桜蘭高校ホスト部#26

「醒めないで華やかな夢の巻」

公開営業で保護者の皆様に楽しんでいただき,自分たちも最高に楽しむはずだった学園祭.しかし環は祖母が連れて来たエクレールのため,ホスト部に戻ることができなくなってしまった.環をホスト部から引き剥がすためならばあらゆる手段を取るエクレールは,ハルヒの借金を返し環の携帯を水槽に沈める.環自身も,自分の母を須王の家から許してもらうためならば,ただでも部員達に迷惑をかけているホスト部を続けるつもりもない.…けれど仲間たちは皆,このバカなホスト部とバカな環のことが好きだった.この部を続けるためならば,どんな妨害も越えて真っ直ぐに彼へと走っていく!

抜群の品質のままとうとう最後まで走りきり,文句なしに傑作としての評価を手にすることになった「ホスト部」.終わってみれば敷居が高かったのはタイトルだけで,それ以外は全ての面で万人受けする作品というのも深夜帯では滅多にないんじゃないかと思います.
もっと適当に手を抜くことも,あるいはもっと下品に暴走させることも可能だったこの作品を,ゴールデンタイムの放映にすら耐えられる健全な娯楽作品に仕上げてしまったのは,間違いなく生真面目な五十嵐監督神の節制の賜物.作品のオリジナリティを表面的な形式ではなく容赦ないまでの質の高さで示すというのは,そう滅多にできることじゃありません.…原作や原案が既についていて,あとはエピソードに集中すればいいときの五十嵐監督神は本当に最高だ!

前半.前夜祭の夕方,部に走った大激震で朝食が喉を通らなくなっても,それでも本祭はやってくる.エクレール嬢にいきなり殿を持っていかれながらも,午後3時の中央棟サロンでは一般公開営業が続けられておりますが…そこに再びやってきたのが雷鳴の如きエクレール嬢.オペラグラスの向こうから鏡夜に嫌みをぶつけてみたりと本日も敵意満載です.しかも彼女の今日の狙いは誰あろうハルヒさん.ホスト部の機密にすら通じている彼女は,環の執心の中心を除いてしまおうとするのです.
青い瞳の美しいエクレール嬢に指名されたハルヒ.演技が苦手な大根役者が,部を壊そうとするエクレールに愛想のよい接客などできるはずもなく,かわいがられてたみたいねと過去形で挑発されたら「焼きもちですか」と対抗.女性同士の鍔迫り合いは火花散り,「環は来ないわよ」とエクレールが宣言したって,ハルヒは怖じ気もなく大きな瞳で射すくめるように彼女を見るばかり.欠片だって納得も諦めもできないのです.
環が作ったホスト部が気に入っている仲間達にとっては,環の解散宣言や不在は到底納得できるものではなく,…けれどここに至ってもクールな鏡夜は,「ホスト部を楽しみに来てくれたお客様に,出来る限りのおもてなしをする.それが今一番大切なことだ」と一同を散らせます.実は今彼自身も相当大変なことになってるんですが,そこは一切表に出さないのがとても彼らしい.
そう.鏡夜のポーカーフェイスは本当に筋金入りで,エクレール嬢との激しい戦いを終えたハルヒに,今の接客で借金が消えたと宣言するときすら平静.彼女の支払いでノルマを達成したから借金なし.「もういつでもホストをやめていいんだぞ」と,よりによってこんなときに突き放す.ハルヒがこの部に席を置く意義は借金.その鎖は今断ち切られたわけですが…いきなり自由に歩けるようになっても,行くべき方向がわからない.
けれど,たとえ戸惑っても混乱しても彼女はやはり藤岡ハルヒで,真っすぐだから誤りを受け入れることはできません.またもやってきた鏡夜の父が「価値のないことで,時間を無駄にするんじゃない」と自分の息子をなじるのを見て,ハルヒは自分を思い出します.本来は勉学のために入ったこの学校.けれどあのくだらない日々は本当に無駄だったのか?
ざっくりとした彼女が考えた娯楽産業に対する1つの考察.それは同時に,作り手のエンターテイメントに対する真摯な意見そのもの.「皆を楽しませることによって,自分たちも豊かな気持ちになります.皆を楽しませることは,そんなに価値のないことなんですか」.…たとえ最初は強制的に引き込まれたのだとしても今はそう信じるに至り,だからこそ迷いもなく「鏡夜先輩は立派だと思います」と堂々とそれを宣言し,あのポーカーフェイスを驚かせるわけです.
さてその頃,娯楽の権化である環を愛する父は,自分の大事な孫に刺客を送り込んだ祖母と語り合っておりました.グラントネールとの姻戚関係は祖母の勝手なごり押しで,しかも「あの子は須王の家に逆らったりできない」と居丈高.けれど父が息子を見る限り,環は須王の家に興味なんかなかった.実際に中等部の頃から,須王の後継者の地位は環の前にある無数の選択肢の1つに過ぎず,何の強制力もなかったはず.
けれど環が今回祖母に従ったのは,エクレール嬢と婚約すれば母親と会わせてやってもいいと言ったから.自身の孫やその母を駒扱いするひどいことをさらりと言って,その上で「お前の人生の不始末を,お前の息子に償わせてるだけです」と間接的に,しかし手酷く息子に当たる祖母.彼女の行動はあまりにも大人気なくて…なぜ彼女はここまで曲がってしまったんだろう.
これまでの午後3時は,環が王でいられた素晴らしい夢の時間.けれど今日の午後3時はエクレール嬢こそが女王.哀れな王にピアノを弾かせて閉じ込めて,「未練が残るでしょ」と仲間と彼を繋ぐ携帯を水に沈める.そこまで徹底した上に事を急ぐのは,彼女を射抜くように見たハルヒに脅威を感じたからに違いない.「恋人じゃありませんが,関係ない人なんかじゃありません」と言い切ったハルヒ.恋人ならばまだ簡単.恋は互いの心が必要だから,環さえ切り離せばいずれは消えてしまう.けれど,片方からの一方的な思いで結ばれる関係を切ることはひどく難しい….
閉じ込める彼女と閉じ込められた彼のところに鏡夜の父がやってきたので,「鏡夜をホスト部に誘ったのは俺です」と早速謝罪し,閉じ込められても切り離されても依然ホスト部部長としての責任を果たす環.その心はちっともホスト部から離れていないので,エクレールは鏡夜の父の弱みを使ってもう一押しを画策します.グラントネールからの買収のの淵にある鳳の医療機器会社.それは鏡夜に譲られるかもしれなかった会社で…ってことは,鏡夜は既に中等部の頃欲しくてたまらなかった,後継者候補としての地位を手に入れていたのか.
物語が大きく動き出すのは午後3時をとうに過ぎた夕方.今日が最後の活動になるかもしれないけれど,ホスト部はパレードの準備に余念なし.中でもハルヒさんは豪華なドレスで…これは女装? それとも本来の姿? でもここまでやっちゃうとさすがにバレるんじゃないかなぁ(苦笑).環がやりたがっていたイベントだからこそ,鏡夜は彼の携帯に連絡するも返事なし.けれど諦めずに須王第二邸に電話をかけたのは素晴らしい判断!
環の味方であるシマさんは,彼が急にフランスに発つことになったことをすぐに教えてくれました.とことんバカで純真で,他人の幸せのために本気で動いてきた環.例に漏れず今回の行動も人を幸せにするための行動のつもりなんですが…これがもし母を幸せにするという理由だけなら,仲間は黙って見送るしかなかったかもしれない.けれどもう1つの理由が大間違い! 桜蘭にいても自分のわがままで仲間に迷惑をかけるだけという環の思い込みに「あのバカが!」と嘆じる鏡夜.奴は純真で心優しく楽しい奴なんですが…本当にバカだったのです.
このままでは環はフランスに行ってしまう.それは終わらないはずだったホスト部の夢の世界の終焉だから,全員が驚き悲しみ憤ります.しかもバカがフランスに行く理由の半分は勘違い.そして残りの半分についても,きっと彼の母はそれを喜ばないだろうと予測が可能.…これまでは皆と一緒にいたからすぐに誤りを直してもらえたものの,今のように一人きり切り離されたらやっぱり間違いまくるバカ.ホスト部に王が必要なのと同じくらい,バカにも賢い仲間は必要なのです.
夕暮れの午後5時半.桜蘭祭が終わるのと同時に旅立つという環.まさに今赤いオープンカーでフランスへと連れ去られる彼の姿が….このまま去られたら全ての夢の終わり.けれど,今ならばまだ追いつけるかもしれない! 「行くぞ!」という声にはっとするハルヒ.ホスト部の一員として,彼女には可愛らしい格好で呆然と座っている暇などないから…終わりへと向かう疾走がはじまります!

後半.時計は5時45分を過ぎて日没も間近.環に追いつくために鏡夜たちは駐車場の車に寄るわけですが,そこには既にエクレール嬢の手が回っておりました.これまでは鏡夜の手駒としておなじみだった鳳のプライベートポリスが今回は敵に回るわけですがしかし!ホスト部の人材の凄さを舐めちゃいけない(笑).軍すら壊滅させるという埴之塚とそれに付き従う実力者の銛之塚.反則レベルで強いこの二人をプライベートポリス程度が止められるはずがない!
3年生たちが時間を稼いでくれる間に,1年生たちは今日のパレード用の馬車で環を追いかけることに.急激に変わる状況に流されるままのハルヒを連れて,双子は環の残した馬車を駆ります.…「あのバカを頼む」と伝言してハルヒの背中を押した鏡夜.自分は同行せずに任せるあたり,ハルヒさんなら環のことをきっと連れ戻してくれると信頼しているんでしょうね.
大暴れの先輩方を置き去りにして飛び出していく馬車.「ちゃんと手加減しろよ!」と吼えるハニー先輩は大変に男らしく(笑)直後に武装したプライベートポリスをあっさり沈静化する凄い実力と合わせて,武門の名家である埴之塚の後継者に相応しい.一時はその立場と自分のキャラのギャップに苦しんだ彼ですが,自然体の日々の中で彼なりの男らしさが見えてきたようです.…「桜蘭ホスト部をなめるなよ,お前ら」と爽やかな鏡夜.この部を一番誇りに思っているのは,この部を知り尽くしている彼かもしれません.
環を追って日没の桜蘭を疾走する馬車.光は殿を取り戻すため,無茶を承知で飛ばします! 彼らにとって,殿は二人きりで孤独な世界の扉を開いてくれた大恩人.あのとき殿が意地悪で排他的な双子にとことん喰らいついてくれたからこそ,今の楽しい日々があるのです.もしホスト部がなかったら,自分たち以外の人間と触れ合うこともなかったし,二人を見分ける奇跡に出会うこともなかったはずで…「そのホスト部が,こんないきなり終わっちゃうなんて! 僕は絶対嫌だ!」…今やそれぞれ別の道を歩き始めた双子にとって,ホスト部は当初の役目を終えつつあるわけですが,それとこれとは話が別!
けれど逸る気持ちは行き過ぎて,馬を跳ねさせ御者を馬車から落としてしまう.夜の夢を走る馬車は魔法が解ければかぼちゃに戻る.かぼちゃ畑の真ん中で夢は破れかけで泥だらけ.けれど即席の御者が動けなくなってしまっては,もはや夢は追うこともできないのか? 「僕達,本当にこんな風に終わっちゃうのか? 殿…」…かけがえのない大切なものを見失ってもはや戻らない.そんな悲しみをハルヒはとてもよく知っている.
食事が喉を通らなくなるくらい,大切なものを失うことは辛い.今朝父に心配されたときから,喪失の苦しみにハルヒの体は正直に反応していました.母を失うのに似た痛みに静かにもがく娘のことを,父はこう言って励まします.世の中には,頑張ってもどうにもならないことは一杯あるけれど…「だからこそ,頑張らなきゃいけないときは,躊躇ったりしちゃだめなのよ」…頑張ってどうにかなるのなら,自分が何者だろうと頑張らねばならない時がある!
そもそも本作の主人公は,豪華な衣装を身に纏って状況に流されるようなヤワな奴じゃない.何でもできる腕とどこにでも行ける足を持つ真っ直ぐに自立した人間.己のやるべきことに気づいたハルヒは,吹いて来た風の中,厳しい顔で長髪のカツラを取り,動きにくいドレスも脱ぎ捨てます.短い髪の,飾り気のないシンプルなペチコートを着た,細い体の少女は馬車の手綱を握る.それがどれほど怖くても,求めて走らねばならない時が来た!
流れ出すエンディングテーマの「疾走」.その曲の勢いに乗って,双子を置き去りにして一人馬車を駆り爆走するハルヒ! ショートカットを駆け抜ける彼女の前には夕暮れの海と道.海岸沿いの道を走る車の中には,この状況でもなお「会ったばかりの男と婚約するだなんて,本当に平気なのか」とエクレール嬢を心配する凄いバカの姿が! ハルヒの馬車はさらにスピードを上げ,道へと飛び出しなおも追う.背後から凛々しく迫る彼女は何も恐れない.環に馬車を止めろと言われてももう止まらない! 「先輩,戻ってきてください!」
走る道は橋の上へ.美しい夕景や同乗者の存在などそっちのけにしてオープンカーと馬車の間で交わされるバカと彼女の会話.託されて走ってきた彼女が伝える仲間の気持ちは…「みんな先輩に行ってほしくないんです!」「けど,皆ホスト部で,迷惑してるって…」「先輩はほんとにバカです! 大馬鹿です! こんなに長く付き合っていて,冗談か本気かもわからないんですか!」
…バカは本当にバカだから,言われなければ気づかない.けれど彼を動かしてきた動機の半分が存在しないことは間違いないことがここでわかって,置いてきたはずの夢が急激に環を引き戻しはじめます.しかもハルヒまで「自分も,ホスト部が好きです!」と叫んで手を差し伸べる.…環が作ったホスト部は彼の分身のようなもの.それを好きと言われる誘惑にぐらつかない奴などいない.車には母の幸せがあり馬車には仲間との喜びがあって,引きずられる環は馬車へと手を伸ばし…その手をすがる目で止めるエクレール.その選択が一人の女性を不幸にすると彼女は強く信じていて…

手を伸ばしてくれていたハルヒはついにバランスを崩し,海へと落ちる.

環を手に入れるため全てを尽くしたわけですが,ハルヒに命までかけられてはもはやエクレールにも止めることはできない.彼女なりに彼とその母のためになると信じたからこそ,エクレールの目からこぼれる涙.環は笑って言い残し,選んだものに向かって飛ぶ! …ハルヒを呼ぶ彼の声はいつもと変わりなく,環を呼ぶ彼女の声は確かに少女のもの.赤い空の中,取り戻しに来た彼女は守るべき娘なんかよりずっと力強くて,けれど抱きしめたいもので…きっと環は,はじめて自分が恋に落ちていたことに気づくのだ.
白い二人は一緒になって海へと落下.そして,ずぶ濡れの1話に戻ります.ハルヒが環を認めたのは,困っていた自分を純粋な善意で助けてくれた1話のあの時なのです.無茶をした彼女を抱いて岸へと近づく環.けれどハルヒはびしょ濡れも気にせずに,「いいじゃないですか.水も滴るいい男って,言うでしょ?」とあの時の言葉をそのまま返す.結局夢は醒めずに続行決定.バカはバカのまま,仲間はいつも一緒で…彼女は誰よりも男前.
ハルヒたちが取り戻してしまったら,エクレールは去るしかありません.彼女がここまでえげつなかったのは,家政婦にピアノを弾いてくれた息子のことを聞かされていたから.確かに彼は話のとおりに優しくて,がんじがらめに縛りつけたエクレールに向かい「ありがとう」と言い残したバカな奴.…それでも彼女の身を案じて笑った環は,最後まで花咲くような最高のもてなしを貫いたのです.

桜蘭祭のラストを飾る夜のダンスパーティ.その裏側では,鳳家の買収問題の顛末が環の父と鏡夜の父の間で語られていました.突如別のファンドマネージャーが登場し鳳の会社を先に買収.その上で経営権を鳳家に譲ると提案してきたため,グラントネールは敵対的買収に失敗し手を引くことに.もちろんファンドマネージャーは彼の息子である鳳鏡夜! …ホスト部で儲けた分を投資で順調に増やしてやがったんですね(笑).
自分の親の会社を買収してしまうほどに優秀な鳳鏡夜と,そんな優秀な鏡夜の心を,一度手にした会社を親に突き返させるように変えてしまった須王環.幼い頃からちらつかされてきたエサをいらないと突き返したのは…「あいつは見つけたんですよ.それ以上に価値のあるものを…恐らくは,環君のおかげで」
ダンスパーティではハルヒさんがペチコート姿のまま,ホスト部の皆を相手にくるくると踊っております.もの凄くバレそうなんですが(笑)そこはフィクション,皆素晴らしい女装だと信じ込んでいるに違いない.環がダンスを求めたところ,なぜか鏡夜がひょいとさらっていって環はすっかりおかんむり.けれどしばらく踊ったあとで,きちんと鏡夜は環に渡します.…そしてはじまる主役二人の麗しいダンス.ホスト部の仲間たちを変えた環を変えたのは唯一ハルヒのみ.だから彼女は誰よりも凄いのです.
エクレールという雷すら越えた藤岡ハルヒ,須王家と鳳家の両家が認め,それぞれ自分の息子の妻にしたいと強く希望するほどの眩い才能.ごく普通のざっくりとした庶民だった彼女は26話の間に日本や世界を揺り動かすほどの存在へと化けたわけですが…この物語はあくまでも幸せで華やかな夢の話.夢の中ならこの程度の常識外れは可愛いものでしょう. …そして,人を喜ばせる華麗なる遊戯,終わらない夢は醒めることなく,どこまでも続いていくのです.

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桜蘭高校ホスト部#25

「夢覚ます現実の声の巻」

桜蘭祭は学校全体が浮き立つ年に1度の大イベント.将来のリーダー候補たちがふんだんに資金を投入し,設営の実作業は業者に行わせて生徒はその指示に専念するのだ.ホスト部は中央塔サロンで父兄や来賓の皆様に対し一般公開営業を行い.さらにフランスからはクラシック馬車を空輸して派手にパレードまで行う予定.普段以上に華々しくかつ値の張る環のわがままは,さすがの鏡夜も音を上げるほどだ.
ホスト部公開営業は,いつも以上にネコをかぶった接客によって大盛況.そんな客に混じって彼らの父兄もやってくる.この学校の理事長であり環の父である須王譲はハルヒを指名.鏡夜の父は私に恥をかかせるつもりかと息子の頬を叩く.そして,見慣れぬ令嬢を連れてきた環の祖母は,令嬢を学祭期間中エスコートするように環に命じ,環はそれを微笑んで受け入れた.

原作のポテンシャルを十二分に生かした素晴らしい映像と演出で,ここまで愉快なダンスを踊ってきた「ホスト部」もついにフィナーレへ! 物語をきっちりと閉じるため,最後はらしくないシリアスな雰囲気で彼らの現在を描きます.2年前にフランスからやってきた環のくだらない思いつきをそのくだらなさに惚れこんだ鏡夜が補佐し,これと見込んだ4人の仲間をさらに集めて誕生したホスト部.愉快な日々を1年ほど続けたところで入学してきたのが特待生のハルヒさん.少年に見えて実は少女であった彼女は割った壷の代金を支払うためにホスト部で男と偽って働くことになり,常識はずれで不本意な部活動の中で彼女は仲間たちの様々な顔を知っていき…そして現在.
本来は勉学に励まねばならないハルヒさんは,成り行きで嫌々ながらもこの部で活動することになったわけですが,やたらと良い彼女の目に映った同級生や先輩たちの姿は…問題は多々あるものの(笑)決して悪くはなくて,一見不可思議に見える行動の中にも稀にまともな理由が混ざっていることを知ったところではじまるのが,2話連続の最後のエピソード.過去にそれぞれイメージやら扉やら枠やらを意図して越えて集ったホスト部の中では,入部理由が成り行きなハルヒさんは異質.そんな彼女が等質であるかどうかを確認するのが,このエピソードの最終的な目的となります.

前半.歴史ある桜蘭の学校祭は実に豪勢.普段から十二分に常識離れしているこの学校ですが,祭りとなればレベルが違う.しかも金持ち学校ゆえに,業者使いまくって企画をやるあたりが凄まじい.そこに使われる金については…やっぱし各自で持ち出している上に,上限も存在しないんだろうなぁ(苦笑).将来のリーダー候補であるからこそ,学祭くらいは手作りで下っ端で努力で忍耐で協力で感動で…という普通の奴を体験させてやればいいのに(笑).
学内のみならずその父兄にまで,生徒たちの実力をアピールする場であるこの学祭.ホスト部の企画は公開営業とスペシャルパレードなので,素敵な馬車に乗って光や殿たちが麗しくご登場.…御者の練習している光と,業者に指示を与えて場をさばく馨.「双子だって趣味や特技は違ってくるさ!」とあっさり差異を表明するあたりが成長の証.そっくりであることが最大の個性でであった2人ですが,もはやそれに頼る必要もなくなってきているみたいですね.
明日は中世フランス風に着飾ってパレード.しかもハルヒには度派手な衣装も用意してあるとというお祭り騒ぎ! そのはじまりには,「学院の歴史に残る,桜蘭祭にするぞ!」といつも以上に無駄な気合を込めている環.その笑顔には一点の曇りもなく,ハルヒさんもつい同意してしまうほどに輝かしい.…オープニングセレモニーのダンスには過去のゲストたちが次々登場.ホスト部に関わって幸せになった人々の姿があちこちに.笠野田君もすっかり人気者になってんなぁ(笑).おもてなしによってこれだけの人達が幸せな時間を手にいれたってことは,ホスト部ってのはやっぱりいい部活なんだよな.
そんなホスト部が中央塔サロンに出張する一般公開営業.普段でも正気で考えれば相当恥ずかしい部活ですが,会期中は父兄や来賓の皆様方にまでさらすってんだから実に豪気.こんなときには正気に戻ったら負けなので(笑)いつも以上に華やかに,咲き誇るように接客! これまでに蓄積した接客ノウハウを惜しみなく投入し,全力でおもてなしいたします!
今回は普段の常連の保護者の皆様が主要な客となるわけですが,その中には部活が部活だけに眉をひそめる,至って正常な判断能力の方もいらっしゃるわけですがしかし!あらゆる意味で恥知らずである環にとっては彼女もお客様以外の何者でもない.「この部の本当の目的は,マダムのような美しい花とひと時を過ごしたいという,僕のわがままでしかないのですから」と素晴らしいマダムキラーぶりで見事に倒す! 天性の魅力にひたすらに磨きをかけた彼の接客には死角はないようです.
もちろん他の部員たちもその才能を如何なく発揮.ハニー先輩とモリ先輩のほのぼのセットは誤解混じりながらも(笑)見事に機能.性悪な本性を上手に隠す双子の薄幸演技ぶりも堂に入ったもの.そして社交的教養とか日々幅広く研究とか,いけしゃあしゃあと耳障りのいい大嘘をつく鏡夜の度胸,あるいは自己暗示ぶりも実に見事で.一同の全開ぶりにすっかりハルヒも呆れてしまいます.
露出の多いこの機会だからこそ,ホスト部の魅力をアピールするのだと張り切る環.しかし「今回は予算をかけすぎた」と珍しく鏡夜が音を上げてみせました.なんせパレードのためだけにフランスのクラシック馬車を空輸させやがりましたからね! そのわがままぶりはあの鏡夜すら困らせるレベルだってのに,「このホストキングのわがままこそ!皆を幸せにするわがままなのだ!」と自由すぎる環は反省の色なし! …そんなバカを,青い目に赤いドレスの女性がじっと睨んでいます.彼女はハルヒさんを見て電球をつけてみたり,なんだか怪しげ.
客足は途切れることなくついには大物たちが続々登場! まずは環の「お父さん!」,桜蘭の理事長である須王譲.冷静で貫禄のあるナイスミドルは息子そっちのけで鏡夜とにこやかに会話.さっくり無視されちゃてる息子が哀れだ(笑).しかも父の指名ときたら環の大事なハルヒさん! …そんな様子を,未だ例の彼女がじーっと見ています.
てなわけで,やたらにきらきらした理事長につくことになったハルヒさん.貫禄や落ち着きがあっていかにも軽い環とはあまり似ていない…ように一瞬見えますが,「私のことは…そう,お・じ・さ・ま,と,呼んでくれたまえっ」とちょっと喋れば「やっぱり環先輩のお父さんだ」とハルヒさんもすっかり納得.しかもハルヒさんのことを気にかけていたようで,いつでも遠慮なく言いなさいと異様に親しげで積極的なところもそっくり.そんな自分の父とハルヒさんを取り合う環.須王家の父子の仲は悪くないようですが….
突如響く頬を張る音.こんなところで,鏡夜が彼の父親に叩かれている! 「こんなふざけた部活動をやってたのか」「私に恥をかかせるつもりか!」と鏡夜の父が怒るのは…まあ,もっともなことですが(苦笑)公共の面前で家の事情を曝すだなんて,計算高い奴がやることじゃないですね.出来のいい子を4人も持ちながらもなお厳しい鏡夜の父に,あんたはやっぱり欲が深いよと環の父.そして…「マスコミが騒ぐのも時間の問題でしょうが…まさか八つ当たりではないでしょうな?」と大変に気がかりな話をしております.
父同士の丁々発止の横ではホスト部の仲間がやられた鏡夜を心配.眼鏡をかけた人を殴るなんて!とハニー先輩が微妙な観点から怒っております(笑).鏡夜が殴られたのがホスト部をやっているせいだと聞いて,まったく気づいていなかったらしく本気で驚く環と「予想はしていたことだ」とのみ答える鏡夜.どうやらアホの環はホスト部への入部は幸せしかもたらさないと信じ込んでいて,負の側面にはまったく気づいていなかった御様子です.
自分たちとお客様が楽しむための部活なのに,それで苦しむ人もいるのだと今更気づいた環.父も「わがままは高くつくものだ」とアホの息子に被せてお説教.責任ある立場と自由な行動は二律背反.どちらかしか選べない辛さは,立場ゆえに愛する者と別れることになった父は人よりもよく理解している.そして同じように責任ある立場を要求される環だって,同じ道を辿るかもしれなくて…「これからお前はどうしたい?」.人には,絶対に欲しくて手放せないものがある.須王の家の代償としてそれを差し出さねばならないとしたら….
贅を尽くしわがままを通すも,これまでその代償を支払ってこなかった幸せな王子様.しかし略奪者の登場で,本作を本作たらしめる華やかな明るさが消えていきます.やってきたのは環の祖母.環は無邪気に喜んでますが,環と彼の母と祖母の関係を知っている仲間たちからすると,彼女は環を傷つけた憎むべき存在.自分たちを枠の中から救ってくれた恩人であり仲間に対して,「…汚らわしい」と吐き捨てるような奴を許せるわけもない.
そんな祖母が環に命じるのは,さっきからオペラグラスでこちらをじっと観察していたエクレール嬢のエスコート.しかも学祭の期間中,部活そっちのけでやれってんだからひどい話で…けれどそんな無茶な要求に対しても環は微笑み,「彼女に喜んでいただけるよう,全力を尽くします」と答えてしまう.誰のどんな要求にも応えて,他を幸せにするのがホスト王ですが…彼自身の幸せは一体どこに.

後半.エクレール嬢のエスコートに専念し,部活を放り出すことになってしまった環.彼女の正体についてはフランスにいたれんげさんがよく知っておりました.エクレール・トネール嬢は名家トネール家の三女.現在日本市場を侵略中のグラントネールのオーナー家の令嬢ということで,環とは家柄的には似合いの相手.…ただし随分と高飛車な上にわがままで,あの環が考えたもてなしにも手厳しい評価しか返さず,学生の作品などお気に召さない彼女が求めたのはなぜか「環のピアノが聞きたいな」.
いきなりの乱入者に部の中心を持って行かれてしまい,さすがのハルヒも彼の様子が気になっていたところ,第3音楽室で偶然三者が再び接近することに.環がエクレール嬢にピアノを弾くのを,たまたま準備室で聞くことなったハルヒさん.聞く者を魅了する彼のピアノは美しく,なぜかエクレール嬢の脳裏には,自分ともう一人の女性の姿が浮かびます.…眼鏡以上にオペラグラスは遠くを見通すもの.それを持つエクレールは実に勘がいいようで,扉の影に誰かがいて聞いていることすら,鋭敏に気づいているようです.
環の作ったホスト部は,家族同然に仲がいい.…環自身は知りませんが,環を守ろうとする部員達の結束に関しては家族の域を超えてしまっているかもしれないほどに.しかしエクレール嬢は,家族でもないのに家族ごっことままごと呼ばわり.その上,環のわがままで皆辛い思いをしているんじゃないの?と,夢を壊すほどにキツい着つけ薬をかまします.
確かに鏡夜はさっき彼の父に殴られていた.これまで環は皆の幸せにするためにわがままを通して突進してきたけれど,もしかしたら皆はわがままの裏でいろんなものを犠牲にしているのかもと,今更気づかなくていいことに気づいてしまうのです.確かに環がハルヒさんの勉強時間を奪っているのは本当.…けれど,その代償にハルヒさんが得たものの大きさまでは,単純バカゆえに推測することができないのです.
環の夢を壊そうとするエクレール嬢の言葉に対し,理由はわからないものの腹を立てたハルヒさんが準備室から登場.そしてサロンをほったらかしてみんな怒ってますよと不機嫌に報告.…ここで自分が部活を放り出していることに今更気づく環が情けない(笑).環をままごとの夢の世界へとぶっきらぼうに引き戻そうとするハルヒの言葉に「焼きもちを焼いてるみたい」とエクレール嬢が言ったなら,まさか環が大喜びするとは(笑).そりゃこんだけバレバレならば,二人の関係に気づくのが普通です.
「違いますよ」とざっくり否定し,お邪魔して申し訳ありませんでした!と立ち去るハルヒ.環の大好きな夢の娘が立ち去ろうとするのを止めるエクレール.現実の中のエクレールには豆狸でも,夢の中の環には大事な娘.もちろん夢は幻で,醒めた現実から見れば「代用品」.夢の中で娘を追いかけようとする王に向かって,「環が一番欲しいものを,私はあげることができる」と現実が迫ります.
その頃,お色直しはしたものの,どうしても憂いが残ってしまうハルヒ.焼きもちっぽいと仲間にも言われて「だから違いますって!」とずばっと否定してるのがおかしい.けれど今日の環に一番腹を立てているのは他ならぬハルヒさんなので焼きもち扱いされるのは仕方ないところ.なんせ仲間たちはハルヒよりも環の事情をよく知っていて,どうしても怒りよりも心配や同情の方が先に立ってしまうのです.
今回の件の元凶は突然の環の祖母の命令.なぜ環があのように祖母に冷たく当たられているのか,ハルヒは未だその理由を知りません.けれどそこが分からなければこの件の正しい構図が理解できず,バカだけど決して悪くない…どころかむしろ凄い環に同情することもできないので,「要するに殿ってお妾さんの子なのよ」と仲間が暴露をはじめます.

二十数年前,須王家の先代は若くして他界.環の父が政略結婚の上で後を継ぐ.しかしその数年後,環の父はフランスで恋に落ちて環が生まれた.…熱狂の恋の結果として生まれたから,あんな珍妙な性格になってしまったんだろうか.もちろん祖母は不倫の恋など大反対で,父子は日本とフランスに分かたれて14年.環自身は病弱な母の傍でそれなりに幸せな少年時代を過ごしたと言うけれど,父はなく,母が心配で友達と自由に遊べない状況はどの程度の幸せなんだろう.…それでも自分を愛してくれる家族との暮らせる分だけ,今よりはまだマシだったのかもしれません.
やがて母の実家は事業の失敗で負債を抱え,それを機として須王の血をひく環を祖母が奪いに来ました.…不自由ない暮らしと引き換えに息子をよこせという横暴極まりない交換条件を受け入れるしかないほどに母は病弱.環は母のために日本にやってきて,その後,母は行方不明.…これは既に母を失っているハルヒまでへこませるほどに悲しい話.会えない辛さはよくわかるし,だからこそ今のあの明るさに驚きもする.そしてそこまでした相手を歓待し従う彼は本当に凄いと,今更ながらに気づくのです.
現実の家族を失い続けた環は,鏡夜と出会った後にこの学校で夢の家族を作りました.そしてその素っ頓狂な夢にここまで救われてきた仲間たちは,「全てを受け入れた上で,あいつは今ここにいるんだ」と,彼の苦く深い過去も含めて環のことを認めていたわけですが….
夢のサロンの扉を現実が開きます.エクレール嬢とともに突如登場した夢の中心は…「俺はこのエクレール・トネール嬢と婚約することにした」といきなりの宣言! さらに「ホスト部はこの桜蘭祭が終わり次第,解散する」…それはここまで仲間たちを救ってきた長い夜の夢を壊す鶏声.きらびやかな闇をつまらない現実に戻す無粋な光.それをもたらしたエクレール嬢は,一体何を言ったのか.そして本当に大切なものを奪われそうな一同は,果たして取り戻すことはできるのか.ぐっと押し込まれた物語がやがて大きく反発して飛ぶ,次回,最終回に続きます!

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桜蘭高校ホスト部#24

「悪い笑顔があなたの真実の巻」

ホスト部が現在の隆盛を極める2年前.中等部の鳳鏡夜は枠の中から世界を打算で眺め,姉以外には内心を吐露することもなく,三男という分を守って退屈な日々を過ごしていた.そんな硬直した日々に飛び込んできたのが須王環.須王財閥の後継者と目される彼に打算から近づく鏡夜だが,ハーフの御曹司の考えることは滅茶苦茶.その突拍子のなさは鏡夜の全能力を発揮しても追いつけないほどに,ひどかった.

基本は1話,ときどき2話完結で終盤まで走ってきた「ホスト部」.いいところで切って次回に視聴者を引っ張り,クライマックスでは数話かけて盛り上げまくることが可能な連続モノと違い,各話完結のスタイルは基本的にヒキが弱いし,クライマックスの持続も難しい.しかしそこらの問題を補えるくらいに内容が洗練されていれば,途中の1話を見せただけでもいきなり視聴者をファンにできる,そんな強力な作品へと化けます.例えば終盤のこの1話でも,初めて見た奴を強く魅了する可能性は十二分にあり.各話の完成度の高さこそが,本作の最大の武器なわけです.
てなわけで今回はデパート以来の鏡夜の当番回.絵コンテ・演出を京田氏が担当し,端正で暗喩に満ちた素晴らしい物語が展開します.午後3時に向けて進んで行く時計,収まり切らなくなっていく部屋など,それを匂わせる仕組みは満載なんですが一番はやはりあの絵! 文字どおり少年が父の枠を越えて行く,美しい叙情詩です.

前半.いつもの放課後の午後3時,ホスト部の本日のおもてなしはちょっと早いコタツサービス.上流階級の皆様には見慣れない家具なのが微妙に腹が立ちますが(笑)密着度はいつもよりも高くなるから大好評…だろうなぁ.ちなみにこの企画もやっぱり環の提案で,改めてハルヒが不思議に思うのは,この部での鏡夜の存在.なんでアホにつきあってホスト部なんかを立ち上げたのか? クールでまともな彼がここまで忠実に付き従うのは…「突拍子もないからさ」.
鏡夜と環が出会ったのは2年前.その頃の鏡夜は鳳家の三男という立場に縛られて,相当鬱屈しておりました.麗しい午後3時にはまだ速い午前8時半.言葉も,好意も,誘いも,鏡夜の世界では打算の塊に過ぎない.精神年齢相当高めの彼は,腹黒くしかし冷静に.誰にも底を見せないままに,うまく立ち回っているつもりでした.
鏡夜が赤裸々に内心を吐露できるのは,きっと姉の芙裕美さんの前だけでしょう.しかもギブアンドテイクなのだと露悪趣味に自分の不純さ根性の悪さを冷めた口調で自嘲するというヒネっぷり.天然らしい姉は純粋に星を眺めたいのかもしれないとか言ってますが,悲しいことに,賢すぎる鏡夜はそれが幻想に過ぎないことをよく知っている.…ちなみに引っ掻き回されるクローゼットは,そのまま鏡夜の抑圧した欲望.押し込めてはいるけれど,ちょっとしたきっかけでどんどん溢れてきてしまう.
厳格な父から与えられる,名家の三男らしい厳しいプレッシャー.姉から見れば折角の末っ子の癖に鏡夜はあまりに気負い過ぎで,「少しくらい気を抜いたっていいのよ」と言ってみたくもなるわけですが,それはヒネた末っ子にとっては厭味以外の何物でもない.自分が鳳を継ぐことはありえない.三男はややうつむいて己の報われぬ立場を語り…愚痴るだなんて,2年後の鏡夜からは考えられないなぁ(苦笑).
第1候補の長男と,そのスペアであり競争者の次男.後継者レースは上の2人の間で競われて,三男には入り込む余地などない.…どれだけ頑張っても報われる可能性はなさそうなのに,鏡夜は期待に応えようと努力してしまう.「かけられた期待には必ず答え,しかし必ず兄を立てる」…前には出過ぎず,自身の能力と欲望を押し込める努力.既に準備された額縁に合うように,美しく.端正に.はみ出さないように….
しかも才能溢れる鏡夜は,抑えることも上手にこなしてしまう.「でもそれで,楽しいの?」…もちろん楽しいわけがないけれど,「楽しいとか楽しくないなんて,関係ないですよ」.もっと才能が無ければ,もっと鈍ければ,もっと自制心が弱ければ,こんなつまらない状況にはならなかったはずなのに.
そんな退屈な日々を乱す原因となったのが,須王の後継者の編入.政略的に敵の子息と仲良くすることを貪欲で厳しい父に指示された三男.抜群の情報収集能力と優れた分析力・洞察力で本音を見透かし,姉以外にはたとえ肉親でも本音を見せない.誰であろうと自分の優位は揺らがないと自信もあったわけですが…本当に相手が悪かった(苦笑).会長の妾の子で後継者候補として引き取られた須王環.生まれつき後継者レースからは外されていると感じている鏡夜には,手に入れるべき立場で無いのに運良く手にしている彼が,うらやましくてたまらない.出会う前から印象は最悪!
そして9時.顔をあわせた須王環は,きらびやかな外見でいい笑顔.髪を心にたとえて褒めることで早速副委員長を魅了しておりますが実は…というのは,ここでは語られないまた別の話(笑).歯の浮く台詞を気負いもなく発する超自然体の環と,もはや爆発寸前のものを抱える鏡夜の握手.この学校を代表する強力なタッグの歴史は,ここからはじまったのです.
いきなり「君の家にこたつはあるか?」と聞きはじめる,やたらとコタツに魅了されてるライバル財閥の御曹司.家に洋間しかないから入れないとやたら熱心に語ります.鏡夜は日本文化憧れ系かと看破したまではよかったんですが…まさかうちにもないと答えたら,あんなバカでかいリアクションが戻ってくるとまでは予測してなかった(笑).恐らく出会って十数分で,いきなり奴は鏡夜の予測した世界から外れたのです.
こたつがないことになぜかしおしおの環.しかも無神経なことを言ったと「ゴメンよ鳳君」といきなり謝り出しました.こたつは家族団欒の象徴だからという理由で「君の家は,家族仲がうまくいっていないんだな!」…そっちの方がよっぽど無神経の上に,しかも当たっているから腹が立つ(笑).環の変なところでリアルなこたつ知識,一体どこで仕入れたんだろ.ちなみにこたつ=家族の信頼関係を構築する装置なので,ラストはああなるわけですね.
「…でもそっか,君ん家にはないのか」と憐憫の目でこちらを見る喜怒哀楽の激しい御曹司.鏡夜がいらつく心を抑えて用意しようかと言ったなら,手に持ったものを放棄して抱きついて大喜びするなんてなんだろうこいつ(笑)「君は親友だ! 大親友だ!」となつき倒して,勝手にファーストネームで呼ぶことも決定!「ブラーボー,キョーヤー,モナーミー!」と大喜び!
日本かぶれのテンション高いバカ.それが鏡夜の環に対する第一印象.そのあまりの壮絶ぶりを自宅で姉に話してみます.モナミモナミと連呼して親友の意味すら理解してなさそうなアホに主導権を奪われ,タンスのように閉じ込めたはずの感情をひっかきまわされて押さえ切れない.上手に詰め込みすぎで一度出したらもう収まらないから,「だから,出さないでください」
たった1日経過しただけだってのに,時はさらに進んで11時.午後3時まではあと4時間.環が真剣に申し出るお願いは京都旅行.日本かぶれらしく外国人観光スポットとして絶大なる人気を誇る京都に行きたい気持ちはわかる! わかる,けど…京都には奈良の大仏も五稜郭もシーサーもナマハゲもねえよ.つうか,少なくとも「奈良」の大仏な時点で気がつけよ(苦笑).
子どものように目を輝かせて間違った要求をしてくる環に対し,鏡夜はやんわりとダメを出し.それに衝撃を受けた環はまたもしおしおで体育座り.…この頃から癖だったのか.思った以上のバカに今週末の休みから順に各地を回ろうと提案したなら,またも抱きつかれなつかれる.昨日のモナミは神様やら大仏様へと一足飛びにランクアップ.神様の安さに,鏡夜は嘆じるしかないのです.

