R'sM 2007年アニメ大賞

2008年がスタート.昨年は本当に色々なことがありながらも,アニメを見ることと好き放題に感想を書くことでやっと心の安定を保てたような,そんな1年でありました(苦笑).今回も恒例企画として,これまでの1年,自分を気分良く笑わせてくれた方の素敵な作品どもを讃えておこうと思います.主にここで長文あるいは短評で触れたアニメから,私的なベスト3を部門ごとに選出.見ていないあるいは触れていないあるいはシリアスなアニメは評価対象から外れます.
 2006年度の結果…R'sM: R'sM 2006年アニメ大賞
 2005年度の結果…R'sM: R'sM 2005年アニメ大賞
 2004年度の結果…R'sM: R'sM 2004年アニメ大賞

ちなみに昨年度最強のギャグアニメは「それゆけ!徹之進」で次が「マイメロ」…我ながらどんな選択基準だ(苦笑).テクニックよりはノリ重視.組み立てた高度なネタよりは一瞬で爆笑できる直球を高評価.無様ぶりが面白い作品については,作り手側が笑わせにきていることが明らかで,自分の中にその作品・キャラに対する愛がなければギャグとしては扱いません.以下に挙げるものについては本当に好きだからここで取り上げたのであって,他意は…ほとんどありません(笑).

<特別賞>
まずは新設部門として,アニメではないものの凄まじい活躍ぶりを見せた作品を称えておきたいと思います…さすがにこの作品を外すわけにはいかなかった.それぐらいこの作品は凄まじかったんだ.

 (特別賞)Kawaii! JeNny

…浦沢御大…(苦笑).人形による特撮・ドールラマという形式で作り上げられた世紀の奇作.映像と内容のかっ飛びぶりで1話の段階で視聴者を全力でふるい落とした暴れ馬ではありますが,この作品の爆発力はたった1クール作品とは思えないほどに凄まじかった.今期は実写「ネギま」や「風魔の小次郎」など愉快な作品は散見されましたが,この作品ほど笑いの濃い作品は滅多に出会えるものではありません.特撮やFlashアニメなど,今後はアニメに近いが異なる媒体で展開される笑いにも注目していく必要がありそうです.

<ツッコミ部門>
己のペースを見失わず,放っておけばぐだぐだになっていく世界を叱ることで引き締めるスパイスとなる,優れたツッコミベスト3.彼ら,彼女らの献身のおかげで作品は無事に進行していきますが…そこに不運や悲劇的雰囲気が同時に漂うのはなぜだろう(苦笑).

 1.志村新八(銀魂)
 2.キクチ(鉄子の旅)
 3.千秋真一(のだめカンタービレ)

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R'sM 2006年アニメ大賞

いよいよ2007年スタート.昨年は忙しくて時々くじけそうになりつつも,好きな作品に励まされてようやく年末にたどり着いた感じの1年でありました.さて,これまでの1年,自分を気分良く笑わせてくれた方の素敵な作品どもを讃えておこうと思います.主にここで長文あるいは短評で触れたアニメから,私的なベスト3を部門ごとに選出.見ていないあるいは触れていないあるいはシリアスなアニメは評価対象から外れます.
 2005年度の結果…R'sM: R'sM 2005年アニメ大賞
 2004年度の結果…R'sM: R'sM 2004年アニメ大賞

ちなみに昨年度最強のギャグアニメは「ボーボボ」.次が「マイメロ」.相変わらずテクニックよりはノリ重視.組み立てた高度なネタよりは一瞬で爆笑できる直球を高く評価します.あと,本人にはたぶん笑わせる気がないけれどその無様さが面白いものに関しては,自分の中にその作品・キャラに対する愛がなければギャグとしては扱いません.本当に好きだからここで取り上げたのであって,他意は…ほとんどありません(笑).

<ツッコミ部門>
己のペースを見失わず,放っておけばぐだぐだになっていく世界を叱ることでまともな世界を思い起こさせてくれた優れたツッコミベスト3.彼ら,彼女らの献身のおかげで作品は無事に進行していくはずなんですが,今年はこの部門,例年以上に人材不足です.

