマサキチ.さらに祖父はもう死んでいて,相変わらずの役立たずぶり.
ちなみに現代の忌野家では四十九日の法要が十中弟のおかげで無事終了.そこになぜか参加しているMIBの2人と十中弟のエロとか生臭な小競り合いぶりがおかしい.外人には絶対見えないけれど外人と言い張るMIBと,どう見ても外人なのに国籍をぼかす十中弟の相性はやはり悪いようで.そしてまたも例のペンでぴかっとなって巻き戻っている展開.大事なグッズなのはわかるんだけどさ,話が先に進まないから,そのペンどこかにしまおうよ(苦笑).
一方過去では忌野家ご先祖の家の中をうろつくキヨシ.霊能力を生かした過去の忌野家の商売は悪霊落とし.でも「こんなん出ましたー」は…いいのか(苦笑)? 母そっくりのご先祖の能力に感動していると,その直後にさっくり剥げる化けの皮.霊とグルになった上で霊障を起こし,それを解決して礼金をもらうという悪辣なマッチポンプぶり.この悪さは現在の忌野家にはないものですね.さらに現在の忌野家にはないものがもう1つ.気が強そうで遊び人の兄・本物のキヨベエに出会ってしまって思わず暴力を振るった上に気絶させてしまう気の弱いキヨシ.普段の情けない演技はあまりにもしっくりと来ているんですが(笑),気が強いキヨベエも自然に演じているのが素晴らしい.
暴力不祥事の証拠隠滅を行おうとしたキヨシが発見したのは,ここまで登場した妖怪・幽霊などが集められた部屋.単体でもあれだけひどい目に遭わされた連中の一挙登場にうろたえるキヨシの前に出てきたのは,赤い服のオアサさん.後でライターをいじっている物の怪の前でキヨベエに捨てられ命を絶った彼女が説明するところによると,例の茶番劇に協力しない物の怪一同をここに閉じ込めたのは過去の忌野家であるという事実が判明.「いんちき霊感商法」という時代考証大失敗のフレーズまで飛び出すサービスぶりが素晴らしい.まあ,宇宙人いるしね(苦笑).忌野家がやたら超常現象に好かれた理由だけでなく,アサミさんがやたらキヨシが大好きだった理由までなんとなくわかって,この部屋から超常現象一同を開放するキヨシ.封印を剥がすたびに大ウケされてうれしそうなキヨシは,そのうれしさを力に変えて悪徳商法に勤しむご先祖の祖母と妹に直訴するわけですが,逆にそれを不審がられた上に本物のキヨベエまで復帰してしまい,過去であってもやっぱり大ピンチに.

中盤はキヨシの晴れ舞台.旧家族に捕まって縛り上げられこづかれる我らが主役キヨシ.それを助けてくれるのがさっき解き放った超常現象一同.…宇宙人がどうしようもなく浮いているのがたまりません.それほど広くない部屋の中にキヨシと旧忌野家と物の怪一同が集結してちょっとしたラッシュ状態.どうすんだこの大量の登場人物(苦笑).もちろんいがみ合う旧忌野家と物の怪に対し,割って入るしかない未来のキヨシ.「ちょっと待った!」 ここから先が忌野清四享年22歳の一世一代の大舞台.これまでの成り行きをかいつまんで話し,未来には過去の忌野家も物の怪たちも居場所はないと主張.それに異議を唱える過去の母ことオユウ様はキヨシの頭の中にあるこれまでのダイジェストを見て卒倒.疑惑がようやく晴れたことで,追い撃つようにはっきりと自分の名と子孫という立場を言うキヨシ.
未来はいんちき霊感商法はともかく(笑)物の怪には居場所のない世界のはず…なのに激しく超常現象に襲われていた現代の忌野家.原因は開かずの間の邪悪なものか,それとも過去でのいがみあいなのか.だから現在の家族を救うために,皆仲良くしようよ!とオユウ様と妖怪ババアを必死に握手させるキヨシ.ここまでの経験から,無情な人間よりは情のある物の怪のほうがずっと人間的だと知っているキヨシならではの交渉ぶりに一同も拍手! とりあえず過去での物の怪VS忌野家の抗争が発生することだけは防げたわけですが,過去に来てしまったキヨシの問題は解決しないまま…と思ったら指でキヨシを誘うオユウ様.

終盤はさらに怒涛! またも縛り上げられ,例の開かずの間そっくりの部屋に連れてこられたキヨシ.なんと旧忌野家はキヨシを未来に送還する儀式を行ってくれるということで,キヨシも戻れると大喜び.ここで一発借りを返すキヨベエに対し「お前になんか絶対似てない!」と言い切るキヨシですが…そっくりなんだけど(笑).さらにオユウ様に大事な呪文を口伝で教わるものの,どうにも覚えの悪いキヨシ.雰囲気ぶち壊しなのは間違いないですが,いきなり覚えろって言われても(苦笑).
そして,発動するのは未来送還「封印」の儀! 「ちょっと待ったー!」 さらにキヨシが教えられたのは誰もが物の怪を見られるようになるという厄介極まりない呪文.現代社会で物の怪が見えることがどこまで面倒くさいことなのか,骨身に染みて知っているはずのキヨシの意思を無視して儀式は発動.この大仕掛けはベタですが矛盾もなく,しかもびっくり! 最終回1話前にしてとんでもない存在と化してしまったキヨシは果たして現在に無事復活できるのか…いや,復活してはまずいのか? さらに教えられた呪文もまた発動してしまうのか! この非常に気持ちのいい展開に身を浸しつつ,次回,石版魔物編最終回に続きます!

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怪奇大家族#11

「三途の川で流されての巻」

そして朝.変な夢に絶叫した母のおかげで早起きする家族たちだが,その団欒の中にキヨシの姿はない.真夜中に,開かずの間の中でキヨシは死んでしまったのだ.幽霊になってしまったキヨシに驚き喜ぶ同じ幽霊のアサミ.キヨシは自分が死んだことを家族に伝えようと念写してみるものの,思いは伝わらない.
なんとか生き返りたいキヨシはアサミとともに開かずの間へ.しかし,キヨシにはお迎えが来てしまう.彼が転移させられたのはどこかで見たことのあるような川原.この三途の川原には十中八九郎(兄)が待っていた.生き返るにはこの三途の川を今まで誰もやったことのない渡り方で渡ればいいのではないかという提案に乗ることにするキヨシ.