後半.モナミ改め神様となった鏡夜と,筋金入りのアホである環.2人のクラスメイトとしての日々はそのまま混乱と困惑の日々.他人の行動を読むことにかけてはかなりの自信があった鏡夜であっても,アホの考えることにはついていけない.いつの間にやらクラスにも彼以上になじんでしまう人当たりの良さ,ナマハゲとシーサーを間違えるやっぱりのアホさ.その他様々な環の特質が鏡夜の日常を変えていきます…乱れる感情のように散らかっている部屋の中,テーブルの上には観光ガイド雑誌がてんこ盛り.アホの相手に鏡夜自らツアーガイドの支度に余念なし.なんせ環は本当に筋金入りで,鏡夜が本気でかかってもなお予測を越える,本当に困った奴なのです(笑).
春なのに大文字の送り火が見たい,沖縄ソバと信州ソバの食べ比べしたい,シーサーとナマハゲの夢の競演が見たい.環の要求はいつだって予測の外にあり,しかもそれが難しいとわかったら体育座りで,「…すまない.君の能力を…過大評価しすぎていた」と喧嘩を売りやがる(笑).感情を押さえ切れない鏡夜は負けん気剥き出しで完璧な準備を整えるものの!…勇んで北海道に誘ったら,試験勉強を理由に断りやがったよあのバカ!
「試験が終わったら遊んでやるから」と言われ,鏡夜はぐちゃぐちゃの部屋で大暴れ! 「あの野郎!」とらしくもない叫びを上げる鏡夜は,本当に余裕のある現在の彼に比べるとまだまだガキなんですね(笑).ツッコミ属性を持つ者にとって,ボケにバカにされることほど辛いことはないわけで,約束を忘れてしれっとしている大馬鹿野郎に腹を立てる.…嫌々つきあっているんなら,行くのが中止はうれしいことのはずなんだけどなぁ(苦笑).
「これほどまでに誰かを殴りたいと思ったことはあるか? 否,断じて否だ!」…もちろん立派すぎる自制心を持つ鏡夜が環を殴ることなんかありえない.三男としての立場を考えてしまうと,まだまだ部屋の外では自由にふるまう覚悟はない.あれでも須王の後継者と暴れる心を必死でなだめ,父から試されているのは俺の対応能力なのだと自分自身に言い訳し,それでも「誰がコタツなど用意してやるものか!」と,約束を破ったバカへの怒りは収まらない.
普段はあまりに大人びて子どもらしくなくて,姉的にはそんな鏡夜の窮屈さが気になっていたところ.もちろん嫌な相手なら無理につきあう必要はないわけですが…「こんなに楽しそうな鏡夜さん,はじめて見たわ!」と微笑ましく放置.…当の鏡夜はんーんー言いながら長椅子にパンチを繰り出しているので,これを「たのしそう」と形容するあたりがさすがは姉.現在のところ彼の本心を正確に把握しているのは彼女くらいでしょう.
アホに翻弄される日々の中,久々にやってきた静かな日曜日.穏やかに終わるはずのその日,鏡夜はとうとう限界を壊すことになります.唐突に自宅にやってきた「お友達」.聞いて呆然とするくらいに鏡夜には心当たりがなかったものの,バカは伊達にモナミを連呼していたわけではありません.
先に通され,ピアノを弾いていた環と,それを聞いている兄たち.あのバカとは思えないほど美しい少年が奏でる,涙が出るほど美しい音色.思うまま,計算抜きで彼が誰かのために奏でる音色は,兄たちだけでなく,鏡夜の涙腺までも直撃します.…なぜその音色に至ったのか,人を深く見抜く目が鋭く反応してしまったんだろうか.
てなわけで唐突にやってきた招かれざる客は,鏡夜の本性に限りなく近い彼の部屋の中へ.試験勉強など無視し,この家の広さをフランスの家と比べてみたり…もちろん彼には鏡夜に嫌味を言ったりする頭も意図もない.確かに須王邸の方が大きいけれど,環は本邸に入ったことがなく第二邸暮らし.運のいいアホの御曹司のはずが,彼は幸福の中にいるわけではなかったのです.
そのあたりは横に置き,鳳家は鏡夜が継ぐのか?とデリカシーなく踏み込む環.それは鏡夜にとっては逆鱗に等しい話題なんですが,それでもぐっと踏みとどまって,継ぐはずないだろと返してみたら…「あれ,それは意外!」と本当に不思議そう.「君はもっと,貪欲な人間かと思ってた! だって,現状に全然満足してないって目だろ? それ」…どう頑張っても見透かせない男は,自分の内側をまじまじと覗き込んでいたのです.
意外と諦めいいんだなと不思議がるバカを前にして,ついに押し込めてきたものが噴き上りはじめます.自分の未来は諦めるより前から決まっている.当たり前のように家を継ぐ人間にはわからないのかなと憎憎しげに嫌味を言ったら,「俺は須王を継ぐとは決まってないぞ?」とまたも環は不思議そう.妾の子ゆえに祖母に嫌われ,今のままでは全然跡継ぎじゃないと,彼は自身の苦しい立場をあっさりと吐露するのです.
実は鏡夜といい勝負であった環.しかし良く似た彼の現状に対するスタンスが,鏡夜の頑なな我慢をついに壊します.父の仕事に興味がないわけじゃないけれど,美貌や優秀な頭脳を生かせば別の選択肢だってありえるはずだし,北の大地に動物王国を作る夢もあるし…と後継の道すらも1つの選択肢扱いする環.それは欲しくてたまらない選択肢すら選ばせてもらえない鏡夜にとっては贅沢で…鏡夜の表情がその内面と一致していきます.
「ふざけるな!」とテーブルをひっくり返す鏡夜.「なぜそんな簡単に諦めたようなことが言える!」と環の胸倉を掴んで怒る.いくらでも上にいけるチャンスがあるのになぜもっと努力をしない,なぜ恵まれた立場を利用しないのかと感情をぶつける.「お前は一体何なんだ!」…お前は馬鹿なのに,何故俺を見抜く!! 黒バックに書かれた乱暴な手書き文字こそ,決して他人に見せたくなかった本心!
本当に欲しいものが目の前にある.自分にはそれを掴む能力もある.だけど三男という額縁に縛られ,無力感ばかりが募ったがゆえのこの凶行.けれど環はまったく慌てることがなく,鏡のように言葉を返します.「何もしてないのに諦めてるのは,お前の方だ!」…同じように額の前に座らせられていた環.しかし彼は自分の絵を描くことよりも先に,横で絵を描いている自分とよく似た奴の手を引っ張って,額の外に筆を落とさせようとしていたのでした.
そして,さっきのシリアスを忘れたかのように,そろそろ用意してくれたんじゃないかとこたつを求める環.自分の鬱屈を解消する方法にようやく気づいた鏡夜は,爽やかな悪い顔で腹を抱えて大爆笑した上にバカの頭に拳を落とす(笑).三男への期待も打算も放り投げ,己が思っていたとおりに,筆をごつんと落とすのです.
コタツは冬,入りたければ冬まで待てと睥睨するその悪い笑顔に「ほんとはそういう顔なのか」と環.…美しいけれど華奢な三男の額縁.一度そこから溢れた色はもう止まらない.自負するほどの才能と強い欲望を広げられる場所は壁一面.抑圧の青ではなく情熱の赤と虹に輝く大輪の花を咲かせます.…しかも,絵を描くことすら自由.壁の前から離れたって構わないのです.

枠を壊して4ヶ月.冬になり,鏡夜の家で約束のコタツに入った環が思いついたのが「部を立ち上げよう!」.我々の美貌を生かしたその名もホスト部! 突拍子もないたわごとに鏡夜は環を足蹴にし,無邪気な環の計画は止まらない.2人と同じように暗黙の額の前に立たされている連中を連れてきて,6人で新しい絵を描いたなら,どんな絵に,どんな風景になるのだろう! …すっかりなじんできた悪い笑顔と,茶柱.
このような成り行きで鏡夜がアホと一緒に進ことになった高等部には,皆様既にご存知のとおり,様々なものが待っていたのでありました.もちろんその中心には環がいて毎度無茶を要求し,鏡夜がそれを実現するという関係にも変化なし.こんな有能な奴を初対面でモナミと見込んでしまった環はアホだけどやっぱり凄いや! …そして,その中心が揺らぐ次回に続きます.

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桜蘭高校ホスト部#23

「世界はそれを愛と呼ぶんですがの巻」

偶然ハルヒの秘密を知ってしまった笠野田は,強烈な口止め以前にハルヒのことにすっかり惚れてしまい,その秘密を守りきる覚悟を決めた.恋した相手と話したい笠野田は今度は客としてホスト部を来訪.男が男を指名するその姿は部にたむろするお嬢さん方には格好のネタで,萌えの炎が笠野田を襲うのだった.
ハルヒの秘密がバレてしまった上に彼はハルヒに惚れている.その事実だけで真っ白に燃え尽きていた環.このままではハルヒが姐さんになってしまうと双子に焚き付けられてようやく意識を取り戻すのだが….

硬軟混ざった青春の魔法の世界を楽しく描く「ホスト部」.秀作で普通という恐ろしい状況でここまで走ってきてますが,今回は凄い! 内容的にここ数話分の総決算となる回であることを割り引いたとしても,間違いなく傑作回です! 原作に比べると大幅に表現が誇張され極端な描写になっているところが多いんですが,元々の物語のテンションがとんでもなく高いのでここまでやっても大丈夫.…本来,ハルヒさんと笠野田くんの普通の会話はさすがに必要なはずなのに(笑)極めきったテンションを維持するためにがっつり落として萌える婦女子の皆様方に入れ替えるという豪腕ぶりも眩しすぎ.この手のアクションには定評のある松尾慎氏のベタベタな描写も素晴らしく,見所は多々ありますが…やはり本当にアホであった殿とそれに完敗する馨かな(苦笑).

前半.前回ラストより第3音楽室の準備室の中には!女の子であるハルヒさんの着替えシーンが! ハルヒのことを可愛いけど男と思っていた笠野田君には濃すぎる刺激で「ま゛!」とか言いたくなる気持ちはよくわかる.これまでかろうじて守ってきた秘密が外部に漏洩したことにホスト部は動揺.完全に怒った双子なんかまだ可愛いものですよ.
ハルヒの秘密に比べたら笠野田君の怖さなんか正直どうってこともなく,双子には責められラブリーアイテムには「はっきりしない男って,僕,クズだと思う」と毒を吐かれ(笑)若の膝は笑いっぱなし.…今回はあちこちで膝が笑ってて,静止しそうな物語のスピード感を維持するいいアクセントになってるんだよな.
ハルヒが女性であることに最後まで気づかず,気づいてからはハルヒの秘密を誰よりも大事にしていた環に至っては,あまりのショックで真っ白に.バレた事実に恐竜が吼え,下着姿を見られて宇宙で火山が大噴火! 太陽フレアが激突で閃光に全てが包まれるほど,殿の心はかつてないほど壮大に揺さぶられているのであります.
なんとしてもこの事態を亡きものにしたい(笑)双子としては,ボサノバっちをぶん殴って記憶を飛ばすのもやむなし.しかし犯罪はもみ消すのが面倒と鏡夜が2人を止めました.…もちろん鏡夜は複雑なようで単純な双子なんかよりずっと恐ろしい.にこやかな言葉の針で笠野田の口を縫い付けていくのです.
ある事情こと借金のために女性であることを隠しているハルヒさんの秘密を口止めする権利はないけれど,その時には日本政財界の黒タマネギ部隊と呼ばれる鳳プライベートポリスが動き出してしまう.そんな事態は「もちろん避けたいよね?」…随分と楽しそうに脅迫してるなぁ(苦笑).
けれど単純あるいは暗に脅迫しまくる連中よりも,本人が意図しないままに穏やかにそっと濡れたタオルで口と鼻を塞ぐハルヒさんが一番厄介なのは間違いない.見られてしまった被害者なのに,全然平気だから!とけなげにかばってくれる「彼女」に笠野田君はすっかり惹かれてしまう.で,そんな胸キュンぶりになぜか反応している殿の脳裏には太陽に惑星が激突して大崩壊! …笠野田君の恋の軌跡は,殿のものと相当よく似ているからなぁ….
てなわけで! 缶蹴りは解決したものの新たな悩みを抱えることになった笠野田君と笠野田組.新たな悩みによって若はハンスト.折角缶蹴り用の空き缶をがぶ飲みで準備したってのに,若は人一人殺めてきたかのような雰囲気で.…缶が無駄によく描けているな(笑).テツは新たな悩みができただけだと舎弟どもに説明するわけですが,好きと大好きの2択しかない恋の相手が可愛らしい男子って…その一言に「ええええええええええええ…!」と配下は総崩れ! ハルヒさんの性別を知らないとそりゃそうなるな!
横から見れば禁断の,しかし実態はノーマルな恋に悶々とする笠野田君.思い出すたび記憶はコケティッシュな方向に補正され,その悩ましさに何もできなくなっているその様はまさにアホ.強いツッコミ属性を持っていても恋は人をボケに変えるわけです.あんなに健気なハルヒさんには余程の事情があるに違いない!と思い込んだ笠野田君はマジックで「我命有限藤岡秘密守」と腕に大書.…順序が激しく間違っている気がするけども,ヤンキー漢文ならOKなのか.
かくして缶蹴り相手ではなくハルヒさんが必要になった笠野田君は,ホスト部に客として訪問した上に「ふ,藤岡を指名したい」…とか直球で言い出すもんだから,それ見た女子どもが「ええええええええええええ…!」と黄色く沸き立つ! 本当はストレートなのにそう見えないカップリングの発生に強力モーター発動! 「ついに現れたの,本物が!」とれんげさんは目を光らせちゃって興味津々だ!
恐らくはれんげさんの布教と薫陶によってかなり腐っているはずのホスト部常連の皆様方.笠野田君の怖さなんかよりホンモノに対する興味の方が先に立ち,爛々と見つめる女子どもは異様.これまで笠野田君を囲んでいた凍てつくような状況はオーブンの中のようにホットに変わり,萌え萌えな生暖かい視線の熱が集中して発火してしまいそう.視線をここまで集める熱い体験,一生に一度あるかないかですよ(笑)!
けれどこの状況にハルヒはちっとも気づかない.そして気づかないから動じずに,ごくごく自然に接客しちゃう.女の子と気づけば彼女はなお可愛いくて,あまりの緊張に膝が笑ってしまう情けなさ(苦笑).「お客様,こういうお店ははじめてですか」なーんちゃってな台詞すら蟲惑.笠野田君的には恋の動悸で下手すれば死にそうな勢い.店の片隅は二人っきりのパラダイス!
そんなパラダイスを双子はもちろん気に食わなくて,ぜひとも今すぐ追い出したい.しかし鏡夜にとっては金さえ払えば客,さらに錯覚である薔薇の香りにお客さんが萌え燃えで客が客呼ぶお祭り状況となっているので静観を決め込むつもり.…普段だって環が惜しげもなくハルヒ愛をホスト部内で披露してそうな気がしますが,父設定がくっついているのとあまりに日常であるため(笑)ここまで祭りにできないんだろうなぁ….
借金返しそうな勢いの天然コマシ娘の間接的な大活躍.でも軽井沢での失敗がある光は特に,ハルヒさんを直接止めにいくことができない.こんなときくらいしか猪突猛進の殿は役に立たないはずなのに,今回はあまりの展開にすっかり抜け殻.「行ってこーい!」とパラダイスへとぶん投げられたら,なんとか歩きはするものの心ここにあらずで「ま゛」と鳴くメカに.
すっかり意識の飛んでるメカ環.それでも本能的にハルヒと笠野田の間に座ろうとするも!ハルヒさんの大雑把な席変更が行われて失敗.さらにおまけの知恵の輪を与えられ,妨害にすらなってない(苦笑).その様は父というよりは幼児そのもので,ハルヒさんと笠野田君のいい雰囲気は壊れるどころか揺るぎもしない….
苛立つ双子は殿に電話! 上級生の現実逃避を電話口で叱ります.彼がロボットになっているうちに事態がどんどん深刻化! このままボサノバっちにかっ攫われたらハルヒは姐さんになっちゃうと,極端な表現をすることによってついに環が覚醒! …そのまな板姐さんは大変かっこいいけども(笑)「だ…だめだ…」と環は膝を笑わせます!

後半! 「お父さんは反対だー!」と絶叫しながらついに覚醒した環! ボサノバ君に「君はこんなところで何をしているのかね!」と頭から威嚇して完全復調! 舎弟は?缶蹴りは?さあ行けすぐ行け青春しろと全力で退場を要求し,それでもハルヒとお近づきになりたいというならー!とぶんぶかヤクザな下級生を振り回す(笑).このあたり作画が遊んでるなぁ…そしてラストはびしいっと! 「父であるこの俺を,倒してからにしてもらおうか!」
この展開に呆然とした笠野田君.恋する彼はボケ補正を喰らっていますが,元々は才能溢れるツッコミなので「…父って…お父さんなんですか?」「藤岡のお父さん,その若さで?」と直球を返す! 折角の決め球をピッチャー返しされ,しかも喰らった球が急所に当たって動けない.笠野田君のツッコミはガチンコなので,むしろ自称お父さんの方が追い詰められていく….最終的にはハルヒとは「父親じゃないんじゃないすか?」と,現実を言われて顔面蒼白.二の句が告げられずそのまま破裂し飛んでいく.
20話も越えて本当に今更なんだけど,「厳密に言えば俺はハルヒのお父さんじゃないんだった」と呆然とする環.…厳密に言わなくても環がハルヒの父のわけがないってのに,今になってそんなことに宇宙レベルのショックに動転し,「整理が…必要だ」.それが必要なのはあなただけとは思いますが!
仮に環がお父さんでないと仮定するならっていうかお父さんじゃないんだけど!「ハルヒのことをこんなにも可愛くいとおしいと思うのはなんなのだろう!」…凄い直球,でも投げてる先が観客席(苦笑).お父さんでもない癖に,他の奴と一緒にいるのが心配でたまらないのはなぜ? …そりゃ好きだからに決まってんだろと内心で視聴者全員がツッコんでいるはず.
凄いところで迷子になっていたこの男に導かれていると思い込んでいた馨はショック(笑).いくらなんでももっと賢いはずだと思っていたら,判明した実情は衝撃です.お嫁さん妄想については「お父さんなら普通,他の奴の嫁にやるよりは!と思うんじゃないのか?」キスを阻止するのは「娘の可愛い唇を守ってはいかんのか」…あー,えーっと.
本作らしくもないリリカルぶりで馨が想定していたホスト部の夜を走るかぼちゃの馬車.ところがこの馬車,御者がいなくてむしろ一緒に乗っていて,そんじゃ今手綱さばいてんのは誰だよ(苦笑).家族設定は今の関係を続けるための意図された予防線なんて「…意味がわからん」(笑)!
環は伊達にバカ殿じゃない.そのレベルは馨の想像の遥かに下を行き,「アホだ!」と断定されて当然.ハルヒさんに対する気持ち,特に庇護欲や独占欲にいきなりラベルをつけ間違えて,今に至っても間違ってるとわかってない.まさに無自覚の大バカ者!
この超思考を「やはりな」と納得できるのは一番理解している鏡夜くらいのもの.これまでの妄想にリアリティがないのは奴が凄いバカであるため.自分のことにうといとかそんなレベルを遥かに越えたアホぶりに,尊敬まじりのリリカル仮説をぶっ崩されてしまう馨もまた,まるでバカみたいじゃないですか(苦笑).…そりゃ本人が恋を完全に自覚していないなら,れんげさんの萌えセンサーも反応しなくなるよなぁ.
さて,本当に今更ながらも壮絶な事実が判明して混乱するホスト部を他所に,ハルヒさんはマイペース接客を続行中.当然お父さんではないけれど,先輩ってなんかうちのお父さんみたいなとこあるんだよね!とノンキなコメント.これが命の水となり己を失っていた殿があっさり復活だ! …もちろんお父さんじゃないけれど,「みたい」という言葉に必死でしがみついて離さない.…こうなるといっそ好きだと認めてしまう方がむしろ楽な気がするんですが(苦笑).
環のおかげで焦点が逸れたのを取り戻すかのように,好きか大好きの2択である笠野田君は最後のアピールにかかります.たまには秘密を知る奴の方が気が楽とか必死で自分を売り込めば,「うれしいよ! カサノバ君と仲良くなれて」とハルヒさんの笑顔が美しい.萌え焼け死にそうな凄くいい雰囲気の中でお父さんみたいはどうすりゃいい? 自分と同じ経緯を辿って,自分より先に進んで行こうとするこの男を….
カサノバ君はついに気持ちが抑えられず!「俺!藤岡のことが! 藤岡のことが…」と素敵な均衡を壊す告白に挑もうとします.それは男の全てを賭けた本気であり,同じ男には決して邪魔なんかできない神聖なものだけれど….ハルヒさんの鈍さはそんな神聖さすら無視! 1年前,中学時代の惨事をなぞるかのように大事な言葉も聞かないで!「やっぱり,価値観の合う友達っていいよね!」
こういう話できる人いなかったからいいよね!と,笠野田君にはご満悦のハルヒさん.ただしその良さはあくまで友達としてのもの.本人からナチュラルに駄目押しまでされてかたまったところにれんげさんが!「ま,フラれちゃいましたわっ!」「…ええっ?」フラれ男のレッテルをでかでかと貼られた笠野田君には,観客の皆様方から失恋に対する同情の言葉が雨あられ(苦笑).下手に注目を集めていたため,悲惨ぶりも半端ではない!
ありがた迷惑な同情の渦の中,それでもハルヒさんのことが好きな笠野田君は彼女の立場を考えます.…男としての生活に男からの恋愛感情なんて迷惑…なんてことは実際はないという事実が切ないけれど(苦笑)天然のハルヒさんのためにしてやれることとして!「ずっと友達だ! 俺たちは! な!」と心で血の涙を流しつつ宣言し!ここにハルヒさんに撃墜マークがまた1つ刻まれたのでありました….
御者のいないカボチャの馬車は,ハルヒの天然コーティングによって何より硬くて壊れない.不安定に安定した夢の世界を支えるために笠野田君は押し潰されて…「感動をありがとう!」と関係者全員が笠野田君の献身ぶりに涙を流します(苦笑).横で見ていた事情を知らないお客たちにはこの光景がどんな風に見えていたのか,萌え萌え桜蘭日記11号の特集をぜひ読んでみたいなぁ….
一人の男がかぼちゃに挑んで見事に返り討ち.その様子をへたりこんで見ているしかなかった環は,彼の気持ちを考えて,ちょっと胸がいためておりました.本当の過保護な父親ならば同情なんかしないはず.なのに感じる胸の痛みは,彼が父親よりも笠野田君にずっと似ていることを静かに告げているのです.

大勝負が終わった後は皆で楽しく缶蹴り.笠野田君はかなり大きなものを失いましたが,それでも得たものはちゃんとあるので我慢してください(苦笑).逃げ出した環とハルヒがあのバラの東屋に隠れたら,そこには鏡夜や双子まで.お父さんみたいはお父さんではないのでハルヒと一緒でいなきゃいけないわけじゃない.お父さんみたいはお父さんじゃないから,ハルヒの隣に座る権利を賭けて,この馬車の中で候補たちと競う義務があるのです.
そんな椅子取りゲームを達観した上級生二人は上から見守っております.発展途上の光に,自分のことがわかってない超鈍感の環,そしてその他2名には環と同じ無自覚さんが隠れてる…? 御者なしに疾走する丈夫なかぼちゃの馬車の中,一体誰がハルヒを手に入れるのか? …本人が「誰のものでもありません!」と言い切っているからなぁ(苦笑).ところでハルヒ本人は,まったく恋愛感情がないのと恋愛感情は多少なりあるものの無自覚のどちらなんだろう? 恋の行方をちょいと横に置いて過去へと戻る,次回に続きます.

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桜蘭高校ホスト部#22

「真実はなんて悩ましいの巻」

笠野田組の跡取り息子,1年D組の笠野田律.彼は生来の目つきがあまりにも怖すぎて,学校どころか組ですら浮いていた.本当は他人と仲良くしたい彼は同じように目つきが悪くて無口で無愛想の癖に皆から好かれるモリ先輩に弟子入りを志願するのだが,とても手に負えないモリ先輩は仲間に助けを求める.
カサノバとかボサノバとか適当に呼ばれ,モリ先輩との相違点はラブリーアイテムの有無であると主張され,ヤンキーファッションを双子主導で改善された結果もっと大変なことにされてしまう笠野田君.すっかり殿や双子のいいおもちゃになってしまった彼に向かい,悪意の篭った視線を送る者たちがいた.

たまには普通の奴もいるけれど,基本的にはホスト部抜きでも相当現実離れした桜蘭学院を舞台としている「ホスト部」.この学校は基本的には金持ちであれば入学を許されるらしいですが,内部の割り振りで家柄が効いてくるという方式.庶民特待生のハルヒは別枠扱いなんですが,家柄がいい順にA,B,Cとランク分けされ,Dともなればそれなりの人たちが集っているという寸法.この組分けだとあからさまにD組が学級崩壊に陥りそうなんですが,ピンクで清潔な校舎と圧倒的多数を占める善良な人たちのおかげでなんとかなっているのかな.
今回と次回のゲストはそんなD組の笠野田君.現在同じ日テレの土曜9時に放映されているドラマの主役の彼になんだか似てますが,強面だけど仲良くしたいというキャラはたぶん「泣いた赤鬼」の方に似ています(笑).…皆と仲良くしたいと赤鬼が相談を持ちかけた先は,まさに魔窟! 絵コンテ・演出の安斎氏の原作の整理ぶりが光ります.

前半.かなり大きな笠野田組の朝.バリバリのヤクザさんたちが勢揃いで若のお勤めをお見送りしようとするけれど,学校を「お勤め」扱いしたのが若の気に障っちゃっておっかない.…原作は少女マンガゆえに怖い顔にも限界がありましたが,アニメの笠野田君は声もひっくるめて本当に怖いなあ(笑).そんな彼の部下でありながらあんまりビビってないのが舎弟のテツ君.こっちは可愛い系ですが極道は極道.
いつものような午後3時.今日のホスト部は新選組で池田屋です.環だけは坂本竜馬に扮してノリノリ.…微妙な土佐弁以前に,新選組を従えるハーフの竜馬がおかしい(笑).普通人であったハルヒは知らなかったようですが,幕末は視聴率的には微妙なもののジャンルとしては手堅いもの.桜蘭にも大好きな女子は多くて大盛況.このジャンルの魅力について,スペシャリストのれんげさんが頼まれなくても語ります.
国のために散った気高さや,武士道を貫くストイックさを表看板として,ギムナジウム的な男子集団の禁断の香りでもって婦女子の皆様方を魅了する由緒正しいこのジャンル.池田屋もいいが五稜郭もいいってあたりはまではわかるんだけど,なんでそれでご飯3杯いけるのかはわからないままでいたいです(笑).
この手のジャンルには滅法強いれんげさんがスーパーバイズしているので,客のツボを押しまくることにも抜かりなし.わざとキャスティングしないことで妄想心を強める仕掛けにお客は見事にひっかかっております.沖田はやはりハルヒさん? その繊細ではかなげな風情は乙女の心を揺さぶるわけですが,その薄い笑いの向こうにはスーパーの豚肉が…(苦笑).
ホスト部では一番ガタイのいいモリ先輩に似合うのは,島田? 山崎? それとも相馬? …本当に武芸に長ける彼ならどの役でもしっかりハマりそうなんですが,そんな彼が見事に,しかし突然に槍術を披露したもんだからびっくり! もちろん目立たないからでも台詞がないからでもなく(苦笑)不法侵入者に反応しただけ.ここで冒頭の笠野田君が再登場.彼はモリ先輩の名を叫び,すわ討ち入り!かと思ったらなぜか弟子入り.
土下座してモリ先輩に弟子入りを志願した笠野田君.その特異性は学内でも相当有名のようで,あまりの怖さに未だ友人なし.ヤクザの息子でなくてもあの怖さでは誰も声なんかかけないだろうし,むしろクラスメイトには人間ブリザード扱いで,人間扱いしてもらってないのが気の毒かも….
けれどもこの人間凶器は,自分は生まれつき目つきが凶悪なだけだと主張.カサノバとかボサノバとかちゃかされるのは許せないけれど(笑)あくまで生まれつき悪いのは目付きだけで,その他は片寄った教育によって歪んだだけと主張するのです.
幼いころから今世紀最大の極道になる器クラスの目付きの悪さを発揮してしまった笠野田君.父直伝の極道帝王学でもってその怖さはさらに強化され,現状の兵器ぶりが完成したわけなんだけど…父の教える濁点つきの「あ゛あ゛」はともかく,濁点付きの「ま゛」に対してそれはロボだそんな言葉どこで使うんだと見事なツッコミを見せてます.幼い頃からツッコミ資質も高かったんだなぁこの人.ちなみに使いどころは今回のラストです!
抜群の素質はアレな英才教育によって磨かれて,今や誰もでも恐れられる立派なヤクザの跡取り息子が完成.けれども当の本人は周囲と仲良くしたくて仕方がないからややこしい.慕ってくれる舎弟と缶蹴りとかしたいという些細な夢など抱えていて,意外と子どもっぽいというか環みたいだからバカっぽいというか(笑).笠野田君が見込んだのは他の誰でもなくモリ先輩,どうしてそれほど好かれるのか教えて欲しいと願うのです.
モリ先輩に弟子入り志願などしているのは,きっと自分とモリ先輩が似ているのに違うと思うから.目つきが悪くて無表情で無口で無愛想で地獄の番犬なのになぜ周囲に慕われているのか! 「どうかその秘訣を,俺に!」…目前で土下座している下級生から,過分なまでの侮辱のお言葉を戴いたモリ先輩は「少し,眩暈が」(苦笑).モリ先輩はそんなに目つき悪くないよなぁ.他は…まあ置いておくとしても(笑).
笠野田君マターはモリ先輩の管轄と環は部としての不干渉を宣言.他人が口を挟んでいいことじゃない…と大人っぽく一歩退いて見せたものの,置き去りにされたモリ先輩が「タスケテ。」という相当深刻な目でこっちを見るので(笑)「いいでしょう!」と環はきれいに掌返し.きっと笠野田君に構いたくて仕方がなかったおバカさんは,バトンタッチで仲間とともに若のイメチェンに挑みます.
モリ先輩とボサノバ君の決定的な相違点について,自称キングは語ります.あってないのはラブリーアイテムのミツクニ君! そのままでは目つきが悪く冷たい印象もアイテムのおかげで一気に改善.包容力のある寡黙な好青年というイメージに見えてしまうという巧妙な戦法! …実際にはピンでも冷たい印象はそれほど漂っていないと思うんですが,ハニー先輩と一緒にいることでその魅力がより際立つのは間違いない.
殿の主張するセット売り最強説にハルヒと双子もなんだか納得.…そして言われ放題のモリ先輩は,ラブリーアイテムに僕のこと利用してたのと泣かれてしまっててんやわんや.しかも長期契約話でまたハニー先輩が泣いちゃってるよ…(苦笑).サブタイトルに名前は入っているものの,今日のモリ先輩はいつもよりも不幸だ.
何はともあれ笠野田君にはラブリーアイテムが必要で,さらにヤンキーファッションも改善しなきゃいけなくて.ホスト部プレゼンツで笠野田君を誤った方向に改造した結果が,夕方の笠野田組を襲います….魔窟から帰ってきた若は大変悲惨な状況に.赤いドレッドに緑のスカーフ,そして怖い顔.ヤンキー通り越してもっとおっかない方向にレベルアップしてるのに,腕には環のくまちゃんが(苦笑)! ぬいぐるみの可愛らしさは本体の恐怖をより際立たせる方向にしか働かず,もちろんやってる本人としてもものすごく恥ずかしい…(笑).
あまりの恥ずかしさに周囲を威嚇したまま部屋に戻って,もう全然ダメだと怒る笠野田君.…きっと早いうちに自分の現状のヤバさには気づいていたものの,バカたちの勢いはどうにも止められなかったんだろうなぁ.で,そんな威圧感レベルアップの笠野田君を監視して敵視する2人.彼らはある理由があって恨んでいるのです.

後半! あれだけおもちゃにされたのに,翌日も笠野田君のモリ先輩への弟子入りは続行.極道流で無闇にドスが効いている元気なご挨拶だけで周囲を凍りつかせたりしております.ところがここに不穏な事件.大き目の観葉植物の鉢が二人の上から落ちてきた! これをモリ先輩の手刀が実にかっこよく退けて,モリ先輩の周囲だけには心配する沢山の人たちが群がってくる.…それは今の笠野田君にとって憧れの光景.自分のことをいたわってくれる人たちに周囲を取り囲まれる機会は…笠野田君には次回訪れます.ただし相当不本意な形で(笑).
観葉植物はモリ先輩を狙ったものだと考える笠野田君ですが,とりあえずモリ先輩に限って誰かの恨みを買うようなことはありえない.他の部員のような際立った特徴もなく常識的で人間が出来ていて部内では背景並の彼を(笑)わざわざ恨むような物好きはいないでしょう.…では誰が狙われた?という件はまず放置.まずは改造計画が先!
ボサノバ天使化計画は本日より始動! 昨日のことはなかったことにして今日始動(笑)! あの屈辱をノーカウントはないだろとボサノバ君は荒れ,環はあの双子の勇み足だ…と他人に責任をなすりつけます(苦笑).…この計画を割と傍観気味なのがハルヒと鏡夜.細かいですが鏡夜はずーっと何かメモしてますね.
かくして笠野田君をどういじるかについて楽しい会議に興じるホスト部連中.それを傍観するしかない笠野田君に,あの人たちのことを信じすぎない方がいいよ,と善意でチクるハルヒさん.真面目な若はまだあのバカたちを信頼しているわけですが,その信頼がきっと無駄に終わるってことを,ハルヒさんはこれまでのいろいろと壮絶な経験からやたらとよく知っているのです….
紅茶など入れて,笠野田君と2人で話すハルヒさん.高等部から入学という立場も似通い,缶蹴りの趣味はないけれど「たまにはいいかもね!」とごく普通に接してくれること自体が孤独な笠野田君にはたまらない(笑).相手が男子学生だってことすらも忘れそうなハルヒさんの天然の魅力は凄まじい.元々素材が良かったところに,日々のホスト部活動で磨かれた結果なんだろうけど,いくら可愛くても己の性別まで忘れちゃだめだボサノバ君(苦笑).
邪なことを考えたバチが当たったのか,ホスト部会議の結果,ボサノバ君の次のラブリーイメージ戦略はネコミミモードに決定.…おっかない顔に猫耳カチューシャ.「化け猫」とハニー先輩がずんばらりと斬り捨てております(笑).どうやら本気でネコミミがいいと思ったらしいアホの環はおかしいなと戸惑い,あれじゃ足りないツメが甘いと双子が楽しく燃料をくべるもんだから戦略大炎上.本人不在の会議の末,思い切ってネコミミメイドさんにされちゃったところに手下のテツ君が(苦笑)!
あれに萌えるのはいくら中身がツンデレでも無理という若の姿に動揺するテツと,そんな舎弟以上に動揺している若.決して密やかなご趣味なんかじゃねえとちゃんと着替えてから逃げ出していきます.客でない奴にはホスト部こと魔窟の濃さはあまりにも毒.いくら極道でも耐えられるようなもんじゃないさ(苦笑).…自分の怖さに本気で苦悩して,仲間と缶蹴りしたがって,外見はともかく中身は十分可愛いカサノバ君について「イメチェンなんで必要なのかな?」とハルヒ.ハニー先輩も同意見で「はやく気付くといいね」と化け猫を気遣ってあげたり.
逃げ出した笠野田君が向かったのは庭のバラの下に隠した籠.その中には怪我をした雀が入っておりました.池の傍で雀に餌をやってると,ハルヒさんが見つけて隣に座ります.…傷ついた雀をかくまって世話してるあたり,やっぱり笠野田君の中身は十分可愛らしい.見た目はともかく(苦笑).
見た目の怖い笠野田君をちっとも恐れない,見た目も可愛いハルヒさん.すぐ傍に座って自分をちっとも怖がらないこの可愛い生き物に笠野田君はもう夢中.その女みたいな容貌に全力で心惑わされておりましたら(笑)ペンキの缶が飛んできた! ハニー先輩が間一髪で助けてくれたものの中身の赤い色がハルヒさんの制服にべったり.怪我していた雀は騒ぎの中で空へ.「飛んだ」と見上げる笠野田君の笑顔は…見た目だって怖くない.
ペンキ缶なんか投げやがった犯人たちをモリ先輩が捕まえてきたなら,頭のぼっちゃんをさらったとか誘拐魔とかぼっちゃんを返せとか聞きなれない話を語ります.実はこの二人に狙われていたのはボサノバ君.ホスト部は騒動にならないように皆で見守ってくれていました.「どちらが悪人かは,見ればわかる」とモリ先輩.凄くいいとこ見せてるんですが,ここで着替えに行ったハルヒさんに結局全部持っていかれるんだよなぁ(苦笑).
そして本当の原因は若の舎弟のテツ君.可愛い顔に似合わず実にガラ悪く犯人たちを制裁している彼の正体は,千堂組組長の息子の千堂鉄也.…実は笠野田君と同じ立場であった彼は,組をひとりで飛び出した雨の中で,おっかない顔だけれどとても優しい人に助けられて惚れこんでしまったのでありました.
自分が濡れるのも構わずに傘をくれたあのときの笠野田君は,今と同じに人一倍照れ屋で不器用で人一倍暖かい.そんな若の魅力はテツだけでなく組の皆だって知っていて,「恥ずかしがるから言えないだけなんです!」…真実ってなんてうれしいんだろう.心底惚れこんだ人のところにいたいテツ君が差し出す傘に,「つ,使わせてもらう」と礼を言う笠野田君はやっぱり怖いけど,中身はとてもいい人,そしていい話….

さて,この分なら缶蹴りもできそうな笠野田君は自分の件で迷惑をかけたハルヒさんに早速謝りにいくわけですが,一件落着と考えるのはまだ早い.なんせあの子は着替えに行ったわけで! …笠野田君が開いた第三音楽室の準備室の中には,着替え中で白いブラのハルヒさんがいてさあどうしよう! とりあえず「ま゛!」ってこんなときに使います(笑).最終的にはこれまで数話の総決算となる,男の客は来なくていい!アホ全開の次回に続きます(笑).

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桜蘭高校ホスト部#21

「静止した夜の中での巻」

高等部1年A組の今年のハロウィン企画は,相変わらず暴走しているれんげの提案で肝試し大会に決定.面白いのが好きな常陸院ブラザーズをはじめ,クラスのほぼ全員が大乗り気で,顔を青くしてるのは委員長の相賀だけだ.怖がりの相賀が冷静なハルヒに必死に助けを求めているのを見つけた双子は,面白がって2人と同じチームに加わってしまう.

この分なら一切息切れなしでラストまで走っていくことが確実な「ホスト部」.あらゆる面,特に演出・絵コンテで贅を尽くしまくる本作もそろそろクライマックスの準備をはじめています.スポットライトの中にいるのは主役のハルヒと環と常陸院の双子.ただし馨は光を置いて,ライトの中から外れようとしていますが….今回は面白おかしいだけの話にできるはずですが,割とシリアス担当で常識的な馨の目から見るとどこか寂しい雰囲気が漂ってみたり.ただ…もし原作と同じなら,正直買いかぶり過ぎなんだよなぁ(苦笑).

前半.今日の表の主役は委員長の相賀君.いかにも育ちが良くて真面目そうでごく普通の少年ってのは本作ではかなり珍しい.レギュラーが全員いろいろ突き抜けちゃってるから….金持ち学校は悠長で,模試の採点とかぶる10月末まで授業が休み.仮装パーティができたり親睦目的で1日使えたりと,別にホスト部でなくても相当夢のような学校ぶりです.
通常ならお茶会や映画上映でお茶を濁すような1日.けれどこのクラスはホスト部員を4人も擁する濃いクラス.普通の企画で済むわけがない(笑).早速暴走するれんげさんは凄まじい動きっぷりでコビまくりつつ提案.…どうでもいいシーンに凄い技術力が投入されているなぁ(苦笑)! ちなみに今日のれんげさんのコスプレは,発売前ゲームの女子制服.濃い人の側には自然と情報が集まるものですが,未発表情報なんてどこから仕入れたのやら.…スポンサー?
コスプレ茶会程度はホスト部では普通.曲がりなりにも日常に近いクラス行事と非日常の濃縮エキスみたいなホスト部の活動を同列に扱い,さらなる刺激を求めようとするれんげさんは滅茶苦茶.「何がハロウィンでしょう!」とか言われてもなぁ(苦笑).
れんげさんが提案するのは「ハロウィンスペシャル!肝試し大会」.夜の学校で生徒同士で脅かしあいの脅かされあいは立派に非日常なので双子ですらも大乗り気.…前回の孤独っぷりと比べてみると,2人が部活によって改善されたことがよくわかる.副委員長の倉賀野嬢はうーんと怖い奴を希望.途中で逃げたら臆病大臣として校内新聞の1面を飾る!と罰ゲームまで決定し,転がるように企画が実体化していくわけですが….
この状況に異様に脅えているのが委員長.なんとか3,4人ずつのチーム制は提案したものの,企画の実体化に伴い顔色は悪化,これだけやる方向で盛り上がってしまうと止められそうにもないってのに,必死で異論や反対を求めております…特にハルヒを見つめて.しかし結局誰も異議を唱えることはなく,なしくずしに企画が通ってしまったのでありました.
学校全体が非日常に染まる秋の頃.ホスト部でも当然ハロウィン仕様のバンパイアのコスプレがお目見え.鮒ちゃんに血という名のおやつを求める環は特に絶好調で,いかにも背徳的なのに能天気という凄い状態(笑).けれど双子とハルヒはクラス行事を優先するので部活を休む.…さっきの双子のコスプレはイメージ映像? しかしハロウィン当日までは手の届かぬところにハルヒを連れていってしまうと聞いて,絶好調のはずの殿も一気に陶酔が覚めます.
間抜けなドラキュラより狡猾な悪魔の双子は,夜の学校でスペシャル肝試し大会やるんだもん!と環に自慢.クラスイベントの内容を聞いて環のあんまり良くない頭はくらくら.ミッドナイト脳内劇場では双子に脅えたハルヒが抱きつく様が予想され…って,沖縄のときにハルヒがそういうのには反応しないことはもうわかっているんだけどさ(苦笑).
環の過度の心配を他所に,クラスの親睦も大事とあっさりいかがわしいイベントに参加するというハルヒ.環はこれに「ふしだらな…」とか「お父さんは絶対に許しませんよ!」ともう必死.今日も彼の脳内家族劇場は絶好調なわけですが…これを魔法の呪文と考えているのが馨.ハルヒは娘で自分たちは家族.そんな設定が彼らを包み,夜の中を駈けていくのです.
クラス行事の名目で双子にハルヒを取られてしまった環をさらに襲う恐怖! いきなり猫沢先輩が変なところから登場するんですが,環の「にゃ!」って悲鳴が可愛すぎて怖いのが吹っ飛ぶなぁ…(笑).ホラーイベントは黒魔術部のお家芸.横で聞いてて勝手に乗り気となり,底無しの恐怖を無理やり1年生どもに押しつけるつもりです.こりゃ本当に呪われたようなもんだなぁ….
実行に先立ち企画の細かいところまで積められていく中,今回の主役はハルヒに必死で助けを求めます.委員長はあの顔色の通り暗所恐怖症でホラー映画も怪談もダメでいきなり脅かされるのもダメな筋金入りのチキン.肝試しの実施が決まってしまった今誰よりも脅え,膝を抱えて錯乱.シンプルなハルヒからすれば嫌なら反対すれば良さそうなものなんですが…それは委員長の権限を振りかざすみたいで嫌だから「助けてもらおうと思ったのに! フジオカにー!」
己の立場を考慮してきちんと一歩退いた相賀君は大変いい人なんですが,あのハルヒに気を利かせてもらおうとしたのが大間違い.甘いのを食いたい先輩に向かって都こんぶを差し出すような,テレパシー能力ゼロの奴に気遣いを期待するほうが無茶なんだ(苦笑).
それでもハルヒの冷静ぶりに期待して,同じ班になってくれと懇願する相賀君.ついでに双子には内密に…と願おうとするのもまた大間違い.どう考えても双子はハルヒと組みたがるんだから,ハルヒに近づいた段階でおもちゃにされるに決まっているのだ.倉賀野さんに4人で班をつくると双子が先に宣言しちゃったもんだから.もはや戻れず,委員長はとってもお気の毒…(笑).

後半.あっさりやってきたハロウィン当日の夜.静かな夜の学校はかぼちゃの明かりで飾りつけられ,うきうきでどきどきな一夜のはずが委員長だけはすっかりどんより.なんせ同じチームの2人が率先して怖がらせようとするからなぁ(苦笑).ハロウィンに時計塔の魔女の姿を見たら呪われる!などとおっかない話を吹き込んで楽しむ双子を叱り,怖さに幽体離脱する委員長を引き戻すハルヒさん.4人の中では一番男前です.
冷静で男前で頼りになって,けれど肝心のところで何かが致命的に欠けているハルヒさん.借りてきた本「怖い状況を切り抜ける108の方法」.その1の段階で「耐えていればいつかは終わる」ってことは,中身を吟味しないで借りてきてますね(苦笑).双子には脅かされハルヒさんにはボケられ,幽体離脱でいいから現実から逃げ出したい委員長をなんとか現実に縛り付けている存在こそ,倉賀野さんです.
幼馴染の倉賀野さんのことが好きな相賀君.自分が心底嫌な企画でも,彼女が大変楽しみにしていたのを台無しにしたくなくって我慢.己の気持ちと身の程をしっかりわきまえて,控えめにできることをやろうとした委員長の純情キャラに双子は愕然.彼はホスト部にはいないタイプのまともな感性の持ち主で,常識のタガがないようなおかしな人たちがいじめてはいけない国の人.「ああ己の穢れが浮き彫りに!」と悶えます.…同じ純情でも,己の気持ちとか身の程をあんまりわきまえてない上に親切をごり押しするピュアさんはいじめてもいいんだな(笑).
だったらなおさら協力しないと,と双子はおもちゃを手放す気は毛頭なく,ここから双子プロデュースの後押し大作戦が始まる…はずが,先に動いていた別の作戦に巻き込まれていきます.窓の外には白いのが走り,謎の足音響く階段からはドクロがころころ落ちてくる! すわAチームの騙し討ちか?と警戒する双子だけれど…「いたい…いたい…」と出てきた女は予算300円のレベルじゃない! 「ドクロを蹴ったのはお前らかー!」と威嚇する怖い顔にさすがにビビったBチームは耐え切れずに逃走! 全員揃ってチキンの仲間入りでございます(笑).
闇雲に逃げる4人は2人ずつ別の方向に.ハルヒと光は仲良く廊下の罠にかかり,委員長と馨は部屋で待機中のすげえ微妙な怪物に脅かされた末に理科室に閉じ込められます.今日のモリ先輩の仕事は「ふんがー,ふらんけーん」だけか(苦笑).「おおかみおとこー!」と叫ぶジャックオーランタンはシュールだなぁ.ホスト部先輩連中-鏡夜+猫澤先輩の,後輩ビビらせ大作戦は一応大成功.
でかい網の中に捕まってしまった光とハルヒ.早速光が馨がいないことに動揺して暴れているのが恥ずかしいブラコンぶり.たまたまハルヒさんが持ち合わせていたソーイングセットのハサミで網を切ることになったわけですが…折角二人で超密着だってのに,普通に口喧嘩しているのが勿体無い(苦笑).光と馨の性格の違いを語ってくれるなんてのはきっと光にとっては大変貴重な体験のはずなのに,一人でもうるさいし非常識!と悪口大会になっちゃってる.ただし魅惑の密着状況は変わらないどころか,ハルヒのまな板が目前に(笑)!
野郎の目の前に自分の胸があってもちっとも動揺しないどころか気付いてもいなさそうなハルヒと,さすがにこの状況下では兄弟のいない不安を忘れるほどに動揺してしまう光.いろいろ思うところはあるだろうけど,ここはしっかり我慢しなさい(笑).そして陰で見ていて動揺する自称父も我慢.作戦の都合上,階段の怖い女に扮装していた殿は目前のストロベリーを止めることが出来なくて一番お気の毒….
さて,理科室に閉じ込められられた委員長と馨の動向ですが,委員長は余りの怖さに突き抜けてしまいました.突然の闇討ちによって倉賀野姫と委員長をいい感じにするための心温まる双子のシナリオも台無し.けれど委員長は倉賀野さんへのアプローチを遠慮.ハルヒのファンである彼女の幸せのためならば,積極的に身を引く所存なのです…まあ,その幸せは神に誓って来ないんだけどね(笑).
相賀君は倉賀野嬢とともにいられる今が楽しくて壊したくない.告白なんかしようものなら,どっちに転んだとしても今のままではいられないとわかっているから一歩退き,穏やかで楽しい場所に留まり続ける….真実から逃げて刹那の喜びの中に埋もれて,魔法の馬車で夢の境界線をどこまでも走っていく.そんな魔法の呪文を唱えたのは誰かと言えば….
委員長の乗る魔法の馬車.そしてホスト部が乗っている魔法の馬車.今の関係を壊したくないという気持ちが魔法に変わるのだと馨は考えています.御者である殿が作り出した凍った時間の中でホスト部は今まで味わったことのない喜びを存分に味わって,けれどいつかは魔法は解けて泥沼のかぼちゃになってしまうに違いない.見ているうちに倉賀野嬢には別の彼ができてしまうかもしれない.微妙な均衡も誰かが壊してしまうかもしれない.
予測される憂鬱な未来の夢想に浸る馨…のところに必死で飛び込んできた光! それぞれ別の個人ではあるけれどやっぱり二人で一人.引き離されれば寂しいのは昔から変わりなく,客もいないのにひしっと抱き合っております.…ついでに光ってばハルヒを置き去りに.網を抜けた途端にストロベリーを置き去りにして兄弟のところに走るだなんて,ブラコンもここに極まれり(笑).
ようやく罠から逃げ出したBチームはクラスの仲間と合流.これまでのアクシデントが誰の仕業なのかを未だにわかっていないハルヒたち.どうやらクラスメイトの仕業ではないと判明したところで…窓の外には不気味な?巨大な影が!