 1.志村新八(銀魂)
 2.河内恭介(焼きたて!!ジャぱん)
 3.藤岡ハルヒ(桜蘭高校ホスト部)

女王ビュティさん去りし後,首位にぜひ押したいのが洒落にならない状況を懸命に捌きつづけるツッコミの新八.ツッコミ面では彼を中心にして萬屋全員でボケつつツッコむことが多い「銀魂」は,頻繁に作品レベルで社会に対し凶悪なボケをカマしているので,そんな過酷な状況に的確にツッコんでいくセンスを買いたい.…わざわざツッコむことでさらに傷口を広げているのも計算の上に違いない(笑).ともかく今年も頑張って仲間とともに原作者や監督や制作会社にもちゃんとツッコんでいっていただきたい.…4月以降もツッコんでいけたらいいな!
2位の河内3位のハルヒと,今回は3人ともツッコミらしいツッコミを選んでいます.双方とも超人揃いの周囲の中で運悪く常識を持ち合わせてしまったがゆえの苦闘ぶりが素晴らしかった! もはやリアクション役こそが天職と状況に流されてみたり,しまいにはホスト部が大好きになってしまったりと,最後の最後ではボケに共感し流されてやる優しさも,多くの人から愛されるツッコミが持つべき重要な資質の1つです.
4位以降,昨年から引き続いてバク(おねがいマイメロディ),アミ(アニマル横丁)が健闘.また格闘ヒロインの脇にいて時に体を張らされる気の毒なツッコミとして,太田明彦(無敵看板娘)や白浜兼一(史上最強の弟子ケンイチ),そしてツッコミとしてはやや地味なものの,陰守マモル(陰からマモル)の堅実な仕事も記しておきたい.

<ボケ作品部門>
キャラレベルではなく作品そのものがおかしくなってしまい,ひたすらにボケ続けた作品について特に表彰します.…2006年はこの部門にエントリーされる作品が無闇に多いのが特徴.全員でボケ倒すのって面白いだろ?と言わんばかりの超展開が目白押しという異様な年となりましたが,全面ボケ倒しの楽しさを理解できるかどうかは多分に視聴者の資質によるので,正直,あんまり数を作ってただでも狭いパイを食い合うのもどうかと思うんだ(苦笑).

 1.それゆけ!徹之進
 2.おねがいマイメロディ(含くるくるシャッフル)
 3.MUSASHI-GUN道-

大乱戦となったこの部門でも,あまりにも特異に過ぎる3作品を選んでみました.中でも凄かったのが「徹之進」.犬とセレブとマネーゲーム,流行モノをそのままぶっこんで適当に混ぜました!てへ!みたいな初期段階から異常だった本作は,回を重ねるごとにさらに暴走.ホリエモン逮捕やライブドアショックによる路線の変更も手伝って,視聴者を全力で置き去りにして行った彼らが得た評価は…「「広告代理店機能」「版権管理機能」が充分機能しておりません。」…確かに売りにくいだろう(笑).
しかし彼らがその真価を我々に見せつけたのは,この枠の打ち切りが決まってからでした.どうせ先はないんだからとこの異様な設定のままで王道熱血ヒーロー物語へと強引に回帰! 何の因果かここまで見続けてしまった視聴者を大いに驚かせることとなります.犬もセレブもマネーゲームも,しまいには笑いさえかなぐり捨てて爆走するその哀れで勇気溢れる姿は,この作品そのものに対するとても複雑な笑いを誘うのです.
2位は昨年度末に驚くほど素晴らしく馬鹿馬鹿しいクライマックスを迎えた「マイメロディ」と,続編ゆえにやはりテンションが落ちるものの悪意は一層増したと評判の「くるくるシャッフル」の両方に.そして3位は低品質を追求するというコンセプト自体が前代未聞の「MUSASHI」に差し上げたい.天然だった序盤の「MUSASHI」は,あらゆる意味で最高にダメだったなぁ….
4位以降,歌いだす度に爆笑させられる迷作「マージナルプリンス」,ギャグの場合は画が下手であることも武器なのだと強く感じた「THE FROGMAN SHOW」,短期シリーズゆえに上り詰められなかったけれど,御大の芸とホモ好きは楽しめた「練馬大根ブラザーズ」,下品コメディを手を抜かずまっとうした「女子高生 GIRL'S*HIGH」,超展開を独特のノリで軽快にこなした「吉宗」と「錬金3級まじかる?ぽか~ん」,そして独特の美意識と性欲があまりに面白すぎる「ストロベリー・パニック」など,記憶に残る作品だけでも結構数がありました.