前回よりとんでもない展開を遂げ,シリーズ完結を前にして主役が死亡してしまった「怪奇」.今回は死後の世界をおっかなびっくり彷徨するキヨシ.ここまで直接の顔合わせがなかった八九郎との出会いや,下手なスタジオセットよりも金がかかっていないことが愉快すぎる三途の川など見所満載.その中でも同じ立場となったアサミさんとのやりとりが素晴らしい.ちゃんとアバンも変わっている上に,死んだので驚いているあたりも芸が細かい!
序盤.例の真夜中は過ぎてキヨシは幽霊となってしまったわけですが,家族はそんな事情は知らない上に元々キヨシのことはかなりどうでもいいらしく…要するに普段と同じ朝なあたりが悲しい(苦笑).父の夢はどうでもいいとして,母はどんな夢を見ていたんだろうか.キヨシがいないのに気がつきながらも無視して茶の間から去る家族の影で,一人取り残される霊のキヨシはとっても気の毒.
一方,霊の世界に踏み出してしまったために見えすぎるようになってしまったキヨシ.人間のときは目にすることがなかった,妙な笑い声つきのセクシーなアサミさんの着替えシーンを思い切り目撃することになり,童貞としてはうれしいような,やっぱりそうでもないような…(苦笑).見られて動揺するアサミさんですが,キヨシが死んでしまったことに感情が大混乱.同じ立場になれたことがうれしくて大爆笑! まあ,昨晩言われてある程度覚悟はしていたはずですが,目の前で露骨に喜ばれてしまってはどうにも気分は複雑です.キヨシはもちろん死にたくはないので,とりあえず家族に死んだことを伝えるため念写で文字を書くことを決意.この試みは「清死」であったためにあっさり失敗するわけですが(笑)もしかして生きているときより有能になってませんかこの主役?開かずの間に戻ったキヨシは,自分の死体に霊体を戻そうとするものの…そのカップリングはかなりアブノーマルなので乙女には目の毒だなぁという状況に(苦笑).例の石の中から聞こえてくる音は一体何なのか? 母に聞こえているのと同じ音?
さらに生き返りたいキヨシのはずが無情にもお迎えが御到着.無力な彼の前に広がるのは三途川.そこらの川原にしか見えないんだけど三途の川.だって看板があるから(苦笑).そしてこの川岸で十中八九郎と出会うキヨシ.…そうか.こいつも日本人じゃなかったのか(笑).三途の川の渡り方の4つ目まで(橋・浅瀬・深み・船)はまあいいとして,新たに加わったらしい三途の川の渡り方が電車.確かに過去に比べたら日本人の人口は爆発的に増えているわけだから大量輸送の手段が必要になのは間違いないですが,本当にそれでいいのか(苦笑).
しかしキヨシは彼岸である向こう岸に渡るわけには行きません.生き返るにはどうしたらいいか…ということで提案されるのが誰もやったことのないオリジナリティ溢れる渡り方.しかしキヨシときたら新たな弱点が露呈するというダメっぷり.悪行を犯した人間は深みを渡らされるらしいので,後ろ暗い皆様は水泳の特訓をしておくことをお勧めしたい(笑).そして家族の力に関しては,ほぼ期待できないという切ない状況です.

中盤.実は誕生日なんですが家族に陰で祝われている父は外国料理屋でMIBの2人と打ち合わせ.「日本語が通じないのでもってこいです」…こっちはやはり日本人ですか(苦笑)? MIB曰く,空間のゆがみは開かずの間で今日頂点に達し,そこから宇宙人がやってきそうな気配満載とのこと.この設定は残り2話,特に最終話あたりで大爆発しそうです.そんな本筋に関係なく,誤って例のペンでぴかっとやってしまって揃って少し記憶を失う一同が愉快(笑).
そして今度は忌野家にも動きが.弟の九十郎がキヨシのために参上するわけですが,よりによって一番信じない妹と談判することに.それでも必死にキヨシの死体は開かずの間にあると主張し,さらにキヨシが持ち出した例の本を妹に渡します.九十郎の前では信じるそぶりも見せない妹が,一人で開かずの間の扉を開けようとしているのにはちょっとほっとしました.この光景,川岸のキヨシに教えてやりたいなぁ.そして母は大変に重要なことを思い出します.

終盤はキヨシの川流れ.いくらコーチされたとしても根本的な問題を抱えているキヨシはなかなか川には飛び込まず.そりゃ,この寒い時期に川に飛び込みたい奴はいないよな(苦笑).彼岸を,成仏を目前にしながらも,生まれ変わるより覚えておきたいと川を渡らずこちらに留まっているアサミさん.彼女の記憶には辛いことのほうが多いはずですが,それでもこの世に残りたいという未練がこの場に繋ぎとめていたわけです.けれどその鎖を解き放ちそうなのがキヨシの存在.一緒に川を渡ってもいい…なんてのはアサミさん必死のプロポーズだと思うのですが,これをキヨシは「ごめん」とお断り.一緒に生まれ変わるわけにはいかない…という間接的な,しかしはっきりとしたお断りの言葉を受けてもそれでも笑えるアサミさんと,そんな彼女に笑えるキヨシ.この2人のくすぐったいやりとりに八九郎はどうにも納得のいかないものを感じております(笑).
そしていきなり祖父が登場したため,えらいコンパクトに祖父のボケに突っ込みまくるキヨシ.ここまでの話数で随分と対応に慣れたようで,「どこ行ってたんだよ!」「あら,じゃないよ!」「果せないよ!」「わからんはなしだよ!」と畳み掛けるあたりが素晴らしい(笑).ここでキヨシは川の流れに逆らえば生き返れるのではないかと考えます.しかも,泳げなくても浅瀬を歩いて上流まで行けば!とナイスアイデアを立案.鯉→鮒→ハゼの変遷が愉快ですが,川原を上流に向かって歩くんじゃだめなのか(笑)? そしてやっぱりコケて溺れるへっぽこ主人公キヨシ,期待を裏切らない情けなさの上に祖父は四十九日で成仏.「ちょっと待ったー!」.いきなり三途の川をどんぶらこと流されていく主役に呆れる八九郎に対し,「私,昔からあの人を知っている気がするんです」と思わせぶりなコメントを発するアサミさん.霊だから川で溺れることはないにしてもやはり苦しそうなので,誰か早くキヨシを助けてあげてください(苦笑).死後の世界への移動に飽き足らず,今度は過去の世界に踏み込むことになるキヨシ.一体忌野家の過去に何があったのか.次回に続きます.

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怪奇大家族#10

「誰だって死にたくはないんだの巻」

ある朝.キヨシが目にした新聞の一面には,自分の寿命があと4日であると報道する記事が載っていた.驚くキヨシが目にしたテレビでも同内容の報道が.しかし,その報道はキヨシの前にだけ現れて他の家族は気づかない.次の日は3日に.その次の日は2日に.カウントダウンされていく己の寿命を祖父に相談するキヨシだが,「人間はいつかは死ぬ」と言われる始末.家族に相談するも相手にしてもらえず,真面目に聞いてくれたのは幽霊のアサミだけ.街を歩いても自分の死をあらゆるメディアが宣告し続けついに耐えられなくなったキヨシは飛び降りて死のうとするが,うさんくさい男がそれを引き止める.

12月に入りついに終盤のラストスパートを開始した「怪奇」.ここから先は伏線を巻き込みつつ最終回まで連続話で走るようです.というわけで最終話1話となる今回は存外にシリアス.斜めの構図で描かれるキヨシの世界は己の死に向かってまっしぐら! 主役が攻撃対象にされているためいつもに比べると全体的にシリアスなんですが,脇の連中はいつものノリなのでどこか気が抜けているうちに…大変なことに.