翌日.校内新聞「桜スポ」の1面を飾ったのは1-Aの全員.冷静に見ればあれはどう見たってベルゼネフ.猫澤先輩が関与していたことはすっかり明らかなのでした.ちなみに相賀君の我慢は結局倉賀野さんにバレ,しかし「偉いです!」と思った以上に好印象.…とりあえず彼の魔法は続いているのかな?
魔法なんて長く続くわけがないと馨は考えています.今はハルヒより馨を優先する光は魔法の中にいるけれど,いつかその優先順位が狂う日がきたら,その瞬間にホスト部は崩れ,一緒に双子の関係も崩れて魔法が解ける.そこに待つのは泥だらけのかぼちゃ.御者と客とが醜い取り合いを演じるような近未来,一人置き去りにされる予定の馨は一体どうすればいいのやら.…とはいえ! 原作どおりなら馨は本当に買いかぶりすぎ.実はアホの子は魔法とかどうでもいいくらいにアホなのです.次回に続きます!

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桜蘭高校ホスト部#20

「結局ふたりで寂しいだけでの巻」

中等部時代の光と馨は現在よりもずっと性質が悪くて,2人きりの世界に閉じこもったまま,人の心をおもちゃにして遊ぶような悪魔たちだった.彼らが幼い頃からこだわってきたのは「どっちが光くんでしょうかゲーム」.もちろんあまりに似すぎた双子を見分けることが出来る者は,今まで一人もいなかった.
そんな2人きりの世界に踏み込んできたのが,中等部時代の環.能天気な笑顔で双子をホスト部へと勧誘する彼に,双子はいつものゲームを仕掛ける.なんとか見分けようとつきまとう環は二人にとっては目新しいおかしなおもちゃ.けれどそれにも,飽きがくる.

一応少女マンガ原作なのに明後日の方向へはっちゃけることが圧倒的に多い「ホスト部」だけど,今回はきちんとシリアス! 双子のうちでもまともな馨を語り手として,これまでに彼らが越えて来た高いハードルについて描きます.ハニー先輩の勧誘話で一応描かれていた通り,環は現状を認めることに大変に肯定的.無理や背伸びをしない自然体をそのまま受け入れるべきという信条が,双子たちが堂々巡りの矛盾の中から救われることへと繋がっていきます.
時折面白を挟みながらも回想交じりに描かれる世界は実に叙情的で美しく…さすが絵コンテに京田監督が入っているだけのことはあるなぁ(笑)! 作画監督の本橋氏の美麗な仕事や演出の中村氏の女性らしい繊細な雰囲気と相まって,素材である原作が緊密に再構成され,凄まじい昇華を遂げてます.原作にあった笑いはほとんど削り取られていますが,削って磨いた末に完成したのがこんな美しいものでは文句も言えない(苦笑)情感描写に関してはこれまで放映されてきた中でも屈指の回です!

前半.常陸院の双子は幼い頃からまるでそっくり.誰も彼らを見分けることができないまま中等部の2年まで来てしまいました.その世界は自分たちとそれ以外の全てに分かれていて,しかも一緒にいる相手は自身の影のようにそっくりで…2人ではあるけれど実質ひとりぼっちみたいな閉じた世界です.
この双子,顔もいいし頭もいいし普通なら絶対人気者になったに違いないんですが,生来の性格としてわがままで移り気で底意地が悪い.どれくらい悪いかというと自分にラブレターをくれた女の子を罠にかけて泣かせるほどの悪魔ぶり.光なのに「馨の方」と嘘をつき,馨として彼女を誘惑した上,彼女が乗り換えた瞬間に真相を暴露して切り捨てる.他人の恋心なんか区別されない自分たちの苦しみに比べれば軽いものだと自分たち勝手にも程がある.…しかも一緒にされた瞬間に一瞬失望を見せるだなんて,彼ら自身も自分たちが一体何をしたいのかよくわかってないんじゃあるまいか.
女の子の心を踏みにじり,髪型も似合わないセンスを磨けと難癖つけて追い討ちをかけ,「次はもっと面白い告白してね!」とラブレターを破り捨てる性悪の双子.そしてあまりにもひどい仕打ちに泣き崩れる女の子に優しくハンカチを差し出すのが,まだ中等部であった頃の環.もちろんまだホスト部は誕生していませんが,この頃からすっかり王子キャラは板についていたようです.
自習の教室の黒板には白チョークで「自分の未来の役割を考えよ」とか書いてありますが,つまらないことはさっさと消去という方針のみでやりたいこともやるべきことも見つかっていない双子はダレてます.刺々しくて怖い彼らの周囲には陰口と打算しかなく,好きで欲しいものなんか影も形もないのです.
そんな二人にも,自分たち以外のものを欲しくなった経験はありました.でも唯一好きになったのが金庫目当てで潜入して来たお姉さんってのが,これまた歪んでいるよなぁ…(苦笑).10年前からそっくりで毒舌でいたずら好きで残酷だった2人を無理に可愛がることも愛想笑いすることもなく,恐らくはごく普通に接してくれたお姉さんが2人はすっかりお気に入り.…愛想笑いが日常となる環境は,恵まれているゆえの不幸って奴か.
双子に気に入られることではなく,家の金庫を狙ってたお姉さん.犯行現場を見つけた双子は暗証番号と引き換えに彼女にゲームを仕掛けます.「どっちが光くんでしょうかゲーム!」…見分けられるまでは彼女を自分たちに縛り付けることができるはずのこのゲームだけれど…2人はまだ幼くて浅墓で.大人であり犯罪者であったお姉さんは,ゲームから逃げて貯金箱を割りました.
双子にとってお姉さんは特別.けれどお姉さんにとっては双子なんかどうでもよかった.双子がどうでもいい相手を傷つけてきたように,お姉さんもゲームを放棄しあっさり白旗振るだけでなく,去り際に呪いをかけていきます.「もしかしたらあんたらを本当に見分ける奴なんて,一生現れないかもね」…はじめて好きになった人に未来を絶望させる言葉を植えつけられた上で,双子はねじれて成長していきました.…この部分は原作ではもっと軽いエピソードだけれど,よりシリアス目に描かれてますね.
2人きりで伸び伸びとひねて育った10年後.呪いのようなトラウマのおかげで他人不信バリアを張りまくって荒れる双子に鈍い奴…というか無謀なバカが近づいてきました.暇そうだねとやってきた,後のホスト部部長で愛すべきバカの須王環.「一緒に部を立ち上げよう!」と爽やかに本題を切り出します.話題になる自分にうっとりし,白昼堂々もだえて夢想するナルバカは当時から相当うざく,しかも「俺には及ばんが見所があるぞ!」と話を聞かずに話を進めるという芸風も2年前には完成してたのか….4月から楽しい部活動をやろうと全力で勧誘する環に対し,双子は「うるさいな,どっか行ってよ!」
仲間面して自分たちに近づく奴は大嫌いな双子.そもそもつまらない他人には興味もないし,環のナルっぷりときたらもう迷惑以外の何者でもなく,彼が自分たちを誘う理由も家柄強化の打算にしか思えず.そこで双子が提案するのがおなじみの「どっちが光くんでしょうかゲーム!」1ヶ月以内に理由つきで2人を見分ければ勝ち,できなければ負け.超高難度かつ無敗のゲームなら負けるか諦めるかの選択肢しかないだろうと双子はせせら笑うけど,この程度の障害でくじけるような奴のことをバカとは呼びません(笑).バカはゲームに乗った上でなおかつ「だが俺は予言するぞ! 4月にお前たちは,高等部第3音楽室の扉を…きっと開く!」
ひねくれた双子と純真バカな環のゲーム.環にとっては期間内に見分けるゲームなんだけど,それは同時に双子にとっては,バカなナルにつきまとわれる我慢勝負となりました.下級生のクラスにずけずけと踏み込んで思いっきり間違えた上に,「俺は発見したぞ!」と本当にどうでもいいことをうれしそうに発見する上級生はうざい.…低音パートを担当しているのは光だよな(笑).さらには勝手に双子の予定まで決めやがるもんだから,ついには環を置き去りにしてしまう双子.
…ここで双子抜きの環と鏡夜だけのシーンが挟み込まれます.馨のモノローグが外れて話中の統一感が一瞬失われますが,描かれるものが今回だけでなく面白楽しい本作全体からしても外れていて,しかも大変重要なシーンなので大正解.これがあるからこそラストとか次回以降に効いてくる面もあるので,大変に上手いです….
置き去りにされた環は3年の教室へと帰還.普通の奴なら当然なんだけど,環が地味にへこんでるのがとても珍しい.いつもはもっと思いっきりべっこりいってるもんな.鏡夜は別に双子にこだわりはないけれど,環は「あの2人に興味があるんだ!」とひどく御執心.常陸院の双子は環が言うところの「俺たちの仲間」らしくて…どうやら環は彼なりの考え方があった上でホスト部員を選んでいたようです.彼は同時期に無理をしていたハニー先輩を勧誘しているはずですが,見分けて欲しくない癖に見分けるゲームを仕掛けてくる双子についてもやっぱり無理を感じているのか.…傍らで,環の言葉を完全に受け流す人間失格の鏡夜がいいなぁ(笑).
環は絶対くじけない.勝手に帰られる前に自ら常陸院家に押しかけ,やっぱり間違った上に間違ったアドバイスをぶつけ失礼な提案をするこの上級生は,朝から地獄のようにうざい.「兄弟愛を売りにしたらどうだろう!」とか「ちょっと危ないシンメトリー兄弟愛,常陸院ブラザーズ!」とか「これでどうだ!」とか言われても(苦笑)! …そして,イカれた提案を嬉々として押し付ける当時の環もおかしいですが,それを結局は受け入れちゃった後の双子もどうかと思うのです(笑).
やることなすことバカ満開,置き去りにすれば「待てい!」とか言い出す環はこれまで双子の傍にいた人間と質が違いすぎ.面白いものが好きだから,そのダメ方向の魅力には心惹かれる.王子顔の癖に殿様喋りでそのうちござるとか言い出しそうな「バカ殿だ!」.…空想の中のバカ殿環が異様に似合っていて素晴らしいなぁ(苦笑).…けれど双子は矛盾していて,近寄られるほど惹かれるほど離れたくなって…「でもさ,そろそろ,飽きたよね」

後半.双子はいきなり環を切り捨てにかかります.向こうが諦める前にこちらから一方的に終わりを通知して,「理事長の本妻の子じゃないんだってね!」とさらに痛そうな追い討ちをかける.近寄るなという意志を弱みを突いた脅迫へと変化させる2人は悪魔.…母が行方不明という似合わない重い背景を背負っていた環を「結局ひとりで寂しいだけなんだろう?」といたぶって,一人よりも二人のほうがマシと止めを刺す.…無神経すぎる双子の言葉に何も言い返さない環.でもその表情は,打ちひしがれた風ではありません.
これだけやれば終わりだと思っている双子.環の面白さには未練もあるようですが,がっかりさせられるのはゴメンなのでこれでいい.…一緒にいれば自分たちが環に期待してしまうこと,そしてそれが失望に終わることも知っているから,臆病者たちは自分たちで切ることを決めてしまったわけです.お姉さんが残した未来予測は絶対なので,どれほど見分けて欲しくても無理ならば,もういっそ見分けさせたくない.
ふたりなのにひとりの矛盾を抱える光と馨が本当に必要としているのは,2人をそれぞれ別の人間として自然に受け入れてくれる存在のはず.けれど意地っ張りでひねた光にもつい引きずられる馨にもそれを見つける術がなく…だから仕方なくどこまでも2人きり.「傷つかないですむように,とてもとても頑丈な鍵をかけている」.
見分けて欲しくて見分けて欲しくない双子は,今日も好意に罠をかけます.自分たちの苦しみを女の子の心を踏みにじることで軽くしようとしているんだろうけれど,罵倒する言葉に自分たちの苦しみが増幅されるばかり.どっちでもいいのはどっちもいらないってことだとか,言えば言うほど苦しいばかりで….どうすればいいかわからない双子の自家中毒.本当にひどいのは誰でもなくきっと彼ら自身.そして! 「今手紙を破こうとしているのが光!」
自分たちを守るために切り捨てたはずの環がなぜか傍にいて,間違いなく光の方をかっこよく指さす! ただし理由は「勘だ!」なのでダメなんだけど(笑).「今んとこ俺には無理だ!」と負けた環はちっとも悪びれることはなく白旗を挙げますが,そっくりすぎるのはもはや才能なんだから二人で一人な常陸院ブラザーズを極めていけと道を示し,けれど別個の存在だから俺も頑張って二人を見分けられるように努力するからと自分の道も宣言します.…2人を置き去りにはしないのです.
2人で1人でありかつそれぞれ別個の存在.環の言葉が矛盾してるのは間違いないけれど,それでも環は悪びれない.それは普通とは明らかに違うし矛盾しているけれど,それが光と馨なんだから仕方がない.生まれながらに普通でないのが普通になるためにあがくのは空しい努力.だからそのまま全てを飲み込む.「個性って言うんだよ,そういうのは!」
あまりにもそっくりで見分けてもらえないのは不幸ではなく個性.そう考えると双子は「不幸」ではなくなるけれど…生まれてこのかた甘い不幸に慣れてきた二人には,それを失うことは恐ろしい.そっくりな兄弟がいるせいで誰も見分けることができない.自分たちと同じ目でこの世界を見てくれる人などいない.そんなの最初からわかってると諦めを叫ぶ馨に.そして光に.
「…だったら外したとき,なんでいっつも,さみしそうな顔をする?」
思い出すのは幼い頃.例のゲームを仕掛けて勝ったはずなのに,彼女は「泣かないでね」と言いました.泣きそうな2人は勝てば勝つほど悲しくなるばかりの矛盾した不幸の内側にいたから,環は二人の腕を引きます.不幸な勝利を覚悟の上で二人だけの世界を飛び出せば,幸せな敗北を手に入れる万に一つの可能性があるかもしれない.けれど勝負から逃げていては永遠に出会えないから…「一緒にホスト部の扉を開こうじゃないか!」
意外と不幸な王子様は晴れ晴れと「一緒に世界を広げてみよう!」と誘います.勝ち続けるほどに悲しく,2人なのに1人より寂しく,自分たちを守るために自分たちを傷つける矛盾した2人だからこそ,今の自分には無理だけれど一緒に探してみようという環の誤りは大正解.個性としての矛盾を上手に汲み取った,青空みたいに気持ちがよくて感動的な,そんな敗北宣言だったのです.

1ヵ月後の始業式の放課後.勝った双子は罰ゲームへと赴いていました.例のゲームではこの先も勝利を収めまくるに決まってるけれど,そんな不幸な個性を越えてくる奇跡があるかもしれない.…不幸を個性とすりかえる詭弁の世界に,呪いを打ち砕く可能性が眠る扉の向こうに,自ら足を踏み入れます.
そして彼らに1年後何が起きたのかについては皆様もご承知のとおり.バカ殿と怖い眼鏡と甘いもの魔人と極度の無口という,個性的で滅茶苦茶な仲間たちと一緒に夢あるいは悪夢みたいな日々を繰り広げた末,ついには奇跡に出会うことになるわけですが…わがままで移り気で底意地が悪くて矛盾している二人だからこそ,救ってくれた大恩人は全力で虐げてしまうんだろうなぁ(笑).さらに双子を掘り下げる次回に続きます.

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桜蘭高校ホスト部#19

「やたらに主役は足の下の巻」

休日に藤岡家に押しかけたホスト部一同.しかしハルヒはすでにヅカ部にさらわれていて,環たちとハルヒ父こと蘭花さんは大事な娘を救うために出発.例の3人によってロベリアへと運ばれたハルヒはヅカ部の発表会で代役を務めてくれないかと頼まれ,「母」という言葉に負けたハルヒはヒロインを引き受けてしまう.
ロベリア女学院までやってきた環たちだが,男子禁制の女学院には女性でなければ入れない.もちろん本職以外の女装など却下して,主役の環を足蹴にしつつ,蘭花さんは潜入のための秘策を披露するのだった.

後半戦も半分を回り,そろそろラストスパートをかけはじめてもいいはず…なのにまだ遊んでる「ホスト部」.今回は久々にハルヒ父とロベリアの3変態を引っ張り出して,2話の回想など交えつつ遊びます.ともかく楽しければいい今回は演出・絵コンテの金子信吾氏の遊び心が炸裂! いい話にする努力を完全放棄して,爆走したままエンディングまでなだれ込む勢いはとても少女マンガとは思えません.キャラがかぶった環が非力な道化となり,子安氏の足の下で右往左往しているのが可哀想.そして凄い大根の中の人が大変に楽しそう(笑).

前半.休日の藤岡家をいきなり「ハールヒちゃん,あっそびましょ!」と襲撃する環たちは相変わらず稚気溢れておりますが,中から出てきたのは寝起きのオカマ(笑).あまりに怖いので逃げ出そうとしても,鏡夜やモリ先輩を含めて全員ごろごろと戻されてるのがおかしい.鏡夜は何考えながら転がされてるんだろうなぁ.
前の時蘭花さんに目をつけられてしまった環.今回は蘭花さんに手土産持参で穏便に行きたいはずなのに,むしろウェルカムアッパーを食らってしまって可哀想(笑),今回,蘭花さんとキャラの被る環は完全な踏み台と化していくのです….
今日はハルヒは友達と出かけたのでお留守.確かにハルヒにもホスト部以外の交遊関係はあるかと納得しそうになるけれど,それがロベリア女学院の生徒となれば放っておけない! 以前ホスト部からハルヒさんを奪おうと暴れたあの3変態をそのままにしておくわけにはいきません!って言うか蘭花さんノンキすぎ(苦笑)!
ハルヒを狙うあのクレイジーロベリア,ヅカ部に咲き誇るのは紅薔薇と鈴蘭と雛菊の変態トリオ.くるくる回って無駄に歌い…こうでないと「ウテナ」じゃねえなあとしみじみ感じます(笑).紫の薔薇を散らす女子高には倒錯の愛がてんこもり.女の子が女の子をどうやって喰うのかは知りませんが,食われたいタコさんが大量発生して大変なことに.…ホスト部も相当病んでるけど,ヅカ部はその斜め上を行くなぁ.
で,そんなスターの3人がさらってきたのが,可憐な乙女であるハルヒさん.今回はロベリアの制服などを召しており,3人がかりでひたすらに可憐だと可愛がられるのは…ホスト部とあまり変わらねえ(苦笑).その似合いっぷりは「まだくちづけの味も知らない無垢な君にこそ相応しい」…ロベリアさんたちは知らないだろうけど,ハルヒさんは無垢じゃなくね?
さてその頃,藤岡家では父が苦悩中.可愛い娘をヅカ部にさらわれ,どんないかがわしいことをされているかわからない! 例えば無理やりチューとかされちゃってたらどうしよう! …そんな様子を妄想すれば,「父」ならば狼狽して当然です(笑).でもハルヒは確かダンスパーティで…と口を滑らせる双子を即座に縛るホスト部部長.実は部活動の最中にハルヒはファーストキスを失っていたりするのですが(笑)そんな不祥事を蘭花さんに知られたら,部長が父にどんな目に遇わされるかわかったもんじゃない(苦笑).
「うちの娘にいかがわしいことなど!」と疑う蘭花さんを必死の気合でごまかし,さあハルヒを助けに行こうと無理やりかわす環.今回ずーっと蘭花さんにやられまくる環が唯一勝ったのがこの瞬間.…さすがの鏡夜も,絶対に怒られる2話のあの件については報告してなかったんですね.
ロベリアのハルヒさんはここにいることを嫌がっております.普段着でスーパーに行こうとしたところを無理やり連行されたわけだから,いくらホスト部で慣れているとはいえ気分を悪くしないわけがない.自分たちの都合で人をさらったり,休日を目茶苦茶にしたり,普段着を寝間着扱いしたり(笑),やってることが同レベルだから,あいつらと一緒にされても仕方ないですよ紅薔薇様.…ハルヒの体型,本当に男の子だなぁ….
ここに連れてきたヅカ部のお願いは,大事な特別公演に事故入院したヒロインの代役を!「ぜひとも乙女にヒロイン役を演じてもらいたい!」「無理です!」ハルヒさん即決(笑).お断りしますすみませんとともかくお断り.いくら立ってるだけでいいし台詞も少ないと言われても帰る気満々.花瓶を壊して借金があるならともかく,他人のバカ騒ぎに付き合う気なんかないのです.
しかしハルヒさんを引っ張り出したい紅薔薇は,「僕はあなたのようにはなれない.許してくださいお母様!」とかいきなり妙なことを言い出します.ロベリア卒業生の伝説の母に近づくという夢を叶えるには,母も大成功させたという特別公演を行いたいのに…という見なくてもわかるほどに臭い小芝居.けれどハルヒは,「母」という言葉に弱かった….
さてその頃,大事な娘を仲間をもって行かれた蘭花さん&ホスト部は男子禁制のロベリアへ.ヅカ部は魔性の花の蜜と父は異様に警戒しております.なんせ亡きハルヒ母の琴子さんすらハマったのがヅカ部.メザシが普通に食卓に並ぶ庶民的な貧乏ライフの中ですら,ヅカ部コレクションはちゃんと蓄積されていた…って,普通はあのくらいで大量のコレクション? 大量ってのは収納には収まらないレベルじゃないのか(笑)?
メザシって何?なんて疑問はどうでもよく,ハルヒによく似ていらっしゃった母上様がヅカ部にハマっていたという事実に狼狽する環たち.もし同じようにハルヒがハマってしまったら…可愛いという財産しか持ち合わせていない貧乏な彼女が,そのなけなしの財産をヅカ部に注いでしまったらどうしよう! …ここの「まな板ですが,こんな自分でよろしければ…」の妄想がおかしい.皆やっぱりまな板だと思ってるんだ….
下手に財産あるよりまずいので,一刻も早くハルヒを助けにいきたい環はロベリアの制服を取り寄せるように鏡夜に命令するものの,その直後に蘭花さんが蹴りで却下(笑).以前お姉様になるべく思いっきしやらかして面白かったように,その道を追求していない男の女装は気持ち悪いだけ.…素材はいいんだから本職が化粧してくれれば相当のレベルには達するだろうけど,女装が見た目だけの問題ではないからこそ「本職をバカにしてんのか? ええ?」なんて凄まれるんだろうな.
ハルヒさんを救うには男子禁制の禁断の園に踏み込まねばならない.しかし女装は却下され,となると他に打てる手は…ここで自信たっぷりに「秘策があるわ!」と提案するのが蘭花さん.まるで主役のような目立ちっぷりで,なんだかハルヒよりも環の立場が大ピンチ(苦笑).

後半は大根.「母」という言葉に負けたハルヒは,代役として舞台「追憶のセニョリータ」のヒロイン・マリアンヌ役を担当.早速稽古がはじまっているわけですが…ハルヒの大根が凄すぎる(笑).たった1つの台詞な「ふれでりっくさまー」の棒読みレベルは御柱並み.しかもそれを連呼するもんだから目も当てられない.さらに心のツッコミセンサーも生きたままで劇の内容に冷静にツッコんでいる(苦笑).そもそも怪我であんだけ喋る余裕があれば,結局死なない可能性が高そうだもんなぁ.
で,そんなハルヒの大根ぶりを見て愕然とするホスト部&父.…モリ先輩が寝ているのに目が行きがちですが,この時点でもう足りないな.ハルヒの大根は父にも仲間にもフォローのしようがないほどに悲劇的なのが喜劇的.ポンコツロボット並みにダメってことは,普段のホスト部の接客は本当に素でやっているのか….
お願いだから誰かツッコんでやれと思わせるほどの大惨事にさらに加わるのが歌.ヅカと来ればお芝居と歌は切り離せないものですが,ハルヒさんはこちらも大の苦手.音楽の成績だけは昔から滅茶苦茶ひどくて!と父は恐れるものの,その歌声は…ちゃんとまとも.中の人のことを考えると歌が下手なわけがないわけですが(笑)実際はただの口パクで,コンセントが抜けると無音になるのでありました.…映像としては歌にタイミング合わせて口を動かすのは普通の歌のシーンと変わらないわけだから,無駄に手間かかってんなぁ(苦笑).
このようにハルヒさんの大根ぶりが拝めるのも,蘭花さんの機転があればこそ.前半ラストの秘策こそヅカ部ファンクラブ「紅薔薇の会」への入会.体育会系の厳しい規律やお揃いのTシャツも恥ずかしいですが,ここに潜り込むのがハルヒさんに近づく一番の近道.「薔薇様,今日も1日頑張って!」ってなご挨拶の練習も気合を込めて.女の園に近づくならば,その周囲にいるファンを味方につけねば命すら危ういのです.
さらにファンは同じファンには寛容.山ほどのファンの中にうまく潜り込めれば最高の隠れ場所ができるので,ぜひとも仲間になるべく,他の乙女たちと対等にヅカ部の魅力を語りまくる本職の蘭花さん.見た目以上に内面も女性だからこそのノー違和感ですな(笑).…ただしファンの目は外部に対してはやっぱり厳しいので,代役が舞台を台無しにしようものなら,たとえ役者だろうと武闘派の開催する体育館裏乙女集会にご招待する所存.その気合にホスト部はすっかり追い込まれてしまいます(苦笑).
あの凄い大根は絶対に台無しにしてぼこぼこにされる.そうなる前に「なんとしても…ハルヒをここから救い出さねば」となぜか劇画調の変な顔で気合を入れる殿ですが,実際は思っているだけで開演目前に(苦笑).すっかり主役の地位を追われてしまった今日の殿.でもあんな気持ち悪い顔で目立つくらいなら大人しくしてろ(笑).ちなみにヅカ部は当然ホスト部の侵入を察知.またさっきから姿を消していた鏡夜は家の力で舞台の放送室に潜り込んでおります.この設備がかなり良いものであったため,終盤の大暴露が可能となったのです.
正気を失っているファンのお嬢さん方が見守る中で,紅天女のオーディションレベルの気合の篭めた舞台がついにスタート.ホスト部は幕が開き次第ハルヒを連れ出そうと思っていたんだけれど…スポットライトの中のハルヒがあんまりにも凄いことになっていたために狼狽.舞台メイクはあまりに塗りすぎで痛すぎ.メイク濃いよハルヒ(笑)!
けれどスポットライトの中のハルヒは,なんだか生き生きしているように見える.もしハルヒさんが自身の意思で頑張っているなら,父にも仲間にもそれを止める権利はないのではないか,ということで静観してしまったのがまずかった.もちろん生き生きは考えすぎで明らかにメイクと照明の熱のせいなんだから,問答無用で奪いにいけばよかったのに….
なぜかハルヒさんの大根は劇からもファンからも許容され,ついに物語はクライマックスへ.「追憶のセニョリータ」はフレデリックの復讐劇で,貴族の父に復讐するため,フレデリックが空砲と偽りその目前で父の愛人のマリアンヌを撃つ.クライマックスにはキスシーンもあるらしく…フレデリックは紅薔薇.マリアンヌはハルヒ.そして父がホスト部ならば…空砲のはずの銃弾はキス? 「君への思いとあの男への復讐だけは,どうしても消し去ることができない」と明らかに観客席に向かって言う紅薔薇.これは,ヅカ部のホスト部に対する復讐だ!
ホスト部の目前でハルヒを奪うことこそヅカ部の狙い.舞台の上でハルヒさんを抱き寄せ,ファーストキスを奪うことこそ復讐だ! …環は真っ先に舞台に突っ走るものの,なぜかバナナの皮が落ちている(笑)! すっ転んだ環の目前で紅薔薇とハルヒは遥か上へとせり上がり…ハルヒさんの唇は,絶体絶命逃げ場なし!
けれどそもそも奪いたいものにそれだけの価値があるのかどうか,ヅカ部は勝手に思い込まずにもうちょっとよく調べるべきだったわけで.放映室では鏡夜が見事な手さばきで必要な映像を転送し,高いところでハルヒさんにキスを迫る変態の背後に巨大スクリーンを落とし…上映するのはもちろん,2話のハルヒさんのキスシーン!

バナナのいたずらで随分と前にファーストキスをお客様に捧げていたハルヒさん.ホスト部の連中と視聴者には周知の事実であるわけですが,ヅカ部と蘭花さんには初耳.しかも「女の子同士でなんてふしだらな!」…迫る蘭花さんの横にくっついてツッコミ入れてる双子が面白い(笑).でもって舞台に上がった3人は,またもバナナの登場で殿の上へと転びます.
高いところから逃げたいハルヒに下から叫ぶ環.両手を広げて…「来い!」と構えたのでハルヒは華麗に宙に舞い…見事なフットスタンプをお見舞い(笑).もちろん痛くて青い顔でひとりで倒れる殿,その目前で蘭花やらヅカ部やらがハルヒを追いかけ,当のハルヒさんは環のことなんか既に忘れて「ああ,家で静かに勉強したい!」と思った途端,なぜか全員の足の下にバナナの皮が(苦笑)!
感動も感心も共感もなくてただひたすらに愉快なだけ.ナンセンスギャグとしてのレベルも相当高いんですが,本作は一応少女マンガなので,そろそろ真面目にやる練習をしておかないと,クライマックスで困りやしませんか(笑)? …てなわけで,今度はかなり真面目な次回に続きます.

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桜蘭高校ホスト部#18

「最終兵器ロリショタの巻」

ホスト部では比類なきロリショタぶりを発揮するハニー先輩.彼には中等部在籍中の弟がいて,顔を合わせれば弟が仕掛けてくるそんな殺伐とした兄弟仲.以前は家の跡取りとして無理に男らしくふるまっていたハニー先輩だが,ホスト部に入りケーキと可愛いものの誘惑に屈した今となっては禁欲も自制も見る影もない.ただしこのロリショタはべらぼうに強く,そのことが格闘家としての兄を尊敬する弟には我慢できない.

2クール目を快調に,部員たちの内面をさらに掘り下げていく「ホスト部」.普通はどんな明るい顔でも内面を掘り下げると底暗いものがどろりと出て来たりするわけですが,ごく稀にそういうのとは全然違うものが出て来るという,今回はそういう話(笑).最上級生にはとても見えないハニー先輩の過去と現在は壮絶にシュールで,どこをどう頑張ってもまったく共感できない展開が映像のキレも相俟って面白い! 今回は脇に徹する双子のシンメトリーぶりも大変に楽しい.すっ飛んだ展開なので当然感情に来るものはないわけですが(苦笑)そのトビっぷりににやにやしちゃいましょう.ちなみに原作からは大幅な改変がなされてるんですが,1話でまとめるには削るのもやむを得ないですね.

前半.庶民の世界から見れば異世界である桜蘭のさらに異世界である第3音楽室にやってきたのは,中等部の眼鏡の少年.しかめっ面な彼とそのハニー先輩が顔を合わせたならば…「光邦,覚悟!」といきなりバトルの開始.大抵の超展開には慣れたはずのハルヒさんでも,いきなりのバトルは追従しにくく,しかし他の連中は特に動揺することもなく,むしろ実況とかはじまって異様にノリノリ.
手広くやってるれんげさんは突然の戦いすらも見事に実況.今様牛若丸であるハニー先輩に挑むのはチカ君.2人の縦横無尽なバトルっぷりは達人の域なんですが,ハニー先輩のあの力みもなく平静な表情は…ちっとも本気じゃないんだろうなぁ(苦笑).対してチカ君はあっという間に息が上がっております.
ハイレベルな2人の喧嘩.この学校的にはいつものことのようでギャラリーの皆さんも実にのん気.はらはらしてるのは慣れてないハルヒだけ.チカ君はどこからか取り出した金属の棍を構え,ハニー先輩を吹っ飛ばした…と思ったら,この勝負はハニー先輩の勝ち! チカの足元にはハニー先輩のクナイがっつり刺さって「影縫いだ」.どうやら格闘スタイルだけでなく,武器も暗器もOKなルール無用のバトルなんですね.銃火器とかミサイルは…流派的にはOKでも日本国内じゃ法に触れるからダメか(笑).
無傷のハニー先輩はやはり最強であることが実証されたので実況のれんげさんは退場.かなり痛んだモノクロフィルムを使ってたあたりも絶好調でマニアだなぁ….で,あまりに敷居の高い今回はハルヒさんはすっかり置き去り.そもそもチカ君がわからないんだけど…よくよく見ればあっさりわかる,「ハニー先輩の弟さんだよ」
古来より武芸で名を成し,しかしそれに留まることなくあらゆる武術を取り入れてきたという埴之塚流.これを極めんとする者は,顔を合わせたら即座に切り結ばねばならないために冒頭のようなことに.ホスト部の皆にもそれぞれ家庭の事情があるのだと今のハルヒは知っていますが…ハニー先輩の事情は珍妙すぎてやっぱり敷居が高すぎです.
埴之塚流の基本は自身を戒め無我を目指す.…それは中学生がテニスで出すアレのことかい(笑)? 自律自戒が重要で,快楽に流されることは禁止なのでケーキもだめ.けれど次期当主の呼び声高きハニー先輩はケーキ好きで甘えたロリショタ.まさに砂糖菓子の煩悩の塊のような彼は流派的にはもちろん例外で,ゆえにチカ君は兄のことを呼び捨てにする程度に大嫌い.今の堕落したハニー先輩には,当主の資格はないとまで言うのです.
ホスト部へと移籍して以来,武道の道よりショタの道を極めてしまったハニー先輩.そんな兄貴を弟が尊敬するのはさすがに相当難しいようで,負けたくせに「学校では俺に近づくなよ」とか捨て台詞まで残していく始末.…刺々しい言葉を実の弟から一方的にぶつけられるばかりの先輩はさすがにうさちゃんを抱えてちょっぴりヘコみ気味.でも「余ったケーキ,どうします?」と環がケーキを差し出したなら,満面の笑みで食いました(苦笑).家庭の悩みは人並み以上に抱えているものの,ケーキやうさちゃんには絶対勝てないあたりが実に彼らしい.
なぜにハニー先輩はまともな空手部からうさん臭いホスト部「なんか」に移籍したのか? ハルヒは不思議がり殿はプライドを砕かれてます(笑).知らないハルヒに双子が教えてくれるのは,ホスト部ができる前,今より2年前のハニー先輩空手部時代の物語.
ハニー先輩の空手部鬼主将伝説! 2年前のあのころの先輩は,当主として相応しくなろうと一生懸命.1年生で空手部の主将を務める実力は本物なんですが,あまりにロリショタな外見にはさすがに周囲の目も厳しかった.それをなんとかするためには,己を律し弱さと甘さを切り捨てて真の強さを掴むしかなく,傍で見てると切なくなるほどの努力を「そりゃもう頑張られた!」 …ただし武道の修行ではなく,見た目を鬼主将にする方向の努力なんですが(苦笑).
実力的には十分なハニー先輩は,それ以外を次期当主らしくするために努力.可愛いものを封印し,勇ましい仕草や勇ましいメニューを選ぶハニー先輩.…それはどうにも似合ってないし,必死の努力や我慢がむしろいじらしくて萌え(笑).この頃のハニー先輩にとっては,何をやってもファンクラブが結成されてしまうほどの自身の愛らしさこそが最大の敵であったわけです.
ちなみに「鬼主将伝説」なのは,当時あまりの不憫さに同情した部員たちが「鬼主将」と社交辞令を連発し,それにハニー先輩がほんわり喜んでいたため.どう見ても鬼じゃない相手を必死で鬼と呼ばねばならない!そんな周囲の必死の努力が泣けます(笑)!
世の中にはどれだけ頑張っても無理なことがあるわけですが,それを必死にやっていたハニー先輩の目を奪った,ピンクうさぎの手踊り人形.ハンドパペットのかわいらしさに見事に誘い出された鬼主将が見たのは…薔薇を撒き散らすまだ若い金髪の王子様とうさぎ.彼は「僕と一緒に部を立ち上げてみませんか?」とハニー先輩を誘惑します.
スカウトっていうか部長の一本釣りに挑戦してきた中学時代の環.これからホスト部を作ろうと考えている彼は,思いつく限りのメリットを餌にして大魚釣り.格闘家としてはネガティブな意味しか持たない容姿を生かすことが可能.さらに可愛い小物や甘いケーキも存分に! 「僕らと楽しく過ごしてはみませんか?」
可愛いものと甘い物の誘惑から必死で逃れようとしていたハニー先輩にとって,その中心から来た環の言葉はまさに悪魔の誘い.必死で関心のないふりしても,うさちゃんからは目が離れない(笑).見事に獲物は針にかかっているので,後は魚に諦めさせればいいだけです!
環が抵抗する魚に問うのは「真の強さとは一体何なのですか?」本当の自分を隠して見栄を張ることは逃げであり,本当に好きなものを知って認めることではないのかと.「楽しもうとする前向きな力,それこそが本当の強さではないんですか?」…凄まじい揺さぶりの上にうさぎを残して,環は一旦退場.引くだけ引っ張っていきなりふっと緩めたわけですね.
ただでも無理していたところに,環の言葉に揺るがされたハニー先輩.己の中に無理と迷いがあることを自覚した彼は,ここまでの彼をデザインしてきた父に向かって,真の強さとは何かを尋ねます.…ここで適当論理で口頭で説明していたら,きっとハニー先輩はホスト部には入らなかったんだろうけど…おもいっきし実戦でもって語ろうとしたのが運の尽き.天才武道家の父は病院送りにされました!
恐ろしいまでに完成していたハニー先輩の格闘能力.その発露は審判を完璧にビビらせ,内々に大量破壊兵器認定までされてしまうほどの無茶苦茶ぶり(笑).なんだこの最終兵器ロリショタ.寝起きの悪さで特殊部隊をやっちゃったのもやっぱり本当なのかなぁ.
こうしてハニー先輩は釣り上げられてホスト部へと移籍し,大変に共感しにくいキャラの大変に共感しにくい過去話はようやく終了.ハニー先輩は型破りすぎて埴之塚にも収まらないというか人類の範疇に収まっておらず(笑)それに比べるとチカ君は家風でがちがちっていうかまともゆえに反りが合わない.…でも,弟と喧嘩するのは辛そうなので,「埴之塚ブラザーズ仲直り大作戦を開始する!」と環は宣言するのでありました.

後半.チカ君は空手部主将として掛値なしの鬼主将ぶりを発揮しておりますが,あまりにも兄が凄すぎるのでその頑張りが薄れてしまうのがやるせない.でも,即座に正拳突きを鼻先にくれたり休憩をやめさせたりするのは鬼主将だけど大変に情けないぞ.チカ君の歪みっぷりはお約束どおりのものであったため…双子は揃って別の遊びを探しに行こうとする薄情ぶり(笑).面白いことだけを求める双子にとっては,ハニー先輩の気持ちなんかどうでもいいんだな.
今日も他人のことに一生懸命な環に向かって,ハニー先輩は「僕いいんだ」と遠い目.ロリショタだけど兄だから,弟が元気にすくすく育つのを祈るばかり…と考えてることは妙に老けてるんだけど,見た目はアレで弟の方がでかいし,ついにはあまりに皆がうるさいので,あっさりチカ君に発見される始末.
出会ったらそのバトルというのが埴之塚流.その相手がたとえ兄でも宇宙人でもルールは絶対…って,宇宙人? チカ君はハニー先輩を宇宙人呼ばわり.確かに人類離れはしてますが,強すぎて甘いのと可愛いのが大好きなロリショタに対する呼称としてはいささか不適当にも思えるわけですが…「あの人毎晩夕食を食べた後にホールケーキ3個とか,平気で食べるんです!」…わあ.
チカ君が兄が嫌いなのは強いからとか甘いのと可愛いのが好きだからではなく,兄が人間離れしているから(笑).食後にホールケーキ3個を瞬時に消し,夜中にはうさちゃんと一緒にケーキ祭り.小粋なウエディングケーキレベルのブツに取り囲まれた週に1度のスペシャルケーキナイトは,チカ君のトラウマになるくらいに怖かった….ケーキバイキングで大活躍する人を見たときの数万倍の衝撃を喰らったわけだから,そりゃ嫌になるさ.
「はっきりいって怖くないすか?怖くないすか?」と必死で己の味わった恐怖を伝えようとするチカ君(笑).常識の枠内で考えれば,うさちゃん電波で一晩中ケーキ食べてるような奴は宇宙人扱いされても仕方がない.…それでも昔はまだちょっと過剰なくらいだったから仲良くできたけれど,ホスト部に移籍するときにタガが外れてしまった(苦笑).好きなものを認めるのが真の強さとか吹き込まれたのを真に受けて,強い兄は宇宙人へと変貌! あの説得がなければ今の不仲もなかったのか….
仲直り大作戦の企画者が不仲の原因であったことが判明しては,さすがに仲直り仲介は難しい.しかし兄はしっかり誤解しながらも,甘いものが嫌いな弟と向き合うことを決めました.すっかりホスト部に染まった彼は今の自分に恥じるものなし.ゆえに!「男らしく,埴之塚流でケリをつけよう,靖睦」と言い切る様が実に凛々しい.
本日締めの大一番.どこだかわからん草原ではじまった勝負には,「夜中にケーキを食べるのはやめる」という懸賞がついております.…この程度の条件ですらチカ君があっさり飲むくらい,ハニー先輩の病は重いのか….前回とは逆に今回はハニー先輩が攻撃側.どこからともなく棍を出して攻め,チカ君が影縫いを狙ってきたところを綺麗に棍で跳ねてしまう.
いつもいつでもハニー先輩を見守り続ける,モリ先輩が珍しく長台詞するところによれば,チカ君はハニー先輩の動きを常に取り入れ,ハニー先輩は常にその技を出すきっかけをつくってやっている.武道家としてはチカ君はハニー先輩を未だに尊敬し,近づきたいと思っている.…そこにはちゃんと絆があるから,モリ先輩的にはこのままでいい.兄弟の繋がりは完全に切れているわけではないのです.
それにこの勝負に関しては,ハニー先輩はわざと負けて勝ちを譲るつもりだとモリ先輩は真剣に見立てます.どんなときでもずっと一緒だったから…「あいつのことなら,なんでもわかるさ」なはずなのに! その目前で兄は弟を手加減抜きで吹っ飛ばし,最悪のダメージを食らったモリ先輩(笑)!「…あ」

宇宙人の考えていることは人類にはわからない.その人類が弟でも筋金入りの臣下でも,全然別の生物の頭の中なんかわかるわけがない(笑).本気で甘いものが好きなハニー先輩はスペシャルケーキナイトを止めることなどできず,むしろ勝利したからと週3回にグレードアップ! …そんな食生活は絶対体を壊すと思うけど,宇宙人だったら壊れないのかもしれないなぁ…(苦笑).
あっさりやられちゃったチカ君と,自分のこれまでをぶっ壊されて真っ白になったモリ先輩はご愁傷様.そしてケーキのためなら武道だろうと弟だろうと犠牲にできるハニー先輩はケーキの鬼だ! 自制自律もあくまで人間の枠内で推奨されることであり,人間離れしたハニー先輩には似合わないし,らしくないし,楽しくないから…ここは素直に,正直に!「うさちゃん,だーい好き!」…これほど悲壮感とかしっとり感のない過去話は珍しいよなぁと笑いつつ,次回に続きます.

