金色のガッシュベル#150

「そして,続く道の果てへの巻」

ゼオンのジガディラスの雷とガッシュのバオウが激突する.電撃を纏う金の龍は銀色の自惚れを砕き,ついにはゼオンの本を燃やした.しかしこの世界から去る直前に,ゼオンはファウードのコントローラーを壊す.操縦者を失って暴走するファウードは刻一刻と日本に近づき,もはやファウード内にはそれを止める術はない.しかし,それでもガッシュと清磨は諦めない.大切なものを守るために,そして一緒に大切なものを守ろうとしてくれた仲間たちを救うために,最後の力を振り絞る.

ついに終着点にたどり着いた「ガッシュ」.1話掲載時からの原作ファンとしてアニメを1話から見続けてきたのはもちろん,レビューを100話以上書いてきた作品でもあるので大変に感慨深い.これまでの3年間,飽かずに画面の前でツッコミ続けてこれたのは,この作品がなんだかんだ言ってもとても楽しかったから.平均値は決して高めではありませんでしたが,時折の異様に良い回にはちゃんと心を揺さぶられましたしね.最後まで本当にいろいろあったけど,アニメのガッシュたちとは今回で一応のお別れ.今はこの長い時間を彼らと一緒に過ごせたことに感謝したいと思います.
さて! 今回は最終回なのですが,視聴者に完全に義理を果たすために十分な時間はもうありません.王を巡る闘いの行方,まだ生き残る仲間たちの行く末,未だ姿も見せていない強敵やライバルたちとの決着…これらは全てアニメの枠の外側へと持ち越しされることになります.今回はあくまで「ファウード編」の最終回.このまま次回に続いてもそう支障はないんだけれど,…でも,もう次回はないんだ.ぜひ続きが見たいんだけどなぁ.てなわけで感謝の言葉を告げてみたり,ちょっと顔出しして別れの挨拶をしている場面があちこちに.

前回ラストで反則パワーアップな覚醒を遂げて戦況をひっくり返したガッシュ.タイトル通りに金色となったガッシュの放つバオウは,ゼオンのジガディラスといい勝負どころかついには圧倒! ガッシュがゼオンに比肩する強さを手に入れたことも大きいですが,それ以上に,しかし致命的に効いていたのはパートナーの心の力の差ではないかと思います.前回平常心を壊されたデュフォーと毎度どこまでもくじけない清麿では粘りが違う.何度押されても前に進み続けた金の龍はゼオンの術をついに打ち砕き.金と銀の激突はゼオンの敗北という形で決着します.
あれほど舐めてたガッシュに本を燃やされてしまったゼオン.ここに至ってもガッシュたちと和解できずに悔しいままで魔界送りになるというのは,後に希望を託してリタイアしていった連中よりもずっと哀れで情けない.その上大嫌いなあいつは恐れ多くも自分を兄弟扱いし,「魔界で再び出会ったときは,ゆっくり話をしようぞ」だなんて,敗者にはあまりにも残酷なことを言ってくる.兄弟だからわかりあえると戯言を屈託なく語り,真っ直ぐに見つめてこちらに笑顔を向けるバカ.…一瞬で本が燃え尽きてしまえば,こんなひどい精神攻撃を受けずにすんだのに.
もちろんゼオンはラスボスらしく,どれほどガッシュに請われても決して主義を曲げたりはしない.実際ここまでやられたら改心するほうがむしろ楽じゃないかと思うのですが,ラスボスは与えられた役目をまっとうします.本とともにこの世界から消えゆく中で,額のコントローラーを自ら壊し…「本当にバオウを受け継ぐべきものというなら,ファウードを止めてみろ!」
往生際の悪すぎる嫌がらせによって,ゼオンを退けぼろぼろのガッシュたちを乗せたファウードは元気一杯に暴走開始! 残り時間はあとわずかの上に,壊されたコントローラーなしでは止める事ができない.彼らは依然として勝利してはいないのです.…だからお前ら「ファウードを止める」という勝利条件をしっかり心に刻んでおけとあれほど,あれほど…(苦笑).ゼオンを倒すのとファウードを止めるのはまったく別の話であるという身も蓋もない現実の中,清麿はさらに力を振り絞ります!
とりあえず仲間全員を起こし,全然ファウードは止まってないというかむしろ暴走しているという悲しいお知らせを告げる清麿.帰還装置は止められたまま,ファウードへの命令も手動では不可能で残る時間はたった15分.しかしこの状況をひっくり返さなければキッズアニメとしては大変にダークな最終回となってしまいます.ゆえにまだ何かできるはずだと信じて行動するしかない.諦めたら,本当に世界が終わってしまうのです.
誰も死なせないというモットーで動くガッシュたちは,まずは敵味方を問わずに中にいる連中を脱出させることを決定.一部を除けば生き残った魔物とパートナーのペアはそれなりに強いはずで,彼らを外部に脱出させておくのは,ファウードを止めそこなったときの保険にもなるはず.清麿の指示に従って総出で回収に向かおうとしたガッシュたちの前にやってきたのが…前回からラストバトルを傍観していたバリーたち!
今のガッシュたちにとって力と時間の温存は最重要課題だから,ストイックな戦闘マニアのバリーに捕まるのは凄く困る.戦いがはじまったらバッドエンディングが確定です.…けれど場をわきまえてくれたバリーは,ガッシュとの決着を後回しにしてくれます.今この戦場にいる全ての者の勝利条件は「ファウードを止める」こと.最終回を滞りなく行うためにも,邪魔は誰にも許されないのです.
敵味方問わずに全員をコントロールルームに集めた清麿は,敵を優先してファウード内から退去させます.人命尊重という立場もあるし,余計な行動を取られたら全部が終わってしまうので当然の判断.ちなみにさっきまで戦っていたデュフォーの姿がありませんが,真正の超能力者である彼はファウードの力を使わずとも勝手に脱出してしまったのか,あるいは戻れないことを覚悟の上で,旅立つゼオンと一緒に魔界に渡ってしまったのかもしれない.彼の特殊さを考えると,むしろ魔界の方が暮らしやすい世界な気がします.
ファウードの転送装置を使って人員整理する清麿は,さらにここまでつきあってくれた気のいい仲間たちを脱出させにかかります.もはやファウード内部に出来ることはないから,最終手段としてガッシュの新たな力に全てを賭けるというのが清麿の決断.もちろんアースの発言やゼオンのこだわりから総合的に判断して決めたのであって,なんとなく勢いで請け負ったわけじゃない…と思いたい(笑).もちろんもう1回バオウを撃たねばならない清麿にかかる負荷は普通ではないはずですが,今や旗印の決断は止まりません.
ガッシュと清麿がたった2人で挑むという無謀企画を最初に許したのは,このチーム内では一番冷静なエリー.意志疎通の時間も与えられない今は,言葉で説明せねばならない仲間がいても邪魔になるだけ.てなわけで仕方なく仲間たちはガッシュたちを置き去りにしてファウードを退去.…仲間たちへの「今まで本当にありがとう」という清麿の感謝がいかにも最終回って感じだ.

大量の敵味方を退去させたことによって露になるのは,少年と魔物の子の物語.短気でバカな魔物の子と同じくらい短気で賢いはずの少年の織り成す,おかしくて感動的でダイナミックな物語.この先周囲がどれほど変わろうとも,2人がいれば物語は続きます….2人でファウードの正面に出てバオウでカタをつけるというのが清麿の計画なわけですが,やたら転送位置の計算に手間取って真正面に出られないのが情けないかも.物語の骨格を明らかにしたかった気持ちはわかるけれど,計算スペシャリストのサンビームくらいはここに残しておいてもよかったんじゃないのか(苦笑)?
ファウードが目指すのは今や鈴芽一人が残るあのなつかしのモチノキ町.ついにファウードは町から見える位置に近づき,現実では地震速報が(笑).でもモチノキ町は太平洋側なのできっと能登じゃない(苦笑).いかに天才が頑張っても脅威の上陸はもう止められないという危機の直前に,動じることなく港で待っていてくれた2人がいた…あのブラゴとシェリーが,余裕たっぷりでバベルガグラビドンを放つ! 強力な重力技はファウードの足元を襲い,見事巨体を倒します.たぶん港湾設備には相当のダメージが行ったはずですが,人が暮らす場所に上陸されるのに比べたらはるかにマシのはず.このように1年前の借りを返して,シェリーたちはスマートに一時退場します.
ガッシュたちは転送装置でファウードの目前へと移動.たくさんの仲間たちの助けと,ずっと諦めなかった根性によってようやく訪れた最後の好機.たとえ相手が空を突く脅威であろうとも,ここで止めなければ倒さなければハッピーエンドは訪れない! …出会う前には持っていなかった2人だからこそ,今守ろうとしているものの価値は誰よりも知っている.それを壊されてたまるものかと,2人はなけなしの力を振り絞ります! 「…たとえこの命,尽きようとも…」
御守のおかげかどうかはわからないけれど,清麿はなんとかこの町に戻ってくることができました,しかし一介の中学生と魔物の子が命を賭けるのはここから先! 再度金色に輝くガッシュに,限界をはるかに越えた心の力を注ぎ込む清麿.2人のバオウはファウードの攻撃を喰らいつつも決して諦めず,より力を増して全身を締めつけて,ついには1つに…! 守りたい心は青空を越えるほどに高くなり,いくら巨大でも地球に比べればちっぽけな存在であったファウードを喰らって壊す! 水際でこの1年の脅威は土へと帰り,ファウード編がここに完結します.

…最後のバトルを戦いきったのはいいものの,心の力を発揮しまくった直後の清麿はさすがに倒れてしまいました.意識を取り戻したらいきなりパートナーがぶっ倒れていてガッシュもびっくり.けれど本作は芸術作品ではなく,あくまでキッズ向けのきちんとした娯楽作品なのでちゃんと生きてます(笑).…ファウードを倒しただけではこの物語は終わらないけれど,なんとか危機を退けた清麿は気絶しつつも笑っているし,ガッシュは生き延びてそんなパートナーとこの町の無事を確認することができたから…「清麿,やったぞ,私たちは勝ったのだ!」
そして大団円に至れなかった不完全な物語は,今もどこかで続いています.バカで真っ直ぐな魔物の子と本当につきあいのいい少年は,枠を超えて前へと歩き続けているのです.待ち受けるのはブラゴたちのような手強いライバルやとんでもないアクシデントの数々.けれど彼らはもう急がずに,彼らの速さで王へと続く道を着実に歩いていくはず.ここに留まる者には見えない果てへと,ゆっくりと進んでいくのです.

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金色のガッシュベル#149

「きっと2人の本当の才能の巻」

ファウードの日本上陸まであと35分.ゼオンの強さは圧倒的で,たった1撃を止めるためにティオは全力を使い果たしてしまった.孤立無援のこの状況でも未だに闘志を失わない清麿たちにデュフォーは興味を抱き,ゼオンに代わり闘いの主導権を得て仕掛ける.もちろんガッシュたちの攻撃はまったく通用せず,デュフォーの狙った通りにやられるばかり.しかしそれでも清麿たちがまったく闘志を失わない理由がわからず,デュフォーは次第に恐怖を感じはじめる.

2話連続ラストの前半にまでついに到達してしまった「ガッシュ」.長いようで短かった3年間もここからフィナーレ.ちょっとばかり風呂敷を広げすぎたキッズヒーローものとして,可能な限り派手にテーマを語りつつ事態を収拾していきます.本作の中心に軸として立っているのはガッシュなのですが,そのすぐ脇にいて物語を大きく回しているのは清麿.今回はその清麿の最大の武器が炸裂します.
一見賢さや冷静さが最大の武器に見える清麿ですが,実際にその頭脳が役に立つことは正直稀であり(苦笑)どこまでも諦めない折れない心や魔物すらビビらせる気合のほうがずっと役に立っているという事実は否定しようもありません.そんな非・頭脳派の清麿最大の武器は味方の心を鼓舞し敵の心を惑わせ戦闘意欲を減退させる魂の説得.今回はこの必殺技が見事に敵の一角を壊し,その先に続く反撃の礎を築きます.