序盤.例のラインはむしろこいつの上を走っているんじゃないかと思わせるくらいに,ここまで様々な怪奇現象に対処させられてきたキヨシ.そんな彼に訪れた朝はいつもと同じようで,しかし明らかに違うもの.自分の4日後の死を告げるメディアや少女がキヨシ最期の日々の開始を飾ります.霊感のある家族でも見えないものがキヨシには見えるということは,この現象はキヨシ狙いに間違いなさそうで.さらに予告でキヨシを精神的に追い詰めていくのもまた,この現象の狙いのようです.
さて,同時期には父の周辺にも動きが.宇宙人の回で出てきたMIB2人がなんと父をスカウト! MIBのリーとスミス(笑)は父をファミレスに連れて行った上で勧誘活動.ところが異常現象大好きな父が思わずツッコンでしまうくらいにこの2人にはいろいろな問題が.「日本人ですよね?」「違います」「塗ってますよね?」「塗ってません」(笑).全世界的にMIBはアレでなければいけないという規則でもあるんでしょうか.それとも形から入るタイプ? しかも折角ファミレスなのに,頼んでくれるのはドリンクバーだけ.MIBってのは資金面もきついのか?
さて,キヨシカウントダウンはあと2日までに進展.キヨシが目にするものには「2」が浮かんでは消え,さすがに追い詰められて祖父に相談するのですが返事はあまり役には立たず.この先に待つものが逃れようがないと知っていたからこそ,あんな返事だったんだろうか.で,家族は相変わらずののん気さで,「幽霊でも家族は家族」って言われたら,キヨシとしてはくじけるしかないよなぁ(苦笑).一人きり辛い状況で唯一気遣ってくれたのが赤い服のアサミさん.彼女とキヨシは1話からのお付き合いですが,最初は完璧にキヨシが押されていたものの,最近はキヨシもしっかり自己主張できる良い関係.「アサミさんはやさしいね」というキヨシの言葉は,夕焼けの土手で切なく響きます.
キヨシの追い詰められぶりはのん気な彼の見た目以上に深刻で,何よりも生きている家族が全然助ける気もないってことに打ちのめされています.なんせあの家族,キヨシが立派なボーイになるまで家出してもそれに気がつかないような連中だからなぁ(苦笑).ついには幽霊になってみるのもいいかもと,飛び降りて死のうとするキヨシを止めたのは十中九十郎.轢き殺され,霊となって忌野家に居ついた八九郎の弟です!

中盤.この九十郎,風体の割に異様に英語が得意そうで手品が大好き(笑).でも遺骨をネタに使うなんてのは死者冒涜も甚だしく(苦笑),「二度としないでください」とキヨシだって怒ります.忌野家の家に潜む邪悪を捜すうちに(不注意で車に轢かれ)命を落とした彼の兄・八九郎.今回キヨシを襲っている死の宣告もそれがらみで,鍵は開かずの間にあると教える九十郎.強力な力で護られている開かずの間に出入りできるのは祖父とキヨシだけなので,そこに入り,いわくありげな本を見つけるキヨシ.あたかも本に触って欲しくないかのように石は揺れます.
そして次の朝.最期の日.突然の痛みに苦しむキヨシの腹には…「1」の傷が!

終盤.明日は死ぬにはいい日のわけもなく,キヨシは九十郎に頼るしかなく…けれど九十郎が遊園地でなぜか食いまくるために貫禄も説得力も大幅ダウン.どうにもうさんくさい訛った日本語に加え,またも手品まで披露されてしまうキヨシの心中をお察し戴きたい(苦笑).世界に災いをもたらす邪悪なものが復活を遂げるという九十郎の予告と,キヨシが持ち出した本に書かれていたキヨシの顔.なんと邪悪な存在の復活の寄代となるのはキヨシの体らしいことが判明.邪悪の復活を阻止するんだ!とか涎だらけにされる(笑)キヨシ.いや,もう未曾有の大ピンチなんですが,九十郎が連絡用に鳩なんかくれるもんだから緊張感が続かないのがこの作品の良いところ(苦笑).
そして真夜中.予告された時へあと20分と迫ったキヨシは鳩を肩に苛立っていました.その苛立ちゆえにアサミさんにすら当たってしまうキヨシ.幽霊であるアサミさんとしてはキヨシが同じ側に来てくれるのは決して嫌なことではありませんが,現実に絶望もしていないキヨシは「死んでたまるか」と元凶の開かずの間へと釘バットを持って向かいます.やっぱりボーイ修行でちょっとだけ柄悪くなったなぁキヨシ(笑).しかしそこにはあの石だけでなく幽霊が待ち構え,予告された時間に,キヨシの魂は体から強制分離!(ついでに鳩も!)
主役が死んで動き出す「怪奇」最終章.あの青いシルエットの正体は何か.父の所に来たMIBは何をするのか.開かずの間の石の意味は.祖父はどこに行ったのか.復活する災厄とは何か.あの位牌にはどんな意味があったのか.そして…ちりばめられた謎はどこまで解いてもらえるのか! やっぱり死んだら驚くのか(笑)! 次回,死後の世界に続きます.

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怪奇大家族#9

「人は順応する生き物の巻」

今の家にそれぞれ不満を持つ忌野家一同は,リフォームしたいと夢を馳せるがそれには先立つ金がないはずだった.しかし次の日,浅墓工務店の多羅尾番外がリフォームの下見にやってくる.珍しく気の利いたことを父がやったと家族は勘違いするも,父は業者など呼んでいなかった.
次の日.キヨシが目覚めるとキヨシの部屋が広くなっていた.一晩にして忌野家は巨大な迷路に姿を変えてしまったのだ.思ってもいないところに繋がる出入り口を伝っているうちに合流したキヨシと妹と父.ようやく玄関にたどり着いて外に出られるかと思ったら仏間に戻され,仏間の窓は虚無へと続く.奇怪なリフォームを施されて遭難者まで出ているこの家から,キヨシたちは脱出しなければならないのだ.

ここしばらく落ち着いた話を提供していた「怪奇」,今回は久々の面白回! 幽霊も妖怪も出てこないわけですが,家という無機質な迷宮をやがて受け入れていく忌野家の姿はあたかも押井守(笑)を彷彿とさせる素晴らしい出来.不条理に対し途中で抵抗を諦めて受け入れていくあたりが日本的で卑小で寛容で,そこが楽しい! これまでの放映分からベスト3本選べと言われたらこの回をまず選びたい,シュールな傑作です.

序盤.モノクロの推理ドラマよりスタート.板尾さんはそこで何をやってるんですか(苦笑).壁のうめき声の原因はリフォームの際に壁に塗りこまれた死体だったというサスペンスにもオカルトにもなりきれていない緩い話を見ながら忌野家が達する意見が「リフォームいいわねー」って一体どんな文脈でそこに達してしまうのか(苦笑).
全員が今の中古住宅には不満で,プールの欲しい母,大きなベッドの部屋が欲しい妹,大人の娯楽室ことカジノが欲しいキヨシに,ジャグジーバスなどが欲しい祖母.そして,地下の降霊室が欲しい父.ラストは突っ込みどころなので,「なくても十分降りてるよ」とツッコんであげましょう(苦笑).金がない奴がいかにもやりそうな他愛もない夢想的リフォーム雑談が,確かにこの家に大変な事態を招くことになるのです.
次の日.早速やってくる顔色の悪い浅墓工務店の多羅尾番外.この業者は家中を叩きまくり,見えない誰かと会話したり,犬小屋と犬を計りまくってみたりとどうやらリフォームの下見らしく.きっと父が連絡してくれたのだとキヨシたちが勝手に納得したのが命取り.浅墓から手渡された名刺が,霊感のない父が触ると真っ白になっているあたりが,念のため,多羅尾が普通の人間ではなく,特殊な現象であることを示しています.
そしてはじまる破滅と再構成の次の朝.キヨシが部屋で目覚めると,部屋がやたら広く変化! さらに戸を開いて出ると,同じ部屋に続く別の戸からここに戻ってしまいます.手を戸の外に差し出すと,向こうの戸から自分の手が見えるという現象とひとしきり遊ぶキヨシ.向こうに見える自分にフェイントをかけてみたりと素晴らしい現実逃避ぶり.ただしこれが現実である以上,キヨシは主役としても立ち上がらなければなりません.というわけでまずは部屋の窓を開けてみると着替え中の妹の部屋に.彼女に対する「よお」という気の抜けた挨拶が実にキヨシです(笑).
妹と合流してはじまる本格的な忌野家探検.全ての扉や戸がランダムに繋がれる巨大な迷路をさ迷う兄と妹.どこか少女漫画的なファンタジックさの中,脈絡なく繋がる部屋と部屋をさ迷ううちに,妹が「これってリフォームなんじゃない?」と嫌な事実に気がつきます.
さ迷った2人がようやくたどり着いたのは,いつもならすぐに行けるはずの茶の間.ここで父と合流して仲間は3人に.さらに玄関から戻された仏間には祖母の姿が.この状況をなんとかしろと父に「忌野家の変なこと担当」にされてしまったキヨシ.しかし,開くと虚無へと続くトラップ出入り口やら遭難者の死体やらが3人の危機感を煽ります.