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桜蘭高校ホスト部#17

「違うと言い張ることほど本当の巻」

将来を嘱望される鳳家3兄弟の末弟である鳳鏡夜.夏休みの最終日,彼は庶民デパートの中で目覚めた.環たちが寝ている鏡夜をここに運んで置き去りにしやがったのだ.携帯電話も財布も持たない状態で,このままでは家にも帰れない.…そんな彼を救ったのは,ホスト部唯一の庶民であるハルヒの財布だった.
財布なハルヒを従えて,ファーストフードを無造作に食らい物産展を眺める鏡夜.ハルヒや庶民の前では利益がないから愛想もなく,計算以外でも動く環とは1ミリも同じところはないはず.けれどハルヒは彼の行動の中に,打算では説明できないものを見つけるのだった.

高い完成度で見るもの全てを幸せにしてくれる素敵な「ホスト部」.タイトルと設定の敷居だけはそれなりに高いですが,そこさえ越えてしまえば大抵の人間が楽しめてしまう,かなり普遍的に愉快な出来が素晴らしい.全体的なバランスが絶妙で,根底から世界観も健全.割とどこでも褒められるわけですが(笑)鏡夜が主役ゆえにいつもより動きが小さな今回の場合は,印象的な音を誉めてみたい.時には心象,時には状況を示す愉快な音効が静かな物語に見事な色をつけてくれます.マンガであれば書き文字で示されるものだけでなく,端書きや空白すらも音によって描いているのが興味深い.原作と見比べるとアニメなりの解釈の面白さがはっきり見えて,福田道生氏の演出も冴え渡っています.

前半.今回の主役は鳳鏡夜.由緒ある公爵家の末裔で現在はヘルスビジネス界の雄である鳳家の3男である彼は,普段から出来のいい兄2人と後継者レースを競っております.主席キープは当然でそれ以上を常に求められる3男へのプレッシャーはでかく,本人は断固として否定するでしょうが夢にまで見てしまう程度には辛いはず.
で,そんな嫌な夢の最後には「凄いこと考えついたぞ!」と能天気なバカの笑顔.ふと気づいたときにはなぜか鏡夜は庶民の雑踏の中.普段着で長椅子の上でひとりきり座り,なんとなく寝乱れた頭.少なくとも自宅のベッドの中ではない「…ここは…どこだ?」
沢山の庶民の店と買い物に興じる庶民たち.フロアガイドが示唆するようにここはデパート.どうやら寝起きデパートをお見舞いされたらしい鏡夜の頭はなかなか動かないけれど,次第に「環がなんか叫んでいたような…」と思い出してきます.本人も完璧うろ覚えなんですが,1時間前,既に鏡夜は寝起きホスト部を食らっていたのです.
今朝.ホスト部一同は鏡夜の寝室にいきなり訪問し,デパートのふるさと地方物産展を見に行こうと誘いに来やがりました.庶民文化を学びまくってハルヒをより理解するのだ!と無駄な向上心を発揮する環は「さあ行こう!すぐ行こう!」とハイテンション.しかし寝起きが凄まじく悪い鏡夜は,ベッドの中,舌打ちしながら凄い目で睨む(苦笑).
とんでもなくおっかない鏡夜の寝起き.これまでも殿はときどきその怖さに負けてきましたが,今回はテンション高いのと味方が多いのであんまりおびえていませんね.…鏡夜が今朝寝たのは明け方5時.一体そんな遅くまで何をしていたのかも気になりますが,できれば昼過ぎまでゆっくり寝かせてあげたいんだけど….
低血圧魔王はホスト部を仲間扱いも客扱いもせずに静かに荒れ狂い,そこに「すごく寝起きがわるいんだねぇ」と寝起きの怖さは兵器並のハニー先輩に言われ,鏡夜のかわりに「お前が言うな」と突っ込むモリ先輩.今回の彼の仕事はここくらいですか(笑)?
「何が庶民文化だ,庶民ネタはいいかげん飽きがきてるんだよ」と眠い魔王は暴言というか本音を吐いて(笑)マンネリ人間に「行きたきゃ勝手にしろ」と捨て台詞を残し再び就寝.しかしこのマンネリ人間はテンションが異常に上がっていて,本当に勝手にしやがりました.拒絶の台詞をお許しと解釈し,再び寝た魔王様を勝手に着替えさせて勝手に同行させちゃう.冷静沈着でやや距離を置きがちな彼をおもちゃにできるなんて希少な機会だ(笑)!
てなわけで寝ている鏡夜まで引き連れて庶民スーパーへと乗り込んだホスト部のぼんぼんたち.金持ちだけど建物を借り切ったりしないところがいいよなぁ.そこに広がるのはハルヒがいなければきっと一生目にすることもなかったはずの光景で…大量生産にエキサイトしてみたりペットショップに気もそぞろになったりアイス食べたかったり屋上のイベント見たかったりともう夢中.デパートの魔力によって鏡夜はひとり置き去りにされて…気付けばひとりぼっちでした(笑).
「なるほど…そういうわけか」と自身がバカどもに置き去りにされたことを認識した鏡夜.現在位置を確認し歩いては帰れないから電話して車を呼ぼうとしたら,ポケットの中には携帯どころか財布すらない.さらに寝起きのために腹も減っていて….
ツッコミ属性を持つ者にとって,ボケにコケにされることほど耐え難いことはありません.鏡夜にぶつかった不注意な少年が見たのは,なまはげよりも怖い顔の魔王様(笑).「環の奴め,絶対に殺す」と本気で怒った顔は凄まじく険しくて,描いてる奴絶対楽しんでる.…そんな怒れる無力な魔王様を救ったのは偶然.「なんでこんなところに!」と運悪く登場してしまったハルヒに向かい,「ハルヒ,所持金はいくらだ」「は?」
普段なら金を貸すことはあっても借りることはありえない鏡夜ですが,今日ばかりは特別.手持ちが少ないハルヒにファーストフードをおごってもらって腹ごしらえ.ちなみに経費に関してはあとで環に十倍返しさせると本気です(笑).…鏡夜にとっては救いの女神ですが,せっかくの庶民ライフを満喫していたハルヒにとってはいい迷惑.しかもこの機嫌の悪い迷惑ときたら,いつもとかなり違うのです.
ファーストフード店内,ホスト部ゆえに当然目を引く美形である鏡夜に向かって店員はご一緒にいろいろお勧めしようとするも,「いらないと言っている」と不機嫌魔王は恐ろしく(苦笑)「もうちょっと言い方があるでしょう」とハルヒに嗜められる始末.店で品物すら頼めないような未開の地にほうり出されたことが,相当頭に来ているんだろうなぁ.
過剰なサービスは断固拒否,ハンバーガーも手づかみでがぶり,そしておごってもらった癖に口に合わないとはっきり証言(笑).彼がおごってもらって文句を言いそうな奴であることは間違いないですが,いつもの上品な彼とは思えないほどのこのワイルドぶりをれんげさんが見たら,やっぱり裏人格萌えとか言い出すんだろうか….
庶民たちとハルヒさんしかいないここでは,人の目など気にしない鏡夜.「こんなところで上品ぶっても,何のメリットもないって意味だぞ」とわざわざかぶせて否定するところが微妙におかしい.別に金持ちってマナーとかいろいろ大変なんだとハルヒさんに思われていたって構わないだろうに,それを無理に否定して何のメリットがあるって言うんだ(苦笑).
利益がないと本人が判断した場所では鏡夜はどこまでもぶっきらぼう.利益があるときの優しい笑顔は見る影もなく,どんなときでもたぶん天然ホストな環とは大違い.…「なぜ環なんかと仲がいいかと聞かれれば」とハルヒの心を勝手に読んで回答する魔王様が挑むような目で言うところによれば,「利益があるからだよ.俺はそれ以外の理由じゃ動かない.エゴイストだからな」
さらりと冷たいことを言う鏡夜.しかもそれは環だけでなく,ホスト部の全員が最初から利益があることを知っていて手を組んだのだと衝撃の告白.それは未だハルヒの知らない,各自の家の事情も絡んだ話.ただしその利益が具体的に何を指すのかについてはきちんと説明していません.それと環の馬鹿に関しては,利益がなくても行動しているのは否定しようもなく,彼と自分には「1ミリも同じところがないな」…とわざわざ否定するのが逆に怪しい.
腹も落ち着いたし財布も見つかったので,帰らずに物産展をひやかしていくことにした鏡夜と,財布のハルヒ.良家の子弟である鏡夜は真珠の良し悪しまで見分けてみせて,庶民の中だからこそ能力が際立ってます.ハルヒと他のホスト部の連中の間にはドでかい壁があるのだとハルヒは最近自覚しつつあり,特に鏡夜に関しては,自分の事情が筒抜けであるがゆえに情報格差を不公平と感じています.一方的に知っていてずるいという意見に対しては「それなりに興味深い感想だ」と答えるに留まる鏡夜.…情報は力.今のように不公平な方が鏡夜には有利なのです.
例えば兄弟については,パーティで3人並んだなら末席にいるのが鏡夜.跡継ぎ候補としては最後尾を歩み,折角の優秀さも2人の兄ゆえに霞んでしまう…なんてことは自身の弱みなんだからハルヒになんか言うべきじゃないはずなのに,緩やかにはぐらかしながらも語っているのが面白い.3男には父の期待を無難にこなす以上のものが期待されていて,しかしそれすらも「これ以上面白いゲームはないと思っているが?」なんて言葉は本音? それとも強がり? …どっちにしても庶民デパートの物産展で語るのはあまりにも不似合いな話なんだけど(苦笑).
鏡夜の言葉をまとめると,彼は利益最優先で環には欠片も似ていず後継者レースすらゲームとして楽しむようなエゴイスト…であるはずですが,ハルヒはこれから起こる出来事を目にして,それが真実かどうか疑問を感じることになります.物産展の片隅に,なぜか正義の味方が降臨してしまうのです….

後半.鏡夜が見つけたのは物産展の片隅で焼きものを買おうとする奥様.店主は有名作家の作だと和装の奥さんに茶碗を売りつけようとセールストーク中.ただし本当の門外不出クラスなら,10万台では絶対に出ないよな(苦笑).そこに「偽者ですよ,奥様」と華麗な音楽をひきつれて颯爽と登場する鏡夜.…いや,きっとあからさまに偽物なんだろうけれど,それでもお茶碗はもうちょっと丁寧に扱ってやってくれ…(苦笑). 本物の色合いや刻印すらも熟知して,しかも作家本人と交流まである鏡夜は業者に鬼の笑顔を浮かべ,見事老婦人を救います.
自称エゴイストの癖になせか他人を助けてしまった鏡夜.明らかに利益のない行動をなぜ取ったのかと思ったら,実はあのご夫人は大手電機メーカーの会長夫人.はじめて逢うけど指輪でわかった,と,凄いところで個人を特定しやがった鏡夜の眼力が恐ろしい(笑).和洋を問わずこういうのには滅法強いタイプみたいですね.ただしハルヒはさっきの光景を正確に覚えていたため,ラストでは鏡夜よりもさらに鋭い眼力を示すことになります.
さらに自称エゴイストである鏡夜が会場で感じた疑問ときたら,メロンはそんなにお菓子メーカーに人気なのか?という大変に彼らしくないもの.意訳するならコーンなのにメロン味とか意味わかんねみたいな素朴な感想に,「それなりに興味深い感想です」とハルヒは笑います.それじゃまるで環みたいだ! …そんな指摘に驚いて,笑う鏡夜.確かにこういうのは環や双子の領域で,一ミリも似ていないと言った癖にしっかり似ている.
さてその頃! 屋上では今回唯一のアクションシーンが展開されておりました.環は犬を満喫,ハニー先輩もアイスを満喫,そしてなぜか双子はメリーゴーランドを満喫.さらにイベントステージではちょっとしたヒーローショーまで見られるんだけど…そこに聞きなれた高笑いが(苦笑)! 強力モーターで出てきたお姉さんことれんげさん.このあたりのれんげさんのメリハリの素敵な動きっぷりが映像として大変に面白いぞ!
れんげお姉さんに襲いかかるナマハゲさん.宿題をしない悪い子を襲う悪から「助けてー!オウラン戦隊ホストレンジャー!」…いろんな意味でれんげさん,本当にやりたい放題だ(苦笑)! 無駄に金持ちの娘なもんだから,同人誌の出版に留まらず,その溢れる資金力で自分の妄想世界を一般に広げようとしているのか.で,ここで出てきた影のリーダーの黒いホストレンジャーを見て,ホスト部全員,大変なものを忘れていたことに気付きます.
物産展を見終わった後,目覚めた地点に戻ってきた鏡夜とハルヒ.いくら環が筋金入りのバカだとしても,いい加減気付いて迎えに来るだろうと考えたのかな.…例えば環ならさっきのご婦人もきっと彼なりの利益を得るために助けたはず.そんな環は自分と違うと語る鏡夜と,そこからやや離れて座って鏡夜を見ているハルヒ.ハルヒには鏡夜の言う「利益」がわからない.
利益とは一般的には金や名声や実益.それは好んで人助けをする環の感じる「利益」とは明らかに別物.まあ彼らの場合,金や名声や実益なんかむしろ余ってる状況なのですが.環はいつだって他人のためにバカみたいに動き,特に困った人を救うために素晴らしい行動力を示してきたのは皆様もご存知のとおり.…だからこそハルヒは,鏡夜は環に似ていると思うのです.
ここで衝撃的な迷子のお呼び出し.「東京都よりお越しの鳳鏡夜君.保護者の須王様がお待ちです」….具体的な特徴までアナウンスされて,しかも衆目を惹きやすい特徴的で優れたルックスではもはや隠しようもなく(笑)いきなり晒しものにされた鏡夜は「あの馬鹿…殺す!」と本気で憤る.環,後でどうなっちまうんだろうなぁ….

例のアナウンスで鏡夜とハルヒがホスト部ご一行様に合流.環たちは鏡夜だけでなくハルヒまでついてきたので大喜び! さっき途切れた話の続きで,鏡夜は馬鹿と自分のどこが似ているのかとハルヒに聞くわけですが,ハルヒの人間に対する眼力は並のものではありません.さっき鏡夜が利益のためにご夫人を救ったというのは…「あれ,嘘ですよねぇ?」.あの時指輪は見えなかったから,鏡夜は救う相手が誰かもわからない状況で正義の味方をやったはずなのです.
エゴイストと言い張る癖に,やってることは利益度外視の正義の味方な環と大差なし.「先輩がわざとエゴイストとして振舞うのは,実際エゴイストでない以上,違和感を感じます」と鏡夜のような口ぶりで偽者を見破られてしまったら,「それなりに興味深い感想だ」と応えるしかない(笑).…そもそも本当のエゴイストなら,こんなぬるい部活とバカ部長を護るために新聞部を追い詰めたりはしないもんなと思いつつ,次回に続きます.

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桜蘭高校ホスト部#16

「素直な感謝は何より強くの巻」

ハルヒがアルバイトしているペンションに配達にやってきた,彼女の中学時代の同級生である荒井君.俺たちだけのお姫様のはずのハルヒに男の影があったことにショックを受ける環たちだが,彼は中学時代にハルヒにふられていた上に,今日もさらに駄目押しされてしまうような気の毒な男だった.
とりあえず敵でないことがわかった荒井君.しかし光だけは彼を受け入れず侮辱するような言葉ばかりを吐き,ついにはハルヒに平手打ちされてしまう.幼稚すぎる独占欲を発揮する光のことを心配する馨は,光のためにハルヒにデートを申し込む.

物語全体の中でも結構重要な軽井沢編の後編をシリアス目に描く「ホスト部」.自分は原作の中ではこの話が一番好きで,いかにも少女漫画らしい,ダイナミックな感情の動きを表現する後半の展開がうまくいくかどうかで今後の出来も占えるんじゃないかと思ってたんですが…これはかなりいい感じじゃないか?
終盤は原作に比べるとずっとシンプルに整理されてるんですが,話の余韻を生かすならばこっちが正解.広い紙面全体で楽しさを表現できるマンガと違って,アニメは1シーンごとに深く集中する質のものです.狭い画面の中で重要なことを全て表現するためには,それ以外を極力切り捨てる必要があるのは当然.賑やかな原作から取り出されたエッセンスは,華やかさを捨てて真っ直ぐに心に響きます.

前半.前回ラストで訪れた衝撃.ハルヒにホスト部以外の男友達がいた! しかも中学時代の同級生! 突然のライバルの出現を環も双子も激しく警戒.しかもハルヒときたら環には更なる追撃を食らわせます.光と馨は同じクラスの同級生で…環は「知り合いの人」(笑).確かに先輩と言ってはダメと言ったけど,なんて無造作に人の心を抉るんでしょうかこの子は.
桜蘭では激しく浮いているけれど,ごく普通の庶民なハルヒさんは中学時代の友達ともちゃんと交流がある御様子.自分たちの知らない情報を目の前にぶら下げられたソフト部ならぬホスト部の半分くらいは興味津々.子どもみたいにすねてる光と,折角作ったしおりでハムスターのおうちを作っている幼児な環だけが浮いてます(笑).あのしおりで墓穴掘ったのは間違いないもんなぁ….
完全な部会者である荒井君から見れば,部内のハルヒにとっては迷惑なホスト部もなかなか面白く,それ以上に異世界に旅立ったハルヒが元気だったことがうれしくて,そして自分に微笑んでくれる彼女はやはりとても可愛い.…そんなさわやか片思いぶりすら気に入らない光.「あからさまにハルヒに気があんじゃん!」と嫌味を言いまくるわけですが,これが意外な方向に話を転がしていきます.人のいい荒井君ったら,気があったのは本当でしかもふられたとカミングアウト!
ふったハルヒ本人すらびっくりの悲惨な1年前の夏.まだ中3であった2人はただの同級生.しかし荒井君はハルヒが好きだった…という前提からはじまる笑い話.桜蘭の特待生枠を受けると聞いて駆けつけた荒井君.好きゆえに同じ高校に行きたかったわけですが,「早く言ってくれればよかったのに!」とつい期待しそうな返答をよこすハルヒさんは罪作り.荒井君は一緒にいたいだけで,桜蘭の試験を受けたいって話じゃないんだ…(苦笑).
受験についてもひどく真っ直ぐに語る,ハルヒさんのそんなところも実に好ましいんだろうけれど,あまりに真っ直ぐで雰囲気を察してくれないのは困ってしまう.ハルヒさんは桜蘭の試験を受けるならと確認に行こうとするのを慌てて止めて,思いっきりの勇気で「つきあってほしいんだけど!」と軌道を修正しようとするも! 「うん…私も願書の締め切り確認したいし,一緒に職員室にいこ?」…玉砕でございます(笑).
1年前の勘違いを今更に気がつかされたハルヒは愕然.さすがにそれはひどすぎて,先輩方に責められるのも無理はない.しかも適度に慰めたりごまかしたりせずに,「ごめんなさい!」と追い討ちまでかけるハルヒは鬼で,それにも耐えてしまう荒井君は実にいい人です.どこまでも遠く真っ直ぐなハルヒさんの目が好きな彼のことをなぜか異様に殿は気に入り,うちの子のことをここまで!と感動しております.でもって「安心しろ! 君の雄姿は忘れない!」
その負け犬ぶりが明らかになったことですっかり彼と仲良くなってしまう現金なホスト部.ハルヒさんの庶民中学校時代の話はどれも興味深く,京都の話などで盛り上がるわけですが…双子はそこに混ざらない.もっと正確に言うならば,光が強硬に荒川君を嫌っており馨がつきあっているという格好.しかも単に混ざらないだけでなく,遠くからひたすら口撃を加えるんだから性質が悪い…というか,正直大人気なさすぎです.
ハルヒに相手にされてない,ハルヒの中にお前の居場所はないと荒井君にひたすらに厳しい言葉をぶつける光.あまりの失礼ぶりに切れたのは…荒川君ではなくハルヒさんの方.前の同級生の名誉のため,今の同級生を平手打ち!「人の友達にこれ以上失礼なことするなら,許さないから!」
…まさか叩かれるとは思っていなかったに違いない光は呆然.他の奴なんてどうでもいいだろと呟いて,「お前の友達は俺らじゃんか!」と捨て台詞残して部屋へとこもる(苦笑).…この幼稚な独占欲は懐かしい1話の綾小路姫以下であり,「まだまだ世界が狭いなぁ」と環にすら呆れられてしまう.いつもはバカにされるのは殿の役目なんだけど,人間的な度量に関しては無駄に環の方が大きいんだよね.
独占欲をコントロールできずにぶつけてしまって叩かれた光.顔向けできないほどに子どもっぽくて,そんな光の傍にいてくれる馨の方がずっと大人.何もかもそっくりで区別できないのが売りのはずなのに,自制心とか心遣いの面に決定的な違いがあったわけです.しかもそれはかなり根深いもので….
1年越しでふられた上に,奇妙な騒動に巻き込まれた気の毒な荒井君をホスト部一同がお見送り.人のいい彼はさっきの無礼も許してくれて,さらに光も彼に謝って一件落着…ってわけでもない.真実を見るハルヒには,「馨,なんで光のふりしてるわけ?」と当然バレてます.ごめんなさいすらできない困った兄弟をそのままにしてもおけないし,馨はハルヒに「明日1日,僕とデートしてくんない?」とにっこり頼みます.

後半.人付き合いに多大な問題を抱えた光をなんとかするために,馨がお膳立てしたのがハルヒとのデート.風邪を引いたふりでハルヒのエスコート役を押しつけてしまうのです.うまくやらなきゃ口聞かないぞと脅したり,これまでちゃんと他人とつきあったことないだろう?とためになるアドバイスをしてみたり…明らかに馨の方が大人.「お互いの気持ちとかは,言わなきゃ相手には伝わらない.でも…」
軽井沢市街でのデートでは,ハルヒさんがやたら可愛い.常陸院メイドのドレスアップによって,付けツインテールにキャミも大変に愛らしく…それを見守るハメになった殿は超可愛い!と大暴れ(笑).なんだってハルヒの初デートを光に譲り,それを影から見守らねばならないのかと言えば…光に自覚を持たせるためなのです.
これまで2人きりで好き勝手にやってきた常陸院の双子,特にお子様な光は感情だけで突っ走ることしか知らず,好意の示し方がわからない.よくハルヒばかり見ていたのは光のわかりやすい興味と好意の表れであったわけですが,感情を押しつけるやり方しか知らないために,環に呆れられるような大変情けない状態に陥ったわけです.
おもちゃじゃなくて本当の友達が欲しいなら,相手を尊重する付き合いを学ばねばならない,という馨の意見の正しさは全員が納得するところ.家柄が良すぎて似すぎていて,どうしても孤立せざるを得なかった光にとっては,他人のことを思いやる心を芽生えさせる試練は絶対に必要.…どうも馨の方は光を尊重することで,そういう社会性を先に身につけてしまったみたいですね.ただし!常陸院が面白いものが嫌いなわけがないので(笑)当然のようにデートを尾行するところがさすがB型.…この段階で,環は空模様を気にしています.
さて,ご一同様に見守られているとも知らないハルヒと光はまず行き先を決定せねばなりません.光はアウトレットモールなど提案してみますが,買い物しないところに行っても仕方がないと却下.…気遣いのなってない光は正直に申告しすぎだ(苦笑).そしてハルヒも空模様を気にしています.「雷雨とかじゃないといいんだけど…」とかなりわかりやすいヒントを出してるんですが,光はちっとも気づいていません.
デートとしてはいきなりコケてる2人を見守る殿はおかんむり.怒りの末に鏡夜にチンピラ役をやれと命令し,「寝言は寝て言え」と冷静に切り返されてみたり.うだうだ考えてるのも迷惑ですが,考えずに動いてしまうのはさらに迷惑.ハニー先輩が和ませるためにアイス屋さんに仮装して突撃するのを,モリ先輩が慌てて撤退させます.…お前らは相手のことばっかり考えすぎです(苦笑).
謎のアイス屋の襲撃直後,ハルヒさんは勝手にソフトクリームを買いました.しかも「一口お先に」なんて勧められたら否応なしに親密度が上がってフラグが立ちそうなもんですが…謎のアイス屋店主がインターセプト.サングラスに付けヒゲの金髪店主.たとえ馨に怒られようとも,ハルヒさんと光のカップル喰いだけは阻止したいいじましい父心を許してあげてください….
結局決められない光に代わって,今日の目的を決めたのはハルヒ.山芋の漬物を2つ買い,寝ているはずの馨へのお土産とします.遠出せずに馨へのお土産を選ぼうと言い出すハルヒは光のいらいらの原因を正確に理解していて,でもその理由を聞いたら回答が「てきとー」.…実にざっくり(苦笑).
他人のことには素晴らしく気の効くハルヒさんが光を思いやってしまったため,当初の目的は全然達成されてないわけですが(笑)なんか背のちっこそうなボールとか見て和んだりしてるので,これ以上邪魔するのは野暮というもの.それにここにいてはいけない感じで電柱の影で泣き濡れてる殿もいるので(笑)監視班一同は引き上げてしまうわけですが…本格的に話が動くのはここから先.
ハルヒが心配していた空模様は急激に悪化.遠雷に過敏に反応してるんですが,にぶちんな光はその意味に気づいてくれない.しかもそろそろ帰ろうと意見が一致したところで運悪く登場してしまうのが荒井青果店.ハルヒは噛ませ犬荒井君と仲良く会話.彼はトラックでペンションまで送ってもらおうと言ってくれるいい人なんだけど…光は未だに,自分たちのハルヒと仲のいい彼のことが嫌いでたまらない.
タクシーでいいと頑張る光と,高いから送ると言う荒井君.で,肝心のハルヒさんは「お願いしよっか! 早いほうがうれしいし」と荒井君提案を選択.これに光はあっさり傷ついて,「好きにしろって言ってんの!」とハルヒさんを置いて走り去ってしまう.もちろん光はハルヒがなぜ選んだのかについてはまったく推測できてない.相手に関する想像力が著しく欠けているのです.それに比べると,なぜ光が荒井君を受け入れることができないのかまでも推測できているハルヒは,さすがに出来が違います.
ついには雨が降りだし雷鳴が鳴り,2人の帰りを待っているペンションでは環がいらいら.そこに電話をかけてくれたのが本当にいい人な荒井君.彼がさっきの顛末を伝えてくれたことでハルヒさんが大ピンチであることが判明! …木の下で雨宿りする光の携帯から流れる,殿の着メロ.前回冒頭で響いたあの音は,光を目覚めさせるためのものなのです.
「馬鹿野郎! いいからすぐに引き返してハルヒを探せ!」と電話口で光に怒る環.「雷が鳴ると,怯えて動けなくなるんだぞ!」 ハルヒのプライドとかプライバシーのためにこの件については黙っていたらしい環ですが,今はそれどころではありません.目を離さないと誓っていたのにひとりぼっちにしてしまった彼にも責任があるから,特権を放棄して光に責任を負わせるのです.
思ってもいなかった責任をいきなり負わされた光はびっくり.大失敗をやらかしたことを知り,自分が相手のことを全然考えていなかったことに気付きます.しかし思い出してみれば,ハルヒは時折空模様を心配していて,でも…「あんなんでわかるか馬鹿!」 雨と雷鳴の中に飛び出して,必死でハルヒを探すしかない.金の力を使うこともすっかり忘れているようで,身1つで駆け回ってるのが必死さと同時に動転ぶりを示してもいます.
雨の中,ようやく見つけた人気のない教会.中では時折怯える声.薫は「ほんの些細なヒントを見落とさないことも大切」と言い,ハルヒは自分にそうしてくれていたけれど,光は自分がするべきことすら知らなくて,結局彼女をひとりぼっちで泣かせてしまった.すねて逃げ出した報いを受けた彼は,ついに罪を懺悔することになります.
教会の説教台の下で泣いている大事な友達がこれ以上脅えないように,テーブルクロスを被せてヘッドホンをかけてやり,隣に座って肩を寄せる.素でやるには大変に恥ずかしい行動ですが,その勢いにまかせて自分のガキっぽい行動のことまで謝ってしまう光.状況の力を借りた謝罪だけれど,苦しませた彼女が返してくれた言葉は「ありがとう」.…声高に責められるよりもずっと胸に響くものを返されてしまった光の頬に流れたのは雨? それとも….

雨も上がって翌日.人の良い荒井君は今日もペンションみすずにやってくる.昨日の今日でちゃんとスイカ持って様子を見に来る彼はタフすぎる! しかもあれだけこじれた光に向かって,何も言わせないでスイカ手渡すなんて! ハルヒさんの無垢な感謝っぷりも凄かったけど,荒井君の察しぶりと底無しの人の良さはまさに暴力.この心遣いにやられた光は,精一杯「ありがとう」を言うしかない(苦笑).
原作よりもずっとシリアスに夜を越えることになった光.まさかああなるとは誰も思っていなかったわけですが,勢い余って恋愛感情に変わる可能性は考えなかったのかと問う鏡夜に,「それはまだ早いでしょ」とずっと大人な馨.そっくりのはずの馨とは違って…「光,馬鹿だしね!」
確かに人付き合いを今まさに学んでるような奴では,もしそれを抱いたとしても,一体何と呼ばれる感情なのか名付けることすらできないはず.でもってこの部にはそんな馬鹿が一人ではないのです.見たままバカの殿はもちろんですが,馬鹿な兄弟をつい見守ってしまう馨も,「馬鹿が多いからな,うちの部は」と言い切る鏡夜も,本当にそれの名前を知っているのかな? 未だ至らない爽やかな馬鹿たちを暖かく見守りつつ,次回に続きます!

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桜蘭高校ホスト部#15

「長年磨いた爽やか技術の巻」

夏休み3日目の怠惰な朝を破ったのは,ハルヒが自宅にいないことに気づいた環の悲鳴だった.ホスト部に黙ってアルバイトに出かけたハルヒを追い,環たちは軽井沢のペンションに押しかける.彼らの来襲にうんざりしているハルヒだが,校則に違反しているとなれば強いことも言えない.
環たちはハルヒのアルバイトするこのペンションみすずに泊まりたがるけれど空き部屋は1つしかなく,その部屋をかけたアルバイトしながらの爽やか勝負が開催される.順当にいけば常陸院ブラザーズが勝利しそうな勝負を面白くするために,鏡夜は環に加勢する.

前クールよりもキャラを掘り下げていく「ホスト部」.夏休み軽井沢編の主役を張るのは,セット売りでおなじみの常陸院の双子.そっくりで見分けがつきにくい2人ですが,やや声が低くて太い方が光,やや高くて細い方が馨と覚えると迷いにくいのでお試しください.ハルヒの登場によって2人きりの世界が壊れつつある双子.まったく同じがよかったはずの双子にもハルヒに対する執着度の差が現れつつあり,それが顕著となるのが今回と次回の2話となるわけです.…自分のことだけに夢中な光ともうちょっと視野の広い馨のコンビは,環と鏡夜の2年生コンビになんとなく似てますが,互いに対する依存の深さが段違いで違うんだよね.

前半.放送事故のように真っ青な夏空の下で響いてるのは,開始直後だってのにエンディングのイントロ.未だ怠惰に寝ていた常陸院の双子のケータイが鳴っております.客が見ていたら萌えで倒れそうな仲の良さで一緒に寝ていた双子たちは,響く着メロは殿なのであの暑苦しいテンションに触れたくないのかだらだら.でも止まらないし仕方なく出たら…「ウチノムスメガ!ウチノムスメガイナイ!連絡ガツカナイ,誘拐サレタニチガイナイ!」…これまた偉いテンパってんなぁ(苦笑).
てなわけで早朝からホスト部総出で電話会議.金持ちなんだからテレビ会議システムくらい導入すれば良さそうなもんですが,オマージュとして肖像画の目を光らせる方が遥かに金持ちレベルが高いに違いない.しかも会議の内容もアレ.夏休みに入りハルヒとの連絡が一切つかなくなったことに動揺しまくる殿は,つい悪い方向へと考えがエスカレート.困窮の末家賃が払えず夜逃げしたに違いないとアホの子は一人で暴れまくり.
ケータイなんかハルヒが持ってるわけないと勝手に思い込み,秘密結社「夜逃げ屋」によって…と暴走する妄想はどこまでも.心配性にも程がある部長を止めてくれるのはやっぱり副部長.「ハルヒは軽井沢だぞ」とさらりとネタばらししてくれたのに,破産で夜逃げで誘拐された上に軽井沢?とまったくついていけてない殿が情けない.
自分たちに黙ってハルヒは軽井沢にアルバイトに出掛けた.そう聞いて軽井沢に押し掛けない奴はホスト部には存在せず,いたずら好きでモノ好きな双子ならばなおさら.もはや慣れっこのメイドたちには二人のいたずらは無視されてしまうけど,きっとおもちゃのハルヒなら…その股間のジョークは「悪趣味」と一刀両断されるな(苦笑).ただしなんとなく様子が違うのが光で,「…やっぱおもちゃいないと,はじまらないな」と珍しく他人に執着を見せているのを,横で馨が見つめています.どうやら別のものを見始めている双子が,これから2話分の主役です.
さて,ホスト部一同を置き去りにして軽井沢までアルバイトに来ている,全編のヒロインであるハルヒさん.さすがに慣れたけどうざいのは間違いないようで,あの珍妙な連中に絡まれずに済む夏休みは勤労と勉学に励めるはずだったのに…自称お父さんがヘリで乗り付けもう台無し(苦笑).ちょっとは楽しいかもしれないけれど,大変に気苦労の激しい夏休みとなることがここで確定です.
ハルヒさんのバイト先はもにょるふりふりおカマの美鈴さん42歳の運営する「ペンションみすず」.彼女がハルヒ父の昔の店仲間とか,ハルヒ父が社員旅行で出掛けてることまで鏡夜はしっかり知ってます.家では蘭花さん,学校では鏡夜に観察されちゃ,ハルヒさんのプライバシーなんてないも同然だ.可愛くて働き者のハルヒさんはすっかり美鈴さんのお気に入り.美鈴さん手製のエプロンもグッジョブであります.
皆に内緒でここに来るため,ホスト部の仲間からのリゾートのお誘いについてはことごとく断っていたハルヒさん.もちろんバリもスイスもパスポートがないので無理なんですが,鏡夜の国内リゾートのお誘いまで断ってたんですね.…鏡夜はそれで出掛ける予定があると感づいたのかな.
で,一番そういうことやりそうな殿ときたら,皆の出し抜きぶりに怒っております(苦笑).部活を本気で家族に見立てる彼の場合,自分さえよければいいなんて考え方はダメ.深い連帯感を持ち,家族の皆で楽しめるプランを本気で考えていたら取り残された(笑).…もしハルヒが誰かの誘いに乗ったとしても,それを知った他の部員はなんとしてもそこに集まろうとするだろうから,結果的には今と同じになっただろうけど.
そして殿をさらに傷つけるのが双子の出し抜き.貧乏だから持ってないとばかり思ってた携帯をハルヒさんが持ってる!それも双子とお揃いで! それもお友達専用だからと環を仲間に入れてくれない.仲間になりたい殿は「お父さんでありおともだち」という新カテゴリーを提案するも,そんなお友達カテゴリーはありませんとハルヒはばっさり.…そもそも「お父さん」から間違ってるしなぁ(笑).
ヒロイン的にはお友達にも先輩にも自称お父さんにも即刻帰ってもらいたいのに,実はアルバイトは校則違反.成績優秀な奨学生が無断でアルバイトしていることが学校にバレたら大変で…思いっきり弱味を握られてしまって自由意志の上で居着く気満々の彼らを止めることもできない.折角夏休みだってのに,このままじゃ普段よりも接触時間が長くなる(苦笑).
ハルヒさんのいるこのペンションへの宿泊は環にとってはまさにドリーム.手作り朝食を装備したハルヒさんとの2人きりの朝には持てる限りのホスト部テクニックを披露しまくるつもりなんですが…不幸にも,あるいは幸いながら残るは1部屋.この部では部長権限なんて欠片すらなく,部員たちもさっきの言葉尻を掴んで連帯感を求めてくるから環はぼろぼろ.「俺ってずるい子? 自分さえよければいい子?」といつものように挫けます.
欲しい者は大勢だけど物は1つしかないとくれば,それを取り合うゲームがお似合い.双子が提案したのは「客室争奪・爽やかアルバイトin軽井沢」! このペンションでアルバイトして一番好感度が高い奴がここに泊まるというのがルール.無料で労働力を確保できる美鈴さんの協賛を受け,さわやか勝負がはじまります.…唯一がっくり来ているのはハルヒ.あの世間知らずどもが一緒にいたら「夏休めず」だ.
軽井沢の売りである爽やかさをアピールすれば高得点なこのレース,割と最初からコケているのがハニー先輩と環.ついつい愚痴ったり指打って見苦しかったり可愛くおねだりするのは「爽やか」じゃない.愚痴らずきびきびと言い訳せず働くのが爽やかな働きの王道ってものであり,その点態度はでかいけどソツなくご案内している双子とか,寡黙に仕事をこなすモリ先輩は爽やかなのです.そんな採点を嬉々として行う美鈴さんが某人に似てるけど,気にしない(笑).
ちなみにホスト部中では景品であるハルヒさんと鏡夜は勝負に参加せず.自分の別荘でいいやと早々と傍観者を決め込むのは,取り合うほどの興味はないのか,殿への消極的な協力なのか,あるいはここで取り合っても意味はないと知っているからなのか.ちなみに岡目の鏡夜の見立てでは,勝負の大穴は天然で爽やかすぎるモリ先輩.次点が常陸院の双子でハニー先輩と環は厳しい.特に勝負に熱くなりすぎていいところを発揮できない環は大変勿体無い.…ただしモリ先輩はハルヒさんよりハニー先輩を選んじゃうんだ(苦笑).
トップが脱落確定ならば,勝者はベッドすら一緒の双子で決まり? 生まれたときから今に至るまでいつも一緒で2人きりの双子の場合,ベッドだって1つあれば十分.ただし5話でハルヒに区別されて以来,光の目には馨ではない人が映ることが増えて…「ハルヒなら混ぜてもいいよ」ととんでもないところに誘ってます.さすがは双子の提案したゲーム.2人が勝つことが最初から確定してるようなもんだけど,それを横から見ていた鏡夜が,わざわざ混ぜっ返してみるのです.

後半.ハルヒさんとの朝を賭けた勝負はついにクライマックスへ.未だに必死すぎてちっとも加点できない殿と,部活で磨いた演技力をフル回転させて爽やかポイントを稼ぎまくる双子.…たぶん我らの殿は,1対2の人数差すら気づいていないに違いない(苦笑).ここで勝ってせめてハルヒさん公認のお友達カテゴリーに入れてもらいたいという,いっそ物悲しい殿の願いを叶えるために降臨した鏡夜曰く,「これはお前にしかできない技だ.ただし選曲をミスるなよ」
ヒントを理解した殿は己の能力を最大限に生かせるピアノの前に座り,優雅で美しく爽やかな音色を奏でます.なんせ彼の見た目はハーフの美青年.黙ってピアノ弾いてりゃそのままで絵になりますし,それ以上に黙ってピアノ弾いてりゃ間抜けで暑苦しいこと口走らなくて済むし(笑)! 一朝一夕では身につかない本当の芸を披露されては,馨も敗北宣言するしかないかな.…ところがここでアクシデント.馨と一緒にいたハルヒの上に,2階から花瓶が落ちてくる!
即座に馨が体でかばい,ハルヒさんは割れた花瓶を喰らわずに無事.しかし馨は破片で顔に傷を作ってしまい,これに泡食って駆け寄った光がえらく狼狽.もうハルヒなんかそっちのけにして馨のことを心配しています.その兄弟愛はひどく濃厚で,それこそ一朝一夕には出来ないようなレベルであったために美鈴さんの魂を撃ち抜きました(笑).屋根の上で美鈴っちは100点を与え,勝者は常陸院ブラザーズ!
最後のアクシデントで殿をぶち抜いた双子たちは,ハルヒに人の悪い笑顔を向けてビビらせるわけだけど,さっきの光の狼狽ぶりはもちろん本物.やっとせしめた部屋の中でも光の手は未だ恐怖に震えていて,それを気遣う怪我した馨の方がずっと普通で…大人っぽい.未だに兄弟への依存があまりにも深いのは,特に恋をするには不便だよなぁ.…ただし震えるほどに大切なのは意識がちゃんとあるときのみ.翌朝,光にベッドから落とされて床で寝てる馨は,これっぽっちも大切にされてない(苦笑).

軽い兄弟喧嘩からはじまるペンションの朝は騒がしく,朝食に無体な注文をする双子はすっかり普段どおりに復調.わざわざ早朝からこのペンションに押しかけている環もまたやかましくて,自分のことを棚に上げてみたり受け売りで今朝の朝食メニューを切々と説明してみせたり….ちなみに旅のしおりの「朝6時起床」というお約束については,若干2名が大変に魔王と怪獣であったために撤回予定のようです(苦笑).泣くほど怖いことはちゃんと学習しようよ….
そして,いつもどおりの騒がしい1日がハルヒを巻き込みながらはじまろうとしていたそのとき,思ってもいなかった嵐がホスト部の中に吹き込みます.偶然このペンションに配達に来たごく普通の自転車少年は,ハルヒさんの旧知の相手.中学のころの同級生.これもまた一朝一夕では身につかない,ハルヒとお揃いの「庶民」属性を装備した未知の相手の出現に遠雷を聞く,次回に続きます.

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桜蘭高校ホスト部#14

「大人気ないほど好きなのですの巻」

桜蘭で3流ゴシップ誌を発行すれどもちっとも売れず,解散の危機に陥っている新聞部.そこに我が世の春を謳歌するホスト部部長のノーコンな球が激突したのは,飛んで火にいる夏の虫としか言いようがなかった.器物損壊と怪我を口実にホスト部の特集を組ませてくれと迫る新聞部だが,バカな環以外はそれを断固拒否.けれど,部の存続の危機と聞かされた環は一家離散させないために強硬に粘り,あまりの仔犬っぷりに影のボスである鏡夜もついに折れたのだった.
新聞部の取材に関し鏡夜の出した条件は,自由取材を一切許さない大変に厳しいもの.しかしそんな締め付けの中でも,新聞部は環の裏の顔を探るために暗躍しようとするものだが….

演出・絵コンテの監督経験者率がおかしい「ホスト部」.当代最強クラスのスタッフを集められたのは五十嵐監督神の経験と人柄と人望ゆえと信者は深く信じてやまないわけですが,まさかあの人まで来てしまうとは…(苦笑).物語はいつもと違い全員でバカをやるのではなく,表と裏に分離させた上にそれぞれの魅力を引き出して見せる後半がともかく印象的.光の届かない場所でもその光を愛してやまない闇たちが,そんなことはちっとも知らない光の強さを引き立てます.もちろんその光もそれなりの過去を越えた上で,バカみたいに輝いているわけですが….てなわけで人を食った笑いとか物事の表裏とかいろいろあった上での綺麗な笑顔が大得意な絵コンテの菱田監督お久しぶりです! 「陰陽」では大変お世話になりました(笑)!