全ての終わりまであと35分.ファウードがここまで陸地に近づけば,日本どころか世界中がきっと大騒ぎになっているに違いない.世界的な大事件になりかけているこの状況の中,前回はリーヤがガッシュを守るために脱落.そして今回の冒頭ではこれまで謎だったティオの新呪文が発動.書いてはあるけれど読めなかったあの術は,中途半端な覚醒状態だったのか,それとも強く守りたいと思う心が発動条件になっていたのか? …理屈はともあれティオの守りの円によってゼオンの致命的な一撃を防御することに成功したものの,そのたった一度の防御でティオたちは力を使い果たしてしまいました.
ラストマッチなのにリーヤやティオに全力で守られまくるガッシュたち.そりゃここまで自分たちだけでやってきたゼオンに笑われるのも仕方がないところですが,ここに至ってもまだ自分たちを守ってくれる仲間がいることはガッシュにとっては大きな誇り.術でも能力でもなく,励ましあい助け合うことのできる仲間の数こそが,ガッシュ自身の最も大きな力であり成長の証でもあります.
そんなガッシュがともかく気に食わないゼオン.人間界で地獄の苦しみを味合わせるはずが,なぜか大量に仲間を作って自分に向かって真正面から青臭い文句をつけてくるんだから腹が立つのも無理はない.ゼオンとしてはこの戦いはガッシュを苦しめるための戦いであって,それ以上の意義も意味もない.王になることなんか二の次にしたいくらい,ゼオンはバオウを取られた件でガッシュを徹底的に憎んでいます.…正直ゼオンは大人気なさすぎ.4人の中では2番目に精神的に幼いんじゃないかな.
そして恐らく最も幼いのがデュフォー.超能力というとんでもない才能に恵まれ,それゆえに虐待と孤独の中で生きてきてしまった彼が気になって仕方ないのは,自分とよく似ているのにまったく違う清磨のこと.どこまでも冷静に心の力をコントロールするデュフォーと心の力が常にだだ漏れしている清磨はまさに鏡像.同じに見えてまったく違う,デュフォーにとっての「未知」そのもの.ゆえにわざわざゼオンに願って対峙してみるわけですが…これこそが最大の敗因.清磨の説教能力は,並のものではないのです.
一応天才と超能力者.あまりにも「異常」な能力によって2人は世界中の「普通」から排除されてきたはずなのに,なぜ清麿が自分と同じように考えないのかデュフォーにはまったくわからない.いくら清磨の心を覗き込んでも,そこに書かれている清磨の理論が理解できません.不思議なものを前にしたデュフォーは,赤ん坊が初めて見るものに手を伸ばすように,戦いという形で清磨の内面に直に触れてみようとします.
てな経緯ではじまった清麿対デュフォー戦はもちろん清麿とガッシュが圧倒的に不利.デュフォーも読心術による指示だけでなく念動力まで使ってくるもんだから反則すぎる強さです.たかがザケルでもゼオンの術はまともに当たれば死にかねないほどに強力な上,ガッシュ側の術は先読みされて心の力が無駄に消費されていくばかり.いくら一応天才が必死で考えようとしても,今度はガッシュが勝手に特攻をかけて勝手にやられてるし(苦笑).自慢のコンビネーションもろくに機能せず,またもガッシュと清麿は全滅の危機に陥ります.
けれど…人間としては相当タフな部類に入る清麿には未だ意識があり,そしてガッシュには未だ闘志がある.頭脳でも術でもなく何度倒れても立ち上がる根性によって,2人はこれまで何度も奇跡を起こしてきました.ゼオンに笑われて当然な,あまりにも素朴で乱暴な根性論.けれど,デュフォーにはその根性の源泉がわからない.…どこまでやったって絶対負けるこの状況で,なおもこのどうでもいい世界を守るために命を賭けて気迫を振り絞る,2人の気力の源がわからない.…論理的に考えるとありえないこの尋常でない敵の気合が,だんだんデュフォーは怖くなってきます.

実はこのガッシュ対ゼオンの最終決戦を,割と無傷のままのバリーたちが見守ってるんですが,ガッシュと清麿の能力を深く知っているグスタフの意向で最後まで介入せず,傍観者に徹してくれています.あのグスタフも認める強さは,徹底して追い込まれてもなおぎらぎらと輝くもの.現実や計算をわかっているくせにあえて無視して諦めない強い目.それを覗き込むデュフォーには,その正体がわからなくて…怖い.手を触れてもそれは未知のままで,幼い手を焼くのです.
そして,怯えた獲物をさらに追い込む清麿渾身の魂の説得! 2人の心の中には,これまで出会って心や夢を託されてきた,大勢の魔物たちと人々の心がある.沢山の思いを背負ってここに立ち希望と勇気のもとに戦っているから,何度だって立ち上がることができる! …デュフォーには理解できない,これまで積み上げてきた2人の思い出.それは未だひとりぼっちのデュフォーには予想もつかない量の,他者の思い出と精神の断片です.
どれほど強い魔物でも,この世界ではパートナーの心から力を引き出さねば術は使えない.絶対的な強さを持つゼオンを攻略するには,ここでパートナーの心を崩すしかありません.デュフォーの動揺に対し清麿はさらに言葉をぶつけます.デュフォーは折角ゼオンと出会ったのに何も変わらず,清麿はガッシュに出会うことで別な新しい世界を見ることができた.絶対有利のはずのデュフォーに「可哀想」という評価を与えることで,デュフォー自身に彼が哀れな存在であることを強く強く自覚させます.…デュフォーが好奇心で覗いた鏡の底に見つけたのは,未だひとりぼっちのままの,哀れな自分の姿.
清麿に才能があるとすれば,それは決して頭脳の明晰さではなく(苦笑)実際はあの義理堅さやつきあいの良さや正義感ではないかと思います.世界に対し「異常」ではじき出された清麿をもう一度引き込んでくれたのがガッシュ.清麿はそのときの恩に報いるために,時には敵味方の激しいボケにつきあって根気強くツッコみつつも,無謀な戦いの先頭を共に走り,命を賭けて誰よりも弱い魔物の子を護り育ててきました.清麿にここまでさせるほど,ガッシュの見せてくれた世界は素晴らしかった.友達のいる世界は暖かく輝いていて,決して失いたくないほどに愛しいものだった….
かくして清麿最強の武器にやられたデュフォーの動揺は止まらない.言葉の真贋を確かめるべく覗いた心の中には,人前に出た赤ん坊が怯えて泣き出すくらいの大量の人々と魔物で一杯.空っぽのデュフォーには,これだけの重荷を心に抱えてなおも立つ2人の心がわからないし,その重荷を燃料にして闘志を燃やす原理だってわからない.伸ばした指先に触れたのは,持っていない可哀想な者の心を焦がす炎! この状況で敵の弱い部分に精神的な大ダメージを与えた清麿は,実に彼らしい活躍ぶりです.
しかしゼオンも唯一ともいえる弱点を放ってはおきません.すかさず崩されたデュフォーのフォローに入り,不可思議な鏡の中の炎を消しにかかります.2人の力の源である仲間たちとの記憶を,ゼオンの持つ能力を使って消す! …実際にガッシュの記憶も以前妖精の森で消されていて,それゆえに様々な場面で迷走してきたのは皆様もご存知のとおり.ガッシュは魔界の記憶を失って人間界に来て,人間界の記憶を失って魔界に帰るというのがゼオンの考える根性曲がりのシンメトリー.そんな無体なことをされるわけにはいかないけれど,いくら精神面で圧倒しても肉体的にはガッシュも清麿も圧倒的に弱いまま.ゼオンは倒したガッシュの頭に己の手をかざし,大切なものを壊そうとして,そして….
一度全てを失ったガッシュが清麿とともに作り上げた,何より大切なもの.決して失えない輝く思い出は,我々がこれまで見てきた物語そのもの.2人が沢山の人々とともに作り上げた,この先も決して忘れたくない笑いや涙.それを無慈悲に消そうとするゼオンは許せない.絶対に…「そんなこと…させるものかー!」

大切なものを守ろうとする心に応えて起きる奇跡は,今日も彼らを,そして我らを裏切らない! 守りたい負けられないガッシュの体は金色に輝き,今まで見せたことのない力でゼオンを掴む! あの懐かしい「カサブタ」の流れる中で,心から湧き出す金色の力はガッシュと清麿の体を癒し,ゼオンに比肩する力をガッシュに与える! まさに絵に描いたような反則まがいの大逆転劇.キッズ向けで主役でラストバトルだからこそかろうじて許されるレベルの凄いパワーアップ! …ここまで散々嬲られてきたからこそ,金色のガッシュの大活躍には爽快感があります.ついさっき心を崩したばかりのデュフォーとさすがにうろたえるゼオンに対し,清麿とガッシュはもう揺るがない.
「信じろ,俺たちは奴らを倒し,そして,ファウードを止める!」
これまで2人で走ってきた道の長さが,これまで2人を信じてきた人々の数が,全て心の力の源となり,そしてパートナーの強い心の力は深く結ばれた信頼の絆を伝い,魔物の子の術の力を飛躍的に引き上げます! 本当に重要なのは心.これだけの心を集めたことこそ,2人の類稀なる才能そのもの! 次回,白銀と黄金の大激突からファウード編の終了へ…最終回に続きます.

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金色のガッシュベル#148

「持たざる者の激しい憎悪の巻」

リオウを倒しファウードの主となったゼオン.ガッシュを敵視する彼は仲間たちからガッシュと清麿だけを切り離し,因縁を語るのと同時に痛めつける.ゼオンとデュフォーは強大な力を使ってこの世界を壊すことを楽しみにしていて,いくら彼らからこの世界を守ろうとしても今のガッシュたちでは相手にならない.ガッシュたちがこのファウードに導かれたことすらゼオンの差し金.どうしても欲しかったものをガッシュに取られたと恨み怒るゼオンは,その鬱憤を晴らすかのようにガッシュをいたぶるのだった.

3年の長い旅の終わりが間近に近づき,いよいよ始まりの因縁が明かされていく「ガッシュ」.魔界の王となるために人間界に送られた魔物の子たちの一人としてこの世界にやってきたガッシュですが,人間界への到着後に何者かの襲撃を受け,今はすっかり魔界での記憶を失っています.あのキャンチョメにすらあいつになら勝てると思われるほどに弱かった上に,戦う相手の情報も皆無という状況でここまでなんとかやってこれたのは,パートナーである清麿がそのあたりを全部肩代わりしてくれたからでしょう.
人間界に送られた直後は,イギリスの妖精の森で一人怯えて暮らしていたガッシュ.そこに来たガッシュと同じ顔をした者がガッシュの記憶を奪っていったところからはじまるのが現在.再び訪れたイギリスでガッシュがその記憶の断片を取り戻したときにガッシュの体が金色に輝き,そして手に入れた第4の術が…バオウ・ザケルガ.この作品の幹とも言える重要な設定の真実の一端がついに明らかになります.

ゼオンが主となったことにより,ファウードは加速し残り時間はあと50分…2話分に短縮.ここに来てラスボスのレベルがとんでもなく上がってしまった上に,ガッシュとただならぬ因縁があるようで大変おっかない.これに対するはずのガッシュと愉快な仲間たちは一旦ゼオンたちのいる部屋と切り離されます.ゼオンとデュフォーのいるメインコントロールルームの頑丈な扉は閉じられ,術では傷一つつかない…だからお前ら,扉がダメなら脇の壁とか天井とかもっと想像力を(苦笑)! 折角凄い風景に集中したくてもガッシュが扉の向こうから叩いて叫ぶのは結構邪魔で,ゼオンはガッシュと清麿だけを部屋の中へと招きます.
ガッシュとよく似た顔の銀色のゼオン.彼こそがあの森でガッシュの記憶を消した魔物! 強い力を持つだけでなくその力を弱い者いじめに使うことを楽しむゼオンには,ファウードを止めるつもりは毛頭ない.彼はガッシュの「忌々しいことに…そいつの兄弟さ」.色違いでそっくりな外見は2人が双子の兄弟だったから.しかもゼオンは,握り締めた拳から血が滲むほど,ガッシュに対する強い怒りと恨みの気持ちを隠さない.
ここでも清麿がファウードを止めろと魂の説得を発動するものの,対リオウ戦と同じく確固たる信念を持つ愉快犯には説得は通じない.…ここまでやらかしておいてファウードを止めるヤツの方がどうかしてる(苦笑).そして,世界を壊そうとしているゼオンに協力するデュフォーもまた,この世界の行く末なんかはどうでもいいご様子.どうやら超能力者であるらしいデュフォーが清麿の心の中に伝えた過去の光景は,彼をそうさせるに相応しい壮絶なものでありました.
絶壁の上に研究所で非人道的な実験を施され生きてきたデュフォー.彼はゼオンに出会うまで人間扱いされることなく,特殊な実験材料として扱われていたようです.能力的にも待遇的にも,彼は清麿と同じような人間ではなくむしろ魔物に近い存在で,実際に彼を人間扱いしたのも魔物のゼオンだけだった.…大変に血生臭そうなデュフォーの過去にも驚きましたが,ここで究極のパートナーとして超能力者を持ってきたところもなかなか豪快です.今までも天才とか特にカンの鋭いパートナーはいたわけですが,ここまで人間離れしたパートナーを出して来るとは思っていませんでした.
その過去は余りにも過酷で,人間に敵意を抱くのも無理ないけれど…それでも清麿は怒ります.自分がいくら辛かったからって,その鬱憤を全世界にぶつけていいわけがない.自分たちはこの世界を守るためにここまで来たんだから,ファウードを止めるまでは引き下がるわけにはいかない!と盛り上がるところでゼオンがもう1つネタばらし.ここにガッシュたちを導いたのはゼオン.ファウードの存在を告げに来た謎の使者はゼオンの髪からつくられたかかしで,ガッシュたちは皆ファウード解放の鍵&内部撹乱のためにゼオンに利用されていたことが判明! この現実に怒りが限度を越え,例の悪鬼の形相で使者を引っつかんでがくがくやる清麿が…(笑).気持ちはわかるんだけど,ギャグをやっている場合ではないので,もうちょっと冷静になってください(苦笑).
ファウードを止める気がないのはリオウもゼオンも同じ.ラスボスの首が変わったとしても,ガッシュはファウードを止めるためにゼオンを倒さねばなりません.対するゼオンはガッシュをいたぶる気で満々.彼がガッシュを憎むのは,ガッシュがバオウ・ザケルガを授かったから.要するに欲しかったものを取られて怒る大人気ないゼオンは鬱憤晴らしにガッシュを嬲ります.
ラウザルク強化されたガッシュでもゼオンの洗練された体さばきには遥かに及ばず,前回のリオウのように一方的にやられるばかり….何もかもゼオンに劣るガッシュが唯一持つ良いものがバオウという術.発動条件や威力など,通常の術とは大幅に異なるバオウには,ゼオンをここまで嫉妬に狂わせるほどの特別な何かがあるのは間違いないようです.