中盤.ヒゲ面で倒れているキヨシと同じく憔悴した父と妹.祖母のみいつものままなだけでなく,どこから持ってきたのかわからない饅頭を黙々と食ってます(笑).精神的なものなのか,それともこの家がもたらす効果なのか,少なくとも数日以上は経過していそうなキヨシたちのところに母の声の幻覚が…ってこちらもふつーな母登場.しかも現在の家の構造に対し「便利」というとんでもない形容をやってのけます(苦笑).天然ボケゆえにこの家への順応は素晴らしい母のつくった料理をがつがつと食らう3人は,いよいよこの家の中で生きていくことになります.
キヨシの,あたかもアタルのようなナレーションとともに紹介される忌野家の異常な日常.外には出られないもののなぜかライフラインは生きていたので,家の中で栽培したり,どこからか持ってきたりと食料を調達した上で,異常な家の中で日々の暮らしを維持する家族たち.いつもは家の外部から異形がやってくるんですが今回は家自体が異形化.しかもその中で暮らす家族たちは家という異形に取り込まれた異形の一部となり,それは観察者であるキヨシも例外ではありません.行く先を示す手書きの張り紙は家中に張り巡らされ,ついには宇宙と家族について語りだすキヨシのテンパったナレーション.素晴らしい(笑)!
さて,その間外にいたのは殺子と八九郎と犬.家は結界に阻まれて誰も入ることができないのかと思ったら,例のリフォーム業者,多羅尾がひょうひょうと入っていきました.

終盤は一気に状況が変化!エッシャーの絵画のごときで現在の忌野家図を部屋で見ていたキヨシに吹く風.その風から,ベッドの下の新しい出入り口を発見するキヨシ.暗い画面を激しい音楽とともに這っていき,暗い通路から出ていくキヨシが見たのは…工務店とその中の多羅尾.元凶をようやく発見したキヨシは,ごく普通の挨拶もそこそこに(笑)家を元に戻せとファイトを開始で,クロスカウンターはゆっくりとヒット(笑).前回のボーイ修行で鍛えられていたのかこれまでの珍妙な展開にほとほと嫌気がさしていたのか,キヨシはいつもならありえないくらいの暴力的な大活躍.明らかに鬱積するものを多羅尾にぶつけております(苦笑).
元凶が発見されたのでようやく家は元の姿に.その元凶を呼んだ原因が祖父であったことも判明するんですがそれはともかく,一連の事件でキヨシが学んだのは,どんな家でも住めば都で,異常現象よりも確実に恐いものが存在するということ.そしてくしゃくしゃにして鼻紙にするばあちゃんは最強であるということ(笑).閉じ込められた恐怖に絶望して自殺して終わり…なんてありきたりなホラーの結末を回避できたのは,祖母に代表される忌野家の極度ののん気さゆえなので,キヨシは家族に呆れるだけでなく感謝するべきだと思います(笑).次はまたもひどい目に遭うキヨシ! ネタ元は恐怖新聞とかですか? 終わり,ではなく次回に続きます!

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怪奇大家族#8

「霊界版ヤクザVシネの巻」

霊に満ちた自宅・忌野家に嫌気が差したキヨシはある日家出した.しかし,無一文で飛び出したか弱いキヨシは都市の生存競争に真っ先に負けてぼろぼろに.そんなキヨシを拾ってくれたのは,死体を集めるスナック「まぁ冥土」の店主・メメント森だった.寡黙で強面,喧嘩も強い店主を「兄貴」と慕うキヨシは,死体の女の子たちが接客をする,死に酔いしれるスナックでボーイとして働きはじめる.理解のある客たちと個性的?な女の子に恵まれた「まぁ冥土」.しかしこの店を潰したいと考える何者かが鉄砲玉を送り込んでくる.

実写なんだけど派手で漫画的な物語が気持ちいい「怪奇大家族」.今回は忌野家を飛び出したキヨシが体験する裏霊社会というわけで他の家族の出番はほとんどなし.現在の忌野家は霊ライン3本と妖ライン1本が走る心霊現象のメッカなんですが,そこから逃げ出してもやはりオカルトに巻き込まれているキヨシが哀れ.家にいなくても,主役は不幸からは逃げることはできないのです.さらに線香という小道具が実に小粋に使われているのが楽しい.
序盤.(たぶん主に)アサミさんの髪の毛の処理にほとほと疲れ果て,家を飛び出したキヨシ.無一文で喧嘩にも負け,あっという間に身を持ち崩していく若者の様子はまるでチンピラものVシネマの序盤のよう.しかしぼろぼろでゴミ捨て場にいたキヨシを助けたのは死体の森.普通のVシネマだとヤクザの兄貴なんだけどね(苦笑).死体を集めていた子分に,半殺されたキヨシは死体と勘違いされて回収されてしまいます.あたかもビートたけしのヤクザ映画のごとく子分を手酷く叱りつつ,ぼろぼろのキヨシに「中入んなよ」とスナック「まぁ冥土」に導くメメント森からはじまる,キヨシの長くて短い霊界裏社会体験記.
森の風格と男気にあこがれたキヨシは,「ゆっくりしていきな」という森の言葉に甘え,兄貴のスナックでボーイとして働きはじめます.普通のスナックだと中には外国から来た綺麗なお姉さんがいるわけですが,このスナックでは死体のお姉さんが妖艶に微笑んでおられます.お客は死体の良さを知る生者の皆様.死体をフレッシュな状態で保つためには冷蔵用の装置などそれなりの金が必要なはず.同じ死体や幽霊を相手にしても,金を稼ぐことはできないですからね.しかも誰彼もからぼったくるわけではないあたりが,兄貴の適切な配慮を示してます.ナンバー1のセツコ嬢の「とにかく人が死ぬ!」ってトレードマークがさすが死体スナック(笑).
そんな生者向けの特殊な趣味のスナックに送り込まれた鉄砲玉の流しは,死体を苦しめる「僕らはみんな生きている」という呪歌(笑)を絶唱.兄貴があわてて運び出し,姐さんに「呪います」を歌わせることで呪歌の効果をキャンセル.誰からか恨みをかっているのは間違いないですが,いつでも来いと線香を吸ってる兄貴.画面全体の色調に加え,小道具が効いてます!