前半.今回のゲストは桜蘭学院のダメ新聞部.部員を含めて週に2部しか売れないとなれば下手な学級新聞よりまずく,在庫の山を積んでるあたりも,彼らがろくに予測すらできていないことを如実に示すわけであります.次号が1学期最終号で,成果が出せなければ廃部もやむを得ないというぎりぎりっぷり.その上仮想敵であるホスト部ときたら絶好調で,写真集どころか同人誌までバカ売れしているのは…コンテンツそのものの強さ以上に,鏡夜やれんげさんの才覚に負うところが大きい気が.「萌え萌え桜蘭日記」眼鏡特集8号はやっぱり鏡夜中心?
絶好調のホスト部の今日の仮装は平安朝.原作では「遥か」掲載誌でこのコスプレをやるという捨て鉢の攻撃性が凄かったわけですが,今回は絵コンテがあの人だと思うと別の意味で複雑な気分になってしまってどうしたらいいんでしょうか(苦笑).紫陽花の陰,緋毛氈の上で殿の演じる禁断の逢瀬プレイ.お客は久しぶりのフナちゃんで,未だにちゃんと通ってくれているようで何よりですね.
そっくりな常陸院の双子が興じるのは由緒正しき神経衰弱,貝合わせ.もちろん勝負事の合間にも禁断の兄弟愛プレイを欠かすことはなし.二人っきりで罰ゲームしたらどうなっちゃう…と思わせぶりに顎なんか撫で上げちゃって,兄弟愛担当というよりはそのままエロ担当でもいい気がするぞ(苦笑).中庭のやり水では鏡夜が秋の限定お茶会にお嬢さん方を勧誘し,ハニー先輩とモリ先輩は2人でひとりな二人羽織.…割と無意味な芸ですが,きっとマニアにはたまらないに違いない.
そして,はっちゃけている仲間たちをぼんやり見つめつつ,ひたすらぼーっとしているハルヒ.これまでの激動の3ヶ月間が彼女に与えた影響はあまりに大きすぎ,普段のあまりの濃さに麻痺して悟ってしまったようです.しかしぼんやりしているところを襲う蹴鞠…からハルヒを庇うために爆走し巻き込んで停止する迷惑な環(笑).巻き込まないとろくに動かないヒロインではありますが,潰しちゃうのはさすがに酷いよ,殿.
貝合わせから蹴鞠へと遊びを変えていた双子たち.孤高のナンバーワンバカである殿はあっさり双子に挑発されて,サッカーマンガのように蹴鞠に興じてみるけれど…環のスターライト・キーック!はノーコンゆえに遥か彼方の星となり,冒頭の新聞部の窓へと見事飛び込んだのでありました.
達者でなーとバックレて,そのまま他人事に出来ればよかったんだけれど,そういうわけにもいかないので総出で新聞部に出かけるホスト部.ちゃんと頭を下げるのはもちろん殿だけなのですが(苦笑).けれどこの傷害事件は新聞部にとっては願ってもないこと.蹴鞠が当たった程度の損害はないものとしていいくらい,追い詰められた彼らにはありがたいものだったのです.
新聞部部長は3年の小松澤,その横には部員で2年の右京と左京が控えております.制作するのは過剰に煽る捏造ばかりのゴシップ誌,…そこに独特の面白さや変な情報があったりするとファンがつくはずなんですが,その手のものを好みそうな双子が読んでないってのはかなりまずそう.廃部寸前の部長はしおらしく,心を入れ替えると殊勝な様子で…あっさりバカは騙される(苦笑).ホスト部密着取材で皆様の魅力に迫りたいと向こうの部長に頭を下げられ,すぐさまお引き受けしようとする殿に先制して鏡夜がきっぱり「お断りします」.
ホスト部はお客様限定で情報公開していて,治療費は別途ご相談したい,と完全に提案を切り捨てる鏡夜.双子も他人に迷惑をかける奴はだめと,むしろ自分たちを見つめなおせと言いたい理由で拒否(笑).しかし新聞部は過剰に哀れさを演出.見てバレバレの過剰演技でやりすぎなんですが…でも,環はとんでもなくバカなんだ.
もう廃部にするしかと諦めるふりの新聞部に,「そんなことはない!」と熱血する環.人は必ずやり直せると純真に,ホスト部の総力を結集して新聞部の建て直しに協力する!と宣言するも…双子はさっさとハルヒをつれて退散.鏡夜も先輩たちも環を置き去りにして,結局環は一人きり….部員の皆さんはかなり強硬にやりたくないんですね.「部室で反省会をやる,主にお前の」という鏡夜の言葉も厳しいな.
それでもバカはさらに強硬(笑).「待てい!」と一同を止め,お前らには血も涙もないのか可哀想とは思わんのかと必死になるあたりまではわからないでもないけれど,泣きながら「一家離散なんだぞ!」…その思考の飛躍はさすがについていけないぞ(苦笑).しまいには部長命令として断ることは許さん!…と部長の権限まで振りかざしたのに,声を揃えて「お断りします!」.よほど嫌なんだろうな.そして殿の権限なんかどうでもいいんだな.
戻った第3音楽室.全然意見を聞いてくれない仲間たちの脇で,環は幼児のようにすねました.着替えもせずにしゃがんで蹴鞠を指でいじり,同じ部屋にいるのに目も合わせないという稚気満載ぶりが面白くてたまらない(苦笑).余程の寂しがり屋である環の呟きによれば,「部活とは家族なのに.だから廃部は一家離散なのに…」.新聞部のことだけでなく,ホスト部についてもきっとこう考えてるんだろうな.
いつもながらの環の哀れな様を眺めるハルヒさんは,これまでの経験から先の展開を正確に予測してみせます.あの情けない奴は,きっとちらちらと仔犬のようにこっちを見て,その哀れぶりに仲間は折れるに違いない,と.この予測は実に正確なんだけど,今回は双子も最上級生も普段より圧倒的に乗り気でないのです.「面倒」とか「ケーキ食べなきゃならない」という言葉の裏の意図を正確に読み取るには,ハルヒの経験値はまだ足りていないようです.
で,はじまる哀れな仔犬のチラ見.「んん!」とか言いながら純真な目でねだってくる部長ってどうよ(苦笑).あまりに激しい無言のおねだりっぷりについに鏡夜が折れて,厳しい条件つきで新聞部の取材を受けることになりました.企画はこちら主導でインタビュー禁止接客風景禁止…って,新聞というよりはまるで広告みたい.そして鏡夜がいいならいいと,反対していた残り部員全員が従ってしまうあたり,影の部長というよりはもう鏡夜が部長でいいや(笑).
新聞部は条件を飲み明日からは取材!というわけで,鏡夜は救急セットを新聞部に置いていきます.…彼の黒さを知ってれば,絶対何か仕掛けられていると警戒するべきなんだけど….その黒さを知らない新聞部部長が家柄や家族構成をネタにして鏡夜を揺さぶろうとするなんて百年早い.しかも兄貴が出来のいい弟に負けるなんて話は…本当に逆効果なんだ(苦笑).
後継レースに勝つためにも,なんとしても桜蘭で3年やり遂げたい新聞部部長.自分のために部を利用し,家柄で部員を脅す彼は呆れるくらいの小人物.鏡夜がまともに相手する価値すらありません.しかも小人物の視野はあまりにも狭く,現在のホスト部の隆盛を須王の権力誇示と曲解して,ありもしない裏の顔を暴き立てようとするのです.

後半.環は切れ者で裏の顔があるという大間違いによってホスト部に接近する新聞部.部の存続をかけた潜入取材なのでかなりの気合で望んでいるはずですが…ホスト部の提供するスペシャルプログラムの珍妙ぶりに呆然です(苦笑).高校生が揃って「だるまさんがころんだ!」…ハニー先輩は無駄な動きが多いなぁ(笑).
これは新手の宗教かと困惑する新聞部に向かい,環ことバカが自慢気に説明するところによれば,これは庶民に伝わるお金を使わぬ身一つの遊び.これを掲載すればマイナスイメージ先行の新聞部だって「親しみやすさ」が打ち出せるのだと断言します.…考えてることはいつものようにダメですが(苦笑)それでも彼なりに,自分のことだけでなく新聞部のことまで考えていることだけは認めてあげてもいいと思う.紙面を爽やかにした上に一部の庶民も童心に返れて大喜び!という二兎を狙うこの企画,当然ですがハルヒへの受けはよろしくない(笑).
高校2年としては破格の頭の悪さを発揮しまくる殿に対し呆然とする新聞部.実際彼はバカなんだから裏なんか探るのをやめときゃいいのに,それでも下衆な新聞部部長は未だに疑い.本来は禁止されている個別インタビューを強行します.ターゲットは新入りでだれている庶民の藤岡君.特待生をこの部に取り込んだのはホスト部部長である須王環の権力誇示であろうとキメ打つものの,ハルヒさんの返事は「はあ?」
裏の顔を教えろ救う手助けをさせろと新聞部はねちねち食い下がるわけですが,「あの人に裏の顔なんてないですよ」とばっさりお返事するハルヒさん.この3ヶ月間で,環のバカぶりとその他部員のノリの良さについてだけは完璧に理解したハルヒからすれば,新聞部に「ありえないだろ!」とかツッコまれても,今日のお遊びだって特に殿なんかは本気で楽しんでいるのは疑いない.
新聞部を遥か遠くに置き去りにして今度は缶蹴りをはじめるホスト部.環が全力のスターライトキックで缶を蹴ったら,木に当たりまくった末に新聞部部長を見事に倒します(苦笑).うれしそうにハルヒを連れて薔薇の迷路へと逃げ込む環の笑顔にはわずかの影もなく,むしろそれがちょっぴり不思議.なんだってここまでこの人はバカなのか,ハルヒは彼のバックグラウンドを自分が知らないことに気づきます.
そして…迷路に入った直後にいきなり迷子になる環(苦笑).ハルヒも巻き込まれて迷子となり,鬼という名の捜索隊が来てくれるまで薔薇の東屋で2人でひと休み.すっかり仔犬ぶりが板についている環が心底情けない(笑).いつもグループで遊んでいる彼らですが,2人きりになったときには雷から守ったり仏壇にお参りしたりと,環がかなりいいところをハルヒに見せてきてるんだよね.
今日の子どもじみた遊びも心底楽しんでいる環.ハルヒにとっては小学校で卒業したようなお遊びですが,同年代の友達があまりいなかった環にとってはきっと生まれてはじめての喜び.…病気がちの母を持つ彼は,幼い頃は母が心配で表に出て遊ぶこともできずいつもピアノを弾いていた.母を失ったハルヒほどではないけれど,相当暗い過去なのに,だから今は楽しいと言う彼には裏も嘘も影もない.「…凄く楽しい!」と微笑む顔は驚くほど純真で,まるで太陽のよう.
さて,ホスト部のバカの凄さをようやく認識した新聞部は,ついに裏を探るのを諦めて捏造記事に走ります.憎き須王を陥れるための捏造だってやってのけるはずなのに…戻ってきた新聞部部室の部屋の中には,ホスト部の総力が結集していました.
バカでもお人よしでも無知でもない部員連中は,当然のように新聞部の目的と悪意を察していて,殿に手を出す奴には黙っちゃいないと本気で脅してきます.バカで純真な殿が人を集めるために家の力を利用したことなど一度もありません.ホスト部の部員たちは環自身の魅力によって部に加わってきました.もちろん…「どうしようもないバカ,だけどね」
環が自分の手で作り上げたホスト部.途方もなく馬鹿馬鹿しい楽園に誘い込む手を差し出していたのは,いつだって彼でした.現在の隆盛はまさに環の努力ゆえのもの.部員たちだって本気で殿のことが好きなのです.…そして好きなものを守るためなら彼らは一切容赦しません.彼らには救急箱にまで裏があり(笑)これまでの顛末だって録音済み.…家柄だって新聞部より圧倒的に格上,しかもホスト部は目指すものが根本的に違うのだと宣言までされてしまっては,悪あがきの余地すら残されていないのです.

大人気ないほど畳みかけた末に新聞部を再起不能にしたホスト部部員一同.もちろんそんな裏の話は殿とハルヒさんには内緒.こんなくだらないことで折角の殿の能天気を曇らせるのは罪ですからね(笑).迷子になった2人を無事に救出し,新聞部については適当にごまかして,何事もなかったかのようにのどかに戻る一同.全ての渦の中心にいる綺麗な薔薇にはどうやらろくに棘なんかないようですが,その横で咲き誇る薔薇たちには,それぞれに鋭い棘があるわけです.
さて,今回狙われた環の家柄が実際どれほど凄いのかというと,金融を基盤として様々なハコものも運営しており,その中には学校経営も含まれていて具体例としては…例えば桜蘭学院とか.要するに環はこの学校の理事長の御子息,もっと言えばハルヒに奨学金を出してくれたのは環の家ということで….
裏表なしで能天気で圧倒的に頼りない環ですが,家は想像以上に格上.しかもこれまでハルヒに対して一切それを話さなかったあたり,家の力は使わないと心に誓っているのか,はたまた単純に忘れちゃってんのかすらわからない.だってこの人バカなんだもの…(苦笑).ハルヒは,つくづく自分がまったく知らないのだと痛感したに違いありません.最後の薔薇の出し方のたどたどしさなどしっかり愛でつつ(笑),夏休みの次回に続きます.

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桜蘭高校ホスト部#13

「あなたのための午後3時の巻」

桜蘭学院に特待生として入学することになった藤宮ハルヒ.父とともに入学手続きに訪れた彼女が見たのは,バナナを食って歩くピンクのうさぎのぬいぐるみ.それを追いかけて落ちた大穴の先には,ピンクの部屋とお高そうな花瓶が待っていた.尻にハマった花瓶をバナナを食べて小さくなって外し,小さな扉を潜って涙のプールへと落ちる.仲の良い兄妹は姉弟となり,公爵夫人に抱かれた赤ん坊は呪い人形に姿を変える.猫は笑うだけでなく双子であり,ドードー鳥は待ちわびて…そして午後3時のお茶会には,ハルヒの席はない.

いつだって素晴らしいものを見せてくれる「ホスト部」.豪華できっちりできたものを作り上げてくる上に,特に絵コンテ・演出に監督クラスの人間が入った際のレベルは尋常ではなく…そこに五十嵐監督神の名が入ればなおさら.てなわけで今回は監督による「アリス」のような総集編.通常の総集編は過去に使った映像を再編集して放映し作り手の体力やスケジュールをその間に回復させるものではないかと思うのですが,本作では一切使いまわさず作り直して,ついでに1話限りのゲスト声優たちにほんのちょっとだけアフレコさせ,さらにちょっとだけネタバレしてみせるだなんてあんたアホだろう(笑)! あまりにも実直に全力でふざけようとする,そんな監督神の根本的な不器用ぶりが,本当に大好きです!

前半.一介の庶民が父を伴い,薔薇の花散る桜蘭に足を踏み入れたのは今よりしばらく前のこと.門の中は日本離れした凄いゴージャスぶりなんですが,中身を見るハルヒさんにとっては無駄な装飾にしか見えていないに違いない.父と教師の会話を脇で聞いているばかりのセーラー服のハルヒ.手のかからない優秀でよくできた娘さんの背後には,大樹と母子の図.シーンが切り替わるたびにその内容が変化しているのが思わせぶり.手間のかからない娘の様を語る父の声を背景にして,絵画の中では少女が母親から離れ,…うさぎを追って日向へと向かいます.
父の話が終わるまで,一人きりで校内を散歩することになったハルヒ.長い髪とスカートを揺らしつつ歩く午後3時の桜蘭.この春から母校となる校舎をさ迷うハルヒが見たのは謎の手招き.第3音楽室から誘うのは,バナナを喰うぬいぐるみのうさぎ.…実は紅茶よりもバナナの方がお好み(笑)? うさぎは強力モーターによって開いた穴に下りていき,それを追いかけるハルヒはいつものようにバナナの皮で滑って,穴の底へと落ちていく.
ありえない落下は螺旋を描き,その底には部屋が1つ.助かった…と思ったら,花瓶にお尻がはまって動けない.矢印で指し示されてきたそれによって,ハルヒはこの出口のない部屋に閉じ込められることになったのです.ここが音楽室であるがゆえに置いてあったピアノとそれを弾くネズミにハルヒは助けを求めるものの,年上キラーの彼はバナナを食って小さくなって床のドアから逃げ出してしまいます.
不自由な立場から逃げ出すためには,この部屋に体を合わせなければなりません.通路の奥にはネズミだけでなくうさぎの姿もあり,ハルヒ一人が大きなままで残されて…かくして自由を求めるハルヒはバナナをむさぼり体を合わせ,小さな扉の向こうへと歩みを進めることになります.自分から強く希望したことではありませんが,花瓶のために自分で選択したことであるのは間違いありません.
自由のために仕方なく体を合わせて通る通路には,ハルヒが本来は何者であるのかを示す電球と,バナナカウントダウンの宣告.体を合わせて頑張ればそれで済むのかと思ったら,実際はベタでうざくて迷惑な罠の登場で更なる深みへと急降下! …そして落ちたのは沖縄で落ちた水中.あわてて飛び出したのはあの日の青空の映った水面.
「たくさん泣いたな」と話しかけてくるのは,プールサイドに座して全てを見守っているめがねきゃらの芋虫.彼曰くこのプールの水は全てハルヒの心の涙.助けを求めることを知らずに意地を張り,理由なくぶつけられた敵意を我慢して…辛いことや寂しいことに耐えてしまったために蓄積された水.しかもこれは南国風プールでありますから(笑)中にはヅカ部のワニがいて気を抜くと食われます.涙に溺れりゃ今よりもずっと似合いの場所が待っているのです.
体を合わせて入った世界の中には,そのサイズに合わせた世界が待っていました.庶民の世界とはもちろんかけ離れているけれど,どちらが正しいってことはないのでしょう.フードを着込んだ豚児とその妹は,強欲な芋虫から安くはないキノコを月末払いで買ってます.金銭的なことだけは徹底し,いつもファイルに何かを書き込んでいる芋虫.初対面のはずなのになぜ「いつも」なのか,今のハルヒにもわかりません.
キノコを食む豚児とその妹.兄は光が怖くなかった乳児へと戻り,妹は闇が怖くない大人になる.赤ちゃんに戻った兄は勝手に扉の向こうへと進んで行くものの,芋虫も豚児の妹もそれを放置.色っぽい妹を撫でる芋虫はあくまで傍観者という立場を貫くので,心配したハルヒは今度は赤ちゃんを追いかけます.
扉の向こうはバナナの皮だらけの部屋.長椅子のチェシャ猫と公爵夫人,そしてバナナスープを作る料理女がおりました.「猫がにやにやできるなんて,あたしちっとも知らなかったわ」…と原典に敬意を見せるふりなどしていたら,料理女がいきなりぶちキレます.大好きすぎて,暖炉の火のように燃え盛った嫉妬によって脇どころか悪役にされてしまった彼女からすれば,その嫉妬の原因であるハルヒさんもその他楽しんでいる皆も大嫌い! しまいには「環様のぶわかー!」と追い出した彼の名を叫んで逃走! ああ,こんな人もいたなぁ…(笑).
豚児であった赤ん坊を抱く公爵夫人.ハルヒは子どもに母が見つかってよかったと喜びます.お母さんと一緒にいるのがやっぱり一番.それは母を失っているハルヒの本心そのもの.しかし公爵夫人は強力モーターを回し裁判所へと出廷せねばならないし,置き去りにされた乳児は呪い人形に戻り,それを指摘した猫まで空気にかき消えて…ハルヒはひとりきり.この作られた世界のなかでの関係性はあくまでも仮想のもの.真実ではないのです.
ひとりで歩く長い廊下,そこにさっきの猫が出てきます.ハルヒの左右でくるりくるりと柱を回って神出鬼没.世界に合わせて姿を変えた彼女が求めるのは,普通の世界への帰り道.しかし帰るには,この世界を支配する女王陛下に謁見しないわけにはいきません.…猫は出たり消えたりで会話も途切れ途切れ.これでは落ち着いて話ができないから2人とも一緒に出てきてよと頼むハルヒ.猫は一匹で神出鬼没のはずなのに,なぜ2人いるとわかったのか? 結局ハルヒは猫を置き去りにして,猫たちは見分けた彼女をじっと見ています.
この世界はいつだって午後3時.ドードー鳥はカップを前に帰りを待っています.あの夜には,確かに桜花が華麗に散ってましたね….そんな3時を歩むハルヒがたどり着いたのは静かなお茶会.ハルヒには到底買えそうにない定食を出してきそうな大きな食堂には,帽子屋と眠りネズミと三月兎だけが着席していました.しかもこれだけ空席があるってのに,帽子屋たちは「席はないよ」と言うのです.

後半.そもそもこの世界に長居するつもりなどないし,お弁当で十分なハルヒは席がないなら先に進む気満々で,勝手に話を飛ばされると困る帽子屋たちはあわてて引き止めるしかありません(苦笑).質問したいハルヒとはあまり会話の成立していない帽子屋.「長いね」と髪を愛で,好きだけれど本当はもっと短く刈らなきゃならないと語ります.なんせガムをつけられてしまいますからね.この世界ではスカートを着る事もなくなるわけですが,ハルヒの「こう見えても一応女なんで」という発言がおかしい.それは,本当のあなたは長い髪でセーラー服ではないということですね?
帽子屋とともにお茶会に興じる三月兎と眠りネズミ.2人は前回酷い目に遭ったので,眠りネズミが三月兎の歯磨きを怠るようなことはないに違いない.「ちゃんと歯磨きするんだぞ」と一言言ってそのまま眠るネズミが滅茶苦茶渋いなぁ.今回の仕事ってここくらいかなぁ(笑).
話を聞きたいハルヒにナゾナゾを出す帽子屋.「大トロと赤身が似ているのはなーぜ?」…同じマグロの一部なのに,この世界では断じて違うというのが不思議.でも食べたことがないとその差はわからないのかも.ぶどう酒を勧められても未成年なのでばっさり断る,ファンタジーの主人公としてはかなり厳しい性格のハルヒ.あまりの真面目さはこの世界には不似合いで,最近は後から地味にツッコむことが多いわけですが…でも,「かわいいね!」「確かに!」
ずっと3時のこの世界.いつだって放課後のここはどこ? この高校に通うために手続きに来たはずのハルヒに,帽子屋はまたもナゾナゾを出します.「君のお父上と僕が似ているのはなーぜだ?」元々愛情表現が大変にくどい上に,考えすぎて肝心なところが行動不審になっていたよなあどっちも(笑).「似ているんですか?」と聞き返すハルヒに帽子屋は笑い,さらに重たい質問を繰り出します.
ハルヒは桜蘭に入学してどうする? もちろん彼女は地味な格好で誰も来ない音楽室でせっせと勉強するつもり.だって叶えたい夢があるから….その夢を語る前に「学生生活は,勉強だけが全てじゃないだろ」と割り込む帽子屋.とことんバカな帽子屋ですが楽しいことだけはよく知っていて,それがハルヒには足りていないこともちゃんと知っているのです.
突如響き渡る進軍ラッパは女王陛下の気まぐれで公爵夫人を死刑にするための裁判の開始.聞いたハルヒはいきなり走り出します.自分のことなど後回しにして,困っている人のためにその身を張ろうとする彼女らしい心意気.そんなひとりぼっちで必死の姿すら,仲間からすれば大変にいとおしく,愛らしく….時間は未だ午後3時.けれどもうドードー鳥はいない.
不条理極まる夢の中で開催される裁判も不条理.公爵夫人の罪状は音楽祭の招待に応じたこと.罪とは思えぬ罪を一方的に断じて死刑を宣告しようとするハートの王と女王に対し,駆けつけたハルヒは怒り,いきなり公爵夫人の弁護士を引き受けてしまいます.…行動によって語りきれぬものを語ってしまってるネタバレだ(笑).
公爵夫人の罪は,大事な子どもを放っておいて仕事を行った罪.それは「子どもはお母さんと一緒にいるのが一番」という自分の気持ちそのもの.弁護士となったハルヒはその素直な感情を否定せねばなりません.親が本当に忙しいときには子どもはそれをわかっているから恨んだりしない.それに母を死刑にしたら子どもはどうなる! …両親は常に忙しく,しかも母を失ってしまったハルヒらしい主張.いなくなるのはどんなことより耐え難い.
ここは法の間で感情を述べる場ではないと仮面の王に窘められても,「情のない裁判なら機械に任せればいい!」と大迫力で己の考えと我慢を肯定するハルヒ.たとえ子どもでも親のために我慢する,それが正解でなければ自分の今までが否定されてしまうから必死です.けれど幼い頃からハルヒの徹底した気の使いぶりを見てきた王はハルヒの弱いところをよく理解していて.そもそもお前は罪人ではないのかとその罪を指摘にかかります.
目の前に出された証拠物件は割れたルネの花瓶.これは前半冒頭でハルヒの尻にはまった800万の花瓶.ハルヒはそれをちょっとした不注意で割ってしまい,場違いな場所で場違いなことをやるハメになって現在の不思議な放課後がやってきました.それは今のハルヒがいつやったのかを覚えていなくても事実です.…そして証人たちは,弁護士を自称する罪人の罪を証言します.
バカな帽子屋曰く,「学生生活を間違った認識で捉えております」.…勉強ばかりで日々の暮らしを楽しまないと指摘する帽子屋に対し,「あなたは楽しみすぎなんです!環先輩!」と反論すると明かりがつきます.見守っているのは仮面をつけたお客様たち.さざめき笑って…「どうして名前を知ってるの?」 チェシャ猫が双子だってことも,芋虫のマル秘ファイルも,三月兎の虫歯のことも.「どうして?」「どうして?」「どうして?」
これは入学前の彼女がまだ知らないはずの記憶.花瓶のために囚われた午後3時の世界での事実.高校で勉強ばかりするという誤りは早期に是正され,今や呆れながらも楽しんでいるのが現実! 「まだわからないの?」と語るのは聞きなれた優しい声.「いい友達が一杯できて,よかったね!」…王の仮面の下はハルヒの父.彼女の優しい意地っ張りを誰よりもよく知っていて心配していた彼は,今を喜んでいるのです.
ハルヒは確かに罪を犯していました.それは無理な意地のせいで周囲に余計な心配をかける罪.素直にごめんなさいをしなければならない大罪を犯していたのです.きっとハルヒを残してこの世を去ったあの人も心配していたはずで….この世界を支配する女王陛下は,失ってしまった彼女の母.駆け寄って抱きつくハルヒに,自分が公爵夫人のように子どもに苦労をかけたことを詫びて,「その分今は,夢のような学生生活を,楽しんでね」

迷い込んで落ちた世界の底で自分の母を見たハルヒ.それこそが現実との決定的な違い.母に逢えたことはうれしくても,それはここが夢だという証拠.うれしいけれど悲しくて,寂しいけれど大切で….そんな夢を覚ますのは環の声.珍しく居眠りのしていたハルヒを起こすのは,いつものホスト部一同です.
本日はアリスをモチーフに仮装している夢のような人たち.実際の夢とはちょっと配役が違っているところも芸が細かい.特に芋虫とか物凄く接客しにくいだろうからなぁ…(笑).しかも双子がアリスの衣装を手にしてるってことは,ハルヒさんに着せる気満々だなこいつら.…勉強ばかりの高校生活のはずがひょんなことからこんな事態に.しかしこのおかしな状況も,心配した母が不幸なハルヒのために天国から贈ってくれた特別サービスだったりするのかな?
夢の中で落ちた穴からは夢が醒めても未だ出られないまま.放課後,午後3時のバカ騒ぎはこれからもまだ続くから,「確かにこれじゃ,寝ても醒めてもあまり変わらないな!」 …フィクションの中で生きる彼女の言葉のメタフィクションぶりに身をよじらせつつ,次回に続きます!

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桜蘭高校ホスト部#12

「甘くいたんで忠誠心の巻」

ホスト部ではロリショタを担当する最上級生のハニー先輩.年齢不相応の外見に見事マッチした子供っぽく愛らしい所作でおなじみの彼だが,武道の達人であり寝起きが悪く,ついでに鏡夜と同じAB型なので要注意なのだった.そんなハニー先輩はこよなくスイーツを愛しているのだが,虫歯になったために甘いものを全面禁止されてしまう.特にいつもハニー先輩に付き従うモリ先輩の態度は強硬.ホスト部全体におやつ禁止令が出され,今や喜んでいるのは鏡夜だけ.

当然のように毎回平均以上の「ホスト部」.ネタにしやすい良い原作つきとはいえ,ここまでいいペースで走るアニメも珍しい.恐らくは監督の資質として感性に訴える芸術的なエッジはちっとも立っていないんですが,それやっちゃうと普通の客を突き放すことになりますし,本作自体がエッジの立った作品を笑おうとする作品なのでこれでいいんじゃないかと思います.背景で薔薇が散るのはナルシストでイッちゃってるギャグに決まっているじゃないですか(笑).
今回の主役はホスト部3年生コンビ.ロリショタ担当のはずなのに年長なハニー先輩の濃さ,ディープさについては以前1話かけて語られていましたが,今回はそんなハニー先輩とモリ先輩のディープな関係…と,それを囲む常連のお嬢さんたちのディープっぷりが描かれちゃってます.特にオチがとんでもなく斬新!

前半はちょっとした小ネタからスタート.いつものようにハルヒで遊んでいた常陸院の双子.今日はバニーガールの衣装を着せてやろうとハルヒさんを追いかけ回していたら,ハニー先輩の大事なうさちゃんに紅茶をかけてしまいました.ハルヒさんのバニー姿とか抱き着きセクハラ攻撃が正直どうでもよくなるくらい,これは危険な状況らしい.今は愛らしくお昼寝中の先輩ですが,その本性は虎だというのです(笑).
相変わらずざっくりと,率直にハニー先輩に謝罪しようとするハルヒさんを必死で止める殿と双子.なんせ先輩は寝起きがメガトン級に悪い…ということで語られるひとつの嘘臭い噂.ハニー先輩が米軍の訓練施設に格闘技を教えに行ったとき,時差ボケで眠いところを無理に起こされてグリーンベレー2個小隊が秒殺されてピンクのウサギ煙を上げさせたという! …その件がアメリカとの外交問題になっただなんてオチも含めて嘘臭いことこの上ないんですが,先輩自身がかなりの意外性の人であることを考えると,簡単に大嘘と考えるのは大変危険です.
今回紅茶に溺れたうさちゃんはハニー先輩の亡きグランマのお手製.いつも一緒にいるたった1つの逸品が変わり果てた姿になったのを寝起きに見せたら,ホスト部が変わり果てた姿になりかねないってのがバカ3人組の共通意見.そりゃないだろうとハルヒさんは呆れるけれど,3バカの発言を裏付けるのがハニー先輩二重人格説.だってハニー先輩はAB型.つまり「鏡夜と同じ血液型だ!」
…こちらとしてはいくらなんでも言い過ぎとツッコみたい訳ですが,なんとあのハルヒさんがショックを受け,しかもテロップで「ものすごい説得力!」と駄目押しするのはAB型に大変に失礼です.AB型が皆二重人格で鏡夜やハニー先輩みたいだったら,この世界は割とあっさり崩壊すると思います(苦笑)!
鏡夜と同じ血液型であることがダメ押しに恐ろしく,ハニー先輩が目覚める前になんとかせねばならないと右往左往する環.でも恐山でイタコにおばあちゃんの霊を降ろしてもらって同じものを作るという錯乱した発想は一体どこから来るのやら.お前一応帰国子女だろ.しかも土産の指定までつけているあたり,無駄に細かいA型らしい(笑).で,そんな殿にもっと建設的なことを言えと根本からツッコむ双子たちはB型.
要するにうさぎのぬいぐるみに紅茶をかけてしまっただけなんだから,すぐにクリーニングに出せばなんとかなるに違いない.そうなると問題はうさちゃん不在の間の代理のみとなりますが…「ハルヒ,この着ぐるみに入れ!」と叫ぶ殿の声からは,どうしても喜びを隠し切れていない(苦笑)! 殿のドレスコードではバニーガールは凄く見たくてもアウトであり,うさぎの全身着ぐるみはセーフの御様子.もはや先輩のことなどどうでもよく,ともかくハルヒに可愛い格好をさせたいという殿の執心は止まらない.まあ,確かに環に着せても…案外でかくて可愛い気もするんだが(笑).
「本物のウサギになってみせるがよい!」と環は錯乱して騒ぎ,その騒がしさについに眠れるハニー先輩が目覚めてしまう.ハルヒさんに着せるのが間に合わなかったために代用として送り込まれたのが環のくまちゃん.微妙な顔つきも愛らしい環愛用のぬいぐるみなんですが…問答無用で掴んで床に叩きつけるハニー先輩がおっかない(笑).
プリティがプリティを床に投げつけるという,前評判どおりの寝起きの悪さを見せたハニー先輩が目にしたうさちゃん大惨事.「僕のうさちゃん,誰が汚したの…」と呟く顔は3バカを本気で怖がらせるほど恐ろしいものであったと言います(笑).よくビビる環だけでなく,どんなことにもふざけていられるはずの双子まで怯えているのが新鮮.てなわけで!「助けて! モリせんぱーい!」
可愛い後輩たちを救うため,「…うさちゃんが,どうしてもお茶を飲みたいって」とぼそっとフォローするモリ先輩.こんなんで納得しちゃうハニー先輩もハニー先輩ですが,これで怒りが静まると理解しているモリ先輩もモリ先輩.並のツーカーぶりではない3年生コンビの大変珍しい衝突こそが,ここから始まる本編となります.
ホスト部ではロリショタ担当として最上級生,つまり17歳とは思えないロリっぷりを発揮しまくるハニー先輩.大好きなのはケーキにチョコにうさぎさん.寝起き以外はいつでも御機嫌な癒し系.…実際はさらに武道の達人という異様に濃い設定までついてるんですが,これでもれんげさんからするとキャラとしては安易で物足りないらしい.素人目では既に十分濃すぎる気がするんですが….
ともかく甘いもの大好きなハニー先輩は日々ホスト部でスイーツを食べまくり.ゆえに虫歯になっても知らないよという,軽口交じりのハルヒの忠告が真実となるのも必然でありました.ちゃんと歯磨きしていたはずが,歯に染みて頬が腫れて明らかに異常.…その気配を敏感に察知したモリ先輩がハニー先輩を急襲し!長椅子の上に主君を華麗に押し倒す! ええっと,こういうのって下克上(笑)? この状況はホスト部のお客さん方の大好物.中でも「足りないのはこの萌えー!」と絶叫するあなたは特に野獣ですな,れんげさん(笑).
モリ先輩が覗いた口の中には…やっぱし虫歯.全然大丈夫なんかじゃなかったためにホスト部には緊急シフトが敷かれます.ハニー先輩は虫歯が治るまで甘いもの禁止.ホスト部でも全面的におやつ禁止!という甘いもの命のハニー先輩にとっては地獄の宣告.環と違ってうりゅっとされてもうりゅっとはこない冷静なモリ先輩がケーキを持ち去り,いくらロリショタがうりゅうりゅ涙を浮かべてももはやケーキは戻ってこない….
翌日には頬がすっかり腫れてしまい,思った以上に重症だったハニー先輩の虫歯.頭の上で縛って三角巾で頬を覆う様はあたかもうさちゃんによく似たり(笑).いつも朗らかな彼が憂鬱な顔で可愛い格好をしているというミスマッチ感もきっと良いのでありましょう.このうさちゃんはお菓子が大好きでしっかりカバンの中に大量に貯めこんでるわけですが,彼の忠実な僕は厳しい持ち物検査の末に巻き上げてしまいます.…本来の甘味禁止令としてはこれで十分なはずですが,モリ先輩ときたら今回はさらに厳しい.見るだけならばこれで十分と菓子満載のちらしを渡すだなんて,何もくれないよりもなお惨い….
モリ先輩の要請で行われた菓子禁止令はストイックにとことん徹底.いくら姫の心遣いでも,ハニー先輩のために部の全員でスイーツを自粛.キングな環はそれをネタにして愛の前には解けて消えると一芝居演じ,姫の心をうっとりで満たすサービスを実施.現状でハニー先輩が頑張れるわけもないので,空いた穴を周囲でフォローし塞ぐのは大切なこと.…さて,この状況で異様に上機嫌なのが鏡夜.金のマークは周囲にちりばめられておりますね.
今回は虫歯のハニー先輩だけでなく,モリ先輩もいつもにはない行動をとっております.たまたまハルヒが目撃してしまった告白シーン.モリ先輩は麗しいお嬢さんから告白を受け,しかしその搾り出すような必死の告白の間も,一切ひたすらに無言のままに受け流してしまう.その無言を自分の拒否と受け取った彼女は,別に大切な人がいるのだと泣いてしまいます.…特にそれをフォローすることもなく無言のままのモリ先輩.その内心は,ハルヒにも視聴者にも伺い知ることができません.

後半! ともかく甘いものが食べたいハニー先輩は,早速おねだり作戦に打って出ます.その1は割とそのまんまな「かわいくアピール」.ただし可愛さだけでモリ先輩のガードを突破できるわけもないんだ.口に放り込まれたアイスキャンディの冷たさが虫歯の穴に突き刺さり,完治はまだまだ程遠い.…痛いよなぁ,あれは(苦笑).
その2は「遠まわし作戦」と名前がついているものの,実際はその1とあまり変わらない(笑).紅茶とサンドイッチを戴くお客さんたちに近寄って,本人的にはできるだけ遠まわしに甘ーいお菓子を要求するわけですが…あまりにも露骨な要求ぶりにお嬢さんたちは涙を飲んで逃走.楽しみに来ているはずのお客さんが,可愛いくてわくわくなハニー先輩を「あなたのためなのよー!」とちゃんと置き去りにしているところが素晴らしい.1話では上客を叩き出しただけのことはあり,客教育もきちんとできてるってことですね.
そしてラストはその3「泣き落とし」.ターゲットをハルヒさんに定めていかにも哀れに甘いものをねだるわけですが,2年も上の先輩と思うとなんだかなぁ(苦笑).ロリショタパワー全開のその様にハルヒはあっさり陥落し,内緒でおやつを差し出すわけですが…よりによって都こんぶ(笑).色しか似てないし甘くもないし,普段からラブリーよりはむしろ渋いハルヒさんに期待した時点で大いなる間違いです.
かくして甘いもの禁止は継続し3日目に突入.恐らくは自宅でも同様のシフトが組まれているはずなので,甘味に飢えたハニー先輩は苛ついた小熊のようにうろうろしております(笑).もちろんホスト部の脱甘味シフトは完璧であり,菓子の棚も全て空っぽ.なぜか菓子のかわりにくまちゃんが入っていて…これを床に叩きつけるハニー先輩(笑).きっと環が先輩の苛立つ心を慰めるために置いてみたんだけどむしろ逆効果だなぁこれ.一応目覚めてはいるはずなんですが,精神状態は寝起きと既にあんまり変わらないことを如実に示すシーンです.
菓子抜きの禁断症状の果てについに力尽きて倒れ伏すハニー先輩.しかも心配して近寄った環の腕にがっぷり噛みつく錯乱ぶり.そんな最上級生を止めてくれるのはもちろんモリ先輩,「人やモノに当たるな」と諌める言葉はいつも以上に厳しくて…ついにモリ先輩にぶち切れて本性爆発.あの大きな体を掴んで綺麗に投げました!
どうやらハニー先輩のラブリィな芸風は甘い物に負うところが大きかったようで,それを断たれると相当不安定になるご様子.ちょっとくらいいいじゃないかと駄々をこね,「だいっきらい!」と捨て台詞残して部屋から飛び出していく….そして残されたモリ先輩は大変に痛い.投げられたことなど些細なことで,いつも一緒で血の呼ぶ主君に嫌われたことがもう耐え難い….
モリ先輩の厳しさの意図に気づいたのは他人の内側に鋭いハルヒ.これまでの行動はわざと嫌われるためのものではないかと指摘したなら大当たり! 確かにチラシやアイスキャンディーや「見苦しいぞ」なんて発言は,モリ先輩のキャラからすると明らかにやりすぎ.しかも嫌われるのは大好きな者を苦しませてしまった自分への罰だってんだから…過保護にも程がありますよ.
珍しくも訥々と語るモリ先輩曰く,ハニー先輩が虫歯になったのは歯磨きをさせるのを2度忘れた自分の不注意が原因.…この部には過保護な父親が既に1名おりますが,モリ先輩の保護者っぷり過保護っぷりも相当ひどい.絶対そりゃ責任なんか感じなくたって良さそうなのに,「光邦が総入れ歯になったりしたら…俺は…俺は…」と本気で苦悩するってどうなんだ.それでハニー先輩を余分に苦しめて自分を罰してもらおうとするのは,真面目とか不器用よりはむしろ破滅指向のマゾに近いぞ(苦笑).
下級生たちからすると相当斜め上を爆走していたモリ先輩の苦悩.しかもそんな苦悩がハニー先輩のハートにクリーンヒット(笑).幼いころからいつも一緒で,常に献身してくれていたことを知っているハニー先輩だからこその感動? 泣いてモリ先輩に謝罪して,「もう,歯磨き忘れない!」と誓う最上級生の姿を感動的だと思うような奴は,相当の変わり者だと思います.

数日後.無事に治療を完了したハニー先輩は甘味戦線に復帰した上大進撃.その様に地味に落ち込んでいるのが鏡夜.どうやら甘味戦線の維持には相当のコストが必要らしく,きっと禁止の反動も手伝って凄いことになってるに違いない.まあ,奴らは凄い金持ちだから根本的には金の問題なんかないに等しいわけだし,今後は歯磨きを怠ることもないだろうけど…気になるのはハニー先輩の体重とかそういうの.格闘技できっちり消費しないと大変なことになるぞ絶対(笑).
残る課題はホスト部のお客様方の満足度向上.ハニー先輩が不調の間に無理をさせたお客様方,そしてモリ先輩のささやかな自爆に巻き込まれてふられたお嬢様に,迷惑をかけた分以上の満足をお届けせねばなりませんが…登場したふられたお嬢様は,悟りを開いておりました(笑).モリ先輩の大切な人はハニー先輩.もちろん本人たち的には行き過ぎた主従関係なんですが,腐った目で見ればそれは何も実りもしない徒花で,「そんなの…そんなの…なんだか…すごく…イイっ!」うわ本当に腐ってる(苦笑)!
好きなキャラが女性キャラとくっつくのは不快だけれど,自分自身を重ね合わせることのできる素敵で愛らしい男子といちゃいちゃしている分にはむしろ心置きなく萌えられるという,れんげさんの暮らす爛れた世界に目覚めた女子がまた一人.そんな女性たちにはハニー先輩とモリ先輩の普通…よりは若干過保護な日常も素敵なおかず.きっとどんぶり飯何杯でも行けるんでしょう(苦笑).てなわけで女の子たちが身もだえながら「萌えー」と叫びまくり,その様にヒロインがツッコミまくって終了するというのは,ものすごく斬新なオチではあると思います(笑).どんぶり飯何杯もいただくとやっぱり腐女子太りをするのかなぁとか思いつつ,次回に続きます!

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桜蘭高校ホスト部#11

「落下する黒魔術部の怪人の巻」

兄を探して高等部をさ迷ううちにホスト部に保護されることになった謎の幼女.金髪で純真無垢な彼女が探していた兄こそが,ホスト部の隣で活動している黒魔術部の部長,陰鬱の塊である猫澤先輩だった.実は先輩は王子のような容姿の持ち主なのだが,明るい光が苦手で黒装束で暗所に引きこもっているから,逆に暗いのが嫌いな妹と顔を合わせることすらできないのだ.このままでは兄と出会えない気の毒な霧美嬢のため.ホスト部は専門家の手を借りて猫澤先輩のキャラ改造に挑む.

毎回平均以上の品質で楽しませてくれる素晴らしい「ホスト部」.そろそろ1クール終了ということで制作現場の方もスケジュールが詰まってきそうな時期と思うのですが,最大の美点であるキレ良く美しい映像は今回も健在.作り手たちの作品に対する献身ぶりは相当のはずなので,ぜひお体など壊さないようご自愛ください(笑).贅沢にも物足りないのは,1話を完璧に越える回が未だにないってことなんですが,それは監督神自身でなきゃ無理そうだしなぁ….次クールの後半でさらに面白くなるようなことになったら間違いなく傑作認定です.
今回は猫澤先輩を落とす脇役回.隣室に潜む変人の首魁が兄貴として漢気を見せるようなそうでもないような….敵は光とかれんげさんとかで,自分より遥かにでかい怪物と素手で殴り合いするのに比べたら全然マシなんだから,妹のために頑張れ兄貴(笑).