ガッシュたちがゼオンに苦しめられていたその頃.ガッシュたちと切り離されてしまった仲間たちはなんとか扉を突破したいと悪戦苦闘.モニターにはガッシュたちがやられている様子がライブ中継されているので,そりゃもう仲間としては一刻も早く会場に駆けつけたい.遅れていた仲間たちも追いついて合流するものの,あのテッドの術でも扉は突破できずに気ばかりが急いて….
ここで突然リーヤがティオをつつき,お前ガッシュが好きかと乙女なティオには答えにくいことを尋ねます.とはいえこの「好き」は色恋よりは尊敬や期待に近い「好き」.リーヤはガッシュが好きであり,ガッシュを助けることが自分たちの義務なのだと考える.この思想はウォンレイや弱気なモモンが見せた,主役のために礎となる思想とよく似ています.…自分たちが見込んだ奴の力となるために,扉に対しありったけの攻撃呪文を叩き込むリーヤ,ウマゴン,カルディオ,テッド.今ここで扉が開かなければ全てが終わってしまうのだと,理解しているがゆえの贅沢な特攻です.
扉を突破しようとする仲間たちの奮闘も知らず,ガッシュの体力と清麿の心の力はゼオンによって急激に削られていきます.双子の兄弟でありながらも,全員にあいつなら倒せると思われるほどの落ちこぼれであったガッシュと,特別なエリートであったゼオンではあまりにも立場が違いすぎるのに,ゼオンはバオウに異様にこだわります.あれだけ強ければバオウなんかなくたって良さそうなものなのに.こうして存分に弱者をいじめたゼオンはザケルを放ちます.最も弱い術であるはずのザケルですが,ゼオンの術は全てまともに喰らえばゲームオーバーの強力なもの.これがガッシュの間近に迫り….
全てが終わる直前に乱入してガッシュを守る仲間たち! ガッシュたちを救うティオの盾.こんなところにまで来てくれる皆の友情が実にうれしい! ただし,あのゼオン相手では頼もしい仲間たちが何人加わっても恐らく力の差は埋められないでしょう.いくらやる気が十分でも,それと実際の成果は悲しいほど一致しないもの.ゼオンのザケルガはあのギガ・ラ・セウシルを破って仲間たちを地に伏させるほどの凄まじい威力!

残り時間は35分.ゼオンの私怨に仲間たちや世界を巻き込みたくないガッシュは,お前の狙いが私なら私を倒せばいい,とその身を差し出す覚悟.しかし,ガッシュの言葉に従うなんて絶対に嫌なゼオンがその提案を飲むわけがない.かわりにゼオンの術に身を捧げたのは…リーヤ.自分が見込んだガッシュのために盾となり,術1つを引き受けた上で魔界へと退場していきます.これは単にガッシュを救うだけではなく,ガッシュがゼオンを倒す以外に世界を救う道はないのだとこの場の全員に理解させ追い詰めるための行動です.
今はもうガッシュにしかゼオンを倒す可能性はない.だからガッシュと清麿をなんとかして生き残らせることが仲間たちの使命! ここで見せ場を得るのが防御のスペシャリストであるティオ.扉を突破する段階で温存していた心の力は,私が守るという心とともにゼオンの術で今にもリタイアしそうなガッシュたちを救います! …出てはいたものの読めなかった呪文によって宙に輝く女神の環.この術には,現在の圧倒的劣勢をひっくり返すだけの力はあるのだろうか? もはや効果のわからぬ術にすらすがらねばならないこの状況は,果たしてあと2話と仲間たちの力だけでなんとかできるものなんでしょうか….次回に続きます.

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金色のガッシュベル#147

「強く賢く残酷な影の巻」

残り時間はあと2時間.日本に近づくファウードの中で,ついにガッシュたちはメインコントロールルームに到達した.リオウにはファウードを止める気などなく,ガッシュたちもこの戦いから逃げる気はない.リオウには回復装置があり,ガッシュたちには思いをともにする仲間たちがいる.けれど,ガッシュたちが持てる力を出し切ったとしても,パートナーを自分の外に出すことによって術の精度を上げたリオウにはかなわない.恐らくはあと最大呪文1発で全滅という事態にガッシュたちを追い詰め,勝利を確信したリオウ.しかし彼の前に姿を現したのは,これまで雌伏していた白銀の脅威だった.

残りわずかな時間を爆走した末に目的地に到達したのもつかの間,急展開を迎える「ガッシュ」.これまでは伏線を解消するだけで一杯一杯で内容盛り沢山の割に散漫な印象を与える回も多かったわけですが,さすがは最終目的地,ここで物語の温度が一気に上がります! ついに表舞台に躍り出たあの2人はガッシュと清磨の対極に位置する影.しかも今回は実に影らしく,残り少ない時間をたっぷり使って暗く陰惨なバトルを視聴者にお見舞いします.彼らこそこれまで積み上げた3年の重み.これを越えなければ本作の完結はありえないのです.

キャラであり同時に舞台であり状況でもあるファウードがあと2時間で日本に到着するという状況で,ついにガッシュたちはコントロールルームに到着.代償としてアースが魔界に戻ってしまったのは戦力的に相当痛かったものの,まだ6組以上も残っていればさすがのリオウだってなんとかなったはずなんですが…まさかここで敵がとんでもないことになるなんて,ガッシュに後を託したアースも予測していなかったはず.もちろんリオウだってまさか盟友ザルチムが今まさにあんなことになっているとは思っていなかったはずです.
多大な犠牲と貴重な時間を費やして,ついにリオウの前に到達したガッシュと清麿とその他大勢の仲間たち.諸悪の根源を目前にすれば否応無しにテンションは上がり…普段から冷静な判断ができない上に疲れている連中はいつもと同じに考えなしの行動に出ます.戦いの勝利条件は「ファウードを止めること」なわけだから,数に勝るガッシュ側は陽動しながら清磨をファウードのコントローラーに送り届けることを最優先にするべきなのに,その送り届けられるべき当人が先頭で戦闘しちゃってるのがなぁ…(苦笑).
御挨拶がわりにザケルガで反撃し,自身最大の武器である魂の言葉をリオウに向かってぶつける清磨.「ファウードを止めろ」と凄い気合で何度も恫喝するわけですが,さすがにリオウは止めたいなら勝手に止めろと耐えました.これまで多くの魔物をひるませ転がしてきた清磨の気迫も今回ばかりは十分な効果もなく刺々しい交渉はここに決裂.決して相容れない2つの力は,正面から激突するしかありません!
そしてはじまるギリギリの戦い.襲い来るリオウの術はザグルゼム連打にザケルガで壊し,仲間たちの助力によって攻撃を遅くし術を集中させないようにして戦う一同.いくらリオウが虫けら扱いしても数の力やチームワークの力は無視できないし,何よりも向かってくる全員に異様に気合の篭った目で睨まれたなら,さすがのリオウだって一人ではあまりにも辛い.てなわけで己の中からついにパートナーを外に出したリオウ.一応タイミングがつかめないからとか言ってますが,本当はあの視線の集中をどうにか逸らせたかったからじゃないかな(苦笑).
本を敵の前にさらすという危険を代償にして術の精度と威力を大幅に引き上げるリオウ.パートナーが周囲の状況を把握した上で術を放てば,たとえ2枚の盾があってもほとんど役には立ちません.折角の数の差すらもあっという間に埋められて,最大呪文1発で全滅という実に豪快な大ピンチ! …だからお前らファウードを止めることを優先しろと…(苦笑).
しかしリオウはまだ油断している.今ここにいる敵はガッシュたちだけであると信じ込んでいたがゆえに次の展開は予測できなかった.ザルチムにアリシエを倒す許可を取ろうとするリオウが聞いたのは,彼はとっくに魔界に帰ったと告げる酷薄な声.その声の持ち主は…紫電の眼光,白銀の髪,王族に生まれし雷,雷帝ゼオン!

これまでずっと伏せられていた最強の伏兵,ガッシュと同じ顔のゼオンとそのパートナーであるデュフォー.いきなりザルチム倒して涼しい顔で出てくるような連中が弱いわけがなく,万が一リオウとゼオンが組んだらこの状況は間違いなく詰み! …しかし,2人がどのような行動を取るのかを圧倒的な弱者のガッシュたちはただ見守るしかできません.叶うのならばダブルノックダウン,それが無理なら片方が術を出し切った上での勝利.これ以外の結果が出てしまうと次の展開でガッシュたちの命が危うくなります.
王族の中でも最も強い雷の力を受け継ぎ,英才教育を受け騎士以上の力を持つという凄い魔物の子,ゼオン.王を巡る戦いの優勝候補筆頭に違いない彼は,強さとともに冷静な頭脳をも持ち合わせています.彼はリオウに悟られないように姿を隠し,油断したリオウがファウードを復活させたあとで強奪するつもりだったのです.ガッシュと同じ雷術でもゼオンの術は威力が格段に上.さらに基礎的な身体能力も非常に高いから大技すらも片手で打ち砕いてしまう.その上パートナーのデュフォーも術を継続的に発動させる才能と容量を持ちあわせているから,あのリオウですらたった1撃でグロッキーに!
いくら必死で減らず口を叩いたとしても,ゼオンの優位は残酷なほどに明らか.軽やかに洗練され強すぎるゼオンに杖を折られて足蹴にされて,屈辱の底に沈むリオウ.バカの下につくのは自分のプライドが許さないから隠れていたのだと,楽しげなゼオンの言葉はリオウの自尊心を切り刻む.術の発動を感知すれば蹴りと一緒に距離を取り,その行動には一切の隙も無駄もないゼオン.リオウもかなりの悪ですがゼオンはその悪以上の邪悪.こんなのがファウードの主人になっても,世界はやっぱり破滅です!
ガッシュたちをただのザケルでなぎ倒して牽制し,邪魔なリオウを倒すことに専念するゼオン.いくらリオウが意地を張っても,ただの意地ではゼオンに追いつくことすらできない.無音で頭上に移動しザケルガを直撃させ.もっと必死になれと挑発する絶対強者.彼がガッシュを倒すことを後回しにしているのは,幸運なのか,あるいはとんでもない不運なのか….
このままでは勝ち目がないと判断したリオウは,肉体強化のかわりに見境なく攻撃してしまう禁呪を発動.けれどこの手の無差別攻撃が賢い強敵に通用するはずがありません.いくら巨大でもいくら吼えても,考えなしの単純攻撃では軽くいなされてしまうのがオチ.ここまで力量差のある戦いというのは,気力で補える程度の力の差しかつけてこなかった本作としては大変に珍しい.ゼオンは無傷のまま,リオウは息も絶え絶え.悪いながらもリオウが必死で積み上げてきた全ての努力が,ゼオンの面白半分の攻撃で打ち砕かれてしまうのです.
魔界の王となるために,一族の代表としてファウードを託されて人間界に来たリオウ.ルール違反も勝ちたいがため.呪いだって命を削る苦しみに耐えてかけてきたのだ…って,そのおかげでガッシュたちが多大な迷惑を被ったことは決して忘れてはなりません.リオウはルール違反しながらもここまで必死に頑張ったわけですが,その頑張りもゼオンの冷酷な攻撃によってあっさり砕かれる.いくら願っても叫んでも,夢は叶わない….
術の衝撃の余波によって気絶し再び目覚めた瞬間から,本作の最後の幕が開きます.ゼオンの術によってずたずたになった舞台で清磨が見たのは,倒れるリオウのパートナー,燃え尽きる本,そして…額にファウードの鍵を装着し,魔導巨兵の主となったゼオン! さっきまでのラスボスよりも遥かに格上の奴が新ラスボスに就任.しかもゼオンを倒すには,ガッシュたちの力はあまりにもわずか.