中盤.1ヶ月のボーイ修行が板についてしまったキヨシ.司会ぶりも後輩への指示も堂に入ったもので,これがキヨシの天職なのか? ちなみに無情な忌野家は兄のことなどすっかり忘れてしまっております.「血は水で洗う」ってのはここで学んだ知識なのか,それともアサミさんの口からこぼれた奴を処理することで覚えてしまったのか(笑).
なんとか存続している店の前で,キャッチボールに興じる森さんとキヨシ.店にとっても生きているキヨシがいれば買い物や真昼の活動など便利なことも多そうなんですが,「そろそろお前帰れや」と帰宅を進める兄貴の言葉にキヨシは狼狽.「カタギのお前のいるところじゃねえよ」と転がりこんだ弟を真っ当な世界に戻そうとするのはヤクザVシネマのお約束.ついでにこの状況だと愛する女が迎えに来るのもお約束なんですが,キヨシの場合,店の前ではアサミさんがキヨシを迎えに来ました…普通だと愛する女の登場で精神的に戸惑うシーンとなるはずなんですが,キヨシにとっては家を飛び出した一因に迎えに来られてもやりにくいところ.オカルト界にも表と裏の社会があるようで,ちゃんとした葬式を受けた幽霊の方がそうでない死体より格上.死者を霊とせずに死体のままで働かせているメメント森の評判は霊界ではすこぶる悪いようですが,兄貴に心酔しているキヨシにその言葉が通じるわけがありません.さらに後のシーンでは,森のおかげで無縁仏寸前の女の子たちは救われたのだと感謝していて,兄貴は霊界のあぶれ者を集めてくれた,いわゆる霊界の必要悪だったわけですね.
そしてついに訪れた崩壊の日.セツコの命日を店のスタッフで祝ってドライアイスを取りに入ったキヨシ.しかし背後,店から仲間たちの悲鳴が!

終盤.敵の鉄砲玉によってヤクザVシネマがいきなりB級ホラー映画に変化! 送り込まれた鉄砲玉は死体の自由意志を奪う凶悪なゾンビ.店のスタッフが噛まれるとゾンビに変わるため,あっという間にゾンビに支配されてしまう「まぁ冥土」.直前までのノリが非常に抑え目だったので,ここでのアクションの大爆発ぶりはかなりのものです.
鉄砲玉を送り込んだ敵に対して怒りつつ,森は大切な自分のスタッフを次々に己の銃で撃ち殺すものの…しかし森も噛まれてしまいます.キヨシに「俺を撃て」と銃を差し出す森ですが,いかに裏霊界の水になじんだように見えたとしてもキヨシはやはり表社会の男.どうしても撃つことはできず,無我夢中で店から街へと逃げ出します.「メメントー…モリー…」すなわち『死を思え』と唸って近づく兄貴.けれどキヨシには何もできず….この大ピンチを救ったのはなんと! 深刻なキヨシと森に対し,その背景から介入する救い主の姿がどうにも間抜け.あたかも画太郎先生の漫画のような(苦笑)暴力的ながらナンセンスな終末の後味はあまり良いものではありません.死を迎えることとなった森に線香を差し出すキヨシ.彼に弔ってもらえたことで,無縁仏改めゾンビのはずの森も成仏することができていたらいいのですが.
辛い経験の末に帰宅したキヨシの心は,森という心の師匠を得たことで少し大人になっていました.誰にも等しく訪れるものを実地で知ることができましたし,あのアサミさんに火を差し出してもらえるようにもなりましたしね.しかしそんな忌野家勢揃いを狙ったかのような新たな来訪者が! ここまでの展開を見ていると,4本のラインが走っているのは忌野家ではなくキヨシなのではないかと疑問を抱きつつ(苦笑)次回に続きます.

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怪奇大家族#7

「もう一度こんにちはの巻」

高笑いする眼帯のゴスロリの夢を夜な夜な見る妹のキョウコの学校に転校生がやってきた.それはあの夢のゴスロリ・天中殺子.見た目からしてものすごく不審な彼女の黒い服に,キョウコはなぜか見覚えがあった.それはまだ小学校の頃の記憶のはずなのだがはっきりとは思い出すことができない.
次の日から,転校生は明らかにキョウコを狙って嫌がらせをしかけてくる.校舎屋上からの飛び降り自殺まで偽造され,さすがのキョウコも直談判に出向いたが,殺子は「裏切り者!」と言葉を浴びせ高笑い.その異様な迫力に気丈なキョウコも倒れてしまう.

ここまで実写としては珍しいほどのハイテンションぶりを見せつけてくれた「怪奇」ですが,今回はちょっと小休止.ゲストの笑い声だけは非常にアレなのですが(笑)物語自体はスタンダードで寂しさすら感じさせるもの.忌野家の良識としてここまで頑張ってきた妹のキョウコ.オカルトをかたくなに否定するゆえにはまってしまうと泥沼に…という一般原則を忠実に再現,というか,あのかたくなな態度には過去の事件が関わっていたのです.

序盤は夢でうなされるキョウコよりスタート.黒いフリル,パーフェクトに不健康な感じにキメたメイクで絶笑するゴスロリ少女.ワンポイントとして黒の眼帯に白で「殺」とペイントされているあたりが着用者独特のセンスで…怖い(笑).下手なコスプレよりも確実に浮いてます.そんな不吉な…怖いけど懐かしい夢を毎晩見させられる気の毒なキョウコ.彼女の古い日記はなぜか穴だらけで読めなくしてある部分が満載.今回の脅威はその穴の中からやってくるのです.
次の日,学校でキョウコの前に姿を現したのは夢に見たままのあの少女.ゴスロリ転校生が黒板きーきー言わせつつ書いた名前は「天中殺子」! 強そうです(笑)! このゴスロリ,夢の中と同じく現実でもキョウコにまとわりついて凶悪な嫌がらせを繰り広げます.机に置いてあるノートの表紙には「殺したい奴リスト」と表題が.それを開くと…自分の顔が! 中に鏡を仕込んであるという手の込んだ嫌がらせから,靴の紐をかた結びするという地味な嫌がらせまで振れ幅が大きく,極めつけは屋上からキョウコの名を拡声スピーカーで叫び,衆目を集めて飛び降り自殺を敢行するという凶悪なもの.もちろんダミー人形なんですが,気の弱い人間なら卒倒必至の度の過ぎた嫌がらせに耐えかねたキョウコは屋上に.2人きりになったキョウコとゴスロリ.キョウコに対して「やっと2人きりになれた」と懐かしそうに語るゴスロリ.しかしうろたえるだけのキョウコをなぜか裏切り者呼ばわりし,高笑い! この高周波に負けたのか,キョウコは倒れてしまいます.