前半.作中の時間は現実と似たような同じ速さで流れ,今はあじさいの咲く季節.そこに登場した今回のお客様は金髪の美少女…っていうか一人で歩かせているのはちょいとまずいんじゃないかって程度の美幼女です.彼女がてくてくと探すのは怪物を倒してくれる素敵な王子様なお兄ちゃま.しかし目指す場所の隣の部屋を開いてしまったことにより,ホスト部一同が巻き込まれていくことになります.迷い込んだのは桜蘭ホスト部警察.迷子の子猫ちゃんを出迎えたのは,少女漫画によくいるタイプの皆様です(笑).
幼女にも当然優しい環は子猫ちゃんに「どこから来たのかにゃ?」と尋ねるわけですが,その返事が斜め上を吹っ飛んでいきます.「ぎゃくはーれむ!」…天使のような彼女の口から出てくる腐った言葉は止まらない.ホスト部を見て「わーい! ここしゅちにくりんだー!」って下手に正確なのがアレだ(笑).「めがねきゃら」に「ろりしょた」,「すといっくけい」に「きんしんそーかん」に…「がりべん」.ハルヒさんが不本意なオチにされたところで残るは環.本来はオチを担当するはずの殿に対して幼女は「きんぱつだからおにいちゃまー!」…あれ?
本人の知る限り一人っ子のはずの殿なのに,いきなり金髪の妹さんができてしまいました.彼女のお名前は切り身ではなく霧美さん.うりゅっと滲む幼女の涙にあっさり釣られ,うりゅっと来た殿は急遽彼女のお兄ちゃまに就任.精神年齢が似たり寄ったりなのか,随分楽しそうに一緒にくるくる回ってやがるなぁ…(苦笑).でも霧美さんの本当のお兄ちゃまは,高等部にちゃんと在籍してすぐ傍にいるのです.
てなわけで霧美さんを呼ぶ不気味な声とともに今回の主役登場.ホスト部に通じる暗黒の扉の向こうから,見慣れぬ金髪の誰かがひょいと顔を出しております.一体誰なのかと思ったら…例の過剰な黒装束を装着して完成! 猫澤梅人先輩! 部の醸しだす不気味な雰囲気ゆえに,ホスト部からも警戒される黒魔術部の部長でございます.チャームポイントは手に装着した猫型呪い人形ベルゼネフ.明るい光が大の苦手で,自分の金髪にすら耐えられない徹底した隠花植物です.
この丑三つ時な兄と正午な妹にお仕えするのがメイドの呉竹と秘書の角松.特に呉竹さんは明らかに主人たちをおもちゃにしている(笑).暗いのがダメな妹と明るいのがダメな兄は正反対ゆえに呉竹曰く「猫澤家のロミジュリ」.ただし問題なのは部屋の明るさの問題だけでなく,陰々鬱々とした猫澤先輩の様子が幼児には無駄に怖すぎるんだ…(苦笑).
メイドの呉竹曰く,猫澤家はトカレフ王朝の系譜に属する由緒正しき家系.そりゃロマノフだろうと環がツッコんでいるものの呉竹はナチュラルに無視(笑).何百年かに一度闇に魅入られた運命の子が生まれるという言い伝えがあったりなかったりするらしい…って一体どっちだ.何はともあれ猫澤先輩は闇を偏愛し.ゆえに肖像画でのみ兄の姿を知る霧美さんはまさかこの黒くて不気味なのの中の人が自分の兄だとは思っていないという悲劇.
王子な兄を求める霧美さんを慰めるため,呉竹は王子物語を供給しまくり.しかしネタが尽きたので王子キャラの出る少女漫画にまで手を広げたことが冒頭の奇跡を招いたのであります(苦笑).ぎゃくはーれむもしゅちにくりんも少女漫画で覚えたらしい霧美さん.少女漫画中で逆ハーやら酒池肉林やらがストレートに台詞として語られるとは思えないので,きっと呉竹が朗読の際に余計なコメントをたっぷりかぶせているに違いない(笑).
王子様を求める霧美さんの願いはもちろん兄もよく知っている.しかし彼の努力の方向ときたら妹が闇を愛するように毎晩お祈りを捧げるという明後日ぶり.そりゃ何もせずに逃避しているようなものなので,兄はまともな努力をする必要があるでしょう.なんせ霧美さんはすっかり環を自分の兄と信じ込んでいて,このままじゃ完全に取られてしまいそう.…噛みあわない兄妹の様子に,兄弟はどこの家でも問題だと言う鏡夜.そしてそれを見る環.鏡夜がここで一体どんな気持ちで呟いているのかについては今後触れてくれるといいな.
しかし噛みあわなくても兄弟姉妹がいることがうらやましい,一人っ子の上に親にすら頼れない不器用なハルヒさん.今,彼女の筋金入りの配慮と孤独を知っているのはあの嵐の時に雷からハルヒを守った環のみ.そんなハルヒが仲良くできない2人の姿に心を痛めているのなら…環はこの問題を解決しなくちゃなりません..
俺はお兄ちゃまではないと霧美さんに宣言し,本当のお兄ちゃまに逢わせるための大計画をぶち上げる殿.目指すは霧美さんに兄と一緒にいられる幸せを提供すること! もちろん可憐な霧美さんにはこれ以上辛い思いはさせず,その分猫澤先輩にひどい目に遭ってもらいます(苦笑).てなわけで猫澤先輩の「キャラ設定改革計画」が発動.もちろん主担当はこの分野のプロ.キャラ設定を語らせれば並ぶものなしの病の重いマニアが,高笑いと強力モーターとともに入場だ(笑)!

後半.どうやらCM中から既にはじまっていたらしい猫沢先輩改造計画.この短時間で先輩の暗黒レベルは漆黒の闇から蝋燭の明かりつき程度には改善されたわけですが,まだまだどうしても暗黒王子.黒い薔薇をいくら撒き散らしても「あたかも呪われし蝋人形のような禍々しさでー」とか言うような奴はまだ洗脳が解けてないか真のラスボスに支配されてるに違いないぞ(苦笑).当然れんげさんは出来の悪い生徒を激しく叱責の上口答えを許さずに折檻!
王子には影は多少は欲しいもの.ゆえに全然ないように見える殿は欠陥品なんだけど(笑)オカルトやホラーは今時流行らない.書記のモリ先輩が黒板に記すNGワード,蝋人形やドクロやバンパイアや花子ちゃんや呪いのビデオや毒リンゴはまあいいとして,冥府十神とかトオルちゃんとか閣下とかカーマスートラは出てきた文脈が大変気になります.特にラストが…(苦笑).
猫澤家の呪いなんか気にもせず強力モーターをぶん回す女傑,れんげさん.そのスパルタぶりはまさに鬼.光がダメな彼をなんとかするべく懐中電灯の光を当てるという特訓には「イビルビーム」ってな仰々しい名までついております.でも暗い中で眩しい光を見せるのは逆効果でしょう.本来は全体的に少しずつ明るくしていくみたいなのがいいと思うんだけど…それじゃ時間がかかり過ぎて1話で収まらないか(苦笑).
一応事前に体質チェックはしたらしく,猫澤先輩が光がダメなのは深刻な体質問題ではなく単に根性の問題.でも,その怯えっぷりは恐怖症に片足突っ込んだレベルに見えるので,フィクションの中の人が気合でしのいでいた話と混同してほしくはないなぁ(苦笑).エドガーだって気合で十字架をしのいでた…って,これまた白泉社の超大御所をネタにしてる.対象年齢高めのギャグですな.
今回のメインヘタレ役は猫澤先輩が担うわけですが,本作の誇るヘタレキングもちゃんと仕事はしております.練習相手がくまちゃんじゃちょっと…という先輩のクレームからはじまる心眼物語.心の目で見れば何だって己の愛する別モノに見えるということを証明するべく,お手本として水着のマネキン人形に愛を語ることになってしまった殿.これがまた大変やりにくいわけですが,それでも凄い根性とか凄い演出とか凄い背景で無理やりに心眼を開きます.…まあ,傍で見ていると大変気持ち悪くって,ハルヒさんに嫌がられてしまうわけですが…(苦笑).
猫澤先輩の必死の努力の傍で,霧美さんはちょくちょくホスト部に襲来中のようです.しかもがりべんに少女漫画を音読させるという幼児ならではの暴君ぶり.実に面白くなさそうに棒読みしてるあたりからすると.そんな漫画は好きではないらしいハルヒさん.しかしそんなハルヒさんが逆ハーで酒池肉林の少女マンガの主役をやっているという倒錯ぶりが楽しかったりするわけですよ.
しかも霧美さん,がりべんを追って黒魔術部に来てしまいました.暗い部屋が怖い彼女を慰めてくれるのは偽りの兄である環.太陽の下で妹をあやす彼の姿は,猫澤先輩の理想とする姿そのもので…目の前にある手の届かない理想にくじけながらも発奮し,素敵な王子様のお兄ちゃまとして懐中電灯を自ら手に取るその漢気をぜひとも認めていただきたい!
光なんか怖くない!と気合で己の顔を懐中電灯で照らす猫澤先輩! 彼としては一足飛びの大進歩で偉業の達成であるわけですが,本作のヘタレ係とは持ち上げられるほど手ひどく落とされる残酷なシステム.全てが解決して感動のラストが訪れるわけがありません.懐中電灯で人の顔を下から照らしたら,普通は凄く怖くなるんです(苦笑).
懐中電灯で下から照らされた兄の顔に,言葉にできないほどの恐怖を感じた霧美さんは大泣きの上逃亡.いくら頑張っても落とされるという残酷なシステムについにくじけた猫澤先輩は兄の座を環に譲ろうとまで思い詰めてしまう.相思相愛のロミジュリというよりは陰からヒロインに恋慕するオペラ座の怪人である先輩に対し,落とされることにおいては超一流の環が喝を入れます.「あの子が本当に逢いたいのは,あんただろ!」
本当に大切ならば死ぬ気の根性を見せてこそ兄貴というもの.たったの1話のヘタレ役すら耐えられず音を上げるだなんてまさに論外.大切な娘…のつもりだけど実際は赤の他人のハルヒのために物凄く高いところから毎回落とされてる環に比べたら,猫澤先輩は覚悟がまったく足りてない!
大切なのは,自分の身を顧みず全てを投げ出す真摯な覚悟.その覚悟が発動する瞬間は直後に訪れます.中庭に出た妹が出会ってしまったのは,デブの野良猫.普通ならばどうってことない邂逅ですが,猫澤家にとっては話が別.猫澤家は猫が大の苦手! …真逆のはずの兄と妹を繋ぐ唯一の共通点が弱点ってのは皮肉ですが,今こそが死ぬ気で意地を張れる最後のチャンス!
妹の危機に光を恐れることすら忘れ,窓をぶち破って飛び出していく兄は,猫が怖くて動けない妹の前に出ます.その凛々しい姿はまさに夢に見た王子様のお兄ちゃま.霧美さんが求めてやまなかった本当の理想がここにいて,ついに彼女は兄を発見したわけです.怖い猫から自分を助けてくれた強くて素敵なお兄ちゃま,なんだけど…ただしこのお兄ちゃまは大変に光に弱く,妹を救った後はそのまま前のめりに倒れ,豪快にオチていくのです…(苦笑).

数日後,素晴らしいフリーフォールっぷりを体現した今回の主役は最後まで役目を果します.一生分の光を浴びて結局特訓前に戻ってしまった猫澤先輩.1話を経ても表面的にはまったく改善してないっていうかむしろ悪化するのがヘタレの真骨頂.コメディの主役はこうでなきゃいけないわけですが,辛い辛い1話をまっとうした猫澤先輩には素晴らしいご褒美が用意されておりました.
霧美さんは助けにきた王子様と黒装束の不審者を結びつけることに成功! 偉大なる呪い人形ベルゼネフのご加護によってついに出会うことができた2人.もう霧美さんは闇だって怖くないはず.だって闇の中には,自分を本気で助けてくれる王子様がいるわけだから….さて,たった1話のヘタレ役で猫澤先輩は素晴らしい幸福を手に入れたわけですが,シリーズ全体を通して落とされまくている本来のヘタレ役には,ラストにどんなご褒美が待っているのだろう.…個人的には結局ご褒美なしってオチが好みなんだけどな(笑).次回に続きます!

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桜蘭高校ホスト部#10

「見事なりサンドバックキングの巻」

ハルヒが貧困のどん底で暮らしている悪夢を見てしまった環.動揺した環は休日をいいことに,他のホスト部の仲間とともにハルヒの家庭環境を確認しに自宅へ押しかける.穏やかな休日を台無しにされて腹を立てるハルヒと,これまで見たことのない庶民の暮らしに舞い上がるホスト部.その変な気の回しっぷりや傍若無人ぶりに振り回されて,ついにハルヒは皆に手料理をご馳走することになってしまう.しかし買出しの直前,とんでもない態勢の環とハルヒを帰宅したハルヒの父が目撃してしまった.

シリアスもギャグも徹底して見事にこなす「ホスト部」.原作自体の芸風の幅もさることながら,アニメにする段階での芸風の抽出・脚色具合も見事なもの.下らない事と大切な事が表裏一体になった原作も凄ければ,そこから自在に面白さを取り出すアニメもまた素晴らしい.特に原作の幅の広さと奇妙なミックス具合に関しては,あの「銀魂」といい勝負だと勝手に思います(笑).
てなわけで今回は一流のギャグ職人による素晴らしいギャグ回! 端正な「ホスト部」らしからぬディフォルメキャラのぬりぬりっとした動きが絶妙で,さすがは絵コンテ桜井弘明(笑).キャラの頭のネジが3割増でおかしいのは言うまでもなく,無意味に背景で回転していたり書き文字が愉快すぎたりと画面の細部まで目が離せません.その分終盤の切ない雰囲気はやや薄くなってますが…一番大切なのはコメディなんだからいいじゃないですか(笑).

前半.高級洋菓子を土産にご訪問したホスト部が愕然としたのは藤岡家の惨状.あばら家の中から出てきたハルヒさんもげっそりとやつれております.窓には新聞紙で床にはござであちこちヒビのデコレーション.お茶だってお椀や計量カップに入って出てくる始末.戸棚は異次元へと繋がっており,そこから出てきたごちそうは3日前から断食して食費を貯めてへそくりはたいた特上パック寿司….
まさに想像を絶する貧乏生活に圧倒される金持ちたちに止めを刺したのは無知の愚かさ.ただの赤身を未知の大トロと誤解して,いかにもおいしそうに食するやつれたハルヒさん….「それはただの赤身であって! 断じて大トロではありません!」と環絶叫.…いや,もちろん夢なんですけども(苦笑).
純然たる金持ちならばここまでの妄想のバリエーションは期待できないというか,むしろ金がないということがどういうことなのかすらわからない可能性すらあるわけですが,どうやら貧乏に関する典型的な情報を大量に頭に入れていたらしい環らしい悪夢.案外ハルヒさんについてより深く知るという名目で,無駄に貧乏を勉強したのかもしれません.ああ見えてA型だし(笑).
不安に駆られた環は大至急朝食抜きで外出の準備.悪夢がただの悪夢であると一刻も速く登校して確かめたいものの! 「恐れながら環様!お召し物が半分お寝巻き,お足元は部屋履きのままにございます!」…ここでうっかりさんがばたばたと戻ってすたすたとやってくる様子,特にすたすたの感じがいかにも桜井.しかも今日は日曜.その程度自分で気づけこの馬鹿というばあやさんの心遣いも空しく(笑)環の暴走は止まらずに仲間を巻き込んでいくのであります.
まさか殿が冒頭から大変失礼な妄想をしているとは知らないハルヒは,スーパーまるとみの朝市からの帰宅中.ごく普通の庶民のお嬢さんとして平和な休日を過ごそうという思惑をぶっ壊すのが自宅前の黒塗りのベンツ.中には良く知ったあの人たちが格納されていたのでハルヒさんがっくり.本人の承諾も得ぬままに,今まさにホスト部による藤岡家家庭訪問が行われようとしていたのでありました.
庶民ワールドの予感に楽しげな仲間たちに比べると,鏡夜に相談しただけなのになぜか勢揃いしている自分たちが嫌でたまらない環.特にドッペルゲンガーズはハルヒにやたらくっつくから嫌なんだろうなぁ(笑).とはいえ彼はこの異郷で一人にされるのも怖いヘタレで,未だ団体行動の呪縛から逃れることができません.
気を取り直してリーダーシップを発揮してみる環だけれど,ハルヒさんに嫌な思いをさせないための「さりげない」配慮に関する注意が全て裏目に.帰って欲しいと思わせる言動禁止のはずが,入る以前から「ていうか今すぐ帰れ!」とハルヒさんに一刀両断されている(苦笑).ピンクのワンピで「黙れ!消えうせろ!」と汚い台詞を吐くアンバランスさが素敵だ….
ホスト部の連中が厄介なのは,あれだけ迷惑でありながらも下手に人当たりが良すぎるところ.変な連中の襲来に警戒した大家も環のホスト技で一瞬で撃沈.孤立無縁となった上にハニー先輩の高級洋菓子アタックを受け,ついに室内への侵入を許してしまうハルヒさん.…雷だけでなくおいしいものもかなりの弱点なんだよな.
藤岡家はごく狭い普通の庶民アパート.金持ちどもからすれば部屋どころかクローゼットサイズなんだろうけれど(苦笑)親子2人がつつましく暮らすには十分な広さ,もちろん当たり前ですが殿が夢見た貧乏生活とは掛け離れていい暮らしなんですが…金持ちどもは住居の狭さを極端に楽しみ,そこにげんなりしつつも「この人たちに何1つ期待しちゃダメだ!」とひたすら耐えることを決意するハルヒ.気の毒です.
例えば高いビルの上からでは真下を歩く人の身長差がわからないように,度を越えた金持ちたちには庶民の普通がわかりません.ティーポットなんかなくたって紅茶は急須で入れられる.そんなことすら思いもつかない彼らにとってはここは未知の世界.イッツ・ア・庶民ワールド! …そんな彼らの動揺ぶりや発見ぶりこそが,当たり前のことをしているだけのハルヒに多大なるダメージを与えているわけですが(苦笑).
話の流れで,ハルヒに恥をかかせたら負けというチキンレースを急遽開催する環と双子.元々大変に失礼な上に変な気を回すから何をやってもアウトな3人に対し,邪念のない上級生たちは一枚上.イチゴのケーキを選んだハルヒに,さらにイチゴをあげて好感度を上げるモリ先輩のスマートぶりに対し,そうしてよかったのか!と身もだえて悔しがる3人.ディフォルメキャラで異様に動く画が素晴らしいなぁ.
そもそも招かれざる客なんだからもっと神妙にするべきなんだけど,ケーキを食べたら小腹が空いて「お昼まだ?」とナチュラルに食事を所望する,とめどなく自由に生きる仲間たち(苦笑).鏡夜の…というよりは実質ハルヒの稼いだ金で寿司を取ることになってしまって冒頭の悪夢が蘇り….無駄な気を回す環が回したメモには「パックのお寿司は「特上」と書いてあっても高級とは言わないよ!!要注意」…バカからバカにされたようなもんだから(笑)即座にくしゃっと丸めてゴミ箱に放るハルヒさんは不幸で,じたばたと言い訳する殿もまた不幸だ.
もはややりたい放題言いたい放題の招かれざる客どもに,いろんなことをすっかり諦めてしまったハルヒさんは手料理が食べたいというハニー先輩の要望すらも飲み込んで,全員で昼食の足りない材料の買出しに行くことに.そもそも黒塗りベンツが来た時点でいろいろと諦めねばならなかったのだと覚悟を決めたハルヒを環が襲います(笑).
一人残って,ハルヒのお母様の写真が飾られた仏壇にご挨拶していた環.ハルヒはお母さん似で綺麗で頭も良さそうで有能そう…と間接的にハルヒを褒めちぎる環.「俺の目に狂いはないからな!」って言われても,君の目は割と節穴っぽいからなぁ(苦笑).それでも自分の母を誉められればうれしくて「そう,思います」と答えるハルヒは少し寂しげで.…それを聞く環の表情も奇妙に寂しくて優しくて,似ています.
というわけでシリアス終わり.さて買い物に行くか!と立ち上がった途端になぜか置いてあったバナナの皮で滑って転んで,環がハルヒを押し倒す格好になったところを狙ったように目撃する,ハルヒの母のような父! 言い訳しようにもできない状況,しかもその声は格上の子安.もはやひよっ子には言い訳のしようがありません!

後半.素晴らしいタイミングですっ転び素晴らしいタイミングで目撃した藤岡家.状況の絶望ぶりを環は完璧に把握しているわけですが,説明すれば理解してもらえると思った時点で大甘です.いくら見た目が大柄の美女であろうとも,彼はハルヒの真の父であり娘に近づく害虫を許すような漢ではありません! 「ごめんねー」と環を引き剥がして壁に叩きつける父の愛が,コマ送りしたくなるくらい面白い(苦笑).その迫力は実の娘すらビビらせる程のもの.今世紀最大のケダモノやでっかい害虫の言い訳を聞くような耳は持ち合わせていないのです….
大事な娘を押し倒し呼び捨てにする環のことが,父はともかく気に入らない.しかも戻ってきた双子がさらに環の悪評を耳に吹き込むもんだから大変だ.確かに部活の時には誠心誠意女好きとなり女をもて遊ぶんでいる環.しかしハルヒに対しては他の客とはまったく別の感情を抱いているから…「違う! 誰が遊びか! 俺は,俺は真剣に…」と急にシリアスに.普通なら告白する勢いなんですが…「真剣に娘さんのことを! 実の娘のように思っています!」…一体何を告白してんだこの人は(苦笑)!
てなわけでハルヒ父を交え,再び室内から仕切り直すこととなったホスト部一同.卓袱台を囲む一同はほがらかに蘭花さんと親交を深めるものの,早速バカのレッテルを貼られた環だけはいつもの体育座りで押入れでキノコを育成しております(苦笑).初対面のはずなのにホスト部をよく知っている蘭花さん.それはハルヒが部活の話をしたわけではなくて,既に鏡夜と通じていたからだなんて!
確かに彼と通じていれば,中学時代の秘蔵生写真を入手するのもたやすいわけで伏線も解消.鏡夜が自分の知らぬところで勝手に藤岡家と仲良くなっているのに怒り,直後にそりゃ本来はお前の仕事だと追い込まれる環は,自業自得だけど可哀想.悪夢を見て恥ずかしい目に遭い帰れと言われ出し抜かれくしゃっと捨てられ誤解されて吹っ飛ばされて吹き込まれて諭されて,今回の環のサンドバックぶりは実に徹底しています(苦笑).全員がそれぞれ違う方法で全方位からいじめるもんだから,行き場を失って押入れに引きこもるのも仕方がない.
ちなみにハルヒさんの父は,現在絶賛キノコ栽培中の環に大変よく似ています.怒った顔も可愛い!と超親バカぶりを発揮する父が環のことを大嫌いなのは…同属嫌悪も混じっているのかな? そしてそんなうざい父を軽くあしらって買い物に行くハルヒの姿に,そりゃ殿扱いが上手くなるよなと深く納得するホスト部でありました.
大変に愛らしくてぜひとも守ってあげたいのに,それを許してくれないハルヒの自律ぶりは父にとっても特別.周囲の人を気遣って,自分のことを自分で決める彼女の行動力は驚くほど.例えば8年前だって,父が休めないという理由で休日の参観日を教えなかった.偏見や先入観から縁遠そうなハルヒさんが,オカマの父のことが恥ずかしいわけがない.けれど父が疲れていることはよく知っているから,回さなくていいところにまで気を回してしまう心遣いがいじらしい.そこは親としては頼ってもらった方がうれしいはずなんだけど….
大嫌いな雷すらも一人で耐えて,ひとりで考えひとりで解決しようとする強くて強情なハルヒ.放っておけばどんな楽しみすらも周囲のために放棄しそうな,そんな娘の張り詰めた生き方をよく知っているからこそ,そんなハルヒを巻き込んで楽しくしてくれているホスト部には感謝している蘭花さん.ポイントは,ホスト部の話はしないはずのハルヒが唯一おバカな部長についてはよく話していること.あまりのダメっぷりと迷惑っぷりにより,環はハルヒの中で既に特別扱いされているようなのです.

先に買い物に出かけたハルヒをこっそり追う尾行プレイに興じる蘭花さんとホスト部一同.いい男をはべらせて歩きたいという欲求を堪えずに実現しちゃう蘭花さんと,毎度似たり寄ったりの行動力を見せる環はやっぱり同種.父がついこっそりと娘を見守ってしまうのは,ハルヒが自分のためにとけなげに行動してくれるから.その好意はうれしいけれどやっぱり配だし…という父の愛がストーキングと化すあたり,愛ゆえに奇行に走りやすい環とやっぱりよく似ているなぁ….
甘え知らずで欲がない.気遣う隙も与えてくれない.そのくせ無意識に人のことを救ってしまう,蘭花こと藤岡涼二の可愛い娘はそんな素敵なお嬢さん.その素敵は涼二だけが独占しているはずなのに…「ああ,それは…わかります」と環に真っ直ぐに共感されて,「わかるわけないの!」とぎゅうっと引っ張る蘭花さん(笑).娘の素敵ぶりは父だけが知っていればいいのであり!父は一人いればいいのであり!娘に特別扱いされるのは自分ひとりでいいのであり!「あんたは敵! 敵と見なす!」
やっぱり父に嫌われた環はハルヒに見つかって,まるで6年前の誰かと同じように尾行をごまかし,それを見たハルヒは6年前に誰かに向けたのと同じ笑顔を環に返しました.目の前でお鍋をねだるこのバカはまるで大きな子どものようで,そんな様子はきっとハルヒのために空回りする自分に似ている.バカなりに真面目で,バカだからこそ真剣.そんな態度はハルヒにとって既に特別で…「欲のないあの子が,ただ一人の人の傍にいることを心から望む日が来るのなら…………やっぱ考えただけでムカつくわー!」と環の嫌いな春菊ばかりを押しつける父のイジメに,環はやっぱり耐えねばならぬのです.オチだから(苦笑).本当に最後まで素晴らしいサンドバックぶりだと感動しつつ,次回に続きます!

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桜蘭高校ホスト部#9

「徹底しすぎは腹が立つけど面白いの巻」

2日連続で行われる,桜蘭学院の文化部発表会.他校の文化部も招かれるという大規模行事の最中に,ハルヒは聖ロベリア女学院の紅薔薇の君に出くわしてその正体を見抜かれてしまう.ロベリアのヅカ部のトップである彼女はハルヒの天性の才能を認めてホスト部および桜蘭からの引き抜き交渉を開始.ホスト部の悩殺技がまったく通用しない彼女たちとホスト部との舌戦…というか一方的侵攻の中で,ハルヒは思いがけない話を耳にすることになるのだった.

高い技術でやりたい放題でおなじみの「ホスト部」.深夜作品の中では桁違いの美しさを誇る本作に今回来襲するのはヅカ部.細い手足で鋭く尖った女性たちの姿は「ウテナ」のキャラクターを彷彿とさせ…もう崩れそうなくらいに面白い(苦笑).根本的にエキセントリックで鋭く尖った「ウテナ」と,そんな異常ぶりを笑いの方向に持っていきたい常識人な「ホスト部」は,様式美的な美しさ以外はあまり似ていないと思うんですが,女性3人が様式美を盾と矛にして暴れた今回は時折あの傑作を彷彿とさせる瞬間があったようななかったような(笑).そしてそんな様式美に対してひどい仕打ちを平気でやってのける「ホスト部」は本当にやりたい放題だ.少女漫画誌で少女漫画を茶化してきたアナーキーぶり,大爆発.

前半は長い.普段の赤やピンクではなく,人工的な青いバラの散る中で回転しながら3人の変態が迫っていることなど知らないハルヒは,教室でクラスメイトに文化部発表会について教えられておりました.2日ぶっ続けで他校まで招くイベント.以前の勉強一筋のハルヒさんなら無視して帰りそうだけど,ホスト部で多少なりと学校に繋がりができた今は,きっとなんとなく見にいきたいに違いない.それを妨害するのが同じクラスの常陸院の双子で,ハルヒは庶民コーヒーの仕入れに行かされることに.双子が彼らなりのご機嫌取りとしてハルヒさんを磨き上げてるのが面白い.
インスタントコーヒーすら探せず自分をパシらせる金持ちどもにほとほと困っているハルヒですが,同級生のお嬢さん方からは素直に感謝されているご様子.双子を中等部から見てきた彼女たちの目からすると,最近の双子のとっつきやすさは顕著.2人きりの世界の殻にこもっていた往時の彼らに比べると,ハルヒ入部後にその社会性は相当改善されたとのこと.
今でこそれんげさんと庶民コーヒーについてクラスで談笑できているものの,ホスト部に入りハルヒと出会わなければ2人があんな楽しそうな表情を見せることもなかったはず,真似事とはいえ女の子たちを毎日もてなし,さらに粉を溶かして飲む壮絶なコーヒーのような新文化に触れたことで起きた変化.話す習慣づけと話さずにいられない刺激のセットは,2人の殻を破れる程度に強いものであったらしく…そんな双子の様子が同級生には大変うれしい.「だって,毎日が楽しいのって大切なことでしょう?」
さて,どうやらホスト部は文化系ではないらしく,発表会には無関係で通常営業.そこに恐るべき敵が近づきつつあることを,彼らは知らなかったのでありました….第3音楽室に突入したのはまず2人.ホスト部の今日のコスプレは中世の貴族騎士であるわけですが,この麗しい姿にも2人は無反応.さらに一応キングの殿自らが先陣切ってご挨拶するものの,殺し文句にダメ出しされてしまうだなんて!
君のことを命に代えても守る騎士になりたいという,殿の砂糖菓子な台詞を傲慢と切り捨てる2人.己の名誉ばかりを求め,自分の身すら守れない,そんな恩着せがましい存在が女を喜ばせることができるものかとずんばらり.…たとえば殿のハルヒに対する父心なんてのは明らかにこの方向なんですが,それではやっぱりダメですか? ダメだよね(笑).
ではどうすれば女の子は満足するのか.その正答を語るために殴り込んで来るのが3人目.…恋人を決して一人にはしない,ともに戦い叶わぬならともに果てよう!とロマンチックかつ女性の戦闘能力を尊重した回答を出す長身の麗人の傍らには,なぜかハルヒが(笑).パシリ途中に転んだハルヒを救った上に,その性別を一目で見破ったロベリア女学院の華麗なる女王はハルヒの手の甲に口づけを.…巻き込まれ型主役のハルヒさんですが,今回は随分とめんどくさいのにからまれちゃったなぁ(苦笑).
うちのハルヒに触れるなと父心全開の環のアタックを一蹴するロベリアさんたち.本気で戦おうとするのは環のみで,他の連中は戦意のなさを示すかのように騎士姿とは無関係なものを手に持ってるのが面白い.鏡夜のソフトクリームの意味が一番わからん…(苦笑).桜蘭のアイドルどもをつかまえて,噂以上の低脳で寄せ集めで歴史なしとけなす3人は,颯爽と制服を脱ぎ捨てて正体を明かします.
脱いだ中には舞台衣装! 陶酔とともに自己紹介! 彼女たちこそロベリア女学院の紅薔薇・鈴蘭・雛菊の…百合の花咲き誇る白百合の会ことヅカ部の3巨頭! うわーやっちゃったー! ホスト部ですら時折許容量を外れたときには痛々しくなるわけですが,ロベリアのコレは完璧に致死量.そりゃ視聴者だって画面見て吹くさ(苦笑)!
幸いなことにロベリアが面白いのは作中人物たちも同様で,双子が大爆笑してくれるのがありがたい.けれど侮ってはならないと強力モーターを回しつつ,インスタントコーヒーがわからなくても女学校萌えはわかる女,れんげさん登場.創設30年の歴史あるヅカ部は,乙女のための娯楽を乙女によって提供するという女性至上の珍奇な部活で,こんなもんが部活として成立する異常性についてはホスト部といい勝負.れんげさんの守備範囲からは外れるようですが,それでもここまで把握してるのは偉…くはないか.
乙女の美は外見と精神.それは男性の庇護なく輝くものであり,彼女たちの誇りは同性同士という魂のみで繋がり会う関係.それはもちろん恋愛でも…というウーマンリブなんだかフリージェンダーなんだかわかんねえ濃すぎる芸風を恥ずかしげもなく主張するヅカ部.あまりにも濃すぎてホスト部が既に飽きちゃってるのが自由すぎるなぁ(笑).ただし無駄に濃いヅカ部にはホスト技は無効.しかも彼女たちのターゲットは,ホスト部の至宝であるハルヒさん!
ハーフの部長以下ちゃらちゃらと偽りの愛を演じ女性蔑視の上私利私欲のために部活動を行う,そんな腐ったホスト部は即刻廃部にしてみせる!と凛々しく言い放つヅカ部さんたち.女と女でラブラブというあまりに濃すぎる芸風に耐え切れず環は寝込んでしまってますが(笑)ハルヒさんが狙われているとあっては休んでもいられない.なんせハルヒは喧嘩を売りにきた彼女たちにコーヒー出すほどのざっくりぶり.ホスト部への帰属意識はきっと誰よりも希薄です(苦笑).
ハルヒを救うべく飛び出した殿はバナナの皮で滑ってコーヒーに指を突っ込むドジっ子ぶりを披露.まるで話をうまく展開させるためにやらかしたドジのようにも見えますが,実際にそうなので弁解のしようもありません(笑).ここでハルヒさんが持っていたコーヒーのおまけの傷テープこそが,この先のある意味壮絶なオチに繋がっていくのです….
話は戻り,こんな下賎な部に逸材ハルヒさんを置いてはおけないと,かなり強硬な手段でハルヒさん取得を目指してくるヅカ部.なんせヅカ部の披露したホスト部の汚点?はすべて真実.環はフランスと日本のハーフだし,ホスト部の歴史は2年しかないし,サービスだってポイント制だし….部活の範疇を越えて本格的に営利目的であったホスト部の実態を知って愕然とするのが横で聞いてたハルヒさん.以前の写真集もDVDも校内で大っぴらに売ることはさすがに躊躇われるはずなので,学内専用のオークションサイト経由で流していたんだろうな.
オークションで高値で落としてくれたお得意様に特にサービスを篤くするというホスト部のビジネスモデル.そこに不可欠なのはお嬢さんたちが落札するための何か.金を間接的に移動させるためのライターの石みたいなものが必要になるわけですが,オークションで扱われていたその石が自分の私物であったことが判明していきなりハルヒさんおかんむり.本人の知らないところで他人に売りつけるだなんて,失礼にも程があるってもんですよ.
自分の落とし物を勝手に出品されて怒るハルヒにあわてて環が謝るものの,代替のクマちゃんシャーペンも環の出生の秘密もハルヒの怒りを静めるにはあまりにも無力っていうか逆効果.見事ホスト部とターゲットの間に大きなヒビを入れたところで,ヅカ部は明日の襲撃を予告して退場.…終わりの方はヅカ部そっちのけで内輪もめに夢中だったわけですが(笑)怒ったハルヒさんも帰ってしまって大変だ.
ただの電気屋のおまけであったシャーペンに翻弄されるホスト部の皆さんは,ハルヒの才能に恐れを抱きます.どっちかというと男物好きで,女の子のちやほやも悪くない上に男装のバレなさぶりも素晴らしい彼女は,ホスト部よりもむしろヅカ部の方に向いている気が! ロベリアならば編入も借金返済もなんとかできてしまう.そうなったらハルヒさんが取られてしまう…この窮地を救うべく殿が提案したとんでもない秘策とは!

後半はオチ! どんな内容かは不明ながらも,桜蘭での公演を大成功させたヅカ部の3奇人は意気揚々とホスト部へ.目的はもちろんハルヒさんの取得.あんな場所にいるべきでない乙女のために,3人は気合十分で再度音楽室に踏み込むわけですが…まさかそこにあんな異形が待っていようとは(苦笑).
第3音楽室の暗い扉の中.そこに浮かび上がるのは桜蘭ホスト部のお姉さま方! 痛々しくて涙の出そうな大失敗厚化粧はヅカ部に対しとんでもなく失礼.もし本気でこの格好がお姉さまだと思ってるなら全力で殴りに行きたい程度の面白さであり…たぶん環は本気だから凄く殴りてえ(笑).バカ殿の頭脳から生み出されたこの大惨事は題して「オマケ大作戦」.ホスト部が女装することにより,お兄様に加えてオネエ様まで楽しめるという庶民まっしぐらの秘策! …環やノリのいい双子やハニー先輩はともかく,鏡夜お母様はよくこんなのにつきあってるなぁ.モリ先輩はなんともならなかったのだろうなぁ….
で,目の前で展開する精神攻撃に爆笑したハルヒ.確かに彼らはバカですがこれほど病が深かったとは(苦笑)! もちろん環以外はこの格好が面白いのをちゃんと知っているはず.己が恥をかいてもここまでやったのは,純粋にこてこて女装が面白かったのと(笑)ハルヒさんの苛立つ心を鎮めるため.ここにはない刺激を持ち込んでくれる存在がいなくなるのは大きな損失.もはや借金返済なんかどうでもよく,ハルヒにここにいてほしいのです.
そしてハルヒさんも,やめるつもりはないとヅカ部に宣言して残留決定.ホスト部自体にはそれほどの愛着はなさそうですが,学校に通う方にはっきりとした目的があった御様子.環たちとハルヒの間には未だ温度差があり,その溝はこの先もあまり埋まりそうにもないという事実がどうにも切ないけれど(苦笑),一緒にいてくれればいつか強い帰属意識を持ってくれる日が何かの間違いで万が一にも来ないとも限らないし!
ひっかき回して結局何もできず捨て台詞を残して帰っていったヅカ部.しかしあの面白い連中がいつまた来ないとも限らない.この楽しい毎日を維持するためには不断の努力が必要ですが,無理やりのれんげさんのアオリは必要ない気がします(笑).…この毎日って,ハルヒにとってもやっぱり楽しいものだよな? 次回に続きます.

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桜蘭高校ホスト部#8

「あなたが僕らの弱点ですの巻」

ハルヒの御要望にお答えして本物の沖縄の海にやってきたホスト部.ただし環の父心によって今回はホスト部の出張営業となり,ハルヒの水着姿はなし.それでも鳳家のプライベートポリスに捏造された潮干狩りは海の幸満載で,ハルヒは珍しく満面の笑みを浮かべていた.
男装こそしているが,本来は可愛らしいお嬢さんであるはずのハルヒ.しかしそのマイペースぶりはヒロインにはあまりにも似つかわしくなく,まるで弱点など見当たらない.けれど女の子たちを守るためにたった一人で男二人と戦おうとするのは無理で,環は無防備すぎるハルヒに腹を立てる.

毎回必ずどこかに見所が見つかることがうれしい「ホスト部」.やや低調かなと思える回でもきっちり目玉は入れてあるので,そこに集中すればきちんと乗り切れてしまうあたりがうれしいんですが…今回はわざわざそれを探す必要なし! 絵コンテに連名で五十嵐監督神が入っている威力は絶大です.些細なシーンにも美しいレイアウトが施され,ここぞというシーンでは実に情感溢れる画面展開を見せる傑作回.オチも含めて,見終わった後には環の好感度が一気に上昇すること請け合いです.あ,あとカニがやたらと美味そうなのも必見(笑)

前半.まだ梅雨にも入っていないってのに,前回はプールで今回は海.水着大サービス回が続くんだけど…あんまりサービスになってないのが本作らしい.前回,本物の海なら行ってもいいかもとハルヒが口を滑らせて,早速双子が水着とともに誘いに来ているわけですが,序盤のこのあたりから既に映像が大変に美しい.大きく動かない分,レイアウトの美しさが際立ってますね.
ハルヒさんのつるぺたボディには胸のなさをフォローするフリルつきのセパレート水着がぜひともお勧めなわけですが,相変わらず激しい保護者ぶりを示す環によって脳内妄想とともに打ち上げられる双子.自分以外には水着姿など決して見せたくないという不純な父心の発動により,折角の海もサービスなしに化けるのです.
てなわけで今回の舞台は沖縄.庶民のハルヒさんにはパスポートがないだろうという金持ちどもの精一杯の心遣いによって沖縄.桜蘭の普通の生徒にとっては,国内リゾートなんてちょっと近所のプールに遊びに行くようなものだと思うと…大変にやりきれない気分だ(苦笑).さらに前回と違うのは,ホスト部だけでなく客まで同伴させたこと.通常営業ではハルヒは決して水着にはなれない!という環の計略です.…海辺のホスト部,磯できらきらと頭の悪いツーショットタイムに勤しむ環が見事だ(笑).お嬢さん方,それはそんなに楽しいですか?
もちろんハルヒにも固定ファンはいるわけですが,今日のハルヒは当然泳げない.けれどお嬢さん方に対しては「泳いできなよ.折角可愛い水着着てるのに…」と見事な天然タラシっぷりがこれまた素晴らしい(笑).環脳内劇場には夕暮れを2人でお散歩する甘ったるい妄想に満ち溢れているわけですが,そんな妄想に溺れてもにょもにょしている間にハルヒさんがもっと男前になっても知らないぞ(苦笑)?
ハルヒの今日の楽しみは,ハニー先輩と一緒の潮干狩り.前回の非礼を詫びるプライベートポリスたちの計らいによって,成果はちょっとした海鮮市場状態に(笑).見た目の豪華さや美しさにはまったく心を動かされないハルヒさんでも,おいしいものだけは話が別.カニ満載の成果にハイテンションとなった上,「今夜の晩御飯は大漁ですよー!」って一体誰に向かって叫んでいるのか,本人もよくわかってないに違いない(苦笑).
さて,でっかいカニの大好きなハルヒは,大変男前なのでムカデ程度には動揺しません.女の子たちが引き潮のように引く中で,ひょいと掴んで草むらに投げちゃいます.元々冷静な上にかなり合理的な考え方をするハルヒは,普通のお嬢さん方から比べれば規格外にタフなのです.
果たしてこの男前に弱点は存在するのだろうか…ってなわけで双子がハルヒの弱点探しゲームを本人の知らぬところで勝手に提案.随分と悪趣味な遊びなわけですが,双子の口車に乗せられて環以下ハルヒと鏡夜以外の全員が弱点探しすることに.しかも胴元の鏡夜ときたら,景品としてファン垂涎の逸品・中学時代の生写真をご提供することで一同の意欲を煽ります.…わざわざ弱点探しを促すあたり,鏡夜もハルヒについてはきちんと掴んでおきたいようですね.
人間誰しも苦手なもの,怖いものってのはあるはずなんですが,男前のハルヒは完璧です.双子プロデュースのホラー演出程度では無反応.怖くない理由が「見たことない」ってのはこれまた剛毅だ.ハニー先輩プロデュースの暗所&閉所恐怖はハルヒさんよりもハニー先輩の方が危険で…面堂ですか(笑)? モリ先輩の先端恐怖に至っては銛とモリをひっかけた地口なので怖くも面白くもない(苦笑).
日中どれだけ頑張っても結局弱点は見つからず,美少女で美少年で賢くて怖いものなしのハルヒはパーフェクト過ぎてヒロイン失格.パーフェクトなおバカさんである環が午後一杯かけて蛇をバケツ一杯集めるという小学生ぶりを示しているのとは大違いです(苦笑).しかもこの蛇,青大将にしては特徴的な模様があるし警戒音を出してるしここは沖縄だし…間違ってハブ集めちゃうあたりもさすがはキングオブバカであります.
ただし男前のハルヒさんは,あまりにも恐れを知らなすぎる.一緒に行動していたお客さんたちが悪いナンパ男たちに絡まれたのを救うため,ウニをぶつけたりして一人で頑張ってしまうのはまずい.うざい野郎どもに迷惑だと言い切るあたりは立派なんですが,どれだけ行動が正しくても,その正体はただの女子であるため海に追い詰められて…落とされてしまいました.
力及ばず海に落とされたハルヒを救ったのは,大事な娘の危機を見つけてすぐさま飛び込んだ環.気絶して沈む彼女を海中でしっかり助けて夕日の中から戻ってくるこのあたり,環が二枚目の本領を発揮しています.特に海中で助けるシーンでは,環の腕の動きが実に美しい.
暴漢に襲われ海に落とされ…けれどハルヒはちっとも恐れていない.明らかな力量差で負けてしまった上に下手すれば命の危機だってあったかもしれない状況でも脅えないハルヒの,ついに環が怒り出します.武道の達人でもない癖に女一人でなんとかできるだなんて思うなと,頭の上から本気で叱る環はギャグもナルも抜きで本気.たぶんハルヒに自分がどう見えるのかすら忘れているんじゃないかと思われます.
そしてそんな環を下から睨むハルヒもまた真剣.これまで一緒にやってきた仲間のはずなのに,自分が女だからって客を守るところでだけ特別扱いされても困る…ってのがハルヒさんの言い分かな.ゆえに迷惑は謝るけど間違ったことはしていない!と意地を張ってしまって決裂.「間違いを認めるまで,お前とは口をきかん!」と殿がとんでもない公約を打ち出して内戦状態に.…ただし,どれだけ殿が正しくても,殿が殿である限りあんまり勝ち目はない気はするな(苦笑).