こうして駆け足ながらもオープニングで示されていたものが全て舞台の上に揃い,あとはこれをどう料理し畳んでいくかだけが問われる状況に! 限りある時間と原作でよくぞここまで頑張ってやっつけてきたなと素直に思います.モチノキ町の連中が未だ迷走…というか迷泳していたり,現在回復中で遅れてやってくる連中がいたりもするんですが,海溝を抜けたファウードの高速移動開始によってタイムリミットは泣いても笑ってもあと50分! 残されたわずかな時間とわずかな力で,新たなラスボスに勝つための道は果たして残っているのか.危機の淵をなおも進む次回に続きます.

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金色のガッシュベル#146

「今,本当に必要な行動の巻」

ファウードの侵攻は未だ続くが,ついにアースとエリーのタッグがメインコントロールルームの直前の部屋に到達した.2人を待ち受けていたのはファウードの支配者・リオウ.ファウードを封印した一族であるアースはファウードを守る一族であったリオウの誘いを断り,呪いすらもパートナーとともに越えて今ここに敵として立ち向かう.
パートナーの姿なしに術を放つリオウと,ここまで仲間の助力で力を温存してきたアースの戦い.圧倒的な攻撃力と冷静なエリーの判断のあるアースの戦いぶりは凄まじいが,ファウードの力は底無しの回復力をリオウに与える.リオウを殺すか彼の本を燃やすか,アースが勝つための道はごく限られている.

長い物語の終盤で必死に畳みまくっている「ガッシュ」.下手するとファウード編だけで収まらなさそうな分量の敵と味方と伏線を一気にやっつけなければならないわけだからかなりの無茶を重ねなければならないのは仕方のないこと.てなわけで今回もかなり一杯一杯な展開が続くわけですが,作画は総じて良く,特にアース対リオウのバトルが実に本作らしい豪快な技の撃ち合いになっているのがうれしい.原理不明の凄い技がどっかんどっかん炸裂する,これもまた本作の大切な魅力の1つだと思うのです.

ファウードが未だ元気に泳いているのと対照的に,それを止めるべく体内を走るガッシュ組の消耗は次第に激しくなっていきます.特にウォンレイの穴を埋めるべく清磨チームに追いついてくれたテッドときたら,いきなりチェリッシュとファウードの心臓のために眠り込むほど消耗してしまう始末.…確かに念願の再会で大切な人で結果的には道が開けたわけだけど,ここで個人的な感情のために時間を使うってのは(苦笑).
しかもバトル終了後のテッドは置き去りにしなきゃならないほどの消耗ぶり.一刻を争うんだからジードが背負ってでも一緒に移動してもらわないと困るんだけど,もしかして本当に消耗しきっているのはジードの方か? 最上級術の発動によるパートナーの消耗は相当大きいはずだしな.
だからといってここにテッドを置いていくのは,しかもティオたちと一緒に置いていくのは絶対間違っている.ここはジードにサイフォジオをかけてでも移動を続け,チームの人数と戦力を出来る限り維持するのが正しいはず.ファウードという場自体を敵がコントロールできる以上,一度チームを分断されたら再会できない可能性が高い.…それでもテッドとティオなどを置き去りにする判断を下してしまうのは,疲れてるんだね,皆(苦笑).
さて,もう一方のアースチームが今回の主役.こっちのチームもいろいろあって(笑)分断されてしまっています.今もフォルゴレたちが追ってきてくれてはいますが,先走るアースたちが仲間の到着を待たずに次のステージに踏み込んでしまったのがまずかった.コントロールルーム直前の部屋に,ついにリオウが登場!
ここで明らかとなる興味深い2人の過去.アースは登場当初ガッシュのバオウの力を消すべく戦いを挑んで来たわけですが,なんで一介の魔物の子がそんなことをやってたのかと思ったら,ファウードに封印を施した一族の一人で,職務を全うしようとしていたわけですね.そしてリオウは封印を守る一族であったものの,一族が腐って封印された力を私利私欲のために使おうとしたってことか.千年前のどこぞの流派と似ているな.
ファウードの力を借りて王になろうとするリオウは,同じようにファウードの力について知っているアースを腐った道に誘おうとしたわけですがあっさりふられて,そのつれない態度がリオウのプライドをいたく傷つけてしまいました.そして二人の関係に巻き込まれたエリーが呪いを受けて苦しんだのは皆様ご承知の通り.アースとエリーは呪いに苦しみながらも世界を守るために意気投合してついにここに来たわけです.…アースはリオウが良からぬ考えを抱いていると知った時点で彼を殲滅するべきだったんでしょうが,あの段階ではまだパートナーがいなかったんだろうなぁ.
過去が必死に封印した危険な力に引かれるのは人間も魔物も同じであるらしく,ファウードを誰かが使うために守られていた力と曲解するリオウは,ファウードは使ってはならない力だと正しい解釈で動くアースを倒しにかかります.たった1組でこの部屋に飛び込んできた間抜けたちを後ろから追うものたちから分断した上で始まる決闘! これは2人の魔物の行動原理の是非をかけた戦いです.

実に真面目なアース対リオウが上の方で展開しているその下の方では,キース対バリーというマニア垂涎の,つまり本筋にはまったく関係ない熱戦が繰り広げられておりました.あのバリーの宿命のライバルを気取るキースの過去の実績は!…いも天大食いバトルかよ(笑).確かに一種の勝負ではありますが白田さんの腕っ節が強いという話は聞いたことがありません.それでも畑違いの勝負に必死で頑張ったバリーは実に偉いので,たとえキースに負けたとしても決して恥じることはない.とはいえ大食いの勝利を延々と自慢されたら,腹は立つよなぁ.
まともな術勝負ではいくら持久力のあるキースでもバリーの憎しみ溢れる防御と攻撃にはかなわない.ついでにバリーには笑いが一切通じないので,いくらいも天で逃げようとしても許してくれるわけがない(笑).バリー怒りのギガノゾニスに吹っ飛ばされて,キースたちのおふざけもここで終幕.エンドロールがコントロールルームに指示されてはいますが…本は燃えてないので大変に不安です(苦笑).
舞台は真面目な方に戻ります.未だ本の使い手の姿なしに術を放つことのできるリオウと,ここまで体力を出来る限り温存してきたので呪文をフルに使えるアースの決闘.アースの剣には相手の力を吸い取る特殊効果があるために,並の魔物なら初撃を耐え切れない上に耐えても持久戦に持ち込まれた段階で確実に負けるわけです.実際にリオウも力に押されて一気に劣勢に追い込まれるわけですが,これはあくまでファウードの力を見せ付けるために喰らってやったんだと言い張るあたりが憎々しい.ファウードで無尽蔵に力を補給できるリオウ相手では,アースの剣の追加能力は意味を失ってしまいます.
持久戦に持ち込んでしまえば自分たちが不利になるばかりと悟ったエリーは即座に戦術を速攻に切り替え.リオウに回復する隙を与えずに攻め切れば勝てると踏んだわけですが,実際のリオウの回復役が奥の部屋にいて止まらないのが悩ましい.いくら大技の打ち合いで圧倒してもリオウは無尽蔵のエネルギータンクを背負って戦っているわけで,このままでは技を出すアースの消耗ばかりが増していくばかり.
回復装置の位置こそ決まっているようですが,エネルギー充填できているリオウと消耗した上に肉体的には弱いパートナーを連れているアースではどうしても差がありすぎる.心の力に限界のあるアース側は大技の連続も次第に耐え切れなくなり,折角間近まで接近してもエリーが限界に達して術が出ない! …ああ,もうリオウなんかと悠長に遊んでいるからこんなことに! 敵が随時回復可能とわかった時点で勝負は捨てて,ファウードを止める事に全力を尽くせばここまで何も出来ずに消耗するなんてことはありえなかったはずなんだけど…やっぱし疲れてるのかなぁ….
自分のパートナーの心の力はついに尽き,通路に足止めされている仲間たちもどんどんファウードの防御機構のために消耗していく.通路の連中も呪文で扉や壁をぶっ壊せばいいのに,下手にパネルがあるから時間を食ってしまうんだよなぁ(苦笑).とはいえアースの力が尽きかけている今となってはファウードを止められるのはガッシュの持つバオウと仲間たちのみ…らしいので,ならばとアースは今必要なことのために決意します.やっぱしバオウはただ強い術ってわけじゃないようですね.

アースが決意したのはこれから来る仲間達のために道を開くこと.エリーすら置き去りに敵に背を向けて,それでも扉を開くために力を尽くします.彼の最後の行動は賢明で,2つの通路を進んできた仲間たちはついにアースたちが戦う部屋で合流するものの,その目前ではアースがリオウの大技を喰らって消えていきます.…アースはガッシュに後を託し,最後の最後で役目を果たした上で魔界へと帰還.こうしてまた,王を巡る闘いの終わりが近づきます.
ついに最後のステージに達したはずのガッシュたち.消耗した6組対回復装置つきの1体のバトルはこれからどのように展開するのか.ガッシュたちは折角無傷でここまで来たんだから優先順位を間違えずに,今本当に必要な行動であるファウードを止める方に頑張って欲しいんだけど…疲れてるから無理かもなぁ(苦笑).予告ではここまで雌伏してきたあいつらがついに表舞台に出てくる様子.リオウ対ガッシュたちという現在の構図はどう変化するのか.次回に続きます.

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金色のガッシュベル#145

「ここに戻った愛しい鎖の巻」

ファウードの日本上陸まであと3時間.体内に再突入し脳のコントロールルームを目指すガッシュたちの前に立ち塞がったのは,テッドが探し続けていたチェリッシュだった.どうしてももう一度会いたかったテッドに対し,チェリッシュは親の敵であるテッドに容赦なく攻撃呪文を放つ.それでもテッドはこの戦いをたった一人で引き受けるのだ.それは魔界時代に受けた大きな恩のために.そして大切な彼女にどうしても伝えたいことがあるために.

原作を完全に置き去りにしてまったく別の新しいゴールへと走っていく「ガッシュ」.長らく続いたこの作品.ファンとしてのひいき目を抜きにすれば,あまりに長く続きすぎたことによって新規視聴者を引き込むには話が複雑になりすぎ,キャラそのものもブームを過ぎてすっかり消費され尽くしてしまった感があるので,看板時間帯の1つにいつまでも置いておくわけにはいかないと判断されたんでしょうね.
…ただし,アニメが勝手に原作と別の流れで終わるってんなら,ラストは戦いは続くでも王が決定するでも構わないから,ぜひともテーマはしっかり語ってから終わっていただきたい.新番が待っているので制作側が忙しいのは重々承知してますが,まだ見ている子どもたちの心に何かを残すことだけは疎かにしないでくれと強く思います.この際大人はもうどうでもいい.あと一息,頑張れ!