<ボケキャラ部門>
ギャグ作品では全ての要となるボケ.笑いのためなら人間の尊厳なんか全て捧げる殉教者たちの中でも輝きまくった面子をピックアップ.作品ごとボケてしまった候補の多かった今回は,少数精鋭での激しい戦いとなりました..

 1.マイメロディ(おねがいマイメロディ)
 2.マージナルプリンスども(マージナルプリンス)
 3.黒柳亮(焼きたて!!ジャぱん)

2006年もやっぱり強かったマイメロさん! 「くるくるシャッフル」になってからもマイメロ姐さんの豪腕は勢いを増すばかり.以前は性質の悪い天然に見えていましたが,今年に入ってからは明らかに計算づくの故意にしか見えなくなってますよ姐さん! ウィーヴの稼ぎ頭として本当にそれでいいんですか姐さん?
2位には今年終盤に素晴らしい歌を毎週のようにぶつけてきやがったマージナルプリンスどもに差し上げる.こちとら珍奇なシーンは散々見慣れておりますが,海の中で歌いだした時にはさすがに呆然としましたよ! 3位はリアクション芸を極めた黒やんに.凄いリアクションはそのまま他の権利に対する果敢なる挑戦でもありましたが,彼がそうすることを許しバックアップした作り手たちの間違った根性も最高です!
4位以降,カラクリ刑事ユキカ(練馬大根ブラザーズ)はパンダで徹底的に堕落するという獣愛ボケぶりが特異.須王環(桜蘭高校ホスト部)はその天真爛漫で迷惑でいとおしいボケっぷりが良い.どんな深刻な事態の中でも一定のペースで必ずボケて,それが主役としての魅力や強さでもある大門大(デジモンセイバーズ),わかってボケているパピヨンに本気で答える天然ボケの武藤カズキ(武装錬金),報われない戦いにひたすら挑み続ける姿が涙を誘う西山勘九郎(無敵看板娘),そして作品を代表するほっこりして迷惑な天然ボケの紺若ゆうな(陰からマモル)なども目だっていました.

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2006年のギャグアニメ界では,昨年の「マイネ」と同系統の,作品そのものがボケ倒す作品が数多く出現しました.特に「マージナルプリンス」や「ストロベリーパニック」,さらに選外では「ときめきメモリアル Only Love」「パピヨンローゼ2」「レモンエンジェルプロジェクト」等,本来は視聴者を萌えさせてなんぼのハーレム系作品が異様に愉快なボケ作品と化していて,お前らそれでいいのかと真面目な視聴者を悩ませることが多かったんじゃないかと思います(苦笑).「桜蘭」みたいに2枚目が適度にボケると親近感が沸くもんですが,必要以上に面白くしすぎると2枚目に見えなくなるんだけどなぁ….
もちろん,笑わせるためにしっかり作りこんだギャグ作品も健闘しました.「徹之進」「マイメロ」を筆頭に「練馬大根ブラザーズ」「吉宗」,さらに選外ですが「アニマル横町」など,笑いのために造形された等身の低いキャラたちもしっかり活躍してました.そんな笑われるための造形の最たるものが「THE FROGMAN SHOW」.適当&手抜きのキャラたちが織り成すくだらないギャグは,個人が作ったものらしい強い個性に恵まれていましたね.その他,あまり視聴していないので触れていませんが,「ラブゲッCHU」「きらりん☆レボリューション」「韋駄天翔」等もギャグとしては大健闘したと聞いています.
2006年にやや低調だったのがシリアス作品に挟み込まれるギャグ.2005年ではシリアスな物語を壊すほどの笑いを見せてくれた息抜き作品がいくつか見られたものの,今年は「セイバーズ」や「武装錬金」のような良いボケを抱えた作品であっても作品の雰囲気をぶっ壊すほどの脱線には至らず.むしろギャグ作品のシリアス化というギャグの方が激しかった.特に「徹之進」の全力シリアスっぷりは伝説に残りそうな気がします.