後半.夜は鳳家の別荘で,潮干狩りの成果を生かしたカニパーティ.大量のカニを剥いて食うのは無口にはなりますが大変うれしいイベントであり,ついでにハルヒさんの私服は愛らしいピンクのドレスで幸せ倍増であるはずなのに,晩餐の雲行きは屋敷の外の天気のような嵐模様.…ホスト部の中心にいる2人が静かに大喧嘩している影響はかなり大きい.
ハルヒさん&ピンクのフリル.それは自称父である環の目から見れば特に可愛くて,普段ならすぐさま抱き着いてすりすりしてうざがられる状況なのですが(笑)今日は喧嘩しているので我慢しなけりゃなりません.…この喧嘩,普段からあまり構われたくないハルヒには大変有利で,逆に構いたくて仕方ない環には圧倒的に不利なんだよなぁ.
刺々しい空気の中でばきりぱきりとカニの関節を壊してすするハルヒの迫力は凄まじく.「このカニは,うまいカニ」だなんて似合わないダジャレの破壊力も抜群.負の感情のストレスを大食いで解消しようとするのは実に女性的で,何かを壊して解消しようとするのは実に男性的で.ともかく,このシーンのカニの映像は見事としか言いようがありません(笑).ぷりぷりしてるなぁ….
黙々とストレスを解消するハルヒに向かって,いくらなんでも食い過ぎと環がつい口出したのを刺々しく茶化すハルヒ.あまりにも腹を立てすぎて冷静に自分の行動を見返す余裕もなく,環の言葉に聞く耳を持たないハルヒの前から仕方なく環は退場.鏡夜もこれに付き合います.
怒りをぶつけるべき対象が目の前から消えれば,盛んに燃える怒りもやや収まるもので,ここでようやく,ハルヒさんには他人の言葉を聞く耳と冷静な頭が戻ってきます.自分の能力不足で怒られたのだと思い込んでいるハルヒの誤解を解いてくれたのは,環と同じように感じていた双子やハニー先輩たち.殿があれほど怒ったのは,力不足で迷惑を被ったからではないのです.
双子たち曰く,今日の行動については正直反省してほしい.…可愛いハルヒさんがかける迷惑ならば,正直どうってことはないわけですが,勝手に危険な目に遭われるのは大変に困ります.迷惑をかけたことではなく,皆を心配させてしまったことが問題なのだと優しく教えてくれるハニー先輩はあんな見た目だけどやっぱり先輩だ.環があれほど怒ったのは,本気で心配だったから….
ここまで聞いてようやく自分が何をしたのかを理解したハルヒは「ごめんなさい」とあっさり謝罪.部分的に融通は効かないものの実に可愛いこの娘.でも,皆でぎゅうとやったら中身が出ちゃう(笑).さっきたらふく腹に詰めたカニが内部から反乱を起こして洗面所直行.さらに,リバース対象を「もったいない」と称するなど,ヒロインの行動としては完全に失格しております(苦笑).
遠く雷鳴が鳴りはじめる中,駆け込んだ手近な洗面所は鏡夜の部屋.普段は最も理性的な彼ですが,フィルターとなる眼鏡のない目は野性的で尖った雰囲気を放っております.外の連中と違ってハルヒさんの心配はしていなかったという鏡夜.しかし双子の行動やお嬢さん方に対するアフターケアについてわざわざ報告してハルヒの反省を促そうとしているあたり,彼なりに心配して,そして腹を立てているに違いない(苦笑).
お嬢さん方へのお詫びの花代は計60万という大金.それは自分が持つと答えるハルヒに対し,鏡夜は部屋の電気を消した上にハルヒをベッドに押し倒す.その花代,体で払ってもいいと脅す鏡夜はいつもと違う.本作とは思えない程に暗く冷たい空気の中で,無防備なのはハルヒのミスだと上から言う鏡夜.…普通のお嬢さんならば身を堅くして動けなくなるか,あるいは無様に暴れるか…しかし,ハルヒは本当に男前です.
「鏡夜先輩はしませんよ」と黒くて大きな瞳で真っ直ぐに.しかもその理由も鏡夜にメリットがないからだなんて,自己卑下にも程がある言葉をさらっと言ってのける美少女.その言葉に感動したのかあきれ返ったのか,実際に鏡夜もそれ以上はしない.しかもこれは環へのフォローとして鏡夜が教育してくれているのだと解釈されちゃ,その信頼を破るわけにもいかない(苦笑).…実際は鏡夜にメリットがないというハルヒの解釈は大間違いで,むしろやっちまったことから発生するデメリットがメリットに及ぶかという問題.鏡夜の心次第でメリットはデメリットに打ち勝つわけですが,今のところ,ハルヒさんよりは殿たちとの友情の方が大切な御様子.
さて,あまりにもヤバげなこの状況で,鏡夜と入れ替わることになったのがなんと環! 暗い部屋に2人きり…って,お父さんには刺激の強すぎる状況にさすがに動揺しないほうがおかしいわけですが(苦笑),環の中では未だに喧嘩は続いていることもあってこの素晴らしい部屋を退場しようとしたところで響く雷鳴!
弱点をいくら探しても出てこない男前なハルヒのはずが,響く雷鳴に挙動不審となって環の裾を掴むわ箪笥の中に用事を見つけるわと異様な行動取りまくり(笑).「そんなところに用のある子はいません!」とボケがツッコまねばならないほどの動揺ぶりに,環はこれまで見えなかったものに気づきます.…雷鳴のなかのここからのシーンは今回の白眉.切なくて幸せな救いの姿が描かれます.
雷がダメで,しかもその状況をたった一人で常に乗り切ってきたハルヒ.頼れる者はいなくて当たり前だったから,助けを呼ばねばならないということすらわからなかった.別に男勝りに無茶をしていたわけではなくて,他人にどうやって頼ればいいのかすら知らなかったというハルヒの事情を知って…敗北を宣言する環.そしてこっちにこいよと箪笥に篭る娘を誘います.
響く雷鳴に背を押され,目の前の人の胸元に飛び込むハルヒ.あれば欲しかった救いの手に自分からしがみつくハルヒと,それを大らかに受け入れる環の姿がとても美しい.怖さから逃れるために抱きしめていいものをはじめて知って,ぎゅっと握る小さな手を背に,「これからは俺がいる」と誓う環.男前過ぎてヒロイン失格だったハルヒの悲しさが明らかになる素敵なシーン.やはり彼女こそが,本作の誇るヒロインなのです.

恐怖の雷が終わって月が出た頃,ようやくホスト部の皆が2人…というかハルヒさんの身を心配して部屋にやってきました.環相手じゃ間違いなんか起こりそうにもないという鏡夜の予想というか信頼を遥かに越える状況が扉の向こうに(笑)! …開けたらハルヒさんが目隠し状態.そういや本作って,環を持ち上げるだけ持ち上げておいて地の底に叩き落すフリーフォールだったなぁとここに来て思い出しました(苦笑).一応ハルヒさんを雷から守るための環の懸命な努力であったわけですが,SMで変態プレイで目隠しで「最低!」
こうして環の立場が地の底に埋まったままでエンディングへ.雷について他の誰にも話していないあたり,環のハルヒへの配慮はなかなか見上げたものであるわけですが,垂涎の生写真を手に入れるチャンスと引き換えにハルヒの弱点を守った優しさを当のハルヒが無視しちゃうってどういうことだ(苦笑).でも,あれはSMじゃないと環が必死であればあるほど面白いからまあいいや(笑).やっぱり高いところから落としてこそ殿だとつくづく納得しつつ,次回に続きます.

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桜蘭高校ホスト部#7

「見た目はロリショタ中身は…の巻」

日頃の接待疲れを癒すために鳳グループ所有の人工プールにやってきたホスト部.ただしハルヒだけは帰宅途中に強制連行だ.熱帯のジャングルを模したこのプール.いかにも金持ちの道楽らしく,巨大なドームの中に本場の動植物を持ち込んでいたりするのだが,運悪く発生した巨大な波に巻き込まれ,ハニー先輩がドーム内で行方不明になってしまう.ここは本場のワニも多数放し飼いしている危険施設.ゆえに,一刻も早く彼を探し出さねばならない.

今期放映中のアニメの中では特に安定していて,これなら土曜夕方にぶつけても勝てるんじゃねえかと思わせる「ホスト部」.こんな良いものをマニアだけのおもちゃにしておくのは大変にもったいないので,ぜひアニメにもマンガにもあまり興味のない方にこそ見ていただきたい…はずだったのに,今回は一般人と薄いマニアを置き去りにする濃いギャグが炸裂.まあ,わかんなんくても特に問題はないんだけど(苦笑).ネタ元探求に関してはテレビ版より映画版をお勧めしたい.あれは良いものですよ.
今回の渦の中心はハニー先輩とモリ先輩の見えざる一面.ホスト部のマスコット的存在に君臨しまくるハニー先輩の意外な本性とモリ先輩の可愛らしさが満載.また,前半の撃ち合いと終盤の私設警察のあたりは,映像面でも異様にノってるところも見所かな.

前半.夏まではまだ遠いはずなのに,今回はヤシの木そよぎ波の歌う南国ビーチにやってきたホスト部.ただし頭上には朧に格子が.これは夢でなく金持ちの道楽.金はあるけど時間のない金持ちが心を癒すための南海テーマパークであり,その中でハルヒさんは登場直後なのに即刻帰りたい.
鳳家が作ったオープン前のテーマパークを貸し切って遊ぶホスト部.美少年ホストの休日とか年中頭が休日の奴がほざいておりますが,普通の平日放課後から拉致られてきたハルヒはもう帰りたくてたまらない.人々の幸せを考えているというお題目が信じられない鳳グループの癒し系テーマパークも,ハルヒにはただのばかでかいストレスのようです.
今日の部活はお休みのホスト部.客はいないので素の自分を晒しても特に問題ないはずなのに,ハルヒさんは水着ではなくパーカー.一応ここに連れ込まれた直後,メイドさんたちに無理やり新作水着に着替えさせられていたはずなんですが,バカが恥ずかしい配慮をかましたがゆえのこの状態.…着せられた水着がヒモだったらその配慮も納得せねばならないところですが,実際にハルヒが着用したのはレトロなピンクのワンピース.大変その可愛らしいその格好を禁止したのは…自称父である環.たかが水着に真っ赤になって,「女の子がお肌を見せていいのは,お嫁にいくときだけだ」とパーカーを差し出すあんたが一番恥ずかしい(笑).もうすっかり親心の範疇からは外れているし,そもそも環は父でもなんでもないし.
てなわけで模造ビーチの片隅で,パーカー姿の我らのヒロインは無関心.水遊びならビニールプールで十分と断じるわけですが,当然のように庭にプールのある金持ちたちにはビニールプールがわからない(笑).エアボートと混同した上,ハルヒの思い込みとか庶民の知恵とか言って可哀想がる奴らが大変に不愉快です.
ただしその不愉快度は,奇妙な配慮で自分にパーカーを着せたバカの方が恐らくは上でしょう.本当はハルヒさんの水着を見て脳裏に焼き付けたいはずなのに,自分以外に見せたくないとパーカーを着せた環はむっつりで独占欲全開.ここまでやるその心境を「父心」と信じて疑ってないってんだから,この人ホントにバカだなぁ(笑).
さて,この巨大な人工物の中で実に愛らしいハルヒさん…ではなくハニー先輩.流れるプールで無意味に遊ぶ姿はとても最上級生には思えない.泳げるはずなのに腰にしっかりつけた浮き輪は「だって,この方が可愛いでしょ?」 なんとなく流されてしまう一堂ですが,超一流は雰囲気なんかに流されやしません.例の強力モーターをぶん回しつつ登場するれんげさん! 殿がハルヒさんにパーカーを着せたのは怪我の功名で大正解.これだけ神出鬼没だと,この先も一切油断できなさそうだ(苦笑).
しかもこの超一流のマニアときたら,腹にとんでもないネタを抱えてやってきました.横腹に描かれた模様だけで爆笑できたあなたのレベルはなかなかのもの.なんせあんだけアレだった作品をかなりの話数見続けてた根性があるってことですからね(笑).しかしこんなもんはわかるほうが異常なのであり,元ネタの本物の画像を見ても「久遠って誰」?となったあなたの方が圧倒的に正しい(苦笑).
何のコスプレかを問われて「らら」と答えるれんげさん.原作読者の大半を置きざりにするこの大サービスは,同時に坂本真綾いじめでもあるようなないような….そんなわけであれはコスプレなので肌をさらしても特に問題ないと殿は判断.…れんげはハルヒではないし,あんな妙なのと積極的に関わりたくないのは誰でも一緒か(苦笑).
視聴者を置き去りにすることすら恐れないれんげさんが解説するところによれば,ハニー先輩は恐ろしい.前回のやんちゃ系で揺らいだ立場を取り戻すべく,彼は無邪気に計算している.「だって,この方が可愛いでしょ?…僕が」…なんて恐ろしいショタ強化策! 流れるプールの逆行すらも高度な計算による天然ボケ偽装に見えてきて(笑)こいつはたしかにディープだ….
さて,いつまでも最上級生に怯えていてもつまらないので双子がウォーターガンで遊び始めます.ハルヒにちょっかいをかけることで環を誘いこんで水銃の撃ち合い.ここの3人の撃ちあう姿がさわやかでかっこいい.実に動きが面白いんだよなぁ.…しかし転がっていたバナナの皮によって物語は大幅に滑っていきます.滑った環が激突したトーテムポールはなぜか発光して何か巨大な機械が動き出し…大波が発生! とんでもないところに設置されていたスイッチを動かしてしまったために,遊んでいたハニー先輩が波に持っていかれた!
計算なのか天然なのかはともかく,小さなハニー先輩が行方不明で大変だ.残されたホスト部一同は早速追跡を開始しようとするものの,無駄に施設が本格的であったがために出鼻をくじかれまくり.…柵もなしにワニの放し飼いはヤバいだろ.うかつに踏み込むと命の危機って,どこが癒し系施設だよ(苦笑).しかもホスト部が施設のモルモットであることまで判明して,鏡夜はどこまで黒ければ気が済むのか….流されたハニー先輩までは恐らく800メートル.地図もない密林を越えてゆかねばなりません.

後半.折角プールに来たのにホスト部の活躍の舞台は密林へ.緑の奥から聞こえてくる声すらも本格的なジャングルに消えたハニー先輩の消息は? …つのる不安の中心にいるのはモリ先輩.寡黙で冷静で隙のなさそうな彼ですが,バナナの皮で滑って転ぶ程度に動揺.なんせモリ先輩にとってハニー先輩はイトコであると同時に主君.自分の家が仕えてきた家につい従ってしまうってのは,家柄を誇れる方々にはなんかいい話らしいです.庶民からすると,血で強制されるだなんて怖いしちょっと気の毒にすら聞こえるんだけどな(苦笑).
主君を大波で失ったモリ先輩は,スコールをしのぐ間もじっと外を見ています.その顔はいつもの無表情…のように見えますが,表面よりは中身を見抜くタイプであるハルヒには心配ぶりがよくわかり,「大丈夫ですよ」と気遣ってみます.でも意外と丈夫そうだしバナナもあるし…ってな続くフォローが実にざっくり(笑).モリ先輩は優しい上にざっくりなハルヒさんに微笑んで感謝し,その傍らで環がパニックに(笑).確かに環よりはモリ先輩の方が父っぽい感じはしますが,そんな小姑ポジションを目指す奴は殿だけだから安心しろよ….
人工の雨が上がり,モリ先輩は動物っぽく,臭いと野生のカンでハニー先輩のところへと勝手に移動開始.その行動に気づいたハルヒだけが密林行に同行することになります.もちろんこの無駄に本格的なジャングルは女の子が歩くのは危険なので,ハルヒを呼んで腕に抱えて連れて行くモリ先輩は優しい.…名前を呼んでもらえたことがうれしいハルヒさん.滅多に話さないからこそ,一言の価値が大きくなるんだよな.
さてその頃,モリ先輩たちがいないことに気づいていない鏡夜が,行方不明のハニー先輩を確保するためにプライベートポリスを動かしてしまったことによって事態がよりおかしな方向へ.このプライベートポリスっていうか特殊部隊の出動シーンがまた無駄に気合入ってるなぁ…(笑).鏡夜ときたら捜索ターゲット=小柄な少年としか伝えていないもんだから,誤ってモリ先輩とハルヒさんが発見されてしまったらでかい先輩は小柄な少年を捕まえる不審人物扱い.罪なき者が銃火器を装備した兵士どもに取り囲まれるという大ピンチ!
小柄な少年を確保しようと,プライベートポリスが無理やりハルヒの腕を掴んだことからはじまる大立ち回りの主役は…行方不明のはずのハニー先輩だ! 「タカシ! ハルちゃんどいて!」とターザンのように颯爽と登場するロリショタの大家は,恐ろしいほどに冴え渡る蹴りと投げで私設軍をさっぱりと片づけていく.小柄な体は筋力面では明らかに不利.しかし他人の力を綺麗に利用するハニー先輩は豪快な投げを連発して数秒で全滅.決め台詞は「僕の仲間をいじめたら,めっ!だよっ!」…いやそれめっ!ってレベルじゃねえよ…(苦笑).

かくしてホスト部は再び全員集合.流されたハニー先輩が自力で移動している気配をモリ先輩は正確に把握していたようで,臣下の血って凄いなぁ(笑).そして判明するハルヒの知らない2人の真実.ハニー先輩は武道の名門はじまって以来の猛者であり,中等部で空手と柔道で全国制覇.さらにモリ先輩も中等部で剣道全国チャンピオン.…モリ先輩はまあわかるとして,ロリショタのはずのハニー先輩の超武闘派な正体が意外すぎ(苦笑).あの体格でそこまで上り詰めたとなると,彼の天性の格闘才能は凄まじいはず.
その猛者に大汗垂らして平伏するのはさっき倒したプライベートポリスたち.こいつらは埴之塚の門下生であり,ハニー先輩と手合わせしただけで名誉になるって天位でももらえそうな勢いだ(笑).しかしそれ以上に凄いのは,実は精神的にはハニー先輩がモリ先輩の保護者であるところでしょう(笑).可愛いだけのはずのウサギがライオンどもすら倒すほど強く,しかも大きな熊を従えているってのはディープ過ぎる….そしてロリショタ強化週間的には完璧に失敗している気がする…(笑).
ディープな事実が明らかになったプール遊びも夕方にはお開き.次は本物の海に行こうという話に,意外にもハルヒさんが乗ってきます.ごく普通の庶民で本質を見る性質のハルヒさんは,このプールのようなあからさまな人工物はダメ.けれど海は自然だから,きれいなので好き.…上辺ではなく中身を見る彼女に認められるってことは,本当に凄いことなんだろうなぁとか思いつつ,次回に続きます.

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桜蘭高校ホスト部#6

「学び鍛えて師匠を越えろの巻」

ホストとして女の子を喜ばせる方法を学びたいと,初等部の少年,鷹凰子嗣郎が一応キングである環に弟子入りを志願してきた.ハニー先輩と違い本当に幼い彼は,子供の無垢な目と遠慮のない舌で部の営業を妨害しまくる.けれど一刻も速く女の子を喜ばせたいという強い気持ちに嘘はない.既にホスト部にはハニー先輩というショタの大家はいるものの,少年はそのキャラからしてやんちゃ系で行くがよろしかろうと大騒ぎするホスト部に少年は幻滅.これであいつが喜ぶわけがないと部を逃げ出してしまう.

毎度ハイレベルな大騒ぎを繰り広げ,きちんとできていて当たり前という状況に突入しつつある「ホスト部」.スタートからラストまで一定以上の品質を保つことは滅多にできることではなく,さすがにやや息切れしてきた今ですらもこの品質ってのは驚異的.実にいいもん見せてもらってますよ.
独特で憎めないキャラ設定や,美麗な作画に冴えた演出…と本作を褒める言葉はいろいろありますが,今回は声優の面で聞き所満載.ゲスト,やんちゃ系の少年にキャスティングされた竹内氏の演技が凄い.今でこそ女性キャラも目立ってますが元々は活発な少年役の大家.しかも最も得意とするきかん坊で一本気な少年ではなく,気は強いけれど初々しさと品の良さを感じられる少年の演技が素晴らしい.特に不自然さを感じさせないたどたどしさの表現は必聴です.

前半.今回のゲストとなる初等部の嗣郎少年.顧問教師に見込まれるほどのピアノの才能の持ち主のようですが,時間がないらしい彼は今すぐ何かをなんとかしたい様子.将来女にもてるのでは回りくどくて間に合わないって,なんだってこんな幼いのに生き急いでいるかについてはこの先で明らかになっていきます.…そんな作品じゃないと知っていても,音楽室に少年と教師が2人きりって無駄にどきどきしますな(笑).
彼が目指したのはあの南校舎の最上階,使われてない音楽室…今日はアラビアの王宮仕様のおなじみホスト部! 視聴者的にはこの少年の選択は間違っているとしか思えないわけですが(笑)嗣郎少年は環のことをキングと読んでみたり弟子入り志願してみたりと間違い放題.環はキングというよりは殿だし,殿と言うよりはバカ殿なのに….
てなわけで環には謎のお弟子ができたものの,この弟子がびっくりするほどできてない.師匠である環の接客だけでなくホスト部全体の営業を妨害しまくり.環が接客しているお嬢さんのことを鮒呼ばわりって,唇が個性的なチャーミングなお嬢さんに少年,それはないだろう(笑).でも露骨に持ち上げまくっていた環が釣られて墓穴を掘ってるのがなお悪い(苦笑).「子どもは素直」とか「仮に鮒だとしてもそれは美しい鮒で…」とかはちっともフォローになってねえ.環自身の本質が実に天真爛漫で正直なのが悪い方に転がってます.まあ,この程度の転がりはいつもですけどね!
純真でストレートな少年からすればホスト部は魔窟.絶好調で美形兄弟ホモ芸を披露中のキンカンヨーカンな双子,初等部の癖になぜか高等部の制服を着て,でかい高等部の仲間を連れている奴,そしてオカマ.…ハニー先輩とハルヒさんがその外見と真実によって著しく誤解されております(苦笑).少年,ハルヒさんは状況的にはオカマとは逆ベクトルの存在だよ….
少年の目は純真で,少年の魂は純粋で,その魂のままに行動する彼は接客業には明らかに向いてない.預けられた食器セットをいきなり落としてその罪を詫びようともしない上に,10万の損失を食らわせたハルヒをけなす彼はあまりにもひどく,さすがの師匠も怒りました.…恐らく弟子入りしてから1時間程度の話じゃないかと思いますが,それだけの時間で牢に入れられるような嗣郎少年を弟子に取った環はさすがです(笑).
天井から降りてくる檻のことはまあ金持ちの道楽とスルーするとして,あっと言う間に嗣郎少年を見損なった環師匠.環が彼を認められるのはキングと呼んでくれること…ではなくてホストになりたいという熱意のみ.檻の中でホストになりたいと絶叫し「時間がないんだよぅ…教えてくれよぅ…」と弱音を吐く少年.竹内氏のこのあたりの言いっぷりが実にいい感じです.
女の子を喜ばせるためならばあの環のことを「天才」と呼ぶことすら厭わない捨て身の嗣郎少年の態度に環の心はまたもぐらぐら.普段,仲間からはまったく褒められていないがゆえの誉められることへの飢えっぷりがおかしい…(笑).その本気を認めた環はお前は俺に似ていると嗣郎少年に対し失礼なことを言い,女を喜ばせることができないホストはホストではないと,少年ホスト再建計画を実行します.
女性を喜ばせるためにはまず自分が輝かねばなりません.そして自分を輝かせるには,自身の資質を十二分に生かさねばならないのです.現在のホスト部は王子,ワイルド,ロリショタ,小悪魔,クール,優等生天然と完璧な布陣を誇るわけですが,ここに少年をどう加えるかが問題.なんせショタ席にはハニー先輩(最上級生)が鎮座してますんで,ここに少年を足すのはかぶるよなぁと常識的な判断を下す一同のところに出現する,ホスト部の誇る強力モーター!
せり上がりが設置されていることについては金持ちの道楽とスルーすることにして,マニアなかえでさんは一同のキャラ分析の鈍さをばっさりと斬る.ショタは年代あるいは容姿の嗜好を示すだけのアバウトな定義であり,そこに性格その他のサブタイプが加わることでより詳細に分類することができます.ハニー先輩はロリショタの王道だが,少年が属すのはやんちゃ系!
やんちゃの基本は半ズボンと膝や頬に傷.そして走って豪快に転んで「別に…どうってことない」と強がってみせる仕草.よく正統派のロリショタとコンビを組まされ時にはカップリングされる対の典型で,確かに今のホスト部にはいない.少年の演技っぷりにパーフェクツ!とれんげが哄笑するという状況の狂いっぷりに,この人たちは阿呆だと今更気がついた嗣郎少年はついに魔窟より逃走….気になるのはなんで彼があれほど一生懸命だったのか.喜ばせたかったアイツって誰?

後半.魔窟から逃走した弟子の事情を調べるべく,ホスト部はその総力をあげて初等部に潜入することに.まあ,ロリショタのハニー先輩が選抜されるのは予定調和なわけですが,ハルヒさんに中等部の女子制服を着せて潜入させてどうしようってのか…って,もちろんハルヒさんの可愛い姿を見るためだけの意図しかない(苦笑).高等部から入ってきた上に普段は男子制服のハルヒさんの幻の過去の姿を捏造してみたかった男心はわからないでもないですが,当人にとってはいい迷惑.
というわけでホスト部一同揃って初等部に侵入.特殊潜入舞台の意義がなくなったところで先生来襲! あわてて隠れざわめく一同に向かって「お口にチャック!」と動作つきで諌めるハルヒが可愛らしいなぁ(笑).このざっくりした彼女の子ども時代は一体どんな姿だったのやら….さらに重要な物証を発見したのは鏡夜.ピアノの連弾をする笑顔の嗣郎少年と見知らぬ少女の写真を見つけたあとは,もう後半なのであっさりと少年の事情が明らかになります.
嗣郎少年の意中の人はあの少女,神城雛.彼女の奏でるピアノの音色をじっと目を閉じて味わっているあたり,片思い街道を探索中のご様子.しかも初等部生徒の証言によれば彼女はもうじきドイツへと引越しの予定.1話完結なのであんまりひねってはおりません.嗣郎少年が雛嬢のために魔窟に踏み込んだことは明らかで….事情のバレた嗣郎少年を肩に担ぎ上げて持って行く環師匠.彼には教育が必要です.
個人的な事情を探られた少年はもちろん怒るわけですが,状況を把握した環師匠は「馬鹿はお前だ!」と一喝.彼女を喜ばせたいという気持ちは間違っていないものの,ここで学べるのは不特定多数のお嬢さんを喜ばせる方法と先輩たちの変態ぶりだけ.少年が今すぐに学ばねばならないのはたった一人を喜ばせる何か.ホストとしてではなく,一人の男として向き合うための何か!「お前が目指すのは,一人前のホストじゃなくて,一人前の男だろう…!」…音楽が無駄に高尚で盛り上がり最高潮.作品ぐるみで説教をぶちかます環を持ち上げまくりです.
もう時間がないってのに既にあきらめムードの嗣郎少年.けれど今更彼女のピアノを聴いたって,少年本人はともかく彼女の心がどうなるってもんでもないから…環が出したのがグランドピアノ.一応音楽室だからピアノがあるのは当然です(笑).しかも華麗に弾きこなしてみせるあたりがさすがはキング.普段はうざくて面白すぎるオバカさんでおもちゃな彼ですが,総合的なスペックはホスト部内では最も優れていそうだ.…少年が好きなのは聞くだけのピアノではなくピアノを弾く彼女の笑顔.ゆえに少年は師匠から学ばねばなりません.彼女と一緒に弾くための連弾曲を!

1週間後.ホスト部の総力を結集し,神城雛嬢のためだけに準備された特別な音楽会.もちろんメインは1週間の修行の果てに雛嬢の隣に座れるようになった嗣郎少年.まだ幼い2人のハーモニーは美しく響き,別れる直前で2人は結びついたのでありました.…弟子の一途に人を恋うところは自分も似ているのだと環は主張し,ハルヒさんにいいとこを見せまくったあたりがきっと頂点! そして! ここまで徹底して持ち上げたからには一気に落とさねばなりません(笑)!
環の特訓により雛嬢とうまくいったはずなのに,なんとホスト部に居ついてしまった嗣郎少年! しかも師匠の客も根こそぎ奪う極悪ぶり! あの師匠にしてこの弟子あり.「あんたほんとにそれでもホストキング?」とか言われてしまうわハルヒにも見損なわれるわと環は毎度ながら悲惨なことに(苦笑).…どこまでも持ち上げられる能力と,どこまでも落とせる上に落としてもあんまり可哀想でなく面白いという性格を兼ね備えた環は,コメディの主役としては大変に魅力的なキャラクターだと思いつつ,次回に続きます.

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桜蘭高校ホスト部#5

「相似な双子の絶好の絶交の巻」

ホスト部では禁断の双子ホモを売りとする常陸院光・馨兄弟.自分たち以外の人間のことをおもちゃ程度にしか思っていない彼らは,他人の顔を勝手にアイコラの材料にするような傍若無人ぶりでおなじみだ.しかし光と馨を的確に区別できるハルヒのうかつな一言をきっかけに,異様に激しい兄弟喧嘩をはじめてしまう.

性格的に問題がある美形どもが毎度大騒ぎしている「ホスト部」.今回の主役は派手な問題児である双子たち.冷笑的で皮肉屋で愉快犯な彼らがプロデュースした今回は,ぜひともオチを知らない状態で見たいもの.きっと原作未読者は大変楽しかったに違いない….いや,知ってても十二分に面白かったですけどね(笑).
原作つきアニメの常として,原作の改変の是非がよく取り沙汰されるものですが,自分は積極的に冒険してくれる方が好み.そもそもメディアが違うし,介在する人数も違うし,何よりも作り手たちの頭にあるものが違う.原作数巻分の知識がある状態で初期の話を作り直したら,恐らく原作者であっても違う話に変えるに決まっているからなぁ(笑).どんなに似ていてもどこかが違うからこそ,それぞれを別のものとして見る楽しみが生まれるのです.

前半.髪の分け目と声優以外はまさに瓜二つな常陸院の双子.あまりに似過ぎて区別できない彼らが好きなのは,2人を見分けるゲームを仕掛けて困る相手を眺めること.それは彼らが世界に2人きりだと思い知った頃から続くゲームで,今もホスト部の定番として楽しまれております.見分けて欲しいという無言の叫びから生まれたようなゲームなのに,これまた随分と軽い扱いがされているなぁ(苦笑).
ホスト部では環に次ぐサービス精神の発揮ぶりによって大人気の双子.美形でホモな上に双子でタブー.さらにそんな2人に同時に愛されるという大サービスはまさに究極のロマンス.…ええと,確か「CIPHER」って掲載紙どこだったっけなぁ(笑)? ともかくこれは乙女の腐った夢なわけですが,腐ってないハルヒにはその良さがちっともわからない.
客でないハルヒがよく知っているのは,愉快犯ではた迷惑な双子のダークサイド.他人の顔をアイコラの材料にして全世界に公開した上に欠片も後悔しないってのは,倫理面に激しく問題のあるいい証拠.…環,いくら画像がよく出来ていても,ハルヒさんが大トロ目当てに脱いだストーリーを勝手につくって抗議するのはご当人に大変失礼だ.お前の頭の中ではハルヒさんはうまいもののためならばなんでもやるのか(苦笑)?
他人の顔を勝手に材料にして遊ぶ双子も最低だし,ついでにアイドル写真集と合成させようとしたり可愛い洋服を持ち歩く環も最低で(笑)好き勝手にいじられるハルヒは怒り,人を何だと思ってると叱ったら返答は「おもちゃ」.自分たち以外の全ては暇つぶしの材料.2人をセット扱いするような目の腐った連中とまともに付き合う必要はないと,本気で思っているのでしょう.…ここで話に混じってくるのが黒魔術部部長の猫澤先輩.ホスト部がある時点でこの学校はどうかしているわけですが,黒魔術部もアレだなぁ.
見るからに不審で明るいところがダメな猫澤先輩を異様に恐れている環.根拠は昨年度末の試験で起きた猫人形の呪い…実際は教室間違いとかマラソン大会だったりするあたりが実に殿らしい….性格はともかくスペック的にはパーフェクトに近い環ですが,習ってないギリシャ語まではわからなかったご様子です.てなわけで恐ろしい猫澤先輩が本日ご紹介するのが呪いのベルゼネフ人形.背中に嫌いな人間の名前を書くと不幸になるという逸品です.
しかし環がどれほど無駄に恐れても,双子からすれば猫澤先輩もただの人.光を嫌がる彼に懐中電灯で嫌がらせして退散させる傍若無人ぶりに巻き込まれる環がちょっぴり気の毒な気もしなくはないですが,距離を取れば巻き込まれずに済むはずなのに,わざわざ双子に近づいてひどい目に遭ってるわけだから自業自得か(笑).あんまり危険回避の本能とか動いてなさそうなタイプだもんなぁ.
さて,双子にとっては新入りのハルヒさんは目下注目の新品のおもちゃ.さらにいじり倒すべくハルヒの家に行きたいとお願いするも,馬鹿にするから絶対にだめとハルヒは拒否.ついでに環が自宅に来るのもお断り(笑).ここで双子が提案するのが冒頭のゲーム.どっちが光か当てられなかったら家庭訪問!という状況でハルヒは即座に正解を選びます.「良く似てるけどやっぱり違う」と双子の揺さぶりにもまったく心が揺れない.…解いて欲しいけれど解けないはずの2人の謎かけ.それを突破する者がついに出現してしまったのです.
瓜二つの双子を見分けるポイントは見た目ではなくその中身.光は馨より1割増し性格悪いというハルヒ流の判別のコツは実に深い.見た目の印象で区別しているわけではなくて,2人の動きをしばし見守った上で判別しているんじゃなかろうか.いつも2人の世界の中から周囲を観察するばかりの双子だけれど,ハルヒはそんな2人をきちんと観察していたってことになります.…まあ,そのポイントが実に身も蓋もないのがハルヒさんらしいですが(笑).
あまりにも的確な指摘に馨が笑うから,光は自分よりも馨の方が底意地が悪いと抗議.馨は光に付き合っているだけだと反論し,光は掘り下げているのは馨だと再反論! …光がきっかけをつくって馨が盛り上げるというのが双子の基本コンビネーションのようですが,今日は悪巧みではなく口喧嘩の炎が燃え盛る.さらにここでハルヒさんが喧嘩のネタとなったため,第3者の殿が2人の間に巻き込まれます.…おもちゃとか言いながら,光は本当はハルヒのこと好きなんじゃないの?
下から見上げて天井が中央に来るアオリの構図.双子はその角から顔だけ出して,空間を大変贅沢に使っています.で,たっぷり開いた中央部に動揺する環のアップがひょこひょこ出て来るのが面白くてたまらない(笑).ハルヒを好きかどうかあるいは豆狸であるかどうかを巡って争う3人の姿は,強力な腐女子モーターを搭載したマネージャーの大好物でご飯3杯行けるとか.ああもうなんでもいいからお前はさっさとフランスに帰れ(苦笑).
どうも普段は添い寝までしているらしい双子の口喧嘩はどんどん小学生みたいな方向へ.馨は数学が弱くて光は語学に弱いんですな.歯軋り,寝相,エロガッパに変態,そして辿りついた「お前の母さん厚化粧!」…それ,同じ人だよ….てなわけでここより双子は絶交を開始することに.

後半.翌日から本格的に絶交を開始した常陸院の双子.まずは形から入るということで,光はピンク,馨は水色に髪を染めて登校.どっちも派手でクールで可愛いわけですが,当人たちは互いの色が気に食わないからハルヒを挟んで喧嘩….頭上で飛んでるものの中にハニー先輩のうさちゃんが混ざってる.一応心配して見にきたんじゃないかと思うけど,これまた無駄に巻き込まれているなぁ.
双子の喧嘩は昼食だってもちろん続行.豪華極まる桜蘭の食堂はきっと充実した品揃えのはずなのに,双子が選ぶのは不本意にもどこまでも同じで「真似すんなー!」…人目につくところで喧嘩で目立つのはホスト部にとってとんだネガティブキャンペーン.他の部員たちも困ってしまうのです.でもハニー先輩は混ざっちゃダメだ.喧嘩の仲裁には愛らしいのは迷惑.途方もなくうざい…(苦笑).
双子が心配でついてきたハルヒさんは食堂でお弁当.定食を頼めるような金はない.しかし金を出せば買える定食よりも,ハルヒさん手作りのお弁当の方が貴重.なんせ環に至っては,弁当箱を見ただけで愛妻ハート弁当妄想が溢れてくるほどの逸品.…どんなに恥ずかしくても喰うといいきる君が一番恥ずかしいよ(苦笑).馬鹿が一人で悶えている横で漁夫の利を得たのは光ではなくハルヒ.自分の弁当と強制トレードされた光の定食は,ハルヒにとっては究極かつ至高であったご様子.あの淡白なハルヒの背景が異様にきらきらするくらいなんだから,そりゃうまかったんだろうなぁ….
ハルヒの弁当が欲しくて光にちょっかいをかける環.その隙に今度は馨がハルヒにちょっかいをかけると気づいた光が噛み付いた.ハルヒに向けて差し出されたスプーンで釣れたのは光.そして豆狸挟んでまた喧嘩….とりあえず何でも投げつけるのが双子の喧嘩の方法のようですが,殴ったりつかみ合ったりしないのは触れ合えばなし崩しにべたべたしてしまうと知っているからなのか? そして殿の顔面は実に使い勝手のいい盾です.喧嘩の下から早々に離脱するハルヒさん.いくら美味でも諸先輩方を巻き込んだ投げあいの下では食えないよなぁ.
双子のド派手な喧嘩キャンペーンは部にとって大きなマイナス.その深刻さは番頭の鏡夜が失言したハルヒにわかりやすいイヤミをぶつけてくるほどで…(笑).ここまで派手な双子の喧嘩はホスト部にとって初の体験.幼い頃からずっと2人きりの世界に耽溺してきた二人が,それぞれに主張して喧嘩するのは2人の世界の広がりを示す良い傾向? まあ,若い兄弟喧嘩なんて仔犬がじゃれるようなもんだから放っておけばいいようなものですが,ハルヒさんだけは女の子…というよりは保護者のように,2人が引き際をわきまえていないのではないかと心配しています.
えらく天井の高い音楽室にうず高く詰まれた双子の喧嘩の跡.モノの投げ合いに飽きたのか,馨がついに持ち出したのが黒魔術部謹製の呪い人形,最終兵器ベルゼネフ.…そして,どっちも折れずにとうとう呪いとか持ち出した常陸院の二人に,可憐な怒りの鉄拳が下ります!
「いいかげんにしろ!」と本気で2人を叱りだしたハルヒ.喧嘩に呪いなんか持ち込むな2人とも悪いし回りに迷惑かけるのはもっと悪いから仲直りしろと激しい正論アタックが2人を連打.そして…「今すぐ仲直りしないと,一生うちになんか遊びに来させないからね!」 …これぞお母さんチックなヒロインの決め台詞である上に,涙目の双子がひたすら待っていた終末の言葉.それじゃ仲直りしたら遊びに行っていいんだね?と笑う2人は…これまでが嘘のように過剰に仲良し.つうか本当に嘘.底意地の悪い2人の長いお芝居は,他のホスト部一同を心底ぐったりとさせたのでありました.

暇な双子にとっては周囲の全てはおもちゃ.それが同じ部員だろうとまったく容赦をしないのが双子が双子たる所以.世界が自分たちを区別してくれないんだから,自分たちも世界を区別しなくたっていいわけです.特にハルヒは環とセットにすると実に愉快なおもちゃの1つなんだから,ぜひともおもちゃ箱の中に押し込めておきたいんだけれど,このおもちゃは箱の中からまたも転がり出てきます.
過剰な仲良しに戻った常陸院兄弟ですが,髪の毛は染めたまま.けれどハルヒは見た目に騙されてくれません.髪色を取り替えてきていることをあっさり指摘する彼女の存在に,目を奪われてしまう光と,そんな光を見ている馨.おもちゃのはずのハルヒはそれぞれ別の存在として2人を見ている.そしてハルヒの存在によって,同じ方向を見ていた2人も違うものを見ることになります.これは2人きりの世界を理解してくる者が出現した喜び? それとも2人きりの世界が壊れることの恐れ? 真っ直ぐ甘い乙女の夢展開に持ち込むこともできそうだけど…ハルヒさんに殿がくっついている限りやっぱし無理かー(笑).次回に続きます.

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桜蘭高校ホスト部#4

「ホントはとっても魅力的の巻」

女性向け恋愛ゲーム「うきどきメモリアル」の熱狂的マニアの宝積寺れんげ.彼女は鏡夜の容姿が大好きなキャラクターにそっくりであったために一目惚れし,ホスト部に押しかけた上に無理やりマネージャーに就任してしまう.れんげに言わせれば,鏡夜以外のホスト部の面々のキャラはぬるくて陰がない.今のバカみたいなノリでは飽きられるのは時間の問題という名目で,れんげが一同に新しいキャラ設定を強制的に与えるのだった

大変な高品質のままで深夜を驀進中の「ホスト部」.スタートダッシュの勢いを殺さずそのままに走っていく様子を見るのは実に気持ちのいいものです.本作の演出は毎度素晴らしいんですが,作画の力の入れ方も尋常じゃありません.和服柄の動きに合わせた適切な移動や,れんげさんのぐるぐる回りこみなどの難易度の高い映像がふんだんに盛り込まれて凄い.中でも素晴らしかったのがあのゲーム画面の加工.アニメよりもずっと柔らかで静的な描線と彩色.さらにモニター画面に見せるための加工.その妥協のなさは素晴らしすぎて,なんでここまでやるのかとむしろ呆れてしまう(苦笑).