残るはあと3時間,6話分.ファウードによる崩壊を止めるために2手に分かれて進むガッシュたちにも消耗が見えはじめています.特に一時的に敵に回ったとはいえここまで一緒にやってきたウォンレイを失ったのは大きい.で,その穴を埋めるべく加入したのがテッド.スピードと攻撃に優れた格闘型の上に根性もある彼が加わってくれたのはありがたいことなんですが,そんな彼の弱点のチェリッシュが直後に敵として出現してしまったのがなんだか切ない.伏線消化までに数話置くことすらも許されないのか….
紅い結晶の立ち並ぶステージで待ち受けるチェリッシュは,元々戦いに向いてない上にリオウには最初から捨て駒扱いされているあたりが哀れ.妙齢の女性魔物で見た目もいい奴ってレアなのに….これまで捜し続けた彼女にようやく再会できたテッドはうれしいものの,探されていた方のチェリッシュの態度は大変に冷たく,術で拒否の情を表現されてしまうだなんて深刻.しかもこんなに頑張ってここまで来たのにいきなりはっきり親の敵認定されてます.
もちろんテッドはくじけない.どれほどの仕打ちを受けようとも,自分の問題だからと一人で解決するつもりです.…現在一刻を争う状況なんだけどなぁ.他人様の痴話喧嘩に世界の危機を巻き込むのはどうかと思うぞ(苦笑),冷たい目のチェリッシュの前に進み出て,自分は敵ではないと頑張るテッド.しかしチェリッシュにはどうしたって忘れられない,辛い魔界の思い出がありました.
過去の魔界でチェリッシュとその家族は傷ついたテッドと助け,逆にテッドはチェリッシュたちの気持ちを踏みにじったというのがチェリッシュの認識.当然チェリッシュは恨みを晴らすつもりで一杯…のはずなんだけど,本心から恨んでいるにしては攻めが甘すぎる.ここまで手ぬるい攻撃に留まっているのは散々いたぶってから倒す…わけではなくて,テッドに一切悪びれたり動揺する様子が見えないからでしょうね.心の力はほとんど残ってないけれど,この事態の落し前をつけるのは当事者であるテッドが一番ふさわしい.ゆえに,精一杯の意地を張ってみせるのです.
テッドの事情について比較的理解しているガッシュと清麿はチェリッシュを言葉で落とそうとするも,彼女の意志は第3者の説得でなんとかなるものではない.でも,その話を聞かない理由が他の魔物を倒してきたからってのがどうにも複雑.戦いが本当に嫌ならば,即刻本を燃やしてもらって魔界に帰ればよかったんじゃないのか.ここにいるってことは王を目指す気持ちが少しはあるってことじゃないのかチェリッシュ(苦笑).…ここで彼女の心に言葉をぶつけられるのはテッドのみ.大事な相棒の見せ場なのでとジードは他の者が舞台に上がることを拒否.こうしてチェリッシュの攻撃で意識を失ったりしながらのテッド魂の説得がスタート.

物語のはじまりは過去の魔界から.…魔界ってのは相当ファンタジーな世界のはずなんですが,広い世界のどこかには人間が住む世界と割と良く似た地域もある様子.そんな一角にあったチェリッシュの家から,2人の物語がはじまります.薄汚い街のチンピラであったテッドは味方のいない世界で荒んだ暮らしを送り,ついには喧嘩でぼこぼこにされて逃げて倒れ,偶然チェリッシュの家に転がり込むことになりました.
背は小さいものの明らかにガラ悪い少年に転がり込まれたチェリッシュ宅.しかし温厚でまともな倫理観を持ち合わせていたこの一家は,テッドを厄介者扱いせずに逆にかいがいしく面倒を見てくれました.いくら怖そうなふりをしてもふらふらのテッドがチェリッシュに勝てるわけもなく,むしろ姉のような態度ですっかり諌められてしまいます.これまで一人で歩むことに慣れていた彼に,優しさという重い首輪をつけてしまったのがチェリッシュ家.誇り高い野良犬はあっという間に餌付けされ,笑顔や喜びや落ち着きや満足の鎖にすっかり繋がれ,幸せになってしまいました.
けれどそんな幸せも長くは続かない.ある日,テッドを陥れたい見覚えのあるシルエットの誰かがテッドたちの留守にチェリッシュ家を襲撃.一足先に駆けつけたテッドと倒れた親を見て,チェリッシュはテッドがやったのだとすっかり誤解してしまいます.…これは完全な誤解ってわけでもないんだ.仏心を出してテッドをこの家で飼うことがなければ,恐らくこんな襲撃を受けることもなかったはず.本当の犯人は別にいるけれど,テッドの存在が事件の要因の1つであったことは疑いない.
そして今,両親の敵に氷の鉄槌を下そうとするチェリッシュと,それを甘んじて受けようとするテッド.犬は恩を忘れない.それが本当に辛いときに受けた恩ならなおさら.たとえ最大呪文でぶっ飛ばされようとも飼い主がそれで満足してくれるなら元飼い犬は幸せで…もちろん,飼い主にはそんな虐待はできない.チェリッシュの放った巨大な術はテッドの頭上ではじけ,飼い主はぼろぼろになって自分を追ってきた飼い犬を認めるしかなくなるのです.
魔界でまだ2人一緒にいたあの頃に,テッドとチェリッシュは王になることについて語り合ったことがありました.魔界の王はたった一人.王になるということは,他の魔物を全て退け,その魔物たちの大切なものを全て踏みつけにしていくということ.しかしそんな闘いの中でも,テッドはチェリッシュを守ると言いました.彼にとって守るべきはチェリッシュのみ.それは最終的に2人が生き残ったならあえて自ら消滅してみせるくらいの覚悟であり…テッドはその頃から何も変わっていない.こうして忠犬は,ようやく優しいご主人様に再会するのです.

チェリッシュの現ご主人様であるリオウにとってはこれは大変に気に喰わない展開.彼女のリオウに対する忠誠心は皆無なので,テッドとの意志が通じてしまえば即刻寝返るのは世の道理.ゆえにリオウは,事前に備えてあった仕掛けを起動.いきなり崩壊の中から姿を見せたのはなんと心臓のじいさん! …脳髄に心臓が来ちゃっていいのか(苦笑)? 前に会ったときは結構理性的だったじいさんはすっかり理性を吹っ飛ばしており,チェリッシュの本もさくっと燃やしてしまいます.折角ご主人を見つけ出したと思ったら直後にご主人がやられて帰還というのはやっぱし気の毒.でも,どうぜ全員帰る先は一緒なんだから,積もる話はもう少し先に,たっぷり2人でやれるんじゃないかと思いますよ.
わずかな邂逅の末に1人の魔物が姿を消し,こうして王を巡る戦いの終わりが近づいてきます.いきなりご主人を消された忠犬は大変に怒り,心臓のじいさんに怒りの一撃を叩き込む! ジードの本に浮かび上がった新呪文は,テッドの怒りによって解放された新たな力.マキシマムナグルはたったの1撃.しかしその1撃は,熱く激しい怒りは心臓を見事ぶっ壊す!
こうして原作とはまったく違った過去と展開によってチェリッシュが退場し,最終局面に進める魔物たちも整理されてきました.ここまで散々引っ張ってきたチェリッシュとテッドの描写が薄っぺらくなってしまったのは悲しいですが,なんせもう時間がないので仕方がないよね.あとはチェリッシュに思いを伝えられて満足なテッドがどのような終わりを迎えるのかを見守るのみ.噛ませ犬とか露払いで魔界送りとかその他大勢でラストを迎えるのはあまりに気の毒なので,何かしらの役割を果すことができるといいなぁと思いつつ,次回に続きます.

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金色のガッシュベル#144

「だからそのチーム分けバランス悪いっての巻」

ファウードが日本に到着するまであと3時間半.巨大な脅威を止めるために二手に分かれて脳を目指すガッシュたち.必死の戦いを潜り抜けて脳髄を登るアースたちの前に現れたのは,ホールをコンサート会場扱いするバカだった.アースを戦わせるわけにはいかず,ウマゴンやカルディオは未だに回復していない.キャンチョメとモモンで敵の相手をせねばならないが,有効な攻撃手段を持たない彼らにできるのは時間稼ぎをすることぐらい.しかしその時間稼ぎすら,空気の読めない奴のおかげでいきなり台無しになるのだった.

困難だらけの最後の道をそれなりにひたすらに走る「ガッシュ」.今回はこの先やる余裕がなさそうなギャグの総決算? キャンチョメとモモンという面白魔物を抱えたアース組が,この状況でやるにはあまりにも恥ずかしい珍妙なバトルを繰り広げます.ビクトリームに代表される強いバカは本作を代表するキャラクターの1つですが,ファウード編でその強いバカを担当するのはいも天でありウンコのほうではないわけです.まともに当たれば間違いなく魔界送りのバカな強敵をどうやっていなし,逸らし,かわしていくか,見事な演出で描かれるギャグ担当必死の抵抗が実に愉快!

ファウードの日本上陸まであと3時間半…7話分.脳髄に踏み込む直前に2つのルートを同時攻略するために清磨がその冴え渡る頭脳で全員を2チームに分けたわけですが,その段階から不安だったのがアース組の魔物の片寄りぶり.馬2頭を1チームに入れるあたりもどうかと思いましたが,それ以上に不安だったのが変則技を得意とするキャンチョメとモモンを同じチームに入れたこと.2人とも攻撃の補助としては最高の魔物だからこそ,それを同チームに2人揃える意義がわからない.まあ,清磨がやったことなので今更驚きはしないけど,それでもやっぱりあのチーム分けは間違ってるというのを言外に強く主張するのが今回です(笑).
次のホールは第2脊髄.アース組も随分高いところまで上がってきましたが,このフロアで待っているのはデタラメの歓喜の歌を絶唱するタスキかけたバカ.なんだあれ,とアースたちは雰囲気ぶち壊しの変態に首を捻るものの,キャンチョメとフォルゴレにとっては恐ろしい再会.ファウードへの侵入直後に半殺しにされた強敵と顔を合わせたわけだからその怖さは誰よりも理解できてるけれど,バカの見た目がバカであるために他の連中に恐ろしさを理解してもらえない.キャンチョメたちだって真剣なんだからえんがちょ扱いとか無視とかしないであげてください.お願いします….
待ち受けるのはニ短調の変態・キース.現状のラスボスであるリオウをホールの音響スタッフ代わりに使い,その中心で低音の響きをコントロールしてもらう朝顔の咲いたバカ.こんな奴の相手は誰だって御免こうむりたいわけですが,それでも進み出ていきなり歌いだすのがキャンチョメ.長期のレギュラーキャラとして,バトルはともかく歌でぽっと出のゲストに負けるわけにいかない!
とはいえ今キースを刺激するのは自殺行為.なんせ今まともに戦えるのはキャンチョメとモモンの色モノコンビのみ.…やっぱし組み分け失敗してるって! 一応キャンチョメにはディマブルクの連携攻撃はあるけれど,モモンと2人合わせてもそれ以外の攻撃手段がないって事実が恐ろしい.彼らに可能な有効な手立ては必死の引き伸ばし策のみなんだから,それを即座に選んだフォルゴレを変態の仲間扱いしないであげて!
なんとか時間を稼ぐべくキースに歓喜の歌をリクエストするフォルゴレ.シリアスキャラのはずが完璧に裏方として巻き込まれているリオウたちが愉快だ….キースをいい気分で歌わせた隙にこっそりホールから逃げ出す策はさすがに見つかってしまったから,トイレに行きたいのだとアースたちだけでも離脱させる.フォルゴレの「トイレもファウードも,時間に間に合わなければ大変なことになるんだぞ!」という必死の一言が泣かせます.普段は清麿というツッコミの下でボケ放題のフォルゴレですが,今ボケしかいないこのチームを何とかできるのはフォルゴレしかいないのです!…ボケツッコミのバランスの面でも,やっぱしこのチーム分け失敗してる….
トイレでごまかされるキースはもちろんバカですが,台の下に入っていたキースのパートナー・ベルンだって立派な変態.さて,時間引き延ばし策の一環として今度はキースの選曲の謎に迫ることになりました.間違ってもそこで「ベートーベンでしたの?」とか言っちゃだめだと思ったらエルさんが見事に口を滑らせる…(苦笑).ホールの真ん中で置かれたちゃぶ台で,キースとベルンとフォルゴレとキャンチョメとエルとモモンといも天が演じるアットホームな茶番劇.
タイトルはたぶんキースとベルンといも天とベートーベン.キースとベルンは日本料理店で出会い,ベートーベンに乗せていも天を揚げるとうまく揚がるということが判明.なんだそりゃ.その美味さに対するリアクションとしてベルンのお花の真っ赤な蕾も見事に花咲く…って,鼻の頭のあれって咲くんだなぁ(笑).藤田先生のも咲くんだろうか.何はともあれ歓喜の歌によって魔物とパートナーは宿命の絆と魂を震わせたのでありました.ああ頭がおめでたい.
トイレ休憩でアースたちはこの馬鹿げた状況から一足先に離脱しているものの,取り残されたキースはバカなりにそれが気になってくる.それをごまかすべく再度ベートーベンに話を持っていこうとするも,折角のフォルゴレの苦労を台無しにしてくれるのがエルさん.どうして歌詞がデタラメなんですか?ってわざわざ逆鱗を踏むのか.ガッシュたちに出会うまではエロ魔物のモモンに引きずられ振り回されてきた悲劇のヒロインのはずの彼女ですが,もしかして出会う前から空気読まないせいでモモンに物凄く迷惑かけてきたんじゃあるまいか.
言ってはいけない一言によってむきになったキースは顔文字入りの我流の歌詞を絶唱し,エルさんもなぜかムキになって正しい歌詞で歌って返す(笑).ここまで自分自身の芸…術を愚弄されればバカだってさすがに怒るわけで,「生かして帰さん!」 と言われてしまうのも仕方ない.…ところでトイレに行った連中はもうどうでもいいんですかね?