2006年は,視聴者を笑わせるための馬鹿馬鹿しいことの追求が多種多様であった年ではないかと思います.面白くするためにキャラを壊すくらいは序の口で,歌ったり踊ったり,低品質を追求したり高品質を追求したり,あげくの果てにはスポンサーや社会や局に噛み付いたり.…もしそこまでやらなきゃ視聴者の予想を裏切ることができないのだとしたら,どこまで先鋭化してんだって話になりますが(笑)尖れば尖るほど面白いのがギャグなので,そういう冒険は辛くても怒られてもぜひ続けていただきたい! ただしあんまりにもそっちに突っ走ると普通の人が笑えなくなってくるので,より広い範囲に受け入れられる面白い奴も追及していただきたい.今はそっちが手薄で,ねらい目だ!

てなわけで皆様,あけましておめでとう!

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R'sM 2005年アニメ大賞

いよいよ今日で2005年終了.自分にとって今年は闘神士や式神とともに爆走した短く珍しい1年であったわけですが,このサイトの本領は絶対にシリアスではないので(笑),昨年同様,今日は自分を気分良く笑わせてくれた方の素敵な作品どもを讃えておこうと思います.この1年,主にここで長文あるいは短評で触れたアニメから,私的なベスト3を部門ごとに選出.見ていないあるいは触れていないあるいはシリアスなアニメは評価対象から外れます.昨年度の結果については,R'sM 2004年アニメ大賞にありますよ.
ちなみに昨年度最強のギャグアニメは「ボーボボ」.次が「クロ高」.テクニックよりはノリ重視.しっかり組み立てた高度なネタよりは一瞬で爆笑できる直球を高く評価します.あと,本人にはたぶん笑わせる気がないけれどその無様さが面白いものに関しては,自分の中にその作品・キャラに対する愛がなければギャグとしては扱いません.本当に好きだからここで取り上げたのであって,決して他意はないのです(笑).

<ツッコミ部門>
愉快なだけではともすればダレていく作品に絶妙のタイミングで冷や水をぶっかけ,同時に視聴者の代弁をしてくれた優れたツッコミベスト3.彼ら,彼女らの献身のおかげで作品は無事に進行していきます.

 1.ビュティ(ボボボーボ・ボーボボ)
 2.アルテッサ(ふしぎ星のふたご姫)
 3.河内恭介(焼きたて!!ジャぱん)

2年連続不動の首位として選ばねばならなかったビュティさん.彼女の存在を外してしまうと即座に作品全体が崩壊するほどの重要な役を軽やかに勤め上げたその力量を讃えたい.程度の差はあるものの自分以外は全てボケていて,その全員がツッコミを待っているという過酷な状況をよくぞ乗り切ってくれました! これほどのツッコミには,これから先も滅多にお目にかかることはできないだろうなぁ.
2位3位はいかにもツッコミらしい仕事をしていた2人を選んでみました.隙あらばボケる周囲を正して真面目に話を回そうとしていた正統派のアルテッサと,視聴者にとって説明不足の内容をより明らかにするという己の役割を十二分に自覚しながらツッコんでいた技巧派の河内はともに素晴らしかった.河内は最近あまりにも自分の役割を自覚しすぎているので,もうちょっと真面目にツッコンでいたら2位だったんだけどね(苦笑).
4位以降,今年やたら豊漁だった新作ギャグアニメよりバク(おねがいマイメロディ),藤崎真菜(おねがいマイメロディ)とアミ(アニマル横丁)を.「ボーボボ」ほどひどい状況ではありませんが,それでも周囲に無駄にボケ倒されることによる心労が思いやられます.コントとしての型がしっかりできている「アニ横」よりも,あまりになんでもありすぎの「マイメロ」のほうが難易度は高そうだ.話が大きくシリアス方向にずれて行ったので印象は薄くなりますが,キャプテンブルーJr(ビューティフルジョー)や高嶺清麿(金色のガッシュベル!)も忘れてはならないツッコミです.

<ボケ作品部門>
キャラレベルではなく作品そのものがおかしくなってしまい,ひたすらにボケ続けた作品について特に表彰します.どんなに無茶でもきっとこの楽しさを理解してくれるはず,という視聴者に対する作り手の無謀な信頼がなければ制作不可能な作品はこちら.