中盤.倒れたキョウコはゴスロリ殺子の家にお持ち帰りされてしまい,目覚めたときに判明する血縁関係.頭の上で笑っていたのは,ゴスロリと「ないとめ屋」の店主の姿でありました.あの高笑いは血の成せるものだったわけですね.殺子さん,店主に負けず劣らず素晴らしい笑いぶりを披露していて,役者さんもさぞや大変なことだと思います(笑).まるでキョウコを知っているかのように親しげに話しかける殺子に対し,殺子のことを知らないキョウコ.殺子は思い出のテディを出して見せますがもちろんキョウコには覚えもなく.この状況に怒ったゴスロリは,そのチャームポイントであった眼帯を外します.その瞳は恐らく邪眼と呼ばれる種類のもの.その力で呼び起こされた,キョウコの封印された記憶とは.
蘇る小学生時代の思い出.「嘘つき殺っちん」と呼ばれた殺子と友達になったキョウコ.2人とも霊能力を持ち合わせていたがゆえに,同じ話ができる無二の親友となるのに時間はかかりませんでした.しかしそれを叱ったのが頭の固い先生.見える2人にとってはまぎれもない現実なのに,それを否定するように強要する鬼教師.来月のお楽しみ会を人質に取られたキョウコは,殺っちんだけでなく幽霊や精霊までも裏切ってしまいます.幽霊なんか絶対いないと信じ込むしかなかった,それは辛いことだったから…封印して,忘れた.忘れるしかないくらいに辛かった! 邪眼によって思い出した妹は泣きだし,心理的にブロックされていたに違いない心霊機能の封印が解けて幽霊だってリアルな実体として知覚.祖父と祖母譲りの霊能力は兄だけでなく妹にも色濃く流れていたのです.封印していた能力を蘇らせたキョウコは…なぜか殺っちんと同じゴスロリに(笑).夜を爆走する乙女3人.

終盤は復讐劇から元へと返るまで.恐ちゃんと殺っちんのゴスロリコンビは幽霊を連れて日常を爆走.あの現実離れした服装自体が,彼女たちが現実に属していないことを示すサイン.そして2人の仲を引き裂いた,未だに霊の見える子どもを弾圧している教師のところに参上して復讐を果す恐ちゃん殺っちんwith幽霊の絶妙トリオ.これを皮切りに急速に殺っちんのいる方向へと転がり落ちていくキョウコ.殺子の邪眼の影響以上に,霊が見えるようになった喜びでついには3日も留守にする始末.見える快楽に堕ち込んでしまったキョウコは,昼夜を忘れてその喜びに浸っていたのでありました.この状態,まさに幽霊中毒か依存症といったところ.年をとってからハマると普通よりも病が深くなるという典型例でもあるようなないような(笑).その中毒はむしろ中毒させた殺子にすら手がつけられないほどの重症ぶりで面白い.
ここでようやくまともな活躍の場を与えられたはずの兄キヨシ(主役).妹に説教するものの見事に役立たず.あまりに激しい中毒によって食べることすら忘れ,衰弱して死ぬ勢いのキョウコを止めるためにやってきた店長.このままでは…と殺子にすごくうさんくさいヘッドギアを手渡します.それが何をもたらすのかを知りながら,笑ってキョウコに手渡すしかない殺子,もちろん裏切られたことを恨んでいて,それでも懐かしい友達のことが好きだった殺っちん.「これかぶって.もっといいものが見えるの」.…ヘッドギアの電撃でキョウコのここまでの記憶と霊能力は封印され,すっかりこれまでのことを忘れてしまった妹.その素晴らしい成果に笑い泣きして去る殺っちん.…けれど,殺っちんはキョウコの新しい友達として,今も忌野家にいるのです(笑).そんなオチつきで基本的にはいい話の今回ですが,気になるのは次回の予告.キヨシを待つ暴力的で夜な霊の世界とは一体どのようなものなのか.アサミさんは大丈夫? 次回に続きます!

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怪奇大家族#6

「あなたは天使で癒し系の巻」

都内で連続する殺人事件.犯行の共通点は現場に赤い線が残されていることと,被害者が童貞であること.そして忌野家ではキヨシが童貞だった.夜,案の定キヨシの部屋に赤い線が引かれ,和服の女がキヨシを襲う.必死で逃げたキヨシは開かずの間にたどり着き,中から出て来た祖父の顔を見た女は,その場を逃げるように立ち去った.
それは祖父の若かりし頃の思い出.赤線で祖父の生涯始めての相手となったのがキヨシを襲った女・つやこだった.恨みの心によって赤線幽霊となってしまったつやこを,祖父は成仏させてやりたいと考えた.

今期のギャグの中では本当にレベルが高いのに,放映していることをなかなか気がついてもらえない(苦笑)気の毒な優良作品「怪奇大家族」.視聴ターゲットは恐らく20代~30代女性あたりのはずなのに今回のテーマはよりにもよって「童貞と赤線」.いや,自分はもちろん面白かったんだけどさ,ターゲットの女性向けの作品としては正直どうだろう(苦笑)! 主役のパンツ1枚での熱演ぶりは最高だったので,力を入れるべき方向性を明らかに間違えているこの作品が,大好きです(笑).

序盤.この作品としては珍しく忌野家の外で物語は開始.夜道を歩く男を襲う,着物で赤線を引く女幽霊はきっちりホラー.音と影を上手く使った怖さを感じさせる演出なんですが…その殺害現場を取材するテレビ局の解説でもう一気に台無し.犯行の特徴は,現場に赤い線があることと被害者が童貞であること…って随分とご丁寧な取材を敢行したもんですねテレビ局(笑).冒頭で襲われた男が延滞金2万を愚痴っていたビデオも,やっぱりそういうビデオだったんだろうか.死者のプライバシー侵害甚だしい報道を見ていた忌野家ではキヨシ(童貞)を襲うセクハラ攻撃.にやにや笑う家族から散々気をつけるように言われては,ただでも気の毒なのにより一層の気の毒ぶり.アサミさんにはもててるけど彼女霊だしなぁ(苦笑).部屋に貼ってある「あわてなくてもいいんだよ」の色紙にまでバカにされてるような.
そして夜.この家に走る霊ラインのおかげか狙ったようにキヨシを襲う和服の女幽霊! 話の通じそうにない彼女から必死で転げて祖父のところへと逃げるキヨシ.その追い詰められぶり,また女の追い詰めぶりは緊迫感が溢れ素晴らしい.必死で開かずの間を開けようとするキヨシですが開かず,ここまでかと思われたキヨシを救ってくれたのは祖父.しかもキヨシを襲った女幽霊は,祖父の知っているつやこさんでありました.
お約束として,たとえどれだけ無理があろうと過去の回想はそのままで押し切るという鉄則は健在.祖父の筆降ろしの回想をおひょいさんでそのままやるという暴走映像炸裂.無理が不条理な笑いに繋がることはもちろんなんですが,これほどまで演じ手が楽しい作品もそうはないに違いない(笑).初めての人に入れ込んで,時計を売ってでもまた来ると言った往時の祖父.しかし憮然として線を引く今のつやこは,恨みから赤線幽霊へと身を落としていたのでありました.もちろん赤線は昔の風俗の店のことなので,線引きで本当に赤い線を引いているつやこさんは今更ものすごくツッコミにくいボケなわけです(笑).そんな彼女を成仏させてあげようとする祖父.やっぱりはじめての人にはできれば今も幸せでいてもらいたいもんですからね.もちろん巻き込まれたキヨシは,つやこさんを呼び寄せる餌としてパンツ1枚で夜道を歩くことに…寒そうだ! ついてきたアサミさんにはうれしいサービスだったようですが一般人から見れば立派な軽犯罪者.