前半.女性向け恋愛ゲームオタクのれんげお嬢様はパリまで来てひきこもってゲーム.親の育児方針と本人の資質が変な具合に化学反応を起こしたらしく,思い通りにのびのびと生きさせたらなんか凄い方向にすくすくと行ってしまったらしくて親御さんにはお気の毒.さらに父がれんげさんに取引先一家の写真を見せたことによって,彼女の暴走は室内の架空の世界から現実の日本へと大飛躍! 一体どこからジャンボ飛ばしてるんだろう…(苦笑).
まさか凄いのがパリから来ているとは知らないホスト部は,今日もいつものように営業中.本日のテーマは双子の母がデザインした和装と美少年の涙.思い込みの激しい環はきらきらと涙を流してお嬢様方を魅了し,双子たちは禁断の兄弟ホモに今日も勤しむ.ただしハルヒさんからすれば「またバカやってる」程度の感慨しか沸かなくなってるあたり,この味の濃すぎる娯楽にもすっかり慣れてしまったみたいですね(苦笑).
ホストとしてモノになってきたハルヒを励ますように脅すのはどう見ても悪代官な鏡夜.彼が気にしているのはホスト部関連グッズの薄さ.各種の関連商品で濃いファンから根こそぎ巻き上げるというのはこういう商売の定石だけど,素人の隠し撮りを集めた写真集じゃ主力商品としてはちと弱い….毎度の豪華な衣装や内装やイベントを維持するためには,鏡夜のマネージメントが不可欠のようです.
草履をかたっぽ失くして泣き,モリ先輩に履かせてもらうハニー先輩.ともかくよく泣いている今回のホスト部ですが,双子の袂からこぼれたのは目薬.濡れた瞳によろめかない女はいないからこそ涙だって小道具の一つ.ただしそんな小道具に頼るようではまだまだ修行が足りない.ろくな技術も涙もないハルヒの場合は,可愛い和菓子を母の仏前に供えたいという普通の行動でお嬢さんたちもろとも殿まで倒してしまうあたり,さすがは天然,テクいらず(笑).逆に目薬なしでも泣ける完璧なホストぶりの環はちっともハルヒの心を攻略できず,恋は一方通行.…たぶんハルヒにアピールするには,「にゃ」とか言っちゃうそのバカ殿ぶりをまずなんとかするべきですよ?
さて,そんなバカどもを覗いているのがパリから飛んできた変態,れんげさん.新しい客と誤解して双子や環が勧誘するわけですが,折角の美貌に張り手をぶちかまして「触らないでこの偽者!」とか言ってしまう剛の者ぶりが凄まじい(笑).確かにこの部であのアホが一番人気であるという現状は視聴者も割と信じられないところだし,愛の安売りでバカでナルシストで無能ってのも真実だとは思いますが,彼は王子キャラではなくバカ王子なのだし,凡人で最低は明らかに事実に反していると思います.環は一人スローモーションで爆沈.お気の毒(苦笑).
ただ愛のために1-Aに編入してきた宝積寺れんげは,なんと鏡夜の許嫁? 環はさっきのショックと鏡夜の婚約者の出現に落ち込んでおります.…ちなみに部内の家族設定の方は,この先もずっと引っ張られることになるはずです(笑).不思議なのは鏡夜のやさしい面を見て惚れたというれんげの言葉.誰にでも優しく決して見返りを求めず孤独を愛して寂しがりや…なんて奴は鏡夜ではないというのがホスト部の統一見解.そいつは誰かと思ったら,たまたま鏡夜にそっくりな,ゲーム「うきどきメモリアル」の一条雅君のことですか….オタが来た!と環と双子が即座に反応してますね(苦笑).
鏡夜が正確に理解した現状は,こいつはキャラ萌えが嵩じて見た目そっくりの自分にキャラを当てはめて押しかけた妄想の虜であるということ.もちろん奴の台詞は全て妄想なので現実には許嫁なんかじゃありません.この短期間でしっかり鏡夜周辺を調査してきたらしいみやびは,勝手にホスト部の看板娘としてマネージャーに就任.そして計算高い鏡夜の判断によって,ホスト部に変な女子マネが誕生してしまったのであります.
さて翌日.体育座りでよく落ち込む割に即座に立ち直る我らの殿は,女子マネも悪くないかといきなり前向きに.ハルヒと彼女を友達にすれば,ハルヒのざっくりぶりが少しは改善されるかも….確かに双子と一緒にいるよりは乙女っぽくなるかもしれないけれど,影響が強すぎて同じ趣味に引きずり込まれたらどうするつもりだこの偽王子(苦笑).
女子マネージャーらしくクッキーなど焼いてきたれんげ.ちょいと焦がして苦いクッキーは,甘いのが大好きなハニー先輩には不評.しかしそれほど甘いのが好きでないハルヒには香ばしくてそんなに悪くない…とかやっているときにちょっかいを出してくるのが双子.クッキーをハルヒに咥えさせてそれをかじってみたり,頬のクッキー粉を舐めてみたり….並みの乙女ならばメロメロあるいは真っ赤になって拒否するところですが,割に自然に受け入れた上に軽く流してしまうハルヒさんの少年っぷりはすっかり堂に入ったもの.環の想う乙女としては「お前のリアクションは間違っています!」(笑).
能天気で騒がしくて本能のままに行動しているホスト部一同.しかしそんな彼らに対し「総じてキャラがぬるい!」と言い放つれんげ嬢.…なんで漫画新人賞の審査員コメントみたいなことを言われなければならないのかはよくわかりませんが,どうやら彼らには陰が足りないらしい.本作はラブコメなんだから無理にトラウマなんかなくったっていいし,むしろこのバカみたいなノリこそ武器なんですが….まあ,何はともあれ新キャラ設定を導入することになります.
愛らしいハニー先輩には「可愛い顔して実は鬼畜!」寡黙な付き人のモリ先輩は「幼なじみの子分」,双子の「二人きりの世界!」はなんかいつものままのような….ハルヒには「激しいイジメ!」そして殿には「孤独な王子!!」…ラストが一番食い合わせが悪いよ…(笑).ちなみに鏡夜はそのままでいいらしい.今更キャラ変更なんて迷惑以外の何者でもないけれど,なんか妙に殿が乗り気になってしまったのでもはや誰にも止められない.「面白いことになるよ.たぶんね」という鏡夜の黒い言葉が,後半に現実となって炸裂するのです.

後半はいきなり上下黒フチつきでお届けします.バスケットにきらきらと勤しむ双子は馨が怪我して精神感応でお互い痛がって,そんな2人の関係を孤独な王子は雨の中でうらやましがる.こういうのがすれ違い傷つけあう少年たちの交差らしいですが,奴らの本性をよく知っていると気持ちが悪くてなりません(苦笑).さらに雨の中,ハルヒを襲うハニー先輩とモリ先輩の魔手.ブラックハニーは実に高飛車にハルヒを追い詰め,ついでにモリ先輩は先輩とは思えないほどに長い台詞を喋り(笑)…しかし,ハニー先輩は根性なし.いくら演技であったとしても,ハルヒさんに悪口なんかやっぱり言いたくないのです.
てなわけで,キャラ変更話がなぜかハリウッド監督を呼んで大規模な映画撮影になっているのはなぜだろう.原作者先生,作中でハリウッド映画化おめでとうございます(笑).金と権力を持ったマニアというのは実に厄介なもので,その性質の悪さは怪獣映画を国費で作ったあの人とかに代表されるところではないかと思いますが(苦笑),どうもれんげさんは豪華なスタッフを揃えて実写でうきメモを作るつもりのご様子.ちなみに双子は馨攻めという設定がご不満らしいですが,そっちの知識がないハルヒには何のことだかわかってない.…双子はなんでそんなに詳しいんだろう.ホスト部での役作りのために各種資料を取り寄せて研究したりしてるのか?
撮影の合間,まるで懐いた仔犬のようにハルヒのところに走ってくる環.ご本人は自分の新たな一面が開拓できたと上機嫌なんですが,ハルヒは今のままでいいと思うと回答.もちろん雨に濡れて変に陶酔している面倒くさい奴よりは,晴天の下で天真爛漫なバカの方がマシって話なんですが,そんな真意を知らない環はとってもうれしそう.…やっぱりヒロインはこの人がいいよ.絶対(笑).
残る撮影は終盤のクライマックス部分.悪役の登場によってばらばらの一同が団結していく様を描いていく段階となり,急遽キャスティングされたのが本校在籍のジャパニーズマフィアのご子息たち.…あまりにもそのまんまな配役を本人たちの前で主張するれんげ嬢は考えなしであり,不興を買って突き飛ばされても仕方のないところ.しかし飛ばされた先には機材などが.これはまずいと,ハルヒがその体でれんげをかばいます!
痛みを堪えつつもれんげの過ちを正し,「枠で人を計ってたら本当に大切なものが何も見えなくなるよ」と語る男前なハルヒ.あわてて駆けつけた環が見たのは,そんなハルヒの大粒の涙….ここで殿が豹変していきなり巻き込まれたご子息たちを脅しにかかるのが勇ましい.普段はひたすらおちゃらけてますが,ここぞという時には真剣になってくれるところは,変なキャラいじりよりもずっとハルヒさんにアピールできるんじゃないかと思います.
事態は誤解であり悪いエキストラは逃げたものの,環はまだ泣いているハルヒが心配でたまらない.でもこの涙は実はコンタクトがずれた痛み…ってことは,さっきの殿の大変真剣な表情も威嚇っぷりもあんまりハルヒさんには見えていなかったってことだよな(苦笑).ともかく大事がなくてよかったと環は笑い,ここまでの流れがあまりにも素晴らしかったのでれんげは感動し…けれどこの撮影は,鏡夜の石を握った拳によって中断されます.

カメラのレンズを割って撮影を中断させた鏡夜.部員の暴力行為は残せないとお怒りの彼は,これまでかぶっていた猫をかなぐり捨ててその本性を示します.それはれんげが憧れていた優しいゲームの彼ではなく,腹黒く冷血で計算高い(笑)鳳鏡夜….それはれんげの望む彼ではないかもしれないけれど,そもそも優しい鏡夜なんて鏡夜じゃない.想っているのと違うからこそ,ちゃんと人を見て,少しずつゆっくり知っていくのが楽しい….今やこの部にすっかりなじんだハルヒさんも,見た目からはわからない彼らの変人ぶりを知るのが結構楽しくなっているんじゃないかな.本当を知ることはゲームなんかより,きっとずっと面白い!
てなわけで数日後,なぜかあの撮影作品はビデオとして好評発売中(笑).マニアなれんげの暴走が必ずやグッズ制作に結びつくことを見越して放置し,自分の部に必要ない部分以外はしっかり商品として生かしてしまうあたり,大変に抜け目がなくて実に鏡夜らしいよなぁ….そして殿の計算を超え,れんげ嬢はハルヒさんに惚れてしまっておかしな関係に.殿の期待した清純な女の子同士のきらきらなんかではなく,たぶんまったく別の深夜番組系なジャンルです(笑).…さて,見た目と中身はかなり違うってことがよくわかった今回ですが,能天気で影がないという彼らの外見はどの程度本当? 次回に続きます.

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桜蘭高校ホスト部#3

「自分のことだけ棚に上げの巻」

桜舞う春,新入部員としてホスト部の一員となったハルヒだが,庶民である上にどっちかって言うとホスト部が嫌いな彼女は金持ちの道楽にはどうにも精神的についていけない.しかし男装した女の子が一人混じっているというこの異常な状況が正されそうなイベント,身体検査がやってくる.検査で女の子だとわかればきっとホスト部にはいられない.やっとこの無茶な状況に終止符を打つ機会が訪れたはずが,己の卑しさゆえに性別を隠蔽する計画に乗ってしまうハルヒ.彼女は豪華な身体検査を何とか性別をバラさずに切り抜けることはできるのか.

原作の持ち味を十二分に生かし,さらにアニメとしての独自の魅力を重ねてくれる素晴らしき「ホスト部」.やってることはベタですが,盛り沢山に詰め込まれた素敵な動きと細々としたエピソードが毎度たまらない3回目.しかも今回はあの岡村天斎が絵コンテに! キッズ向けの名作「メダロット」で披露されたあの冴え渡るコメディの腕前をまたここで眼にすることができるとは思わなかったのでもうファンは大喜び.ディフォルメをオチにするのではなくさらに動かして笑いを重ねていく手腕,脇でぶつくさ言わせる様子の面白さ,落としたり持ち上げたりをもういたたまれないほどにやり切る判断.そして極めつけはあのラスト! 笑顔から声だけとなりエンディングへと突入していくあの一連の流れが本当に素晴らしい.

前半.暇な超金持ちたちの道楽であるホスト部の本日の出し物は花見の宴.アンティークカップのように姫を選んでうっとりさせる環とか,高級西洋陶磁器知識から海外アンティーク市事情へと繋いだ上に指に火傷でべたべたという持ちネタに持っていく双子たちとかいつものようにお元気.珍しいのはただ傍観して後で笑っているのではなく,お姫さんたちに写真集を売りつけに出ている鏡夜.これもまた大切な収入源のようですが,定価が大変気になります.
和装のハルヒとハニー先輩たちは緋毛氈の上で茶会など開いておりますが,ハニー先輩がかき混ぜすぎで大失敗でも誰もそれを咎めることができない.いくら最高学年でも,あの外見を責めるのは心が痛い(苦笑).…このあたり音楽の使い方も絶妙です.これは空の花よりも地のホストを愛でるための宴.中でも環の満開ぶりはいろんな意味でアレであり,無駄なポーズの取りっぷりも含め美しく咲き誇るバカって感じでどうにもこうにも.少なくとも凧と同じに環の株はハルヒの中でストップ安.惚れるどころではないみたいですよ?
春の新入生には考えることがいろいろあって,いつまでもバカの相手はしていられません.常陸院の双子と選択教科について相談するハルヒ.双子とハルヒはクラスメイトなので,言うまでもなく接触時間は環に比べて段違いに長い.それに今更気づいた父こと環が衝撃の事実を母こと鏡夜に愚痴ると,母さんは正確な計算で傷口にさらに塩を塗りこみました(笑).さすがは影のボス,相手が殿だからこそまったく容赦がありません.
いかがわしい双子とこれ以上つきあっちゃならねえとハルヒに哀願する殿.いやもうこの部の存在がそもそもいかがわしいんだけど当然のように自分のことは棚に上げ,これはハルヒがちゃんと女子生徒道を歩んでないのが原因らしいので今からでもちゃんと女の子の友達を作ってきらきらするのが「父の願いぞー!」と絶叫.その無駄なテンションの高まりとセリフのリズムが面白過ぎてたまらねえ(笑).…ひとりぼっちでここに進学しているハルヒの場合,現状では事情を知っている普通の女の子の友達って作りようがないんだな.
とはいえ自称父の願いを無理に振り回さなくても,明後日の身体検査ではさすがにハルヒの性別は「バレますね,さすがに.女だって!」…明るいハルヒの言葉とは逆に,なぜか改めてショックを受けている部員一同.ハルヒが女の子に戻ったら,きっとハルヒさんは激烈ラブリィで注目の的でハルヒ困っちゃうだろうから,王である環がパーフェクトに守るのだ…そんなダメ妄想を頭の中でぶんぶん振り回す殿は傍目で見ても凄くバカ.
しかしここから先がまずかった.このアニメは学園ラブコメディで自分はラブコメ要員で残る男子はホモホモ要員だからこれでいいのだと状況が状況だけにあまりにひどいことを言う環.これは原作由来のメタなギャグですが,そんなベーコンレタス確定みたいなことをラブ抜きのコメディ要員というかむしろヘタレ専門に言われたら,そりゃ誰だって腹が立つに決まっていますよ(笑)?
その上ハルヒが女の子とバレたら,今度は女子ではなく絶対男子にモテまくる.その上ホスト部からいなくなり,環とのなけなしの接触機会も0になる…今更な事実に真っ白になっていく殿は,即座に転向してハルヒさんの性別の秘密を守る活動を開始.「だから! 俺たちだけのお姫様でいてください!」…姫を選ぼうと思えばよりどりみどりのはずなのに,もうすっかりハルヒさんに夢中ですね殿.
こうしてハルヒの性別隠蔽大作戦が華々しく始動するはず…だったのが,唯一協力的でないのが当の本人.現在約533万円の借金については別の方法で返済しようかと明後日の方向に前向きで実に協調性がない.なんせホストもこの部もどっちかっていうと嫌な彼女にとって,性別バレはむしろ望むところ.この状況じゃむしろ自分からバラしかねない….ここで寡黙なモリ先輩が口にした,活路を開く一言とは…「大トロ」.
前回ハルヒが食べ損ねた大トロ.庶民にはなかなか食べられない大トロ.でもこの部にいれば食う機会がありそうな大トロ.乙女の食欲につけこんでみたら,大トロと性別詐称がバーターというこの無茶な取引にハルヒはさすがに乗らないのかと思ったら,「…ほんとに食べられるんですかー」…乗りました(笑).
ヒロインを大トロで釣って迎えた身体検査当日.双子がハルヒの脇につき,他の連中も総出でハルヒの性別を守るための大作戦を決行.超豪華な身体検査が凄く嫌になってみたりハニー先輩とモリ先輩がバレバレの医師コスプレで人目を集めて実際には賑やかし以外の何者でもなかったりと不安満点なこの状況.鏡夜先輩曰く,どうせ皆お抱えドクターに見てもらってるんだから身体検査はちょっとしたただのイベント.しかしここには陰険でイタい罠と謎の侵入者がいたのです.

後半は落ちて持ち上がる.無駄に豪華な桜蘭の身体検査.女生徒たちは双子の半裸にうっとりで,双子の演技も腐っているけれどこの学校もきっと腐ってる….で,衆人の目がそっちに行った隙にハニー先輩たちがハルヒを特設コーナーに押し込んだら,中には環がスタンバイ.…そりゃいきなりこんなところで半裸の野郎とご対面させられたらびっくりするわけですが,本当にびっくりするのはここから先.
ハルヒに迫る胸囲測定.もう絶対バレそうな状況でやたらかっこいい環は「…守るよ」と一言残して更衣室を出る.黒髪のハルヒカツラを被った彼は藤岡ハルヒをやるつもり.…誰がどう見ても環なのに身代わりをやるつもり! なんでしょうこの痛々しい人は(笑).ハルヒは悶絶し双子は大爆笑.どうもさっきのホモホモ発言を根に持った一同が環のバカぶりを見通した上でハメたらしく,「絶対にバレないって,お前らが!お前らが!」とうろたえる殿がおかしすぎる.ハルヒには当然本気で怒られるし,やっぱり殿はコメディ専門.ラブはなし(笑).
ヘタレがヘタレたのはまあいいとして,それではハルヒはどうやって性別をごまかすのかと思ったら,この身体検査の先生方は全部鏡夜の病院の医者なので問題なし.特別室を準備すればバレることもない…なんてことはもちろん環だけが知らない.あのホモホモ要員発言は思った以上に根深かったらしい.男性は思った以上にこういうのを気にするものだから,皆さんも身の回りの人を勝手にカップリングしてしかもそれを本人たちに伝えちゃだめですよ(苦笑).
結局課題のハルヒさんは別室検査という至極穏当な結論となり,ハルヒの性別を隠蔽するふりをして環を皆でいじめよう大会は無事に終焉を迎えたわけですが,まだここにはもう1波乱残ってました.さっき鏡夜が見つけて放置していた不審者が,警備員に捕らえられることもなくなんと特別男子保健室へと侵入.そこではちょうど着替え真っ最中のハルヒがいて,動転した彼はハルヒの口を塞ぎ…そんな危機に颯爽と飛び込み,変質者に見事なタマちゃんキックを食らわす環! 壁にめり込むのはいろんな意味でやりすぎな気がしますがまあよし!
そしてぞろぞろ参上する,我らだけのお姫様を守る奇人集団.毛並みがよくて顔が良くてお金もある上にハルヒさんが大好きな桜蘭学園ホスト部,ここに見参.…原作ではこの下りで蹴りを入れるのは別の奴なんですが,ここである程度かっこつけさせておかないと本当にただのヘタレで終わってしまうので,シャツをかけるシーンなど,全体的に環の株を上げる方向に補正が入っているみたいですね.もちろんこんな変人集団にいきなり立ちはだかられたらそりゃ誰だって怯えるもので,ついでにこの不審者は命乞いまで開始.ゲストの癖にノリいいなぁ.
彼の姓はヤブ.医者なのにヤブ.お人よしをこじらせて借金の保証人とかになってしまって最終的には激貧となった経営ベタのお人よし.借金まみれとなって家を出た妻と娘の後を追い,娘に一目逢うためにここに迷い込んでしまった気の毒な男.殿以外はあまりの情けなさに呆れる部類の物語.けれどどうしようもなくバカでお人好しな環は鏡夜に地図を用意して差し上げろ,と依頼.面白いけれど実に優しい男なのです.

ヤブ医者が再び家族に受け入れられるかどうか.それは周囲が決め付けることではなくて彼自身が確かめるべきことだと環は考えています.もちろん受け入れられない可能性の方が高いんだけど,だからといってその機会を自分から奪ったりはしない.実に彼らしい自然な寛容さの発露によって,ハルヒの中の環株は凧のように急上昇で大空へ.
ハルヒは身体検査の続きを受けるためにホスト部の連中に退室を依頼.それも,男子生徒として! うざいしおもちゃにするし金持ちだし嫌味だし,でも自分を守るためにここまでしてくれる人たちのことは,どっちかって言うと嫌いってわけにはいかないでしょう.ホスト部にいるのは食のためではなく「借金返済のためです!」と愛らしい笑顔を向けるハルヒ.そして….
画面の外に消えていくその後の変質者環出現のドタバタ.かわりに画面は青空へ.最後のドタバタをセリフだけでこなして余韻を持たせて…一気にエンディング.この流れがともかく素晴らしい! コマをそのまま映像にするのではなく,原作の大量の要素のうちから他人の目から見て本当に必要なものだけを選抜することこそ,原作に忠実ではないアニメの真骨頂ではないかと思いつつ,次回に続きます.

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桜蘭高校ホスト部#2

「沈んだ日々をティッピングの巻」

罪なくして800万の借金を背負わされた上にホスト部のホストとして働かされることになった藤岡ハルヒ.女性ということを秘密にして,ハルヒは生来の天然ぶりで女生徒たちを魅了していく.そんなハルヒを見初めて贔屓にしてくれた,ホストとっかえひっかえ病でおなじみの春日崎先輩.ダンスを知らないハルヒに付きっ切りで教えてくれたりと彼女はハルヒにべったり.けれど彼女の本当の心は,ホスト部の美少年ではなくホスト部の備品のティーカップに向いていた.

今期のコメディでは最も贅沢でハイレベルな映像を拝むことができそうな「ホスト部」.ここまで作り手が全力でやってくれれば,きっと原作ファンのお嬢さん方も大満足じゃないかと思うんだけどどうだろう? 個性溢れるレギュラー連中はパーフェクトな1話で一応ご紹介されたわけですが,今回はまだまだ説明の足りないホスト部という団体の実態について実例を交えつつご紹介.すっかりハルヒに惚れてしまった環の異様な言動とかハルヒの女装?とか凄いラブレターとかラストのサプライズとかチェックポイントはいろいろあるものの,一番の見所はもちろん「大トロ」であることは疑いようもありません(笑).

前半.桜が花開くのを待つころに,ハルヒの才能が第三音楽室のホスト部部活で花開くことになりました.金と暇にものを言わせて豪奢極まるホスト部の今回のテーマは南国.まだ肌寒い春だってのに空調全開で本場から空輸した数々の南国アイテムを飾り倒すという金持ちならではの贅沢.…まあ,かけた金額がそのまま店の格になるし,派手な企画を途切れなく提供することでリピーターを増やすこともできるし,投資した金額以上にお姫様たちから絞り上げればいいわけだし(笑)…って,環は考えてないだろうけれど鏡夜は絶対計算に入れてるはず.後に蛇がいたりするものな.いい男は着膨れなんかしないもんだと愚かな王は絶好調で,そんな環のバカコメントにドン引きのハルヒ.姫でない彼女にすれば殿はやっぱり寒い珍獣以外の何者でもないようです.
ホスト部の活動はお暇なお嬢さんたちの退屈を潰し満足させて差し上げること.そのためならばどんな恥ずかしいこともあえてやっちゃうのがホスト部の心意気.そんな心意気を最も体現しているのは,わざわざ兄弟ホモというシュートな芸を惜しげもなく披露する双子じゃないかと思います(笑).ハニー先輩は3年のはずなのに相変わらず反則で可愛く,寡黙なモリ先輩とのコンビも絶妙.さらにお客たちも南国ゆえの半裸の露出も相まっていつもよりハイテンション.きっとチップとか思いっきり儲かってるんだろうなぁ.
てなわけで男性陣は半裸が制服であるわけですが,生物学上は女性であるハルヒはさすがにあんな格好はできないし,それ以上にバカとペアの女性用衣装なんか人として着るわけにはいかないし(笑).季節感を大切にするという名目で制服姿で勤めるハルヒ.すっかりハルヒにハマっている姫様方を「夢があってかわいいですね」などと実に天然な態度で魅了します.思ったことを恥ずかしげもなくそのまま口に出してしまううかつさが,完全にいい方に働いているあたりがお得です.
そしてそんなハルヒに目をつけたのが今回のヒロインである春日崎嬢.ホストクラブは特定のホストを一度指名したら決して替えないのが基本なんですが,彼女はホストを次々取り替えるという悪癖の持ち主.で,直前に指名されていた環は春日姫を取られて納得いかずに落ち込んでいるのか…と思ったら,殿の悩みどころは随分と明後日の方向にありました.部活後に庶民ラーメンを食いながらくじける環はハルヒに「ちゃんと女の格好をしろ!」となんだかとっても今更なことを主張.ハルヒが女性であることに途方もないダメージを受けた殿は,お父さんとして娘さんには娘さんらしい格好をしていただきたいらしい.
在りし日のハルヒさんの美貌を勝手に引き伸ばして金縁の額装まで施す殿.そして自分を「俺」と呼ぶハルヒに汚い言葉を使うなと泣く殿.その壮絶な過保護っぷりは父親ゆえに許されるらしいですが,当然彼はハルヒの父親なんかじゃないしお母さん役の鏡夜に至っては既に性別すら合ってない…(苦笑).折角のきれいな長い髪を子どものくっつけたガムのせいでばっつり切ってしまったハルヒ.一応,そういうときは氷とかで頑張って冷やすと活路が開ける場合が多いらしいよ?
いくら自称父親の殿が嫌がったとしても,ハルヒは借金を一日も早く返すためにもホストをやめるわけにいきません.ただしこの格調高い?ホスト部でホストをやるなら,社交ダンスくらい踊れなければ話にならない.奇しくも来週はホスト部主催のダンスパーティがあるということで,いきなり環に1週間でワルツをマスターしろできなければバラす!と突きつけられてしまうハルヒ.さすがに無理?という難題だったはずなのに,翌日どんよりとしたのはやっぱりハルヒではなく環.お得意様である春日姫がダンスを教えてくれることになり,たどたどしく初々しいハルヒのファーストステップは環ではなく姫のものに….ハルヒへのアピールがことごとく裏目に出てしまう環.世間ではこういうのを『相性が悪い』と言うはずです.
練習も喜んでつきあってくれる,ちょっぴり大人の魅力な春日姫.彼女が夢中になるのはハルヒ…とジノリのカップ.西洋食器を扱う者にとってジノリは超メジャーなメーカーの1つ.PCで言うなら普通のカップがノーブランドのパーツを寄せ集めた廉価な自作機だとすれば,ジノリクラスは国産メーカーのハイエンドモデルを想定していただくとわかりやすい.もちろんそんなものとは縁遠く暮らしてきたハルヒにはその凄さはわからないけれど,春日姫がやたら食器が好きだという程度はさすがにわかります.
けれどこの他愛もない指摘にやたら動揺する春日姫,その上この場に加わる新たな登場人物によって,彼女の真実が割と明らかになります.ホスト部に新しいティーカップを届けに来た珠洲島君.ホスト部の綺羅綺羅しい面子には及びもつかない地味っぷりですが,彼もまた食器輸入業ではシェアトップの一流企業の御曹司で来月にはイギリス留学までご予定.…そんな彼の存在に奇妙に暗くなってしまう春日姫.心の中,彼女は動かないコーヒーカップの中にひとりぼっちで,寂しい.
女の子の異常を敏感に察するのはいい男の大切な資質.ここでハルヒだけでなくいかにも鈍そうな環までもがちゃんと反応しているところが,彼の意外と(笑)まともな才能を示しているような気がします.なんとさっきの珠洲島君と春日姫は幼馴染で親が決めた許嫁同士.しかもお互い意識しまくっていたからもっとうまくいってもおかしくないはずなのに,春日姫はホスト部三昧というこの状況は由々しき問題.この部が女の子を幸せにするために存在する限り,彼ら,特に環は介入しなくちゃならないのです.

後半はハルヒさんの見所満載.前半冒頭ではかたい蕾であった桜も咲き揃った一週間後の夕刻.ホスト部はお約束のとおりに子羊ちゃんたちを集めてダンスパーティを開催.本格的なオーケストラまで揃える夜会は実に豪華.ちなみに今宵のダンスクイーンにはキングのキスをプレゼント.基本的に誰からでも愛される環だからこそ競う価値のある賞品になるわけですね.まあ,肝心のハルヒには絶不評みたいなんですが…(苦笑).
ごく一般的な庶民であるがゆえにこの場からぽっかりと浮かび上がるハルヒ.ダンスパーティと言えば盆踊りくらいしか思いつかない彼女の場合,この場にいるだけでもなかなか辛そう.しかし,そんな彼女の興味を誘ってやまないのが金持ち料理.普段の活動では飲み物とか軽食中心だろうから,ここまで本格的なご馳走が並ぶのはきっと珍しい.普段食えないようなものもいただけると聞いたハルヒさんの「…お,大トロとか?」というコメントが切なくてたまらねえ(笑)! 超絶キュートなコメントは他のホスト部全員の庇護欲を煽りまくり,別に可哀想でもなんでもないはずのハルヒにとっては実に迷惑.
さて,このダンスパーティは特定のあの人を幸せにするためのもの.それはまだ大トロを食べていない壁の花のハルヒではなく,そんなハルヒと踊りたい御贔屓の姫様たちでもなく,あの食器好きの春日姫.彼女がこの会場に姿を見せたところから今回のミッションがスタート.ハルヒはホスト部によって強奪され,崇高なる計画のために(笑)女生徒の格好に着替えます.…服装的にはむしろ正常な方向に変わっただけ.けれど普段が普段なので関係者間,特に殿には倒錯した魅力がたまらない.とはいえそのあたりの事情をまったく知らない人から見れば,ただの見知らぬ美少女に過ぎないわけです.
てなわけで歩きにくい美少女ハルヒさんは珠洲島君と夜の教室で対面し,その本心を聞き出すことにします.…勝手にハルヒさんが珠洲島君に手紙を出して呼び出したことになっていた上に,その文面が物凄くダメでどうしよう(苦笑).鏡夜と双子が合作した『ラブラブゥゥ』とかからはじまるものごっつい痛いお誘いの手紙.こんなショッキングピンクを読まねばならない坂本氏の苦労が偲ばれます.
で,こんな恥ずかしい思いをしたのに,珠洲島君は美少女の申し出をお断り.彼にはやっぱり好きな人がいて…しかし愛想をつかされていると勝手に思い込んでいる.その割に自分の留学の間は待っていて欲しいだなんて,相手に伝えもせずに願っているだけの珠洲島に対し「…それは本当に勝手ですね」とあっさりぶったぎるハルヒ.思っていることを伝えもしないでわかるわけがない.特にタイムリミットが迫っている今には先延ばしの猶予はない.今変わらなければ,もうチャンスなんかないはずだ.
そんな変化のチャンスをわざと作ってあげるのが今回のホスト部のお仕事.ハルヒが珠洲島をぶったぎっているその頃に,殿も春日姫に真実を知らせるために活動中.わざと引いて見せて相手を引き寄せようという戦略は,相手に相応の積極性があってはじめて成立するもの.相手にはそこまでの積極性がないことを見抜けない春日姫は間違いなく駆け引きとか向いてない.彼女の心は未だに,留学を勝手に決められたあてつけに通った華やかなホスト部よりも,幼い頃からの思い出が注がれたティーカップに惹かれている.
環に連れられて来た春日姫が見たのは,謎の美少女と珠洲島が一緒にいる様.当然のように誤解して泣いて離脱する春日姫に珠洲島は泡食って追撃をかける! 彼らに足りなかったのはタイムリミットの自覚.ずるずると時が過ぎて何もかも手遅れになる前に,ちょっとした波風を立てて促すというのが王の采配で,決して考えなしにこじらせたわけじゃないのです.

春日姫を桜満開の中庭で捕まえた珠洲島.2人に当たるスポットライト.美しく整えられた舞台の中心で,観客たちに見守られながらの春日姫と珠洲島の麗しのラストワルツ.そこで「君が好きだ!」と珠洲島は精一杯に告白し,花が散る前に想いを伝えることに成功します.今夜の主役はこのじれったい2人.一緒にコーヒーカップの夢に乗ることになったこの2人,ハッピーエンドで終了してしまったから…ハルヒの指名客が一人減ってしまったような気がするけれど,まあいいや!
今夜のクイーンは当然春日姫.けれど祝福のキスは借金3分の1カットの条件で殿からハルヒさんにアクシデントその1として変更.女の子同士だしどうせ頬だし…と受け入れてしまうハルヒさんの大雑把さは,環にとっては実に憎いものであったに違いありません,しかもハプニングその2は環自ら頬へのキスを唇に方向修正するという,もういろんな意味でいたたまれないものであり…(笑).
ファーストキスを女の子にするハメになったハルヒが割と落ち着いているどころか気分がいいのに比べたら,殿の今夜の落ち込みっぷりが大変に楽しみ…いや,心配か(苦笑).こうしてわざと他人の時を進めてあげたホスト部ですが,そのホスト部の中の時間はこの先どんな風に進むんだろう.次回に続きます.

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桜蘭高校ホスト部#1

「何かが違う天然ルーキーの巻」

良家の子女のみが集う超上流校,私立桜蘭学院.そこに成績のみで特待生として入学した庶民,藤岡ハルヒはどうしようもなく浮いていた.静かに勉強できる場所を探したハルヒが開いた音楽室の扉の向こうには,見目麗しい物好き集団,桜蘭高校ホスト部が勢ぞろい.ハルヒが運悪く800万円の壷を割ってしまったのをいいことに,彼らはハルヒをホスト部の雑用係にしてしまう.
学校の制服すら買えないド貧民の上に,見た目にもこだわりがないダサいハルヒ.しかしその素顔が中性的な美少年であったため,ホスト部ほぼ総出のお色直しの末,雑用係から正式なホストへと一気に格上げされたのだった.

現在ヒット中の少女漫画を原作として,あの五十嵐監督神がボンズとともに取り組む期待の新作「ホスト部」.監督神のことだから絶対生真面目にコメディをやってくれるはずだと放映前から大変楽しみにしていた作品です.1話を見る限りその魅力は美麗な作画と冴え渡る演出に負うところが圧倒的に大きく,ぜひとも動く映像を見ていただきたくてたまらない,逆に言えば文章レビューではろくに魅力を伝えられない可能性が高い作品であるわけですが(笑),原作を読む限り殿にツッコんでいくのは大変に面白いはずなので,いつものようにファンの皆様の広い心に思いっきり甘え,まったく身も蓋もない感じでいってみたいと思います.
1話はこの先物語を回していくための舞台作りが中心.舞台設定や主要キャラの性格や魅力が手際よく紹介されていきます.ちなみに今回最も魅力溢れるシーンは池のシーンでも追放シーンでもラストの笑顔でもなく,あの「うざい」でしょう.間違いなく.

前半.冗談みたいな豪奢な校舎と笑いさざめく上流の者どもの間で,ごく普通の庶民で主役な藤岡ハルヒは完璧に浮いておりました.冴えない私服にぼさぼさ髪で眼鏡のハルヒは,このハイソでスタイリッシュで作り物みたいな学園の中ではあからさまな異分子.勉強しようにもろくに居所がなくて仕方なく開いた音楽室の扉こそが,この先に待つ全ての珍騒動を封印していた蓋.ハルヒが開いたその中には…見目麗しい大バカと物好きたちが待ち構えていたのでありました.
私立桜蘭学院は現実離れした超上流校.そこに通うのは金と暇を持て余した上流階級の子女ばかりであり,その暇つぶしの一環として設立されたのがこのホスト部.…なんで生徒が音楽室を占拠してるのかとか,そもそも超上流校の癖にホスト部の設立が認められるってどうなのかとかツッコみたい部分は多々あるわけですが,そんな状況なんかよりも滔々と楽しげに語りまくる金髪美青年のほうがよっぽどおかしい(笑).良家の子弟ってのはこれまた随分とイタいものであるようです.金髪の変人に同じクラスの小悪魔な双子,クールな眼鏡,ショタ一直線の少年とぬぼっとした青年のコンビ.それぞれ魅力に溢れる,本作のメインキャラ一同です.ちなみにこの時点の電球は1つ.
成績のみで特待生としてこの学校に入ったハルヒは学校唯一の庶民であり,このイカれた環境に飛び込む図太い神経を持つ学校一の貧乏人な勇者.…下賎の民とか大貧民とか,確かに事実とすればそうなんでしょうが,金髪美形の変人に楽しげに言われると大変に腹の立つコメントばかり.ハルヒは一刻も早くこの異常な状況から逃げ出したいけれど,男色家扱いの上に在籍するホストどもにおもちゃにされ,しまいには変人の金髪に間近に迫られ,あわてて後ろに下がったところでさっきから異様に目立っていた壷にひっかかって…割れた!
迫られて逃げようとしたハルヒが落として割ってしまったルネの花瓶.お値段は800万円からスタートの予定.…もちろん庶民が弁償できる額ではなく,あっという間に事態は泥沼.金がなければ体で払えというわけで,例の金髪の変人から「今日から君はホスト部の犬だ!」とあまりにもご無体なご命令….ただ静かに勉強したかっただけなのに,なんだってこんなひどい目に遭わねばならないんでしょうか.そりゃ真っ白になって気絶しても仕方がないというものです.
音楽室を優雅なティールームにして営業するホスト部を構成するのは,6人のホスト+新入りの犬.金髪美形の変人が部長でキングな須王環.禁断の兄弟愛を売り物にするのがハルヒと同じクラスの双子,常陸院光・馨兄弟.大変に愛くるしい上に秀才の上に3年生という反則ショタな埴之塚光弘と,そのハニー先輩の保護者として寡黙を売りにする銛之塚崇.そしていかにも腹黒そうで最初に電球を光らせていた鳳鏡夜…というのが6人のホストで,そこに一介の庶民であるハルヒが加わったわけです.
こんな珍妙な6人に取り囲まれることになった子豚こと雑用係のハルヒ.買ってきたコーヒーがインスタントコーヒー=「庶民コーヒー」であったがために異様なまでに場が盛り上がったり,とても最上級生には見えないハニー先輩に気に入られてうさちゃんを押し付けられてみたり,「君,パスポート持ってる?」とお前逃げたら国内にはいられないと思えと鏡夜にじんわり脅迫されてみたり….ちなみにうさちゃんを押し付けようとしたハニー先輩が,ハルヒの顔を見て電球をつけておりますね.その直後に席でころころ転がる様子がどうにも異様に可愛いなぁ(笑).
ホスト部の6人にとってハルヒは目新しくて面白いおもちゃ.特に金髪バカの環はおもちゃに夢中で猫まっしぐら.中身重視で外見を気にしないハルヒを気の毒がった上,いい男は女を喜ばせることが全てと己のポリシーを聞かれてもいないのに立て板に水で語りまくり.正直この部の存在意義すらさっぱりわからんハルヒには,ナルシシズムに満ちた意味不明の妄言を吐きまくって止まらぬこのノンストップ馬鹿のことが迷惑で面倒で…「うざい」.下から覗きこんで己の美を主張しようとした環のことを,たった一言でいきなりぶった切ったのでありました(笑).
どうやら異様に打たれ弱いらしい環はずっぽり落ち込んで,ここが本作の今回の見せ場です(笑).さっきの高慢なバカがしょんぼりすねるバカに変わってしまいます.ハルヒのちょっとしたフォローで元の姿に戻るところも含め,とても同一人物とは思えないほどに可愛らしい.…ついでにこの人が天然で,しかも本性が悪い奴ではないってことも察することができますね.本当に悪い奴はこんなスネ方しませんからね(苦笑).
発言にまったく遠慮のないハルヒは実に図太い勇者なのですが,一流のお嬢様方の接客に従事するにはビジュアル面があまりにも弱い.しかしハルヒの眼鏡の下の素顔は馬鹿にしていた環を驚かせるほどの中性的な美形.かくしてホスト部の手によって,子豚は美少年に化けたのでありました.ちなみに双子がハルヒを着替えさせようとしたところでライトをつけております.かくしてハルヒは雑用係からホストへと格上げ.100人の指名客が出来れば壷代の800万はチャラとなります!…一人8万円?

後半.運命の悪戯によって借金背負ったホストとなったハルヒさん.もちろん庶民どころか普通の高校生にホスト経験なんかあるわけないから,ごく普通の会話をするのが関の山.…しかしハルヒはここでは特別.お嬢様方にとっては見たことも聞いたこともない庶民の暮らしは耳新しく,その上幼い頃に母を失っている薄幸ぶりのフレーバーまで加わったなら,淡々と語られただけでもお嬢さん方はもう夢中.母の残したレシピを頼りに料理をやっちゃういじましさすら,天然ゆえに見事に輝くテクいらずのスケこましっぷりです.うん.料理できるのはやっぱしポイント高いよね.
しかしそんな天然ルーキーの存在を憎んでやまないお嬢さんが一人.環のお得意様である綾小路姫は,そこらの馬の骨であるハルヒのことに環がやたら夢中になっているのがどうにも気に食わないご様子です.なんせ環のバカは,ハルヒのご挨拶の笑顔が可愛いだけで抱きついて振り回してますからね.彼のハルヒに対する執着はちょいと異常…というかその「お父さん」って何だよ(苦笑).そして,バカに振り回されるハルヒを救ったモリ先輩は,その途中で電球を灯らせることになります.これでついた電球は5つ.残るはニブチンでバカでマヌケなたった1つ.
たかが庶民なのに学院女子憧れの対象に寵愛されるハルヒのことを気に食わない彼女は,女の子らしい陰険な攻撃に走りました.ハルヒのカバンは中身をぶちまけられて池の中.しかしタフなハルヒの場合は,イジメられたことよりも暮らしを支える財布の方がずっと大切.部活サボって食費の入った財布を捜し池を浚っていたところを,例の馬鹿に見つかってしまいます.…青空の映る池の中,一人で水の中のハルヒをごく自然に手伝ってくれる環.自ら水も滴るいい男とか平気で言っちゃう凄いバカですが,困っている人には自分が濡れるのも構わず手伝ってくれる…結構なお人よし.青空の中で財布を捜す2人の様子や,笑う環が実に美しい.このあたり,全てに色がついているアニメだからこその美しさがあります.
折角イジメてやった綾小路姫にとって,環の助けはまさにヤブヘビ.折角困らせてやったのにそれを大好きな人が救ってしまったら逆効果もいいところ.ゆえに彼女は,さっきの顛末をハルヒに話させた末に環の手をわずらわせるなこのクソ庶民がという主旨のイヤミを実に回りくどくハルヒにぶつけます.しかしここでカウンターとして発動するハルヒの天然かつストレートな物言い.「それはつまり…焼きもち」…なんで格下の庶民に上流の自分が焼きもちなんか焼かなきゃいけないのか!
本当のことを言われてかっとなって思わず巻き込んで倒れこみ,ハルヒが乱暴したと大嘘を叫ぶ綾小路姫とそれに呆然としているハルヒ…の頭に花瓶の水をかける双子と,歩み寄って綾小路姫に引導を渡す環.被害者ぶる姫の様子は見苦しい.きれいだけれど店の客にはふさわしくないと,折角のお得意様に入店禁止を宣告! ここは女性を喜ばせることを目的とする部ではありますが,環は奴隷ではなくこの店のキング.ちなみに彼にここまで強い態度を取らせた根拠は,ハルヒが「そんな男じゃない」から.…まあ,間違いではないか.そして対応を誤り店内でもめごとを起こしたハルヒにはノルマ千人を追加オーダー.「期待してるぞ,天然ルーキー」

こうしてただの庶民の特待生は,借金と不始末の代償に1100人の指名客を取らねばならない気の毒なホストへと転がり落ちたわけですが,ここに至って実に今更な事実が判明します.濡れた服を着替えるハルヒにタオルを届けに行った環が見たのは,細見でボーイッシュだけれど間違いなく女の子の体! 女子の制服だってきちんと似合う,中性的な美少女だ! …生来の大雑把さゆえに誤解を解かずにここまで来てしまったハルヒさんの性別に激しく動揺する環.でも,これは実はかなりの高得点.可愛い女の子だと知らないままで手伝ってくれたり信じてくれたりしたからこそ,ただの物好きで迷惑でうざい変態扱いだった環の株が,さっきハルヒの中で一気に上昇したわけですからね.…真っ赤になってうろたえる環がこれまた異様に可愛いな(笑).
完全に環のペースからはじまったものの.ハルヒの正体によってパワーバランスは見事大逆転.しかも図太いハルヒさんときたら,ホストのお仕事になぜか面白味を発見してしまったご様子.「今度から,俺って言おう!」と美少女はにっこりと笑い,こうしてどうにも鈍い連中が織り成すおままごと風味のホスト部内恋愛コメディがはじまるわけです.…いやぁ,ここまで完璧な1話は滅多にないよなぁと感動しながら,次回に続きます.

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