 1.ボボボーボ・ボーボボ
 2.おねがいマイメロディ
 3.らいむいろ流奇譚 X CROSS

首位は本年有終の打ち切り(笑)を喰らった「ボーボボ」に差し上げたい.こんなものをアニメ化してそれを喜んで見る人間が結構いたという状況自体がかなりスケールが大きく病の重いボケでした.深い読み込みのできない子どもを除けば,見る側もわざとボケて楽しんでいたわけで,その共犯者意識の高さは他の作品が追従できるレベルではありません.というかあんまり追従しないほうがいいです.
2位は凄まじい大暴れを見せつけたルーキー「マイメロディ」に差し上げたい.他のギャグアニメで凄い方向に鍛えられた脚本家たちが織りなした物語はもう無茶苦茶で,そんな危険物をあえて放置したスポンサーの力量も讃えられるべきです.3位は,心底書いておけばよかったと後悔した怪作「らいむ」に.もちろん普通のアニメとしては豪快に落第しているわけですが,あまりの愉快展開に毎回笑っていました(苦笑).ちょうど初代「シスプリ」もこんな感じだったなぁ.
4位以降,高い完成度なのににやにや笑える「吟遊黙示録マイネリーベ」と「ぱにぽにだっしゅ!」,そして「スクールランブル」.女性向けだろうと男性向けだろうと面白いものは面白いんだけど,萌えと笑いのブレンド具合が異常だった「マイネ」は特に愉快でした.「いちご」の愉快さについては当サイトでも割と必死に語ってきたつもりですが,音楽は使いようによっては凶器に変わることは皆様に覚えておいていただきたい.あまりに堂々とした超理論で見ている人間を呆然とさせた「アクエリオン」,ゴールデンタイムに持ってくること自体が相当の大冒険だった「ガッチンポー」,へたれっぷりが突き抜けてむしろ芸になった「スピードグラファー」も忘れられない.

<ボケキャラ部門>
笑いの花であるボケ.それぞれの強みを生かしながら高度な技術力で画面を縦横無尽に駆け回った脅威の花たちをピックアップ.今回も激戦となったこの部門,いつの世もどんな世界にも,空気をちっとも読んでくれない困った奴はいるものです.

 1.マイメロディ(おねがいマイメロディ)
 2.首領パッチ(ボボボーボ・ボーボボ)
 3.オルフェ&ルーイ(吟遊黙示録マイネリーベ)

今年を代表する大ボケはやはりマイメロさん! あまりにも激しいマイペースぶりはまさに暴力.その重症ぶりは周囲のボケがあえてツッコんでやらねばならないほど.「マイメロ」という作品そのものがマイメロさんを中心としたボケ曼荼羅になっていると考えれば,その中心に位置する神を首位に置きたかった気持ちもご理解いただけるのではないかと思います.それほどまでに,このクリーチャーの抱えたボケは高くて深い.
2位は首領パッチ.今年も相変わらず自分勝手にボケてハジケまくってくれました! 昨年の首位で作品中最強のボケが今回2位に甘んじてしまったのは,実際にマイメロさんと並べたら首領パッチがツッコミに回るんじゃないかと思ったから(笑).3位は「マイネ」の誇るWボケ.人外が有利なこの部門に美青年が2人並んでいるだけでも愉快でたまりませんが,シリアスな中で互いに高めあう凄いボケは視聴者の思考を麻痺させて余りあるほどのものです.
4位以降.グリニデ様(冒険王ビィト)の暴力ボケは短期間ではありましたが「ビィト」という作品の格を引き上げるほどのものでした.一条さん(ぱにぽにだっしゅ!)のやりたい放題はテンションは違うけど首領パッチと同タイプ.作品中の笑いを一手に担ったボケプロデューサの不動GEN(創世のアクエリオン)の働きも素晴らしかった.塚本天満(スクールランブル)蘭堂りの(極上生徒会)は物語の中心として十分な愛らしい天然ボケぶりが素敵.イヨ(アニマル横丁)は全てわかっていてボケる確信犯だから手に負えない.暗黒シリアスな状況でも常にボケ続けて視聴者の心を救ってくれたテル(陰陽大戦記),高貴ゆえに軽くボケると悪目立ちすることがよくわかった真紅(ローゼンメイデン・トロイメント),そしてこれから先の活躍が楽しみなソルティ(ソルティレイ)と,特に目立った面子を選んだだけでかなりの数となりました.