中盤は回想と現実で,まずは赤線幽霊つやこと祖父と祖母の昔話.あ,もちろん祖母もそのまま若い頃を演じるわけですが,なぜか可愛い(笑).恋敵である祖母の存在以上に,祖父とつやこの間に立ちはだかった壁は立場とお金.別れの手紙を残して消えた,初めてのひととの悲しき別れ…そんな出来事を見つめてきた店「しみづ」(笑)の廃墟にやってきた祖父と孫.霊が見えて話せる以外の能力のないキヨシですが,祖父のためにもと裸で一軒家の廃墟に上がりこみ,へっぴり腰で廊下を歩み…と画はもちろんきっちり怖くできてるんですけども,裸のおかげでやっぱり緊迫感が台無し(笑)! そして,つやこさんはこの思い出の場所にいたのでありました.

終盤.またもつやこさんに追いかけられる無力なキヨシを救ったのは祖父のファインプレー! つやこさんがくすぐったいツボを触って動きを止めることに成功し,捕らえられた悪霊つやこは忌野家に連行されて尋問を受けることに.幽霊を信じない妹ですらその姿は見えるのに,霊感のない父(入婿)だけにはもちろん縄しか見えません.噛まれたときだけは喜ぶものの,常に見えずに歯噛みする父が面白い.単純なアサミさんとは違い,仏頂面のつやこさんには上滑りな言葉など通じるわけもなく困ったことに.しかしここで,イタコであった祖母が祖父の霊を吸い込んで降ろし,縛られたつやこさんに呼びかけます.「…つやこさんよ.わかるかい」 ここから先は怒涛の感動映像なわけですが,そもそも家族はともかくとして,霊のつやこさんには祖父の姿はもちろん見えていたわけだから,祖母が自分の体に降ろす必然性は皆無.それでも降ろしたのは祖母と祖父の合体説得攻撃のためだったのではないかと.祖父の謝罪と説得を恋敵であった祖母の口から聞かせることが目的だったのではなかろうか.つやこさんは最初から祖父だけのものではなく,むしろ何人もの男たちに希望を与えた癒し系!というところになぜか収束していく忌野家の意見.確かにそうなんですけども,確かにそうなんですけども(笑)! 雰囲気に流されてその気になったつやこさんは,なぜか天使になって成仏.間違っちゃいないんですがなんだかなぁ(苦笑)!

今回の件ではじめてキヨシは自発的に超常現象に介入し,いろいろありましたが解決の役に立つことができました.いくら怖いものでも毎日見ていれば恐怖心も多少薄れるでしょうからね.しかし相手が人を殺しかねない危険な存在であることを忘れるべきではないでしょう.特にアサミさんを裏切るとどうなるかわからないので気をつけろ(苦笑).さて,古今東西和洋折衷ごたまぜの超常現象もこの番組の魅力ですが,次に来るあれは一体どの方向となるのか.次回に続きます.

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怪奇大家族#5

「炸裂,ビジュアルショックの巻」

幽霊も妖怪も信じない家族を見返すために,夜中懐中電灯を振り回してUFOを呼ぶ父.オカルト雑誌バミューダ特別付録のUFOバッチが効いたのか,父の頭上に巨大な光がやってきた.次の日から父の様子がおかしくなる.「幽霊なんかいるわけがない」と言い切った上に,会社への早朝出勤も始まった.
そんなある日,妹は歩道橋で美人と待ち合わせボロアパートの中に消える父を目撃してしまう.最初は信じないキヨシだったが,2人で見に行くと待ち合わせる父と女子高生の姿が.しかも例のボロアパートに消え,夜そのアパートから父とともに出てきたのは別人の巨乳の女.父親が複数の美人と付き合っていることを知った子どもたちによって,忌野家には嵐が吹き荒れる.

オカルトギャグを抜群の技術力をもって実写で敢行する素敵番組「怪奇大家族」.今回はサブタイトルの「貴方好みの宇宙人」に全てが集約されていると考えて間違いないというか,むしろサブタイトルに合わせる形でつくったに違いないと思わせるようなしょうもない話なんですが,ここに夫婦の愛という普遍的なテーマが入っているため,なんとなく見終わると感動するものを「見たような気にさせられる」ところが実にうまい(笑).で,実際に目にするのは結構ものすごいものとなります(苦笑).

序盤は夜で懐中電灯を上空に振る父・オサム.怪奇現象満載のあの家にいながらも,幽霊も妖怪も(表向きは)信じてくれない家族に見せつけるために今度はUFOを呼ぶことに挑戦.…超常現象ならなんでもいい節操なしめ(苦笑).オカルト雑誌の特別付録をつけて呼べば,父お待ちかねの超常現象発生.オサムは霊感がないだけなので,霊にあまり関係のないUFO系の現象はちゃんと見えたようでよかった.UMA系もちゃんと見えそうですね.
そんなオカルト大好き!な父に困っている家族,特に妹.なんせ前回は余計なものを父が買ってきたせいで危機に陥ったわけですから当然の話.しかし母は楽しいのでまあよしと許容しているあたり,恐らく生来の性格でしょうがものすごくのん気.ところがUFOに出会った父は「幽霊なんかいない」と断言.この心変わりに幽霊たちは狼狽したのか,いきなり部屋に巻き起こる霊現象.しかしUFOにはまってしまった父の行動はどんどん不審なものとなり,母との仲もどんどん希薄で険悪なものとなっていきます.
街で妹が目撃したのは父の浮気現場.ボロアパートに2人でしけこんで…という父にはまったく似合わない超常現象の発生についてキヨシに報告する妹.キヨシは最初は信じないもののやはり父の逢瀬を目撃.謎のアパートと謎の美女軍団を激写することになってしまいます.

中盤は母がキヨシのスクープを目撃して大変なことに.言葉とは逆に激しく動揺している母(室井滋)の姿が哀れ.あれだけ山盛りの写真を見せられちゃ「ただの思い過ごし」なんてコメントが通じないのは母だって百も承知ではあるのですが….写真に父とともに写っている美女たちが実によろしくて,見た目で完全敗北の母は夕日の差し込む部屋の中,父との懐かしいデートの思い出を回想.ものすごく無理のある若作り(笑)の上でラーメンなど食べながら超常現象について語った日々を思い涙ぐむ母.…父の病気は昔からだったんだな(苦笑).
そんな母の悲しみを顧みることもなく,さらにエスカレートする父の浮気.「次はいつ会える」と聞けば和服美人は「会いたいときにどなたとでも」と素敵なお答え.この『どなたとでも』がタイトルの「あなた好みの」にかかってくるわけですね.そしてそんな2人を監視する黒服の男が2人…エイリアン話でおなじみのMIBです! これで話がSF展開を開始するのかと思ったら,むしろ昼メロ展開を開始するのがツボです.
帰宅した父を待ち受けていたのは浮気写真と冷たい目の家族.しかしその中ですら,母は父をかばった上で「嘘だって言って!」と懇願.けれど心奪われてしまった父は,冒頭のUFOとの遭遇から,その中に乗っていたアイドルそっくりのミーバー星人と仲良くなってしまったことを語ります.ただし! このミーバー星人は研究者で,地球人のサンプルとして父を誘惑してその心を研究していたのでありました.欲望のまま「あなた好み」に変形できるミーバー成人に父はもう夢中でまっしぐら.あたかも中毒患者のごとく,忌野家を捨てて宇宙人の下へ走ると宣言してしまいます.「もう,いいの!」と家を飛び出して,夜の道を例のアパートに向かってうれしそうにかけていく父.ほのぼの家族ホラーギャグだったはずが,5話に至って本格的な,しかも思いもしなかった形での家庭崩壊の大ピンチ! その上霊能力しか持たないキヨシでは,両親の仲を修復することもできないわけで….そしてここで立ち上がるのが母.号泣しているだけではなく,箪笥の中から最終兵器を取り出します.

