デジモンセイバーズ#48
「拳は世界の壁の向こうへの巻」
2つの世界を守りたいという人間とデジモンの意思を受け入れず暴走するイグドラシル.計算通りに動かぬものを全て消そうとする神から世界を救うため,マサルたちはまたも立ち上がりイグドラシルに戦いを挑む.この世界を救いたいという想いを抱く仲間たちの援護を受けたマサルたちだが,殴る直前,イグドラシルの蔓にその身を縛られてしまった.
今まさに滅ぼうとしている人間界で,世界を救いたい,一緒にいたいと願い続ける人間たちとデジモンたち.計算上はほぼ0に等しいことを今なお求め続ける理由がわからないイグドラシルに,マサルとアグモンは人間とデジモンの進化の可能性を見せつけるために飛翔して,ついに貫き打ち砕く.自分を倒した人間とデジモンの力を認めたイグドラシルは,未来を2つの種族に任せて自らは再び眠りにつくことを決めたのだった.
長いようで短かった1年もこれで完結.実に本作らしい豪快な大団円を迎える「セイバーズ」.この作品が本当に凄かったのは,とうとう最終回まで使役者であるはずの主役が拳を下ろさず殴り続けたこと.他人任せにせず命を張って挑み続けた大門マサルこそ,本作の最大の魅力だったのではないかと思います.頭の使い方についてはついに覚えられなかったバカですが(苦笑)身体能力と心の持ち様は超一流で,そんな彼だからこそ偉大な父が果たせなかった夢すらも叶えることができた.…そんな主役の魅力に比べると脇がくすんでしまったのは惜しかった.特にヨシノたちにはもっと可能性があったと思うんだよなぁ.
最終回である今回で,ついに喧嘩番長は救世主としての称号を手にするわけですが,最終的にその救世主が選んだのは美しい結末を逸脱する道.1話開始の段階で既に10年前から始まる大門マサル物語の途中であった彼らしく,作品の枠を超えていく滅茶苦茶な選択は爽快で…そして少しだけ寂しい.デジモン事件が起きなくなればただの無駄飯食らいになってしまうというアグモンの嘆きは,そのままマサルにも当てはまる.折角救った故郷だけれど,そこは既に彼の居るべき場所ではなくなっていたのです.
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