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今年のギャグアニメ界では,「ボーボボ」の終了と「マイメロ」の台頭が大きかったですね.超高スピード,高密度,バラエティ味に富んだ「ボーボボ」は度重なる特番と不思議な延長の末に終了.とんでもない原作と浦沢御大というカリスマの元でやりたい放題を貫いた本作らしく,全ての面で他のギャグアニメとは段違いの世界を見せてくれました.ただしあまりに先鋭すぎる芸風は万人受けするとは到底言い難く,特にキャラクターのアクの問題はいくら作画を可愛らしくしても解消しきれるものではないし,そもそもこの濃すぎるアクがなければ「ボーボボ」ではないし(苦笑)…ともかくギャグアニメとしては大傑作です.
濃いキャラの方がギャグには有利なんですが,あまりに濃いと万人受けしない.だからといって薄いキャラには濃いギャグはできない.この背反する問題を独自の手法で突破したのが「マイメロ」です.デザインはサンリオ由来で愛らしく薄いわけですが,その性格設定を極度に濃くすることで薄くて濃いキャラクターを作り出した功績は大きい.見た目では一般受けしながらも内容は現代の笑いの最も濃い部分を爆走するという「ボーボボ」にはできなかったことをやってみせた野心作なので,今年だけでなく,来年の爆走ぶりも楽しく見守りたいですね.
昨年の「ギャラクシーエンジェル」や「シノブ伝」と同傾向の,萌えるギャグも今年は好調でした.台頭した「マイメロ」やハイレベルに作りこんだ笑いを提供してくれた「スクールランブル」,そしてオタク以外は全員置き去りの豪快な「ぱにぽにダッシュ」.これらの作品はハイレベルな画が笑いを支えていることも共通してますね.これらの作品から萌え・オタク要素をなるべく外して一般受けを強めていくのが「アニ横」や「ケロロ」.彼らの目指す遥か先には「ドラ」や「サザエ」の領域があります.
また昨年と同様,作品そのものが何かをやりすぎて天然ボケと化した怪作もいくつか出現しました.特にもはや美青年Wボケにしか見えない「マイネリーベ」や,テンションが上がりすぎてわけわからん状態に陥った「アクエリオン」は凄かった.あらゆる面で申し分ないのに,なんだってこんなことになっちゃったんだろう…(苦笑).逆に「らいむ」や「いちご」は,他はともかく笑いだけは妥協なく素晴らしすぎました.この2作は初代「シスプリ」の正統後継と言えそうだけど,あんまり言われたくないですか(笑)?
そして,シリアス作品に時折挟み込まれるギャグ回のレベルの高さに驚いた年でもありました.「ビィト」「ローゼンメイデン」「陰陽」「NARUTO」などはベースがシリアスとは思えないほどに壊れたところを見せてくれてびっくり.こんなことが時折起きるからギャグ以外のチェックも怠ることができないんだよなぁ.楽しいけれど大変です.

1強が全てを染め上げた昨年に比べると,今年は実力伯仲の鍔迫り合いが何度も見られた面白い年でした.年間を通し途切れることなく花咲いた笑いの色が,それぞれに違っていたのもうれしかった.予期せぬ状況に対する驚きこそが笑いの根本.先行者を乗り越えて未知の領域に切り込んでいこうとする魂こそが笑いには何より大切だと思うので,来年もそんな冒険心に溢れた素晴らしい作品が沢山見られることを期待したいと思います.とりあえず新年からは「練馬大根」と「おゆい」をマークだ!
それでは皆様,よいお年を.

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R'sM 2004年アニメ大賞

いよいよ今日で2004年も終了.他サイトさんでも様々な今年のアニメ総決算企画が並んでいて楽しいので,自分もやってみることにしますよ.もちろんここが評価しなければならない点はたった1つ,「笑えるかどうか」です!
この1年,ここで長文あるいは短評で触れたアニメから,私的なベスト3を部門ごとに選択してみたいと思います.見ていないあるいは触れていないあるいはシリアスなアニメは評価対象から外れてますんで,どうかご了承を.ちなみに好きな大先生は手塚でも藤子でもなくひたすらに赤塚.中でも「おそ松くん」が最高です.テクニックよりはノリ重視.考えてじんわり来る高度なネタよりは一瞬で爆笑できる直球ネタを高く評価します.