バカな強敵の闘志に誤って火をつけてしまったフォルゴレたちは,ろくな攻撃手段もないのに戦う羽目に陥りました.ちなみにサンビームとサウザーは前の戦いで消耗しすぎて役立たず.よりによってキャンチョメとモモンのデコボコならぬボコボココンビでなんとかするしかありません.ただしこの組み合わせなら最初から無理に戦わなくてもいいってことは救い.下手にガッシュとか混じってるとシリアスバトルに巻き込まれて命を削る可能性が高い.
てなわけで弱虫たちは生きて先に進むために力を奮う.モモンのアムロンでキースの伸びてきた手を見事に止めて,そのままぶんぶんと縄跳びの縄に.そこにキャンチョメが飛び込んで,続いてフォルゴレもエルもベルンも飛び込んで跳ねて…あまりに苦しいごまかしだ(笑).
キャンチョメたちはシリアスバトルにされた時点でリタイヤ内定だから絶対にギャグ路線を維持しなきゃならないけれど,さすがにこれは無理ありすぎて(苦笑)キースにすらツッコミ待ちの自覚を与えてしまっておふざけは破綻.一応ここまでフォルゴレたちが頑張って茶番を演じているのはサンビームたちに回復する時間を与えるためなんだけど,むしろこの疲れる展開を見せられちゃ心の力は減るかもなぁ….
シリアスバトルじゃ絶対にキースには勝てないキャンチョメとモモン.モモンの縦横無尽な移動っぷりも,キャンチョメの虎の子のディマブルクすらもキース相手では通用しない.複数のキャンチョメたちをギガノギニスやらアムガルギニスやらであっというまに片付ける上にキースにはディオガ級の技がまだ残っていて,これを喰らったら全員ひとたまりもない.ここは…何としてもギャグをやらねばなりません!
さすがにヤバイので見ていられなくなったサンビームとサウザーはろくに回復してない状態で戦線に.もちろんあんなコントを延々と見させられていた連中が長く持つわけがないから,せめて4組が稼働している間にキースを止めたい.ゆえにモモンはおとりになると立候補.見た目はバカですが賢い彼は,自分の力量を誰よりもよく理解しています.自分には王になる力量はないけれど,王になれなくても仲間のために戦える…なんてくだりはあのときのウォンレイを見るようです.エルにとっては本当にうれしいモモンの成長ぶりだけど,ウォンレイの例からわかる通りこれは帰還フラグ以外の何物でもない.仲間が消える気配に敏感なキャンチョメは,望んで死地に赴こうとするモモンを「だめだ!」と止めます.
自分にはその力がないと諦めるモモンに対し,自分たちでもやればできると語るキャンチョメ渾身の魂の説教! 例えばコルルのように,自分の本に火をつけさせて帰らなかった魔物にはわずかでも王になりたい気持ちがあるのだと,ウォンレイが聞いていたらきっと苦笑いしそうな正論をぶつけるキャンチョメ.そして自分の夢であるお菓子の国妄想をご披露することで,シリアスまっしぐらであった物語を強制的にギャグに変えます!
そして…あまりにも場違いに過ぎるお菓子の国やらチョコ大臣やらの妄想により,己の本領に再び気づいて目覚めるモモン.彼の本性は稀代のエロ魔物.己の本領を思い出させてくれたキャンチョメに対する礼として宝物のティオのパンツを引渡し,彼が王になった暁には現実となるこの時間帯には放映できないレベルのパラダイスまでも夢想する.ギャグこそ彼の生きる場,そしてエロこそが力!
自分たちの本領を再確認したキャンチョメとモモンは再度最前線へ! 正面からは決して当たらずあくまで本を奪うことに集中する2人の戦略.そのためならばどれだけみっともなくても諦めず,どこまでも食い下がるのが2人の正しい戦い方.オラ・ノロジオでの動きの鈍化やポルクによる自爆の誘発など彼ららしい攻めだけではない.ガンズギニスやギガノギニスを喰らってもなお消えない心の炎こそ2人の強さ.その炎がお菓子とエロを燃料にしていることはまあ気にするな! 思った以上にしぶとい敵にさすがのキースもディオガ級をぶっ放すしかないと判断したところで…台無しに!
ここまで頑張って積み上げてきた空気をまったく読まない魔物が,いきなり部屋の壁を術でぶち破って登場! …やっぱしあのホールの扉って,あんまし意味ないよね…(苦笑).呼ばれもしないのに乱入する魔物バリー.テッドたちとともにファウードに乱入してきた彼は,その無体な強さでパワーアップウンコすらも適当にやっつけてここまでさくさく来ちゃったようです.ウンコ,あれで退場なんだ(笑).
バリーの目的は強い奴,具体的にはガッシュと戦いにきたわけですが,そんなバリーに必死のアピールをはじめる奴が! 彼のライバルを自認するキースが,嫌がるバリーに無理やりモーションをかけていきます.強い魔物がいなければここには用はないと立ち去ろうとするバリーを引き止めてうれしげに戦いを挑むキース.腐れ縁らしい2人のバトルが「照れるなよぉ」「照れてねえ!」と嫌なじゃれあいの中ではじまって場がぐたぐたに.で,その隙を突いて全力で逃げ出すフォルゴレたち….バトルで勝てなくてもラストが冴えなくても,生きて先に進めればそれで勝利です!

オリジナルとしては破格のギャグに大満足の今回のラストを飾るのは,清麿組の前に出現した…あんたたち誰だっけ(笑)? 敵味方全員から忘れられていたパピプリオたちは,リオウの助力もなくティオの盾によって切ないくらいの返り討ち.こっちのチームツッコミ多いからなぁ.折角のボケに乗ってかぶせてくれる度量のあるボケがいないもんなぁ….もうちょっとバランスを考えてチーム分けしなきゃだめでしたよ清麿.さて! 次回はいつもの路線に戻ります.急遽仲間入りしたテッドの前に姿を現す探し人の真実はいかなるものか.次回に続きます.

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金色のガッシュベル#143

「参謀格の強敵だったはずなのに…の巻」

ファウードが日本に到着するまであと4時間.ロデュウの悪あがきは見事退けたものの,アリシエとリーヤの本当の敵は後からやってきたザルチムの方だ.ガッシュたちの動きを己の分身で止めてアリシエを倒すべく仕掛けるザルチム.以前ザルチムは捨て身で戦うアリシエに圧倒されて動けなくなった経験があり,そのときに味わった屈辱をこの場で晴らそうと考えていたのだ.直前の戦いで心の力を消耗しているアリシエたち.しかし彼はどんな逆境でも闘志を失うことは決してない.

終着点目指して沢山の人々と魔物の運命が集結し絡み合っていく「ガッシュ」.今回は前回主役の座を途中で奪われたアリシエがもう一度頑張る回なんだけど…また途中で主役の地位を引きちぎる2人とかバイクの2人に奪われている気が(苦笑).見せ場の奪われ具合はちょっと面白いくらいなんですが,きっと今ここでリタイアするよりはずっとマシなのだと信じたい.ちなみに全体的に格闘戦が中心になっていてしかもかなり頑張って闘っているので,気合トークで繋いで繋いで凄い術でどーんといういつもの「ガッシュ」らしい大味な展開が見られないことに妙な違和感を感じます(笑).

前回リベンジを挑んだものの味方にすら見捨てられやっぱり退場させられたロデュウのへたれっぷりは記憶に新しいですが,まさかそれを越えるヘタレが次の回に誕生するとは….ロデュウを噛ませ犬に使ったザルチムはアリシエが程よく消耗したところで登場.偉そうな態度で出てくる彼ですが,因縁に決着をつけるなら互いに同条件で闘えばいいのに,わざわざ消耗させてから出てくるあたりで既に腰がかなり引けてます(苦笑).そんなに怖いなら分身の術で縛ってそのまま倒してしまえばいいのに….
わざわざガッシュたちを影で縛り上げ,アリシエたちのみ戦闘が可能という舞台を作ったザルチム.ファウードのサポートシステムで自分の分身を作り,その分身に影縛りをやらせるというのは確かに正しい使い方.持続する上に効果範囲と魔物の間に距離のある術は,こういう場面で使うには実に使い勝手が良さそう.ただしこの段階で即座に清麿を潰しておかなかったザルチムの判断は甘すぎる.叩けるときに徹底して叩かなかった甘さが今のぐだぐだな事態を作り出しているのだと,リオウ側の魔物は即刻全員で反省するべきです.
てなわけでザルチム対リーヤ…というよりはアリシエ戦が開幕.敵の力は残りわずかな上に時間稼ぎをするだけでも相手への大きなダメージになるという絶対有利な状況でも,わざわざ自分から銃撃を仕掛けてしまうザルチムの浮き上がりっぷりが情けない.折角の優位なんだからゆっくり言葉攻めするとか,自分に自信を持ってゆったりと仕掛けていただきたい.この状況で浮き足立つだなんて,自分で「小物です!」と宣言してるようなもんですよ.
圧倒的に有利なはずのザルチムを小物に変えてしまったのは,アリシエが以前彼に与えた恐怖の成果.どんな状況でも闘志にはまったく衰えのないアリシエは,以前ザルチムが迎えに行ったときに彼を大変恐ろしい目に遭わせていたのでありました.リオウの呪いを受けながらも自分の命を庇うことなくザルチムの首をひっつかんでみせたアリシエはまさに鬼であり,そのあまりの身の捨てっぷりにザルチムの脆弱なハートはトラウマレベルに傷ついてしまったご様子.アリシエの怖さは刺し違えることを恐れないところ.自分の命1つで村が助けられるなら本望と命を粗末にする戦士ぶりは,強いとはいえまだ子どもである魔物にはやっぱり怖かったに違いない.巻き添え自爆覚悟で最強術を自分の魔物に命令するという狂犬ぶりを見せるアリシエに,あの日ザルチムは完全に圧倒されたわけです.
そんなアリシエもさすがに人質には負ける.あまりにも一途で真っ直ぐゆえに,守りたいもののためにはどこまでも弱くなるのがこのタイプ.ある意味悪人にとっては一番やっつけやすいタイプなんだから,今だってザルチムも折角つかまえたガッシュたちをもっとうまく使えばいいのに….人質によってアリシエを制したザルチムが,「最初からそう言やよかったんだ」と震えながら言っているのがもう本当に情けない.ザルチムの地位が参謀から小物へと急降下です(苦笑).
あのときアリシエに与えられた屈辱を晴らすべく.ザルチムは影の爪を両手に装着して宿敵に接近.人間を殺す気満々のザルチムに対し,アリシエは毎度のように攻撃にひるむことなくむしろ突っ込んでいきます.リーヤを巨大化させても決定打にはならないけれど,ザルチムが1体で闘っているのに対しアリシエとリーヤは2人がかりで仕掛けてくるんだからやっぱり怖い.今のザルチムには敵が倍の戦力で攻めてきているように感じるはずで,その恐怖が彼のなけなしの判断力をさらに激しく乱すわけです.
そして,ここまで縛られて観客にされていたガッシュたちは,アリシエたちからついに主役の座を奪回するべく動き出します.アリシエの身を捨てたバトルを目の前にして,我慢できずにすごい力で影をちぎり始めるガッシュ…とティオ.ここ,ガッシュだけが頑張ってもまったく問題ないシーンなんだけど,おつきあいで馬鹿力を発揮するティオが怖い…(苦笑).仲間の足を引っ張りたくないという根性だけで術を引きちぎるお子様2人はそのまま分身を攻撃して倒し,アリシエに対するザルチムの最大の切り札が今ここで使わないうちに失われます…情けない(苦笑).
さてこの頃,ファウードの接近は人間の社会を大きく揺るがせはじめています.巨人が日本を狙って接近しているとなればそりゃもう大混乱.ファウードから逃げるには国外脱出しかないと判断されているようで,脱出希望者が船に殺到してごったがえしている程度のモチノキ町は平和なほうじゃないかと.もっと人口の多い都会なら殺気だった人たちがパニックになって殴りあいとか殺し合いとかしている気が.
脱出希望者と船の数は明らかに釣りあわず,このままではモチノキ町には沢山の人が残されてしまうのかと思ったら,高嶺教授とプロフェッサー・ダルタニヤンがでっかいお船でやって来た! この調子でこれまでの登場人物がどんどん出てきてくれるんだろうか.日本経由の世界の危機の只中で,夫に再会できた華さんがとてもうれしそうだ.