終盤.父と宇宙人の愛の巣ことボロアパートに踏み込む母! フリフリファッションを装着した,ものすごい母ことロリータ室井滋爆誕,惨…いや,参上(笑)! その威力と愛によって宇宙人に酩酊していた父の精神が覚醒.美女との蜜月の日々は幻と消え,変形を続ける宇宙人は母の姿に.視覚的な暴力(笑)によって催眠を打ち破った父は,母とともにアパートを脱出.ここに忌野家崩壊の危機は回避されたのでありました.いやあ,いろんな意味でいいもの見せてもらいました(苦笑).
ラストで「地球はいいところだぞ」 と2人揃って宇宙に向かって呼ぶシーンがとても優しい.宇宙人という概念が人々の間で広まる前には,様々な怪奇現象は全て神やら悪魔やら妖精やら霊やら妖怪やらの仕業とされてきたわけで,「オカルト」と一くくりにされるのは理由なきことではないのです.しかしそれ以上に不思議なのが夫婦の仲って奴なんでしょうね.宇宙人の位牌が増えたり赤い着物の女がやってきたりと不穏な終わり方はいつものことだなぁと思いつつ,次回に続きます!

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怪奇大家族#4

「無理して2話にしてみました!の巻」

(4)父オサムの体験した怖い話.不気味な女店主の待つ店「ないとめ屋」で,とある資産家一家を全滅させた「貴婦人の微笑み」というタイトルの美女の絵を買ってきた父.話では笑い出す絵のはずが家族の漫才にも笑わない.しかし次の日から妹以外の家族の様子がおかしくなっていき,黒こげトーストを食む忌野家の食卓の上では貴婦人の微笑が笑い出す.その笑いは家族の笑顔を吸い取っていくのだ.

(4.5)父オサムの体験した怖い話.不気味な女店主の待つ店「ないとめ屋」で,とある資産家一家の殺された「令嬢の右手」を買ってきた父.自分の部屋にこっそり運び入れたのだが,その夜から悪夢が始まる.オサムの部屋の中に粗大ゴミを運び入れる令嬢の右手.必死で運び出してもまた拾ってくるどころか運び込む量はどんどん増えていく.ところがこれは悪夢の序の口.本当の悪夢は妹のところに訪れた.

今回は豪華2本立てでお送りする「怪奇大家族」…とは言っても1本目は枕で2本目が実質の本編.30分には変わりありません.長期シリーズなら複数回をかけてやる種の繰り返し話を1話で片づけたためにネタはどうしても小ぶり.小品としての整った面白さはありますが,これまで見せてくれたような物語の暴走はあまり見られないのがちょっと残念.そういえば,清水監督の力量はアメリカでも認められたようで幸いですが,国内でこのドラマの存在を認めている…どころか知っている人間はどれくらいいるんでしょうか(苦笑)?
さて,序盤は枕.次の話に繋ぐため,ちょっとした話で場を暖めて笑いやすくするのが役目です.父オサムが通う怪しすぎる「ないとめ屋」に並ぶ商品がどれも面白いんですが,中でも「夫婦喧嘩用皿」が気になってたまりません.店主は遠山景織子で豪華な上,高笑いが凄まじくかっこいい! そんな遠山がお勧めする今晩の商品が「貴婦人の微笑み」.普通なら重厚な油絵が出てくるところなんですが写真をフォトショップのフィルタにかけたような安っぽさがミスマッチ.家族にとっては迷惑千万な父の趣味なわけですが,「笑う」と聞けば全然面白くないコントを敢行するあたり,家族のずれっぷりもまたなかなかのもの.
父が買った割には商品は確かなもので,次の日の朝から家族は急激に呪われていきます.いつもなら傍観者で頑張るキヨシまで巻き込まれ,黒こげで仏頂面になっていく家族と逆に笑みを増すのが「貴婦人の微笑み」.人の感情から喜びを奪うこの絵のために,資産家一家は全員自殺の憂き目に遭ったわけですが…ここで父が出してきたのが「貴婦人の微笑み返し」.これもパステル調でものすごく歴史と由来がなさそうなあたりがナンセンスでよろしい.通販で買ったこの絵は「貴婦人の微笑み」から吸い取られた喜びの感情を戻すという素晴らしい能力が! この凄まじいご都合主義の上で大爆笑で終わる一家の夜.…いいのかそんな終わり方で(笑).もし1話かけてこの話をやってくれたなら,終盤には居間に大量の絵が並んで3すくみ以上の愉快な状況となったに違いなさそうです.で,ここまでが枕.

中盤より始まるのが今回の本編.序盤で「ないとめ屋」の紹介が終わっているので導入部分はさくさくと展開.「ところが!」と言ったあとには姿が見えなくなるのがお約束.遠山お勧めの掘り出し物は「令嬢の右手」.家族に見せびらかすと怒られると学んだオサムが自分の部屋に持ち込むと,令嬢の右手のおかげであっという間にお部屋が汚部屋に(笑).押入れには狸の置物やら大量の粗大ゴミやらが満載に.しかも外に粗大ゴミとして出していても令嬢の右手のおかげで出てくる出てくる同じもの.勝手に動く令嬢の右手は他の家族にはリモコンとか肩もみとか気が利いたサービスを続けるのかと思ったら,手のターゲットは父から妹へ! 肩を掴まれ振り向いても誰もいない…しかし目を離した方向から突然迫る令嬢の右手!

終盤は右手の再会.右手が消えてしまったので父はキヨシに助けを求めます.アサミさんと一緒にファミコンで遊んでいるキヨシ…もう,なんか普通になじんじゃってるというかむしろ恋人同士のようで微笑ましいですよお二人さん(笑)! ノーコンである令嬢の右手は,自分の失われた体を捜しているはずがコントロール悪くごみを家の中に持ち込んでいたあたりはギャグ設定ですが,自分の体が見つからない場合には他人の体を無理やり奪おうとするというあたりはちゃんとしたホラー設定! 妹を縛り付けて動けなくした右手は,なぜかでかい斧を持って再登場.一体どこから持ってきたのやら.危うく右手を切断される妹の危機を救ったのは…女店主が持ってきた「恋人の右手」というか愛のちから.ちょっと待った!と突っ込んできたキヨシが2つの手を出会わせれば,運命の再会,異様に感動的なからみあう2つの手(だけ)を前に笑顔のキヨシ.だけど妹は先に助けてあげたほうがいいと思うぞ(苦笑).位牌が増え,女店主は笑いすぎでむせておりましたとさ.
今回もキヨシが最後の最後で頑張ったおかげでなんとか忌野家から犠牲者を出さずにすんだものの,霊ラインと妖ラインのある限り,この家には外から脅威がやってくるのは間違いなし.例えば相手の見つからない別の誰かの手が再び訪れることだって….次は一体誰が,あるいはどんなしょうもない状況がこの家に訪れることになるのか…って予告ラストで出ている発光体はあれですね? 次回に続きます.

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