<ツッコミ部門>
まずは愉快なだけではともすればダレていく作品に絶妙のタイミングで冷や水をぶっかけ,同時に視聴者の代弁をしてくれた優れたツッコミから,ベスト3を選出!

 1.ビュティ(ボボボーボ・ボーボボ)
 2.神山高志(魁!!クロマティ高校)
 3.高嶺清麿(金色のガッシュベル!)

2004年を代表するツッコミと言えばビュティさんで間違いないでしょう.大暴走する仲間と敵にコンパクトにツッコミを入れ続けるその体力はまさに可憐なる鉄人! 比較的そのまま叫ぶので話芸としてはそう高度ではありませんが,間の絶妙加減と回数が他のツッコミを圧倒しています.ボケまくる他の番組を見ているときには,つい「ここにビュティさんがいてくれたら!」と願ってしまうものです(苦笑).
2位以降となる神山と清麿は共に櫻井氏ですね.ただしタイプは大幅に異なり,どうしようもない周囲に対し冷静にツッコミつつも.油断するとまったく別の方向に話を誘導してしまうという脅威の話芸を誇る神山と,同じくどうしようもない周囲に対し熱い感情のままにツッコむものの大抵は最終的に状況に流されてしまう(笑)ヘタレツッコミぶりを誇る清麿は好対照.トリッキーな話芸の凄さから神山をより高く評価していますが,ギャグとシリアスの両方をこなせる清麿も実はかなり器用で素晴らしい.

4位以降.独特の暴力ツッコミを見せてくれたメグ(レジェンズ)とボケまくる親友とお邪魔虫に対し果敢に耐え続けた楓(ニニンがシノブ伝)はそれぞれ直球ですが魅力的なツッコミを見せてくれました.暴力ボケを受けつつも流血しつつツッコミ続けたリキッド(PAPUWA)の健闘も讃えたい.キャプテンブルーJr(ビューティフルジョー)はツッコミによってボケばかりでバランスを崩しかけた作品全体を見事に安定させることに成功.河内恭介(焼きたて!!ジャぱん)は今年よりは来年が正念場.良いツッコミを見せてくれるのを期待しています.最後,ボーボボ(ボボボーボ・ボーボボ)は主役らしいボケの入った暴力ツッコミを評価.彼が凄いのはボケとツッコミ,両方完璧にこなせる点ですね.

<ボケ作品部門>
何かの間違いで(笑)作品そのものがおかしくなってしまい,ひたすらにボケ続けた作品について特に表彰します.視聴者に対する無謀な信頼がなければ制作不可能な脅威の作品はこちら.

 1.ギャラクシーエンジェル
 2.アークエとガッチンポー
 3.クラッシュギアNitro

この部門は「ギャラクシーエンジェル」のためにあると言い切っても過言ではありません(笑).たった1クールですが登場人物全員で投げまくったその雄姿は首位に相応しい.特に優れたボケ・ツッコミがいるわけではありませんが,それぞれが忠実に己の役をこなし,笑いをとっていくという劇団的な芸風を評価したい.
2位は一応ツッコミ役のタケシがいるもののほとんど役に立たないくらい作品のボケがひどい「アークエ」に差し上げます.いや,本当に作品全体が無茶苦茶なので,来年の時間変更が楽しみです(笑)! 3位は抜群の電波を放って自分を魅了した「Nitro」.笑いの面では元々主役の勝の不条理なボケが凄かったんですが,そのボケが中盤以降全体を包み込み,終盤に至っては作品そのものの1つの味になってしまったあたりが素晴らしかった.

4位以降.あまりにも真剣すぎるのが面白すぎた「リングにかけろ」と,きちんと笑わせることを狙って中盤を作りこんできて見事にハマった「光と水のダフネ」が良かった.「マイネリーベ」はリンかけ型なんですが,終盤の展開で我々をどこまで笑いのめしていただけるんでしょうか.非常に楽しみです(笑).