ガッシュたちが自力で脱出してくれたおかげで味方のことを気にする必要もなくなり,動きやすく服をちぎって布で己の手に本を巻きつけた格闘家のアリシエ.ゴウ・アムルクの連打をザルチムに向け,さらに最強術のシャオウ・ニオドルクをザルチムにぶつけて勝負は決した…はずがこれはザルチムの罠.珍しく敵の狙いに直前で清麿が気づいて止めようとしたものの既に遅く,アリシエは心の力をほぼ使い果たしてしまいます.
自分が精神的に物凄く気圧されていることは棚に上げ,相手が術を使いさえしなければ勝てると考えている小物のザルチムはうまいことやったといい気分.最大術がぶつかったのはあくまで分身.アリシエたちはほぼ術が枯渇した状況で本物のザルチムと闘うことに.ちなみにさっき戒めを無理やりぶっちぎったガッシュたちは今度は防衛システムに捕まりました.…結局こうなるなら,無理に脱出しなくてもよかったような…(笑).
超捨身の攻撃を得意とするアリシエの思考回路はザルチムもとっくに予測済み.たとえ術なしの状態でも特攻をかけてくるに違いないバカに合わせて自分の最大呪文を叩き込む…はずが,いきなりリーヤがアリシエの前に出て勢いを止めた! 自分以外のためなら全てをかけがちなアリシエは大変な死にたがりであり,かけがえのないパートナーを失いたくないリーヤは特攻なんかして欲しくない.ゆえに自分の身を最前線にさらすことで敵とアリシエの間に距離を取って自爆を防がなきゃならない.ここまでしなきゃ止まらないだなんて,なんて手間のかかるパートナーだ(苦笑).
ザルチムの最大呪文,巨大な闇の死神の中に飛び込むリーヤ.ザルチムの術に勝つには影の源となる目の光を消すしかないわけだけど,ニドルクでやっと強化された程度のリーヤでは光は半分しか覆えない.このままではやっぱりアリシエは助からない…って,リーヤで半分ならアリシエも一緒に影の中に飛び込めば全部消えたんじゃないか(苦笑)? 状況が厳しいのはわかるけど,あまりにも2人ともテンパリすぎで同じく一杯一杯のザルチムにすら負けるぞ…というところに乱入してきたのがバイクに乗ったテッドとジード! おお,こんなに早く合流してくるのか!
プライドを賭けた対決にいきなり乱入して横からぶんなぐって中断させる格闘戦のスペシャリスト・テッド.さらに一緒に復帰したリィエンの大活躍も相まって,乱戦の中でおいしいところをまたも全部持っていかれたアリシエとリーヤ.いくら新参とはいえ2回連続でこの仕打ちは辛い.そしてもっと可哀想なのは敵の戦力増強を前に撤退を決めたザルチム.本当に強いんならテッドに殴られた23発とか覚えちゃだめだよ.どう見ても負けて逃げて帰ってるんだから,いくらそれが本当だとしてもあんなのよりも重要な敵がいるとか一生懸命語っちゃだめだよ…(苦笑).
アリシエの見せ場と引き換えにしてガッシュ側には頼もしい戦力が参加.窮地を救われたアリシエの感謝の笑顔が場に合わないけどなんだかうれしい.テッドがこっちに来たってことは彼と因縁のある魔物もこっち側に出てくることになるのかな.そして,リィエンの合流によってウォンレイのリタイアを知った一同.そしてここで,最後までリィエンのことを気遣うウォンレイの最後が追加.時期的に原作とアニメが相当接近していたはずだけど,せめてあのシーンはやりたいということで追加したんでしょうね.

ガッシュ側にはテッドたちという頼もしい力が加わったわけですが,気がかりなのはついに動き出した2人とかトガったあの魔物のような第3勢力.強い彼らの行動次第では戦況がひっくり返る可能性は非常に高いから,リオウも高みの見物を決め込んでいる場合じゃないと思います.この戦いで大幅に株を下げたザルチムはこのままヘタレ一直線なのか.アリシエが最後まで主役を演じられる時は来るのか.そしてモチノキ町にたった一人残された鈴芽の運命はいかに? 沢山の魔物と全世界の生命の運命がかかった次の闘いの相手は…あれですか(苦笑).笑いを忘れない次回に続きます.

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金色のガッシュベル#142

「諦め悪過ぎかっこ悪の巻」

ファウードの日本到着まであと4時間半.一刻も早くこの巨大な脅威を止めるため,2組に分かれて脳のコントロールルームを目指すガッシュたち.ウォンレイとリィエンを置き去りに先に進んだ清麿たちの前に,またも一組の魔物が現れた.鉄の体で高速移動,しかも銃撃で遠距離攻撃までこなす難敵に対し,この先のある仲間たちを温存するためにたった1組で勝負を挑むのがリーヤとアリシエ.戦士としての研ぎ澄まされた力を発揮するアリシエと彼に従うリーヤは見事な戦いぶりですぐさま敵を追い詰めるが,とどめを刺そうとした瞬間に横槍が入る.ロデュウたちが捕虜にしたリィエンとともに追ってきたのだ.

原作を離れて着々と残り時間を消化していく「ガッシュ」.引き伸ばしで有名な東映にしては珍しく着々と時間を経過させるのがなかなか怖い.ついでにこれまでは人間界でバトルを繰り広げながらもそれなりに穏便にやってたわけですが,せっせと泳ぐファウードがついに日本の日常までもを揺るがす様子が挟み込まれているのが興味深い.この先どんな決着が待っているとしてもさすがにアレをなかったことにはできないはず.この騒動のど真ん中にいる連中が事がおさまったあとにどんな風に扱われるのかも気がかりです.あ,バトル自体は折角アリシエが結構頑張ったのに中盤以降その頑張りが台無しにされて気の毒です(苦笑).

広い海を悠々と泳いで日本に近づくファウードを,再び体内に乗り込んだガッシュたちは小さな力でなんとかせねばなりません.前回はカルディオとウマゴンの連携…というかエリーの説得のおかげでリオウ側の魔物2体を見事に撃破.2体の特性が違えばこそ倒せる敵もいるはずなので,必ず複数で敵に接するべきではないかと思います.どんな理由があっても1対1のバトルをを自分から願い出るような奴は自分から帰還フラグを立てるようなもの.圧倒的に劣勢なんだから命を粗末にしちゃいけません.
今回闘うのは清麿チームで,ホールで待ち受ける次の敵は小型だけど鉄装甲が印象的な魔物.しかも戦いを楽しむためにわざわざホールの出口を塞ぐという見事な戦闘バカっぷり.一応忠誠の証としてリオウにいいとこ見せるという目的もあるわけですが,単独で3組に挑むあたりはあんまり頭が強いタイプではなさそうです.ここで敵の使った鍵が壊れない説明が意外と以前の話を踏襲しているのが楽しい.ただ,あのとき捕虜にされた連中は正直非力だったので,ガッシュが全力でぶっ放せばなんとかなったんじゃないかと.最悪扉は壊れなくても扉の周囲が吹っ飛ぶはずだ(笑).
敵の襲来という見せ場に対して早速戦闘体制に入る主役たちだけど,その出番を横から奪っていこうとするのがアリシエとリーヤ.この戦いで重要なのは清麿を先に進めることなので,そのためだったら捨石になる覚悟満々のこいつらはきっと頑張っても言うこと聞いてくれそうにもないと清麿は判断したようで,すぐその行動を認めてしまいます.協力しあうことで計算以上の力を発揮するガッシュたちの場合,単体で戦いを挑むのは帰るのと紙一重なんだけど…まあ,壁で隔てられたわけでもないので,やばそうになったらすぐにフォローに入ればいいと判断したのかもしれません.
かくしてリーヤとアリシエのバトルがスタート.高速移動対鉄棒ミサイルはミサイルを高速に殴り外されて高速移動の勝ち.しかし打ち出した鉄柱をさらに炸裂させる変則攻撃をリーヤが放つと見事にヒット.高速回転によって敵の攻撃を弾き飛ばしながら突進するリーヤに対し,容赦なくリーヤに打ち込むことで止めようとする…と作画が特に優れているわけではないんですが,技の組み立てとバトルの駆け引きがなかなか面白い.呪いが解けたアリシエは以前にも増して強く,その強さがリーヤの技にも影響しているようです.
敵も鉄装甲だけのことはあってなかなか丈夫で元気の上,一応本気も出してないということでいかにもバトルバカらしい.けれど敵以上に格闘に対して熱心なのがアリシエたち.これまでのぶつかり合いをちょっとした挨拶程度にしか考えていないってのがまさに敵と同レベル(笑).過酷な環境で暮らしてきた彼にとって生きることと闘うことは余程近しいものなんだろうけど,正直,1つの目的のために頑張らねばならない今の場合は,この無駄な戦闘欲はサウザーの突出と同じでチームにとって有害だよなぁ….
甘さを捨てた戦人として敵の間合いに突入するリーヤとアリシエ.敵の爪撃が2人を追うけれどこれを人間のアリシエまでもが術なしの足だけでかわし,技を紙一重で避けながら特攻し間合いを詰めた上に再び回転しながら敵への最終アプローチ! 短時間で仕留めると請合っただけのことはありアリシエとリーヤのコンビネーションは高速かつぎりぎり.至近距離ではリーヤが打ち負けたのかと思ったらこれは囮.実際は油断した敵のところに飛び込んでパンチを食らわせるアリシエこそ本命.魔物に人間の拳はほとんどダメージを与えることはできないけれど,相手のバランスを崩し行動を一時的に遅延させるだけならば十分.態勢を崩した敵魔物に対しリーヤの下から突き上げる追い討ちが見事にヒット.これによってホール出口の鍵がアリシエの元へ.
卓越した運動能力を持つアリシエがパートナーでなければ不可能な芸術的な組み立ての闘いを繰り広げた上,欲しいものも手に入れたので間髪入れずに最強の術でとどめを狙おうとする2人.しかし!折角シャオウを出そうとしたアリシエたちに無粋な妨害が.いきなりの横槍は背後から.ウォンレイたちにまかせたはずのロデュウたちと…囚われたリィエンの姿が!

さて,前回アポロたちの手引きでファウード中に飛び込んだ魔物と言えばテッドたちのことですが,実は同じタイミングでもう1組が侵入していました.あの強さと特徴的なトンガリの持ち主は….この先ファウードの中にさらに魔物が集結しちゃうんだろうか? ちゃんと移動手段つきでファウードに入ったテッドたちはなかなか賢いですが,ガッシュたちが散々迷走したファウードの中であっさり重要な目的地に向かっているのに少し違和感が….現在脳の方向に魔物の気配が集中しているからなのか,あるいはザルチムの感じる「嫌な気配」が影から誘導しているのだろうか?
ガッシュたちの前には片付けてもらったはずのロデュウたちが,あのリィエンとともに登場.ウォンレイの姿がない…ことよりも,ロデュウたちが健在ということ自体が仲間に洒落にならない事態が発生した何よりの証拠.ロデュウはウォンレイは魔界に帰れず死んだと言って,見てきたようなことを付け加えてしまうから化けの皮がはがれてしまいます.何も言わずにガッシュたちの想像に任せていればこの勝負勝てたはずなんですが,自分で墓穴を掘るあたりが小物だなぁ(苦笑).
見てきたような嘘を言うロデュウに対し,清麿は「置いて逃げ出しやがった」の一節からおかしいと気づく.サドっ気全開の夢ストーリーをうれしそうに語るロデュウに対し,鈍いガッシュ以外の全員がどうもおかしいぞと気づきはじめます.裏を取るために清麿がリィエンにロデュウの言葉が真実であるかどうかを確かめると,そこで涙を浮かべてリィエンが肯定し…清麿の疑いは確信に代わります.
このリィエンはありえないというのが仲間の結論.ロデュウに操られているという可能性を無視した清麿たちはザケルガを放ちティオたちもギガ・ラ・セウシルで攻撃を封じ,さらに今回の主役だったはずなのにいきなり脇に追いやられているアリシエたちにも攻撃続行を命じ,リーヤの容赦のない最強術によって魔物一体が魔界送りに.さらにあまりにも計算外の展開に驚いたロデュウはガンズ・ラギュウルを放って自爆(笑).ウォンレイ戦の体のダメージは既に消えているようですが,元々の頭のダメージはなんともならないようで…面白い奴だなぁ.ラストはガッシュがラウザルクでロデュウをぶん殴って圧倒的劣勢.やはり敵とは複数の魔物で闘うべきです.
いくらチータはリィエンを人質に脅しをかけたって下手な芝居と晴れやかに言い切る清麿.…本当は今ここにロデュウたちがいる事自体がウォンレイたちのかなりの危機を伝えているんだからあんまり晴れやかじゃまずい気もするんだけれど,敵を精神的に圧倒するときにへこんで見せても仕方がない.自分たちの知っているウォンレイが逃げるわけがないし,リィエンもそんなウォンレイを認めるわけがない…というお約束をわかってない奴が約1名.主役なのに,その察しの悪さはちょっと恥ずかしいですよガッシュ.
ちなみにその頃リィエンは,ホールまで来たテッドたちに助けられておりました.何十匹もの魔物と闘っていたから体力が…という娘さんのコメントにさすがの魔物とパートナーもびっくり.彼女の頑張りぶりを見てしまうと,折角アリシエがあれほど紙一重で頑張ったのにその印象が吹っ飛びます.
折角の芝居もあっさり看破されたダメなロデュウでありますが,未だにへこたれない諦めの悪さは敵味方の全てにとって迷惑.こんな状況でもファウードの力に頼ればなんとかできると考える必死の負け犬を,ついに「無理ね」とパートナーのチータが見捨てました(苦笑).前の戦いでかっこいいウォンレイがリィエンを守りきったのに対し,自分の魔物は未だに他の権威に頼ろうとするチンピラ根性全開じゃやってられない気持ちはよくわかる(苦笑).もう自分たちの格が小さすぎるのでこれ以上はいいです,とチータが投了した途端,なんと捕虜のリィエンが彼女の本を切り裂いた!
「ざまぁねえな」と語るのはリィエンを偽っていたザルチムで,使えない部下を消去しつつ本当の姿を示します.お前無能で弱いから帰れとロデュウにリストラ宣言する彼は,肝臓で苦戦した例の影縛りによってガッシュたちの体を拘束.しかしアリシエたちのみ縛らずにわざわざ一騎打ちをやらかすご様子.己のプライドを守るための闘いはどんな決着を迎えるのか.そしてアリシエたちは今度こそ目立つことができるのか.