<ボケキャラ部門>
お笑いの花であるボケ.時には知的に,時には不条理に,そして時にはどうしようもなく下品に(笑)高度な技術力で画面を縦横無尽に駆け回った脅威の花たちを表彰!

 1.首領パッチ(ボボボーボ・ボーボボ)
 2.メカ沢新一(魁!!クロマティ高校)
 3.ケロロ軍曹(ケロロ軍曹)

バラエティ豊かな芸人を揃えすぎた(笑)「ボーボボ」ですが,首位となれば首領パッチ以外は考えられません,ボーボボとの絶妙なコンビ芸も恐ろしいですが,ピンでも十分に見応えのある舞台を作り出せるその才能は首位にふさわしい,十年に1人の逸材.
次点はこれも多彩な芸人を揃えた「クロ高」を代表してメカ沢を.笑いが取れる絶妙な見た目とそれに嫌なくらいはまっている声,さらに漢気溢れる態度と天然ボケとしては今年最強でしょう,3位はベテランらしい見事な演技力を見せてくれた軍曹に差し上げたい.爆発力には劣りますが,笑いを取るために計算された正統派の気持ちのいい演技が素晴らしかった! この3人は本当に素晴らしいんですけども…人外ばかりになってしまったなぁ(笑).

4位以下.音速丸(ニニンがシノブ伝)は状況を理解してなおかつボケている老獪な芸風.ボケでは今年の若本氏の活躍は目覚しく,ゲストですがビクトリーム(金色のガッシュベル!)の突き抜け具合も凄まじいものがありました.忍(ニニンがシノブ伝)はシンプルかつ愛らしいボケというかお色気ボケというか…ともかく目の保養ではトップです(笑).ボケは少数の番組に逸材が揃い,OVERとのコンビネーションが素晴らしかったところ天の助(ボボボーボ・ボーボボ),その考察方向がお笑いマニアには他人に思えない山口ノボル(魁!!クロマティ高校)にも触れておきたいところ.さらに最近デビューした作品を台無しにしかねない深刻なボケの太刀花リク(陰陽大戦記)と,今すぐビュティさんを派遣したい精神年齢小学生コンビオルフェ&ルーイ(マイネリーベ)もまた非常に有望です.
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今年はやはり「ボーボボ」の完成度が圧倒的でしたね.超高スピード・高密度で展開されるとんでもないネタの数々はこれまでのどのジャンルのギャグとも質が違う,まったく新しい何かなんですが,バラエティ番組風味溢れる原作の勢いをそのまま映像化した技術力を高く評価したいです.適当にやっているように見えて実際は非常に高度な計算の上に作られているこの作品は,普通のアニメの歴史には残してもらえないと思うんですけども(笑)完結していない現状であっても,間違いなくギャグアニメの歴史に残る大傑作だと思います.
より一般受けを考えて絶妙のコントロールがされていたのが「クロ高」と「ケロロ」そして「シノブ伝」でしょう.誰もが安心して見られるように丁寧に作られたこの3作は実に良質なギャグとなりました.中でも丁寧でありながらかつ笑いの爆発力も兼ね備えた「クロ高」は傑作と評価するに相応しい.
「ボーボボ」と同じく独自の笑いを強く押し出し,一般受けを犠牲にしても芸を突き詰めたのはボケ番組部門の「ギャラクシーエンジェル」「ガッチンポー」ですね.どちらもやる気でやっているので怒っても反省しそうにないところが大好きです(笑).作品の雰囲気ぶち壊しすら厭わない「ガッシュ」や「陰陽」のギャグパートもこちらに入るかな.
一方意図があるかどうかは不明ですが,作品そのものが何かをやりすぎて(笑)天然ボケと化した「Nitro」「リンかけ」「マイネリーベ」は見る側に通常よりも高度なお笑い解読能力を要求するものの,そこから染み出す天然の味わいが素晴らしかった! 特に「リンかけ」「Nitro」の感動してるんだか呆れて笑ってるんだかわからないという異様な精神状態は,未体験の方にぜひ一度味わっていただきたいですね.

そんなわけでこのサイトとしては,今年は見るべきものの多い,非常に楽しい一年でありました.来年も徹底的に笑いのめしてくれる素晴らしい作品が次々に出てくることを期待しつつ,年末のご挨拶とさせていただきます.
では皆様,よいお年を.

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