海の真ん中で間断なくバトルが繰り広げられていたその頃,日本は夜明けを向かえています,せっかく気配で起きたとしても勝手に寝なおす日常パートのヒロインがマイペースだ…(苦笑).何気に布団の柄が細かいな.彼女を含め日本の大半は未だに夢の中にあるわけですが,時が過ぎるごとに悪夢が海から迫っていることに嫌でも気づく.海からの巨大物体の接近に備えてモチノキ町にも非常警報や避難指示が出始め,これまであくまで内々に行われていた魔界関連のバトルはついに人間界の日常を揺るがしはじめます.脅威は大切な日常をどのように揺るがしていくのか.次回に続きます.

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金色のガッシュベル#141

「気持ちはわかるが落ち着いての巻」

世界の危機を救うため,2手に分かれてファウードの脳を目指すガッシュたち.アースたちが通過しようとしたホールには2体の魔物が待ち構えていて,ウマゴンとカルディオが戦いを挑んだ.敵が息の合った攻撃を繰り出すのに対しウマゴンとカルディオの相性は最悪.先走って戦おうとするカルディオとウマゴンは同士討ちを繰り返し,頭に血が上ったサウザーはサンビームの助言を聞こうともしない.サポートシステムで他の仲間と分断された今,ウマゴンたちに勝機はあるのか.

長い戦いを経てようやくここに来たっていうのに,物語以外でどうしようもない困難に教われまくって気の毒すぎる「ガッシュ」.今回からガッシュ役の大谷氏が交替で,あの慣れ親しんだ声とはしばしの別れ.個人的にはたぶんあと2回も見れば今の声に慣れてしまうんでしょうが,この山場で主役の声が変わるのはあまりにも痛い.大谷氏には一刻も早く健康になって現場に戻っていただきたい.物語自体は笑いもバトルもなかなか冴え渡って愉快なのですが,そのことがかえって不在の大きさを増幅させてしまっています.

日本到着まであと5時間.ファウードを止めるために脳を目指すガッシュたちは2手に分かれて上へと進む.もちろんリオウも本気で仕掛けてきているので激戦連続.その結果前回ウォンレイがついに退場したわけですが,今回は一体どうなるのか? 前に進む度に仲間が削られていくとなれば,最上階に着く頃には人間界に残る魔物も大幅に減ってしまうだろうなぁ….ちなみに今回はアース側のバトルを主に扱うということで世界のフォルゴレ様がレポーター役に.主役はウマゴンとカルディオの馬型魔物たち.ただしそのコンビネーションには洒落にならない問題を抱えてる…というのを見えないカメラに向かい実況するフォルゴレの頭にも大変な問題が発生しているような(笑).こんな大変なときでもちゃんと笑いを挟みこむ,演出の遊びが楽しいぞ.
敵は両手の蛇を伸ばして攻撃する格闘タイプの魔物と,ウマゴンと同じく炎を操る魔物.冷気攻撃を誇るカルディオと炎攻撃に定評のあるウマゴンならば数の点でも力の面でも不足はないはずなんですが,どうしようもないほどにサウザーが生き急いでしまって悲惨なことに.サンビームが引き止めてもサウザーは勝手にカルディオとともに突出.そして2体がかりの敵にやられるという悪循環がこの先延々と続きます(苦笑).加えて,1体で自爆しているなら100%カルディオ組が悪いわけですが,あわててフォローに入るウマゴンの援護が完璧に逆効果なのが切ない.もうちょっと気の利いたフォローなら反感を煽り立てることもなかったはずだけど,あまりに間が悪すぎて2体同士討ち.これをきっかけに,サウザーはウマゴンたちを終盤まで邪魔者扱いしやがります.
若く殺る気満々のサウザーとカルディオ,そしてそんな2人にどうしても気押されるウマゴンの間で大変困った立場に置かれるのがサンビーム.チーム中随一のおっさんであり,大人ゆえの分別と優れた判断力には定評がある彼ではありますが,組みたい相手とのジェネレーションギャップは軽く落ち込みたいくらい.いくら仲間になったばかりだからって,面と向かってのおっさん呼ばわりはやっぱしひどいや….
サウザー組やサンビーム組が当然この世界を救いたいのに対し,敵は全員見事な厭世ぶり.魔物だけでなくこの世界に暮らすパートナーたちまでも,この世界は一度滅んだほうがいいという大変に困った論理を振り回します.彼らが目指すのは日本の次はユーラシア…サウザーの故郷にファウードが進撃していくことは自明で,それゆえに逆上し突出してしまうサウザーとカルディオ.家族を守りたい気持ちはよくわかるんだけど,敵の挑発にあまりにも安易に釣られすぎ.しかもカルディオとウマゴンの属性は真逆であるがゆえに相殺しあって,ガッシュ,あるいはアースとならば簡単だった連携もまったく成立しない!
ウマゴンなりのフォローも妨害にしか思えずに焦って怒るサウザーと,ここまで大人なりに我慢していたけれどついに我慢できずに怒るサンビーム.両者の意見は命令するな勝手につっこむなとまったく足並み整わない.で,この惨状を一番理解しているのは多分ここまで周囲で見守っている仲間たち.一応シリアス担当のアースやギャグ担当のエルやフォルゴレの意見も一致で,もうこれはなんともならんと残る3組は介入を決意するわけですが,その動きを察知した敵がファウードのサポートシステムの起動をリオウに願い出てしまい,透明の壁で分離されて介入不可能,2対2に!
ファウードの能力でホールを透明の壁で分断した敵たち.アースの豪剣でも斬れないほどの壁によって,ホール中央部に閉じ込められたウマゴンたちと敵2組!…って,ホールの出口ががら空きになってるんだけどそれでいいのか(笑)? 全てを捨てても時間内にアースを最上階に連れていくならば,ここはウマゴンたちの健闘を信じてアースたちはさっさと先に進むべきではなかったかと思います(苦笑).
蛇の両手に炎を纏わせるコンビネーションで攻撃してくる敵2体.この強敵を倒さねばならないはずなのに,カルディオが勝手に特攻かけてみたりウマゴンの介入がまたも裏目に出たりとどうしようもない(笑).カルディオとウマゴンは宿命のライバルとしておなじみであるわけですが,そんな2体が組めば最強!というのがこの手の作品のお約束のはずなのに,実際に組んだら相性最悪ってのはある意味新しい….
敵のコンビネーションと味方同士の激突で消耗していくこの惨状をなんとかするには,やはり自己主張が激しすぎるサウザーを一度黙らせなければなりません.清麿がいてくれれば例の魂の説教で強制的に2人をコンビに戻したに違いないけれど,今ここに彼はいないから現場にいる人間だけでなんとかせねばなりません.中でも何とかできる可能性が高そうなのは,「心は共鳴することができるはず」とか言ってみるエリー.狭量なサウザーに認められている数少ない仲間は,どうやって彼を黙らせるのか.

サウザーのテンパリまくりとウマゴンとカルディオの相性の悪さによって苦戦する馬2匹.もちろん敵の連携は効果的で1体で挑んでも絶対に勝ち目はない.このままでは敵に潰されてしまうのが目に見えているからこそサンビームが連携しようと必死に提案しているってのに,ファウードの脅威を止めることで頭が一杯のサウザーの返事は「うるせえ!ひっこんでろ!」 …壁さえなければこのバカは放っておいて残りの連中で先に進みたいところですが,このままじゃカルディオはともかくウマゴンまで退場させられてしまうからなんとかしなくちゃいけません.
てなわけでついに暴走するサウザーを黙らせるのがエリーの言葉.「ファウードが世界を滅ぼすのだ!」…サウザーとカルディオはエリーを認めて助けてくれた.同じ志を抱く者であるならば,エリーだろうとウマゴンだろうと相性が良かろうと悪かろうと協力することはできるはず.何より今ウマゴンとカルディオを置き去りにするのが気の毒なので動けないから,このチームの命運は2組にかかっているのだと過剰なプレッシャーをかけていきます! …さすがに世界の命運がかかっていると自覚すれば自分勝手な行動は取りにくいもの.そんなエリーの狙いにあっさり釣られてサンビームに「オヤジ! 何か作戦があるならさっさと言え!」と高飛車なままに歩み寄るサウザー…こいつ本当に面白いくらいバカです(苦笑).
ようやくサウザーが黙ったのでサンビームは互いの良いところを生かす.まずは蛇を振り回すほうを集中攻撃で片づける.格闘型らしくその体は相当丈夫なんですが,ウマゴンの炎とカルディオの氷を交互にぶつけることで無理やり物質をもろくして,腹を壊して中に格納されていた本の持ち主を外に出すことに成功! 実際透明の壁越しに炎と氷を交互に吹き付けられてしまったら,物質よりも中に入っているパートナーのほうが先にイカれそうな気もします.
残るは炎を放つもう1体.敵の最大呪文である巨大な炎に対し,氷の盾と炎の盾を交互に放つことで勢いを止める2頭.…しかしこの連携こそがサンビーム謹製の陽動! 魔物が術に夢中になっている隙に術の使い手をウマゴンが超高速でひっさらってチェックメイト! カルディオと並ぶと炎術にばかり目が行くものですが,ウマゴンが誇る特質は並み外れた機動力そのもの.見ていた仲間たちや視聴者の予想すらも軽々と超える足の速さによって,敵2体の倒滅が無事完了!

さて,主にサウザーの暴走が描かれている傍らで描かれていたのが専用機で再度ファウードに接近する外の仲間たちの様子.アポロと博士&MJ12は,未だにガッシュたちを支えるべく行動を続けていてくれました.特にファウード侵入時に乗機を壊されて死の淵を覗いたはずのアポロが,2日後には復調して復活直後のファウードに接近するなんてのはなかなかにタフではないかと.
しかしそんなタフな連中も,巨大な上に海を泳ぎ戦闘機すらもおもちゃ扱いなファウードにはさすがにぴっくり.うかつに近づけるはずもない上に,侵入口はいかにも危険そうな口しか考えられない.それでも仲間を送り届けるためにアポロは進路を計算します.届けたいのはもちろん,ナゾナゾ博士が連れてきたテッドとジード!
元々志半ばにして魔物を失っているアポロやナゾナゾ博士にとって,ガッシュたちは自分の希望を賭けることのできる貴重な相手.もはや託すことしかできない彼らは,テッドたちがガッシュたちの力になることを信じて中へと送り込みます! …実はテッドが探す大切な相手がリオウ側に属してしまっているので,本当にテッドがガッシュたちのために闘ってくれるかどうかはやや不確定なのですが….そして口中に飛び込むテッドたちの横を過ぎていく謎の影.あれは一体誰?
さて次回,先に進むほどに勝ち残る確率が減りそうなこの舞台に新たに仲間が投入されたのはうれしいことですが,そもそも敵の戦力は決して侮れないんだからバトルを挑む時は最低でも2組以上で立ち向かって欲しいです…いかにも生き急ぎそうな仲間をまだ抱えている清麿組は大丈夫なのだろうか? 次回に続きます.

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